JPH0118838Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関へ供給される混合気の内、
燃料供給量を電気式燃料噴射弁にて制御する燃料
噴射装置に係り、主に多気筒機関に対して単点的
に混合気を供給する混合気供給装置に関する。

従来の混合気供給装置を説明すると、例えば特
開昭56−143337号公報に開示されているように、
機関へ連通する１次側の吸気路および２次側の吸
気路を備えた混合気供給装置本体のそれぞれの吸
気路には絞り弁と燃料噴射弁とがそれぞれ配置さ
れていた。この場合、特に２次側吸気路内の絞り
弁が全開付近となる機関の中高速運転時には２次
側の大流量の空気と燃料との混合および霧化が不
充分で、空燃比がバラツキ、排気ガス公害や機関
の出力不足を発生するという欠点があつた。

本考案は、このような点に鑑み成されたもので
その目的とするところは、機関の低速から高速ま
での全域にわたつて最適に霧化、混合された混合
気を機関へ供給でき、構成が簡単で安価に製作で
きる混合気供給装置を提供することにある。

本考案の一実施例を図により説明すると、ダウ
ンドラフト型の混合気供給装置を示すがホリゾン
タルドラフト型に変更が可能であり、混合気供給
装置本体３には上下に貫通して機関１０へ連通す
る１次側吸気路１と２次側吸気路２が配置されて
いる。１次側吸気路１内には吸気路の開口面積を
大小可変に制御する第１の絞り弁４が配置され、
２次側吸気路２内には第２の絞り弁６が配置され
て、第１の絞り弁と第２の絞り弁は適宜リンク
（図示せず）にて連結され、アクセル、スロツト
ル等の操作手段に連動して開閉制御されるもので
あり、従来の２段気化器と同様に低速では第１の
絞り弁のみ開き、高速では第１、第２の絞り弁の
両方が開くものである。

第１の絞り弁４の上流には固定ベンチユリー１
１，１２が二重ベンチユリーを形成しており、固
定ベンチユリー１２へ供給される燃料量を制御す
る第１の燃料噴射弁５の吐出口１３から１次側吸
気路燃料噴出口１４への燃料通路にはエアーブリ
ード管１５が配置され、１次側エアージエツト１
６と連通する空気室１７と燃料通路とは複数のブ
リード孔１８を介して連通している。

第２の絞り弁６の上流には吸気路内の負圧に応
じてベンチユリー部７を可変制御する負圧作動弁
８が配置され、該負圧作動弁８は混合装置本体３
に対して左右に摺動自在に配置され、負圧作動弁
に装着されたダイヤフラム１９によつて大気室２
０と負圧室２１が区分形成され、負圧室２１は負
圧孔２２を介して吸気路内に連通すると共に、負
圧作動弁８とカバー２３との間にはばね２４が縮
設されて負圧作動弁８を右方向へ押圧付勢する。
可変ベンチユリー部７へ供給される燃料量を制御
する第２の燃料噴射弁９の吐出口から２次側吸気
路内の燃料噴出口への燃料通路にはエアーブリー
ド管２５が配置され、２次側エアージエツト２６
と連通する空気室２６と燃料通路とは複数のブリ
ード孔２７を介して連通している。

燃料噴射弁５，９はマイクロコンピユーター２
８によつて電気的に開閉時間又は開度を制御され
るもので、オン、オフ電磁弁、比例電磁弁、パル
スモーター駆動弁が含まれる。燃料噴射弁に流入
する燃料は、燃料タンク２９、燃料ポンプ３０、
アキユームレーター３１、圧力レギユレーター３
２へ循還する燃料回路から導入され、その圧力は
比較的低圧力（２Kg／cm²）に設定維持されてい
る。

作用を説明すると、図は機関停止時を示してお
り絞り弁４，６および燃料噴射弁５，９は全閉と
なつている。

機関低速運転時には第１の絞り弁４のみが操作
手段によつて開動作されると共に吸入吸気量、吸
気路負圧、絞り弁開度、機関回転数等の諸条件に
応じてマイクロコンピユーター２８が第１の燃料
噴射弁の開動作信号を伝達して弁開となり、１次
側エアージエツトから流入した空気と混合したエ
マルジヨン燃料は固定ベンチユリー１２，１１に
て、更に空気と充分に混合、霧化された混合気と
なつて機関へ供給される。

機関高速運転時には操作手段によつて第１の絞
り弁４と第２の絞り弁６が開動作されるので、負
圧作動弁８はダイヤフラム１９に作用する大気圧
と負圧による流体差圧力に応じて可変ベンチユリ
ー部７の開口面積を可変とし、２次側エアージエ
ツト２６から流入する空気と第２の燃料噴射弁９
から供給される燃料とが混合されたエマルジヨン
燃料を更に空気と混合、霧化するのに最適なベン
チユリー開度が確保される。従来の混合気供給装
置は中高速において比較的大径の２次側固定ベン
チユリーに燃料を供給していたので、空気流量に
応じた最適流速が得られず、特に中高速域にて混
合気の霧化が不十分で空燃比がバラツキ、排気ガ
ス公害や機関出力の低下を発生するものであつた
が、実施例においては１次側吸気路を小径の固定
ベンチユリーとして低速性能、アイドリング性能
を確保すると共に、２次側吸気路を大径の可変ベ
ンチユリーとして中高速性能を確保し、機関の全
域にわたつて最適な混合気を機関へ供給できるも
のである。

