JPH0130883Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、スキー用パンツ等のスポーツ用ズボ
ンを肩から吊して着用する際使用するサスペンダ
ー等に取付ける合成樹脂製のバツクルに関する考
案である。

（従来技術） 本出願前公知のバツクルには、例えば実開昭55
−179819号公開実用新案公報所載の考案、或は実
開昭59−31935号公開実用新案公報所載の考案が
知られていて、前者は基枠にベルトの自由端を掛
装する掛杆を横設し、此の掛杆へ係止体を起倒動
自在に連設し、且係止体を当接係止させる支持杆
を一定間隔で並列状に横設し、係止体と支持杆と
の対応面に夫々歯形を刻設した構成を備え、係止
体と支持杆との間にベルトを挿通し両者の歯形間
にベルトを挟着して固定する作用を有し、後者は
左右の側壁間の上部に上取付杆、其の下方へ上挿
通孔、底壁、下挿通孔及び下取付杆を順設し、此
の底壁の上端から切込みを穿設して弾片を形成
し、左右側壁の略々中央部に円孔を穿設した本体
と、上部に尻上り状の押圧部を、下部に係止部を
設け、下部の両側面に軸を穿設した係止体との二
部品より成り、係止体の軸を本体の左右側壁の円
孔に軸着し、本体の弾片を係止体の裏面に接当さ
せ、係止部の先端部と下取付杆の上端部に少許り
の間隙を設け、本体と係止体とを合成樹脂により
夫々一体的に成型し、ベルトを下取付杆の上端部
と係止部の先端部との少許りの間隙に於て挟着し
て固定する構成、作用を有する。

（考案が解決しようとする問題点） 上記の構成及び作用を有するバツクルでは、ベ
ルトのテープを挟む部分は、同時にベルトに対し
てバツクルを係止して固定するロツク機能を行つ
てもいるので、其処へ刻設してある歯形の作用も
加はつてテープの其の係止部分は損傷し易く、亦
摩擦に依るテープの変色も起り易い。而して係止
杆又は本体と係止体とはベルトのテープを介して
係合するので、テープの織製表面の摩擦、テープ
の厚み、或は又剛直性、しなやかさ等の影響に依
つて上記支持杆又は本体と係止体とのロツク機能
が比較的短時日の間に低下する欠点が生じ、一方
サスペンダー用のバツクルとしては、テープを弛
める場合係止体を上方へ開き上げて操作する型式
の製品が従来は多く、其の際係止体に依つてテー
プの長さを調節する部分が陰され操作しにくい傾
向が有つた。

本考案の目的は、上記の問題点を解消し、テー
プの挟着に依るテープに対するバツクルの固定部
と、バツクル本体に対するバツクル係止体の係合
部とを夫々別々の場所で行う様に分離し、従来の
製品の様に一個処に集中した負荷を複数個処へ分
散させる事に依つて固定部及び係合部の形状の劣
化及び固定強度の低下を防止し、亦、テープに対
する挟着圧力を低減してテープの損傷及び変色を
著しく軽減する他、本体及び係止体をポリアミド
系、ポリアセタール系等の高分子有機合成樹脂材
料の射出成形法に依る一体成形で同時成形する事
に依つて、従来であれば二個の部品として別々に
成形して両者を組立てる作業を要していたのを組
立作業の不要な生産能率の良いサスペンダー用等
の合成樹脂製のバツクルを提供する事に在る。

