JPH0130636Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案はスクロール型流体機械の可動スクロール
部材回転阻止機構の改良に関するものである。

従来のスクロール型圧縮機を第１図により説明
すると、１が圧縮機の全体で、同圧縮機１は円筒
部１１と、その前端に設置されたフロントエンド
プレート１２と、円筒部１１の後端に設置された
リヤエンドプレート１３からなる圧縮機ハウジン
グ１０を有している。フロントエンドプレート１
２は、中心穴を有し、その中にボールベアリング
１４を介して主軸１５を回転可能に支持してい
る。またフロントエンドプレート１２は、主軸１
５を取巻くように前方に伸びたスリーブ部分１６
を有しており、内部にシヤフトシール組立体１７
が組込まれている。スリーブ部分１６の外面上に
は、ベアリング１８によりプーリー１９が回転可
能に支持されるとともに、電磁石２０が固定され
ている。一方、主軸１５のスリーブ部分１６から
突出した端部上にはアーマチヤプレート２１が弾
性支持されている。即ち、プーリー１９電磁石２
０およびアーマチヤプレート２１により電磁クラ
ツチが構成されており、これによつて外部駆動源
（例えば自動車エンジン）の回転をベルトを介し
てプーリー１９へ伝える。また電磁石２０へ通電
し、アーマチヤプレート２１をプーリー１９へ吸
着して、外部駆動源の回転を主軸１５へ伝達する
ようにしている。フロントエンドプレート１２
は、円筒部１１の前端に、その開口を塞ぐよう
に、例えばボルト（図示せず）により固定されて
おり、Ｏ−リング２２によつてシールされてい
る。リヤエンドプレート１３は内部の隔壁２３に
より吸入室２４と吐出室２５とを形成するととも
に、吸入室２４および吐出室２５とそれぞれ連通
した流体吸入口２６および流体排出口（図示せ
ず）を備えている。このリヤエンドプレート１３
は、ボルト−ナツト２７により円筒部１１の後端
に取付けられている。このリヤエンドプレート１
３と円筒部１１との間に固定スクロール部材２８
の側板２８１が挾持されている。なお２および３
は流体漏れを防ぐガスケツトである。また固定ス
クロール部材２８は、側板２８１とその一面上に
固定されたうずまき体２８２とからなつている。
側板２８１は、前述のように円筒部１１の後端と
リヤエンドプレート１３との間に挾持されている
ので、円筒部１１の後端開口は、側板２８１によ
り塞がれている。うずまき体２８２は、円筒部１
１の内部の室２９中に配置されている。側板２８
１は円筒部１１の内部の部屋２９と吸入室２４と
を結ぶ孔２８３を有するとともに、中央部の流体
ポケツト内の圧縮された流体を吐出室２５へ吐出
する吐出孔２８４を有している。また室２９中に
は、可動スクロール部材３０が配置されている。
可動スクロール部材３０は側板３０１とその一面
に固定されたうずまき体３０２とからなり、うず
まき体３０２は、うずまき体２８２と180゜の角度
ずれをもつてかみ合わされて、両うずまき体の間
に流体ポケツトを形成している。うずまき体２８
２，３０２は、それぞれの軸方向端面に溝を形成
し、その中に、うずまき状のチイツプシール２８
５，３０４が嵌合されておりこれによつて各うず
まき体端面でのガス漏れを防止している。可動ス
クロール部材３０は、後述する駆動機構および回
転阻止機構に連結されていて、主軸１５の回転に
より、半径R₀の円軌道上を公転運動するように
なつており、これによつて、前述の流体圧縮が行
われる。

円軌道の半径R₀は一般に （うずまき体のピツチ）−２×（うずまき体の壁厚）
／２ で与えられる。

次に、可動スクロールの駆動機構を説明する。
フロントエンドプレート１２にボールベアリング
１４を介して支持された主軸１５の内端には大径
部１５１が形成されている。この大径部１５１
は、円筒部１１の前方開口中にボールベアリング
３１により回転可能に支持されている。ボールベ
アリング３１の内輪は大径部１５１に設けたカラ
ー１５２に当接し一方外輪は、円筒部１１の前方
開口に設けたつば１１１に当接している。またボ
ールベアリング１４の内輪は主軸の段部１５３に
当接し、外輪はフロントエンドプレート１２の開
口の肩部１２１に当接している。また大径部１５
１の先端面には、中心からずれた位置に駆動ピン
１５４が軸方向へ突出するように設けられてい
る。一方、可動スクロール部材３０の側板３０１
は、うずまき体３０２とは反対の面に円環状のボ
ス３０３を形成している。またボス３０３中に
は、肉厚の厚い円板状のブツシユ３３が嵌合さ
れ、ニードルベアリング３４を介して回転可能に
支持されている。ブツシユ３３は、バランスウエ
イト３３１を一体に有するとともに、前記駆動ピ
ン１５４を嵌合するための偏心孔を有している。
また３７が回転阻止機構で、同回転阻止機構３７
は固定部と可動部とから構成され、固定部は、円
筒部１１の端面に当接したリング状の固定レース
３７１と同固定レース３７１を覆うようにその端
面に当接した固定リング３７２とよりなり、互い
が円筒部１１に図示しないスプリングピンを介し
て固定されている。一方、可動部は、可動スクロ
ール部材３０の側板３０１寄りのボス３０３の外
周に当接したリング状の可動レース３７３と同可
動レース３７３を覆うようにその端面に当接した
可動リング３７４とよりなり、互いが側板３０１
に図示しないスプリングピンを介して固定されて
いる。前記固定リング３７２と可動リング３７４
には直径、ピツチ、ピツチ内の等しい複数のポケ
ツトが軸方向に穿孔され、該ポケツトにボール素
子３９が嵌入されている。

