JPH0122549B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は瞬間湯沸器と、単管式で勾配を有する
風呂用伝熱管を備えた風呂釜を複合したもので、
風呂への大量出湯時に瞬間湯沸器に風呂釜の熱量
を加算し、風呂釜の風呂用伝熱管より注湯するこ
とを可能とした給湯風呂装置に関するものであ
る。

従来例の構成と問題点 従来の給湯風呂釜は、第１図から第２図に示す
構成のものがある。すなわち、第１図のものは、
複数個のプレート式の風呂用加熱管１と複数個の
パイプ式の給湯用伝熱管２とを共用の吸熱フイン
３を介して一体的に形成し、風呂と給湯を共用の
バーナ４にて加熱する１缶２水路式の給湯風呂釜
である。

第２図のものは、複数個のプレート式の風呂用
加熱管１と吸熱フイン５を有する風呂釜６と、複
数個のパイプ式の給湯用加熱管７を有する瞬間湯
沸器８に、各々加熱用バーナ９，１０を設け、前
記風呂釜６と瞬間湯沸器８を同一ケース内に収納
し、同時使用の場合に定格通りの能力を発揮させ
るようにした２缶２水路式の給湯風呂釜である。

しかし乍ら、前者の１缶２水路式給湯風呂釜
は、風呂用と給湯用伝熱管を共用の吸熱フインに
て一体化することよりコンパクトが図れる特長を
有する反面、風呂加熱中に給湯を使用した場合
（同時使用の場合）に風呂に一部吸熱され、給湯
単独使用時に比べ給湯能力が低下する。また、給
湯使用中に風呂を加熱したい場合（同時使用の場
合）に給湯に殆んど吸熱され、風呂単独使用時に
比べ風呂加熱能力が極端に低下するなどの欠点が
ある。これに対し後者の２缶２水路式給湯風呂釜
は、夫々独立した風呂釜と瞬間湯沸器がひとつの
ケースに収納されていることで風呂と給湯の同時
使用の場合において定格通りの能力発揮ができる
特長を有する反面、機器が大きくなりコンパクト
化が図れない欠点がある。

さらに、風呂への高温湯の大量出湯を可能とす
る場合には給湯能力を大型化する必要がある。こ
の場合に機器寸法が大きくなり設置スペースの関
係で問題となるものであつた。また、第５図のも
のは、給湯機１７にて得た高温湯を風呂釜用熱交
換器１２にて再加温する構成のものであるが、循
環弁２９というアクチユエータを用いていること
と、下部循環パイプ１５から上部循環パイプ１４
を経て浴槽２８に送り入れるものであり、次の課
題が考えられる。

(イ) 循環弁２９は通常弁座の部分・弁の部分は構
造上抵抗が大きいものである。従つて、風呂釜
として機能する時は下部循環パイプ１５から上
部循環パイプ１４に向けて自然循環であり、流
れ抵抗が増大するので流速が遅く熱効率も悪く
なる。しかも、局部沸騰による釜鳴り現象の発
生がし易くなるなどの課題が生じる。

従つて、これを解決するとなると、とてつも
なく大口径の弁となりとても実現な不可能に近
いものとなる。

(ロ) 下部循環パイプ１５から、上部循環パイプ１
４に向けて送り出す構成である。従つて、流れ
方向に次第に抵抗が増えることになるので、通
水管上部のタンクの面と上部循環パイプ１４の
間の水頭圧が十分に必要である（図面に記載の
程度ではとても不足）。従つて、水頭圧を十分
に得ようとすると機器本体の背丈が上記のため
だけで高くなるなど、現実には、機器のコンパ
クト化、機器の低コスト化などの観点より課題
がある。

(ハ) 循環パイプ１４，１５が垂直上下に配置され
ている。従つて、熱交換器１２としての循環パ
イプ１４，１５は垂直上下となり、風呂用バー
ナ９よりの加熱効率を考えると、上部循環パイ
プ１４側が悪くなり、あまり得策ではない。加
熱効率を配慮して循環上下パイプ１４，１５を
左右に配設すると加熱効率が高くなるが浴槽部
の循環上下パイプ１４，１５が垂直上下でなく
なつてしまうなどの課題がある。

発明の目的 本発明は係る従来の欠点を解決するもので、第
１の目的としては給湯と風呂の単独使用および同
時使用の場合に給湯と風呂能力が定格通り発揮で
きること。第２の目的としては風呂への高温湯の
大量出湯を機器寸法の小さいコンパクト化にて実
現すること。第３の目的としては、風呂への高温
湯の大量出湯時に、出湯湯温を制御し易に熱交換
品構成とすることである。

