JPH0120709Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、巻真に配置された滑動する冠歯車を
有する、時計用のセツテイング機構に関する。

従来の技術 このような形式の公知なセツテイング機構にお
いては、セツテイング用の巻真が並進運動によつ
て可動であつて、この巻真が冠歯車を駆動せしめ
る。この冠歯車は、オシドリ、リターンバーのよ
うなレバーによつて巻真上に滑動可能に配置され
ている。滑動する冠歯車は少なくとも２つの位
置、つまり空転位置と、作動位置とを有してお
り、この作動位置で、この冠歯車は時計の時刻を
セツテイングするために巻真の回転運動を歯車列
に伝達する。このため、この滑動する冠歯車は内
部で平面部を備えた穴を有しており、この平面部
が巻真に形成された平面部と協働する。この場
合、冠歯車の内側のフエースに形成された冠歯
が、中間歯車を介して時計の歯車列とかみあう。
この中間歯車は一方で特別な歯形を有するすべり
冠歯車の歯列とかみ合い、他方で通常の歯形を有
する駆動歯車列又は伝動機構の歯車とかみ合う。
この結果、時刻をセツテイングする時に、中間歯
車の歯形及び歯車列の不規則操作に関連して微妙
なずれが生じる。

このような欠点を避けるために、冠歯車自体が
中間歯車とかみ合わずに、この中間歯車とかみ合
う溝付き歯車とかみ合うような形式のセツテイン
グ機構が知られているが、これは構造が比較的複
雑である。

考案の課題 これに対して、本考案の第１の課題は、中間歯
車の歯形がより簡略化されたより簡単なセツテイ
ング機構を提供することである。

本考案の第２の課題は、すべり冠歯車と歯車列
との間の伝動がスムーズに行なわれかつ良好な運
動条件下にある、セツテイング機構を提供するこ
とである。

本考案の第３の課題は、構成要素の組み合わせ
費用が安価になるようなセツテイング機構を提供
することである。

さらに、本考案の第４の課題は、すべり冠歯車
の外径が、時計装置の厚さを相応に増やすことな
しに大きくされるようなセツテイング機構を提供
することである。

課題を解決するための手段 前記課題を解決した本考案によれば、地板と駆
動部材とアナログ式時刻表示用文字盤と歯車列と
を有する時計用のセツテイング機構において、該
セツテイング機構が、前記地板内で滑動可能な巻
真と、該巻真上で滑動可能しかしながら回動不能
に取りつけられた冠歯車と、前記巻真の滑動運動
に応動して、非かみ合い位置とかみ合い位置との
間で前記冠歯車を滑動せしめるための部材とが設
けられており、さらに、前記滑動する冠歯車がか
み合い位置にある時にこの冠歯車にかみ合う歯車
と、前記歯車列の日ノ裏車に連続的に直接かみ合
うカナとから成る中間２重歯車が設けられおり、
該中間２重歯車の、冠歯車にかみ合う歯車が、こ
の中間２重歯車のカナよりも、前記巻真の軸線か
ら大きい間隔を保つて、しかも地板の内側面近く
に配置されている。

実施例 次に図面に示した実施例について本考案の構成
を具体的に説明する。

第１図及び第２図において、時計装置内の、本
考案によるセツテイング機構の組み立て図が示さ
れている。周知のように、セツテイング機構は巻
真２を有しており、この巻真２は装置の地板６の
穴４内に滑動可能に設けられている。巻真２は方
形横断面形状の部分２ａを有しており、この部分
２ａはすべり冠歯車８を巻真２と共に回転させる
ために、このすべり冠歯車８内の角穴８ａに係合
する。

巻真２は、これが引き出された位置（第２図に
示された位置）にある時は作動状態にあり、これ
が押し込まれた位置にある時は非作動状態にあ
る。巻真２は２つのレバーを介して逆方向の伝達
運動をすべり冠歯車８に伝達する。これは第１図
で明らかである。この２つのレバーはそれぞれオ
シドリ１０とリターンバー１４である。

