JPH0131085Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、前脚枠と後脚枠を人字形に組合せ、
この両脚枠の高さの途中に座の両側縁部を支軸を
介して枢着し、使用時には前後両脚枠を人字形に
開脚するのと併せて座を水平状に保ち、着席可能
にする一方、不使用時には前後の脚枠を並行状に
揃えるのに併せて座を同じく並行状に揃えて偏平
に折りたゝめるようにした折りたゝみ椅子に関す
るもので、更に詳しくはこの折りたゝみ椅子を折
りたゝんだとき多数個の椅子を安定した状態で積
重ね格納できるよう改良した折りたゝみ椅子に関
するものである。

前脚枠と後脚枠を人字形に開脚することによつ
てこの両脚枠間に枢着支持する座を水平な着席可
能な状態に保持し、脚枠の閉じ合せに併わせて座
を両脚枠と並行状に折りたゝめるようにした椅子
は従来から広く知られている。

この折りたゝみ椅子の特徴は前後の開脚する脚
枠の閉じ合せと共に、座を両脚枠に対して並行状
にたゝめて全体が偏平状に折りたゝめることであ
り、これによつて多数の椅子を小さな空間に格納
でき、また手軽に運搬できることである。

しかし、従来提供されているこの種折りたゝみ
椅子は偏平に折りたゝめることから格納に便利で
ある反面、偏平であるがため、又脚枠が金属製パ
イプで滑り易いことも加わつて積重ねたとき簡単
に横ずれして崩れる欠点があり、運搬時はもとよ
り積重ね格納時には一定の格納枠内に収めておか
ないと積重ね状態を維持できない問題があつた。

本考案は、この様な点に鑑み上記従来の欠点を
解消するため考案されたもので、その主たる目的
は前脚枠に対し後脚枠を少なくとも枠素材の直径
分大形に形成すると共に、両脚枠を折りたゝんだ
とき後脚枠を前脚枠の後方に略枠素材の直径分ず
れた状態で並行するよう両脚枠を関係付けること
によつて、折りたゝんだ状態において後脚枠内に
同じく折りたゝんだ他の椅子の前脚枠を受け入れ
嵌め合せて相互の横ずれを阻止し、これによつて
安定した積重ね状態を得られるようにすると同時
に、この嵌め合せ関係によつて椅子同志の前脚枠
相互、後脚枠相互を各対面状に揃え、積重ね状態
では実質的に一つの椅子が脚枠幅分の厚みとなる
ようにした折りたゝみ椅子を提供することにあ
る。

以下、この考案を図示する実施例につき説明
し、その特徴を詳述する。

第１図は本考案に係る折りたゝみ椅子の開脚使
用状態を示す斜視図で、第２図は折りたゝみ途中
を示す側面図、第３図は折りたゝんだ不使用状態
を示す側面図であり、符号１は金属製パイプ材を
縦長のコ字形に屈曲して成形した前脚枠、２はこ
の前脚枠の上端面に渡したプラスチツク製の背
凭、３は前脚枠の高さの途中に枢着する連結部材
４，４を介して左右の上端部を各連結し、側方か
ら見て人字形に組付けたコ字形に成形してなる後
脚枠で、５はこれら前脚枠と後脚枠の高さの途中
に各枢着し組付けた座である。

前脚枠１は背凭２を左右の上端部間に渡すこと
によつて実質的に略矩形の枠体に組立てあり、左
右の脚部分１ａ，１ｂの高さの途中には内向きに
支軸６，６を突設し、これを座５の両側縁部の略
中央部に設ける軸受部に突き入れて回転自在に枢
支している。

後脚枠３は上記前脚枠１の左右外側面間の幅よ
り幾分幅広に形成し内側面間に前脚枠が入り込め
る大きさのコ字形にしてあり、左右の上端部は連
結部材４を介して前脚枠１に組付けてある。

ここにおける連結部材４は第８、９図に示した
如くロツド８を備えた枢着部７と、ロツド８を摺
動自在に嵌挿する摺動部９と、この両部材に両端
を嵌合させて上記ロツドの露出を阻む蛇腹状のカ
バー１０から構成してある。

