JPH0121011Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、洗浄用覆い筒を付設した回転霧化式
の塗装装置に関する。

従来、この種の塗装装置は、エアモータの回転
軸にベル形状の荷電電極兼用の霧化頭を取付け、
霧化頭の基端に塗料供給路を接続し、霧化頭の先
端に塗料放出部を形成し、霧化頭の外周背面に向
けて空気流を噴出する円環状の空気噴出装置をエ
アモータのケース先端に設け、空気噴出装置から
噴出する空気の流量を増減する塗装パターン調整
用の弁を設け、霧化頭の外回りにシユラウドと呼
ばれる洗浄用覆い筒を被せ、霧化頭の塗料放出部
から放射される洗浄剤を集める洗浄用覆い筒を前
後動可能に設け、塗装時には、洗浄用覆い筒をそ
の前端開口から霧化頭の塗料放出部が突出する後
退位置に配置し、洗浄時には、洗浄用覆い筒をそ
の中に霧化頭の塗料放出部が配置される前進位置
に配置する。

ところが、塗装時において、空気噴出装置から
噴出する空気の流量を大きく増減しても、塗装パ
ターンは大きく変化せず、塗装パターンの調整範
囲は狭い。

本考案の目的は、上記のような欠点を有する従
来装置を改良し、塗装パターンの調整範囲が広い
洗浄用覆い筒付の回転霧化式塗装装置を提供する
ことである。

本考案者は、上記の目的を達成するため、従来
装置において塗装パターンの調整範囲が狭い原因
について研究した。

従来装置は、空気噴出装置の開口から霧化頭先
端の塗料放出部までの距離が50mm以上もあつて長
く、また、空気噴出装置の開口から噴出する空気
流がベル形状の霧化頭の外周背面に衝突するの
で、霧化頭の塗料放出部の外回り位置を通過する
空気流の軸方向速度は非常に遅くなつている。従
つて、上記の空気流は、軸方向速度が遅いので、
霧化頭の塗料放出部から遠心力で半径方向に高速
度で放射される塗粒を軸方向に十分に加速するこ
とができず、塗装パターンを小さく絞ることが困
難である。

塗装パターンを小さく絞るには、霧化頭の塗料
放出部の外回り位置を通過する空気流の軸方向速
度を高めるため、空気噴出装置の開口から霧化頭
の塗料放出部までの距離を短くする必要がある。

ところが、空気噴出装置を霧化頭の塗料放出部
の近傍に配置すると、塗色変更等による霧化頭の
洗浄時に、空気噴出装置が霧化頭の洗浄を妨害
し、霧化頭が十分に洗浄されない。霧化頭の洗浄
が不十分であると、塗料の色混じりが発生し、致
命的な塗装欠陥となる。

本考案の他の目的は、洗浄用覆い筒付の回転霧
化式塗装装置において、塗装パターンの調整範囲
を広くするに当り、霧化頭の洗浄を妨害しないこ
とである。

本考案は、塗装パターンの調整範囲を広くし、
かつ、霧化頭の洗浄を妨害しないため、従来装置
において、空気噴出装置を洗浄用覆い筒の前端開
口の回りに設けたものである。

次に、本考案の実施例について説明する。

第１実施例 （第１図乃至第４図参照） 第１図と第２図に示す本例の洗浄用覆い筒付の
回転霧化式塗装装置は、エアターボモータ１のケ
ース先端から突出した回転軸２に、円筒部４の先
端に円盤部５を同芯状に連設したハブ３を挿嵌
し、ハブの円盤部５中心のテーパ状取付孔６にエ
アターボモータの回転軸２のテーパ状先端部を密
嵌して、ハブの円盤部５中心を貫通したビス７に
よつてハブ３をエアターボモータの回転軸２に同
芯状に取付け、ハブ３に、円筒部９の先端に椀形
筒部１０を同芯状に連設したベル形体８を挿嵌
し、ハブの円筒部４の外周にベル形体の円筒部９
を嵌合し、ベル形体の椀形筒部１０をハブ３の前
方位置に突出して、ベル形体の円筒部９の周壁に
貫通したビス１１によつてベル形体８をハブ３に
同芯状に取付け、一体化したハブ３とベル形体８
によつて霧化頭を構成している。霧化頭３，８
は、エアターボモータ１を介して図示しない直流
高電圧発生装置に接続し、荷電電極に兼用してい
る。

エアターボモータ１のケース先端には、図示し
ない塗料供給装置に接続した塗料供給管１２を取
付け、塗料供給管１２の前端開口を霧化頭のハブ
の円筒部４内に配置して、霧化頭の基端側のハブ
に塗料供給路１２を接続している。ハブの円筒部
４の先端周壁には、ベル形体の椀形筒部１０内に
連通する多数の塗料通過孔１３を等間隔に貫設
し、ベル形体の椀形筒部１０の内周面を塗料流動
面１４に形成している。塗料流動面１４の先端部
には、多数の溝を等間隔に軸芯方向に沿つて設け
た塗料分流部１５を形成し、また、塗料流動面１
４の先端縁即ち霧化頭３，８の先端開口縁を塗料
放出部１６にしている。