オシドリ１０はスタツド１２で旋回可能に固定
されている。オシドリの一方の端部１０ａは巻真
２の穴２ｂ内に係合している。オシドリの他方の
端部には突起部１０ｂが形成されている。リター
ンバー１４はスタツド１６を中心にして旋回可能
に設けられている。リターンバー１４の一方のア
ーム１４ａはすべり冠歯車８の溝８ｂに係合して
いる。リターンバー１４の他方のアーム１４ｂ
は、スタツド１２に作用するばねを形成する。カ
ム面を形成する、リターンバーの部分１４ｃはオ
シドリの突起部１０ｂに係合する。巻真２が引き
上げられると、オシドリ１０の端部１０ａも引き
上げられることは明らかである（第１図）。その
結果、オシドリ１０の突起部１０ｂはリターンバ
ー１４のアーム１４ａを下降させて、その結果、
すべり冠歯車８を下降運動させ、このすべり冠歯
車８は作動位置に移動する。

巻真２のヘツド２ｃとは反対側の内側面で、す
べり冠歯車８はフエースギヤ８ｃを有している。
このフエースギヤ８ｃは、巻真２の回転運動を伝
動機構に伝達し、手動又はその他の手段で、時計
の時刻をリセツトするために使用される。

前述のような、すべり冠歯車８と伝動機構との
間の運動の伝達は中間２重歯車２０を介して行な
われる。この中間２重歯車２０は有利には中空突
起部材２２に旋回可能に保持されていて、この中
空突起部材２２は地板６の１構成部分である。中
間２重歯車２０はピン２４で保持されており、こ
のピン２４は中空突起部材２２内にはめ込まれて
いる。中間２重歯車２０は歯車２０ａとカナ２０
ｂとを有しており、カナ２０ｂは、巻真２の滑動
運動の軸線により近い位置に配置されている。歯
車２０ａは、すべり冠歯車８が作動位置にある
時、このすべり冠歯車８のフエースギヤ８ｃとか
み合う。中間歯車２０のカナ２０ｂは伝動歯車の
歯列とかみ合う。有利な実施例では、この伝動機
構は、歯車２６ａとカナ２６ｂを備えた日ノ裏車
２６を有している。日ノ裏車２６は地板６にはめ
込まれたホゾ２８で旋回可能に配置されている。
歯車２６ａは中間２重歯車２０のカナ２０ｂとか
み合う。分針アーバ３０は、歯車２６ａとかみ合
う分針カナ３０ａを有している。分針アーバ３０
は上受板部材３４の穴３２内で回転可能に保持さ
れている。他方、分針アーバ３０のホゾ３０ｂ
は、下受板部材３８にはめ込まれたベアリング３
６内で保持されている。時計は、分針アーバ３０
に軸受けされた時針車４０のパイプによつて駆動
される。時針車４０は日ノ裏車２６のカナ２６ｂ
とかみ合う。

図面は伝動機構の駆動形式を示していないが、
本発明によるセツテイング機構が駆動形式に左右
されないことは明らかである。駆動は種々の公知
な手段によつて行なわれる。例えば、時計が電気
式であるか機械式であるかには左右されずに、分
針アーバ３０に配置された中央の歯車が、モータ
又は香箱によつて駆動される。このような形式は
専門家の間では周知である。

機構の操作形式は以下の通りである。巻真２が
押し込まれた位置にある時、すべり冠歯車８は引
き戻される。日ノ裏車２６は分針カナ３０ａによ
つて駆動され、日ノ裏車２６のカナ２６ｂは時針
車４０を駆動させる。これは通常の操作形式であ
る。巻真２が引き出されると、すべり冠歯車８は
押し込まれる。その結果、このすべり冠歯車は中
間歯車２０の歯車２０ａとかみあう。カナ２０ｂ
は日ノ裏車２６とかみ合い、巻真２の回転運動は
分針アーバ３０と時針車４０として伝達される。

