JPH0137173Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、主に自動車用内燃機関に備えられ、
内燃機関への燃料供給に用いられる燃料噴射装置
に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、自動車用内燃機関等に備えられ、内燃機
関への燃料供給に用いられる燃料噴射装置は、燃
料タンク、燃料ポンプ、燃料フイルタ、デリバリ
パイプ、燃料噴射弁、圧力制御弁、およびこれら
を接続する配管により構成されており、燃料タン
ク内の燃料を燃料ポンプによりデリバリパイプに
圧送し、このデリバリパイプを介してこのデリバ
リパイプに接続された燃料噴射弁に供給して、こ
の燃料噴射弁より内燃機関へと噴射、供給するも
ので、この際、デリバリパイプを通過した燃料を
圧力制御弁に送り込んで、上記燃料ポンプから圧
送された燃料量から燃料噴射弁で噴射された燃料
量を差し引いた量の燃料を燃料返送用の配管を介
して燃料タンク側に送り返すことでデリバリパイ
プにて燃料噴射弁に供給する燃料の圧力を所定状
態に維持されるよう制御している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記構成の燃料噴射装置において、燃料ポンプ
にて圧送され、デリバリパイプを介して圧力制御
弁に到達した燃料は、燃料噴射弁の断続作動に応
じて断続的に大きく変化する。特に燃料噴射弁が
複数個備えられ、全ての燃料噴射弁が所定タイミ
ングで同時に噴射する方式のものにおいては、さ
らに大きく変化する。そして、圧力制御弁より送
り返される燃料の流量は燃料噴射弁の断続作動に
応じて大きく変化し、特にアイドル時には燃料返
送用の配管内にて大きな脈動を発生するようにな
り、この脈動が車両のボデイに振動として伝わ
り、異音を発生することがあり、運転者に不快感
を与えるという問題点があつた。

第３図に示すグラフは、本考案者がアイドル時
における燃料返送用の配管内での圧力変化（脈
動、を測定した実験結果の一例を示すもので、脈
動幅は0.8Kg／cm²程度変化することがわかる。

従来、燃料ポンプと圧力制御弁との間、つまり
高圧側の系路に設けられ、主に燃料ポンプから圧
送される燃料の脈動を減衰するための装置が実開
昭49−90723号公報に示されているが、該公報に
示される構成では、つまり高圧側系路に設けた場
合には圧力制御弁から燃料タンクへの燃料返送用
の配管内の脈動は抑制できないものであつた。

従つて、本考案の目的とするところは、燃料噴
射弁作動に応じて発生する燃料返送用の配管内で
の脈動を抑制することにより、異音の発生を防止
した構成を有する燃料噴射装置を提供することに
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するために本考案において
は、燃料タンク中の燃料を圧送する燃料ポンプ
と、この燃料ポンプより圧送された燃料を内燃機
関に供給する装置と、内燃機関に供給される燃料
の圧力を制御する圧力制御弁と、この圧力制御弁
から燃料タンクへの燃料返送用の配管の途中に配
設されるダンパとにより構成され、前記ダンパ
は、そのハウジング内部がダイアフラムにより空
気室と燃料室とに区別され、前記空気室にはスプ
リングが配設されるとともに、前記燃料室のハウ
ジングには前記圧力制御弁から送り返される燃料
を燃料タンクに送り返すための配管が接続される
導出パイプが配設されていることを特徴とする燃
料噴射装置としている。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は本考案の実施例構成を示すもので、１
は燃料タンクであり、２は燃料タンク１内の燃料
を汲み上げ、圧送する燃料ポンプ、３は燃料ポン
プ２により圧送された燃料中のゴミを捕獲するフ
イルタである。４はフイルタ３を介して圧送され
た燃料が導入されるデリバリパイプであり、５は
デリバリパイプ４に接続され、デリバリパイプ４
に導入された燃料が供給される燃料噴射弁、６は
デリバリパイプ４を通過した燃料が送り込まれ、
デリバリパイプ内の燃料の圧力、つまり燃料噴射
弁５に供給される燃料の圧力を所定状態に維持す
る圧力制御弁、７は圧力制御弁６にて余分な燃料
として燃料タンク１に送り返される燃料が通る燃
料返送用の配管８の途中に設けられ、この配管８
内の燃料の脈動を抑制するダンパである。

上記ダンパ７の構成を第２図に示す。

７０１，７０２はダンパ７のハウジングであ
り、このハウジング７０１，７０２の内部はダイ
アフラム７０３により、燃料室７０４、空気室７
０５とに区別けされている。なおダイアフラム７
０３の端部はハウジング７０１，７０２にめ保
持されている。空気室７０５は空気が封入された
密封空間であつて、空気室７０５内にはスプリン
グ７０６が設けられている。ダイアフラム７０３
は空気室７０５側にスプリング７０６の受け皿７
０７を、燃料室７０４側にボス７０８を有してお
り、受け皿７０７をボス７０８とはめなどによ
りダイアフラム７０３を挟持するように一体に設
けられている。燃料室７０４内にはダイアフラム
７０３の最下降位置を規則するストツパ７０９が
設けられており、このストツパ７０９の図中上部
平面とボス７０８の下部平面と当接する。またこ
のストツパ７０９はハウジング７０２に固定され
ている。ハウジング７０２には圧力制御弁６から
の燃料を燃料室７０４内に導く配管８が接続され
る導入パイプ７１０、および燃料室７０４内の燃
料を燃料タンク７１に送り返すための配管８が接
続される導出パイプ７１１が溶接固定されててい
る。

上記構成の作動を以下に示す。

燃料ポンプ２によつて燃料タンク１から汲み上
げられた燃料はフイルタ３を介してデリバリパイ
プ４に圧送される。このデリバリパイプ４に圧送
された燃料は各燃料噴射弁５に供給される。燃料
噴射弁５は図示しない駆動装置の指令に応じて供
給された燃料を所定タイミングで断続的に噴射
し、図示しない内燃機関に供給する。

