JPH0123354Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は身体を自動的に洗浄できるようにした
身体の自動洗浄装置に関する。

（従来の技術） 入浴時における身体の洗浄作業は、日常の作業
として繰り返し行なつていることでもあるが、例
えば体調が不調な時にはこの種の作業に倦怠感を
抱いて、入浴を敬遠することがある。このような
場合、わざわざ人手を要することなく器械等によ
つて自動的に身体を洗浄できたら、入浴が億くう
にならず健康のうえからも望まいいこととなる。
このような身体の洗浄装置は健康人に限らず、例
えば手足に怪我をして身体の洗浄が困難な人や、
体の不自由な老人または病気療養中の人々の間で
予てより開発が期待され、またそのような人達を
看護している人々にとつても、作業の手間や労力
の負担が軽減されて望ましいこととなる。

従来、このような目的に近似するものとしては
所謂健康機が一応あるが、この健康機は通常肩こ
りやマツサージの用に供せられ、身体の洗浄まで
配慮されて構成されていないため、その代用には
無理があつて実用化できない。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこのような点に鑑み、入浴者が定位置
で立位姿勢を保持していれば、人手を煩らわせる
ことなく器械により自動的に身体を洗浄して、健
康人は勿論、体の不自由な人や病気療養中の人々
の入浴の不便を解消するとともに、それらの人々
の入浴を促して、健康の維持と増進並びに回復に
寄与する一方、病人等を看護している人々の作業
の手間と労力の負担を軽減でき、しかも従来のこ
の種装置に比べて、安全かつ堅牢でコンパクトな
身体の自動洗浄装置を提供することを目的とす
る。

このため、本考案の身体の自動洗浄装置は、垂
直に立設したラツクと、該ラツクに噛合するギヤ
を固定したドライブシヤフトと、ドライブシヤフ
トを架設した走行板に支持されて洗浄ロールを装
着するロールシヤフトと、上記ドライブシヤフト
とロールシヤフトに連係するモータを備え、上記
洗浄ロールを回転かつ上下動可能に支持した身体
の自動洗浄装置において、中央に前方および上下
方向に開口する凹部を形成した略コ字形断面の器
枠を壁面に沿つて立設し、上記凹部を挟む器枠内
に走行板を上下動可能に収容し、これら走行板間
にロールシヤフトの両端とドライブシヤフトの両
端を平行に架設するとともに、上記器枠内の背面
板に前記ラツクを固定し、かつ上記凹部内に一部
周面を前方に突出して洗浄ロールを収容し、該ロ
ールの上下および前部周面を開放したことを特徴
としている。

（実施例） 以下、本考案を図示の実施例により説明する
と、第１図乃至第４図において１は浴室で、その
壁面２には縦長の器枠３が取り付けられている。
器枠３は略コ字形断面をなし、その前面板３ａの
中央には幅広な凹部４が形成されており、この凹
部４を挟む前面板３ａの両側位置と背面板３ｂの
各内側位置には、一対のガイドレール５，５が固
設されている。６，６は器枠３内部の両側位置に
配設された走行板で、その前後端部の外側位置に
はコロ７，７が回転自在に軸支され、これらのコ
ロ７，７が前記ガイドレール５，５内に走行可能
に収容されている。

前記走行板６，６の相対向する前後位置には一
対の軸受８，９が固設され、このうち後方位置に
取り付けられた軸受８，８の間には、ドライブシ
ヤフト１０が回転自在に支持されている。このド
ライブシヤフト１０の両端部には、背面板３ｂの
内側に固設した長尺のラツク１１，１１位置に対
応して、ギヤ１２，１２が固設され、これらが前
記ラツク１１，１１と噛合している。１３は一方
の走行板６の内側に固定された正逆転可能なモー
タで、その駆動軸にはドライブギヤ１４が固設さ
れており、このギヤ１４が前記ギヤ１２と噛合し
ている。一方、前記軸受９，９の間にはロールシ
ヤフト１５が回転自在に支持され、その片側端部
に固設されたギヤ１６が前記ドライブシヤフト１
４と噛合している。

