JPH0138336Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、長尺のレール上を鞍状の摺動体が摺
動するリニヤガイド装置、特にその防塵部材の取
付けを改良したリニヤガイド装置に関する。

（従来の技術） 上記リニヤガイド装置は、軸方向に形成した複
数の転動体転動溝を有する長尺状のレールと、こ
のレールの転動体転動溝に対向する転動体転動溝
を有する軸方向の凹所を備え、レールに被せられ
る鞍状の摺動体と、上記レールおよび摺動体の転
動体転動溝に嵌合して転動自在とされ、摺動体に
設けた循環手段により循環するようにされた多数
の転動体とを含んで成る。

かかるリニヤガイド装置においては、レールお
よび摺動体の転動体転動溝と転動体との接触部へ
のゴミ、ホコリ等の侵入を防止するため、防塵部
材を設けることが普通である。この場合、防塵は
摺動体の両端面、下面等に金属板、合成樹脂板等
を取り付けレールと摺動体の間のすきまを塞ぐと
によつて行なわれる。

摺動体の下面（詳しくは一対の袖部の下面）に
取り付ける防塵部材は、従来小ねじやリベツトに
よつて摺動体に固定されていた。そのため防塵部
材には貫通穴を、また摺動体にはねじ穴やリベツ
ト穴をかけねばならず、そのための穴加工が必要
となるとともに、組立工数も大きくなる。また防
塵部材の取付後には小ねじやリベツトの頭部が摺
動体の下面から突出し、周辺の部材と干渉する欠
点があつたのである。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記従来技術を背景にして、その欠点
を解消すること、すなわち防塵部材を摺動体の下
面に容易かつ簡単に取り付け得るともに、安価に
してコンパクトなリニヤガイド装置を提供するこ
とを目的としてなされたものである。

（問題点を解消するための手段） 上記目的を達成するために、本考案において
は、リニヤガイド装置が、軸方向に形成した複数
の転動体転動溝を有する長尺のレールと；一対の
袖部を含む鞍形状を有し、前記レールの転動体転
動溝に対向する転動体転動溝を備えた摺動体と；
前記レールおよび摺動体の転動体転動溝に嵌合し
転動自在とされた多数の転動体と；前記摺動体に
類似した断面形状を有し、前記摺動体の軸方向両
端面に取り付けられ、前記転動体の循環路を形成
するとともに、その袖部の先端部が前記摺動体の
袖部の下面から出つ張つており、該出張り部分に
溝が形成されたエンドキヤツプと；前記摺動体の
袖部の軸方向の長さよりも長くされて摺動体の袖
部の下面側に配置され、その両端部を前記エンド
キヤツプの溝に嵌合させるとともに、その一側縁
を前記レールの側面に接触させた防塵部材と；を
含むようにしたのである。

（作用） このように、防塵部材は軸方向長さが摺動体の
軸方向長さよりも長くしてあるので、摺動体の両
端からわずか出つ張る。この出つ張り部分がエン
ドキヤツプに形成されたダストシール挿入用溝に
嵌合され、防塵部材は摺動体に固定されたエンド
キヤツプにより脱落不能に支持される。その結
果、リニヤガイド装置の転動部に側方から侵入し
ようとするダストはエンドキヤツプによりその侵
入が防止され、下方から侵入しようとするダスト
はダストシールによつてその侵入が防止されるこ
ととなる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面をもとに説明す
る。

第１図および第２図に示すように、リニヤガイ
ド装置は両側面に軸線（長手）方向に延びるボー
ル転動溝１２を有し長尺状に延びる矩形断面のレ
ール１０と、一対の袖部２２および両者を連絡す
る連結部２４から成り、各袖部２２の内側面には
上記レール１０のボール転動溝１２と摺動体２０
のボール転動溝１２に対向するボール転動溝２６
を有する鞍状の摺動体２０と、レール１０のボー
ル転動溝２６との間に介装された多数のボール３
６と、摺動体２０の両端面に取り付けたエンドキ
ヤツプ４０と、摺動体２０の袖部２２の下面に取
り付けられる防塵部材（ダストシール）６０とを
含む。

次に各部材について詳述すると、レール１０に
はほぼ半円形断面のボール転動溝１２の溝底にワ
イヤリテーナ１５挿入用の溝１４を形成し、長手
方向の端部で幅方向の中央部にはボルト挿通穴１
６を形成している。また摺動体２０の各袖部２２
には、上記ボール転動溝２６に隣接して貫通穴２
８が袖部２２の全長にわたつてあけてあり、その
上方にはボルト取り付け穴３０があけてあり、さ
らに各袖部２２の側縁にはボルト挿通穴３２があ
けてある（第１図、第２図参照）。

エンドキヤツプ４０は合成樹脂から成り、第３
図〜第５図に示す如く一対の袖部４２と、両者を
連結する連結部４４とを有する。各袖部４２およ
び連結部４４には、各々円形の貫通穴４６および
４８があけてあり、丸穴４６のまわりには円筒状
の突起５０が形成してある（第６図、第７図参
照）。各袖部４２には貫通穴４６に隣接してほぼ
半円形で一定幅の凹所５２が袖部４２の幅方向に
形成してあり、凹所５２の溝底にはワイヤリテー
ナ挿入用の溝５４が形成してある（第８図参照）。
凹所５２の端部４３はレール１０のボール転動溝
１２に入り込んでおり、伝動するボール３６を循
環させる掬い上げ部となつている。

