JPH0131928B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、複数の流体を混合するためのスタテ
イツクミキサー、詳細には、ねじりバツフル板間
の接合部の強度を増強したスタテイツクミキサー
に関する。

（従来の技術） スタテイツクミキサーは、可動部品を有してい
ないため、複数の流体（粉体を含む）をライン中
で混合する必要がある化学工業、食品工業などの
分野で広く使用されている。従来のスタテイツク
ミキサーは、一般に流体の通過孔を成す管状ハウ
ジングと、該管状ハウジング内に該ハウジング内
を軸を含む面によつて二分するよう軸方向に順次
配され、管軸を中心として所定角度捩られた複数
のバツフル板とから成り、該バツフル板はその軸
方向端部が隣接のバツフル板端部と互いに交叉し
て配されて成る。

バツフル板は、従来種々の方法で、管状ハウジ
ング内に固定されるが、小径のハウジング中には
一般に交叉して当接するバツフル板端部間を溶接
して多数連接せしめ、管状ハウジング端に配され
た連接バツフル板端部の両端においてハウジング
管内壁に溶接その他の方法によつて固定すること
が、普通行われている。

（発明により解決すべき課題） 然しながら、このバツフル板接合方法において
は、管中央部の交叉端部が互いに突き合わせ溶接
により接合されているだけであり、高粘性又は流
量の大きな流体を混合する場合、ねじりバツフル
板は軸のまわりに回転トルクを受け溶接接合部に
は捩り応力が集中化し、接合部が破損するおそれ
があつた。即ち、バツフル板は通常隣接バツフル
板端部に対し、20〜160°、一般には直交して配さ
れており、且つ隣接バツフル板と同一又は反対向
きの捩りをもつて連接されており、所定角度をも
つてバツフル板間を接合することは、スタテイツ
クミキサーとしての機能上、重要である。

他方、多数連接されたバツフル板の中間バツフ
ル板をハウジング管内において安定固定すること
は、焼ばめ等の方法によつて可能であるが、この
方法ではハウジング管とバツフル板との加工寸法
精度を確保する必要がありその確保は容易ではな
く且つ焼ばめ工程自体が簡単でなく加熱を必要と
する等の問題があつた。

従つて、本発明の目的は、複数の流体を混合す
るための改良されたスタテイツクミキサーを提供
することにあり、さらに、詳細には、粘性が高く
且つ流量の大きな複数の流体を混合するのに適し
た強度の大きなスタテイツクミキサーを提供する
ことにある。

本発明の他の目的は、バツフル板相互の軸方向
位置を任意に設定可能な、かつ組立て、製作が容
易なスタテイツクミキサーを提供することにあ
る。

（発明による課題の解決手段） 即ち本発明のスタテイツクミキサーは、バツフ
ル板の軸方向端部の中心部に該バツフル板の板厚
と略同一の厚みをもつて軸方向に突出部を形成し
該突出部に軸方向凹溝を形成し隣接バツフル板を
該凹溝に嵌合して互いに接合することを特徴とす
る。

（作用及び好適な実施の態様） 以下本発明について詳述する。

第１〜第４図に示す本発明の一実施例たるスタ
テイツクミキサーは、流体が通過する孔を形成す
る内壁を有する管状ハウジングとねじり方向が交
互に異なるよう上記管状ハウジング内に連続させ
て配置した複数のバツフル板とから成り、ハウジ
ング軸のまわりで隣接のバツフル端部（端面）の
なす角度は20〜160°であり、一つのバツフル板の
端部の中央にこのバツフル板と同一厚みをもつて
軸方向に設けた突出部の凹溝に他方のバツフル板
を嵌合することにより、隣接バツフル板を互いに
接合する。

突出部は、好ましくはバツフル板の軸方向に対
向する両端部に対向して形成するが、バツフル板
の一方の端部にのみ形成することも許容される。

両端部に形成した突出部の場合、上記実施例の
通り、凹溝と凹溝とが嵌合する形になり、一端部
にのみ形成された突出部の場合には、隣接バツフ
ル板の端部が直接嵌合される。

またこの突出部は、通常のバツフル板軸方向端
部即ち直線状ないし略直線状にハウジング管内に
軸と直交して延在する端部（端面）から軸方向に
突出して形成されるが、また第１〜第４図に示す
ように該突出部は、バツフル板端部を軸方向外方
にテーパ状に突出させ、このテーパ付突出部にそ
の先端から切込んで凹溝を形成することができ
る。この場合、端部に直接形成するより長い凹溝
とすることができる外、この突出部凹溝形成によ
り、隣接するバツフル板端部の軸方向位置を任意
に設定することが可能となる。例えば、突出部切
込、すなわち凹溝をその先端から適宜突出部の途
中までとすることにより、バツフル板端部は隣接
バツフル板との間に所定間隔をもつて接合され、
バツフル板間の軸方向の離間距離を目的に応じ増
減することができるという利点も生ずる。

