JPH0133125B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、開閉爪でマツト苗を掻取分割し、こ
れをフオークで押出して植付する型式の田植機に
おいて、特に根張り不良苗等の苗条件の悪いもの
に対しても、欠株を生じさせることなく直立姿勢
で整然と植付けることができる田植機における植
付装置に関するものである。

一般に、この種田植機によつて植付けられるマ
ツト苗には、稚苗、中苗、徒長苗等種々あり、特
に根張り不良苗等の苗条件の悪いものに対して
は、植付爪の挟持性が低いため、苗を田面に植付
けたときに苗姿勢を乱したり、バラケ、すつぽ抜
けにより欠株を生ぜしめたり、あるいは苗葉茎に
損傷を与えたりして、直立姿勢で整然と植付ける
ことができない欠点があつた。

本発明は上記の如き実情にかんがみ、それらの
欠点を一掃すべく創案されたものであつて、その
目的とするところは、上下循環動する植付杆の先
端部に、マツト苗の掻取り開始から掻取り終了近
くに至る間は開状態を保持し、掻取り終了付近で
掻取り苗の苗床を圧縮保持すべく閉作動する植付
爪を設けると共に、上記植付爪の近傍に苗床上部
を保持するフオークを爪身方向に進退自在に設
け、閉状態を保持した植付爪の植付位置付近で上
記フオークを突出作動せしめ、該フオークが田面
中に掻取り苗の苗床を押出し作動保持している状
態のフオークの突出作動過程の終了近くで植付爪
を開作動せしめるように構成することにより、根
張り不良苗等の苗条件の悪いものに対しても開状
態の植付爪で確実に挟持して掻取分割することが
できると共に、掻取分割される単位植付苗の苗土
を、掻取り終了付近で閉状態となる植付爪の対向
挟持面で圧縮して締め固めたまま、下動し、植付
位置付近で突出作動するフオークの押出し作用終
了近くで植付爪を開状態にして苗離れを良くし、
苗姿勢を乱すことなく直立状態で整然と植付ける
ことができる田植機における植付装置を提供しよ
うとするものである。

本発明の構成を図面に示された一実施例につい
て説明する。１は植付杆であつて、この植付杆１
の中間部は、横軸２軸芯周りに回転駆動されるク
ランクアーム３の先端に固着された支軸４に枢支
連結されると共に、植付杆１の基端部は、機体の
適所に横軸芯周りに揺動自在に枢支された揺動ア
ーム５の先端部に枢結されており、植付杆１は前
記クランクアーム３の回転に伴ない上下に循環作
動されるように構成されている。

６は上記植付杆１の先端部に設けられた固定
爪、７は可動爪であつて、これら固定爪６と可動
爪７とは植付杆１先端部杆身方向に爪身方向を沿
わせて並設されており、両者により開閉式の植付
爪８が構成されている。上記可動爪７は植付杆１
先端部内側に回動自在に設けられたボス９先端部
の取付部９ａに固着されており、ボス９の正逆の
回動により、固定爪６に対して略平行状を保持し
た状態で離接作動（開閉作動）するようになつて
いる。

すなわち、１０はボス９の上端部に固着された
アームであつて、このアーム１０は、その中間部
が爪身方向の軸１１によつて枢支されたリンク１
２の先端部に係合されており、また、このリンク
１２の基端部は前記支軸４に設けられた円盤状の
カム１３に係合されており、可動爪７はクランク
アーム３の回転に伴う支軸４の回転によつて、植
付杆１の循環上下動の所定位置において開閉作動
するようになつている。１４はリンク１２をカム
１３の接当側に付勢するばね、１５はリンク１２
の先端部に接当する調節ネジであつて、この調節
ネジ１５の調節により、植付爪８の開状態におけ
る固定爪６と可動爪７との対向間隔を調節設定で
きるようになつている。

ここで、上記植付爪８の開閉作動と植付杆１の
上下循環動との関係を第３図について説明する。

前記円盤状のカム１３の作用面は同図Ａ及びＢ
に示すように、凸部イ〜ロ及び凹部ロ〜イとによ
つて構成されており、植付爪８はリンク１２基部
の上記凸部イ〜ロの係合により閉状態を保持し、
凹部ロ〜イの係合により開状態を保持するように
なつている。

一方、植付杆１の上下循環動に伴う植付爪８の
軸跡において、同図Ｃに示すように、植付爪８が
イの位置に至つたときに、前記リンク１２の基端
部がカム１３のイの位置に係合するようになつて
おり、植付爪８がロの位置に至つたときに、リン
ク１２はカム１３のロの位置に係合するようにな
つている。すなわち、植付爪８は、苗の掻取分割
時、苗床１６への係合開始から係合終了近くま
で、すなわち、マツト苗の掻取り開始から掻取終
了近くまでは開状態を保持し、係合終了付近、す
なわち、掻取り終了付近で閉作動して分割された
苗を圧縮挟持し、この閉状態を保持したまま植付
完了位置（下死点）付近に至り、この位置で再度
開作動するように構成されている。