１７はロールシヤフト１５の中間部に固設され
た洗浄ロールで、スポンジゴム、ウレタンゴム等
の柔軟な材質で円筒形に形成され、その大半が前
記凹部４内に位置し、その一部周面を前面板３ａ
から前方へ突出して、器枠３の外部から接触可能
にされている。この場合、洗浄ロール１７は金
属、木材、プラスチツク等の硬質部材で原形を構
成し、その表面に適宜な摩擦係数を有する上記の
ゴム材や布材を接着して構成してもよく、その形
状も前述の他に第５図ａ，ｂに示すような鼓形ま
たは大鼓形に形成したものを用いることも可能で
ある。

１８，１９は器枠３内の上下位置に取り付けら
れたリミツトスイツチで、例えば何れか一方の走
行板６の移動域に臨ませて設置され、その作動に
よつてモータ１３の回転方向を反転可能として、
洗浄ロール１７の移動行程を規制するようにして
いる。すなわち、器枠３の上部に設置されたリミ
ツトスイツチ１８は、例えば走行板６の上縁部の
位置を感知して、モータ１３を反転駆動させ、洗
浄ロール１７の上動行程を規制する一方、器枠３
の下部に設置されたリミツトスイツチ１９は、例
えば走行板６の下縁部の位置を感知して、モータ
１３を反転駆動させ、洗浄ロール１７の下動行程
を規制するようにしている。この場合、モータ１
３をコインの投入によつて始動させ、その駆動時
間を適宜設定するように構成することも可能であ
る。

この他、図中２０は器枠３の上部に設置された
シヤワー噴出器で、多数の噴水口が開口されてお
り、２１は入浴者、２２は浴室１の床面である。

第６図は本考案の第１応用例を示し、前述の構
成と対応する部分には同一の符号を用いている。
この応用例では二つの洗浄ロール１７，１７を上
下位置に配設し、それらのロールシヤフト１５，
１５にスプロケツト２３，２３を固設するととも
に、これらのスプロケツト２３，２３間にチエー
ン２４を巻き掛けて、一方のロールシヤフト１
５、この応用例では下側のロールシヤフト１５の
回動力を他方のロールシヤフト１５に伝え、上側
の洗浄ロール１７を回転させるようにして、これ
ら二つの洗浄ロール１７の回転によつて、高硬度
かつ高精度の洗浄を行なうようにした点を特徴と
している。

第７図および第８図は本考案の第２応用例を示
し、この応用例では器枠３の前部を開口し、その
開口部２５に臨む走行板６をコ字形断面に構成す
る一方、モータ１３の駆動軸にベベルギヤ２６を
固設し、このベベルギヤ２６に噛合するベベルギ
ヤ２７を一方のロールシヤフト１５に固設すると
ともに、該シヤフト１５と、走行板６に架設され
た仕切板２８上に回転自在に軸支したロールシヤ
フト１５，１５のそれぞれにスプロケツト２９，
２９，２９を固設し、これらスプロケツト２９の
外周部にチエーン３０を巻き掛けて、ロールシヤ
フト１５，１５，１５を回転自在に構成するとと
もに、これらシヤフト１５を器枠３の前方に突出
し、かつその軸端部に固設した洗浄ロール１７，
１７，１７を器枠３と平行平面上で回転させ、身
体洗浄の高確実かつ高精密化を図つた点を特徴と
している。

第９図は本考案の第３応用例を示し、この応用
例では器枠３を浴室１の床面２２上に設置すると
ともに、器枠３の直上位置に大柄な格子枠を多数
形成したガードフレーム３１を配設し、このガー
ドフレーム３１上に入浴者２１を仰向けまたはう
つ伏せ状に横臥させて洗浄するようにして、例え
ば立位姿勢が困難な老人や病気療養中の患者等の
身体の洗浄を可能にした点を特徴としている。

（作用） このように構成した身体の自動洗浄装置は、器
枠３の凹部４内に洗浄ロール１７の大半が収容さ
れ、しかもロールシヤフト１５とドライブシヤフ
ト１０が壁面２と平行に架設されているから、該
装置をコンパクトに構成でき、浴室１スペースの
有効利用を図れる。

次に上記装置を使用して入浴する場合は、例え
ば第１図に示すように入浴者２１が器枠３の直前
位置に立ち、換言すれば器枠３によつて、全身が
洗浄ロール１７の移動路から退避するから、その
安全な使用が図れる。