（考案の構成、問題点を解決する為の手段） 以下、本考案の構成を本考案の実施例に依つて
図面を参照して説明する。第１図及び第２図の上
部に於て、１はサスペンダー用等のバツクルの本
体で一部丸味のある角形で薄い厚さの平面体から
成り、其の上部から順次サスペンダー等のテープ
を挿通する夫々横長の上部挿通孔２、中間挿通孔
３、係止孔４及び下部挿通孔５を具備し、夫等は
互に略々等しい幅を有し並列しているが、其の横
長の夫々の孔の高さは少し宛相違していて上部挿
通孔２が最も高さが大きく、下部挿通孔５が夫々
に次ぎ、中間挿通孔３及び係止孔４は類似した高
さであつて上記の２者に対し約２分の１前後の高
さを有する。６は係止孔４の上側内壁４ａの上縁
近くに係止孔４の幅一杯に隆設した突条又は凹設
した凹条から成る係止部Ｃで、略々90度の角度の
二等辺三角形の断面に形成（第４図ａ、第４図ｂ
参照）する。７，８，９は夫々上部挿通孔２と中
間挿通孔３間、中間挿通孔３と係止孔４間、係止
孔４と下部挿通孔５間の横枠であり、亦１０及び
１１は夫々上記横枠７，８，９を連結する左右の
竪枠、１２は上部挿通孔２を横枠７と共に形成す
るコ字状の上枠、１３は其の下部両側端に後述す
る係止体の支承孔１７ａ，１７ｂに係合する支承
軸１４ａ，１４ｂを具備する支持枠で、左右の竪
枠１０及び１１と一体に連結し、両竪枠１０及び
１１の側縁及び此の支持枠１３の上縁１３ａと横
枠９の下縁とに依つて下部挿通孔５を形成する。
次に第１図及び第２図下部に於て、１５は係止体
であつて、其の両側下端の支承片１６ａ及び１６
ｂの端部へ穿設した支承孔１７ａ及び１７ｂを本
体１の支承軸１４ａ及び１４ｂへ係合して本体１
に対し回動可能に枢着する枢着部Ｌを形成する。
而して其の形状は多少横長の方形に近い薄い厚み
の平面体を形成し、係止時本体１の中間挿通孔
３、係止孔４及び下部挿通孔５の上面を覆う様に
配置する。１８は係止体１５の上縁で、サスペン
ダーの使用者がパンツ又はズボン等の着用及び脱
衣の際、此の上縁１８へ指を掛けてバツクルの係
止の場合には上方へ、係止を解除する場合には下
方へ開き出す事に依つて操作を行う。第２図下部
及び第４図ａ並びに第４図ｂに於て、１９は係止
体１５の下面に合体しあう本体１の係止孔４の長
手方向の幅一杯近い幅に亙つて隆設している断面
嘴状の係止条片で、其の上面Ｍは略々90度の突端
部角度を有する係止突条２０として形成し、下面
Ｎは仝じく略々90度の凹み角度を有する凹条２１
又は凸凹部２１ａ及び上記係止突条２０と仝じく
略々90度の角度に形成した先端縁２２として形成
する。尚、両者の突端部及び凹底部には多少のア
ールを施しても良い。２３ａは本体１の突条６へ
当接し係止突条２０を係合させる際の誘導斜面で
ある。上記本体１及び係止体１５は、例えばポリ
アミド系、ポリアセタール系等の高分子有機合成
樹脂材料を射出成形等の成形手段に依つて一体的
に同時成形して造る。即ち、第１図に示す様に両
者を支承軸１４ａ，１４ｂ及び支承孔１７ａ，１
７ｂに於て枢着した枢着部Ｌを枢軸として平面状
に展開した状態を型に依つて射出成形するのであ
るが、其の際に枢着部Ｌも同時に形成出来るの
で、従来の様に本体１と係止体１５とを別個に射
出成形等の成形手段に依つて造つた上、両者を其
の後人手に依つて枢着部で組合せて一個のバツク
ルとして組立てる必要が無く製造に際して工程が
半減し且組立に要した手間を無くする事が出来
た。而して、上記成形に依つて造つた本体１及び
係止体１５は多少の弾性を有する強靭な材質であ
つてスポーツ用サスペンダー等のバツクルとして
長期間の繰返し係合及び係合の解除操作に充分耐
える。

