JPH0123445Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は平板状フイルムカセツテを用いた歯
科用パノラマＸ線撮影装置に関するものである。
歯科口腔領域のＸ線診断装置として欠くことので
きない全顎Ｘ線撮影装置（以下パノラマＸ線装置
と記す）は、従来主としてフイルムドラムを用い
ていたが、フイルムドラムに装填する柔軟性フイ
ルムカセツテに比して増感紙との密着が良く写真
の鮮鋭度のすぐれた平板状フイルムカセツテを用
い、これを直線状に移動させるパノラマＸ線装置
も既に開発されている。この装置は被検者の歯列
穹断層軌道に近似しただ円形軌道に沿つて回動す
る水平アームの一端にＸ線源を、他端に上記平板
状フイルムカセツテ支持体を対向状に配列懸垂
し、上記水平アームの回動位置に対応した可変速
度で上記フイルムカセツテを回動円の切線方向に
おいて通常その回動と逆方向に直線状に移動させ
るものである。上記アームの回動によるＸ線源の
移動速度に対し、フイルムカセツテの移動速度を
同期させると、一定の歯列穹断層撮影ができる
が、形状の異なる断層軌道の撮影は上記アーム回
動位相によつてフイルム速度を刻々に変化させる
必要がある。このためアーム回動とフイルム送り
を従来の機械的連動機構をやめ、アーム回動モー
タとフイルム送りモータを個別に設け両モータを
電気的に結合し、たとえばアーム回転モータの回
転数を信号に変換し、この信号の増減比に比例し
て、フイルム送りモータの回転数を制御すると
か、またはパルス回路を用いて両モータの同期回
路の伝達係数を可変制御するなどして、上記アー
ム回動位相に対応する可変速度でフイルムを駆動
している。上記のようにフイルムカセツテの駆動
は電気的にはいろいろ工夫されほぼ問題は解決さ
れているが、フイルム送りの可変速モータの回転
運動をフイルムカセツテの直線運動に変換して、
フイルムを所定の可変速度で円滑に移動操作させ
る平板状フイルムカセツテ支持体のとくに上記回
転・直線運動変換機構はいずれも未だ複雑で製作
しにくく、高価となる欠点がある。さらに限られ
た長さの水平アームの一端に横長のＸ線管をアー
ムと直交状に懸垂固定し、他端にたとえば最長約
50cmにもなる広幅のフイルムカセツテ部を上記Ｘ
線管と平行状に固定するので、それら長尺の器材
にはさまれた狭隘な空間に被検者が頭部を挿入し
なければならず、従来の円筒状フイルムドラムの
使用時と比べ特に被検者・術者ともに余計な神経
を使うという問題がある。

この考案は以上の現況に鑑みてなされたもので
あり、近年開発された平板状フイルムカセツテを
用いた歯科用パノラマＸ線装置の欠点や問題点を
解消し、機械的構造が簡素され、製作容易にし
て、フイルムカセツテを円滑かつ正確に直線移動
させるとともにアームに対し、回転可能であり被
検者頭部位置ぎめ操作が迅速にできる平板状フイ
ルムカセツテ支持体を備えた便宜な装置を提供し
ようとするものである。すなわち平板状フイルム
カセツテ支持体を、支持構体とカセツテキヤリア
とで構成し前記支持構体を水平アームとの間に貫
挿した垂直軸ならびに軸受にてなる回転機構によ
つて必要に応じ水平アームに対し、たとえば90゜
程度回転可能に形成し、この支持構体に回転速度
を軌道に応じて可変制御され、その回転軸にピニ
オンまたは摩擦転輪を備えた可変速モータと、前
記ピニオンまたは摩擦転輪をはさんで少くとも２
個の軸受ならびにキヤリア横振れ防止部材とを有
するキヤリア案内機構とを設けるとともに前記カ
セツテキヤリアを前記ピニオンまたは摩擦転輪に
て駆動される断面欠円状のラツクまたは水平軸
と、これと結合しフイルムカセツテを保持固定す
るカセツテ保持枠体とで形成したことを特徴とす
る歯科用パノラマＸ線撮影装置にかかるものであ
る。

以下図面を用いてこの考案の実施例を説明す
る。

第１図はこの考案の実施例装置の撮影部を示す
外観側面図であり、第２図は上記撮影部の水平ア
ームの上方から見た平面図で、この考案の要部で
ある平板状フイルムカセツテ支持体の回転状態を
示している。パノラマＸ線装置１は図示しない基