また、デリバリパイプ４に圧送された燃料から
燃料噴射弁５から内燃機関に供給された燃料を差
し引いた燃料はデリバリパイプ４を通過して圧力
制御弁６に送り込まれる。この圧力制御弁６にお
いては、その内部に設けられたスプリングによつ
て所定荷重にセツトされたダイアフラムに設けら
れた弁体が燃料返送用の配管８に通ずる通路を、
送り込まれた燃料の圧力が所定荷重を上まわつた
時に開き、その開き度合を変えて、燃料を配管８
に送つている。

このように圧力制御弁６内でその内部に送り込
まれた燃料を上記のごとく配管８に送ることで、
デリバリパイプ４内の燃料の圧力、すなわち燃料
噴射弁５に供給される燃料の圧力が所定状態に設
定されるようになる。

ここで、燃料噴射弁５の作動が断続的なもので
あつて、圧力制御弁６でデリバリパイプ４内の燃
料圧力を所定状態に設定するために、圧力制御弁
６から配管８に送り出される燃料の流量は燃料噴
射弁５の断続作動に応じて変化し、燃料は脈動し
た流れとなつている。

しかしながら、本実施例構成においては、この
燃料返送用の配管８の途中にダンパ７が配設され
ており、導入パイプ７１０から燃料室７０４に流
入した脈動燃料の流量の変化は燃料室７０４の容
積変化、つまりダイアフラム７０３の変動するこ
とで吸収され、配管８内の燃料の脈動（圧力変
化）は抑制される。詳しくは、燃料噴射弁５が噴
射していない状態に対応して、圧力制御弁６から
配管８に送り返される燃料の流量が多い状態で
は、導入パイプ７１０より燃料室７０４に流入す
る多量の燃料に対応してダイアフラム７０３が空
気室７０５内のスプリング７０６に抗して第２図
において上昇燃料室７０４内の容積を大きくし、
燃料の圧力を吸収するように機能する。また燃料
噴射弁５が燃料を噴射する状態となつて圧力制御
弁６から配管８に送り返される燃料の流量が減少
していくと、導入パイプ７１０より燃料室７０４
に流入する燃料の流量も減少し、ダイアフラム７
０３がスプリング７０６の押圧力に応じて下降
し、燃料室７０４の容積を減少する。容積が減少
すると燃料の圧力が高められるようになる。そし
て燃料室７０４内の燃料は導出パイプ７１１から
流出し、配管８を介して燃料１に返される。

上記のようにダイアフラム７０３が変動して燃
料室７０４の容積が変化することで、燃料返送用
の配管８内の燃料の圧力の変動（脈動）は充分に
抑制され、特に導出パイプ７１１より流出する燃
料の圧力の変動（脈動）はほぼ一定に抑制され
る。

第４図に示すグラフは、本実施例構成で本考案
者がアイドル時における燃料返送用の配管８（導
出パイプ７１１の下流側）内での圧力変化（脈
動）を前述した従来構成による場合と同じ条件の
もとで、測定した実験結果の一例を示すもので、
脈動幅（圧力変化幅）はほぼ零に維持されている
ことがわかる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、燃料タ
ンク中の燃料を圧送する燃料ポンプと、この燃料
ポンプにより圧送された燃料を内燃機関に供給す
る装置と、内燃機関に供給される燃料の圧力を制
御する圧力制御弁と、この圧力制御弁から燃料タ
ンクへの燃料返送用の配管の途中に配設されるダ
ンパとにより構成され、ダンパはそのハウジング
内部がダイアフラムにより空気室と燃料室とに区
別され、空気室にはスプリングが配設されるとと
もに、燃料室のハウジングには圧力制御弁から送
り返される燃料を燃料タンクに送り返すための配
管が接続される導出パイプが配設されている燃料
噴射装置としたことから、燃料噴射弁等の燃料を
供給する装置の断面作動に伴い生じる圧力制御弁
から送り返される燃料の流量の変動、つまり燃料
返送用の配管中の燃料の圧力変動（脈動）は、ダ
イアフラムとスプリングとにより構成されるダン
パによつて有効に抑制され、このことから異音発
生を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の概略構成図、第２図
はダンパの構成を示す断面図、第３図は従来構成
による燃料返送用の配管内の燃料の圧力変化（脈
動）を測定した実験結果のグラフ、第４図は本考
案実施例構成による燃料返送用の配管内の燃料の
圧力変化（脈動）を測定した実験結果のグラフで
ある。 １……燃料タンク、２……燃料ポンプ、４……
デリバリパイプ、５……燃料噴射弁、６……圧力
制御弁、７……ダンパ、８……燃料返送用の配
管、７０１，７０２……ハウジング、７０３……
ダイアフラム、７０４……燃料室、７０５……空
気室、７０６……スプリング、７１０……導入パ
イプ、７１１……導出パイプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 燃料タンク中の燃料を圧送する燃料ポンプと、 この燃料ポンプより圧送された燃料を内燃機関
   に供給する装置と、 内燃機関に供給される燃料の圧力を制御する圧
   力制御弁と、 この圧力制御弁から燃料タンクへの燃料返送用
   の配管の途中に配設されるダンパとにより構成さ
   れ、 前記ダンパは、そのハウジング内部がダイアフ
   ラムにより空気室と燃料室とに区別され、前記空
   気室にはスプリングが配設されるとともに、前記
   燃料室のハウジングには前記圧力制御弁から送り
   返される燃料を燃料タンクに送り返すための配管
   が接続される導出パイプが配設されていることを
   特徴とする燃料噴射装置。