JPH0135192Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、串杆に捲着された竹輪材料を連続的
に焼成して竹輪製品を製造する焼成装置に関する
ものである。

（従来の技術及びその間題点） 竹輪の連続的製造に於いては、竹輪材料を成形
機にて串杆周面上に所定厚さに捲着し、これを連
続的に移送する間に、低温加熱による坐り処理、
高温焼成、及び放冷の各処理が行われるが、前記
放冷処理は焼成済みの竹輪材料を単に室温まで冷
却出来れば良いのではなく、焼成された竹輪材料
の艶や弾力を失わせることなく冷却出来なければ
ならない。このため前記放冷処理には低温室内を
通す強制冷却方法やブロアからの吐出空気を高温
の焼成済み竹輪材料に吹き付ける一般的な強制空
冷方法を採用することが出来ず、従来は高温の焼
成済み竹輪材料を単に室温雰囲気内で循環移送さ
せて自然放冷を待つ消極的冷却方法に頼つてい
た。従つて放冷処理のための循環移送経路長さが
非常に長くなり、装置全体の大型化につながる欠
点があつた。

（間題を解決するための手段） 本考案は上記のような従来の間題点を解決し得
る放冷処理が可能な竹輪の焼成装置を提案するも
のであつて、その特徴は、串杆に捲着された竹輪
材料を連続的に移送する間に、低温加熱による坐
り処理、高温焼成、及び放冷の各処理を行う竹輪
の焼成装置に於いて、前記放冷部に焼成済み竹輪
材料を移送するコンベヤを内蔵した強制空冷処理
室を設け、この強制空冷処理室は、多段に設けた
焼成済み竹輪材料の移送経路を内部に有する筒状
ケーシングと、該移送経路と同一の水平レベルに
あつて且つ該移送経路の略全長にわたつてケーシ
ングの一側壁に設けられた吸気口と、上記移送経
路を挟んで該吸気口に対向し該移送経路の略全長
にわたつてケーシングの他側壁に設けられた排気
口と、該排気口に取付けられた排気用ブロアと、
からなる点にある。

（考案の作用） このような放冷部を備えた本考案の焼成装置に
於いては、前記強制空冷処理室内に前記排気用ブ
ロアの作動により横断方向の空気流が生じる。し
かもこの空気流は排気ブロアの吸気によるもので
あるから所謂層流である。然して、坐り処理と高
温焼成処理とを施された焼成済み竹輪材料が前記
強制空冷処理室内をコンベヤによつて移送される
とき、前記層流状態の空気流と高温の竹輪材料と
が接触し、両者間で、熱交換が行われて竹輪材料
が冷却される。

この空冷効果は従来のように室温雰囲気内で竹
輪材料を単に循環移送させながら徐冷する場合と
比較して格段に大きく、前記強制空冷処理室内で
の移送時間が比較的短くとも十分に冷却すること
が出来る。しかもブロアから吐出する空気を高温
の竹輪材料に吹きつけて冷却する場合に懸念され
たような、竹輪製品表面の艶が悪くなつたり弾力
が低下するようなことも殆どないことが判明し
た。この理由は明確でないが、竹輪材料表面を流
れる空気流が層流であるか乱流であるかによつて
差異が生じているものと推測出来る。即ち、乱流
である場合は、竹輪材料の全表面に均一に空気流
を接触させることが因難となり、熱交換が活発に
行われる部位とそうでない部位とが生じ、この結
果竹輪材料に冷却むらが生じて前記のような間題
点につながるのではないかと考えられる。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を添付の例示図に基づ
いて説明する。

第１図に於いて、１は成形機であつて、第２図
に示すようにSUS21等の磁性金属材料から成る
串杆２の所定位置に竹輪材料３を所定厚さに捲着
させるものである。４はスクリユーコンベヤであ
つて、成形機１から送り出される竹輪材料セツト
済み串杆２を斜め上方に自転させながら搬送して
坐り処理部５に供給する。６はスクリユーコンベ
ヤ４の搬送経路途中に設けられた成形補助ブラシ
であつて、串杆２上に捲着された竹輪材料３の端
部はみ出し分を除去すると共に串杆２の露出表面
を掃除するものである。７は前記成形補助ブラシ
６よりも下手側でスクリユーコンベヤ４の搬送経
路途中に設けられた穿孔機であつて、串杆２に捲
着された竹輪材料３の巻きつけ厚さが一定以上あ
る場合に当該竹輪材料３に多数の微細孔を形成す
るものである。