そして、この後モータ１３を駆動すると、その
動力がドライブギヤ１４を介して、このギヤ１４
と噛合するギヤ１２，１６に伝達される。このた
め、一方のギヤ１２がそれと噛合するラツク１
１，１１上を回転しながら、ラツク１１，１１上
を直線的に移動して、その動力がドライブシヤフ
ト１０および軸受８，８を介して走行板６，６に
伝達される。このため、走行板６，６がギヤ１
２，１２の直線変位と一体に移動し、その際走行
板６，６の外側に配設したコロ７，７がガイドレ
ール５，５に沿つて走行して、走行板６，６の移
動の安定性と円滑性を図る作用をなす。したがつ
て、軸受９，９およびロールシヤフト１５を介し
て走行板６，６間に架設された洗浄ロール２１
は、走行板６，６と共に器枠３の長さ方向すなわ
ち上下方向に沿つて移動する。

一方、モータ１３の始動に伴ないドライブギヤ
１４と噛合するギヤ１６が回転すると、このギヤ
１６を固設したロールシヤフト１５が回転して、
このシヤフト１５に固設された洗浄ロール１７が
回転し始める。この場合、洗浄ロール２１は比較
的大径に形成され、しかもギヤ１４，１６間の速
比は比較的小さく設定されて、一方のギヤ１６の
回転数の増倍が図られているから、このギヤ１６
と同軸の洗浄ロール１７の周速度が増速されるこ
ととなる。

このように洗浄ロール１７が回転しながら上下
動している状態の下で入浴が可能になるが、その
場合には入浴者２１が器枠３の直前位置に立つ
て、身体の一部を洗浄ロール１７に軽く押し当て
ればよく、そのようにすることによつて洗浄ロー
ル１７と、これに接触している身体との間に適当
な摩擦力が発生し、これが身体の接触部を擦過し
て当該部の汚損部を除去する作用をなす。したが
つて、この場合の洗浄力は洗浄ロール１７の擦過
作用に左右され、これは前記摩擦力を生成する身
体の押付力とロール１７の周速度に依存すること
となるが、前述のように洗浄ロール１７の周速度
が増速されているため、効果的な身体の擦過力が
得られ、良好な洗浄効果を得ることができること
となる。

この場合、入浴者２１の洗浄箇所は洗浄ロール
１７の移動に伴なつて刻々変化し、洗浄ロール１
７に対する押付力が変動するから、入浴者２１は
適当に姿勢を変えて、洗浄ロール１７に対する押
付力を一定に保つ必要がある。このように洗浄ロ
ール１７に身体を押し付けても、ロールシヤフト
１５の両端は走行板６，６間に架設されているか
ら、洗浄ロール１７の回転が安定し、ロールシヤ
フトを片持ち支持する従来のもののように、ロー
ルシヤフトが後方へ変位して、洗浄ロール１７が
偏心回転する惧れはない。

しかも、洗浄ロール１７の上下および前方は全
て開放されているから、上記ロール１７に毛髪等
が巻き付く心配もなく、これを安全に使用でき
る。また、洗浄の際には洗浄ロール１７の周面に
予め石鹸水を湿潤させて置くか、または入浴者２
１の身体に予め石鹸液を塗布して置く等して、洗
浄効果を高めることが望ましい。

而して、洗浄ロール１７が第１図の状態から上
動を開始し、走行板６の上縁部がリミツトスイツ
チ１８の取り付け位置に達すると、リミツトスイ
ツチ１８がその位置を感知して動作し、モータ１
３を反転駆動させる。このため、洗浄ロール１７
の上動が停止され、かつその回転方向が反転され
て下動し始める。洗浄ロール１７が引き続いて下
動し、走行板６の下縁部がリミツトスイツチ１９
の取り付け位置に到達すると、リミツトスイツチ
１９がその位置を感知して動作し、モータ１３を
反転駆動させる。このため、洗浄ロール１７の下
動が停止され、かつその回転方向が反転されて上
動し始める。洗浄ロール１７はこの後も上下動お
よび正逆転を繰り返して入浴者２１の身体を洗浄
する。そして、身体の洗浄が十分に行なわれた
後、例えばシヤワー噴出器２０の給水弁を開弁し
てシヤワーを散水させ、身体に付着した石鹸水を
流し落とせば、一連の洗浄が終了し、その際一部
のシヤワー水が凹部４を介して、洗浄ロール１７
の周面に流下し、該ロール１７周面を清浄にする
から、上記ロール１７の清浄を同時に行なえる。
また、このようなシヤワー噴出器２０を用いなく
ても、洗浄ロール１７の周面に水を吹き付けれ
ば、その清浄を容易に行なえる。