発明の構成 この目的を達成するために本発明は、一方の壁
面に有する下の循環入口管と上の循環出口管をそ
れぞれ浴槽に接続した中空のジヤケツトと、この
ジヤケツトの他方の壁面で前記循環入口および出
口管とは反対側に入口部を接続し、かつ出口部を
前記循環出口管に接続し、前記入口部から出口部
に向けて徐々に高く勾配をつけた単管式伝熱管を
有する風呂釜と、給湯栓を有する出湯管に、給湯
管を接続した瞬間湯沸器と、前記単管式伝熱管の
出口部に下端を接続し、上端を前記給湯管に接続
した立上げ管と、この立上げ管の途中に設け、風
呂釜と瞬間湯沸器との間の縁切り用の手段と、こ
の縁切り用の手段と給湯管との間に設け、風呂釜
と瞬間湯沸器を使用して浴槽への大量給湯時に開
成し、前記単管式伝熱管の出口部から入口部に向
つて給湯せしめると開閉弁とを備え、さらに、中
空ジヤケツト、風呂釜、瞬間湯沸器を並設したも
のである。

本構成により、２缶２水路式としての機能が果
せるので同時使用の場合においても給湯単独使用
時と同時に定格通りの能力が発揮できる。さら
に、風呂への高温湯の大量出湯の場合に、瞬間湯
沸器にて得られた湯を風呂釜の風呂用伝熱管に送
り込み再加温し乍ら浴槽に送り込むものであり大
能力化が図れる。これにより、大能力タイプでし
かも、コンパクト化が実現できるものとなる。

実施例の説明 以下、本発明の実施例について第３図〜第４図
の図面に基づき説明する。なお、図において従来
例である第１図、第２図と同一部品は同一番号を
付記している。

図において、給湯風呂釜１１は単管の風呂用伝
熱管１２と吸熱フインＡ１３にて形成したもの
で、一方壁の端部上下に循環出口管１４と循環入
口管１５を有する中空ジヤケツト１６の他壁の循
環入口管１５より離れた反対側の下部端部に入口
部１２ａ、循環出口管１４に対応する位置に出口
部１２ｂを設けこの間を単管の風呂用伝熱管１２
にて連結している。

瞬間湯沸器１７は複数個の吸熱フインＢ１８と
給湯用伝熱管１９を有するユニツトと、給水部２
０ａと、加熱管２０を有するドラム部２１より構
成されている。

さらに、給湯用伝熱管１９の出口部１９ａを給
湯管２２と連結し、給湯管２２の先端を分岐し一
方を給湯栓２３を有する出湯管２４へ、他方を電
磁弁２５を介して風呂用加熱管１２の出口部１２
ｂより鉛直に立上げ管２６を設け尖端の漏斗２７
に開口連結している。

また、浴槽２８と出湯管２４、給湯栓２３を除
いてひとつのケーシング内に収納した構成の給湯
風呂釜である。

以下に動作・作用面について風呂単独加熱時、
給湯単独加熱時、風呂と給湯の同時使用時および
風呂への大量出湯時に分けて説明する。

(1) 風呂単独加熱時 浴槽２８に所定量の水が満された状態で風呂
を加熱する際、電磁弁２５と給湯栓２３が閉じ
ているので瞬間湯沸器用バーナ１０は点火され
ておらず風呂釜用バーナ９のみ点火することに
なる。点火後、吸熱フインＡ１３にて吸熱し風
呂用伝熱管１２を介して循環出口管１４より浴
槽２８に自然対流にて送り込まれ、順次浴槽２
８内湯温が上昇する。

この際、自然循環の流れとしては、下から上
方向、つまり、入口部１２ａより、立上げ管２
６の方向に循環加熱するものである。従つて、
可能な限り流れ抵抗が無いように、太い管と
し、しかも一本の伝熱管にて成立するように吸
熱フインＡ，Ｂを配設している。

しかも、入口部１２ａより立上げ管２６の位
置する方向に傾斜を設け、流れをよりスムーズ
になるようにしている。これにより、流れ抵抗
が少ないので停滞することがない。従つて、熱
効率も良く、局部沸騰などによる釜鳴りの発生
などがない。

(2) 給湯単独使用時 電磁弁２５、風呂釜用バーナ９が閉の状態で
ある。給湯栓２３を開栓すれば瞬間湯沸器用バ
ーナ１０が点火し、吸熱フインＢ１８にて吸熱
し複数個の給湯用伝熱管１９を介して給湯栓２
３より所望の湯が得られる。

(3) 同時使用時 電磁弁２５が閉の状態であり、風呂釜用バー
ナ９と瞬間湯沸器用バーナ１０が各々に点火さ
れ、吸熱フインＡ１３、吸熱フインＢ１８にて
吸熱し、風呂および給湯の単独使用時と同様に
加熱、出湯することになる。

この際、２缶２水路式であり、同時使用にお
いても給湯と風呂の単独時に比べて能力低下が
ない。

(4) 風呂への大量出湯時 浴槽２８に水が無い状態において、浴槽２８
内に大量の高温湯を出湯する場合のことであ
り、給湯栓２３が閉栓された状態にて電磁弁２
５を開栓すると、給水部２０ａよりの水が流れ
瞬間湯沸器用バーナ１０と風呂釜用バーナ９が
点火する。吸熱フインＢ１８にて得た湯が給湯
管２２より電磁弁２５、漏斗２７を介して風呂
用伝熱管１２の出口部１２ｂに送り込まれる。
この際、風呂用伝熱管１２にて再加温され乍ら
入口部１２ａ、中空ジヤケツト１６を経由し
て、循環入口管１５より浴槽２８に送り込まれ
ることになる。

