JPH0118218B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は水洗便器の水洗装置に関する。

従来例の構成とその問題点 従来の最も一般的な便器水洗装置は、シスター
ン内に在つて前記シスターン内貯水を放出するた
めの弁を開放駆動する弁開放手段と、前記シスタ
ーンの壁に貫通して設けられ、一端を前記弁開放
手段に、前記シスターン外に在る他端を手動レバ
ーなどからなる手動駆動手段に結合された貫通軸
から構成され、水洗を行うときにはシスターン側
に向いて前記手動駆動手段を手で付勢するものが
ほとんどであつた。しかし水洗動作は便器使用の
最後に行われるものとは限らず、シスターンに背
を向けて便座に座つている時においても水洗を行
う必要が生じることが多く、これは特に女性にお
いて顕著であつた。しかしこの時には便座に座つ
た状態で体をよじる必要があり、極めて使いにく
く、特に老人や子供にとつては苦痛を伴なうもの
であつた。

そのために、手動駆動手段を電磁駆動手段に替
えて電動式とし、便座に座つたままで便座側に設
けたスイツチを操作して貫通軸を駆動する構成も
考えられたが、この構成では操作面での欠点は解
消されるものの、停電時に水洗ができなくなると
いう問題を生じた。そのため、貫通軸を電磁駆動
手段でも手動駆動手段でも両方で駆動できる構造
が望まれたが、一般的に前記弁開放手段を駆動す
るのに要する力はシスターンが満水状態で余裕も
含め10Kg−cmの大きな値を必要とし、したがつて
貫通軸と電磁駆動手段との結合を確実に、また電
磁駆動手段自体の駆動力も大きくせねばならな
い。そのために手動駆動手段を動かして貫通軸を
駆動する場合には電磁駆動手段をも一緒に駆動す
る必要があり、そのときには極めて大きな力を要
した。例えば、電磁駆動手段として小型のモータ
を使用する場合には、高トルクを得るために多段
の減速ギヤを用いて貫通軸と結合させる必要があ
るが、その場合には貫通軸を外から回すのは不可
能、もしくは相当大きな力が要ることになる、と
いうような事が生ずるのである。

上記の欠点を解消するために減速ギヤを必要と
しない大型のモータを用いたり、またはクラツチ
機構を内蔵させようとすると、シスターンの外壁
に設置される装置自体が大型になり、便座を開け
たときにぶつかる、見苦しい等の問題が発生する
のはあきらかであつた。

発明の目的 本発明はかかる従来の問題を解消するもので、
弁開放手段に結合した貫通軸を、電磁駆動手段で
駆動できるのはもちろんのこと、前記電磁駆動手
段に影響されずに手動駆動手段によつても駆動で
き、かつ小型な構成を可能にする便器水洗装置を
提供せんとするものである。

発明の構成 上記目的を達成するために本発明は、貫通軸を
同軸の２軸構造とし、第１の軸には一端に弁開放
手段を他端に手動駆動手段を結合し、第２の軸に
は一端に弁開放手段を他端に電磁駆動手段を結合
し、前記電磁駆動手段を付勢する付勢回路を設け
たものである。この構成によつて、既存の１個の
シスターン貫通口を利用し、手動と電動の双方の
力を独立して弁開放手段に伝えることが可能にな
つたものである。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例を、第１図〜第５図を
用いて説明する。

第１図は本装置のシスターン設置状態図であ
り、１はシスターン、２は便器、３は便座、４は
便座後部ケース、５は本便器水洗装置の外ケー
ス、６は手動駆動手段、７は電線、８は水洗スイ
ツチである。

第２図は本装置の側面断面図、第３図は同Ｃ側
から見た正面図であり、９はシスターン１の底に
設けた弁座、１０は便器２に通じる排水口、１１
は弁座９を開閉する弁である。また、１２はシス
ターン１に設けられた貫通口であり、通常角穴に
なつている。シスターン１内に在る弁開放手段と
しては、第１のカム１３、第１のカム１３と同形
の第２のカム１４、第１のカム１３と第２のカム
１４の双方に乗る耳部１５を有するアーム１６、
アーム１６の一端をピン１７によつて回転自在に
支持する支持部材１８、アーム１６の他端に結合
し第１のカム１３または第２のカム１４が回転し
たときにその他端が持ち上がるのを弁１１に伝え
て開放する鎖１９を有している。なお、支持部材
１８はナツト２０によつて、ナツト２１を介して
シスターン１に固定されている。２２は内ケース
であり、ネジ部２３にナツト２１をしめることに
よりシスターン１に固定され、外ケース５その他
の部材を保持する。２４は第１の軸であり、内ケ
ース２２内を回転自在に貫通しており、その一端
を弁開放手段の第１のカム１３に結合され、他端
を手動駆動手段であるレバー６に結合されている
ので、レバー６を左右に動かすと第１の軸２４が
ある角度だけ回転し、第１のカム１３も回転す
る。２５は第２の軸であり、第１の軸２４内を同
軸回転自在に設けられており、その一端を弁開放
手段の第２のカム１４に結合され、他端を電磁駆
動手段であるモータ２６に結合されているので、
モータ２６が回転すると、それに応じて第２の軸
２５および第２のカム１４も回転する。また、モ
ータ２６の回転位置決め部材として、第２の軸２
５にはカム２７が設けられ、カム２７にはマイク
ロスイツチ２８が設けられている。

位置決め部材としてのカム２７の形状およびマ
イクロスイツチ２８の取付状態を第４図に示して
おり、カム２７の凹部２９が図示の位置に在ると
き、マイクロスイツチ２８はオフするものであ
る。

