JPH0137615Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は平均値咬合器を用いて上下顎模型の位
置決めを行なう歯科用咬合器の咬合平面板の改良
に関するものである。

従来の平均値咬合器は第１図に示すようにイン
サイザルポール１を先端に取付付けた上顎フレー
ム２と、前記インサイザルポール１の下端が摺接
するインサイザルテーブル３を取付けた下顎フレ
ーム４とを偏心自在に連結した構造をなしてい
る。これは義歯を作る場合、上下顎の関係を口腔
外で再現させる器具で、人間の顎の動きに合せ
て、上下、左右、前後に自由に偏心運動でき、人
間の平均的な動きを再現できるようになつてい
る。

この平均値咬合器は有歯顎の場合に主に使用
し、無歯顎の場合に総義歯を作るときは次のよう
に使用する。

第２図は組合せ状態を示すもので、上顎模型５
に取付けた上部咬合堤６、下顎模型７に取付けた
下部咬合堤８を重ねたものである。

先ず上部咬合堤６のワツクス部９を適切な咬合
平面に加工し、これを上顎模型５に固定する。次
に第１図に示す平均値咬合器Ａの下顎フレーム４
の上に咬合平面ラインとなる咬合平面板１０を取
付け、この上に形成した基準線１１に合せて、前
記上部咬合堤６を固定した上顎模型５を載せて位
置決めする。この後、上顎フレーム２の下のマウ
ンテイングリング１２と、上顎模型５との間に石
こう１３を詰めて固定する。

この後、咬合平面板１０を取外して、取付けた
上部咬合堤６に合せて、下部咬合堤８を固定した
下顎模型７を第２図のように組合せて、下顎フレ
ーム４のマウンテイングリング１２に石こう１３
で接合し、上下顎模型５，７の３次元的な関係を
決める咬合採得を行う。

しかしながなら、無歯顎の場、予めワツクス部
９に理想的な咬合平面を決定することが難しく作
業が手間がかかり、その上、上下部咬合堤６，８
が分離できる状態であると、平均値咬合器Ａに組
込んだときそのくるいを生じ易いため、通常の臨
床では上記の如き咬合平面板１０を用いないで咬
合採得を行つているのが実情である。

従来の臨床では、上下部咬合堤６，８を組合
せ、予め接合して、これに上下顎模型５，７を取
付けて、第２図に示すように一体にしてから、平
均値咬合器Ａにフリーハンドでセツトして石こう
で固定していた。このため咬合平面ラインや中心
が正確に位置決めされず、ずれた状態で平均値咬
合器Ａにセツトされるので、平均的な人間の上下
顎の関係を再現させる上で、その使用目的が得ら
れず、製作された総義歯の噛み合せが悪くなるな
どの問題があつた。

本考案はかかる点に鑑みなされたもので、予め
上部咬合堤の咬合平面を正確に形成せず、従来行
われている上下咬合堤を先に接合した後、平均値
咬合器にセツトしてから咬合平面ラインを規定し
て、容易に上下顎模型の３次元な位置関係を正確
に設定することができる歯科用咬合器の咬合平面
板を提供するものである。

以下本考案の一実施例を第３図乃至第５図を参
照して詳細に説明する。

第３図は咬合平面板１４の斜視図で、第４図は
これを平均値咬合器Ａに取付けた状態を示すもの
である。

図において１５は馬蹄形をなす金属板で形成さ
れた本体プレートで、平均値咬合器Ａを囲むよう
に配置されている。この本体プレート１５の内側
中央にはインサイザルポイント１６が突設されて
いる。このインサイザルポイント１６の先端は従
来の咬合平面板１０に形成された基準線１１の交
点と同位置となるように設定されている。また本
体プレート１５の上面には、放射状の管状ガイド
１７……が取付けられ、ここに４本のガイドピン
１８が中心に向つて可動自在に取付けられてい
る。１９は円柱状のスタンドポールで、前記本体
プレート１５の下面に垂下され、本体プレート１
５を水平に支持するようになつている。

