JPH0124906B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は刺しゆう縫ミシンにおいて、長尺の
基布を展張状態で移送制御するために適用される
拡布装置に関する。

（従来の技術） 従来の技術としては例えば特開昭58−197364号
公報がある。

（発明が解決しようとする問題点） 従来のこの種の刺しゆう縫ミシンでは長尺の基
布を移送制御する場合に基布の展張状態が不安定
で刺しゆう縫模様が変形したり、不正確となり易
い問題点があつた。

本発明の目的は上記問題点を回避して基布を安
定かつ均斉に拡布した状態で移送制御しうる刺し
ゆう縫ミシンにおける拡布装置を提供することで
ある。

（問題点を解決するための手段） 本発明は基布を針元の前後方でそれぞれ曲進移
送して針元付近を直進移送するために針元の前後
方に対しローラ軸方向への同期移動制御可能に可
転横架された前後１対の送りローラの各ローラエ
ンドには基布の曲進部を幅方向へ拡布するために
前記送りローラの周方向に配列された複数個のス
ライドプレートをそれぞれローラ軸方向への単独
移動可能に添設するとともに、前記両送りローラ
の各ローラエンドにそれぞれ配列された各スライ
ドプレート列にはこの各列のスライドプレートを
それぞれローラ軸方向へ移動制御して前記曲進部
の拡布幅を拡縮制御するために定置されたカム手
段をそれぞれ対設した拡布装置を要旨とするもの
である。

（作 用） 本発明装置は基布を幅方向および長手方向へ移
送制御するために並設した１対の送りローラの各
ローラエンドに対し基布の曲進部を拡布するため
のスライドプレート列をそれぞれ添設し、各スラ
イドプレート列をカム手段でそれぞれローラ軸方
向へ移動制御して基布が曲進部から針元付近へ移
行するときの拡布状態を均整化するように構成し
たものである。

（実施例） 続いて、本発明の一実施例を図面に従つて説明
すると、図中、１は刺しゆう縫ミシンＭのベツ
ド、２はベツド１上に設置された平面ほぼ型状
のフレーム、３はフレーム２の水平部２ａに対し
長手方向に沿つて配列された適数個のミシンヘツ
ドであつて、それぞれ適数本の縫針４が並列され
ている。

５〜５はベツド１上の両端部付近に対しそれぞ
れ並行状に横置された左右２対のレール、６〜６
は両側の両レール５上に対しそれぞれ左右方向へ
のスライド可能に設置された左右２対のベース、
７Ａは図示右側の両ベース６上に対し同ベース６
との共動可能に横置された主駆動ボツクス、７Ｂ
は図示左側の両ベース６上に対し主駆動ボツクス
７Ａに相対向して同ベース６との共動可能に横置
された副駆動ボツクス、８はフレーム２の右側上
端に取着された第１制御モータ、９はフレーム２
の右側中央部付近に取着された第２制御モータで
あつて、そのモータ軸９ａに直結されたボールね
じ１０が主駆動ボツクス７Ａを基布Ｋの幅方向へ
移動制御するために主駆動ボツクス７Ａの中央部
付近に取着されたボールナツト１１に螺嵌されて
いて、両制御モータ８，９は刺しゆう図柄に対応
して発信される基布移送信号に基づいて正逆に同
期回転駆動される。

１２，１２は主副駆動ボツクス７Ａ，７Ｂの前
後部に対し並行状に可転横架された前後１対の送
りローラであつて、縫針４が貫通する基布Ｋの針
元Ｈの前後方をそれぞれ折り返し状に曲進移送し
て両曲進部Ｋ１，Ｋ１間の直進部Ｋ２を水平方向
へ直進移送するために針元Ｈの前後方にそれぞれ
軸支され、両送りローラ１２の各ローラエンドに
はローラ軸に沿つて突出形成された断面ほぼＴ型
状のガイド突状１２ａ〜１２ａが周方向に対しそ
れぞれ並行状に配列されるとともに、後側に配置
された送りローラ１２には第１制御モータ８でベ
ルト１４を介して回転駆動されるスプライン軸１
５が直結され、さらに、両送りローラ１２はスプ
ライン軸１５に対し軸方向へのスライド可能で共
転可能に嵌装されかつ主駆動ボツクス７Ａに可転
支持されたプーリー２５と、前側の送りローラ１
２の軸端に嵌着されたプーリー２６とに掛装され
たベルト２７を介して同方向への同期回転可能に
連繋されている。そして、両送りローラ１２は前
記基布移送信号に基づいて回転制御される第１制
御モータ８の正逆回転でそれぞれ所定角度だけ同
期回転されると同時に、基布移送信号に基づいて
回転制御される第２制御モータ９の正逆回転で主
副駆動ボツクス７Ａ，７Ｂとともにローラ軸方向
へ同期移動する。

