JPH0137131Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関におけるクランクケース内
のブローバイガスを、当該クランクケース内から
吸気マニホールド又はエアクリーナ等のブローバ
イガス処理部に抽出するための装置に関するもの
である。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする課題〕 内燃機関におけるクランクケース内のブローバ
イガスを、当該クランクケース内から吸気マニホ
ールド又はエアクリーナ等のブローバイガス処理
部に抽出することは、先行技術としての実開昭57
−3813号公報に記載されており、このものは、ク
ランクケース内からのブローバイガス抽出口を、
クランクケースにおける各内側面のうちクランク
軸における軸線と平行な長手内側面に隣接する箇
所に位置すると共に、前記クランクケースの下面
に取付くオイルパン内に、底部のオイル室と上部
の空間室とに区成するためのバツフル板を設ける
構成にしている。

しかし、この先行技術のように構成すると、内
燃機関が傾いた場合において、オイルパンにおけ
るオイル室内の潤滑油が、ブローバイガス抽出口
に向つて吹き上がることを、バツフル板によつて
防止できる利点を有する反面、クランク軸の回転
運動に伴つて発生するオイルミストは、クランク
ケースにおける各内側面のうちクランク軸におけ
る軸線と平行な長手内側面の内面に向つて飛散す
るもので、この長手内側面に隣接する箇所に、ク
ランクケースからのブローバイガス抽出口を設け
ることは、このブローバイガス抽出口内にクラン
ク軸からその回転によつて飛散するオイルミスト
が直接的に飛び込むことになるから、ブローバイ
ガスと一緒に消失する潤滑油量の増大と、排気ガ
スの悪化とを招来することになる。

このため、前記先行技術のものは、オイルパン
の内面に、クランク軸から飛散するオイルミスト
が、前記ブローバイガス抽出口に直接的に飛び込
むのを防止するために第２のバツフルプレートを
設けているから、部品の点数が多くなり、製造コ
ストがアツプするのであり、しかも、この第２の
バツフルプレートには、クランク軸におけるバラ
ンスウエイト又はクランクアームを通過するため
に、これらの幅寸法より広い内幅寸法の切り込み
溝を設けなければならず、この切り込み溝と、バ
ランスウエイト又はクランクアームとの隙間から
オイルミストが、ブローバイガス抽出口に向つて
飛散するので、ブローバイガス抽出口へのオイル
ミストの飛散防止の効果は低いのであつた。

また、ブローバイガス抽出口を、平面視におい
てクランクケースの隅部に設けることが一部にお
いて提案されているが、オイルパン内に設けたバ
ツフル板の各隅部と、オイルパン内における各隅
部との間には、例えば、実開昭59−47305号公報
等に記載されているように、オイルパン内へのバ
ツフル板の挿入を容易にするための目的で、可成
り大きい隙間が形成されていて、内燃機関が、車
両における片輪が石等に乗り上げることによつ
て、大きく傾いたときとか、或いは、車両の旋回
に際して、オイルパン内における油面が大きく傾
いたときにおいて、潤滑油が、前記ブローバイガ
ス抽出口の略真下に位置する前記隙間よりブロー
バイガス抽出口に向つて勢い良く吹き上がること
なるから、ブローバイガスに多量の潤滑油が同伴
するのである。

本考案は、これらの問題を解消することを目的
とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するために本考案は、シリンダ
ブロツクの下端に一体的に形成した平面矩形状の
クランクケースの内部に、ブローバイガスの抽出
口を開口する一方、このクランクケースの下面に
取付くオイルパン内に、底部のオイル室と上部の
空間室とに区成するためのバツフル板を、当該バ
ツフル板における各隅部と、前記オイルパン内に
おける各隅部との間に隙間を各々形成するように
挿入して成る内燃機関において、前記ブローバイ
ガスの抽出口を、平面視においてクランクケース
における隅部に位置する一方、前記オイルパン内
の各隅部とバツフル板の各隅部との間に形成した
各隙間のうち前記ブローバイガス抽出口の略真下
に位置する隙間を、他の隙間より縮小する構成に
した。

