JPH01225745A

JPH01225745A - 摺動部品

Info

Publication number: JPH01225745A
Application number: JP5111288A
Authority: JP
Inventors: Kuniyoshi Matsumoto; 松本　国義
Original assignee: Daikin Industries Ltd
Current assignee: Daikin Industries Ltd
Priority date: 1988-03-03
Filing date: 1988-03-03
Publication date: 1989-09-08

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】〈産業上の利用分野〉この発明は摺動部品に関する。さらに詳細にいえば、油
圧機器、自動車、工作機械、産業機械等の構成部品であ
って、少なくとも一部に摺動部を有する摺動部品に関す
る。

〈従来の技術〉従来より、各種機械部品を形成する鋳鉄素材としてダク
タイル鋳鉄が知られている。このダクタイル鋳鉄の基地
組織は、主としてフェライトやパーライト組織、或いは
それらの混合組織によって構成されていたために、その
強度や靭性において限界があり、適用範囲が限られてい
た。

ところが、上記ダクタイル鋳鉄にオーステンパ処理を施
すことにより、優れた強度と靭性を付与する技術°が開
発されるに至り、鍛鋼品や特種鋼に限定されていた機械
部品に鋳造技術を適用することが可能となった。

そして、上記オーステンパ・ダクタイル鋳鉄によってク
ランクシャフトやピストンポンプ用のシリンダブロック
等、少なくとも一部に摺動部を有する摺動部品を作製す
るには、ダクタイル鋳鉄にオーステンバ処理を施した後
、摺動部を旋削または研削仕上げするとともに、ロール
加工やショットピーニング等の表面仕上げ加工を施し、
加工誘起変態によって基地組織の残留オーステナイトを
マルテンサイト化することにより、摺動部に耐摩耗性を
付与することが行なわれている（例えば特開開５９−１
２９７３０号公報、特開昭６０−１０８９４４号公報参
照）。

〈発明が解決しようとする課題〉このように、オーステンパ争ダクタイル鋳鉄を用いて摺
動部品を製造するには、摺動部に対してロール加工やシ
ョットピーニング等の表面加工を施す必要があるので、
加工工数が増加するとともに、加工設備も必要とし、製
造コストが高くつくという問題があった。

また、上記ロール加工やショットピーニング等の表面加
工を施すと、摺動面全体が加工誘起変態によって一律に
加工硬化されるので、耐摩耗性が全体的に向上する反面
、耐衝撃性が低下するという問題があった。

この発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、摺
動部に対して表面加工を施すことなく適度の耐摩耗性を
付与することができるとともに、摺動部の耐衝撃性を確
保することができる摺動部品を提供することを目的とす
る。

く課題を解決するための手段〉上記の目的を達成するための、この発明の摺動部品は、
少なくとも摺動部が、残留オーステナイトとベイナイト
とからなる基地組織のオーステンパ・ダクタイル鋳鉄に
よって形成されていることを特徴とするものである。

但し、上記オーステンパ・ダクタイル鋳鉄としては、ロ
ストフオーム鋳造品からなるものが好ましい。

く作用〉上記の構成の摺動部品であれば、当該部品を実装して駆
動させることにより、摩擦作用に伴う誘起変態によって
、摺動部の残留オーステナイトをマルテンサイト化させ
て、摺動面を硬化させることができる。

しかも、上記摺動面の硬化は、摺動面に負荷される面圧
、摺動頻度、摺動時間等の摺動条件に応じて進行するの
で、上記摺動面に必要とされる耐摩耗性を、摺動条件に
応じて自動的に調整することができる。即ち、摺動量や
摺動圧が大きいほど硬化度合い、領域が大きくなり、必
要な耐摩耗性が確保されるとともに、摺動量や摺動圧が
小さい部分では、マルテンサイト化される残留オーステ
ナイトが最少限となり、残留オーステナイトの持つ高靭
性等の利点を最大限利用することができる。

