JPH0128192Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えばテラスやベランダなどのよう
な片持スラブを構築するための型枠の支持構造、
詳しくは、プレキヤスト（以下、PCと記載す
る。）製壁体に沿つて配置される片持スラブ用型
枠の支持構造の改良に関する。

かかる支持構造は、従来次のような構成を有し
ていた。

即ち、第１図に示すように、片持スラブ用型枠
ａの下面に配した多数の根太ｂを支持する大引ｃ
の先端側と元端側とを、夫々既設階の片持スラブ
上に立設したポストｄ，ｄで支持していたもの
で、片持スラブ用型枠ａの元端とPC製壁体ｅの
側面との隙間からのコンクリートノロの流出し防
止は、図示の通り、桟木ｆをコンクリート釘ｇで
PC製壁体ｅの側面に打ち付け、桟木ｆに片持ス
ラブ用型枠ａを釘止めすることによつて行なわれ
ていた。

しかしながら、かかる従来構造のものでは、次
のような種々の欠点があつた。即ち、 (ア) 桟木ｆをコンクリート釘ｇ……にて壁体ｅに
取付けるため、その取付け工事に比較的手間を
要すると共に、PC製壁体ｅ表面に多くの醜い
傷を残してしまうこと。

(イ) 型枠ａの設置レベルを精度良くするために
は、桟木ｆの壁体ｅへの取付け精度に十分気を
付ける必要があり、この意味からも桟木ｆの取
付け工事はかなり面倒なものであること、およ
び (ウ) 型枠ａの先端側と元端側とが夫々ポストｄ，
ｄで支持される構造であるため、型枠ａ下方の
通路が非常に狭くなつてしまい、資材の運搬な
どに不便で、施工能率の低下を招くと共に、安
全性の面でも不利であること、 (エ) 桟木ｆの長手方向複数個所を壁体ｅに釘止め
しても、桟木ｆにソリが生じている場合、桟木
ｆと壁体ｅ側面との間に隙間が生じやすく、コ
ンクリートノロが流れ出すことがあること、 等である。

本考案は、かかる従来欠点を一挙に解消するこ
とを目的としてなされたものであつて、施工が容
易で、施工精度および施工能率の向上を容易に実
現でき、しかも、コンクリートノロの流出しを確
実に防止できる安全性の面でも有利な片持ちスラ
ブ用型枠の支持構造を提供せんとすることにあ
る。

以下、先ず本考案の一実施例を図面（第２図乃
至第４図）に基いて説明する。

１はPC製の壁体であつて、その壁面の所定高
さ位置（この例では上下２箇所）に予めナツト状
金物２…が埋設されている。この上下１組のナツ
ト状金物２…は壁体１の幅方向において適宜間隔
を置いて複数組設けられているものである。そし
て、これらナツト状金物２…に対して螺合可能な
ボルト３…によつて、型枠支持金物Ａが、壁体１
に固定されている。４は片持スラブ用型枠、５は
鋼管製根太、６は鋼管製大引である。

前記型枠支持金物Ａは、第３図に示すように、
上下方向２箇所にボルト挿通孔７…を有する垂直
材８と、その上端近傍部から水平に突設された水
平材９と、その先端と前記垂直材８の下端とにわ
たつて設けられた斜材１０とを備えており、前記
垂直材８の上端には、水平部１１ａとその先端か
ら立ち上つた立上り部１１ｂとから成るＬ字状部
材１１が溶接されている。また、前記水平材９の
先端部両側には、第３図、第４図に示すように、
一対の突片１２，１２が溶接されている。これら
の突片１２，１２は、水平材９に支持された大引
６の元端側の外れ落ちを防止する役目を果たすも
のである。

各型枠支持金物Ａ…のＬ字状部材１１…の水平
部１１ａ…間には、側面全域にゴム板等の弾性体
１３が接着剤等で取り付けられている桟木１４
を、桟木１４他端面が前記立上り部１１ｂで押圧
され、前記弾性体１３が前記壁体１の側面に圧接
した状態に載置されている。即ち、Ｌ字状部材１
１に弾性体１３付きの桟木１４を載せ、前記ボル
ト３をナツト状金物２にねじ込むことによつて、
上記の圧接状態となり、桟木１４にソリがあつて
も、壁体１側面との間に隙間が生じないように配
慮してある。

