JPH0128852B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は、汚泥ケーキ等に対する流動層焼却炉
の操業方法に関する。

［発明の技術的背景とその問題点］ 近年、汚泥の焼却に際し、流動層焼却炉が多用
されている。

第３図にその代表例を示した。すなわち、炉本
体１内に分散板２が設けられ、その上部には砂等
の流動媒体３が予め装填され、下部の送気室４を
介して炉本体１外で充分に加熱され、炉本体１内
の流動媒体３によつて被焼却物である汚泥Ｓに対
し、着火可能となる熱風に生成して、吹込まれる
空気Ａによつて流動媒体３が流動化され、流動層
Ｍが形成される。汚泥Ｓは流動層上へ、フイダー
５により供給される。

この種の流動層炉にあつては、燃焼を円滑にす
るために、流動層Ｍに対して重油等の補助燃料Ｏ
が吹込まれる。この場合、第３図に示すように、
従来は、流動層Ｍの下部、たとえば流動層Ｍの高
さが2000mmである場合、多孔板２の上面より400
mmの位置に吹込管５０が設けられていた。また、
補助燃料Ｏの供給量は、流動層Ｍおよびフリーボ
ード部に設けた温度検出器６，７からの信号をセ
レクタ８を介して受けて、温度調節器９により、
補助燃料供給配管１０に設けた調節弁１１の開度
を調節することにより行なわれている。１２はポ
ンプである。

この従来の流動層焼却炉では次のような運転を
行なう。すなわち、第２図を参照しながら説明す
れば、まず補助燃料Ｏの供給を開始し、流動層部
およびフリーボード部の昇温を開始する。次い
で、流動層温度が汚泥の着火温度、たとえば約
650℃程度まで上昇すれば、汚泥Ｓを投入できる
が、フリーボード部温度が750℃以上ないと、汚
泥が完全燃焼しないので、排ガス中に未燃の有害
物質が移行し、公害の虞れがあるため、さらに昇
温を続行し、流動層部およびフリーボード部共に
約750℃以上に昇温するのを待つて、汚泥の投入
を開始する。この場合、汚泥の燃焼がフリーボー
ド温度を引き上げるため、汚泥を多量に投入する
と、フリーボード部温度は上昇し過ぎて、炉体の
損傷を招く虞れがあるので、汚泥を少量づつ投入
しながら、流動層部温度およびフリーボード部温
度が安定するのを待つて、定格量の投入量に移
る。

しかし、これでは、定格量の投入に移るまであ
まりにも長い時間を要し、燃料使用量が多くなる
ばかりでなく、焼却量も少ないので、全体として
焼却能率が悪い。

［発明の目的］ 本発明の目的は、前記従来の問題点を解決し、
定常運転に移行するまでの間における焼却処理能
力が向上し、しかも補助燃料使用量が低下する流
動層焼却炉の操業方法を提供することにある。

［発明の概要］ この目的を達成するための本発明の操業法は、
補助燃料を炉内に供給する補助燃料供給系を少な
くとも上下各位置に配設した流動層焼却炉の操業
に当たつて；少なくとも流動層部内の上部および
下部に対して補助燃料の供給系を設けておき、焼
却運転開始時には主として上部補助燃料供給系か
ら補助燃料を供給し、フリーボード部の急速な昇
温化を図り、フリーボード部の温度が所定温度に
なつた時点で、被燃焼物を炉内に投入し、その後
補助燃料の供給を主として下部補助燃料供給系か
らの供給に切替えることを特徴とするものであ
る。

すなわち、本発明は次の知見および思想に基い
ている。つまり、流動層部の上部に補助燃料を吹
込むと、下部に吹込む場合と比較して、フリーボ
ード部で燃焼する割合が高くなり、フリーボード
部の温度が主に昇温され、流動層部の温度はあま
り昇温しない。これに対して、流動層の下部に補
助燃料を吹込むと、フリーボード部の温度は上り
難く、流動層部の昇温に専ら寄与する。