台に樹設した主柱２の垂直方向に移動自在に支承
される撮影台３を備え、この撮影台３の上部に突
出したアーム駆動部４に内蔵されたアーム回動機
構のアーム回動軸５を介して、水平アーム６をた
とえば時計方向（矢印ａ）に回動させる。水平ア
ーム６の一端にＸ線管７を設け、そのＸ線照射筒
８から上記水平アーム６と平行する方向にＸ線ビ
ームを放射し、他端６Ｂに被検者頭部９を透過し
たＸ線ビームをスリツトを介して受像するＸ線フ
イルムを内蔵した平板状フイルムカセツテ１０を
上記Ｘ線ビームと直交する方向に移動自在に支持
する平板状フイルムカセツテ支持体が懸垂されて
いる。上記撮影台３の図示しない下部から、アー
ム駆動部４と同方向に延びた頭部支持台１２の先
端に被検者のあご載置台１３が設けられ、その上
方位置に２本の側頭押えまたはイヤーロツト支柱
１４と、でこ当て１５とを有する位置ぎめ機構１
６が水平アーム６を貫通して上記アーム駆動部４
に係合固定されており、これらの機構の調整を投
光器１７の出射するライトビームによつて被検者
の前歯部１８を所定の位置に照準するのが頭部位
置ぎめ操作である。この頭部９を上記位置ぎめ機
構１３，１４，１５に位置させる際水平アームを
撮影開始位置に回動するとともに、幅Ｗがたとえ
ば約40cmの平板状フイルムカセツテキヤリア２０
を移動自在に支承するフイルムカセツテ１１を第
２図に示すように水平アーム６の一点２１を回転
中心として矢印ｃ方向にたとえば90゜程度手動に
て回転可能とし、水平アーム６の外に待避させる
ことによつて、被検者頭部９の上記定置ならびに
位置ぎめ操作をし易くしたのがこの考案の一つの
要部である。なお第２図の２２は水平アーム回動
軸５の軸心位置である。つぎに第３、４図によつ
てフイルムカセツテ支持体１１の回転機構２３を
説明する。第３図は第１図で示した水平アーム６
のアーム構体６Ｂ内の回転機構２３の平面図であ
り、第４図は第３図の−′側断面図である。
たとえばアルミ鋳造成型物であるアーム構体６Ｂ
一隅の周壁に２段の平板状突出部２４，２５を形
成し、そのそれぞれの突出部に垂直の軸心が一致
する孔２６，２７を削設し、これにスラスト玉軸
受２８とラジアル玉軸受２９とをはめこみ、これ
ら軸受を支承する軸受保持リング３０を、上記突
出部に溶接などの手段によつて固定してある。上
記軸受２８，２９の内孔に垂直軸３１がはまり合
い、この軸の上端に設けた雄ねじ部３２に螺合す
る板ナツト３３によつて、上記垂直軸３１はアー
ム構体２３に回転自在に懸垂されている。この垂
直軸３１の下端つば部３４に前述の平板状フイル
ムカセツテ支持体１１の支持構体３５の天板部３
６を、それに接合した補強板３７を介して、数本
の取付ねじ３８によつて堅牢に固定され、垂直軸
軸心２１を回転中心として上記支持構体３５が第
２図のように回転可能に構成されている。なお垂
直軸３１は中空に形成され、その内孔３９およ
び、これと連通する支持構体３５上部孔４０とを
介して、可変速モータの制御回路ならびに後述す
る自動露出制御系の検出回路の電気回線を支持構
体３５内に導入している。また第４図の４１の着
脱自在の水平アームカバーである。

つぎに第５，第６図および第７図によつて、こ
の考案の今一つの要部である平板状フイルムカセ
ツテ支持体１１の構成を説明する。上記水平アー
ムの一端のアーム構体６Ｂの回転機構２３に回転
可能に支承される支持体１１は上記垂直軸３１を
固定した天板部３６を上部に有するたとえば２mm
厚の鉄板で形成された桝形の支持構体３５と、同
じく天板部３６に係合するモータ支持板４３に設
けたキヤリア案内機構４４に移動自在に支承され
るカセツテキヤリア２０とで構成されている。上
記天板部３６には、２組のポールスナツプ機構４
２Ａ，４２Ｂが設けられ、前者はカセツテ支持体
１１の撮影時の位置を規正するものであり、後者
はカセツテ支持体１１の回転角を規正するもので
ある。支持構体３５の前面中央にＸ線ビーム入射
のスリツト４５が設けられ、その周辺の裏側にＸ
線遮蔽板４６が接合されている。さらに構体底部
４７には上記キヤリア案内機構の一部としてキヤ
リア横振れ防止の案内板４８がキヤリア走行方向