上記凹所５２から前記連結部４４の貫通穴４８
にかけて潤滑油供給溝５６が形成してあり、凹所
５２の両側にはリターンガイド挿入溝が形成して
ある。また各袖部４２の下部は摺動体の袖部２２
の下面よりも下方に出つ張つた自由端となつてお
り、この自由端は摺動体２０との当接面側からダ
ストシール６０挿入用の溝５８が形成してある。

ダストシール６０（防塵部材）は薄い金属板か
ら成り、広い平担部６２と、その一側縁に連続し
た屈曲部６４とを含み、その長さは摺動体の袖部
２２の軸方向長さよりも若干長い（第９図、第１
０図参照）。

次に本実施例の組立て、作動について説明す
る。

レール１０に摺動体２０を被せてボール転動溝
１２および２６並びに転動体２０の貫通穴２８に
ボール３６を介装し、充填し、摺動体２０の両端
面には各エンドキヤツプ４０をボルト６２によつ
て取り付ける。なお、エンドキヤツプ４０の凹所
５２には半円形断面で柱状のリターンガイド（図
示せず）を挿入して、半ドーナツ状のボール循環
路を形成しておく。エンドキヤツプ４０を摺動体
２０に取り付ける際、ダストシール６０を摺動体
２０の下面にあてがつておき、その両端部をエン
ドキヤツプ４０のダストシール挿入用の溝５８に
挿入すると、ダストシール６０の屈曲部６４がレ
ール１０の側面に弾性的に接触する。これによ
り、ボール転動溝１２および２６への側方からダ
ストの侵入はエンドキヤツプ（特に袖部４２の突
出部４３）により、下方からのダストの侵入はダ
ストシール６０によりそれぞれ良好に防止される
ことになる。

なお、ボール転動溝１２および２６内のボール
３６は、摺動体２０の摺動につれて何れか一方の
両面側に転動し、前記エンドキヤツプ４０内のボ
ール循環路を循環して、貫通穴２８に入つてこの
中を反対方向に移動する。また、エンドキヤツプ
４０に取り付けたニツプル６４から潤滑油を供給
すれば、潤滑油は供給溝５６を通つてボール循環
路内を循環するボール３６に供給される。

本実施例によれば、ダストシール６０を小ね
じ、リベツト等ではなくエンドキヤツプ４０によ
つて摺動体２０の下面に取り付けたので、従来の
ようにダストシール６０自体および摺動体の袖部
２２に穴加工をすることが不要となるのみなら
ず、そのための取付け作業も不要となる。また、
ダストシール６０をその屈曲部６４によつて弾性
的にレール１０の側面に接触させたためシール性
が向上し、かつ屈曲部を設けたので曲げ強度が向
上し、極めて薄い板材が使用できる利点がある。

しかしながら、ダストシール６０の材質等は上
記実施例に限定されるものではなく、合成樹脂で
形成することもできる。また、レール１０、摺動
体２０およびエンドキヤツプ４０等、要するにリ
ニヤガイド装置自体の構成についても必要に応じ
て便宜変更、改良を加え得ることは勿論である。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、リニヤ
ガイド装置の摺動体袖部の下面に防塵部材を取り
付けるに際し、防塵部材の軸方向長さを摺動体の
それよりも若干長くし、摺動体から突出した防塵
部材の端部をエンドキヤツプで支持する構成とし
た。そのため、従来のように防塵部材そのものお
よび袖部に貫通穴、ねじ穴等を加工することが不
要となり、小ねじ、リベツト等を用いること並び
にこれらを袖部に取り付ける作業が不要となり、
コンパクトなリニヤガイド装置にて部品点数の減
少および組立て時間の短縮が図れ、安価なリニヤ
ガイド装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図（一部
破断）、第２図は同じく側面図（一部破断）、第３
図はエンドキヤツプ４０の正面図、第４図は同じ
く背面図、第５図は同じく側面図、第６図、第７
図および第８図は各々第３図における−断面
図、−断面図、−断面図、第９図はダス
トシール６０の正面図、第１０図は同じく側面図
である。 主要部分の符号の説明、レール……１０、ボー
ル転動溝……１２，２６、摺動体……２０、袖部
……２２、エンドキヤツプ……４０、ダストシー
ル……６０、平担部……６２、屈曲部……６４。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 軸方向に形成した複数の転動体転動溝を有す
   る長尺のレールと； 一対の袖部を含む鞍形状を有し、前記レール
   の転動体転動溝に対向する転動体転動溝を備え
   た摺動体と； 前記レールおよび摺動体の転動体転動溝に嵌
   合し転動自在とされた多数の転動体と； 前記摺動体に類似した断面形状を有し、前記
   摺動体の軸方向両端面に取り付けられ、前記転
   動体の循環路を形成するとともに、その袖部の
   先端部が前記摺動体の袖部の下面から出つ張つ
   ており、該出張り部分に溝が形成されたエンド
   キヤツプと； 前記摺動体の袖部の軸方向の長さよりも長く
   されて摺動体の各袖部の下面側に配置され、そ
   の両端部を前記エンドキヤツプの溝に嵌合させ
   るとともに、その一側縁を前記レールの側面に
   接触させた防塵部材と；を含み、 前記エンドキヤツプにより側方から転動部に
   ダストが侵入することが防止されるとともに、
   前記防塵部材により下方からダストが転動部に
   侵入することが防止されるようになつているこ
   とを特徴とするリニヤガイド装置。 ２ 前記防塵部材は薄い金属板から成り、レール
   に接触される側縁が外方に僅かに屈曲されてい
   る実用新案登録請求の範囲第１項に記載のリニ
   ヤガイド装置。