坐り処理部５は、搬送方向が互いに逆向きの上
下２段のスクリユーコンベヤ８ａ，８ｂと、上段
スクリユーコンベヤ８ａの終端部から下段スクリ
ユーコンベヤ８ｂの始端部へ串杆２を移載する転
送用回転体９、及び各段スクリユーコンベヤ８
ａ，８ｂの上側に架設された遠赤外線パネルヒー
ター利用の加熱手段１０ａ，１０ｂから構成され
ている。１１は前記スクリユーコンベヤ４の終端
から送り出される串杆２を坐り処理部５に於ける
上段スクリユーコンベヤ８ａの始端部へ移載する
中継コンベヤである。

１２は坐り処理部５の下側に設けられた高温焼
成処理部であつて、串杆２を自転させながら搬送
スクリユーコンベヤ１３、高温焼成用ヒーター１
４、焼成開始前に串杆２上の竹輪材料３に油を塗
布する油付け機１５、焼成の途中で竹輪材料３に
多数の針を突き刺して空気抜きを行う穿孔機１
６、及び艶出しのために焼成された竹輪材料３に
空気を吹き付ける送風機１７等から構成され、坐
り処理部５に於ける下段スクリユーコンベヤ８ｂ
から送り出される串杆２は、転送用回転体１８に
よつて高温焼成処理部１２に於けるスクリユーコ
ンベヤ１３の始端部に移載される。

１９は焼成済みの竹輪材料３を冷却する放冷部
であつて、強制空冷処理室２０と自然放冷部２１
とにわたつて連続的に串杆２を搬送するチエンコ
ンベヤ２２が設けられている。２３は放冷部１９
から送り出される串杆２から焼成冷却された竹輪
材料３を分離するための串抜き機であり、抜かれ
た串杆２は串杆戻し用チエンコンベヤ２４によつ
て成形機１側に戻される。２５は成形機１側に戻
される途中の串杆２を掃除する串杆掃除機、２６
は串杆油付け機、２７は串杆収納箱である。

前記強制空冷処理室２０は、横長の角筒状ケー
シング２８内に前記チエンコンベヤ２２の水平Ｕ
ターン経路を配設し、第３図及び第４図に示すよ
うに前記ケーシング２８の一側壁（チエンコンベ
ヤ２２による串杆２の移送経路を左右から水平レ
ベルの位置で挟む両側壁の一方）に略全長にわた
つてガードネツト２９を張設した吸気口３０を形
成すると共に、ケーシング２８の他側壁には略全
長にわたつて排気口３１を形成し、当該排気口３
１の外側にはケーシング長さ方向に複数に分割さ
れた排気ダクト３２を付設すると共に、各排気ダ
クト３２の上向き口部３２ａに夫々駆動モーター
３３ａを具備する排気用ブロア３３を併設したも
のである。

尚、前記チエンコンベヤ２２は串杆２を後押し
するプツシヤー３４を一定間隔置きに備え、下側
往行経路部には串杆２を前記プツシヤー３４に係
合する高さに摺動可能に支持する串杆支持用ガイ
ドレール３５が架設され、上側復行経路部にはコ
ンベヤチエンを摺動可能に支持するチエン支持用
ガイドレール３６が架設されている。勿論、この
強制空冷処理室２０内での串杆２の移送には、ス
クリユーコンベヤと転送用回転体を使用すること
も出来る。この場合は串杆２、即ち竹輪材料３を
自転させながら移送することが出来るので、冷却
に好都合である。

