JPH0123276B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明はワークに形成された取付孔にピンを
自動で挿入するための挿入装置に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

たとえばエンジンの組立工程においては、ワー
クであるエンジン本体に形成された取付孔にノツ
クピンを挿入する工程がある。このようなノツク
ピンの挿入を自動で行なう場合、ロボツトのアー
ムに設けられたチヤツクでノツクピンを挟持し、
ついで上記チヤツクの位置を制御してノツクピン
を取付孔の中心に一致させ、そのノツクピンを取
付孔に挿入するようにしている。

ところで、このような自動組立工程では、エン
ジン本体はコンベアで搬送されていて、ノツクピ
ンを挿入する工程位置で上記コンベアを停止し、
エンジン本体を位置決めするようにしている。そ
のため、エンジン本体の位置決め精度とロボツト
によるチヤツクの位置決め精度とが狂うと、上記
ノツクピンの端面が挿入孔の端縁に当り、ノツク
ピンを挿入孔に挿入できなくなるという問題が生
じる。とくに、コンベアによるエンジン本体の位
置決めはあまり高精度に行なえないから、このよ
うな問題が発生しやすいということがあつた。

〔発明の目的〕

この発明は挿入孔とピンとの中心が多少ずれて
いても、上記挿入孔にピンが確実に挿入すること
ができるようにしたピンの挿入装置を提供するこ
とにある。

〔発明の概要〕

軸方向に駆動される取付軸の一端に、可動体を
上記取付軸の軸方向に対して直交する方向に移動
自在に支持した支持体および上記可動体を支持体
に固定するクランプ機構とからなる調心装置を設
け、上記取付軸の他端にこの取付軸と同心にピン
を保持するチヤツク機構を設けるとともに、上記
取付軸に一体的かつ回動自在に設けられその一端
が上記ピンと対向した位置から非対向となる位置
まで駆動機構によつて回動させられるアームを設
け、このアームの一端にアームが回動させられる
前の状態において上記ピンと軸心を一致させたガ
イドピンを設けることにより、最初にワークの取
付孔にガイドピンを挿入し、ガイドピンと取付孔
との中心がずれていたならば上記調心装置の可動
体を介して取付軸を変位させ、ついで上記可動体
を支持体に固定してチヤツク機構に保持されたピ
ンをワークの取付孔に挿入するようにしたもので
ある。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例を図面を参照して説
明する。第１図中１は三次元的に位置決め制御さ
れるロボツトのアームである。このアーム１には
回転駆動されるねじ軸２が立設され、このねじ軸
２にはナツト３が螺着されている。このナツト３
には駆動軸４の一端が連結されている。この駆動
軸４の中途部は上記アーム１にスライド自在に支
持され、他端には挿入装置５が連結されている。

上記挿入装置５は第３図に示すように取付軸６
を備えている。この取付軸６の一端には調心装置
７が連結されている。この調心装置７はリング状
の中間体８の一端面に上板９、他端面に下板１０
が固着され、内部を空間部１１とした支持体１２
を有する。上記空間部１１には可動体１３の鍔１
４が形成されたされた一端部が収容され、この可
動体１３の他端部は上記下板１０に穿設された透
孔１５から突出してそる。そして、この突出端に
上記取付軸６が可動体１３と軸心を一致させて連
結され、また上記上板９に上記駆動軸４の他端が
連結されている。上記可動体１３の鍔１４は、そ
の上下面が回転自在な球体１６によつて支持され
ている。したがつて、可動体１３は取付軸６の軸
線に対して直交する平面上を自由に移動できるよ
うになつている。また、可動体１３にはその一端
面に開放したシリンダ１７が形成されている。こ
のシリンダ１７にはピストン１８が気密な状態で
スライド自在に収容されている。このピストン１
８のシリンダ１７から突出した一端は大径部１９
に形成され、この大径部１９の上面にはゴムなど
の第１の摩擦部材２０が取着されている。この第
１の摩擦部材２０と対向する上板９の下面には第
２の摩擦部材２１が固着されている。また、可動
体１３にはシリンダ１７の下部に連通する供給孔
２２が穿設され、この供給孔２２は図示せぬ圧縮
空気の供給源に連通している。したがつて、シリ
ンダ１７内に圧縮空気が供給されるとピストン１
８がシリンダ１７から突出し、第１の摩擦部材２
０が第２の摩擦部材２１に圧接するから、ピスト
ン１８を介して可動体１３の軸方向に直交する方
向の動きが阻止される。なお、ピストン１８と可
動体１３との間にはピストン１８をシリンダ１７
内に没入する方向に付勢するばね２３が介装され
ている。すなわち、上記ピストン１８と第１、第
２の摩擦部材２０，２１とによつて可動体１３の
動きを規制するクランプ機構を形成している。

