JPH0126718B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 １ 産業上の利用分野 本発明はミシンの糸切断機用ナイフ装置に関す
る。

この形式の切断機は、糸、糸鎖、布地縁部及び
それに類するものを切断するために用いられる。

２ 従来の技術 ミシン用の糸切断ナイフは公知であり、吸引チ
ユーブを用いて被縫製品から垂下する過剰の糸を
吸引する事が公知である。この種の糸切断器では
可動ナイフはバネ鋼から屡々作られている。この
ナイフがミシンに組み込まれると、固定刃に対し
て圧着しそしてこれら両刃間の接触圧をナイフの
刃の弾性を利用して調節するようになつている。
然しながらこの糸切断器の欠点は両ナイフの刃間
の接触圧が可動ナイフの弾性にのみ依存している
という事である。糸の切断を完全に保証するため
には、両刃は比較的高い接触圧力下の圧着にもた
らされねばならず、このようにすると高接触圧に
よりナイフの刃の急速な摩耗を伴い、かかる急速
な刃の摩耗は、高速運転ミシンに使用してナイフ
を連続的に使用するような場合特に烈しいものと
なる。

３ 発明が解決しようとする問題点 本発明の課題は上記公知の糸切断装置おける欠
点を除く事にある。公知装置におけるナイフの急
速な摩耗の問題は、本発明に従い枢着され、弾性
下に変移可能なナイフを使用することにより解決
され、かかるナイフは通常は僅かの軽い圧力下で
作動するが、切断ナイフの両刃間に糸鎖や同様材
料が入つた時にはより強い切断圧に自動的に調整
されるのである。かかる方法により、本発明によ
りナイフの摩耗度が著しく減少せしめられる。し
かも、ナイフの接触圧着力が僅かであるにも拘わ
らず、申し分のない切断が行なわれる。というの
は、切断しようとする糸鎖乃至材料がナイフとナ
イフとの間に案内された際に、ナイフ間の接触圧
着力が自動的に高められるからである。

４ 問題点を解決するための手段 可動ナイフを取り付けた結果、本発明において
は２つのナイフ間の接触圧着圧が増加することに
なる。本発明の好ましい具体例においては、往復
運動する可動ナイフは、切断刃を有する水平部
と、これと一体化して垂直に伸びる脚部とを備え
ており、その脚部の下端でナイフホルダに支承さ
れている。可動ナイフの水平部の末端は切断刃と
して形成され、かくしてレバーアームとなつてい
る。この往復運動する可動ナイフの切断刃は、軽
い圧力下、固定ナイフの刃と弾力的に接触する。
本発明の縫製作業中、僅かの接触圧着圧が両刃の
間に保持される。然しながら、両ナイフ間を糸鎖
または同様の垂下被縫製材料が通過する時、往復
運動刃と、糸鎖または垂下材料との接触は、該刃
をその枢軸の周りに回転させ、かくして該刃を固
定刃に押圧圧着ししかも該移動刃はその他端にお
いて枢着されている結果として両刃間の接触圧は
増大する。この接触圧の増大は糸鎖または同様物
が両刃の間を通過する時間のみ達成される。糸鎖
が一旦切断され終わると、移動刃はその通常作動
特性に戻り、かくして両ナイフの刃間には比較的
僅かの接触圧しか保持されない。本発明の更に利
点とするところは、ナイフ機構が、ミシンの機構
と独立的に作動し、かくしてミシン自体の構成部
品の作動および摩耗を減少できる。他の利点は作
業者により簡単に作動される、両刃間の剪断角を
自由に選択変化できる手段を備えていることであ
る。

それ故に本発明の主目的はナイフの摩耗を大幅
に減らすように設計された糸切断機構を提供する
ことである。

更に本発明の目的は縫製機械とは独立的に作動
できる糸切断機構を提供するにある。更に目的と
するところは、構造が簡単であり製造が安価であ
る糸切断機構を提供するにある。

実施例 第１図乃至４図に示す具体例はかがり縫いミシ
ン（オーバーエツジミシン）に使用されるのに適
した型式の切断器であり、また第５図乃至７図に
示す装置は公知のフラツトベツドミシンに適用さ
れるに適した具体例を示す。

第１図乃至４図に関し、上記のかがり縫いミシ
ン用の針板４を含む作業台を示す。ここには示し
ていないが、適当なステイツチ形成装置が作業中
のステイツチのかがり糸を作るために設けられて
いる。針板４はステイツチ形成舌片３を、ステイ
ツチ形成域に備えそしてその上にステイツチ・チ
エーンが、相連続する被縫製品の各々の中間域に
おける連続縫いの結果形成される。

ステイツチ形成舌片３は被縫製品がその縫製中
に進行すると同一方向で後方に延長する。ミシン
のステイツチ形成域に直ぐ隣接してチユーブ体１
が位置し、チユーブ体１の取入端にネジ１７によ
り固定された閉鎖板１６がある。該閉鎖板１６は
開口２を有し、後続する糸鎖が、該チユーブ体内
で形成される吸引力によりこの開口２に容易に引
き込まれる。チユーブ体１は担体５上に支持さ
れ、これが開口２をミシンのステイツチ形成域に
直ぐ隣接して位置させている。担体５もまたナイ
フホルダ６を枢軸支承する。

