JPH0124476Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として高速増殖炉のナトリウム配
管系に配されたポンプ用ケーシングの如き縦型筒
状体（球状体を含む）の表面に取付けられる保温
構造に関する。

従来の保温構造は、例えば溶融ナトリウム圧送
用ポンプのケーシングは、該ケーシングの外周面
に溶接により保温材位置ずれ防止用の丸棒を多数
放射状に植設すると共に、そのケーシングの外周
面に直接シースヒータを被着する。そして、該シ
ースヒータと共にケーシングの外周面に保温材を
取付け、該保温材の外周面に外装板を設けたもの
であつた。

ところが、前記のような保温構造には次の欠点
があつた。先ず、保温材位置ずれ防止用の丸棒を
ケーシングに直接溶接すると、溶接のためそのケ
ーシングが損傷することがある。そのため、その
溶接部の探傷試験をしなければならず面倒であ
る。又、シースヒータがケーシングの外表面に直
接被着されているため該ヒータの絶縁が不良とな
ると、電気スパークによりケーシングの外表面に
焼損が生ずる虞れがある。特に高速増殖炉のナト
リウム配管系においては、このような焼損は好ま
しくない。さらに、シースヒータの外周には直接
保温材が被着されているため、該ヒータに保温材
がまつわりつき、それが局部的に高温となり、シ
ースヒータの寿命が短縮する欠点があつた。

そこで、本考案は上記の問題点、その他を解決
した筒状体の保温構造を提供する。

本考案の保温構造は、縦型筒状体２（以下筒状
体２という）の外周面に篭状に形成された支持枠
１を被嵌する。そして、その支持枠１の上端を、
筒状体２の上端部に突設されたフランジ３にボル
ト等の締結手段により接続する。さらに、支持枠
１に多数の棒状４を夫々植設し、夫々の棒材４の
先端と筒状の外装板５内面とを接続する。そし
て、その外装板５と支持枠１との間に保温材６を
配したものである。

次に、図面に基づいて本考案の実施例につき説
明する。

第１図は高速増殖炉のナトリウム圧送用ポンプ
に関し、その保温構造を含む縦断面立面図であ
る。そして第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図であ
る。さらに、第３図は篭状に形成された支持枠１
の半断面説明図、第４図はその支持枠１に取付け
られたシースヒータ１２を示す。

本保温構造は、第１図、第２図に示す如く、支
持枠１と棒材４と保温材６及び外装板５を有す
る。その支持枠１は、第３図、第４図の如く、同
実施例では厚さ６mm、幅65mm程の長尺鋼材よりな
り、該鋼材を筒状体２の外周面に縦方向に取付け
てレグ部８とし、又鋼材を周方向に取付けてリン
グ部９を構成する。そして、レグ部８とリング部
９との交鎖部を溶接し、篭状に形成したものであ
る。それと共に、レグ部８上端を筒状部２の端部
に突設したフランジ３に、第３図、第６図の如
く、ボルトにより締結接続する。即ち、レグ部８
上端に接続片１０を溶接し、その接続片１０をボ
ルト２１によりフランジ３の下面に締結する。そ
れにより支持枠１の全体をフランジで吊設したも
のである。尚、該フランジ３と支持枠１上端とを
ボルト締めにしたのは、それを溶接により接続し
たときに生ずるフランジ３の熱歪を防止するため
である。次に、支持枠１に植設された棒材４は、
第１〜第２、第４〜第５図に示す如く支持枠１の
外表面に直交して溶接される。即ち、レグ部８と
リング部９との交鎖部において、丸棒鋼からなる
棒材４の一端面をスペーサ１１の一端面と共に溶
接し、筒状体２の放射方向に植設する。なお、ス
ペーサ１１は短管からなり、内装板７と筒状体２
外面との間を一定間隔に離間させるものである。
又、支持枠１には、第４図の如く、シースヒータ
１２（以下単にヒータ１２と称す）が取付金具１
７内に遊嵌されている。そのヒータ１２は、細い
金属管内に絶縁用粉体を介して発熱線が内装され
たものであり、そのようなヒータ１２が多数のＵ
字状に曲折され、熱膨張により鎖線の如く伸長し
得るものとされている。さらに、支持枠１には、
第４図の如く、ナトリウム漏洩ガスサンプリング
配管１３の先端部が開口して取付けられている。
その配管１３は、筒状体２内のナトリウムが漏洩
し、空気中の分と反応したときに生ずるガスを検
出するものである。次に、ヒータ１２の外周には
内装板７が第２図の如く被着される。その内装板
７は第７図の如き、多数の矩形板に夫々棒材挿通
孔１４及び該孔１４に通ずる欠切１５が穿設され
たものである。そして、ヒータ１２の外側に各矩
形板の継目同志が重ね合わされるように被着され
ると共に、第５図の如く、スペーサ１１によりヒ
ータ１２と内装板７とが接触しないように離間さ
れている。次に、内装板７の外周面には保温材６
が被着され、保温材６の外周面に外装板５が被着
される。そして、その外装板５は、棒材４の先端
に溶接された接続片１６に、図示しないタツピン
グビスにより固定される。

