JPH0127598Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、マイクロ波加熱装置の扉側に設けた
高周波減衰器及び電波吸収部材により電波漏洩を
良好に防止したマイクロ波加熱装置の電波漏洩防
止構造の改良に関する。

（考案の概要） 本考案は、加熱室の開口部に金属枠状部を有す
る扉を開閉自在に設けたマイクロ波加熱装置の電
波漏洩防止構造において、扉側金属枠状部を高周
波減衰器として利用するとともに金属枠状部の外
縁端に折り曲げ部を形成し、該折り曲げ部に電波
吸収部材を配置し、扉閉成時に該電波吸収部材が
加熱室開口部端面に接触もしくは近接対向するよ
うにして、マイクロ波加熱装置のマグネトロンの
基本波は勿論高調波までも良好に減衰させるよう
にしたものである。

（従来の技術） 従来、いわゆる電子レンジと呼ばれるマイクロ
波加熱装置の扉部分からの電波漏洩を防止するた
めの構造としては、第２図に示すものが本出願人
により開発が考慮されていた。この図において、
１はマイクロ波加熱装置の加熱室であり、該加熱
室１の前面開口に対し開閉自在に扉２が設けられ
ている。扉２の周縁部は金属枠状部３Ａにプラス
チツクカバー４を被せた構造となつており、該枠
状部３Ａの内縁側対向面５は前記加熱室１の開口
部端面（加熱室内面とともに金属製である）６に
微少間隔で対向している。そして、金属枠状部３
Ａの外縁端には扉閉成時に開口部端面６に対向す
る内向き折り曲げ部１５が形成され、該内向き折
り曲げ部１５に電波吸収部材１６が固着されてい
る。また、前記金属枠状部３Ａの内部の空間はマ
イクロ波加熱装置のマグネトロンの基本波のλ／
４（λ：空気中での波長）の奇数倍の高周波減衰
器７を構成している。該高周波減衰器７は加熱室
の開口部端面６側に開口しており、加熱室内面８
と扉内側面との交点Ａ（電波漏洩通路の入り口に
相当する）から高周波減衰器７の開口に位置する
点Ｂとの間の距離をやはりλ／４の奇数倍とし、
扉側の高周波減衰器７と点Ａ，Ｂ間の距離とで全
体としてλ／２の電波の迷路、すなわちチヨーク
減衰器を構成するようにしている。換言すれば、
Ａ点の電界が零、Ｂ点での電界が最大なるように
設定する。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、最近衛星放送が実用化されるに至つ
ており、マイクロ波加熱装置の高調波成分（12G
Hz程度）による受信妨害が問題となつている。こ
のため、その高調波成分の漏洩防止をも考慮した
効果的な電波漏洩防止対策が望まれている。しか
しながら、第２図の従来の構成であると、扉側金
属枠状部３Ａの外縁端より放射される電波を電波
吸収部材１６で吸収するのであるが、単に折り曲
げ部１５の部分のみに電波吸収部材１６を配置し
ただけでは、マグネトロンの基本波から高次の高
調波成分全般にわたり充分な減衰を得ることが困
難であることが判明した。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記の点に鑑み、加熱室の開口部に
金属枠状部を有する扉を開閉自在に設け、該扉の
金属枠状部内部に略λ／４（λ：空気中での波長）
の奇数倍の高周波減衰器を形成し、かつ該金属枠
状部の外縁端に前記扉閉成時に前記加熱室開口部
端面に対向する外向き折り曲げ部を形成し、該外
向き折り曲げ部及び前記金属枠状部内面の高周波
減衰器における電界最大点近傍に延在する如く電
波吸収部材を断面Ｌ字型に配置し、前記扉閉成時
において前記電波吸収部材が前記加熱室開口部端
面に接触もしくは近接対向するようにして、マグ
ネトロンの基本波のみならずその波長の短い高調
波成分に対しての電波漏洩防止性能の向上を図つ
たマイクロ波加熱装置の電波漏洩防止構造を提供
しようとするものである。

（作用） 本考案の場合、高周波減衰器をなす金属枠状部
と加熱室開口部端面との間隙が電波吸収部材で実
質的に閉塞されるため、波長の短い高次の高調波
に対しても充分な電波漏洩防止作用がある。ま
た、金属枠状部内面に延長した電波吸収部材の部
分においても高周波減衰器内の電波を吸収でき、
基本波から高次の高周波まで効果的に減衰させ得
る。