この際、仮りに風呂用伝熱管１２が複数管式
（第２図の風呂釜用熱交換器構成の如きもの）
であれば、瞬間湯沸器よりの定温湯を複数管に
上手に分配しなくてはならない。この分配は流
量により大変難しいものである。例えば偏流が
生じると複数管毎に伝熱量が異なることにて装
置全体の伝熱量がばらつくし、得られる湯温も
ばらつく。また、流量が少ない部分では伝熱管
が過熱状態となり劣化をまねくこととなる。本
発明のものは、この点を考慮し単管式の伝熱管
としていることで上記欠点が生じないものとな
る。また、風呂単独加熱時は伝熱管の入口部１
２ａより出口部１２ｂ向けての自然対流であ
り、落込み時（注湯時）は出口部１２ｂより入
口部１２ａ向けての対流となる。つまり、上向
き対流と下向き対流の存在する伝熱管となる。
従つて、夫々の対流がスムーズに実現するため
に、入口部１２ａより出口部１２ｂ向けて勾配
を設け上記２つの対流を両立させている。

これにより、抵抗が少なくスムーズに浴槽向
けて送り入れることができる。

つまり、風呂単独加熱時と風呂への大量出湯
時をアクチユエータなどを用いることなく流れ
を逆にするだけで実現ができたものである。

さらに、循環出入口管１４，１５を垂直上下
に設けた中空ジヤケツト１６と、中空ジヤケツ
ト１６の循環出入口管１４，１５と離れた反対
側の下部端部に風呂用伝熱管１２の入口部１２
ａを設け、循環出口管１４側に出口部１２ｂを
設け、この間を単管の風呂用伝熱管１２にて連
絡することにより、垂直上下式でしかも、加熱
効率の良い風呂用熱交換器が得られるものであ
る。

発明の効果 以上のように本発明の給湯風呂装置によれば次
の効果が得られる。

(1) 瞬間湯沸器にて得た定温湯を単管式の風呂用
伝熱管に送り込んで再加温し浴槽に送り込む構
成を、風呂単独加熱時とは湯の流れ方向を逆に
するだけで実現できたものであり、従来例のよ
うに風呂釜の循環加熱回路に電磁弁を用いない
ので、故障が少なく、かつ安価で能力向上が図
れ、高温湯が可能になる。

(2) 風呂釜は注湯時に瞬間湯沸器からの新鮮な湯
が、いきおいよく流れて清掃され、従来例に比
べ汚れが少なく清潔に保つことができる。

(3) 単管式であり、構成が極めて簡略化できると
ともに、入口部から出口向けて勾配を有するこ
とにより流れのスムーズさが図れ、熱効率と釜
鳴り防止の両面での効果がある。

(4) 単管式の風呂用伝熱管とすることにより、伝
熱量の分布、過熱がないので温度の管理が容易
となり浴槽に送り込む出湯時の湯温制御が簡単
になる。

(5) 一般に浴槽へ接続した循環出入口管を、風呂
釜の伝熱管の出入口部に屈曲して接続するに
は、循環出入口管が比較的に径の太いことから
所定のスペースが最低必要としていた。しかる
に本発明では中空ジヤケツトを介して循環出入
口管と風呂釜の伝熱管を連通しているので、従
来に比べスペースが少なくなり、給湯風呂釜と
しての薄型に寄与できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の給湯風呂釜の外観斜視図、第２
図は他の従来の給湯風呂釜の要部外観斜視図、第
３図は本発明の一実施例の複合式給湯風呂装置の
外観斜視図、第４図ａ，ｂは風呂釜部分の正面図
と平面図、第５図は他の従来例の断面図である。 １１……給湯風呂釜、１２……風呂用伝熱管、
１２ａ……入口部、１２ｂ……出口部、１３……
吸熱フインＡ、１７……瞬間湯沸器、２２……給
湯管、２４……出湯管、２５……電磁弁、２６…
…立上げ管、２７……漏斗。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一方の壁面に有する下の循環入口管と上の循
   環出口管をそれぞれ浴槽に接続した中空のジヤケ
   ツトと、このジヤケツトの他方の壁面で前記循環
   入口および出口管とは反対側に入口部を接続し、
   かつ出口部を前記循環出口管に接続し、前記入口
   部から出口部に向けて徐々に高く勾配をつけた単
   管式伝熱管を有する風呂釜と、給湯栓を有する出
   湯管に、給湯管を接続した瞬間湯沸器と、前記単
   管式伝熱管の出口部に下端を接続し、上端を前記
   給湯管に接続した立上げ管と、この立上げ管の途
   中に設け、風呂釜と瞬間湯沸器との間の縁切り用
   の手段と、縁切り用の手段と給湯管との間に設
   け、風呂釜と瞬間湯沸器を使用して浴槽への大量
   給湯時に開成し、前記単管式伝熱管の出口部から
   入口部に向つて給湯せしめる開閉弁とを備え、さ
   らに、中空ジヤケツト、風呂釜、瞬間湯沸器を並
   設した給湯風呂装置。