JPH0129899B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は立毛メリヤス布の生産、特にシングル
ジヤージイの立毛メリヤス布の生産のための編機
用シンカーに係る。すなわち該シンカーには、シ
ンカーの上部区域において、シンカーの長手軸方
向に沿いかつ編地側のシンカー端部に向けて延び
ている舌部が設けられて居り、下部シンカー区域
から遠い前記舌部の上部の糸引出用端縁部に、舌
部の前方端から間隔を取つて、立毛糸のループを
引くことを目的として上方に立上つた肩部が作ら
れている。これに関連して、シンカーの長手軸方
向の延長部はシンカーが編成中に位置変更される
方向に適用され、上部の端縁部が編成中に新たに
形成された立毛ループを有する側面に適用されそ
して立毛ループあるいは基布の編目のループを引
出すことを目的とするための肩部あるいは端縁部
は編地側面上でシンカー端部に最も近くあること
になる。

この種の公知のシンカー（独逸特許公開公報明
細書第2824314号）は、１個の部材から成り、上
部と下部のシンカーの区域の間に前方に開口した
スリツトが設けられて居り、該スリツトはシンカ
ーの底部区域において45゜の傾斜をしてシンカー
の中央部に大体収束する。前記45゜の傾斜すると
いう目的は編針が下方に引かれそしてシンカーが
前へ進められた時、編成される基布のための新し
く挿入された糸を連合した編針の頭部に押すこと
である。下部シンカー区域は上部シンカー区域の
上方に前方方向に突出した舌部を形成し、そして
前記舌部の上部端縁部は編成される基布の編目の
ための編成表面を形成し、一方上部シンカー区域
の引出し肩部の前方に配置された上部シンカー区
域の上部端縁部は立毛ループのためのシンカーの
編成表面を形成する。この公知のシンカーは２個
の欠点を有する。一方において公知のシンカーは
編成される基布における編目のループの長さとは
独立に立毛ループの長さを調節することは不可能
であり、そして他方において長いスリツトの区域
内で端縁部に丸味をつけることは労力を要するこ
とであるので公知のシンカーの生産は相対的に高
価につく。

編成される基布の編目のループの長さを変更す
る必要なしに、相対的に広い範囲で希望するよう
に立毛ループの長さを調節することが出来るよう
なシンカーを、シンカーの製造コストが低いにも
かかわらず、提供することが本発明の目的であ
る。前記した種類のシンカーはより改善されて、
前記問題点は上部と下部のシンカー区域が２個の
別箇の部分によつて形成されている本発明に従つ
て解決される。該２個の別箇の部分はシンカーの
長手軸方向の延長部に沿つて相対的に互いに摺動
可能でありそして、前記２個の別箇な部分の夫々
は作動用の足部または切欠部を有する。したがつ
てシンカーの上部部分の前方方向の摺動はシンカ
ーの下部部分の前方方向の摺動の大きさを無視し
て選択することが出来、その結果立毛ループは編
成される基布の編目のループより相対的に長く引
き出されることが出来る。さらに本発明によるシ
ンカーは２個の別箇の部材のどちらにもスリツト
を設ける必要がないので、高価になることなく製
造することが出来る。

公知のシンカーを装備した編機において、編成
される基布の編目のループの長さはとりわけ編成
された基布の新しく形成された編成ループに対す
る、前に形成された編目の位置に左右される。し
たがつて既に記載されたように、新しく挿入され
た基布用糸を針頭部の方へ押すことのための45゜
の傾斜が設けられる。本発明によるシンカーの好
ましい実施例において、下部シンカー部分には糸
引出用端縁部が設けられ、該端縁部は上部シンカ
ー部分に隣接して居り、かつシンカーの長手軸方
向を大体横ぎる方向に延び、そして編成される基
布の編目ループ用として作られている。その結果
編成される基布の編目のループの長さは下部シン
カー部分のストロークの長さによつて、立毛ルー
プの長さとは独立して、正確に定めることが出来
る。前方へ、すなわち編地への方向に向いた下部
シンカー部分の糸引出用端縁部は同時にシンカー
の前方端部になることが出来、即ち下部シンカー
部分の底部端縁部に隣接しかつ下部シンカー部分
を越えて前方に延びる他の機械部分が編成される
基布のループのために編成表面を形成する時に前
記糸引出用端縁部がシンカーの前方端部になる。
前記編成表面は円形編機のニードルシリンダの上
部端縁部であることが出来る。一方、本発明の他
の特徴によれば、下部シンカー部分には糸引出用
端縁部から前方に延びそして上部シンカー部分と
共に前方に開口しかつ糸引出用端縁部で終るスリ
ツトを形成する舌部が設けられる。