（作用） 本考案の実施例は上記の部分構造を有するが、
夫等の作用を説明すると、上記バツクルをスキー
パンツ等のスポーツウエヤ等のズボンＰのズボン
吊りに装着して使用する際には、第３図に示す様
に本体１の下部挿通孔５へ前部ズボン吊り用の下
部テープＡを通し之を支持枠１３の上縁１３ａに
於てＵ字状に折曲して下方へ垂下し、支持枠１３
の下部に於て前後のテープを重ねて縫着し、一方
の後側のテープを切断し、前側のテープは適宜長
さに於てズボンＰの前部の上端に縫着するか、又
はサスペンダーの前部吊り具２４に固着する。而
して此の下部テープＡは、夫れ自体では長さの調
節は行えない。一方バツクル本体１へ挿通する上
部テープＢは、其の一端２６ａをズボンＰの背部
上縁へ縫着するか、又は後部吊り具２５へ固着
し、他端２６ｂは先ず本体１の裏側から上部挿通
孔２を通し、次に本体１の前側から中間挿通孔３
を通して裏側へ出し、更に本体１の裏側から係止
孔４を通して本体１の表側へ出し、終りに下部挿
通孔５を通して本体１の裏側へ導出する。此の
間、係止体１５は支承孔１７ａ及び１７ｂを枢軸
として枢着部Ｌに於て下方へ回動し、本体１の各
挿通孔に対する上部テープＢの挿通操作に支障を
来さない状態にしておく。ズボンの着用者は上部
テープＢの中間部を自己の肩へ掛け、其のテープ
端２６ｂの位置をバツクルの本体１に対し調節し
てズボンＰの吊り具合を調整し最良の状態に吊れ
た時点に於て、係止体１５を引き起し、更に本体
１に対して圧着する様に押付けると、係止体１５
の嘴状の係止条片１９の先端上面の係止突条２０
の誘導斜面２３ａが本体１の係止孔４の上側内壁
４ａの上縁近くに係止孔４の幅一杯に隆設した突
条又は凹設した凹条６から成る係止部Ｃへ先ず当
り、突条６の場合上記誘導斜面２３ａの傾斜と係
止条片１９の弾性とに依つて其の頚部１９ａが係
止体１５の基部１９ｂから多少下方へ傾く事に依
つて突条６を越えて係止孔４内へ這入り込み、係
止条片１９の係合斜面２３ｂが突条６の傾斜面と
強固に係合する事に依つて本体１と係止体１５と
は一体に係合し、凹条６の場合係止突条２０の先
端が嵌入する。両者は側面から見て第３図に示す
様に支承軸１４ａ及び１４ｂと支承孔１７ａ及び
１７ｂを枢軸として平板状に一体に合体する。此
の状態に於て、テープＢの本体１の係止孔４を通
過している部分は、其処のテープの幅全体に亙つ
て係止条片１９の先端縁２２及び凹条２１又は凸
凹部２１ａと本体１の横枠９の上縁、即ち、係止
孔４の下側内壁４ｂの上縁との間に強固に挟み着
けられ弛む事が無い。上記の様に本考案に於て
は、本体１に対する係止体１５の係止個処とテー
プＢの係止体１５に依る本体１への挟み着けに依
る固定個処とが別々になつていて、夫々係止及び
挟み着けが良好に為され、然も操作は簡単であ
る。而して、上記と反対に係止体１５の上端に指
を掛けて本体１に対して係止体１５を下方へ開き
出して、枢着部Ｌを枢軸として両者が第１図に示
す様な一連の平面体状に展開すると、テープＢの
挟み着けは開放され本体１に対しテープＢは移動
可能な状態に成るので、テープＢを上方へ引揚げ
ると、テープＢは本体１の上下の挿通孔２及び５
と中間挿通孔３並びに係止孔４の中をずれ乍ら上
つてズボンの吊り揚げ状態が弛み、テープを肩か
ら取外す事が可能に成る。

（考案の必須の構成要件） 上記本考案の実施例中、本考案の構成の必須の
要件は、枢着部Ｌに於て回動可能に軸支した本体
１及び係止体１５から成るポリアミド系、ポリア
セタール系等の高分子有機合成樹脂材料の同時成
形に依る夫々方形又は長方形の薄い厚みの平面状
の成形体であつて、本体１の横長の係止孔４の幅
一杯に配設した係止部Ｃと、係止体１５の下面に
本体１の上記係止孔４の長手方向の幅よりも小さ
く隆設した係止条片１９とを有し、本体１に対し
係止体１５を回動圧着した際、本体１の係止部Ｃ
と係止体１５の係止条片１９の上面Ｍとが係合
し、同時に係止条片１９の下面Ｎと本体１の係止
孔４の下側内壁４ｂとの間でテープＢを挟み着け
るバツクルを特徴とする。