上記取付軸６の一端には鍔２４が形成され、こ
の鍔２４の下面にはリング状の第１の連結体２５
が固着されている。この第１の連結体２５の下面
にはゴムなどの弾性材２６を介して同じくリング
状の第２の連結体２７が連結されている。この第
２の連結体２７の下面にはＬ字状の第１の取付体
２８がその一辺を固着している。この第１の取付
体２８の上記取付軸６の軸線と平行な他辺には第
２図に示すようにエアシリンダなどの駆動源２９
が設けられ、この駆動源２９には開閉自在な一対
のフインガ３０ａからなるチヤツク機構３０が連
結されている。そして、上記一対のフインガ３０
ａによつてピン３１が上記取付軸６と軸線が一致
する状態で挟持される。

また、上記取付軸６の下端部は上記第１の取付
体２８の一辺に穿設された透孔３２から突出し、
その端部には第２の取付体３３が一端部を固着し
ている。この第２の取付体３３の他端部下面には
軸受体３４が垂設され、この軸受体３４には支軸
３５が回転自在に設けられている。この支軸３５
のチヤツク機構３０側に突出した一端には一対の
フインガ３０ａの側面と平行な状態で配設された
アーム３６の一端部が連結されている。また、支
軸３５の他端にはレバー３７の一端が連結されて
いる。このレバー３７の他端には駆動機構である
エアシリンダ３８のロツド３９が枢着されてい
る。このエアシリンダ３８は第２図に示すように
上記取付軸６の鍔２４の外面に一端を固着したＬ
字状の支持部材４０の他端に枢着されている。そ
して、エアシリンダ３８のロツド３９が突出する
方向に作動すると、第２図に示すように上記レバ
ー３７は垂直な状態から矢示方向に回動し、この
回動に支軸３５を介してアーム３６が連動する。

上記アーム３６の他端には取付片４１が直角に
固着されている。この取付片４１には取付孔４２
が穿設され、この取付孔４２にはガイドピン４３
がねじ４４によつて取着されている。このガイド
ピン４３は、下端側から第１のテーパ部４６ａを
介してワーク４５に形成された取付孔４６よりも
十分小径な小径部４７と、第２のテーパ部４８ａ
を介して上記取付孔４６よりもわずかに小径、つ
まり取付孔４６に挿入固定される上記ピン３１と
同径の基準軸部４８とが順次形成されてなる。そ
して、このガイドピン４３はアーム３６がエアシ
リンダ３８によつて回動させられる前には一対の
フインガ３０ａによつて挟持されたピン３１の下
方にこのピン３１と軸心を一致させて位置してお
り、エアシリンダ３８が作動してそのロツド３９
が突出すると、一対のフインガ３０の下方から側
方に変位する。

なお、上記第２の取付体３３の他端部にはシヨ
ツクアブソーバ５０が設けられている。そして、
上記エアシリンダ３８によつて上記レバー３７が
回動した状態から垂直に復帰したとき、このレバ
ー３７の端部が上記シヨツクアブソーバ５０に当
接してレバー３７の位置決め、つまりガイドピン
４３がピン３１と同軸に位置決めされる。