かかる知見と、汚泥の投入には流動層温度が約
650℃以上であることが要請され、さりとてフリ
ーボード部の温度は炉体の損傷防止の点から約
850℃以下にすることが必要である背景に照らせ
ば、まず流動層の上部に補助燃料を吹込み、主に
フリーボード部の温度を有害物質の発生を防止で
きる温度まで速かに昇温させ、汚泥の投入開始時
点を早め、汚泥の投入直後に流動層の下部からの
吹込みに切替えて、フリーボード部の温度の上り
過ぎを防止し、炉体の損傷を防止しつつ、しかも
投入汚泥の着火に必要な流動層部温度以上を維持
するようにすると、汚泥の投入時点が早まり、し
かも炉体の損傷の虞れが解消されるので、当初か
ら多量の汚泥の投入が可能となり、さらにフリー
ボード部温度が所定温度になつた後は、少量の補
助燃料の供給量でも、所定の流動層部温度を維持
できるので、補助燃料の使用も低減する。

［発明の具体例］ 以下本発明を第１図に示す具体例によつてさら
に詳説する。

第１図において、従来例と同一部位には同一符
合を示し、説明を省略する。

ホツパー１３からの汚泥Ｓは、フイーダ１４か
らコンベア１５を介して炉体１内へ供給される。
１６は汚泥供給量調節器で、コンベアスケール等
の秤量機１７からの信号を受けて、フイーダ１４
の切出量を調節する。

本発明によれば、補助燃料の上部供給管１８お
よび下部供給管１９が設けられる。また炉の大き
さ、被燃焼物の特性などの点で、フリーボード部
の初期の昇温が速やかに得られないのであれば、
必要に応じて、流動層部内の上部供給管１８とと
もに、助燃のために流動層部表面上の直近にフリ
ーボード部供給管２０を設ける。各供給管１８，
１９に対する流路の切替え、および燃料制御は調
節弁２１，１１によつて行なわれる。２２は補助
弁である。

操業に当つては、まず上部供給管１８から補助
燃料を供給し、フリーボード部がたとえば約730
〜800℃、通常約750℃程度となつた時点で、汚泥
の投入を開始した後、直に下部供給管１９からの
吹込みに切替える。

ここで、下部供給管１９の位置は、多孔板２上
の分散傘（図示せず）の真上位置とされる。上部
供給管１８の位置は、下部供給管１９の位置より
上位であれば限定されるものではなく、たとえば
それより300mm程度上位であつても、かなりの効
果がみられる。しかし、一般には、Ｈ／３〜Ｈの
高さ範囲が好ましい。フリーボード部の昇温を早
めるために、フリーボード部供給管２０からの吹
込みを併用してもよい。

［実施例］ 次に実施例によつて、本発明の効果を明らかに
する。

流動層高さ約2000mmの100T／Day（脱水ケーキ
基準）規模の流動層炉に対して、分散板上400mm
に下部供給管を、それより300mm高位に上部供給
管を設け、第２図に示すパターンの操業を行つ
た。

第２図によると、説明を加えるまでもなく、焼
却能力が著しく向上し、しかも補助燃料の使用量
が大幅に低減することが判る。

［発明の効果］ 以上の通り、本発明は、焼却処理能力の向上
と、補助燃料使用量の低減に寄与するところが大
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の具体例を示す概要図、第２図
は従来例と本発明例との操業パターンの比較図、
第３図は従来例の概要図である。 ３……流動媒体、９……温度調節器、１８……
上部供給管、１９……下部供給管、Ａ……空気、
Ｓ……汚泥、Ｏ……補助燃料、Ｍ……流動層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 補助燃料を炉内に供給する補助燃料供給系を
   少なくとも上下各位置に配設した流動層焼却炉の
   操業に当たつて；少なくとも流動層部内の上部お
   よび下部に対して補助燃料の供給系を設けてお
   き、焼却運転開始時には主として上部補助燃料供
   給系から補助燃料を供給し、フリーボード部の急
   速な昇温化を図り、フリーボード部の温度が所定
   温度になつた時点で、被燃焼物を炉内に投入し、
   その後補助燃料の供給を主として下部補助燃料供
   給系からの供給に切替えることを特徴とする流動
   層焼却炉の操業方法。