いずれの場合にも、さらに付加的に、嵌合した
凹溝の当接部を溶接することにより、強固な結合
がもたらされる。

（実施例） 以下、図面に従つて詳述する。

第１図において、スタテイツクミキサー１のハ
ウジング２は、細長い管状体であり、通過する流
体の圧力に耐えられる充分な強度を有する。ハウ
ジング２内には右ねじりバツフル板３ａと左ねじ
りバツフル板３ｂが交互に配置されている。図に
は、一対のバツフル板３しか図示していないが、
実際には必要な混合が得られるよう所望の数のバ
ツフル板３が連続して配置される。

１つのバツフル板３は両端面が軸まわりで同一
角度をなすよう左右に180゜ねじつてあるが、その
他周知の如く、60〜210度の捩り角度のバツフル
板を必要に応じて用いることができる。バツフル
板３の両端部４は、ハウジング２の内径と同じ長
さを有し、ハウジング２の軸５に対して直交し
て、ハウジング２内を直線状に横断する。

これら端部４の双方には、その中心部、すなわ
ち嵌合部近傍に軸方向に突出する突出部７が端部
４と一体に設けられており、この突出部７，７′
は、バツフル板３の板厚と同一の厚みを有し先端
に向かつてテーパがつけられこれら突出部には、
第３図に示すようにバツフル板の厚みに略等しい
幅を有する切込みすなわち凹溝６が設けられてお
り、隣接するバツフル板３の対応凹溝６が嵌合さ
れるようになつている。

凹溝６の軸方向の長さは、端面直線部４，４′
の延長位置まで達しているので第１図の如く２個
のバツフルを接続するよう突出部凹溝６を嵌合さ
せた場合、隣接するバツフル板３の端面４は、軸
方向同位置に配される。

また、突出部７は、バツフル板の板厚と同一厚
に形成され、なおかつテーパ状に形成されている
ので突出部端面に作用する流体の抵抗は増大する
ことはなく、かつ管路面積も減少することはな
い。従つて、管路抵抗の小さい詰まりの起きにく
いスタテイツクミキサーが実現できる。

こうして、隣接するバツフル板３は、嵌合され
た後に必要に応じ突合せ溶接又はスミ肉溶接等を
することにより接合される。この溶接を確実にす
るため凹溝６とバツフル面との縁部を削り取り、
嵌合時に開先が形成されるようにすることが好ま
しい。

隣接する接合端部４は通常第１図および第３図
に示すように互いに90゜の角度をなすが、凹溝６
の切込部側面とバツフル板３の面との交叉角を変
えることによつて20〜160゜の角度をなすようにす
ることができる。

凹溝６の長さと突出部７の軸方向長さの組み合
せにより、バツフル板端部の軸方向位置は、互い
に離すこともまた互いに同一位置配置とすること
も必要に応じてできる。第２図〜第４図に示す実
施例では隣接するバツフル端面４の双方にテーパ
付突出部７を設けているが、双方でなくてもいず
れか一方のみにテーパ付突出部７を設けることも
可能である。

バツフル板端部の軸方向位置において重複配置
とすることは有効軸長のロス及び流路抵抗の増大
等が生じ実用上好ましくなく、更に高粘性流体に
対しては流路の狭窄によるつまり等も発生しやす
くなる。バツフル板端部間間隔を互いに離すこと
については特公昭52−17264のような考え方に基
づく装置として有用である。同公報は、各板状部
材の隣接端の間に流体のレイノルズ数に応じた間
隔を設けることにより、必要な流速を得るための
圧力低下が少なくなり、従つてポンプ圧力も低く
なりミキサー部材の数も少なくできるとしてい
る。

従つて、上記突出部接続方式は、離間距離が極
端に長いものを除けば、所要ポンプ圧力が低くな
りミキサー部材の数も少なくなり経費節減が果た
せると共に、ハウジング用パイプの中にエレメン
トをセツトすることが容易となる（エレメントを
互いに離してセツトするとき、エレメント相互の
位置決め（例えば交叉角度等）の困難さがある）。
またエレメントによる混合作用の直後に滞留時間
を必要とする場合、この空間部を設定するのにこ
の接続方法によるものが応用できる。

