JPH0131044B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、対向した深い孔を有する２つのワ
ークを結合するため、一方のワークの孔内に装着
される筒形の雌部材と、一端部が他方のワークの
孔内に装着され、他端部が上記雌部材の内部に保
持される雄部材とからなるプラスチツク製の留め
具に関する。

このような留め具は実開昭53−116341号公報で
公知である。

上記公知の留め具の雄部材は両端間の中間部に
あるフランジから軸方向に突出したねじ釘状の突
出部を、一方のワークの孔内に装着した筒形の雌
部材の内周にねじ込んで取付けるようになつてい
る。

従つて、両方のワークを結合するには先ず一方
のワークの孔内に雌部材を装着し、それから雄部
材のねじ釘状突出部を雌部材の内周にねじ込んで
雄部材を該一方のワークに先ず固定し、その後、
該ねじ釘状突出部とは反対にフランジから軸方向
に突出する部分を他方のワークの孔内に装着する
必要があり、結合する際に一定の手順を踏まねば
ならない。

更に、該ねじ釘状突出部は可撓性がないため、
複数の留め具により両ワークを結合する場合、両
方のワークにある孔が正確に対向していないと結
合不能になる。

そこで本発明は結合の際の手順に制約がなく、
しかも両方のワークにある孔の位置が多少ずれて
狂つていても支障なく結合が行えることを課題に
開発されたもので、雌部材は円筒部と、その一端
部側の内周から内部に張出した環状突出部と、前
記円筒部の外周に軸方向に離して設けられた鋸歯
形断面形状の環状爪とを備え、雄部材は両端の
ほゞ中間にフランジを有すると共に、一端部には
上記フランジの中心部から軸方向に突出した正多
角形断面形状の軸部、他端部には上記軸部と同軸
にフランジの中心部から反対向きに突出した十字
形断面で、先細の可撓な柱を備え、前記軸部の回
りの各辺からは軸方向に離れた多数の可撓な羽根
が突出し、又、前記柱の先端には直径が雌部材の
円筒部の内径に適合し、環状突出部の内径よりは
大きな球面を有する中空な頭部が設けられている
ことを特徴とする。

図示の実施例において、この発明の留め具１０
は雌部材１２と、雄部材１４とからなり、こゝで
は装飾材２０を張つた枠１８を有するグリツド１
６を、一つ又は複数のスピーカ２４を備えたキヤ
ビネツト２２の前面に結合するのに使用する例を
示す。このためキヤビネツト２２の前面の四隅に
四つの雄部材１４を取付け、グリツド１６の背
後、第１図では見えない個所に同じ配置で四つの
雌部材１２が取付けてある。雌部材１２は筒形
で、円筒部３２と、該円筒部の開放した一端部か
ら外方に張出した鍔３０と、他端部を閉じる端壁
３６を一体に備え、円筒部３２の外周には軸方向
に離して鋸歯形断面形状の複数の環状爪３４があ
り、一端部側の内周からは環状突出部４０が内部
３８に張り出している。

雌部材１４は、四角形の外形を有する剛性な軸
部５０を一端部に有し、該軸部の回りの四辺５４
には軸方向に離れて多数の可撓な羽根５２が各辺
に対し直角状に付いている。各羽根５２の先端は
夫々が所属する辺と平行な直線になつている。こ
の羽根付きの軸部は本特許出願人の米国特許第
3810279号に示されて居り、孔のなかに押込んで
強力に装着することができる。雄部材１４の両端
間の略々中間にはフランジ５６があり、前記軸部
５０をワークの孔内へ押込んで装着する際に、該
フランジ５６はワーク（キヤビネツト）の前面に
当接して押込み深さを所定に保つストツパとな
る。このフランジは図面上では厚さが薄いが、も
つと厚くしてもよい。

雄部材の他端部は前記軸部５０と同時にフラン
ジ５６から逆方向に突出した十字形断面の先細り
の柱６０になつている。この柱６０は適度の可撓
性を有し、第２図、第３図で分るように、十字に
配置された一対の支持部６２，６４で終つてい
る。この支持部６２，６４は球面の中空な頭部７
０の裏を支持する。頭部７０の両側部は平面７
２，７４になつていて、前記柱６０が突入した中
空部７６は前記平面７２と７４で両側にも開放し
ている。従つて、頭部７０は裏面が支持部６２，
６４で支持された球面状の前面と、この前面から
後向きに、且つ互いの方向に延びる可撓な一対の
アーム８０，８２を有する。頭部７０の球面状の
前面とアーム８０，８２の直径は雌部材１２の内
部３８の直径にほゞ等しく、環状突出部４０の内
径よりは大きい径の、180゜（半球面）以上の曲面
を持つ。

