JPH0136822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、複数個積重ねた水稲用育苗箱を１
個ずつ送り出すようにした育苗箱自動送り装置に
関するものである。

育苗箱の下面四隅部には下向き短突起が設けら
れており、育苗箱を積重ねたとき、前記下向き短
突起が直下の育苗箱の内壁四隅部に係合して水平
方向への相対移動が阻止されるのは周知の技術で
ある。

従来は、育苗箱をコンベヤーに次々に載せて箱
内への土入れ、肥料撤布、種播き、洗浄等を順次
行う場合、育苗箱を１個ずつコンベヤーに載せる
作業を人手によつて行わねばならなかつたので、
作業者にかなりの労力の負担が掛かるほかに作業
能率が良好でないという欠点があつた。

この考案はこのような従来の作業の欠点を解消
し、手に持てるだけの空育苗箱を積重ねた状態で
一度にガイドレール上に容易に載せることができ
るようにしたものである。

図面に基いてこの考案の実施例を説明する。

１は支持枠で、両側のＬ型鋼よりなるガイドレ
ール２ａ，２ｂ及び横材３により構成され、支脚
４上に横設されている。５，５は長保持柱で、Ｌ
型鋼よりなり重積して載置された育苗箱Ａの一側
及びその前後端の各隅部A₁を保持するようにそ
れぞれ十分丈が高く且つ上に向つて若干末広がり
状にやや傾斜して下端を一側のガイドレール２ａ
にボルト締めするなどして立設されている。６，
６は短保持柱で、Ｌ型鋼よりなり他側のガイドレ
ール２ｂに長保持柱５，５に対応して下位２〜３
個の育苗箱Ａを保持する如く丈が低く育苗箱Ａの
他側及びその前後端の各隅部A₂を保持するよう
に前後にそれぞれ上に向つて若干末広がり状に立
設されている。また、両長短保持柱５，６の前側
下端部にそれぞれ最下位の育苗箱Ａのみ通過させ
る切欠７を設けている。

８ａは駆動側ホイールで、支持枠１の前端に横
架され駆動装置（図示省略）により回転される駆
動軸９ａに軸支されている。８ｂは従動側ホイー
ルで、支持枠１の後端に横架された従動軸９ｂに
軸支されている。１０，１０はエンドレスコンベ
ヤーで、前後のホイール８ａ，８ｂに張架されて
いる。

１１は双股状に持上片１１ａと押動片１１ｂと
を有する揺動部材で、基部を横架軸１２に取付
け、該横架軸１２は後部長短保持柱５，６の後側
においてガイドレール２ａ，２ｂに設けた支承片
１３，１３に支承されている。１４は送部材で、
Ｌ型鋼よりなりエンドレスコンベヤー１０，１０
に横架して固着されている。

運転に先立ち、まず支持枠１上に複数個の育苗
箱Ａを積重ねて載せる必要があるが、この場合人
が育苗箱Ａを抱えた状態で短保持柱６，６の側か
ら支持枠１内に、すなわち第２図において矢印Ｄ
方向に運び入れてガイドレール２ａ，２ｂ上に載
置する。この際、長保持柱５，５を目安にして育
苗箱を運び入れる。このようにして、多数個の育
苗箱Ａが支持枠１上に載置されたのち、エンドレ
スコンベヤー１０，１０を矢印Ｂの方向に駆動す
ると送部材１４が先ず第３図に図示の如く揺動部
材１１の押動片１１ｂに当接してこれを回動し、
揺動部材１１の持上片１１ａが下から２番目の育
苗箱Ａの後部の鍔部Ｃの下面に当接する。

更に、送部材１４が前進すると揺動部材１１が
更に回動して、第４図に図示の如く持上片１１ａ
が下から２番目の育苗箱Ａの後部鍔部を持上げて
後端の短突起１５を最下位の育苗箱から外すと共
に前方に若干傾斜させ、同時に送部材１４が最下
位の育苗箱Ａの後端に接触する。この際、前方
（図では左側）の保持柱５，６が前方に若干傾い
ているので、重積育苗箱の前方傾斜は円滑に行わ
れる。

この状態で最下位の育苗箱Ａは重積された育苗
箱Ａによる過大な静止摩擦力から解放されると共
に下から２段目の育苗箱の後端の短突起１５が外
れるので、第５図に図示の如く送部材１４の押圧
により最下位育苗箱Ａのみ容易に切欠７を通過し
て両保持柱５，６の前方に押し動かされる。最下
位の育苗箱Ａが押出される途中、上位の育苗箱Ａ
が揺動部材１１の係合から離脱して最下位の育苗
箱Ａの上に落下しても、最下段の育苗箱は下から
２段目の育苗箱の後端の短突起１５を通過した位
置にあり、且つ最下段の育苗箱とその直上の育苗
箱の間は動摩擦によるため抵抗力は大きくなく、
送部材１４の押圧力により容易に押し動かされ
る。勿論、下から２番目の育苗箱Ａは両保持柱
５，６により前進を阻止されて押圧されることは
ない。また、第６図に図示の如く送部材１４が最
下位の育苗箱Ａを殆ど押出したとき重積育苗箱Ａ
が後方に若干傾斜するが下から２番目の育苗箱Ａ
が後方の両保持柱５，６により止められて、ずれ
ることがない。この際、後方（図では右側）の保
持柱５，６が後方に若干傾いているので、重積育
苗箱の後方傾斜は円滑に行われる。また、下から
２番目以上の重積育苗箱の後方傾斜により下から
２段目の育苗箱の前端の短突起１５が最下位育苗
箱の後部内壁に対して傾斜した状態になるため、
最下位育苗箱の前方への移動と共に該最下位育苗
箱の後内壁が前記短突起１５を押上げて通過す
る。なお、エンドレスコンベヤー１０はチエーン
またはベルトのいずれでもよい。