効 果 本考案による機構の利点は明らかである。まず
第１に、歯車２０ａはすべり冠歯車８とだけかみ
あい、日ノ裏車２６との連結はカナ２０ｂによつ
行なわれる。従つて、歯車２０ａは、日ノ裏車の
歯列を考慮する必要がないので、すべり冠歯車の
フエースギヤ８ｃとより良好に適合する歯列を有
することができる。第２に、装置の所定の厚味に
応じて、すべり冠歯車とかみ合う中間２重歯車２
０の歯車２０ａは、日ノ裏車２６の形状を変える
必要なしに、装置の上方側に（文字盤側に向かつ
て）ずらすことができる。この結果、すべり冠歯
車８のフエースギヤ８ｃの内径及び外径はこのず
らした分の寸法だけ大きく構成される。従つてこ
のフエースギヤ８ｃの内径と外径との間の比は増
大され、ひいては、すべり冠歯車８と中間２重歯
車２０とのかみ合いに関連して有利である。これ
は中間２重歯車２０の歯車２０ａとカナ２０ｂと
の相対位置によつて、装置の厚味を増やすことな
しに得られる。第３図では中間２重歯車２０の有
利な実施例が示されている。この実施例によれ
ば、中間２重歯車の製造は簡略化され、ひいて
は、製造費用が安価になる。つまり、中間２重歯
車２０は歯車５０とカナ５２とを有しており、こ
の歯車５０とカナ５２とは別個に製造されてから
結合される。カナ５２は、中央穴５２ａと、高さ
の１部にわたつて形成された外歯５２ａとを有し
ている。外歯５２ｂの上部で、このカナ５２はシ
ヨルダー部５２ｃを有している。歯車５０は外歯
５２ａと軸方向穴５０ｂとを有していて、この軸
方向穴５０ｂの直径は、カナ５２のシヨルダー部
５２ｃにおける外径と同じである。カナ５２を歯
車５０の軸方向穴５０ｂにはめ込むことによつ
て、歯車５０とカナ５２との間の精密な永久結合
が容易に行なわれる。歯車５０とカナ５２との結
合は別の形式でも可能であるが、別の形式はより
困難である。

歯車とカナとを別個に製造することは、カナと
歯車とを単一素材からカツトして製造するよりも
より簡単であることは明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案によるセツテイング機構を備
えた時計装置の概略的な部分的平面図、第２図は
第１図の−線に沿つた拡大断面図、第３図は
すべり冠歯車と伝動機構との間の運動を伝達する
ための中間歯車とカナの１実施例の断面図であ
る。 ２……巻真、２ａ……部分、２ｂ……溝、２ｃ
……ヘツド、４……穴、６……地板、８……すべ
り冠歯車、８ａ……角穴、８ｂ……溝、８ｃ……
フエースギヤ、１０……オシドリ、１０ａ……端
部、１０ｂ……突起部、１２……スタツド、１４
……リターンバー、１４ａ，１４ｂ……アーム、
１６……スタツド、２０……中間歯車、２０ａ…
…歯車、２０ｂ……カナ、２２……中空突起部
材、２４……ピン、２６……日ノ裏車、２６ａ…
…歯車、２６ｂ……カナ、２８……ホゾ、３０…
…分針アーバ、３０ａ……分針カナ、３０ｂ……
ホゾ、３２……穴、３４……上受板部材、３６…
…ベアリング、３８……下受板部材、４０……時
針車、５０……歯車、５０ａ……外歯、５０ｂ…
…穴、５２……カナ、５２ａ……中央穴、５２ｂ
……外歯、５２ｃ……シヨルダー部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 地板６と駆動部材とアナログ式時刻表示用文
   字盤と歯車列とを有する時計用のセツテイング
   機構において、該セツテイング機構が、前記地
   板６内で滑動可能な巻真２と、該巻真２上で滑
   動可能しかしながら回動不能に取りつけられた
   冠歯車８と、前記巻真２の滑動運動に応動し
   て、非かみ合い位置とかみ合い位置との間で前
   記冠歯車８を滑動せしめるための部材１４とが
   設けられており、さらに、前記滑動する冠歯車
   ８がかみ合い位置にある時にこの冠歯車８にか
   み合う歯車２０ａと、前記歯車列の日ノ裏車２
   ６に連続的に直接かみ合うカナ２０ｂとから成
   る中間２重歯車２０が設けられており、該中間
   ２重歯車２０の、冠歯車８にかみ合う歯車２０
   ａが、この中間２重歯車２０のカナ２０ｂより
   も、前記巻真２の軸線から大きい間隔を保つ
   て、しかも地板６の内側面近くに配置されてい
   ることを特徴とする、時計用のセツテイング機
   構。 ２ 中間２重歯車が、軸方向穴の形成された歯車
   と、カナとを有しており、該カナがこのカナの
   高さの一部にのみわたつて形成された歯列を有
   していて、該カナの、歯列の形成されていない
   部分が前記歯車の軸方向穴に係合してこの歯車
   に関連して固定されている、実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のセツテイング機構。