JPH0130262Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のシート装置、特にシートバツ
クがシートボトムに対して傾動可能であり、シー
トを折り畳んで格納することのできる自動車のシ
ート装置に関する。

（従来技術） 一般に、バン型自動車では後部座席シートを折
り畳んで、はね上げ状態として格納して収納スペ
ースを設け、そのスペースに荷物等を積載するこ
とが可能になつている。

ところが、このような後部座席シートは、シー
トボトム（即ち、シート全体）を車体フロアに係
止するシートボトムロツクと、シートバツクをシ
ートボトムに係止するシートバツクロツクとを備
えているため、後部座席シートを折り畳んで格納
するには、２つのロツクを別々に解除しなければ
ならず、後部座席シートの折畳み格納作業が煩わ
しいという不具合があつた。実開昭56−3036号に
はレバーを操作することにより車体フロアとシー
トとの係合と、シートバツクの前傾ロツクを同時
に解除するようにした可倒式シートのロツク装置
が開示されている。しかしながらこの装置はリク
ライニング機構を有さないシートのみに使用可能
であるとともに、たとえリクライニング機構が設
けられたシートにこの装置を使用しても一旦リク
ライニング状態を解除した後シートバツクを折り
畳まなければならなく、折畳み格納作業が煩わし
いという問題があつた。

（考案の目的） 本考案の目的は、リクライニング機構を備えた
シート装置において、操作性よく、シートを折畳
み格納することのできる自動車のシート装置を提
供することにある。

（考案の構成） 本考案の自動車のシート装置は、車体フロアに
ほぼ平行に車幅方向に延びる軸線の回りに回動自
在のシートボトムと、このシートボトムに設けら
れたシートボトム側ナツクルプレートに後傾角を
複数段に調整するリクライニング機構を介して取
り付けられたシートバツク側ナツクルプレート
と、前記シートバツク側ナツクルプレートに揺動
自在に支持されたシートバツクと、前記シートボ
トムに取り付けられ、車体のフロアに設けられた
ストライカと係脱自在のロツクプレートと、前記
シートバツクに取り付けられ、前記シートボトム
側のナツクルプレートに係合して前記シートバツ
クの前傾を阻止する当接部を有するストツパープ
レートと、前記シートバツク側のナツクルプレー
トに取り付けられ、前記ストツパープレートの係
合部に係脱自在のフツク部とを有し、前記係合部
とフツク部との係合を解除しシートバツクを、前
記シートバツク側のナツクルプレートの上端部を
中心として前傾させる前傾操作レバーと、この前
傾操作レバーとリクライニング機構のナツクルレ
バーとを連結し、前傾操作レバー操作時にナツク
ルレバーを解除方向に作動する連係部材と、前記
シートバツク側ナツクルプレートに形成され、前
記シートバツク前傾時に前記ロツクプレートに当
接して前記ストライカとの係合を解除させるカム
部とからなることを特徴とする。したがつて、本
考案によると、リクライニング機構を備えたシー
トにおいて、シートがリクライニング状態にあつ
ても、前傾操作レバーを操作することによりその
リクライニング状態を解除することができ、ワン
タツチで、シートバツクを前倒可能状態にするこ
とができるとともに、車体フロアとのロツクを解
除することができるので極めて操作性よくシート
を折畳み収納することが可能となる。

（実施例） 以下、本考案を添付図面を参照して説明する。

第１図は、本考案のシート装置が備えられたバ
ン型自動車の概略側面図である。

バン型自動車１の後部座席シート２が本考案の
シート装置であつて、車体フロア７に取り付けら
れたシートボトム３に、リクライニング装置４を
介してシートバツク５が傾動可能に連結されてい
る。シートボトム３は、前側下部が支持部材６に
より車体フロア２に支持されているが、この支持
部材６の下端は取付ブラケツト８により回動自在
に支持されているので、シートボトム３は車体フ
ロア７と車幅方向にほぼ平行な軸線の回りに回動
可能にされている。