上述した如くこの考案に係る育苗箱自動送り装
置は、左右両側に配置したガイドレール２ａ，２
ａに育苗箱Ａを重積し、下方に位置する育苗箱Ａ
をエンドレスコンベヤー１０により順次１つずつ
ガイドレール２ａ，２ｂに沿つて送り出す如く構
成した育苗箱自動送り装置において、一方のガイ
ドレール２ａに育苗箱Ａの一側の前後隅部A₁，
A₁を挟む２本の長保持柱５，５を上に向つて若
干末広がり状に設け、また他方のガイドレール２
ｂに育苗箱Ａの他側の前後隅部A₂，A₂を挟む２
本の短保持柱６，６を上に向つて若干末広がり状
に設け、且つ短保持柱は６，６は下位２〜３個の
育苗箱を保持する高さに設計し、また後部長短保
持柱５，６の後側に、双股状に持上片１１ａと押
動片１１ｂとを有する揺動部材１１を配置すると
共に、最下位育苗箱後壁に接触する如くエンドレ
スコンベヤー１０に固着した送部材１４が前記押
動片１１ｂに当接して揺動部材１１を回動した状
態において前記持上片１１ａが下から２段目の育
苗箱後部鍔部Ｃを持上げ、且つ送部材１４と共に
最下位育苗箱Ａが下から２段目の育苗箱後隅部短
突起１５直下を通過した状態において前記送部材
１４が前記押動片１１ｂから外れる如く前記揺動
部材１１を構成し、而も前部長短保持柱５，６の
下端部に最下位育苗箱Ａのみ通過可能な高さの切
欠７を設けたものである。

この考案によれば、重積された多数の育苗箱Ａ
を１個ずつ順次ベルトコンベヤー１０上に人手に
よらず自動的に送り出すことが出来るため、人の
労力を軽減し、作業能率の向上を図り得るもので
ある。

また、ガイドレールの一側に長保持柱５，５が
且つ他側に短保持柱６，６が設けられている。そ
して育苗箱Ａは短保持柱６，６側から積込むの
で、上方に突出した短保持柱の上端を容易に通過
させて積込むことが出来る。この場合長保持柱
５，５が水平方向移動位置の目安となり、矢印Ｄ
方向からの搬入が容易である。もし保持柱の高さ
が高いと、その保持柱が育苗箱積込みの邪魔にな
るが、本考案においては保持柱６の高さを低くし
てあるので積込みの邪魔にならない。

育苗箱Ａを下の方から１つずつ送り出す際、積
重ねた育苗箱が若干傾くが、育苗箱の四隅下面に
設けた下向き短突起がその直下の育苗箱の周壁の
内側に係合し、水平方向への相対移動が不可能に
なつており、また下部の育苗箱は４本の保持柱
５，５，６，６によつて囲まれ水平方向への移動
が阻止されているので重積状態の育苗箱が倒崩す
ることはない。

なお、長保持柱５及び短保持柱６は着脱可能に
構成し、ガイドレール２ａまたはガイドレール２
ｂの何れ側にでも短保持柱６を配置することが出
来るようにすれば一層便利である。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案に係る育苗箱自動送り装置の実
施例を説明するためのもので、第１図は全体の側
面図、第２図は第１図の平面図、第３図乃至第６
図は作動順序を示す要部の側面図である。 １……支持枠、２ａ，２ｂ……ガイドレール、
３……横材、４……支脚、５……長保持柱、６…
…短保持柱、７……切欠、８ａ……駆動側ホイー
ル、８ｂ……従動側ホイール、９ａ……駆動軸、
９ｂ……従動軸、１０……エンドレスコンベヤ
ー、１１……揺動部材、１１ａ……持上片、１１
ｂ……押動片、１２……横架軸、１３……支承
片、１４……送部材、１５……短突起、Ａ……育
苗箱、A₁，A₂……隅角部、Ｃ……鍔部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右両側に配置したガイドレール２ａ，２ｂに
   育苗箱Ａを重積し、下方に位置する育苗箱Ａをエ
   ンドレスコンベヤー１０により順次１つずつガイ
   ドレール２ａ，２ｂに沿つて送り出す如く構成し
   た育苗箱自動送り装置において、一方のガイドレ
   ール２ａに育苗箱Ａの一側の前後隅部A₁，A₁を
   挟む２本の長保持柱５，５を上に向つて若干末広
   がり状に設け、また他方のガイドレール２ｂに育
   苗箱Ａの他側の前後隅部A₂，A₂を狭む２本の短
   保持柱６，６を上に向つて若干末広がり状に設
   け、且つ短保持柱６，６は下位２〜３個の育苗箱
   を保持する高さに設計し、また後部長短保持柱
   ５，６の後側に、双股状に持上片１１ａと押動片
   １１ｂとを有する揺動部材１１を配置すると共
   に、最下位育苗箱後壁に接触する如くエンドレス
   コンベヤー１０に固着した送部材１４が前記押動
   片１１ｂに当接して揺動部材１１を回動した状態
   において前記持上片１１ａが下から２段目の育苗
   箱後部鍔部Ｃを持上げ、且つ送部材１４と共に最
   下位育苗箱Ａが下から２段目の育苗箱後隅部短突
   起１５直下を通過した状態において前記送部材１
   ４が前記押動片１１ｂから外れる如く前記揺動部
   材１１を構成し、而も前部長短保持柱５，６の下
   端部に最下位育苗箱Ａのみ通過可能な高さの切欠
   ７を設けたことを特徴とする育苗箱自動送り装
   置。