上記枢着部７と摺動部９は合成樹脂を素材にし
て形成したもので、枢着部７はロツド８の偏平に
押潰した端部をインサートして一体に形成し、こ
の偏平な端部を支軸１１で前脚枠の脚部分に枢着
し、揺動自在に取付けてあり、他方の摺動部９は
中心部に沿つて縦の貫通孔１２を設け、これに上
記ロツド８を抜差方向に摺動自在に挿通して組合
せ、自からは後脚枠の両端部開口部に嵌合して固
着させてある。

一方、蛇腹状のカバー１０は両端の開口部を枢
着部７と摺動部９の各端部に臨ませ、素材の揉軟
性を利用して段の部分まで嵌め入れることによつ
て両部材に取付き、この両端部の衝合せを被い隠
すと共に伸長時のロツド８を被うようにしてあ
る。

この連結部材４によつて組合された後脚枠３は
左右の両上端部内側面にＬ字形の間隔保持金具１
３を各溶接し、その先端軸受部１３ａを座５の両
縁部に支軸１４を以て枢着し、前記支軸６で前脚
枠１に組付けた座の後方を支持し、これを水平に
保持できるようにしてある。

ところで、この間隔保持金具１３は前述した様
に前脚枠の幅より大きく形成し、その外側に位置
するように形成した後脚枠３と座５を連結するた
めと、後述するように折りたゝんだとき前脚枠１
の背面を当接して前脚枠が後脚枠３の内側に入り
込まないためのもので、ここでは金属板をＬ字形
に屈曲成形してその一片の端部を後脚枠の内側面
に溶接し、他の一片を軸受部１３ａとして座５の
側縁部に対面するようにしてある。

また、このＬ字形金具１３に併せて、後脚枠の
上端部を連結する連結部材４はその枢着部７の端
部を内方に偏位させて幅の狭い前脚枠の外側面に
接面するように形成すると共に、該端部を第８、
９図に示した如くくの字形に屈曲させて折りたゝ
みによつて前脚枠１の後面が金具１３に当接した
とき、後脚枠３がこの前脚枠１の背後に略脚部分
の幅に近い距離ずれて並行するようにしてある。

そして更に、当該実施例では合成樹脂で成形さ
れる背凭２を側面図において明らかにした様に後
方に向けて弯曲状に突き出すように形成すると共
に、その下縁２ａと前記支軸６を支点に座５を折
りたゝんだときその前縁５ａとが衝き合せとなる
よう下縁２ａの高さを調整してある。

本考案の折りたゝみ椅子は上述の様に構成され
るもので、使用時には第１図に示した如く前脚枠
１に連結部材４を介して連結した後脚枠３を開き
支軸６，１４で枢着した座５を水平に保持するこ
とができる。このとき、上記連結部材４は第８図
に示した如く枢着部７と摺動部９の端部を衝合さ
せて前脚枠１の後傾をここで止めることになる。

そして不使用時には座５の前端を持上げるよう
にして支軸６を支点に回動させると、第２図に示
した様に支軸１４で枢着された後脚枠３が前方に
寄せられ、更に座５を折りたゝむと、この後脚枠
は第３図に示した様に前脚枠１の背後に寄り添う
如く並行状に折りたゝまれることになる。

この折りたゝまれる後脚枠３は連結部材４の枢
着部７がくの字形に屈曲することに併せ、上端部
に間隔保持金具１３を有し、この金具を前脚枠１
の脚部分１ａ，１ｂの背面に当接して前脚枠の入
り込みを阻止することから前後両脚枠１，３は前
後に並んだ状態でたゝまれ、後脚枠３の内側に前
脚枠を受け入れるに充分な空間を確保することに
なる。