第２図は第１図の一部拡大図であり、本考案の
シート装置の主要部を示す。

シートバツク５に固着されたストツパーアーム
９は枢軸１０により回動可能にシートバツク５側
のナツクルプレート１１に取り付けられている。
このナツクルプレート１１はシートボトム３に固
着されたシートボトム３側のナツクルプレート１
２に枢軸１３によつて揺動自在に取り付けられて
いる。シートバツク５側のナツクルプレート１１
の下端の円弧状部分にはセクターギヤー１４が設
けられている。シートボトム側ナツクルプレート
１２にはこのセクターギヤー１４に歯合し、シー
トバツク５側のナツクルプレート１１の傾斜を固
定するロツクギヤー１５が揺動可能に取り付けら
れている。このロツクギヤー１５は枢軸１３に軸
支されたナツクルレバー１６を上方へ移動操作す
ると、ロツクギヤー１５の突出部１５ａがナツク
ルレバー１６の窓部１６ａに案内されて、セクタ
ーギヤー１４との歯合が解除されるようになつて
いる。ナツクルレバー１６は通常シートボトム側
のナツクルプレート１２との間に設けられたスプ
リング１７により下方に付勢されており、ロツク
ギヤー１５がセクターギヤー１４に歯合された状
態を保持しうるようになつている。シートボトム
３側のナツクルプレート１２にはロツクプレート
１８が揺動可能に設けられており、車体フロア７
に固設されたストライカ１９に係合してシートボ
トム３を車体フロア７にほぼ水平に保持しうるよ
うになつている。このロツクプレート１８はナツ
クルプレート１２との間に配されたスプリング２
０により付勢されることにより通常はストライカ
１９との係合を保持しうるようになつているが、
シートバツク側のナツクルレバー１１の下方のセ
クターギヤー１４の外方に設けられたロツク解除
用突起２１がロツクプレート１８の上端に当接す
ることによりロツクプレート１８とストライカ１
９との係合が解除される。

シートバツク５に固定されるストツパープレー
ト９は支軸１０の回りを自動可能にシートバツク
側のナツクルプレート１１に取り付けられている
が、このストツパープレート９はその一部に設け
られた突出部９ａがロツクプレート２２の溝に嵌
合されることによりシートバツク側のナツクルプ
レート１１と一体的に固定されている。ロツクプ
レート２２は通常スプリング２３により下方へ付
勢され、ロツクが保持されるようになつている。
このロツクプレート２２には前傾操作レバー２４
が付けられており、ストツパープレート９との係
合が解除されるようになつている。ロツクプレー
ト２２とナツクルレバー１６の間には連結ワイヤ
２５がわたされており、連結ワイヤ２５のインナ
ーケーブル２５ａの一端がロツクプレート２２に
接続されており、他端が、ナツクルレバー１６の
可動量以上の開口幅を有するスリツト部でナツク
ルレバー１６に取り付けられている。スパイラル
状のスプリング２６の一端がシートボトム側のナ
ツクルプレート１２に固定され、他端がシートバ
ツク側のナツクルプレート１１のバネ止め１１ａ
に固定されており、これによりナツクルプレート
１１を前傾方向に付勢している。ストツパープレ
ート９の先端の当接部９ｂはシートボトム側のナ
ツクルプレート１２に設けられた当接片１２ａに
より通常のシートバツク５の前傾が規制されるよ
うになつている。またシートバツク側のナツクル
プレート１１とシートボトム側のナツクルプレー
ト１２にはそれぞれ当接片１１ｂおよび１２ｂが
設けられており、ストツパープレート９とロツク
プレート２２との係合が解除された際のナツクル
プレート１１の前傾量を規制するようになつてい
る。

以上の様に構成された自動車のシート装置にお
いて、リクライニング機構は以下の様にして作動
する。第３図は、本考案のシート装置のリクライ
ニング機構を説明する側面図、第４図は第３図の
一部拡大図である。

ナツクルレバー１６を操作すると、これにとも
なつてロツクギヤー１５とセクターギヤー１４と
の歯合が解除され、シートバツク側のナツクルプ
レート１１は移動可能となるが、ストツパープレ
ート９の先端の当接部９ｂとシートバツク側のナ
ツクルプレート１２の当接部１２ａとが当接する
ことにより、前方への動きは規制され後方のみへ
移動可能となる。スプリング２６によつてシート
バツク５は前方へ付勢されるが、この付勢力に抗
してシートバツク５を後方へ傾斜させ、傾斜調節
範囲内の任意の位置でナツクルレバー１６を戻す
とその位置でシートバツク５の傾斜がロツクされ
る。リクライニング状態を解除する時はナツクル
レバー１６を操作すると、シートバツク５はスプ
リング２６の力によりストツパープレート９の先
端の当接部９ｂがシートバツク側１１のナツクル
プレート１２の当接部１２ａに当接するまで前方
へ移動する。