〔考案の作用・効果〕

クランク軸の回転運動に伴つて発生するオイル
ミストは、クランクケースにおける各内側面のう
ちクランク軸における軸線と平行な長手内側面の
内面に向つて飛散することにより、クランクケー
ス内における隅部の箇所には、クランク軸の回転
によるオイルミストが飛散することは殆どないか
ら、このクランクケース内の隅部に、クランクケ
ースからのブローバイガス抽出口を位置したこと
により、このブローバイガス抽出口に、クランク
軸から飛散するオイルミストが飛び込むことを、
前記先行技術のように第２のバツフルプレートを
使用することなく確実に防止でき、クランクケー
ス内のブローバイガスをこれに同伴するオイルミ
ストが最も少ない状態のもとで抽出することがで
きる。

しかし、その反面、オイルパンの内部に設けら
れるバツフル板における隅部と、オイルパン内に
おける各隅部との間には、例えば、実開昭59−
47305号公報等に記載されているように、オイル
パン内へのバツフル板の挿入を容易にするため
に、可成り大きい隙間を形成するものであるか
ら、クランクケースからのブローバイガス抽出口
を、前記のようにクランクケース内における隅部
に位置すると、当該ブローバイガス抽出口の略真
下には、前記オイルパンの隅部とバツフル板の隅
部との間に形成した大きい隙間が位置することに
なり、内燃機関が、車両における片輪が小石等に
乗り上げる等して傾くと略同時に、オイルパンの
オイル室における潤滑油が、前記ブローバイガス
抽出口の真下に位置する前記隙間よりブローバイ
ガス抽出口に向つて吹き上がり、その一部がブロ
ーバイガスと一緒に消失するのである。

これに対して本考案は、前記のように、オイル
パン内の各隅部とバツフル板の各隅部との間に形
成した各隙間のうちブローバイガス抽出口の略真
下に位置する隙間を、他の隙間より縮小する構成
にしたもので、これにより、内燃機関が、車両に
おける片輪が小石等に乗り上げる等して傾いたと
きには、オイルパンの底部のオイル室内における
潤滑油が、前記ブローバイガス抽出口に向つて吹
き上げるのを防止できるか、或いは、時間的に遅
らせることができるから、オイル室内における潤
滑油が、内燃機関の傾きによつて、ブローバイガ
スと一緒に消失することを確実に低減できる一
方、前記バツフル板の隅部と、オイルパン内にお
ける隅部との間の隙間を無くするものではないか
ら、オイルパン内へのバツフル板の挿入が容易に
できることを確保できるのである。

従つて本考案によると、ブローバイガスをクラ
ンクケースから抽出する場合に、当該ブローバイ
ガスに潤滑油が同伴することを、オイルパン内に
設けられているバツフル板を利用し、且つ、他の
部品を使用することなく、しかも、バツフル板の
オイルパン内への挿入の容易性を損なうことな
く、確実に低減することができる効果を有する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面について説明する
と、図において符号１は、上面にシリンダヘツド
２を締結して成るシリンダブロツクを示し、該シ
リンダブロツク１の下部には、平面矩形状のクラ
ンクケース３が一体的に形成されており、このク
ランクケース３の下面には、当該クランクケース
３を覆う同じく平面矩形状のオイルパン４が、シ
ール用のガスケツト５を挟んで複数本のボルト６
にて接合されている。

前記クランクケース３には、ブローバイガス抽
出口７を備えた気液分離室８が一体的に形成さ
れ、この気液分離室８は、前記シリンダブロツク
１内に一体的に形成したブローバイガス還元通路
９、及びこのブローバイガス還元通路９に接続し
たブローバイガス還元管路１０を介して、内燃機
関における吸気マニホールド（図示せず）又はエ
アクリーナ（図示せず）等のブローバイガス処理
部に接続されている。

また、前記オイルパン４内には、当該オイルパ
ン４内を底部のオイル室４ａと上部の空間室４ｂ
とに区成するためのバツフル板１１が設けられ、
該バツフル板１１における外周の各隅部と、オイ
ルパン４内における各隅部との間には、オイルパ
ン４内へのバツフル板１１の挿入を容易にするた
めの隙間１１ａ，１１ｂ，１１ｃ，１１ｄが各々
形成されており、オイルパン４におけるオイル室
４ａと空間室４ｂとは、この各隙間１１ａ，１１
ｂ，１１ｃ，１１ｄにより連通している。