なお凹溝の形状は、バツフル板端部間の交叉角
度、端部の肉厚、バツフル板の捩じり角度と軸方
向長さとの比（捩じりの程度）等に応じて図示の
態様から適宜嵌合の便宜を考慮して変更されう
る。また溶接を施すために開先きを設けること
は、当然本発明に属する。

（実施例の作用） 第１図〜第４図に示す実施例は以上の通りであ
り、ハウジング２の一端に導入された複数の流体
は、まず最初のバツフル板３によつて分割された
後バツフル板３によつてらせん運動及び管断面内
において回転運動をしながら次のバツフル板３の
端部に到達する。次のバツフル板３で更に分割さ
れた後、バツフル板３により逆方向にらせん運動
しながら軸方向へ移動する。流体は、上述のバツ
フル板３による分割およびらせんないし回転運動
によつて混合作用を受ける。

（発明の効果） 本発明の構成は、以上の通りであり、バツフル
板３に設けた軸方向突出部に凹溝６を形成するた
めバツフル板相互の軸方向位置に影響を与えるこ
となく上記凹溝を長くすることができ、この凹溝
６に隣接するバツフル板の端部を嵌合したためね
じり応力の集中化が防止され、強度の高い連続し
たバツフル板構造体が得られ、さらに付加的に接
合部を溶接することにより、より大きな溶接面を
得ることができ一層強固な接合が得られる。

また、本構成により、バツフル板相互の軸方向
位置を任意に設定することが可能となる。すなわ
ち、隣接両バツフル板は、軸方向に互いに同一位
置、あるいは離間して配されることが可能とな
る。その結果、凹溝嵌合による軸方向長さの縮小
（重複配置）の阻止（同一位置配置）、更には空間
部の設定（離間配置）等、必要に応じたスタテイ
ツクミキサーの対応性を増大させることができ
る。

更に、本突出部接合構成により、管路抵抗の小
さいつまりの起きにくいスタテイツクミキサーが
実現できる。さらに、このような凹溝によるバツ
フル板間の接合により、組立時におけるバツフル
板間の角度位置決めは容易となり、組立の工数を
節減できる。

なお、材質は金属の他、プラスチツク、セラミ
ツク、複合材料、ガラス等とすることができ、金
属以外の場合、接合は溶接に代わり接着、溶着等
その他材質に適した他の方法によることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るスタテイツクミキサー
の正面図、第２図は第１図の矢視Ｃ−Ｃ線に沿う
断面図、第３図は突出部を示す拡大斜視図、第４
図は双方の凹溝に端部を嵌合した状態を示す拡大
斜視図、第５図は第１図の矢視Ａ−Ａ線に沿つた
断面図、第６図は第１図の矢視Ｂ−Ｂ線に沿つた
断面図、を夫々示す。 ２……管状ハウジング、３ａ……右ねじりバツ
フル板、３ｂ……左ねじりバツフル板、６……凹
溝、７……突出部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流体の通過孔を成す管状ハウジングと、該管
   状ハウジング内に軸方向に順次配され管軸を中心
   として所定角度捩られた複数のバツフル板とから
   成り、該バツフル板はその軸方向端部が隣接のバ
   ツフル板端部と互いに交叉して配されたスタテイ
   ツクミキサーにおいて、前記バツフル板の軸方向
   端部の中心部に該バツフル板の板厚と略同一の厚
   みをもつて軸方向に突出部を形成し該突出部に軸
   方向凹溝を形成し隣接バツフル板を該凹溝に嵌合
   して互いに接合することを特徴とするスタテイツ
   クミキサー。 ２ 前記突出部は、テーパ状に形成される特許請
   求の範囲第１項記載のスタテイツクミキサー。 ３ 前記突出部は、バツフル板の軸方向両端部に
   形成される特許請求の範囲第１項又は第２項記載
   のスタテイツクミキサー。 ４ 前記突出部凹溝嵌合の隣接両バツフル板端部
   は軸方向に関し互いに同一位置に配される特許請
   求の範囲第１項ないし第３項の一に記載のスタテ
   イツクミキサー。 ５ 前記突出部凹溝嵌合の隣接両バツフル板端部
   は軸方向に離間させた位置に配される特許請求の
   範囲第１項ないし第３項の一に記載のスタテイツ
   クミキサー。 ６ 前記突出部凹溝の隣接バツフル板を嵌合し且
   つ接合部を溶接して成る特許請求の範囲第１項な
   いし第５項の一に記載のスタテイツクミキサー。