本発明のシンカーでは、２個のシンカー部分が
シンカーの長手軸方向に従つて延びるそれぞれの
端縁部によつて相互に滑動可能なように重なり合
つた状態でシンカーリングに設けられたただ１個
スリツト内に配置されていることを特徴とする。

本発明の他の特徴、利点および詳細について
は、下記の記載と本発明によるシンカーの２種類
の好ましい実施例について添付図において明らか
にされる。

第１図はニードルシリンダ１０の１部分を示
し、該ニードルシリンダの円周面には通常の方法
で針案内用細長板１２が挿入されて居り、該細長
板１２の間で編針１４が垂直方向に摺動可能に案
内されている。前記ニードルシリンダ１０はシリ
ンダ支持用環状部材１６上にのせられている。

ニードルシリンダ１０はシリンダカム支持部材
２０上にのせられているシリンダカム部材１８に
よつて同心的に囲まれている。ニードルシリンダ
に最も近い側面上で、シリンダカム部材１８がシ
リンダカム２２，２４，２６を支え、該複数のシ
リンダカムによつて複数の編針１４の運動が通常
の方法で制御される。シンカーリング３０、シン
カーカム部材３２およびシンカーカム支持部材３
４がまたニードルシリンダ１０のまわりに同心的
に配置される。シンカーリングの上面上におい
て、シンカーリングには半径方向に延びる複数の
案内スリツト３８が設けられ、該案内スリツト内
で本発明による複数のシンカー４０が半径方向に
摺動可能に配置される。シンカーカム部材３２の
下側面に載置されているシンカーカム４２，４４
がシンカーの運動を制御するために設けられる。
ニードルシリンダ１０の上部区域内におけるスリ
ツト４５はシンカーリング３０の案内スリツト３
８と同一平面で一直線に並んで居り、その結果シ
ンカー４０がニードルシリンダの区域へ進められ
ることが出来る。

引続いて説明される方法で編針１４に編糸を挿
入する糸ガイド４６が、円形編機の編システムの
ために、すなわち編糸供給手段のために、通常の
方法でまた設けられる。ニードルシリンダ１０は
また編地４８を編針１４から水平方向に引渡すこ
とが出来る支持用環状部材５０を支える。

普通には、ニードルシリンダ１０とシンカーリ
ング３０が複数の編針１４と複数のシンカー４０
と共に回転し、一方シリンダカム部材１８とシン
カーカム部材３２は静置している。併しながら反
対の手順を採用することが出来そしてこの場合シ
リンダカム支持部材２０とシンカーカム支持部材
３４が駆動される。

第２図を参照して理解することが出来るよう
に、本発明による複数のシンカー４０は２個の部
分、すなわち上部シンカー部分５４と下部シンカ
ー部分５６から成り、該両方のシンカー部分はシ
ンカーリング３０の案内スリツト３８の中で案内
されかつ保持される（第１図参照）。前記シンカ
ー部分の夫々には切欠部５８または切欠部６０が
設けられ、該切欠部の中にシンカーカム４２，４
４の１個づつ係合し、その結果前記２個のシンカ
ー部分は第２図において示される矢印の方向に互
いに独立して前進させられそして、反対方向に独
立して引戻されることが出来る。上部シンカー部
分５４の底部長手方向端縁部６１は下部シンカー
部分５６の上部長手方向端縁部６２上を滑走す
る。

