JPH0131030Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、主として家庭用の冷蔵庫で冷却し
て簡単にアイスクリームやシヤーベツト等の冷菓
を製造する冷菓製造器の改良に係るものである。

［従来の技術］ アイスクリーム等の冷菓を作る冷菓製造器とし
て、従来では、第７図に示すようなものが知られ
ている。この従来の冷菓製造器は、出願人が先に
開発しもので、底面及び周面にわたる空間部ａに
蓄冷剤ｂを封入した上方が開放する有底円筒形の
密封二重容器ｃと、この密封二重容器ｃを間隔を
おいて内装する有底筒状の外装容器ｄと、密封二
重容器ｃ及び外装容器ｄの開口部に着脱自在に嵌
着される蓋体ｅと、この蓋体ｅの中央部に回転自
在に支承される撹拌器ｆで構成され、そして、密
封二重容器ｃ内に収容される冷菓の材料を撹拌器
ｆに連結するハンドルｇにより撹拌することによ
り、撹拌器ｆの軸部ｈに設けられた２枚の撹拌羽
根ｉが冷菓材料を撹拌混合するようになつている
（実公昭60−11812号公報、実公昭61−9584号公報
合照）。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、従来の冷菓製造器においては、
上記蓋体ｅを密封二重容器の上周縁に嵌着された
断熱リングｊに摩擦嵌合させるため、蓋体ｅのが
たつきが生じることがあつた。また、この蓋体ｅ
のがたつきを防止するために、第８図に示すよう
に、蓋体ｅの内周面に係止突起ｋを突設し、この
係止突起ｋを外装容器ｄの開口縁部外周面に設け
られた係止受け用突起ｌと係合すべくいわゆるバ
ヨネツト式に嵌合させるようにしたものもある
が、この場合は蓋体ｅのセツトが煩雑となるとい
う問題があつた。更に、上記密封二重容器ｃは外
装容器ｄに外周上縁が載置されるのみであるた
め、外装容器ｄ内に密封二重容器ｃを内装した状
態で傾けると、がたつきが生じてしまい保冷カツ
プ等として使用するには不便であつた。

この問題点を解決するために、第９図に示すよ
うに、断熱リングｊに外装容器ｄの上端部と係合
する支持段部ｍを形成すると共に、支持段部ｍに
外装容器ｄの上端部に形成された回り止め用凹部
ｎに係合し得る凸部ｏを形成したものも知られて
いる。しかし、第９図に示すものは断熱リングｊ
と外装容器ｄとの係合のみにおけるがたつきを防
止するのみであつて、断熱リングｊと密封二重容
器ｃとのがたつきを確実に防止するには至つてい
ない。

また、この種の冷菓製造器において、外装容器
の外壁に取手を水平方向に延設すると共に、切込
部を周設し、蓋体には取手の上部に載置された取
手を延設すると共に、切込部に合着係止する突起
面を形成して成るものもある（実開昭61−37784
号公報参照）。しかし、上記のものは構造が複雑
であると共に、無駄な突出部が生じ使用上支障が
生じ易い等の欠点がある。

したがつて、構造が簡単で、二重容器を容易か
つ確実に外装容器にセツトでき、かつ、使用時に
二重容器及び蓋体のがたつきを防止できる冷菓製
造器の開発が課題となつていた。

［問題点を解決するための手段］ この考案は、上記問題を解決することを企図し
てなされたもので、上記技術的課題を解決するた
めに、二重容器の上周縁に嵌着される断熱リング
を介して外装容器内に二重容器を確実に内装して
保冷カツプやジヨツキ等としても使用できるよう
にし、また、蓋体のセツトを迅速かつ容易に行え
るようにしたことを特徴とする冷菓製造器を提供
しようとするものである。

すなわち、この考案は、蓄冷剤を充填した二重
容器と、この二重容器の上周縁に嵌着される断熱
リングと、この断熱リングを支承して上記二重容
器を間隔をおいて内装する外装容器と、上記断熱
リングに着脱自在に嵌着される蓋体の中央部から
上記二重容器内に回転自在に挿入される撹拌器と
を具備する冷菓製造器において、上記断熱リング
の外周に上記外装容器の上周縁と係合する支持肩
部を形成すると共に、この支持肩部の下部周面に
は外装容器の上部内周面に密着する緩いテーパ部
又は適宜間隔をおいて突設する複数の細条から成
る係止部を形成し、上記蓋体には、上記外装容器
に突設された取手の上部側に設けられた上向き凹
部に係脱可能に嵌合しうる嵌合係止片を突設して
成ることを特徴とする冷菓製造器を提供しようと
するものである。