ナイフホルダ６はレバーからなり、その中間部
分は担体５に配置されたピン７に枢着されてい
る。該ホルダ６の一端は駆動装置１１の作動端ま
たは駆動軸９に作動的に固定されている。好まし
い具体例では、駆動装置１１はミシン本体から独
立的に配置されそれゆえにミシン本体の作動にお
ける摩耗を生ぜしめず、またミシンの作業を増加
させない。接続部材８が該駆動装置１１を担体６
の端部レバーに作動的に固定する。該接続部材８
は、駆動軸９に螺着されそして上記レバーの一方
の側に配置された弾性栓１２を含む。適当な固着
部材またはねじ１０が該接続部材を該レバーに固
着しそして弾性栓には必要とされるいかなる許容
度の補償をも提供すべく設けられる。該レバーの
他端は可動ナイフ１５のナイフホルダとして作用
する。該レバーの自由端には溝または凹所１３が
設けられこの溝１３が可動ナイフ１５の脚部１４
を受けるように構成されている。可動ナイフ１５
の脚部１４はナイフホルダの溝１３内にゆるく入
つており、従つて脚部１４とナイフホルダは枢動
関係を有する。ナイフ１５の水平部は脚部１４と
直角方向に延長し刃部に終つており、この刃部は
開口２の域で閉鎖板１６の下部に直接位置してい
る。第３図に明示するように、ナイフ１５の取付
配置は、ナイフの刃部が閉鎖板１６に関して僅か
な角度をなすようにしてある。この構成により、
開口２を有する閉鎖板１６が固定刃または固定ナ
イフ刃として作用し、一方ナイフ１５は該閉鎖板
と共働して、糸切断機構の作動中ハサミのように
作用する。

ナイフ１５は弾性部材またはばね１８の力の下
に常時有り、該ばね１８は適当な固着手段、例え
ばネジ１９によりホルダ６のレバーに調節可能に
固定される。ばね１８の自由端はナイフ１５の脚
部１４に係合して、これにより第４図に矢印で示
す方向に脚部１４を常時押圧している。このばね
力の結果、脚部１４の末端部は常時、ナイフホル
ダ６にある溝に向けて押圧圧着され、そしてナイ
フ１５の刃部は同時に閉鎖板１６に対して押圧さ
れ、かくしてレバーアームを形成する。

第３図に明示するようにナイフ脚部１４の縁部
には切欠２０が設けられ、ナイフホルダ６内には
ピン２１があり、これが切欠２０と係合してナイ
フ１５が溝１３内で横方向に移動しないように該
ナイフ１５を固定している。ナイフ１５の脚部１
４もまた作業者により制御される偏心輪２２と係
合する。この扁心輪２２は断面平らなボルト２２
から形成され、このボルト２２はナイフホルダ６
に第３図に示すように取り付けられ、固定ナイフ
１６に関して、可動ナイフ１５を一線に心合わせ
する作用をする。即ち第４図において可動ナイフ
１５の脚部１４の一端を、該ボルト２２を回転さ
せることにより上げたり下げたりして可動ナイフ
１５の刃部の切断角を微調整したり、かかる切断
角が充分である場合には可動ナイフ１５の切断刃
と、それに対応する固定ナイフと、第３図に見る
ように平行に保ちかくして両ナイフの摩耗を最小
限に保つ。該偏心輪２２の調節により、作業者
は、固定刃乃至閉鎖板１６と往復移動するナイフ
１５間の剪断角を自由に選択できる。

作動において、被縫製品がミシンのステイツチ
形成域から出て来ると、チユーブ体１内に形成さ
れた吸引力または負圧により、一連の組み合わさ
れたステイツチにより形成された糸鎖は、開口２
内に簡単に導入される。モータまたは駆動装置１
１が縫製作業中ナイフを駆動または振動させ続け
るように構成されている。

かくして縫目の始めまたは終りにおいて本発明
の糸切断装置の両刃間を、上記の糸鎖が通過する
時、この糸鎖は両刃即ちナイフ１５と１６の相互
鋏作用により自動的に切断される。

モータまたは駆動装置１１が縫製作業中ナイフ
の刃を連続的に駆動または振動させるようになつ
ている事は明らかであろう。本発明の特異性とし
ては、糸が切断される時、両ナイフの刃間の接触
圧着圧を増大させうる点が挙げられよう。前記の
ように両刃間の接触圧は、糸または縫製材料が両
刃間に導入される迄は比較的低く保たれる。本発
明の往復移動刃の特有の取付配置の結果、可動刃
が糸鎖または垂下材料と接触した時に両刃の接触
圧が増大する。この接触圧の増大は、可動刃１５
が開口２を通つている糸鎖または垂下材料と接触
しており、そして両刃即ち１５と１６間に該糸鎖
が位置している間のみ継続する。即ち可動ナイフ
１５はその脚部の下端で支承され、可動ナイフ１
５の水平部の刃部と離れているため可動ナイフ１
５の水平部の刃が糸と接触し、それにより、可動
ナイフ１５の刃と固定ナイフ１６の刃間に接触圧
を増大させる際モーメントが可動ナイフに及ぼさ
れる。糸または同様材料が切断されて刃１５の移
動に対して何の阻害も生じなくなれば、両ナイフ
間の接触圧は、ばね１８により生成するばね力に
よつて供給される初期接触圧に戻る。