１７は植付爪８の後側に設けられたフオーク
（苗押出子）であつて、このフオーク１７のフオ
ークロツド１７ａは前記ボス９内にメタル１８，
１８を介して植付爪８の爪身方向摺動自在に保持
されており、フオーク１７は植付杆１の上下循環
動の所定位置において進退作動するようになつて
いる。すなわち、フオークロツド１７ａの先端部
には、その中間部が横軸１９によつて枢支された
リンク２０の先端部が係合しており、このリンク
２０の基端部は前記支軸４に設けられたカム１３
に並設されたカム２１に接当しており、フオーク
１７はカム２１及びリンク２０を介して、クラン
クアーム３の回転に伴う支軸４の回転によつて、
植付爪８の循環上下動の所定位置で植付爪８の爪
み方向に進退作動するように構成されている。

２２はリンク２０をフオーク１７の突出側に付
勢するバネである。

上記フオーク１７の進退作動と植付爪８の上下
循環動との関係を第４図について説明する。カム
２１は真円部Ａ〜Ｂ、直線状下り傾斜部Ｂ〜Ｃお
よび曲線状上り傾斜部Ｃ〜Ａより構成されてお
り、フオーク１７は、リンク２０基端部のＡ〜Ｂ
の接当により植付爪８の爪身方向基端側に没入
し、Ｂ〜Ｃの接当により植付爪８の爪身方向先端
側に突出し、Ｃ〜Ａの接当により除々に没入復帰
するようになつている。一方、植付爪８の上下循
環動軌跡における上記カム２１のＡ〜Ｂ〜Ｃ〜Ａ
の対応位置は同図Ｂに同符号で示すようになつて
おり、従つて、フオーク１７は植付爪８の苗分割
開始前から植付位置（下死点）近くに至る間は植
付爪８の爪身方向基端側に没入しており、田面中
の植付位置付近において突出作動し、植付爪８に
挟持された苗を押出して田面中に植付ける。

そして植付終了直前に植付爪８が開作動し、植
付終了後、フオーク１７は除々に没入作動して復
帰するようになつている。

なお、２３は植付杆１先端部に設けた防泥水シ
ールである。

次に叙上の如く構成された本発明の作用につい
て説明する。クランクアーム３の回動にともな
い、植付杆１は上下循環動し、これにより植付爪
８は所定の軌跡を描いて上下動し、苗取出口に所
定ピツチで横送りされる苗床１６から単位植付株
あての苗を掻取分割し、機体走行に伴い順次田面
に植付けてゆくものである。いま、植付爪８は循
環軌跡の上死点位置にあるとすれば、このとき、
リンク１２の基端部はカム１３のロ〜イの位置に
係合しているから、植付爪８は開状態であり、ま
た、フオーク１７は没入状態にある。そして、植
付爪８は下動して苗床１６に係合して、マツト苗
から単位植付株あての苗を掻取るのであるが、こ
の植付爪８の苗床１６への係合終了付近、すなわ
ち、掻取り終了付近において、リンク１２はカム
１３のイの位置に係合するから、このリンク１２
はバネ１４の付勢力に抗して揺動し、これにより
可動爪７はアーム１０およびボス９を介して閉作
動するので、植付爪８の苗床への係合開始から終
了近くに至る間、すなわちマツト苗の掻取り開始
から掻取り終了近くに至る間の爪巾に対して、係
合終了付近即ち苗の掻取り終了付近での爪巾が狭
まり、これにより、掻取分割される苗の苗根部は
植付爪８の対向挟持面で圧縮され、締め固められ
て確実に挟持されるものである。また、この植付
爪８の苗床への係合終了近くにおいて、フオーク
１７は苗床の上面肩部に係合し、これを保持する
ものである。このように、分割される苗の苗根部
は、植付爪８の苗床への係合終了付近において、
植付爪８によつて確実に挟持されるから、苗土の
崩れや土付苗のすつぽ抜けを生じることなく、ま
た、苗姿勢を乱すことなく、分割されて安全確実
に植付位置に移送されるものである。

そして、植付爪８が田面中の植付位置近くに至
ると、まず、フオーク１７が植付爪８の爪身方向
に突出作動し始め、該フオーク１７が田面中に掻
取り苗の苗床を押出し作動保持している状態のフ
オーク１７の突出作動過程の終了近くにおいて植
付爪８は開作動し、フオーク１７により植付爪８
に挟持された苗を田面中に向つて押出して苗の植
付けが完了するものである。

このように、植付爪８は苗土がフオーク１７に
よつて押出されて離れるタイミングに合せて開作
動するので、苗は植付爪８からの苗離れが良く、
植付爪８の開作動に影響されず、確実に無理なく
田面中に押出されるものである。

したがつて、苗姿勢を乱すことなく確実に植付
けられ、植付後植付爪８が再び上動する際、苗を
持ち帰ることがないので欠株が生ずる惧れが全く
ない。また、植付爪８は苗の掻取分割終了付近か
ら植付に至る間、その爪巾を狭めて苗を対向挟持
面で圧縮して確実に挟持しており、苗土が締め固
められた状態のまま突出するフオーク１７によつ
て苗を押し出すので、苗を田面に倒伏せしめた
り、欠株を生ぜしめたりすることなく直立姿勢に
整然と植付けることができるものである。