（考案の効果） 本考案は、上記の構成及び作用を有するので、 (1) 本体１と係止体１５との間の係止固定個処
と、テープの挟み着け個処が別々であつて同一
個処に無く、亦、使用材料の合成樹脂は強靭で
あつて大きな荷重を掛けた長期の使用に依つて
も、夫々の係止固定個処及び挟み着け個処に摩
耗等に依る変形を起さず、挟み着け強度の低下
を生ずる事が無い。

(2) 上記係止固定個処及び挟み着け個処が同一個
処で複合して為された従来のバツクルと異り分
離した別々の個処である為テープへバツクルの
係止固定の為の力が加はらず、従つてテープへ
は挟み着けの力が掛けられる丈なので、従来の
複合した力の掛かる構成の物と比較するとテー
プの損傷や摩耗、汚れ等が少い。

(3) 本体１と係止体１５とを枢着部Ｌを介して一
体的に同時成形するので、従来の様に２部品を
先づ別々に成形し、其の後組立てる製品に較ら
べ組立に要した手間が省けるので生産能率が向
上し乍ら生産価格を低減出来、尚且、本体１と
係止体１５とを同色にデザインした場合、両者
の間に色採の差を生じて不良品を出す事故を防
止出来る。

(4) 従来の金属製バツクルと比較すると、合成樹
脂材料なので軽く多少の柔軟性も有り、亦、表
面を滑らかに仕上げる事が出来、着色も自由な
ので意匠面でも優れ、使用者の身体や衣料に対
する接触が良く夫等を傷付ける恐れが無い。

(5) 金属製品の様にプレス加工の後、バリ取りや
研磨、メツキ或は塗装等の諸加工が不要なので
価格も安く、亦同時成形に依る射出成形の為多
量生産に適している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の開放状態の平面図、
第２図は仝じく右側面図、第３図はテープを装着
した係止状態の側面図、第４図ａは突条から成る
係止部Ｃの場合の係止状態を一部を断面で示した
部分拡大側面図、第４図ｂは凹条から成る係止部
Ｃの場合の係止状態を一部を断面で示した部分拡
大側面図である。 図の主要な部分を表す符号の説明、１……本
体、４……係止孔、４ａ……上側内壁、４ｂ……
下側内壁、Ｃ……係止部、６……突条又は凹条、
Ｌ……枢着部、１４ａ，１４ｂ……支承軸、１５
……係止体、１７ａ，１７ｂ……支承孔、１９…
…係止条片、１９ａ……頚部、１９ｂ……基部、
Ｍ……（係止条片１９の）上面、Ｎ……（仝じ
く）下面、２０……係止突条、２１……凹条、２
２……先端縁、２３ａ……誘導斜面、２３ｂ……
係合斜面、Ａ……下部テープ、Ｂ……上部テー
プ、２４……（ズボン吊りの）前部吊り具、２５
……（仝じく）後部吊り具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 枢着部Ｌに於て回動可能に軸支した本体１及び
   係止体１５から成るポリアミド、ポリアセタール
   等の高分子有機合成樹脂材料の同時成形に依る
   夫々方形又は長方形の薄い厚みの平面状の成形体
   であつて、本体１の横長の係止孔４の上側内壁４
   ａに係止孔４の幅一杯に配設した係止部Ｃと、係
   止体１５の下面に本体１の上記係止孔４の長手方
   向の幅よりも小さく隆設した係止条片１９とを有
   し、本体１に対し係止体１５を回動圧着した際、
   本体１の係止部Ｃと係止体１５の係止条片１９の
   上面Ｍとが係合し、同時に係止条片１９の下面Ｎ
   と本体１の係止孔４の下側内壁４ｂとの間でテー
   プＢを挟み着けるバツクル。