霧化頭３，８の外回りとエアターボモータ１先
端部の外回りには、先細円錐筒台状の洗浄用覆い
筒１７を同芯状に被嵌し、絶縁材製洗浄用覆い筒
１７の基端の円輪板状端板１８に、図示しない往
復駆動装置の絶縁材製駆動軸２２の先端を連結し
て、洗浄用覆い筒１７を前後動可能に設け、洗浄
用覆い筒１７の基端側周壁の下部に洗浄剤吸引排
出路２３を接続している。洗浄用覆い筒１７の先
端の円輪板状端板２０の前面に設けた空気噴出装
置２４は、円環状の空気通路２５を霧化頭３，８
と同芯状に形成し、空気通路２５の上部に図示し
ない塗装パターン調整用の流量制御弁を介在した
高圧空気供給路２６を接続し、空気通路２５の前
面に多数の空気噴出孔２７を霧化頭３，８と同芯
の円環状に等間隔に設けている。

なお、円環状の空気噴出装置２４の内周面と洗
浄用覆い筒先端の円輪板状端板２０の内面面によ
つて形成される洗浄用覆い筒の前端開口２１は、
霧化頭３，８の最大外径より若干大径であり、洗
浄用覆い筒の基端開口１９は更に大径である。

本例の塗装装置を駆動して塗装を行う場合、先
ず、図示しない往復駆動装置の後退駆動によつ
て、洗浄用覆い筒１７は、第１図に示すように、
その前端開口２１から霧化頭の塗料放出部１６が
突出する位置に後退する。なお、空気噴出装置の
空気噴出孔２７の開口面から霧化頭の塗料放出部
１６の開口面までの距離は10mmである。次に、霧
化頭３，８が高速回転し、荷電電極兼用の霧化頭
３，８とその前方に配置した図示しない被塗装物
との間に直流高電圧が印加され、空気噴出装置の
空気通路２５に高圧空気が供給されて、各空気噴
出孔２７から前方に空気が噴出し、また、塗料供
給路１２から霧化頭のハブ３内に塗料が供給され
る。

回転中の霧化頭のハブ３内に供給された塗料
は、遠心力によつて、多数の塗料通過孔１３を経
てベル形体の椀形筒部１０内に至り、椀形筒部の
塗料流動面１４を薄膜状になつて流動し、塗料分
流部１５の多数の溝に流入し、塗料放出部１６か
ら放射状に放出され、繊維状微粒化が行なわれ
る。霧化頭の塗料放出部１６から放射された塗粒
は、空気噴出孔２７から塗料放出部１６の外回り
位置を前方に噴出する空気流による力と、塗粒と
被塗装物間に作用する静電引力とによつて、飛行
方向を前方に折曲されて飛行し、被塗装物に付着
する。

塗装パターンを調整する場合、空気通路２５に
供給する空気の流量即ち空気噴出孔２７から噴出
する空気の流量を増減する。

塗装パターンの大きさと上記の空気流量の関係
は、第４図に示す通りである。塗装パターンの大
きさは、空気流量が200Nl／minのときに、約28
cmであり、空気流量が零のときの約35％に絞られ
る。これに対し、従来装置においては、70〜75％
位にしか絞ることができない。

なお、塗着効率は、95％以上である。また、静
電引力を利用しない非静電式の場合は、60〜80％
である。これに対し、非静電式の従来装置におい
ては、20〜30％である。

本例の塗装装置においては、空気噴出孔２７の
開口面から霧化頭の塗料放出部１６の開口面まで
の距離が10mmであつて短く、また、空気噴出孔２
７の前方に空気流が衝突する妨害物がないので、
塗料放出部１６の外回り位置を通過する空気流の
軸方向速度が非常に早く、従つて、塗料放出部１
６から放射される塗粒を軸方向に十分に加速する
ことができ、塗装パターンを小さく絞ることがで
きる。

空気噴出孔２７の開口面を更に塗料放出部１６
の開口面に接近させると、塗装パターンを更に小
さく絞ることができるが、霧化頭３，８の外周
面、空気噴出装置２４や洗浄用覆い筒１７の先端
部に塗粒が付着し易くなるので、空気噴出孔２７
の開口面から塗料放出部１６の開口面までの距離
は、１〜30mm、特に５〜15mmが好ましい。