前記スクロール型圧縮機では、回転阻止機構３
７のボール素子３９に軸方向のすきまが、また可
動スクロール部材３０のうずまき体３０２の先端
チツプ側に組立上必要なすきまが発生する。この
種の圧縮機を自動車に搭載して使用する場合、自
動車の振動により前記すきま部分にフレツテイン
グ現象が発生して、異常音を生じたり、ベアリン
グ（ボール素子３９）の耐久性を著しく低下させ
るという問題があつた。

本案は前記の問題点に対処するもので、固定リ
ングと可動リングとの間に介装したベアリングを
その両側に配設した固定レースと可動レースとに
より保持するスクロール型流体機械の可動スクロ
ール部材回転阻止機構において、前記固定レース
と前記可動レースとを弾性材により軸方向に押圧
挾持したことを特徴とするスクロール型流体機械
の可動スクロール部材回転阻止機構に係り、その
目的とする処は、フレツテイング現象に基いて生
じていた異常音の発生、ベアリングの耐久性の低
下を防止できる改良されたスクロール型流体機械
の可動スクロール部材回転阻止機構を供する点に
ある。

次に本案のスクロール型流体機械の可動スクロ
ール部材回転阻止機構を第２図に示す一実施例に
より説明すると、１１がスクロール型流体機械の
円筒部、３７が回転阻止機構で、同回転阻止機構
３７は固定部と可動部とから構成され、固定部
は、円筒部１１の端面に当接したリング状の固定
レース３７１と同固定レース３７１を覆うように
その端面に当接した固定リング３７２とよりな
り、互いが円筒部１１に図示しないスプリングピ
ンを介して固定されている。一方は、可動部は、
可動スクロール部材のボス３０３の外周に当接し
たリング状の可動レース３７３と同可動レース３
７３を覆うようにその端面に当接した可動リング
３７４とよりなり、互いが側板（第１図の３０１
参照）に図示しないスプリングピンを介して固定
されている。また１００が上記円筒部１１に設け
た円環状の溝で、同溝１００には、リング状の弾
性材１０１（皿ばね、スプリング等）が入つてい
て、上記固定レース３７１と上記可動レース３７
３とが軸方向に押圧挾持されている。

本案のスクロール流体機械の可動スクロール部
材回転阻止機構は前記のように構成されており、
同流体機械が停止するなどして、両スクロール部
材により形成されたポケツトが加圧されていない
ときには、固定レース３７１が弾性材１０１によ
りボール素子３９の方向に押されて、ボール素子
３９との間のすきまがなくなる。またボール素子
３９可動レール３７３を介し可動スクロール部材
（第１図の３０参照が可動スクロール部材（第１
図の２８参照）の方向に押されて、うずまき体
（第１図の３０２参照）の先端チツプ側のすきま
がなくなる。従つて本案によれば、フレツテイン
グ現象に基いて生じていた異常音の発生、ベアリ
ング（ボール素子３９）の耐久性の低下を防止で
きる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスクロール型流体機械を示す縦
断側面図、第２図は本案に係るスクロール型流体
機械の可動スクロール部材回転阻止機構の一実施
例を示す縦断側面図である。 ３７……可動スクロール部材回転阻止機構、３
９……ベアリング、１０１……弾性材、３７１…
…固定レース、３７２……固定リング、３７３…
…可動レース、３７４……可動リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定リングと可動リングとの間に介装したベア
   リングをその両側に配設した固定レースと可動レ
   ースとにより保持するスクロール型流体機械の可
   動スクロール部材回転阻止機構において、前記固
   定レースと前記可動レースとを弾性材により軸方
   向に押圧挾持したことを特徴とするスクロール型
   流体機械の可動スクロール部材回転阻止機構。