１６〜１６は基布Ｋの曲進部Ｋ１を幅方向へ拡
布するために前側の送りローラ１２の両ローラエ
ンドおよび後側の送りローラ１２の両ローラエン
ドに対しそれぞれローラ軸方向への単独移動可能
で逆向き状に添設されて、周方向に対しそれぞれ
並行状に配列されたスライドプレートであつて、
それぞれ幅方向に若干湾曲した同形の帯板状に形
成され、両送りローラ１２の各ガイド突状１２ａ
間に対しそれぞれスライド可能に嵌装されてい
る。そして、各スライドプレート１６の内端部付
近には基布Ｋのヘムを穿刺して基布Ｋを幅方向に
展張するためのピン１７ａを突設したピン板１７
〜１７がそれぞれ取着される一方、各スライドプ
レート１６の内端部付近にはそれぞれ転動可能に
軸支されたコロ１８〜１８が突設されている。

１９〜１９は両送りローラ１２の各ローラエン
ドに対しそれぞれ周方向に配列された各スライド
プレート列Ｐ〜Ｐをローラ軸方向へそれぞれ一括
移動制御して基布Ｋの拡布幅を拡縮制御するため
に各スライドプレート列Ｐをそれぞれ包囲して定
置された円筒状のカムであつて、両駆動ボツクス
７Ａ，７Ｂに両送りローラ１２の各ローラエンド
を外嵌して取着された円筒状の支持部材２０を介
してそれぞれ支持されるとともに、各スライドプ
レート列Ｐのコロ１８をそれぞれ嵌入して各スラ
イドプレート１６をローラ軸方向へ移動制御する
ために凹設されたカム溝１９ａがそれぞれ無端状
に湾曲形成され、左右両側のカム１９のカム溝１
９ａは左右対称状に形成されるとともに、各スラ
イドプレート１６が送りローラ１２の下側位置か
ら上側位置への回動に伴つてそれぞれ送りローラ
１２の内方から外方へ変位して両側のピン板１７
の間隔が漸増し、また、各スライドプレート１６
が送りローラ１２の上側位置から下側位置への回
動に伴つてそれぞれ送りローラ１２の外方から内
方へ変位して、両側のピン板１７の間隔が漸減
し、曲進部Ｋ１の拡布幅が直進部Ｋ２側へ漸増す
るように設定されている。

２１〜２１は両駆動ボツクス７Ａ，７Ｂに対し
両送りローラ１２の各ローラエンドに近接して可
転軸支された前後１対のベルトホイール、２２，
２２は両側の前後ベルトホイール２２に対しそれ
ぞれ循回動可能に掛装された左右１対の針布ベル
トであつて、上側位置にそれぞれ回動した両側の
スライドプレート１６の両ピン板１７の間隔とほ
ぼ等間隔となるように離隔して並設されるととも
に、基布Ｋのヘムを穿刺するためのピン群が全周
にわたつて植設され、さらに、その上下側の直進
部が同直進部の基布幅方向への遊動を規制するた
めに左右並行状に横置された１対のガイド部材２
３の上下ガイド溝２３ａ，２３ａ内にそれぞれ嵌
合されていて、基布Ｋの曲進部Ｋ１から直進部Ｋ
２への移行時、および、直進部Ｋ２から曲進部Ｋ
１への移行時に基布Ｋの両側ヘムがスライドプレ
ート１６のピン板１７から針布ベルト２２へ、若
しくは、針布ベルト２２からピン板１７へ同一拡
布幅で転移され、基布Ｋは曲進部Ｋ１が前後の両
側スライドプレート列Ｐ間に展張されかつ直進部
Ｋ２が両針布ベルト２２間に展張された拡布状態
で、両送りローラ１２のローラ軸方向への移動に
よつて、基布Ｋの幅方向へ移送制御されると同時
に、両送りローラ１２および両針布ベルト２２の
回動によつて基布Ｋの長手方向へ移送制御され
る。