この考案において、上記蓋体は断熱リングに着
脱自在に嵌着するものであれば任意のものであつ
てもよいが、好ましくは蓋体を断熱リングの内側
周面に着脱自在に嵌着する構造の方がよい。

［作用］ 上記技術的手段は次のように作用する。

二重容器を外装容器内に内装する際、断熱リン
グの外周面に形成された係止部がいわゆるくさび
作用により外装容器の上端及び内周面に密着する
ので、外装容器内に確実に二重容器をセツトする
ことができ、冷菓製造器の本体としての利用は勿
論、保冷カツプやジヨツキとしても使用すること
ができる。また、蓋体のセツトの際に嵌合係止片
が外装容器の取手に設けられた上向き凹部に嵌合
するので、蓋体のセツトを容易にかつ迅速に行う
ことができると共に、セツト状態においてがたつ
きを生ずる虞れがない。

［実施例］ 以下にこの考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図はこの考案の冷菓製造器の第一実施例を
示す断面図で、この考案の冷菓製造器は、底面及
び周面にわたる空間部１２に蓄冷剤１４を封入充
填した上方が開放する有底円筒形の密封式の二重
容器１０と、この二重容器１０を間隔をおいて内
装する有底円筒形の外装容器２０と、上記二重容
器１０の上周縁に嵌着させる断熱リング５０に着
脱自在に嵌着される蓋体３０と、この蓋体３０の
中央部に回転自在に支承される撹拌器４０とで主
要部が構成されている。

上記二重容器１０は、例えばアルミニウム合金
製の深搾り内容器１６と外容器１８とを互いに底
面及び周面にて間隔をおき、それぞれの開口部の
フランジにて縁巻きされた有底円筒形となつてい
る。この場合、上記内容器１６及び外容器１８
は、アルミニウム合金板を深搾り加工した後、そ
の全面に陽極酸化皮膜を施したものである。ま
た、上記蓄冷剤１４は、内・外容器１６，１８の
巻き締めを行う前に両容器１６，１８間に形成さ
れる底面及び周面にわたる空間部１２内に所定の
空隙１１を残して封入される。この蓄冷剤１４
は、例えば、水又は炭酸水をベースにアルコー
ル、グリコール、エチレングリコール、塩化ナト
リウム等の有機若しくは無機類の所望の粘度にす
るための有機質増稠剤を必要量添加したもので、
その融解温度は零下7゜Cないし零下17゜Cの範囲に
調整されている。

このように構成される二重容器１０の開口部の
上周縁には合成樹脂製の断熱リング５０が嵌着さ
れている。この断熱リング５０は、外周に上記外
装容器２０の上端縁と係合する支持肩部５２を形
成すると共に、この支持肩部５２の下部周面には
外装容器２０の上部内周面に密着する緩いテーパ
部５４である係止部を形成して成る。したがつ
て、外装容器２０内に二重容器１０を内装する
際、断熱リング５０自体の弾性変形と緩いテーパ
部５４とが相俟つて容易に二重容器１０を内装す
ることができると共に、確実にセツトすることが
できる（第２図参照）。

上記外装容器２０は、合成樹脂等で形成され
て、その外周に逆Ｌ字状に突出する取手２２を突
設している。

また、上記蓋体３０は、透明の合成樹脂等で形
成されて、上記二重容器１０の開口側の断熱リン
グ５０の内側周面に着脱自在に嵌着されるように
なつている。この場合、第３図及び第４図に示す
ように、蓋体３０の外周には上記外装容器２０の
取手２２の上部に設けられた上向き凹部２４に嵌
合するほぼ逆Ｌ字状の嵌合係止片３２が突設され
ている。したがつて、嵌合係止片３２をもつて容
易に蓋体３０のセツト及び取外しが行える。

一方、上記撹拌器４０は、上記蓋体３０の中央
に設けられた軸受穴３４を貫通して上記二重容器
１０内に向つて突入する軸部４２と、この軸部４
２から側方に向かつて突する羽根部４４とで構成
されている。この場合、軸部４２の先端は二重容
器１０の底面の中央部に設けられた凹所１３にて
回転可能に保持され、また、羽根部４４の外側縁
は二重容器１０の内周面に摺接可能となつてい
る。また、この撹拌器４０は、上記蓋体３０の軸
受穴３４内に回転自在に挿入される軸部４２に係
合するハンドル４６によつて回転されるようにな
つている。この場合、上記撹拌器４０の軸部４２
の上端に十字状のスプライン部４８が設けられ、
このスプライン部４８にハンドルの連結用角形状
係合溝４９が回転方向のみ動力を伝達するように
係脱可能となつている（第５図参照）。