次に、シートの折り畳み機構を説明する。第５
図は、本考案のシート装置の折り畳み機構を説明
する側面図、第６図は第５図の一部拡大図であ
る。

前傾操作レバー２４を操作するとロツクプレー
ト２２とストツパーアーム９との係合が解除され
るとともに、同時に連結ワイヤ２５によりナツク
ルレバー１６が引き上げられ、ロツクギヤー１５
とセクターギヤー１４との歯合が解除される。こ
の状態でナツクルプレート１１はフリーとなる。
シートバツク側のナツクルプレート１１はスプリ
ング２６の反転力によりナツクルアーム１１とナ
ツクルアーム１２とにそれぞれ設けられた当接部
１１ｂと１２ｂとが当接するまで第５図の一点鎖
線で示されるように前傾する。シートバツク側の
ナツクルプレート１１の下端に設けられたロツク
解除用突起２１がロツクプレート１８の先端を蹴
ることにより、プレート１８とストライカ１９と
の係合が解除され、第５図の実線で示されるよう
に折りたたみ可能となる。即ち、本考案において
は、前傾操作レバー２４を操作することにより、
シートバツク５がリクライニング状態にあつても
そのリクライニング状態をワンタツチで解除する
ことができ、シートバツク５を前傾状態にするこ
とができる。

（考案の効果） 本考案においては、前傾操作レバーを操作する
ことにより、シートバツクがリクライニング状態
にあつても、ワンタツチによりそのリクライニン
グ状態を解除することができシートバツクを折り
畳むことができるとともに車体フロアとの係合を
同時に解除することができるので、極めて操作性
よくシートを折畳み格納することができるという
実用上優れた効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のシート装置が備えられたバ
ン型自動車の側面図、第２図は、本考案のシート
装置の主要部を示す側面図、第３図は、本考案の
シート装置のリクライニング機構を説明する側面
図、第４図は第３図の一部拡大図、第５図は本考
案のシート装置の折りたたみ機構を説明する側面
図、第６図は第５図の一部拡大図である。 １……バン型自動車、２……後部座席シート、
３……シートボトム、４……リクライニング装
置、５……シートバツク、６……支持部材、７…
…車体フロア、８……取付ブラケツト、９……ス
トツパアーム、１０……枢軸、１１……シートバ
ツク側のナツクルプレート、１２……シートボト
ム側のナツクルプレート、１３……枢軸、１４…
…セクターギヤー、１５……ロツクギヤー、１６
……ナツクルレバー、１７……スプリング、１８
……ロツクプレート、１９……ストライカ、２０
……スプリング、２１……ロツク解除用突起、２
２……ロツクプレート、２４……前傾操作レバ
ー、２５……連結ワイヤ、２６……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体フロアにほぼ平行に車幅方向に延びる軸線
   の回りに回動自在のシートボトムと、このシート
   ボトムに設けられたシートボトム側ナツクルプレ
   ートに後傾角を複数段に調整するリクライニング
   機構を介して取り付けられたシートバツク側ナツ
   クルプレートと、前記シートバツク側ナツクルプ
   レートに揺動自在に支持されたシートバツクと、
   前記シートボトムに取り付けられ、車体のフロア
   に設けられたストライカと係脱自在のロツクプレ
   ートと、前記シートバツクに取り付けられ、前記
   シートボトム側のナツクルプレートに係合して前
   記シートバツクの前傾を阻止する当接部を有する
   ストツパープレートと、前記シートバツク側のナ
   ツクルプレートに取り付けられ、前記ストツパー
   プレートの係合部に係脱自在のフツク部とを有
   し、前記係合部とフツク部との係合を解除しシー
   トバツクを、前記シートバツク側のナツクルプレ
   ートの上端部を中心として前傾させる前傾操作レ
   バーと、この前傾操作レバーとリクライニング機
   構のナツクルレバーとを連結し、前傾操作レバー
   操作時にナツクルレバーを解除方向に作動する連
   係部材と、前記シートバツク側ナツクルプレート
   に形成され、前記シートバツク前傾時に前記ロツ
   クプレートに当接して前記ストライカとの係合を
   解除させるカム部とからなることを特徴とする自
   動車のシート装置。