使用するには、雄部材１４の軸部５０を回りの
羽根５２の外形より直径が少し小さいワーク（キ
ヤビネツト）２２の孔９０の中に押込む。第３図
で判るように、羽根５２をもつ軸部５０をキヤビ
ネツト２２の孔９０に押込むと羽根５２はたわ
み、キヤビネツトの孔９０の内壁にしつかりと係
止される。又、グリツド１６の素材である木など
の繊維材料の孔９２内に雌部材１２を押込み、円
筒部３２の外周の環状爪３４を孔９２の内壁に喰
込ませる。上記孔９０と９２は全体的に整合して
いるので、雄部材の頭部７０を雌部材の内部３８
へ挿入するとアーム８０と８２は内側へ撓みなが
ら環状突出部４０を通り、通過すると拡がつて突
出部４０の後側に係合して雌部材１２内に保持さ
れ、頭部の球面状の前面は雌部材の端壁３６の内
面に接触し、こうして両方のワークは結合され
る。

そして、雄部材の頭部７０を支持する先細りの
柱６０は撓めるので孔９０と９２の軸心が多少狂
つていても支障なく雌部材の内部３８に保持で
き、くり返えし着脱することができる。この雄部
材と雌部材はナイロン、アセタールその他潤滑性
と必要な強度を有する熱可塑性材料から射出成形
して製造できる。

尚、雄部材のフランジ５６と、雌部材１２の鍔
３０を没入する凹部を各ワーク２２，１６の孔９
０，９２の入口に設けてもよい。又、図面では雄
部材１２をキヤビネツト、雄部材をグリツドに装
着したが、反対に雌部材１２をキヤビネツト、雄
部材１４をグリツドに装着してもよい。

この発明の留め具は、雌部材に予じめ雄部材の
頭部７０を保持させて置き、それから雌部材を一
方のワーク、雄部材の軸部を他方のワークに夫々
装着してもよいし、雌部材を一方のワークに装着
し、雄部材の軸部を他方のワークに装着し、それ
から雄部材の頭部を雌部材中に押込んでもよい。
つまり、両方のワークを結合する手順はどうでも
よい。

更に、雄部材の球面を有する中空な頭部７０を
先端に取付けた柱６０は十字形断面で、しかも先
細りになつているため、適度な可撓性を有し、両
方のワークの孔の位置に多少のズレがあつたとき
はこの柱６０が撓み、該頭部を支障なく雌部材の
内周に保持させる。この場合、頭部７０は球面に
なつているため雌部材の内周中に押込み易い。

そして、ワークの孔内に装着する雄部材の軸部
５０は多角形で、その回りの各辺は軸方向に離れ
て突出する多数の可撓な羽根５２…を備え、この
羽根を撓めて孔壁と係止するので非常に強力に装
着することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の留め具を利用して連結でき
る一例として示したスピーカのキヤビネツトとグ
リツドの斜視図、第２図はこの発明の留め具の一
実施例の分解状態の斜視図、第３図は同上の連結
状態の縦断側面図、第４図は第２図の４−４線に
沿う断面図で、図中、１２は雌部材、１４は雄部
材、１６は一方のワークとして例示したグリツド
の枠、２２は他方のワークとして例示したキヤビ
ネツト、３２は雌部材の円筒部、３４はその外周
の環状爪、４０は円筒部の内周の環状突出部、５
０は雄部材の軸部、５２は羽根、５６はフラン
ジ、６０は柱、７０は球面を有する中空な頭部、
９０と９２は各ワークの孔を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 対向した孔を有する二つのワークを結合する
   ため一方のワークの孔内に装着される筒形の雌部
   材と、一端部が他方のワークの孔内に装着され、
   他端部が上記雌部材の内部に保持される雄部材と
   からなるプラスチツク製の留め具において、 上記雌部材は円筒部と、その一端部側の内周か
   ら内部に張出した環状突出部と、前記円筒部の外
   周に軸方向に離して設けられた鋸歯形断面形状の
   環状爪とを備え、 又、前記雄部材は両端のほゞ中間にフランジを
   有すると共に、一端部には上記フランジの中心部
   から軸方向に突出した正多角形断面形状の軸部、
   他端部には上記軸部と同軸にフランジの中心部か
   ら反対向きに突出した十字形断面で、先細の可撓
   な柱を備え、前記軸部の回りの各辺からは軸方向
   に離れた多数の可撓な羽根が突出し、又、前記柱
   の先端には直径が雌部材の円筒部の内径に適合
   し、環状突出部の内径よりは大きな球面を有する
   中空な頭部が設けられていることを特徴とする留
   め具。