次に、本保温構造の作用につき説明する。

第１図において、溶融ナトリウムは、ポンプ駆
動シヤフト２０の回転によりインペラ２２の下方
の吸込ノズル１８から流入し、吐出ノズル１９よ
り流出する。そして、該ポンプのケーシングたる
筒状体２が、本保温構造により保温されるもので
ある。その保温構造は、先ず筒状体２上端のフラ
ンジ３に篭状の支持枠１がボルト等により締結接
続される。従つて、従来構造に行なわれていた筒
状体２の外周面の如く、それに直接棒材を多数溶
接する場合に生じていた該溶接による筒状体２の
損傷が全くない。そのため、該溶接部からナトリ
ウム等の流体が漏洩する危険がない。又、本構造
は篭状の支持枠１を有し、その支持枠１にシース
ヒータ１２を取付けたものである。このシースヒ
ータは、金属管内に絶縁粉体を介して発熱線が内
装されたものであるが、このヒータ１２外周の金
属管と筒状体２とは直接接触しないように構成さ
れているから、ヒータ１２の絶縁不良に基づく電
気スパークが発生しても、筒状体２自体を損傷さ
せる虞れがない。又、この支持枠には端面が溶接
されほぼ水平に植設固定された多数の棒材４を有
し、その根元部のスペーサ１１を介して、各棒材
４に内装板７が位置されるから、この内装板７と
外装板との間に位置した保温材６がシースヒータ
１２に接触することがない。それにより、シース
ヒータ近傍が局部的に高温となることがなく該ヒ
ータの発熱線が断線することを防止できる。そし
て内装板７を反射板として筒状体２外周を均一に
加熱することができる。更に、シースヒータ１２
はその曲折部が上下方向に位置するように蛇行状
に配設されているから、該ヒータ１２の主たる熱
膨張の方向と筒状体２のそれとを一致させること
ができると共に、該ヒータ１２を取付け金具に伸
縮自在に設けたので該ヒータ１２に熱応力を生じ
させず信頼性の高い構造を提供できる。さらに
は、夫々の棒材４の先端に外装板５が固定されて
いるので外装板５は耐震性を有する。

〔考案の効果〕

従つて本保温構造は、縦型筒状体２の外周面に
隣接して篭状に形成した支持枠１が被嵌され、該
支持枠１の上端が筒状体２のフランジ３に締結固
定されているから、該篭状支持枠１は重力方向に
確実に支持されると共に、水平方向には縦型筒状
体２の外周面に直接案内されてやはり確実に拘束
される。従つて、この支持枠１に植接固定した棒
材４を介し縦型筒状体２の外周に保温材６を保持
できる。しかも、この棒材４は縦型筒状体２に直
接溶接されていないため、縦型筒状体２の外周面
が溶接により損傷する虞れがなく、信頼性の高い
保温構造を提供できる。またこの篭状の支持枠１
は上端及び内周が夫々拘束され確実に縦型筒状体
に保持されるにも拘わらず、篭状であるため全体
として本保温構造が軽量となり、その設置工事が
容易で且つ安価にそれを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本保温構造を含むナトリウム用ポンプ
の断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図（一
部省略）、第３図はその支持枠１の半断面説明図、
第４図はその支持枠１に取付けられたヒータ１
２、第５図は第４図のＢ−Ｂ矢視断面図、第６図
は第３図のＣ−Ｃ矢視断面図であつて支持枠１と
フランジ３との接続部、第７図は同保温構造に用
いる一つの内装板を示す。 １……支持枠、２……筒状体、３……フラン
ジ、４……棒材、５……外装板、６……保温材、
７……内装板、８……レグ部、９……リング部、
１０，１６……接続片、１１……スペーサ、１２
……ヒータ、１３……ナトリウムガスサンプリン
グ配管、１４……棒材挿通孔、１５……欠切、１
７……取付金具、１８……吸込ノズル、１９……
吐出ノズル、２０……ポンプ駆動シヤフト、２１
……ボルト、２２……インペラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸線が重力方向に位置される金属製の縦型筒状
   体２の外周面に隣接して、比較的幅の狭い多数の
   帯状金属板を全体が篭状になるように互いに離間
   して縦横に位置させると共に、該帯状金属板同志
   の交差部を互いに溶接した支持枠１と、夫々前記
   交差部位置で前記支持枠１に一端面が溶接されて
   ほぼ水平に且つ、前記縦型筒状体２に放射方向に
   植設固定された多数の棒材４と、夫々の該棒材４
   の根元部に位置した複数のスペーサ１１と、前記
   支持枠１の外表面に取付金具１７を介して曲折部
   が上下方向に位置するようにして蛇行状に且つ、
   その長手方向に伸縮自在に敷設され、その外径が
   前記スペーサ１１の厚みより小さい金属管の内に
   絶縁粉体を介して発熱線が内装されたシースヒー
   タ１２と、前記スペーサ１１の外面に隣接して前
   記夫々の棒材４に係止され、前記縦型筒状体２の
   外周を小隙を有して着脱自在に被蔽する複数の内
   装板７と、夫々の前記棒材４の自由端に着脱自在
   に被着される外装板５と、その外装板５と前記内
   装板７との間に介装された保温材６と、を具備
   し、前記支持枠１の上端を前記筒状体２上端のフ
   ランジ３に締結固定することにより支持された縦
   型筒状体の保温構造。