なお、苗の植付後、植付爪８は開状態を保持し
たまま、また、フオーク１７は植付杆１の上昇に
伴ない除々に没入しながら上動し、前記の作用を
繰り返すものであるが、植付杆１の上昇行程で植
付爪８が植付苗に接触するようなことがあつて
も、植付爪８は開状態となつているので、植付苗
の葉部を傷める惧れは全くない。

上述したように、植付爪８は苗床への係合終了
付近において開状態から閉作動して苗床を対向挟
持面で圧縮し、この状態を保持して田面に移送す
るものであるから、植付爪８による苗挟持性がき
わめて良好となり、ついで、挟持された苗を苗土
が締め固められた状態のまま突出作動するフオー
ク１７によつて押し出すので、根張り不良苗等条
件の悪いものにあつても、常に確実に分割挟持し
て苗姿勢を乱すことなく確実に植付けを行うこと
ができるものである。

なお、上記実施例において、植付爪８は板状の
ものが図示されているが、これに限定されるもの
でなく、針状の爪によつて本発明の植付爪を構成
し得ることは勿論である。

これを要するに、本発明は、上下循環動する植
付杆の先端部に、マツト苗の掻取り終了近くに至
る間は開状態を保持し、掻取り終了付近で掻取り
苗の苗床を圧縮保持すべく閉作動する植付爪を設
けると共に、上記植付爪の近傍に苗床上部を保持
するフオークを爪身方向に進退自在に設け、閉状
態を保持した植付爪の植付位置付近で上記フオー
クを突出作動せしめ、該フオークが田面中に掻取
り苗の苗床を押出し作動保持している状態のフオ
ークの突出作動過程の終了近くで植付爪を開作動
せしめるように構成したものであるから、次のよ
うな格別顕著な効果を奏する。

植付爪でマツト苗から単位植付株あての苗を
掻取分割して田面に植付けるにあたり、開状態
の植付爪で掻取りを開始し、掻取り終了付近で
掻取り苗の苗床を圧縮保持すべく植付爪を閉作
動せしめて、分割される苗の苗根部を植付爪の
対向挟持面で圧縮して苗土を締め固めるので、
掻取り終了後に掻取り苗の保持を強固にして後
続苗とのつながりを確実に断ちきると共に、苗
の分割から植付完了直前迄の間、植付爪によつ
て苗を確実に挟持することとなり苗の掻取り分
割、搬送が安全確実にできる。

しかも植付位置付近でフオークが突出して、
苗土が締め固められた状態のまま、苗を田面中
に押し出し、かつフオークが掻取り苗の苗床を
押出し作動保持している状態のフオークの押し
出し作用終了近くで植付爪が開作動するため、
苗はフオークにより田面中に押し出し作用を受
けている状態で保持されているため、植付爪か
らの苗離れが良く、その結果苗は植付爪の開作
動に影響されず、無理なく確実に苗姿勢を乱す
ことなく田面中に押し出されて植付けられる。
したがつて、根張り不良苗等の苗条件の悪いも
のに対しても、苗を倒伏させたり、苗のすつぽ
抜け等を生じさせることがなく、適正な直立姿
勢に整然と植付けることができ、欠株の生ずる
惧れは全くない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る田植機における植付装置の
一実施例を示すものであつて、第１図は植付装置
の縦断側面図、第２図は要部の平面図であつて、
Ａは植付爪の開状態を示し、Ｂは植付爪の閉状態
を示すもの、第３図は植付爪を開閉作動せしめる
カムと植付爪の開閉のタイミングを示す説明図、
第４図はフオークのカムとフオークの出退のタイ
ミングを示す説明図、第５図植付爪の開閉状態を
示すものであつて、Ａは正面図、Ｂ，Ｃは平面
図、第６図Ａ，Ｂはフオークの作用説明図であ
る。 図中、１は植付杆、３はクランクアーム、５は
揺動アーム、６は固定爪、７は可動爪、８は植付
爪、９はボス、１０はアーム、１２はリンク、１
３はカム、１５は調節ネジ、１６は苗床、１７は
フオーク、１７ａはフオークロツド、２０はリン
ク、２１はカムである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上下循環動する植付杆の先端部に、マツト苗
   の掻取り終了近くに至る間は開状態を保持し、掻
   取り終了付近で掻取り苗の苗床を圧縮保持すべく
   閉作動する植付爪を設けると共に、上記植付爪の
   近傍に苗床上部を保持するフオークを爪身方向に
   進退自在に設け、閉状態を保持した植付爪の植付
   位置付近で上記フオークを突出作動せしめ、該フ
   オークが田面中に掻取り苗の苗床を押出し作動保
   持している状態のフオークの突出作動過程の終了
   近くで植付爪を開作動せしめるように構成したこ
   とを特徴とする田植機における植付装置。