２０は固定具で、中央部に形のガイド溝２１
が形成され、ここに平均値咬合器Ａの下顎フレー
ム４の先端に取付けたインサイザルテーブル３に
脱着自在に嵌合するようになつている。またこの
固定具２０にはガイド溝２１の両側にガイド孔２
２，２２が開孔され、ここに前記本体プレート１
５を支持する前方側の２本のスタンドポール１
９，１９が着脱自在に嵌合し、本体プレート１５
の位置決めを行うようになつている。

次に上記構成をなす咬合平面板１４を使用し
て、総義歯を製作する場合について説明する。

先ず第２図に示すように馬蹄形のプラスチツク
部２３の上にワツクス部９を設けた上部咬合堤６
と下部咬合堤８を夫々作成し、これを組合せて接
合した後、平板状の上顎模型５と下顎模型６を取
付けて一体とする。

次に一体となつた上下顎模型５，７を第５図に
示すように平均値咬合器Ａにセツトし、咬合平面
板１４のインサイザルポイント１６を先端中央に
合せると共に、ガイドピン１８を押出して、その
先端を上下咬合堤６，８の接合面に刺し込んで、
接合面を咬合平面ラインに一致させて固定する。
次いで下顎フレーム４のマウンテイングリング１
２と下顎模型７を石こうで固定した後、上顎フレ
ーム２のマウンテンリング１２と上顎模型５とを
石こうで固定することにより、上下顎模型５，７
を平均値咬合器Ａの中心に咬合平面ラインに合わ
せて、３次元的に正確に固定することができる。

なお本考案は、ガイドピン１８、スタンドポー
ル１９の本数は任意に選定することができると共
に、スタンドポール１９と固定具２０の嵌合構造
は上記実施例に限らず、他の組合せ構造のもので
も良い。また有歯顎の場合には本考案の咬合平面
板１４を取外すことにより、通常の平均値咬合器
Ａとして使用することができる。

以上説明した如く、本考案に係る歯科用咬合器
の咬合平面板によれば、上下咬合堤を予め一体に
接合し、これを平均値咬合器にセツトしてから、
咬合平面ラインを規定するので、従来の咬合平面
板を用いない臨床的な方法においても上下顎模型
の３次元的な位置関係を平均値咬合器の中心に合
せて容易に且つ正確に設定することができるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の咬合板を組込んだ平均値咬合器
の斜視図、第２図は上下咬合堤と上下顎模型の組
合せ状態を示す斜視図、第３図は本考案の一実施
例による咬合平面板の斜視図、第４図は第３図の
咬合平面板を平均値咬合器に組込んだ状態を示す
斜視図、第５図は第４図の平均値咬合器に上下顎
模型をセツトし咬合平面板で位置決めしている状
態を示す斜視図である。 １……インサイザルポール、２……上顎フレー
ム、３……インサイザルテーブル、４……下顎フ
レーム、５，７……顎模型、６，８……咬合堤、
９……ワツクス部、１０……咬合平面板、１１…
…基準線、１４……咬合平面板、１５……本体プ
レート、１６……インサイザルポイント、１８…
…ガイドピン、１９……スタンドポール、２０…
…固定具、２１……ガイド溝、Ａ……平均値咬合
器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 咬合器を囲むように、その咬合平面ラインに合
   せて配置された馬蹄形の本体プレートと、この本
   体プレートの内側中央に突設されたインサイザル
   ポイントと、本体プレート上に中心に向つて可動
   自在に取付けられた複数本のガイドピンと、本体
   プレートの下面に垂下された複数本のスタンドポ
   ールと、このスタンドポールの下端が嵌合して位
   置決めされ、下顎フレームに着脱自在に取付けら
   れた固定具とから成ることを特徴とする歯科用歯
   合器の咬合平面板。