に沿つてたとえば支持構体３５の幅W₁に相当す
る長さに設けられている。上記モータ支持板４３
には断層軌道形状によつてその回転速度を回動位
相に対応して制御されるたとえば５相パルスモー
タ４９を固定するとともにその回転軸に取付けら
れたたとえばウレタンゴムを被覆した摩擦転輪５
０をはさんで１対の軸受５１からなるキヤリア案
内機構４４を同じく固定している。上記軸受５１
は一般にボール・ブツシユと呼ばれ、それが支承
する軸の軸方向運動に沿つて、多数のボールが転
動し保持器を介して循還し、上記運動に対する摩
擦係数がきわめて小さいものである。また支持構
体３５の中央部に上記スリツト４５から入射され
る被写体透過Ｘ線ビームのＸ線強度を検出するＸ
線検出器５２が一点鎖線で示すフイルムカセツテ
１０に近接して設けられている。なお５２Ｃは検
出器５２の電源コンセントであり、リード線は図
示を省いている。この検出器５２は筆者らが先に
出願し既に公告されている特公昭57−46640号公
報「Ｘ線断層撮影用自動露出装置」に詳記してあ
る透過Ｘ線検出部である。なお支持構体３５の両
側板５３，５３′にはカセツテキヤリア２０が入
出する窓部が設けられ、さらにその後部は着脱自
在の後部カバー５４にて覆われている。支持構体
３５の内部には上記可変速モータ４９の可変速制
御の電子回路を内蔵しているが、図示を省略す
る。カセツテキヤリア２０は上記可変速モータ４
９の摩擦転輪５０によつて駆動され、案内機構４
４に案内される走行軸５６と、これの両端をねじ
５７にて係合するたとえばアルミ鋳造成型物でな
るカセツテ保持枠体５８とで構成されている。保
持枠体５８は上記走行軸係合部５８Ａと、上部梁
部５８Ｂと、下部梁部５８Ｃとカセツテの装着脱
を容易にする凹部を形成したタテ梁部５８Ｄ，５
８D′とが一体的に形成され、上記上下梁部５８
Ｂ，５８Ｃの前面と、これらに設けた補助板５
９，６０とによつて平板状フイルムカセツテ１０
を保持固定する。さらに下部梁部５８Ｂには左右
各１対のローラ６１，６１′を内部に回転自在に
設け、上記支持構体底部に設けたＬ形案内板４８
に対向して圧接しているので、カセツテキヤリア
２０の走行に際して、いささかの横振れも生じな
い、７図は第５図の円６２で囲んだ部分を上方か
ら見た図であり、上記走行軸５６の上部に削設し
た平面部５６Ｆの幅Ｌは軸径Ｄの60〜70％の範囲
にしてあり、摩擦転輪５０の回転に対し、すべり
を生ずることなく、確実にその回転に応じた移動
速度でカセツテキヤリア２０を円滑に駆動する。

以上がこの考案の実施例であるが、この考案は
図示や説明に限定されるものでないことはいうま
でもない。たとえば第３、第４図の回転機構によ
る平板状カセツテ支持体の回転は、従来の頭部規
格撮影（セフアロ）兼用形装置におけるセフアロ
撮影の照準操作の際、カセツテ支持体をＸ線放射
錐領域外へ待避させるのが、容易であるだけでな
く、Ｘ線源を動かさないため高い照準精度が得ら
れるものである。また摩擦転輪５０をピニオン
に、走行軸５６を断面同形の欠円状ラツクに置き
かえても同一効果が得られるし、Ｘ線検出器を設
けない装置にしても適用できるものである。さら
に支持体回転機構の上側のスラスト軸受も支持構
体の重量によつてはラジアル玉軸受にてもよい
し、キヤリア横振れ防止部材の案内板を動摩擦係
数の小さいたとえばアセタール樹脂製とし、これ
と摺動する保持枠体の下部梁部に凹溝を設けた構
成でもよい。

この考案は以上のように構成されているので、
近年開発された平板状フイルムカセツテを用いた
歯科用パノラマＸ線装置の欠点や問題点を解消
し、幅の広いフイルムカセツテ支持体を水平アー
ムに対し回転可能に支承することによつて被検者
の位置ぎめを容易かつ迅速に行うことができ操作
性にすぐれ、セフアロ兼用のパノラマＸ線装置に
そのまま適用できるとともに、セフアロ照準操作
の迅速化ならびに高い照準精度が得られる効果と
ともに、僅少な部材・部品によつて構造簡単にし
て堅牢で、かつフイルムカセツテの移動が円滑で
良質のパノラマＸ線写真が撮影できる便宜な装置