そして、前記ブローバイガス抽出口７を、第２
図に示すように、平面視においてクランクケース
３における一つの隅部に位置する一方、前記オイ
ルパン４内の各隅部と、バツフル板１１における
各隅部との間における各隙間１１ａ，１１ｂ，１
１ｃ，１１ｄのうち、前記ブローバイガス抽出口
７の真下に位置する隙間１１ａを、他の隙間１１
ｂ，１１ｃ，１１ｄよりも狭い幅（例えば、１mm
程度）に縮小した構成にする。

なお、前記前記バツフル板１１は、その周囲の
一体的に造形した耳部１１ｅ，１１ｆ及び上向き
折曲げ片１１ｇをオイルパン４にスポツト熔接す
ることにより取付けられ、また、前記クランクケ
ース３の下面とオイルパン４との間に介挿したシ
ール用ガスケツト５には、前記ブローバイガス抽
出口７の真下に位置する連通孔１１ａの上方に向
かつて延びる内向き部５ａが一体的に設けられて
いる。

クランクケース３内のブローバイガスは、当該
クランクケース３内の隅部に位置するブローバイ
ガス抽出口７から抽出される一方、オイルパン４
におけるオイル室４ａ内のブローバイガスは、オ
イルパン４内における各隅部とバツフル板１１に
おける各隅部との間に形成した各隙間１１ａ，１
１ｂ，１１ｃ，１１ｄから空間室４ｂを経て前記
ブローバイガス抽出口７から抽出されるのであ
る。

この場合において、前記各隙間１１ａ，１１
ｂ，１１ｃ，１１ｄのうち前記ブローバイガス抽
出口７の真下に位置する隙間１１ａを、他の隙間
１１ｂ，１１ｃ，１１ｄより縮小したことによ
り、オイルパン４におけるオイル室４ａから前記
ブローバイガス抽出口７に向かうブローバイガス
は、前記他の広い隙間１１ｂ，１１ｃ，１１ｄを
通ることになる。しかも、内燃機関が、車両にお
ける片輪が小石等に乗り上げることにより傾いた
とき、オイル室４ａ内における潤滑油が、前記ブ
ローバイガス抽出口７に向つて吹き上がること
を、ブローバイガス抽出口７の真下における隙間
１１ａを縮小したことによつて、時間的に遅らせ
ることができるか、或いは、防止することができ
るのである。この場合、クランクケース３とオイ
ルパン４との間に介挿したシール用のガスケツト
５に、前記隙間１１ａの上方に向かつて延びる内
向き部５ａを一体的に設けておけば、一層効果的
である。

なお、オイルパン４内における各隅部と、バツ
フル板１１における各隅部との間に形成する各隙
間１１ａ，１１ｂ，１１ｃ，１１ｄのうち一つの
隙間１１ａは、縮小するだけで、無くするもので
はないから、オイルパン４内へのバツフル板１１
の挿入の容易性を損なうことはないのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は内燃機
関の一部切欠側面図、第２図は第１図の−視
断面図である。 １……シリンダブロツク、２……シリンダヘツ
ド、３……クランクケース、４……オイルパン、
４ａ……オイル室、４ｂ……空間室、５……ガス
ケツト、７……ブローバイガス抽出口、８……気
液分離室、９……ブローバイガス還元通路、１１
……バツフル板、１１ａ，１１ｂ，１１ｃ，１１
ｄ……隙間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクの下端に一体的に形成した平
   面矩形状のクランクケースの内部に、ブローバイ
   ガスの抽出口を開口する一方、このクランクケー
   スの下面に取付くオイルパン内に、底部のオイル
   室と上部の空間室とに区成するためのバツフル板
   を、当該バツフル板における各隅部と、前記オイ
   ルパン内における各隅部との間に隙間を各々形成
   するように挿入して成る内燃機関において、前記
   ブローバイガスの抽出口を、平面視においてクラ
   ンクケース内における隅部に位置する一方、前記
   オイルパン内の各隅部とバツフル板の各隅部との
   間に形成した各隅間のうち前記ブローバイガス抽
   出口の略真下に位置する隙間を、他の隙間より縮
   小したことを特徴とする内燃機関のブローバイガ
   ス抽出装置。