本発明によれば上部シンカー部分５４の前部区
域は上方に突出した肩部６４を有し、該肩部６４
は、後に説明されるように、立毛用ループのため
の糸引出用端縁部６６を形成する。本発明によれ
ば下部シンカー部分５６はまた編成される基布地
の編目ループのための前方に向いた糸引出用端縁
部７０を形成する肩部６８を有する。最后に前記
糸引出用端縁部の前方において、２個のシンカー
部分には編成表面７２，７４が設けられ、該編成
表面は前方に延びる舌部材７６，７８の上部端縁
部によつて形成されている。

前記下部シンカー部分５６の舌部７８は糸引出
用端縁部７０から前方に延びて形成されているの
で、この舌部７８は上部シンカー部分５４との間
に前方が開放したスリツトを形成する。

このスリツトの上方端縁部すなわち上部シンカ
ー部分５４の下方端縁部は、編針１４が上昇する
間に基布地の最後の編目が編針１４のはね返えよ
うにするベラ１４ａによつて上昇させられるのを
防ぐのに役立つ。又スリツトの下方端縁部すなわ
ち下部シンカー部分５６の上方端縁部は前述のよ
うに基布地の編目ループの編成表面７４であると
共に、編地４８が支持用環状部材５０によつて取
上げられる迄編地４８を支えて編地の受渡しを円
滑にするのに役立つ。したがつてこのようなスリ
ツトを上下のシンカー部分間に設けることによつ
て、立毛メリヤス布のより一層の安定した生産を
行うのに役立つ。

本発明によるシンカーを用いて立毛メリヤス布
を製造する手順は次に主として第３ａ図乃至第３
ｆ図を参照して説明される。

第３ａ図は基布メリヤス地のための糸８０用の
糸ガイド４６と立毛糸８２のための糸ガイド４６
ｂを示す。基布編目８４と立毛ループ８６を有す
る既に形成された編地もまた示されている。前記
２個のシンカー部分５４，５６は夫々の右手側の
最遠地点にあり、編針１４は開いた状態のベラ１
４ａを有して編成位置にあり、該ベラの下方にお
いて最后に形成された立毛ループ８６および最后
に形成された基布編目８４が針幹１４ｃを囲んで
いる。糸ガイド４６が基布糸８０および立毛糸８
２を供給した後、上部シンカー部分５４は駆動さ
れて肩部６４が針のフツク１４ｂの下方に置かれ
る迄前方に摺動し、一方下部シンカー部分５６は
僅かの距離だけ駆動される（第３ｂ図参照）。そ
れから編針１４は下げられ、その結果針は上部シ
ンカー部分５４の編成表面７２を越えて立毛ルー
プの形成を始め、そして前記作動の間において上
部シンカー部分５４はその位置に留まり、一方下
部シンカー部分５６はさらに駆動されて前方に摺
動しそして基布糸８０の針の首部のまわりに置
く。同時に最后に形成された立毛ループ８６内の
最后に形成された基布編目８４が上方への方向で
滑走しそして針のベラ１４ａを閉じる（第３ｃ図
参照）。それから編針は希望する沈降深さ迄下げ
られ、その結果新しく結成された編目ループを越
えて前の基布編目８４と前の立毛ループ８６の編
成をすることになり、同時に下部シンカー部分５
６が前方への摺動を始める（第３ｄ図を参照）。
上部シンカー部分５４がさらに前方に摺動するこ
とが（第３ｅ図を参照）新しく形成された立毛ル
ープ８６を希望する長さだけ引張ることを与え、
一方下部シンカー部分５４は編成するのを助ける
のに機能するのに必要な距離だけ前へ摺動するよ
うに駆動される（第３ｅ図参照）。それから再び
編針１４は上方に駆動され、一方上部シンカー部
分５４は前方への摺動のために駆動を続けられ、
他方下部シンカー部分５６は既に引き戻されてい
る。編針１４が外に出されるに従い、新しく編成
された立毛ループと基布編目のループが、針のベ
ラ１４ａを開きそして針の編成位置に関する先に
進む運動の過程において２本のループは針のベラ
の下方針幹１４ｃ迄滑走する（第３ｆ図および第
３ａ図参照）。