上記のように構成されるこの考案の冷菓製造器
を用いて冷菓を製造するには、まず、冷蔵庫にて
上記二重容器１０を数時間冷却して内部の蓄冷剤
１４を凍結させる。次いで所定の場所において二
重容器１０、外装容器２０、蓋体３０及び撹拌器
４０を組付けると共に、二重容器１０内に冷菓材
料を投入する。このとき、冷菓材料は薄い層とな
つて二重容器１０内に凍結するので、この二重容
器１０の内壁面に先端が摺接する上記撹拌器４０
の羽根部４４で削り落すように繰り返し撹拌する
と、数分で冷菓材料がアイスクリーム状又はシヤ
ーベツト状となつた冷菓が得られる。また、蓄冷
剤１４が凍結された二重容器１０を外装容器２０
内にセツトした状態において、飲料を入れれば、
飲料を希釈させることなく瞬時に飲料を冷却する
ことができる保冷カツプあるいはジヨツキ等とし
て使用することができる。

なお、上記実施例では、上記断熱リングの外周
面に緩いテーパ部５４を形成して二重容器１０を
外装容器２０内にセツトする場合について説明し
たが、必ずしもテーパ部５４である必要はなく、
第６図に示すように、断熱リング５０の支持肩部
５２の下部周面に適宜間隔をおいて突設される複
数の細条５６，５６…により係止部を形成しても
よい。この場合、細条５６は下方に向つて狭くな
る緩いテーパ状に形成しておく方が好ましい。

［考案の効果］ 以上に説明したように、この考案の冷菓製造器
によれば、蓄冷剤を充填した二重容器の上周縁に
嵌着される断熱リングの外周に外装容器の上端縁
と係合する支持肩部を形成すると共に、この支持
肩部の下部周面には外装容器の上部内周面に密着
する緩いテーパ部又は適宜間隔をおいて突設する
複数の細条から成る係止部を形成し、また、蓋体
には、外装容器に突設された取手の上部側に設け
られた上向き凹部に係脱可能に嵌合しうる嵌合係
止片を突設して成るので以下のような効果が得ら
れる。

１ 二重容器１０を容易かつ確実に外装容器内に
セツトすることができ、使用時に二重容器１０
のがたつきを防止することができる。

２ 蓋体の嵌合係止片を近接する外装容器の取手
に設けられた上向き凹部に嵌合させるのみで蓋
体のセツトができるので、嵌合係止片をもつて
蓋体のセツトを容易かつ迅速に行うことができ
ると共に、使用時における蓋体のがたつきを防
止することができる。

３ 二重容器１０を外装容器内にセツトした状態
で保冷カツプあるいはジヨツキ等としての使用
も可能なため、冷菓製造器の他にも広範囲に使
用することができる。

４ 構造が簡単で無駄な突出部が少ないため、小
型化にでき、個人用として使用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の冷菓製造器の第一実施例を
示す断面図、第２図は第一実施例における二重容
器１０と外装容器のセツト状態を示す要部断面
図、第３図及び第４図はそれぞれ第一実施例にお
ける冷菓製造器の平面図及び側面図、第５図は第
一実施例における冷菓製造器の分解斜視図、第６
図はこの考案の別の実施例を示す要部断面斜視
図、第７図は従来の冷菓製造器を示す断面図、第
８図は従来の別の冷菓製造器の蓋体の取付け状態
を示す斜視図、第９図は従来の更に別の冷菓製造
器の一部分を示す断面図である。 符号説明、１０……二重容器、１４……蓄冷
剤、２０……外装容器、２２……取手、２４……
上向き凹部、３０……蓋体、３２……嵌合係止
片、４０……撹拌器、５０……断熱リング、５２
……支持肩部、５４……テーパ部、５６……細
条。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 蓄冷剤を充填した二重容器と、この二重容器
   の上周縁に嵌着される断熱リングと、この断熱
   リングを支承して上記二重容器を間隔をおいて
   内装する外装容器と、上記断熱リングに着脱自
   在に嵌着される蓋体の中央部から上記二重容器
   内に回転自在に挿入される撹拌器とを具備する
   冷菓製造器において、上記断熱リングの外周に
   上記外装容器の上端縁と係合する支持肩部を形
   成すると共に、この支持肩部の下部周面には外
   装容器の上部内周面に密着する緩いテーパ部又
   は適宜間隔をおいて突設する複数の細条から成
   る係止部を形成し、上記蓋体には、上記外装容
   器に突設された取手の上部側に設けられた上向
   き凹部に係脱可能に嵌合しうる嵌合係止片を突
   設して成ることを特徴とする冷菓製造器。 (2) 蓋体が、断熱リングの内側周面に着脱自在に
   嵌着される実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の冷菓製造器。