特に、上記オーステンパ・ダクタイル鋳鉄が、ロストフ
オーム鋳造品からなるものである場合には、摺動部の寸
法精度の良好なものが得られるので、後工程における当
該摺動部の仕上げ加工を、軽負荷にて加工誘起変態を生
じることなく迅速に行なうことができる。

〈実施例〉以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。

第１図は、この発明の摺動部品を、ピストンポンプ用の
シリンダブロック（Ａ）に適用した場合を示す断面図で
ある。上記シリンダブロック（Ａ）は、主体部としての
筒体（１）がダクタイル鋳鉄によって形成されているも
のであり、その内周部には、回転軸（Ｂ）に対する歯合
用のスプライン（３）が形成され、上記回転軸（Ｂ）を
中心とする円周上に、複数のシリンダ（４）が配設され
ているとともに、筒体（１）の一端部に、鉛青銅等から
なる環状の摩擦部材（′２）が鋳ぐるまれている。

上記筒体（１）は、ロストフオーム鋳造法（フルモール
ド法）等の精密鋳造法によって形成されたものであり、
当該鋳造後オーステンバ処理を施して、ダクタイル鋳鉄
の基地組織であるフェライト、パーライト、またはこれ
らの混合組織から、残留オーステナイトとベーナイトか
らなる基地組織に変態させることにより、所望の強度と
靭性を付与し、さらにその後、所定部に対して旋削等の
機械加工を施すことにより、所望の形状に仕上げられて
いる。特に、シリンダ（４）部については、ロストフオ
ーム鋳造を行なった後、ドリリングを施すとともに、研
削仕上げを行なうことにより、所定の寸法精度に仕上げ
られている。但し、上記シリンダ（４）部は、上記ロス
トフオーム鋳造法により、最少取代にて寸法精度良く仕
上げられており、ドリリングを軽負荷にて迅速に行なわ
せ、ピストン（Ｃ）との摺動面である当該シリンダ（４
）の内周面（４ａ）に加工誘起変態が生じるのを防止し
ている。また、研削仕上げについても、内周面（４ａ）
に加工誘起変態が生じるのを防止すべく軽負荷にて行な
っている。

一方、筒体（１）を構成するダクタイル鋳鉄については
、例えば、Ｃ：２．５〜４．０重量％、Ｓｉ；１．５〜
３．５重量％、Ｍｎ：０．１〜１．０重二％１Ｎｉ：０
．３〜２．０重量％、ＭＯ二〇、１〜１．５重量％、Ｍ
ｇ：０．０２〜０．１ｍｍ％、残部が実質的にＦｅから
なるものが、オーステンパ処理を容易かつ安定的に行な
わせることができることから好ましく、この場合におけ
るオーステンバ処理仲、上記ダクタイル鋳鉄からなる筒
体（１）を、８８５〜９１５℃に加熱して１〜２時間保
持した後、３５５〜３８５、℃に急冷し、この状態で１
〜２時間保持して放冷するのが好ましい（第２図参照）
。尚、上記オーステンパ処理によって、残留オーステナ
イト組織の体積比率を基地組織の３０〜４０％にするこ
とができる。

上記の構成のシリンダブロック（Ａ）であれば、ピスト
ンポンプに組込んで駆動させた場合に、ピストン（Ｃ）
の摩擦作用によって、シリンダ（４）の内周面（４ａ）
が数ミクロン程度削り取られることになり、この研削作
用に伴う加工誘起変態によって、シリンダ内周面（４ａ
）の残留オーステナイト組織がマルテンサイト化される
ことになる。従って、シリンダ（４）の内周面（４ａ）
を硬化させて耐摩耗性を付与することができる。