本例の塗装装置を駆動して洗浄を行う場合、図
示しない往復駆動装置の前進駆動によつて、洗浄
用覆い筒１７は、第３図に示すように、その中に
霧化頭３，８が配置される位置に前進し、その
後、直流高電圧が印加されていない回転中の霧化
頭のハブ３内に塗料供給路１２を経て洗浄用の溶
剤と空気即ち先浄剤が供給される。

回転中の霧化頭のハブ３内に供給された洗浄剤
は、塗装時の塗料と同様に、遠心力によつて、塗
料通過孔１３、塗料流動面１４と塗料分流部１５
を経て塗料放出部１６から放射され、その間に霧
化頭３，８の内面を洗浄する。塗料放出部１６か
ら放射された洗浄剤は、洗浄用覆い筒１７の内周
面に衝突して、洗浄用覆い筒１７の基端側の下部
に集められ、洗浄剤吸引排出路２３を経て排出さ
れる。

本例の塗装装置においては、空気噴出装置２４
は、洗浄用覆い筒の前端開口２１の回りに設けら
れているので、洗浄時に、洗浄用覆い筒１７の前
進により、第３図に示すように、霧化頭３，８の
前方に配置される。従つて、空気噴出装置２４が
霧化頭３，８の洗浄を妨害することがない。

第２実施例 （第５図参照） 本例の洗浄用覆い筒付の回転霧化式塗装装置
は、前例のそれと比較すると、第５図に示すよう
に、霧化頭３，８を構成するに当り、後半円筒部
９と前半円筒部１０を同芯状に連設した円筒体８
を前例におけるベル形体に代えて用い、また、空
気噴出装置２４に空気噴出孔２７を設けるに当
り、各空気噴出孔２７をそれぞれ軸方向と30度の
角度で配置して中心側に向けて開口している。そ
の他の点は、前例におけるのと同様であるので、
第５図に同一符号を付して、説明を省略する。

本例の塗装装置においては、空気噴出孔２７が
軸方向から傾斜しているので、空気流の軸方向速
度が若干遅くなるが、空気噴出孔２７が中心側に
向けて開口しているので、空気噴出孔２７の開口
を霧化頭の塗料放出部１６に十分に接近させて
も、霧化頭３，８、空気噴出装置２４が洗浄用覆
い筒１７に塗料が付着し難い。従つて、空気噴出
孔２７の開口を塗料放出部１６に十分に接近させ
ることにより、前例におけるのと同様な効果を奏
する。

なお、空気噴出孔２７が軸方向となす角度は、
０〜45度程度が好ましい。

本考案の洗浄用覆い筒付の回転霧化式塗装装置
は、空気噴出装置を洗浄用覆い筒の前端開口の回
りに設けたので、空気噴出装置の開口から霧化頭
の塗料放出部までの距離が短くなり、塗料放出部
の外回り位置を通過する空気流の軸方向速度が早
く、塗装パターンを小さく絞ることができる。従
つて、塗装パターンの調整範囲が広い。

また、洗浄時には、空気噴出装置は、洗浄用覆
い筒と一緒に前進して霧化頭の前方に配置される
ので、霧化頭の洗浄を妨害しない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例の洗浄用覆い筒付
回転霧化式塗装装置の一部縦断側面図であり、第
２図は同装置の正面図である。第３図は同装置の
洗浄時の状態を示す一部縦断側面図である。第４
図は同装置における塗装パターンの大きさと空気
流量の関係を示す線図である。第５図は第２実施
例の洗浄用覆い筒付回転霧化式塗装装置の一部の
縦断側面図である。 １……エアターボモータ、回転駆動装置、２…
…回転軸、３，８……霧化頭、１２……塗料供給
管、塗料供給路、１６……塗料放出部、１７……
洗浄用覆い筒、２１……前端開口、２４……空気
噴出装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転駆動装置の回転軸に霧化頭を取付け、霧化
   頭の基端に塗料供給路を接続し、霧化頭の先端に
   塗料放出部を形成し、塗料放出部から放射される
   塗粒を前方へ折曲する空気流を噴出する円環状の
   空気噴出装置を設け、空気噴出装置から噴出する
   空気の流量の増減により塗装パターンを調整可能
   にし、霧化頭の外回りに洗浄用覆い筒を被せ、霧
   化頭の塗料放出部から放射される洗浄剤を集める
   洗浄用覆い筒を前後動可能に設け、塗装時には、
   洗浄用覆い筒をその前端開口から霧化頭の塗料放
   出部が突出する後退位置に配置し、洗浄時には、
   洗浄用覆い筒をその中に霧化頭の塗料放出部が配
   置される前進位置に配置する洗浄用覆い筒付回転
   霧化式塗装装置において、上記の空気噴出装置を
   上記の洗浄用覆い筒の前端開口の回りに設けたこ
   とを特徴とする洗浄用覆い筒付回転霧化式塗装装
   置。