第５図は電磁駆動手段２６を付勢する回路図を
示し、３０は電源、３１はシスターン１側に取り
付けられる部材を示している。

上記構成において、便座３に座つた状態で水洗
を行いたいときには、水洗スイツチ８をオンす
る。すると、モータ２６、位置決めカム２７、第
２の軸２５、第２のカム１４が回転を始める。回
転が始まると、位置決めカム２７によつてマイク
ロスイツチ２８がオンするので、水洗スイツチ８
から手を離してオフしてもモータ２６は回り続
け、アーム１６の耳部１５が第２のカム１４の最
頂部ｂに乗ることによつてアーム１６はＸ位置か
らＺ位置まで持ち上がる。したがつて弁１１は全
開し、便器２の水洗を行うとともに、弁１１は弁
１１と弁座９間を流れる水流自体の力によつて水
流が無くなるまで開放を維持する。一方、位置決
めカム２７が一回転して第４図に示す状態に戻る
と、マイクロスイツチ２８がオフしてモータ２６
の電源が断たれるので、アーム１６は第３図Ｘ位
置に戻つて停止する。シスターン１内の貯水が全
て放出されて弁１１と弁座９間の水流が少なくな
ると、弁１１は自重によつて閉じ、再度シスター
ン内の貯水が開始される。したがつて、水洗スイ
ツチ８を瞬時オンさせることにより、いわゆる大
用の水洗を自動的に行うことができる。

停電のときには、手動駆動手段６をＢ方向に動
かすことにより、第１の軸２４を介して第１のカ
ム１３を一定角度だけ回転させ、アーム１６の耳
部１５を第１のカム１３の最頂部ｂに乗せて前述
と同様に大用の水洗を手動で行うことができる。

また小用の水洗を行いたいときには、手動駆動
手段６をＡ方向に動かすことにより、第１の軸２
４を介して第１のカム１３を前記とは逆方向の一
定角度だけ回転させ、アーム１６の耳部１５を第
１のカム１３の中頂部ａに乗せ、アーム１６をＸ
位置からＹ位置まで持ち上げる。したがつて弁１
１は半開し、限定された水流で便器２の水洗を行
うとともに、弁１１は半開状態であるため水流の
力も弱く弁１１の半開を維持させるほどの力を生
じない。したがつて手動駆動手段６を戻すと弁１
１は水圧によつて即座に閉じ、水洗を停止するの
で、好みの時間手動駆動手段６をＡ位置に維持さ
せることにより好みの時間の小用水洗を行うこと
ができる。上記のように第１のカム１３を回転さ
せて手動による水洗を行つているときの第２のカ
ム１４は、第２の軸２５がモータ２６に結合して
いるため第３図の状態から動かず、アーム１６は
第１のカム１３の動きに応じて駆動される。

なお、上記構成では、水洗スイツチ８をオンし
て大用の水洗を行う例を示したが、便座３に人体
が座つてから立ち上がつたことを、例えば体重に
よつてオンするマイクロスイツチ等を利用して検
出し、電磁駆動手段をオンする回路構成により、
全自動水洗も可能である。また、電磁駆動手段と
してモータを用い、第１の軸および第２の軸を回
転させて弁開放手段を駆動する構成を示したが、
ソレノイドを用いて第１の軸および第２の軸を直
進させて弁開放手段を駆動する構成でも同様の機
能を得ることができ、この例に限定されるもので
はない。

発明の効果 以上のように本発明の便器水洗装置は、シスタ
ーンの壁を貫通する同軸の２軸構造を有し、第１
の軸には一端に弁開放手段を他端に手動駆動手段
を結合して手動によつて弁開放手段を駆動できる
構造とし、第２の軸には一端に弁開放手段を他端
に電磁駆動手段を結合して付勢回路を介して電動
による弁開放手段の駆動も行える構造を有してい
るので、下記の特長を有する。

既存の１個のシスターン貫通口を利用して、
手動水洗と電動水洗の双方が行える。

第１の軸は第２の軸と独立して摺動可能な同
軸になつているため、手動駆動手段操作時に第
２の軸の力、つまり電磁駆動手段の力の影響を
受けることなく弁開放手段を駆動することがで
き、したがつて手動操作に必要とする力が少な
くて済み、老人から子供まで容易に操作が可能
である。

独立同軸の２軸によつて手動と電動の力を弁
開放手段に伝達するという単純簡単な構造のた
めに信頼性が高く、また装置自在を小型に構成
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の便器水洗装置の一実施例にお
けるシスターン設置状態図、第２図は本装置の要
部側面断面図、第３図は同正面図、第４図はカム
およびマイクロスイツチの取付状態図、第５図は
付勢回路図である。 １……シスターン、５……外ケース、６……手
動駆動手段、８……水洗スイツチ、１１……弁、
１３……第１のカム、１４……第２のカム、１５
……耳部、１６……アーム、１７……ピン、１８
……支持部材、１９……鎖（１３〜１８とで弁開
放手段を構成）、２４……第１の軸、２５……第
２の軸、２６……電磁駆動手段（モータ）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水洗便器のシスターン内に在つて前記シスタ
   ーン内貯水を放出するための弁を開放駆動する弁
   開放手段と、前記シスターンの壁を貫通して設け
   られ、一端を前記弁開放手段に、前記シスターン
   外に在る他端を手動駆動手段に結合された第１の
   軸と、前記第１の軸と独立して摺動可能な同軸に
   設けられ、一端を前記弁開放手段に、前記シスタ
   ーン外に在る他端を電磁駆動手段に結合された第
   ２の軸と、前記電磁駆動手段を付勢する回路とを
   有する便器水洗装置。