JPH0118337Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈技術分野〉 この考案は合成樹脂材料の射出成形機に関する
ものであり、特に、型締め時の可動型板の撓みを
スペーサブロツクを用いて防止した射出成形機に
係わるものである。

〈従来例〉 従来、合成樹脂材料の射出成形においては、可
動型板を型締シリンダーによつて作動して金型の
型締めを行う形式の射出成形機が多用されている
が、型締め時に型締圧力によつて可動型板に片寄
つた力が働いて成形品に歪が発生するという問題
点があつたので、これを解消するために、スペー
サブロツクを用いたバランスタイプの射出成形機
が提案されている。

第１図にバランスタイプの射出成形機が示され
ており、図において、型締シリンダー１に連結さ
れた可動型板２はガイド支柱３に沿つて上下動自
在に支持されている。可動型板２の一側には、射
出ユニツト４と上型５が対応位置に装着されてお
り、一方、フレームもしくは固定型板６には、前
記上型５に対応して下型７が設けられている。そ
して、固定型板６の他側には、型締め時に可動型
板２に当接するような高さ寸法をもつスペーサブ
ロツク８が設けられている。

これによつて、型締め時には、型締圧力による
可動型板２への反力が金型５，７とスペーサブロ
ツク８との双方から作用してバランスし、これに
より片寄つた力が働くことがなくなるので、可動
型板２、ひいては、成形品での歪の発生を防止で
きるものである。

ところで、上記従来技術においては、可動型板
２の一方側に金型５，７が設けられ、他方側には
スペーサブロツク８が設けられているので、成形
作業は一方側のみでしか行われず、他方側は成形
作業に直接的な寄与をしないから、その分だけ生
産性が悪いという欠点があつた。

〈目的〉 この考案の目的は、上記従来技術に基づく、バ
ランスタイプの射出成形機の構造上の制約による
低生産性等の問題点に鑑み、可動型板の、型締シ
リンダー両側に射出ユニツトと上型を設けて、そ
の下方にそれぞれ下型とスペーサブロツクを設け
る構成とすることにより、前記欠点を除去し、バ
ランスタイプの利点を保持しつつ生産性を高めた
優れた射出成形機を提供せんとするものである。

〈構成〉 上記目的に沿うこの考案の構成は、型締シリン
ダーに連結された可動型板の両側に射出ユニツト
と上型とをそれぞれ一対ずつ設け、該上型の下方
にそれぞれスライドテーブルを設けて、該テーブ
ル上に下型とスペーサブロツクを設けることによ
り、一方側で下型を上型に整合する位置に据えた
ときには、他方側では、スペーサブロツクを上型
の下方に位置させ、又、前記一方側でスペーサブ
ロツクを位置させたときには、他方側で下型を位
置させることにより、型締め時に、金型の反対側
には常にスペーサブロツクを位置させてこれを可
動型板に当接せしめ、該可動型板に偏奇力が働く
ことがないようにしたことを要旨とするものであ
る。

〈実施例〉 次に、この考案の実施例を第２図以下の図面に
基づいて説明すれば以下の通りである。

第２図に示すように、可動型板２の型締シリン
ダー１の両側に射出ユニツト４と上型５がそれぞ
れ一対ずつ装着され、該上型５の下方には、一対
のスライドテーブル１０が設けられていて、連結
枠１１によつて連結されている。該テーブル１０
上には、下型７とスペーサブロツク８が載置固定
されており、これら下型７とスペーサブロツク８
は両側のテーブル１０，１０に関してそれぞれ反
対位置に設置されている。前記スペーサブロツク
８は、金型５，７が型締めされたとき、上型５を
避けた位置で可動型板２の下面に当接して、該型
板２の平行を保つような高さに設定されている。
そして、上記テーブル１０は載置台１２上に摺動
自在に支持されていて、ラツクとピニオン、往復
シリンダー等の適宜手段によつて該載置台１２上
で往復動するものである。

上記構成において、第４図Ａに示すように、ス
ライドテーブル１０が一方に摺動して引き寄せら
れているときは、一方のテーブル１０上の下型７
が上型５の下方に位置するとともに、他方のテー
ブル１０上のスペーサブロツク８が他方の上型５
の下方に位置する。この状態で型締めを行うと、
第３図に示すように、一方のテーブル１０上のス
ペーサブロツク８が可動型板２の下面に当接し
て、該型板２の撓みを防止しつつ、図示しない他
方のテーブル１０上の上下型５，７が型締めされ
る。次いで、型開きした状態でテーブル１０を摺
動移動させると、第４図Ｂに示すように、下型７
とスペーサブロツク８がそれぞれ入れ換つて上型
５の下方に位置されるものである。そして、型締
めされている金型５，７で射出作業が行われ、そ
の間、一方のスペーサブロツク８が上型５下方の
位置にある方のテーブル１０上の下型７では、可
動型板２から外れた開放位置にて、成形品取出作
業やインサート物挿入作業が行われる。

なお、上記実施例においては、一対のスライド
テーブル１０は連結枠１１によつて連結されてい
るので、駆動手段が共通のもので済むが、これに
限られず、テーブル１０がそれぞれ独立した構成
であつてもよく、又、このとき、テーブル１０上
の下型７とスペーサブロツク８の据付位置は、両
テーブル上で同じ側にあつてもよく、この場合に
は、下型７が交互に可動型板２の下方にくるよう
に各スライドテーブル１０をそれぞれ互い違いに
摺動させるように駆動すればよい。

〈効果〉 上記のようにこの考案によれば、可動型板の型
締シリンダーの両側に射出ユニツトと上型をそれ
ぞれ一対ずつ設け、該上型の下方のスライドテー
ブル上に下型とスペーサブロツクとを設けたこと
により、可動型板の下方には常に一方のテーブル
上の下型と、他方のテーブル上のスペーサブロツ
クが位置して、型締め時には、該スペーサブロツ
クが可動型板に当接するので、該可動型板に偏奇
力が作用して撓みが生ずることがないばかりでな
く、従来、成形作業上デツドスペースであつた部
位を有効活用して、型締シリンダーの両側で成形
作業が行われるので、作業能率が著しく向上する
という優れた効果が奏される。

その上、一方の金型が型締めされて射出作業が
行われているとき、他方の下型は、対向する可動
型板の直下から外れた位置にあるので、ここで成
形品取出作業やインサート物挿入作業が行え、し
かして、全体の作業に無駄がなく作業効率が一層
向上するという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の正面図、第２図以下はこの考
案の実施例を示すものであり、第２図は斜視図、
第３図は側面図、第４図Ａ，Ｂは作動を説明する
上面図である。 １……型締シリンダー、２……可動型板、４…
…射出ユニツト、５……上型、７……下型、８…
…スペーサブロツク、１０……スライドテーブ
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 型締シリンダー１に接続された可動型板２と、
   該可動型板の上下面の対応位置に設けられた射出
   ユニツト４及び上型５と、該上型に対応した下型
   ７とから成る射出成形機において、前記射出ユニ
   ツト４及び上型５は前記型締シリンダー１の両側
   に一対ずつ設けられており、前記上型の下方に
   は、一対のスライドテーブル１０が備えられ、該
   テーブル上には、前記下型７とスペーサブロツク
   ８とがそれぞれ設けられていて、該スペーサブロ
   ツク８は型締め時に前記可動型板２の下面に当接
   することを特徴とする射出成形機。