このように本考案装置の使用に当つては、器枠
３の前で素立ち状態のまま時々洗浄ロール１７の
移動に応じて身体を僅かに動かせばよく、手足の
格別な操作を一切要しないから、人手を煩わせる
ことなく身体の洗浄を自動的に行なうことができ
ることとなる。なお、本考案の装置は洗浄装置の
他に身体をマツサージする健康器具としての利用
も図ることができ、その応用範囲は頗る広いもの
である。

（考案の効果） 本考案の身体の自動洗浄装置は以上のように、
洗浄ロールの直前に身体を位置付けて置けば、手
足の格別な操作や姿勢を要することなく、身体を
自動的に洗浄できるから、特に手足に径我をして
入浴が困難な人や、身体の不自由な老人または病
気療養中の人達の入浴を促し、このような人達の
健康の維持と増進並びに回復に寄与できるととも
に、このような人達を看護している人々の作業の
手間と労力の負担を軽減することができる効果が
ある。

また、本考案では、中央に前方および上下方向
に開口する凹部を形成した略コ字形断面の器枠を
壁面に沿つて立設し、上記凹部内に一部周面を前
方に突出して洗浄ロールを収容し、かつ走行板間
にロールシヤフトの両端と、ドライブシヤフトの
両端を平行に架設したから、この種装置の小型化
を図れるとともに、その設置スペースの合理的な
利用を図れる効果がある。

しかも、ロールシヤフトの両端を走行板間に架
設したから、従来のような片持ち支持構造のもの
に比べて、上記シヤフトを強固に支持することが
でき、従来のように身体の洗浄時にロールシヤフ
トが変位したり、洗浄ロールが偏心回転したりす
ることはない。

更に、本考案では洗浄ロールの上下および前部
周面を開放して、洗浄時に上記ロール周面に毛髪
等が巻き付く事態を防止するとともに、器枠内の
背面板にラツクを固定してラツクの露出を防止
し、しかも洗浄時には上記器枠前方での立位姿勢
を余儀なくさせ、洗浄ロールの移動路から全身を
退避させたから、この種装置の使用上の安全性を
高めた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の使用状態を示す正面図、第２
図は第１図のＡ−A′線に沿う横断平面図、第３
図は第２図のＢ−B′線に沿う横断平面図で、共
に若干拡大して図示しており、第４図は第２図Ｃ
−C′線に沿う断面図、第５図ａ，ｂは本考案を構
成する洗浄ロールの他の実施例を示す正面図、第
６図は本考案の第１応用例を示す断面図、第７図
および第８図は本考案の第２応用例を示す断面図
とその平面図、第９図は本考案の第３応用例を示
す正面図である。 ３……器枠、１１……ラツク、１２……ギヤ、
１５……ロールシヤフト、１７……洗浄ロール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 垂直に立設したラツクと、該ラツクに噛合する
   ギヤを固定したドライブシヤフトと、ドライブシ
   ヤフトを架設した走行板に支持されて洗浄ロール
   を装着するロールシヤフトと、上記ドライブシヤ
   フトとロールシヤフトに連係するモータを備え、
   上記洗浄ロールを回転かつ上下動可能に支持した
   身体の自動洗浄装置において、中央に前方および
   上下方向に開口する凹部を形成した略コ字形断面
   の器枠を壁面に沿つて立設し、上記凹部を挟む器
   枠内に走行板を上下動可能に収容し、これら走行
   板間にロールシヤフトの両端とドライブシヤフト
   の両端を平行に架設するとともに、上記器枠内の
   背面板に前記ラツクを固定し、かつ上記凹部内に
   一部周面を前方に突出して洗浄ロールを収容し、
   該ロールの上下および前部周面を開放したことを
   特徴とする身体の自動洗浄装置。