なお、この折りたゝみに際して座５の回転に伴
う支軸１４の押下げで後脚枠３は連結部材４のロ
ツド８を伸長させてその端部を前脚枠の脚端より
下に突き出すことになる。そして一方、座５は間
隔保持金具１３の軸受片１３ａが脚部分１ａ，１
ｂの内側に侵入することから第９図に示した如く
前脚枠１の内側に同一平面的に収まることにな
る。

本考案折りたゝみ椅子はこの様に折りたゝまれ
ることから、折りたゝんだ状態で第４乃至６図に
示した様に椅子同志を積重ねると、下になつた椅
子の後脚枠３内に上の椅子の前脚枠１が入り、上
下の椅子の前脚枠同志、後脚枠同志が上下に重な
る如くして嵌め合せ関係が得られるため多数の椅
子を積重ねても横ずれすることがない。

そして、前記実施例の様に背凭２を後方に弯曲
させた場合にはこの下縁２ａに上に重る椅子の座
５の前縁５ａが当接するため左右並びに下方への
横ずれに併せ、更に上方（背凭方向）への移動も
拘束されるため極めて安定した積重ね状態が得ら
れることになる。

従つて本考案によれば、単に折りたゝんだ椅子
を重ねるだけで安定した格納が可能となり、従来
の様に囲い枠の中に入れて崩れを防止したりする
必要がなくなると共に、台車に乗せて移動させる
場合にも崩れ落ちる心配がなく楽に移動、格納作
業が行え、また椅子の破損を防止することもでき
る。

勿論、本考案の折りたゝみ椅子は椅子単体とし
ては一本の脚の幅に揃えて平面的に折りたゝめる
椅子に比較して略倍の厚みとなるが、複数個を重
ねた場合には相互に嵌り合う関係から全体として
略脚１本分の幅が増加するに止り、実質的には積
重ね高さが倍増することなく効率的に多数の椅子
を積重ねられる利点がある。

ところで、前記実施例では前脚枠１に対し、後
脚枠３の上端部を伸縮自在な連結部材４を介して
連結したが、これに代えて該連結を従来知られる
折りたゝみ椅子のリンク部材を介して連結し、使
用時には後脚枠の上端部を直接前脚枠の脚部分の
背面、若しくはこの脚部分に設ける衝合部に当接
するようにしても本考案の実施は可能であり、同
一の効果を期待することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示したもので、第１
図は使用状態の斜視図、第２図は折りたゝみ途中
における側面図、第３図は折りたゝんだ状態の側
面図、第４図は積重ね状態を示す斜視図、第５図
は積重ね状態の中央縦断側面図、第６図は積重ね
状態における座の枢着部を中心に横に断面とした
拡大断面図、第７図は開脚使用状態における一部
欠截せる横断平面図、第８図は使用状態における
一部断面とする要部の拡大側面図、第９図は同じ
く折りたゝんだ状態における拡大側面図である。 １……前脚枠、１ａ，１ｂ……脚部分、２……
背凭、３……後脚、４……連結部材、５……座、
５ａ……座の前端縁、６……支軸、１３……間隔
保持金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端部に背凭を渡してなるコ字形の前脚枠と、
   前脚枠の高さの途中に両側縁部を支軸を介して回
   動自由に枢着する座と、座の枢着位置より上方に
   揺動自由に枢着する連結部材を介して左右の上端
   部を前脚枠に連結する一方、該上端部に近い高さ
   の途中を座の後部に近い両側縁部に各枢着するコ
   字形の後脚枠とからなり、使用時には前脚枠と後
   脚枠を前後人字形に開脚して座を水平に保ち、不
   使用時には後脚枠と座を前脚枠に添わせて平面状
   にたゝめるようにした折りたゝみ椅子において、
   前記後脚枠は前脚枠の外側寸法形状より大きく形
   成すると共に、その高さの途中と座の両側縁部と
   の枢着部にはＬ字形の間隔保持金具を介挿し前記
   折りたゝんだとき、該金具の前面を前脚枠の高さ
   の途中に当接して前脚枠に対し後脚枠をその略前
   後の幅分後方にずらして並行状に揃うようにした
   ことを特徴とする折りたゝみ椅子。