特に、上記シリンダ内周面（４ａ）の硬化は、当該内周
面（４ａ）に負荷される面圧、摺動頻度、摺動時間等の
摺動条件に応じて進行するので、内周面（４ａ）の各領
域毎に必要とされる耐摩耗性を、当該内周面（４ａ）の
各領域に対応させて適切に付与することができる。しか
も、シリンダ（４）の内周面（４ａ）の両端部付近、つ
まり、ピストン（Ｃ）の上死点および下死点付近の摩耗
量が必然的に多くなることから、当該付近にクラウニン
グを自動的に形成することができる。また、上記シリン
ダ（４）の内周面（４ａ）のうちの摺動圧が比較的少な
い中央部付近は、最少限に硬化されるので、残留オース
テナイトの持つ高靭性を保持することができる。

第３図は、基地組織が残留オーステナイトとベーナイト
とからなるオーステンパ・ダクタイル鋳鉄製の試験片（
Ｃ：３．６重量％、Ｓｉ：２，２重量％、Ｍｎ：０．４
重量％、Ｐ：０．０３重量％、Ｓ：０．０１重量％、Ｃ
ｒ：０．０４重量％、Ｃｕ：０．５１重量％、Ｍｏ：０
．３２重量％、Ｍｇ：０．０４８重量％、残部が実質的
にＦｅからなる）について、種々の加圧力で５００時間
の摩擦摺動試験を行なった後、摩擦面から内部にかけて
の硬度分布を測定した結果を示すグラフであり、摩擦作
用に伴う誘起変態によって、摩擦面から０．４〜０．５
ｍｍの範囲において、硬度が加圧力に応じて明瞭に上昇
していることがわかる。

また、第４図は、表面にショットピーニングを施した試
験片（組成については上記試験片と同じ）の当該表面か
ら内部にかけての硬度分布を示すグラフであり、これと
第３図とを比較すると、摩擦作用によってショットピー
ニングに匹敵する硬度を確保することができることが明
らかである。

なお、この発明の摺動部品としては、上記シリンダブロ
ック（Ａ）のほか、スクロール圧縮機、ロータリ圧縮機
、レシプロ圧縮機等の各種圧縮機の構成部品や、２サイ
クルエンジン用のクランクシャフト等、少なくとも一部
に摺動部を有する各種の機械部品に適用することができ
、何れにおいても、少なくとも摺動部が、残留オーステ
ナイトとベイナイトとからなる基地組織のオーステンパ
・ダクタイル鋳鉄によって形成されていればよい。

〈発明の効果〉以上のように、この発明の摺動部品によれば、摺動部を
駆動させることによって、当該摺動部の残留オーステナ
イトをマルテンサイト化することができるので、摺動部
を硬化させて耐摩耗性を付与することができる。

しかも、摺動面が、面圧、摺動頻度、摺動時間等の摺動
条件に応じて硬化するので、摺動面に必要とされる耐摩
耗性を、摺動条件に応じて自動的に調整することができ
る。特に、摺動量や摺動圧が小さい部分では、最少限に
硬化されるので、残留オーステナイト組織の持つ高靭性
により　耐衝撃性を確保することができるという特有の
効果を奏する。

また、上記オーステンバ拳ダクタイル鋳鉄が、ロストフ
オーム鋳造品からなるものである場合には、摺動部の寸
法精度の良好なものが得られるので、後工程における当
該摺動部の仕上げ加工を、軽負荷にて加工誘起変態を生
じることなく迅速に行なうことができるという特有の効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の摺動部品をシリンダブロックに適用
した場合を示す断面図、第２図はオーステンバ処理条件を示すグラフ図、第３図
は摩擦摺動試験を行なった試験片の摩擦面から内部にか
けての硬度分布を示すグラフ図、第４図はショットピー
ニングを施した試験片の表面から内部にかけての硬度分
布を示すグラフ図。（４）・・・摺動部としてのシリンダ、（Ａ）・・・シ
リンダブロック。第１図第２図時間

Claims

【特許請求の範囲】１、少なくとも摺動部が、残留オーステナイトとベイナ
イトとからなる基地組織のオーステンパ・ダクタイル鋳
鉄によって形成されていることを特徴とする摺動部品。２、オーステンパ・ダクタイル鋳鉄が、ロストフォーム
鋳造品からなる上記特許請求の範囲第１項記載の摺動部
品。