つぎに上記構成の作用について説明する。ま
ず、挿入装置５の下方に図示せぬコンベアで搬送
されてきたワーク４５が位置決めされると、ねじ
軸２が回転させられて挿入装置５が下降する。挿
入装置５が下降すると、アーム３６に設けられた
ガイドピン４３が上記ワーク４５に形成された取
付孔４６に挿入される。このとき、ガイドピン４
３と取付孔４６との軸心がずれていると、上記ガ
イドピン４３の第１のテーパ部４６ａあるいは第
２のテーパ部４８ａが取付孔４６の開口縁に当接
するから、ガイドピン４３にその軸線と直交する
方向の力が発生する。ガイドピン４３がこのよう
な力を受けると、この力が第２の取付体３３と取
付軸６を介して調心装置７の可動体１３に伝達さ
れる。したがつて、この可動体１３が取付軸６の
軸線と直交する方向に変位しながら上記ガイドピ
ン４３がワーク４５の取付孔４６に挿入されるか
ら、ガイドピン４３の基準軸部４８が上記取付孔
４６に挿入され終ると、ガイドピン４３と取付孔
４６との軸心が一致することになる。また、上記
可動体１３の動きにチヤツク機構３０も連動する
から、このチヤツク機構３０の一対のフインガ３
０ａに挟持されたピン３１の軸心も取付孔４６の
軸心と一致する。

この状態で調心装置７のシリンダ１７に圧縮空
気を供給してピストン１８を突出させ、第１の摩
擦部材２０と第２の摩擦部材２１とを圧接させる
ことにより上記可動体１３を支持体１２に固定す
る。可動体１３の動きを阻止したならば、上記ね
じ軸２を作動させてガイドピン４３がワーク４５
の取付孔４６から抜け出るまで挿入装置５を上昇
させる。ついで、エアシリンダ３８を作動させて
アーム３６を回動させ、ガイドピン４３を一対の
フインガ３０ａの下端から側方に変位させたの
ち、挿入装置５を上記ねじ軸２を作動させて再び
下降させる。すると、上記一対のフインガ３０ａ
に挟持されたピン３１がワーク４５の取付孔４６
に挿入されることになるのだが、このピン３１の
軸心は上記調心装置７とガイドピン４３とによつ
て上記取付孔４６の軸心に一致させられているた
め、上記ピン３１は取付孔４６に確実に挿入され
ることになる。

また、ピン３１と取付孔４６との寸法差がほと
んどない場合には、ピン３１を単に下方に変位さ
せるだけではピン３１の下端縁と取付孔４６の内
周面との当接状態がわずかでも不均一になつたと
きにピン３１が取付孔４６にスムースに入り込ま
なくなる。しかしながら、このような場合には、
ピン３１に加わる力に応じて第１、第２の連結体
２５，２７間に設けられた弾性材２６が圧縮変形
してピン３１を傾斜させる。したがつて、ピン３
１はこじられるようにして取付孔４６に押し込ま
れるので、取付孔４６に挿入されることになる。

〔発明の効果〕

以上述べたようにこの発明によれば、チヤツク
機構に保持されたピンの軸心を、アームに設けら
れたガイドピンと調心装置とによつてワークの取
付孔の軸心と一致させることができる。したがつ
て、上記ピンとワークとの位置決めが高精度に行
なわれなくとも、上記ピンをワークの取付孔に確
実に挿入することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示し、第１図は全
体の概略図、第２図は正面図、第３図は一部断面
した側面図、第４図はアームの取付構造の断面図
である。 ６……取付軸、７……調心装置、１２……支持
体、１３……可動体、１８……ピストン（クラン
プ機構）、２０，２１……摩擦部材（クランプ機
構）、３０……チヤツク機構、３１……ピン、３
６……アーム、３８……エアシリンダ（駆動機
構）、４３……ガイドピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 軸方向に駆動される取付軸と、この取付軸の
   一端に連結された可動体、この可動体を上記取付
   軸の軸方向に対して直交する方向に移動自在に支
   持した支持体および上記可動体を支持体に固定す
   るクランプ機構とを有する調心装置と、上記取付
   軸の他端に設けられた取付軸と同心にピンを保持
   するチヤツク機構と、上記取付軸に一体的かつ回
   動自在に設けられたアームと、このアームをその
   一端が上記チヤツク機構に保持されたピンと対向
   した位置から非対向となる位置まで回動させる駆
   動機構と、上記アームの一端にこのアームが回動
   させられる前の状態において上記ピンと軸心を一
   致させて設けられたガイドピンとを具備してなる
   ことを特徴とするピンの挿入装置。