第５図、６図及び７図において、フラツトベツ
ドミシンに使用するに適した糸切断器の多少変形
した具体例を示す。この具体例においては、吸引
チユーブ体または吸引導管３１が担体３５に固着
されている。ナイフ４５の他端は開口３２の域内
で、固定刃を形成する閉鎖板４６の下方に延長す
る。開口３２の側壁は固定刃として働き、該固定
刃は可動刃４５の往復作用と組合わされて両刃間
に入るいかなる糸をも切断する鋏作用を提供す
る。ばね４８がナイフの脚部４４の末端部を溝４
３内に常時押圧し、同時にナイフ４５の刃部分４
５を押圧して閉鎖板または固定刃４６に圧着させ
る。二つの刃４５と４６間の剪断角は、駆動軸３
７に関して担体３６の位置を所望関係が得られる
まで選択的に変化させることにより調節できる。
この目的で、作業者により容易に制御される手段
例えばねじ５１により両刃間の剪断角を調節す
る。更に、固定刃に関して可動刃が横方向の刃を
も提供するように、作業者により調節可能なねじ
５２のような手段で、駆動軸３７に関する担体３
６の位置調節を行いうる。

発明の効果 上記したように本発明の構成により、ミシン縫
製作業における糸切断サイクルの大部分に対し、
切断両刃間に比較的僅かな圧着接触圧を維持し、
糸鎖や同様材料が、両切断刃間に導入された時に
のみ両刃間の接触圧が増大して糸鎖等の切断を確
実にする。一度この糸鎖が両刃により切断される
と、両刃はその通常接触圧に戻りこの状態を保た
れる。両ナイフの刃における軽度の接触圧により
両刃の摩耗を減少するだけでなく、摩擦量を減
じ、従つて本発明の糸切断機構の作動力をも減少
できる。

本発明は単独糸鎖を使用する上記具体例のみに
限定して説明したが、本発明は多針ミシン装置、
即ち多数に列をなすステイツチが形成される型式
のミシンにおける多数の糸鎖の切断にもそのまま
適用できることは明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図はかがり縫いミシン（オーバーエツジミ
シン）のステイツチ形成域に配置された本発明の
糸切断機用ナイフ装置を、部分断面かつ頂面図で
示し、第２図は第１図に示す構造の立面図を示
し、第３図はホルダに取り付けた可動刃を示す、
拡大部分断面図であり、第４図は第３図のＡ―Ｂ
線で切つた垂直断面図であり、第５図はフラツト
ベツド型ミシンに適用される本発明の変形具体例
を、第１図に習つて示し、第６図は第５図のＬ―
Ｄ線で切つた部分断面図であり、第７図は第５図
のＥ―Ｅ線で切つた断面図である。 １，３１……吸引チユーブ体、２，３２……開
口、３……ステイツチ形成舌片、４……針板、
５，３５……担体、６，３６……ナイフホルダ、
７，２１……ピン、２２……偏心輪、８，３８…
…接続部材、９，３９……駆動軸、１０，１７，
１９，４７，５１，５２……ねじ、１１，４１…
…駆動装置、１２……弾性栓、１３，４３……
溝、１４，４４……可動ナイフの脚部、１５，４
５……可動刃または可動ナイフ、１６，４６……
閉鎖板または固定刃、１８，４８……ばね、２０
……切欠、２１，３３……目穴、３７……駆動
軸、４０……カバー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ミシン用糸切断装置において、吸引チユーブ
   体および共働する２つのナイフ即ち可動ナイフと
   固定ナイフを含み、該固定ナイフは、該チユーブ
   体の一端に固定配置され、かつ、該チユーブ体に
   沿つて延長する開口で、ここを通つて糸が該チユ
   ーブ体内に通過するに充分な寸法を有している開
   口を備え、該２つのナイフのうち可動ナイフは、
   上記固定ナイフと鋏み切断作用を行うように往復
   移動でき、該往復可動ナイフは揺動するナイフホ
   ルダ上に配置されており、該往復可動ナイフは切
   断刃付水平部とこれと一体化して垂直に伸びる脚
   部を含み、該脚部は該揺動するナイフホルダ上か
   つ上記２つのナイフが共働して糸を切断する位置
   から離れた位置に、枢動的に取り付けられてお
   り、更に該往復可動ナイフを該固定ナイフに向け
   て弾性変化圧下に枢動押圧するバネ手段を有し、
   該往復可動ナイフは、その刃部を通常は連続的
   に、弱い接触圧下で該固定ナイフに対して押圧し
   ており、そして糸が該固定ナイフと該往復可動ナ
   イフ間に導入された時に該可動ナイフの刃部は、
   より高い接触圧下該固定ナイフと共働して該糸を
   切断することを特徴とする上記装置。