JPH0139037Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、形状の薄形化を図つた小形で比較的
広帯域の音楽用、音声合成用等の電磁スピーカに
関する。

従来、小形の電磁スピーカとしては第１図に示
す如き構造が一般的であつた。この図において、
磁性体ヨーク１は中央に凸部２を一体に形成した
ものであり、その凸部２の周囲にコイル３が設け
られている。またヨーク１には凸部２及びコイル
３を囲む如く円筒形永久磁石４が固着されてい
る。そして、ヨーク１の凸部２に対向しかつ円筒
形永久磁石４で支えられる如く円形振動板５が配
設され、この円形振動板５の中央に磁性体バラス
ト６が固着されている。その磁性体バラスト６は
円形振動板５の凸部２に対向する面とは反対側に
設けられる。樹脂ケース７は前面部８の中央に１
個の比較的径の大きな放音孔９を有しており、該
ケース７の側面部１０の後端にヨーク１が取付け
られる。

上記構成において、コイル３に所定の周波数の
電気信号を供給すれば、円形振動板５はその入力
電気信号の周波数に応じて振動し音波を発生す
る。

ところで、最近この種の電磁スピーカの小形化
とくに薄形化が要求されるようになつている。し
かし、第１図の如き従来の電磁スピーカの構造で
は、比較的径の大きな１個の放音孔９を樹脂ケー
ス７の前面部８に形成しているので、電磁スピー
カの外形の薄形化を図るために樹脂ケース７を薄
くしていくと、ケース７自体が振動し不要な共振
を引起こし、音質が劣化したり所要の周波数領域
での音圧が低下したりする欠点を生じる。また放
音孔９の径が大きいため、ごみや湿気が侵入しや
すくなる不都合もある。

一方、ケースの薄形化を図る上でケースの材質
を金属製とすることも考慮されているが、金属製
とすることはかなりコスト高となる欠点を生じて
しまう。

本考案は、上記の点に鑑み、樹脂ケースの薄形
化、ひいては外形寸法の薄形化を図つた広帯域使
用が可能な電磁スピーカを提供しようとするもの
である。

以下、本考案に係る電磁スピーカの実施例を図
面に従つて説明する。

第２図は本考案の実施例の全体的構成を示す拡
大断面図であり、第３図は樹脂ケースの内側の構
造を示す底面図である。これらの図において、磁
性体ヨーク２０を中央に凸部２１を一体に形成し
たもので、その凸部２１の周囲にコイル２２が配
設されている。また、凸部２１及びコイル２２を
囲むごとく円筒形永久磁石２３がヨーク２０に固
着される。そして、凸部２１に対向しかつ円筒形
永久磁石２３で支えられるように円形振動板２４
が配設され、該円形振動板２４の凸部２１に対向
する面とは反対の面の中央に磁性体バラスト２５
が固着されている。樹脂ケース２６は円形振動板
２４に対向する前面部２７と円筒形永久磁石２３
を囲む側面部２８とから成つており、側面部２８
の段状溝２９の部分にヨーク２０の周縁部が嵌合
固定されるようになつている。樹脂ケース２６の
前面部２７の内面には前記バラスト２５より大径
の円形凹部３０が形成され、該凹部３０の周囲が
円環状厚肉部３１となつている。そして円環状厚
肉部３１より側面部２８に接続するごとく放射状
厚肉部３２が放射状に複数個形成されている。そ
して円環状厚肉部３１の部分に小径の放音孔３３
が複数個等間隔で形成されている。

前記放射状厚肉部３２は前面部２７を薄くした
ことによる強度の低下を円環状厚肉部３１と共に
補強する作用を果たす。

以上の実施例の構成において、コイル２２に所
定の周波数の電気信号が加えらば、振動板２４が
その周波数で振動し音波を発生して放音孔３３よ
り外部に出力することができる。

上記実施例によれば次のような効果を上げるこ
とができる。

(1) 放音孔３３をケース前面中央に設けるのはや
めて円環状厚肉部３１に設けるようにし、なお
かつその内側をバラスト２５が入る円形凹部３
０とした樹脂ケース構造にしているので、樹脂
ケース２６のバラスト対向部分の厚みを極く薄
くすることができ、電磁スピーカの外形寸法の
薄形化を図ることができる。

(2) 樹脂ケース２６は、円環状厚肉部３１及び放
射状厚肉部３２を有しているため、前面部２７
を薄くしても充分な機械的強度を持ち、樹脂ケ
ース２６を音響的な共振器としてみたときの共
振の鋭さを表すＱの値を低く、周波数特性が平
坦化されて広帯域での使用が可能である。

(3) 円環状厚肉部３１に小孔の放音孔３３を複数
個設けるようにしたので、従来の大きな放音孔
を一つ設ける場合に比べごみの侵入を防止し、
湿気の侵入を緩和することができる。

(4) 樹脂ケース２６は製造容易で金属ケースを採
用する場合に比べ安価である。

第４図は、上記実施例で示した電磁スピーカの
駆動周波数と音圧との関係を示す。この図におい
て、実線Ａは実施例の場合、点線Ｂは第１図の従
来構造の場合を示す。この第４図からもも判ると
おり、実施例の構成の方が周波数特性が優れてい
る。

以上説明したように、本考案によれば、周波数
特性を損うことなく樹脂ケースの薄形化を図り、
ひいては外形寸法の薄形化を図ることが可能な電
磁スピーカを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電磁スピーカを示す正断面図、
第２図は本考案に係る電磁スピーカの実施例を示
す正断面図、第３図は実施例で用いる樹脂ケース
の底面図、第４図は実施例の周波数特性を従来の
場合と比較して示すグラフである。 １，２０……ヨーク、２，２１……凸部、３，
２２……コイル、４，２３……円筒形永久磁石、
５，２４……円形振動板、６，２５……バラス
ト、７，２６……樹脂ケース、８，２７……前面
部、２８……側面部、３０……円形凹部、３１…
…円環状厚肉部、３２……放射状厚肉部、３３…
…放音孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中央に凸部を形成したヨークと、前記凸部の
   周囲に設けられるコイルと、前記ヨークに固定
   される円筒形永久磁石と、前記凸部に対向して
   おり中央にバラストを固着した円形振動板と、
   該円形振動板に対向する前面部に放音孔を形成
   した樹脂ケースとを具備した電磁スピーカにお
   いて、前記ケースの前面部の内面には前記バラ
   ストより大径の凹部が形成されており、前記放
   音孔は該凹部周辺の厚肉部に複数箇所設けられ
   ていることを特徴とする電磁スピーカ。 (2) 前記ケースの厚肉部が円環状部分とこれより
   当該ケース側面部に延長する放射状部分とから
   構成されている実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の電磁スピーカ。