大引６の先端側は、既設階の片持スラブ上に立
設したポスト１５によつて支持され、元端側は前
記型枠支持金物Ａの水平材９上面で支持されてい
る。

以上、実施例に基いて説明した通り、本考案に
よる片持スラブ用型枠の支持構造は、複数のボル
ト挿通孔を有する垂直材と、その上端近傍部から
水平に突設された水平材と、その先端と前記垂直
材の下端とにわたつて設けられた斜材とを備え、
前記垂直材の上端には、水平部とその先端から立
ち上つた立上り部とから成るＬ字状部材を設けて
成る型枠支持金物の複数個を前記壁体の側面に、
当該壁体に予め埋設されたナツト状金物に螺合す
るボルトにて取り付け、各型枠支持金物のＬ字状
部材の水平部間にわたつて、側面に弾性体が取り
付けられた桟木を、その他側面が前記立上り部で
押圧され、前記弾性体が前記壁体の側面に圧接し
た状態に載置し、前記桟木の上面に片持スラブ用
型枠を釘止めすると共に、片持スラブ用型枠の下
面に配した根太を支持する大引の先端側をポスト
で支持し、元端側を前記型枠支持金物の水平材で
支持してあることを特徴とするものである。

従つて、本考案によれば、上記の特徴的構成に
よつて、次の如き作用効果を奏し得るのである。

即ち、片持スラブ用型枠の元端側がPC製壁体
に取付けた型枠支持金物によつて支承されるの
で、従来必要としていた元端側のポストを不要に
できて、型枠の下方に広い通路スペースを確保で
きるようになり、資材の運搬や仕上げ工事といつ
た他の作業を行ない易く、施工能率および安全性
を大幅に向上させられるようになり、また、前記
型枠支持金物を、壁体の所定位置に予め設けられ
ているナツト状金物に対してボルトにより取付け
る構成であるため、従来のような面倒なレベル調
整を行なわなくても、自ずと精度良い設置レベル
が確保でき、この意味からも一層の施工能率の向
上が図れるのである。殊に、型枠支持金具には、
垂直材上端にＬ字状部材を設けて、側面に弾性体
を取り付けた桟木を、桟木他端側面がＬ字状部材
の立上り部で押圧され、弾性体がPC製壁体側面
に圧接した状態に載置し、桟木上面に片持スラブ
用型枠を釘止めするようにしたので、コンクリー
ト釘で桟木を壁体の側面に固定していた従来構造
のような壁体の傷付きがなく、しかも、桟木に多
少のソリがあつても、弾性体が壁体側面とよく密
着し、ノロの流出を確実に防止できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の片持スラブ用型枠の支持構造
を説明するための一部断面側面図である。そし
て、第２図乃至第４図は、本考案に係る片持ちス
ラブ用型枠の支持構造の一実施例を示し、第２図
は一部断面側面図、第３図は要部の一部断面拡大
側面図、第４図は第３図の−線断面図であ
る。 １……壁体、２……ナツト状金物、３……ボル
ト、４……片持スラブ用型枠、５……根太、６…
…大引、７……ボルト挿通孔、８……垂直材、９
……水平材、１０……斜材、１１……Ｌ字状部
材、１１ａ……水平部、１１ｂ……立上り部、１
３……弾性体、１４……桟木、１５……ポスト、
Ａ……型枠支持金物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレキヤスト製壁体１に沿つて配置される片持
   スラブ用型枠４の支持構造であつて、複数のボル
   ト挿通孔７を有する垂直材８と、その上端近傍部
   から水平に突設された水平材９と、その先端と前
   記垂直材８の下端とにわたつて設けられた斜材１
   ０とを備え、前記垂直材８の上端には、水平部１
   １ａとその先端から立ち上がつた立上り部１１ｂ
   とから成るＬ字状部材１１を設けて成る型枠支持
   金物Ａの複数個を前記壁体１の側面に、当該壁体
   １に予め埋設されたナツト状金物２に螺合するボ
   ルト３にて取り付け、各型枠支持金物ＡのＬ字状
   部材１１の水平部１１ａ間にわたつて、側面に弾
   性体１３が取り付けられた桟木１４を、その他側
   面が前記立上り部１１ｂで押圧され、前記弾性体
   １３が前記壁体１の側面に圧接した状態に載置
   し、前記桟木１４の上面に片持スラブ用型枠４を
   釘止めすると共に、片持スラブ用型枠４の下面に
   配した根太５を支持する大引６の先端側をポスト
   １５で支持し、元端側を前記型枠支持金物Ａの水
   平材９で支持してあることを特徴とする片持スラ
   ブ用型枠の支持構造。