（実施例） 以下、本考案に係るマイクロ波加熱装置の電波
漏洩防止構造の実施例を図面に従つて説明する。

第１図において、マイクロ波加熱装置の加熱室
１の前面開口に対し開閉自在に扉２が設けられて
いる。扉２の周縁部は金属枠状部３Ｂにプラスチ
ツクカバー４を被せた構造となつており、該枠状
部３Ｂの内縁側対向面５は前記加熱室１の開口部
端面（加熱室内面とともに金属製である）６に微
少間隔で対向している。そして、金属枠状部３Ｂ
の外縁端には扉閉成時に開口部端面６に対向する
外向き折り曲げ部１７が形成され、該外向き折り
曲げ部１７に多少の弾性を有する断面Ｌ字状電波
吸収部材１８が固着されている。ここで、電波吸
収部材１８の一部は高周波減衰器７をなす枠状部
内面の電界最大点近傍に延在している。電波吸収
部材１８の材質は、フエライト粉末、カーボニル
鉄粉のいずれか一方もしくは両方と樹脂又はゴム
との混合体、あるいはそれらの混合体にさらにカ
ーボン粉末を添加したものである。この電波吸収
部材１８は扉閉成時において開口部端面６に密接
もしくは近接対向（12GHz程度の高調波の波長に
比べて充分小さな間隔となるように）して、枠状
部３Ｂの外向き折り曲げ部１７と開口部端面６と
の間隙を実質的に閉塞するものである。本実施例
では、電波吸収部材１８の厚みL₁を３mmとした。

なお、従来の場合と同様に金属枠状部３Ｂの内
部の空間はマイクロ波加熱装置のマグネトロンの
基本波のλ／４（λ：空気中での波長）の奇数倍
の高周波減衰器７を構成している。該高周波減衰
器７は加熱室の開口部端面６側に開口しており、
加熱室内面８と扉内側面との交点Ａ（電波漏洩通
路の入り口に相当する）から高周波減衰器７の開
口に位置する点Ｂとの間の距離をやはりλ／４の
奇数倍とし、扉側の高周波減衰器７と点Ａ，Ｂ間
の距離とで全体としてλ／２の電波の迷路、すな
わちチヨーク減衰器を構成するようにしている。

上記実施例の構成において、扉２の金属枠状部
３Ｂ内にλ／４の奇数倍の高周波減衰器を形成
し、かつＡ点から高周波減衰器７の開口位置のＢ
点までの電波漏洩通路の長さをやはりλ／４の奇
数倍として、いわゆるチヨーク減衰器を構成して
いるので、枠状部３Ｂ外縁端と開口部端面６との
間を通つて外方向に向かう漏洩電波（主としてマ
グトロンの基本波及び低次の高調波成分）をかな
り低減することができる。また、金属枠状部３Ｂ
に流れる高周波電流に起因する枠状部外縁端より
の放射電波を外向き折り曲げ部１７部分の電波吸
収部材１８で吸収除去でき、さらに、枠状部３Ｂ
の外向き折り曲げ部１７と開口部端面６との間隙
が電波吸収部材１８で実質的に閉塞されるため、
扉内面と開口部端面６に沿つた電波漏洩通路を通
過しようとする波長の短い高次の高調波成分も電
波吸収部材１８で吸収除去することができる。こ
の結果、マイクロ波加熱装置の高調波成分（12G
Hz程度）による衛星放送に対する受信妨害の問題
も解決することができる。さらに、電波吸収部材
１８が高周波減衰器７内の電界最大点近傍に延長
しており、この部分において高周波減衰器７内の
電波を吸収することができる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案のマイクロ波加熱
装置の電波漏洩防止構造によれば、加熱室の開口
部に金属枠状部を有する扉を開閉自在に設け、該
扉の金属枠状部内部に略λ／４（λ：空気中での
波長）の奇数倍の高周波減衰器を形成し、かつ該
金属枠状部の外縁端に前記扉閉成時に前記加熱室
開口部端面に対向する折り曲げ部を形成し、該折
り曲げ部に電波吸収部材を断面Ｌ字型に配置し、
前記扉閉成時において前記電波吸収部材が前記加
熱室開口部端面に接触もしくは近接対向するよう
にしたので、マグネトロンの基本波のみならずそ
の波長の短い高調波成分に対しても充分な電波漏
洩防止性能を発揮できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るマイクロ波加熱装置の電
波漏洩防止構造の実施例の断面図、第２図は従来
のマイクロ波加熱装置の電波漏洩防止構造を示す
断面図である。 １……加熱室、２……扉、３Ａ，３Ｂ……金属
枠状部、４……プラスチツクカバー、６……開口
部端面、７……高周波減衰器、１５，１７……折
り曲げ部、１６，１８……電波吸収部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加熱室の開口部に金属枠状部を有する扉を開閉
   自在に設け、該扉の金属枠状部内部に略λ／４
   （λ：空気中での波長）の奇数倍の高周波減衰器
   を形成し、かつ該金属枠状部の外縁端に前記扉閉
   成時に前記加熱室開口部端面に対向する外向き折
   り曲げ部を形成し、該折り曲げ部及び前記金属枠
   状部内面の高周波減衰器における電界最大点近傍
   に延在する如く電波吸収部材を断面Ｌ字型に配置
   し、前記扉閉成時において前記電波吸収部材を前
   記加熱室開口部端面に接触もしくは近接対向させ
   たことを特徴とするマイクロ波加熱装置の電波漏
   洩防止構造。