３７はケーシング２８の底部に敷設した断熱材
であつて、下側の高温焼成処理部１２からの熱が
強制空冷処理室２０内に影響するのを防止する。

自然放冷部２１は従来周知の通り前記チエンコ
ンベヤ２２を上下ジグザグ経路を形成するように
張設して成るものである。

以上のように構成された焼成装置に於いては、
成形機１にて所定厚さに竹輪材料３が捲着された
串杆２（SUS21等の磁性金属材料製）が坐り処
理部５に搬入され、この坐り処理部５に於けるス
クリユーコンベヤ８ａ，８ｂによつて自転しなが
ら搬送される間に当該串杆２上の竹輪材料３が加
熱手段１０ａ，１０ｂから放射される遠赤外線に
よつて内部まで均一且つ適温に加熱され、良好な
弾力性、即ち「こし」が付与される。この坐り処
理を受けた竹輪材料３は高温焼成処理部１２に搬
入され、スクリユーコンベヤ１３により自転しな
がら搬送される間に油付け機１５による油付け、
高温焼成用ヒーター１４による高温焼成、穿孔機
１６による空気抜き、及び送風機１７による艶出
し等の各処理を受けた後、放冷部１９に搬入され
る。そしてチエンコンベヤ２２により強制空冷処
理室２０内の水平Ｕターン経路と自然放冷部２１
の上下ジグザグ経路を移送される間に冷却され、
最後に串抜き機２３により串杆２が抜き取られて
竹輪製品となる。

前記強制空冷処理室２０では、各排気用ブロア
３３が稼動されることにより、吸気口３０から外
気が吸引され、ケーシング２８内を横断して排気
口３１より排気ダクト３２を経由して外部に排出
される。従つてケーシング２８内には吸気口３０
から排気口３１に向かつて横断方向に流れる層流
状態の空気の流れが形成され、この空気流内を当
該空気流方向に対し直交する方向に串杆２上の焼
成済み竹輪材料３がチエンコンベヤ２２によつて
一定速度で移送されるので、高温の竹輪材料３の
周面と前記層流状態の空気の流れとが接触し、両
者間で熱交換が行われ、竹輪材料３が冷却される
ことになる。

（考案の効果） 以上のように実施し得る本考案の竹輪焼成装置
によれば、高温焼成後の竹輪材料を放冷部に於い
て冷却するとき、当該放冷部に設けた強制空冷処
理室内を移送させることにより、従来のように室
温雰囲気内で移送させている間に自然に徐冷させ
る場合と比較して焼成後の竹輪材料を所定温度ま
で冷却するのに必要な時間及び移送経路長さを大
幅に短縮し得るので、装置全体の小型化及び処理
能力の向上が期待出来る。

しかも本考案によれば、低温室を使用する場合
に比較して安価に製造することができるばかりで
なく、竹輪材料の表面に均一に空気流を接触させ
ることができるため冷却むらを生じることない。
これがためにブロアで空気を竹輪材料に直接吹き
つけて強制冷却する方法に比較して、冷却により
竹輪製品表面の艶を悪くしたり弾力を低下させる
ような恐れがなく、艶と適度な「こし」のある高
品質の竹輪製品を製造することが出来る。

特に本考案によれば、多段に設けた焼成済み竹
輪材料移送経路を内部に有する筒状ケーシングに
対し、該移送経路と同一の水平レベルにあつて且
つ該移送経路を挟んでその略全長にわたつて互に
対向する吸・排気口を設けてなるため、吸気口よ
りケーシング内部に吸引された外気は、障害物に
当たつて乱流を生起することなく直接にその空気
流が竹輪材料に均一に且つ効率的に触れ、むらの
ない高品質の竹輪製品に仕上げることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は焼成装置全体の概略側面図、第２図は
竹輪材料が捲着された串杆の斜視図、第３図は強
制空冷処理室の縦断正面図、第４図は同縦断側面
図である。 １……成形機、２……串杆、３……竹輪材料、
５……坐り処理部、１０ａ，１０ｂ……坐り処理
用加熱手段、１２……高温焼成処理部、１４……
高温焼成用ヒーター、１９……放冷部、２０……
強制空冷処理室、２１……自然放冷部、２８……
ケーシング、２９……ガードネツト、３０……吸
気口、３１……排気口、３２……排気ダクト、３
３……排気用ブロア。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 串杆に捲着された竹輪材料を連続的に移送する
   間に、低温加熱による坐り処理、高温焼成、及び
   放冷の各処理を行う竹輪の焼成装置であつて、前
   記放冷部に焼成済み竹輪材料を移送するコンベヤ
   を内蔵した強制空冷処理室を設け、この強制空冷
   処理室は、多段に設けた焼成済み竹輪材料移送経
   路を内部に有する筒状ケーシングと、該移送経路
   と同一の水平レベルにあつて且つ該移送経路の略
   全長にわたつてケーシングの一側壁に設けられた
   吸気口と、上記移送経路を挟んで該吸気口に対向
   し該移送経路の略全長にわたつてケーシングの他
   側壁に設けられた排気口と、該排気口に取付けら
   れた排気用ブロアと、からなることを特徴とする
   竹輪の焼成装置。