第４図は第１図から第３ｆ図において説明した
本発明の実施例のシンカーの構成を一部修正した
シンカーの例であり、このシンカーにおいて下部
シンカー部分５６′には舌部材７８（第２図参照）
に対応する突起体がなく、単にノツチ状に形成さ
れた糸引出用端縁部７０′を有する。したがつて
本実施例におけるニードルシリンダ１０′の上部
端縁部１０a′は編成表面として機能しそして最初
の実施例の下部シンカー部分５６の編成表面７４
と代えて用いられる。

本発明は勿論円形編機のみに限定されず、例え
ば横編機や他の編目形成機に本発明によるシンカ
ーを装備することが出来る。さらに本発明による
シンカーはベラ針と協働するのみならず、例えば
いわゆる組合せ針とも協働することが出来る。

本発明を用いて円形編機で製造される編地と同
等の品質で立毛編を編むことが可能であり、その
結果編地の裏面上に立毛糸がしみ出ることと立毛
糸のループが位置および形について不規則である
こととが避けられる。さらに本発明は編糸供給口
数を多くすること、高回転速度したがつて高生産
を可能にする。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるシンカーを装備した円形
編機の一部分を示す軸方向断面図である。第２図
は第１図に示された本発明によるシンカーの実施
例を示す拡大図である。第３ａ図より第３ｆ図は
本発明によるシンカーを用いての立毛メリヤス布
の生産における編目編成作動の異つた段階を示
す。第４図は本発明によるシンカーの構成を一部
修正したシンカーを用いた場合の第３ｆ図に大体
対応する図である。 １０……ニードルシリンダ、１２……針案内用
細長板、１４……編針、１４ａ……ベラ、１４ｂ
……フツク、１４ｃ……針幹、１６……シリンダ
支持用環状部材、１８……シリンダカム部材、２
０……シリンダカム支持部材、２２，２４，２６
……シリンダカム、３０……シンカーリング、３
２……シンカーカム部材、３４……シンカーカム
支持部材、３８……案内スリツト、４０……シン
カー、４２，４４……シンカーカム、４５……ス
リツト、４８……編地、４６……糸ガイド、５０
……支持用環状部材、５４……上部シンカー部
分、５６……下部シンカー部分、５８，６０……
切欠部、６１……底部長手方向端縁部、６２……
上部長手方向端縁部、６４，６８……肩部、６
６，７０……糸引出用端縁部、７２，７４……編
成表面、７６，７８……舌部、８０……基布糸、
８２……立毛糸、８４……基布編目、８６……立
毛ループ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上部シンカー区域がシンカーの長手軸方向で
   編地側すなわちシンカーの前端部に向う方向に延
   びる舌部を有し、前記舌部の下部シンカー区域と
   は反対側の上部端縁部には、舌部の前端部から或
   る距離をおいて、立毛糸のループを引出すための
   上方に立上つた肩部が設けられており、上部シン
   カー区域および下部シンカー区域がそれぞれシン
   カー長手軸方向に互いに相対的に移動可能な別体
   のシンカー部分によつて形成されており、該シン
   カー部分のそれぞれには作動用切欠部が設けら
   れ、前記下部シンカー部分には前記上部シンカー
   部分に隣接し且つシンカーの長手軸方向とほぼ直
   交して延びて基布用編目の編目ループを引出すた
   めの糸引出用端縁部が設けられている立毛メリヤ
   ス布を製造するための編機用シンカーにおいて、 前記２個のシンカー部分５４，５６がただ１個
   のシンカーリング３０の同じ一つのスリツト３８
   内に、それぞれのシンカーの長手軸方向に延びる
   上部シンカー部分５４の底部長手方向端縁部６１
   と下部シンカー部分５６の上部長手方向端縁部６
   ２が相互に滑動可能なように重なり合つた状態で
   配置され、且つ下部シンカー部分５６に糸引出用
   端縁部７０から前方に延びる舌部７８が設けられ
   ており、該舌部７８が上部シンカー部分５４と共
   に、前方が開放して前記糸引出用端縁部７０に達
   するスリツトを形成することを特徴とする立毛メ
   リヤスを製造するための編機用シンカー。