又、燃料噴射弁に供給される燃料圧力を比較的
低圧力（２Kg／cm²以下）に設定し、エアーブリー
ド装置を配置したので、燃料と空気のエマルジヨ
ン化が良好となりベンチユリーによる霧化の促進
が向上するものである。また、燃料圧力を低圧力
に設定することによつて、燃料ポンプとして電動
式、機械式いずれをも採用でき、従来の様に高圧
力（７Kg／cm²）でないので耐圧設計が容易で安価
となる。

更に、絞り弁の上流に燃料噴射弁の吸気路内燃
料噴出口を配置したので、混合気は絞り弁に当つ
て微粒化が促進され、負圧による燃料の後だれが
ない。

なお、燃料噴射弁をオン、オフ電磁弁としてデ
ジタルコンピユーターにて開閉制御する場合には
特に第１の燃料噴射弁５と第２の燃料噴射弁９と
を交互に開弁すると燃料が途切れなく供給されて
空燃比の経時的なバラツキを無くすことができ、
機関の安定回転が確保され、排気ガス公害を解消
できる。

以上、詳述したように、本考案は、機関へ連通
する１次側吸気路１と２次側吸気路２を配置した
混合気供給装置本体３と、１次側吸気路の開口面
積を制御する第１の絞り弁４と、１次側吸気路内
へ供給される燃料量を制御する第１の燃料噴射弁
５と、２次側吸気路の開口面積を制御する第２の
絞り弁６と、吸気路内の負圧に応じて２次側吸気
路のベンチユリー部７の開口面積を可変制御する
負圧作動弁８と、該ベンチユリー部へ供給される
燃料量を制御する第２の燃料噴射弁９とを備え、
且つ燃料噴射弁の吐出口から吸気路内の燃料噴出
口へ至る燃料通路にエアーブリード装置を配置し
たので、複数の燃料噴射弁を用いて低圧力の燃料
圧力にもかかわらず１個あたりの燃料噴射弁の吐
出量は比較的小さくて良く、作動回数も少なくな
るので応答性が遅れても良く燃料噴射弁を安価に
製作できると共に、吸気路を２分割として低速か
ら高速までの広範囲にわたつて最適に混合、霧化
された混合気を供給できる混合気供給装置を提供
できたものである。

特に、本考案は気化器における吸気負圧による
燃料の供給と異なり、加圧された燃料の強制噴射
を基本とする燃料噴射弁の燃料と空気とのエマル
ジヨン化を大巾に促進するものである。

即ち、気化器においては基本的に吸気路内の負
圧で燃料が自然吸入されるため、燃料室から吸気
路に至る燃料通路内の燃料密度が低く、比較的容
易に霧化の促進が行なわれる。

一方、燃料噴射弁においては、燃料ポンプで加
圧（圧力２〜７Kg／cm²）された燃料を約２〜10
mm／secという間隔で連続開閉作動して噴出する
ので、燃料噴出弁から吸気路に至る燃料通路内の
燃料密度が高く、本考案の様に霧化の促進を大巾
に向上させないと機関の良好な燃焼を達成できな
いものである。

そして、本考案はベンチユリーによる霧化の促
進効果と、エアーブリード装置のエマルジヨン化
効果との相乗効果を有し、単にベンチユリー部に
燃料噴射弁を配置した場合の単一効果、或るいは
従来の気化器に見られるエアーブリード装置の単
一効果の単なる組合せでは得られない効果を有す
る混合気供給装置を提供できたものである。

【図面の簡単な説明】

図は、本考案の混合気供給装置の一実施例を示
す縦断面図である。 １……１次側吸気路、２……２次側吸気路、３
……混合気供給装置本体、４……第１の絞り弁、
５……第１の燃料噴射弁、６……第２の絞り弁、
７……ベンチユリー部、８……負圧作動弁、９…
…第２の燃料噴射弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 機関へ連通する１次側吸気路１と２次側吸気
   路２を配置した混合気供給装置本体３と、１次
   側吸気路の開口面積を制御する第１の絞り弁４
   と１次側吸気路内へ供給される燃料量を制御す
   る第１の燃料噴射弁５と、２次側吸気路の開口
   面積を制御する第２の絞り弁６と、吸気路内の
   負圧に応じて２次側吸気路のベンチユリー部７
   の開口面積を可変制御する負圧作動弁８と、該
   ベンチユリー部へ供給される燃料量を制御する
   第２の燃料噴射弁９とを備え、かつ燃料噴射弁
   の吐出口から吸気路内の燃料噴出口へ至る燃料
   通路にエアーブリード装置を配置してなる混合
   気供給装置。 (2) 前記第２の絞り弁６が開いた時に、第１の燃
   料噴射弁５と第２の燃料噴射弁９とを交互に開
   弁してなる実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の混合気供給装置。