なお、２４は縫針４の下方に対置された釜土台
である。

次に、上記した構成をもつ実施例の作用と効果
を説明する。

さて、本例では基布Ｋを針元Ｈの前後方でそれ
ぞれ曲進移送して基布Ｋの針元Ｈ付近を直進移送
するために基布Ｋの針元Ｈの前後方に対しそれぞ
れローラ軸方向への同期移動制御可能に可転横架
された前後１対の送りローラ１２の各ローラエン
ドには基布Ｋの曲進部Ｋ１を幅方向へ拡布するた
めに送りローラ１２の周方向に対し並行状に配列
されてピン板１７がそれぞれ取着された複数個の
スライドプレート１６をそれぞれローラ軸方向へ
の単独移動可能に添設するとともに、両送りロー
ラ１２の各ローラエンドにそれぞれ配列された各
スライドプレート列Ｐには各スライドプレート１
６をそれぞれローラ軸方向へ変位して曲進部Ｋ１
の基布幅を直進部Ｋ２側が漸増状に拡張されるよ
うに拡縮制御するために定置されたカム１９をそ
れぞれ対設してある。

このため、基布Ｋを幅方向および長手方向へ水
平移送して刺しゆう縫を行うに際し、基布Ｋは常
に所定幅に拡張された状態で曲進部Ｋ１から直進
部Ｋ２へ移行して針元Ｈ付近では常に一定の緊張
状態で展張される結果、基布Ｋの展張状態を均整
化および安定化して基布Ｋを安定かつ正確に移送
制御しうるとともに、刺しゆう縫された模様を正
確化して基布の不正展張に起因する刺しゆう縫模
様の変形を抑制しうる効果がある。

（発明の効果） すなわち、本発明は基布を針元の前後方でそれ
ぞれ曲進移送して針元付近を直進移送するために
針元の前後方に対しローラ軸方向への同期移動制
御可能に可転横架された前後１対の送りローラの
各ローラエンドには基布の曲進部を幅方向へ拡布
するために前記送りローラの周方向に配列された
複数個のスライドプレートをそれぞれローラ軸方
向への単独移動可能に添設するとともに、前記両
送りローラの各ローラエンドにそれぞれ配列され
た各スライドプレート列にはこの各列のスライド
プレートをそれぞれローラ軸方向へ移動制御して
前記曲進部の拡布幅を拡縮制御するために定置さ
れたカム手段をそれぞれ対設したことによつて、
基布の拡布状態を均整化および安定化して基布を
正確に移送制御しうる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は要部の正面図、第２図は第１図のＸ−Ｘ線矢視
図、第３図は全体の平面図、第４図は同じく正面
図、第５図は第３図のＹ−Ｙ線拡大矢視図であ
る。 １２……送りローラ、１６……スライドプレー
ト、１９……カム、Ｈ……針元、Ｋ……基布、Ｋ
１……曲進部、Ｐ……スライドプレート列。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基布を針元の前後方でそれぞれ曲進移送して
   針元付近を直進移送するために針元の前後方に対
   しローラ軸方向への同期移動制御可能に可転横架
   された前後１対の送りローラの各ローラエンドに
   は基布の曲進部を幅方向へ拡布するために前記送
   りローラの周方向に配列された複数個のスライド
   プレートをそれぞれローラ軸方向への単独移動可
   能に添設するとともに、前記両送りローラの各ロ
   ーラエンドにそれぞれ配列された各スライドプレ
   ート列にはこの各列のスライドプレートをそれぞ
   れローラ軸方向へ移動制御して前記曲進部の拡布
   幅を拡縮制御するために定置されたカム手段をそ
   れぞれ対設したことを特徴とする刺しゆう縫ミシ
   ンにおける拡布装置。