と提供しえたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例装置の撮影部の外観
側面図、第２図は上記装置の水平アームの上方か
ら見た平面図で、平板状フイルムカセツテ支持体
の回動状態を示す図、第３図は上記カセツテ支持
体回転機構の平面図、第４図は第３図の−′
側断面図、第５図は平板状フイルムカセツテ支持
体の構成を示す一部破断の正面図、第６図は第５
図の−′側断面図、第７図は第５図の円で囲
んだ部分の平面図である。 ５……水平アーム回動軸、６……水平アーム、
６Ｂ……水平アームのフイルムカセツテ懸垂端、
７……Ｘ線源、９……被写体、１０……平板状フ
イルムカセツテ、１１……フイルムカセツテ支持
体、２０……カセツテキヤリア、２１……支持体
回転中心、２３……支持体回転機構、２８，２９
……上記回転機構の軸受、３１……垂直軸、３５
……支持構体、４４……キヤリア案内機構、４９
……可変速モータ、５０……ピニオンまたは摩擦
転輪、５１……カセツテキヤリアの軸受、４８…
…キヤリア横振れ防止部材、５６……ラツクまた
は走行軸、５８，５９，６０……カセツテ保持枠
体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 被写体９をはさんでＸ線源７と平板状フイル
   ムカセツテ１０とを所定の相対位置に対向懸垂
   した水平アーム６を回動せしめ、被写体を透過
   したＸ線ビームが前記フイルムカセツテに常に
   正方投影するとともに、フイルムカセツテを前
   記アーム回動の逆方向にその切線に沿つて直線
   状に移動せしめ、かつその速度を被写体断層軌
   道の形状に対応して可変制御し、被検者の全顎
   Ｘ線情報をパノラマ状に撮影するようにした装
   置において、前記平板状フイルムカセツテ支持
   体１１を支持構体３５と、カセツテキヤリア２
   ０とで構成し、前記支持構体を水平アームとの
   間に貫挿した垂直軸３１ならびに軸受２８，２
   ９にてなる回転機構２３によつて必要に応じ水
   平アームに対して、任意の角度回転可能に形成
   し、この支持構体に回転速度を前記軌道形状に
   応じて可変制御され、かつその回転軸にピニオ
   ンまたは摩擦転輪５０を設けた可変速モータ４
   ９と、前記ピニオンまたは摩擦転輪をはさんで
   少くとも２個の軸受５１ならびにキヤリア横振
   れ防止部材４８とを有するキヤリア案内機構４
   ４を設けるとともに、前記カセツテキヤリアを
   前記ピニオンまたは摩擦転輪にて駆動される断
   面欠円状のラツクまたは走行軸５６と、これと
   結合し、フイルムカセツテを保持固定するカセ
   ツテ保持枠体５８，５９，６０とで形成したこ
   とを特徴とする歯科用パノラマＸ線撮影装置。 ２ 回転機構２３の回転中心位置をＸ線入射方向
   から見て、撮影時の水平アーム６の回転進行方
   向端部に設けてなる実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の歯科用パノラマＸ線撮影装置。 ３ 支持構体３５に被写体透過Ｘ線ビームのＸ線
   強度検出器５２を設けてなる実用新案登録請求
   の範囲第１項または第２項記載の歯科用パノラ
   マＸ線撮影装置。 ４ 水平アーム端部６Ｂに設ける回転機構２３の
   軸受２８，２９がラジアル玉軸受とスラスト玉
   軸受の組合せである実用新案登録請求の範囲第
   １項ないし第３項いずれか記載の歯科用パノラ
   マＸ線撮影装置。 ５ キヤリア横振れ防止部材４８の両面に接し、
   転動する少くとも１対のローラ６１をカセツテ
   保持枠体５８に設けてなる実用新案登録請求の
   範囲第１項ないし第４項いずれか記載の歯科用
   パノラマＸ線撮影装置。 ６ 断面欠円状のラツクまたは走行軸５６の欠円
   平面部５６Ｆを上部を形成するとともに、その
   平面部の幅Ｌを軸直径Ｄの60〜70％の範囲で形
   成してなる実用新案登録請求の範囲第１項ない
   し第５項いずれか記載の歯科用パノラマＸ線撮
   影装置。