JPH0116398B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は高速増殖炉の燃料交換装置に関す
る。

将来、高速増殖炉が実証炉、或いは商業炉の段
階になると、使用済燃料と新燃料との交換時に一
回に取り扱われる数はかなりの数にのぼることが
予想され、この間、原子力発電所はその運転を停
止しなければならず、燃料交換に多くの日数を要
すると経済性の悪化を来すことになる。

従来より高速増殖炉において、使用済燃料と新
燃料の交換に移動台車形式の燃料移送機を使用す
る設備が提案されている。

これは、原子炉容器と炉外燃料貯蔵槽間を結ん
だレール上を移動する台車を装備し、原子炉容器
を貫通して設けた通路を介して取り出した使用済
燃料を台車上の燃料バケツト内に収納後、台車を
燃料貯蔵槽側に移動させ、該貯蔵槽に通じる通路
よりバケツト内の燃料を取り出すようにしたもの
である。

ところで、上記する移動台車形式の燃料移送機
では、台車が原子炉側通路と燃料貯蔵槽通路との
間を移動し、これを正しく両通路に対応させなけ
ればならないところから、その移動制御が複雑で
大掛りとなる。

この発明は上記の点に鑑みなされたものであつ
て、上端を燃料移送室に各開口させ、原子炉容器
と炉外燃料貯蔵槽間に対向的に斜道を設け、該斜
道の延長交点を揺動中心とする可動トラツクを燃
料移送室内に配装し、該可動トラツク下部と燃料
移送室内に設けた支持部材間に配装した可動トラ
ツク揺動手段によつて可動トラツクを揺動させ、
可動トラツクをそれぞれの斜道に連結状にして使
用済燃料或いは新燃料を収納した燃料バケツトの
中継を行い、装置並びに制御機構を簡素化すると
共に、燃料交換を能率的に行い得、しかも安全性
の高い燃料交換装置を提供しようとするものであ
る。

以下、この発明の実施例を図示に基づいて説明
する。

１は原子炉容器、２は炉心、３は原子炉容器１
に隣接して設けた炉外燃料貯蔵槽、４は原子炉容
器１及び燃料貯蔵槽３を結んで設けた気密及び遮
蔽機能を備えた燃料移送室を示す。

燃料移送室４には上端を各開口させて前記炉心
２と燃料貯蔵槽３間に斜道５，６を対向的に設け
る。

７はこの二つの斜道５，６の延長線上にあつて
延長線交点に支軸８を有する筒状をなす可動トラ
ツクで、その支軸８を移送室４内に設けた支持架
台９上の軸受部材１０に支承させ揺動自在にして
いる。

１１，１２は可動トラツク７を揺動させるため
のラツクとピニオンで、ラツク１１は燃料移送室
４内に設けた支持部材１３に支持し、このラツク
１１に噛合するピニオン１２は可動トラツク７の
下部に支軸１４を介して軸支している。

１５は前記ピニオン１２に回転を伝え、可動ト
ラツク７の揺動を駆動するための原動機で、これ
は燃料移送室４外に設置され、該原動機１５とピ
ニオン１２の支軸１４間は、可動トラツク７の枢
支点付近で燃料移送室壁を貫通させた軸１６、軸
継手１７、可動トラツク７に添設したベルト或い
は回転軸杆等の適宜の回転伝達機構１８を以て結
合され、その軸継手１７は軸１６と回転伝達機構
１８との結合、解離を自由にしている。

また、可動トラツク７の揺動を円滑に行わせる
ためにラツク１１にレール１９を並設すると共
に、可動トラツク７にはピニオン１２と同軸レー
ル１９上を転動する車輪２０を軸支している。

２１は支持架台９上に設けた巻上げ装置で、こ
れより延びる索条２２に燃料バケツト２３が結合
される。

巻上げ装置２１の作動制御並びに索条２２によ
る燃料バケツト２３の吊り下げ等は外部から操作
されるようになつている。

２４は原子炉容器１に設けた中継ラツク、２
５，２６は原子炉容器１並びに炉外燃料貯蔵槽３
に付設した燃料交換機である。

次に上述の如く構成したこの発明による高速増
殖炉の燃料交換装置の作用について説明する。

原子炉容器１内の使用済燃料を炉外燃料貯蔵槽
３内の新燃料と交換するには、先ず原子炉停止
後、所定の燃料交換準備作業を行い、燃料移送室
４内では斜道６を解放し、燃料移送室４内の雰囲
気を原子炉カバーカスと共通にする。

原動機１５を起動し、ピニオン１２を回転させ
て可動トラツク７を原子炉側に振らせ、可動トラ
ツク７を斜道６に連結状にする。

しかる後、巻上げ装置２１の作動で燃料バケツ
ト２３を可動トラツク７内から斜道６を経て原子
炉容器１内の中継ラツク２４まで降下させる。

この間、原子炉容器１では炉内燃料交換機２５
が交換すべき使用済燃料を抜き取り所定位置に待
機しており、燃料バケツト２３の到達で炉内燃料
交換機２５は使用済燃料をバケツト２３内に挿入
する。

この後、直ちに燃料バケツト２３を引き上げ、
可動トラツク７に一旦収容する。

ここで、再び原動機１５を起動し、ピニオン１
２を回転させて可動トラツク７を炉外燃料貯蔵槽
３に振らせ、可動トラツク７が斜道５に連結状と
なり、停止したところで、巻上げ装置２１の作動
で燃料バケツト２３が斜道５から炉外燃料貯蔵槽
４内に降下させられて所定位置に達して停止する
と、炉外燃料交換機２６は新燃料をつかんで来て
燃料バケツト２３内に挿入し、次いで燃料バケツ
ト２３内の使用済燃料を抜き取り所定の収納場所
に持ち去り収納する。

こうして新燃料を収納した燃料バケツト２３は
再び上記逆順の動作で原子炉容器１内へ移動す
る。

この間に原子炉容器１の炉内燃料交換機２５は
交換すべき使用済燃料を抜き取つて待機してお
り、燃料バケツト２３の到着でこの使用済燃料を
燃料バケツト２３内に挿入後、燃料バケツト２３
内の新燃料を抜き取り、受け取つた新燃料を炉心
２の決められた位置に挿入する。

以後、前記作動が繰り返し行われて多数の燃料
交換が行われる。

以上、説明したように、この発明の高速増殖炉
の燃料交換装置は、原子炉容器と炉外燃料貯蔵槽
とを結んで燃料移送室を設け、該燃料移送室に原
子炉容器内及び炉外燃料貯蔵槽内に通じる斜道を
対向的に設けて上端を各開口させ、両方の斜道に
対し揺動により連結状となる可動トラツクを配設
し、この可動トラツク内に燃料バケツトを引き込
んでその移動中継をなす構成にしたから、台車形
式のものに比べ格段に燃料バケツトの動程が少な
くて済み、能率向上が図られ、また、可動トラツ
クの揺動はその上部に支軸を有し、下部はラツク
及びピニオンの噛合によつて案内するようにし、
ピニオンを駆動手段に連携して揺動駆動するよう
にしたから、可動トラツクの停止精度が高く、加
えてラツク及びピニオンに対してレール及び車輪
を並設することで動作を円滑にすることができ、
且つ耐震強度も高く、更に燃料移送室内容積を極
力小さく設計できて、各構成部材、冷却設備等を
小型化でき、ガス置換容量も少なくて済む等の優
れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すもので、第１図
は燃料交換装置の全体構成概略図、第２図、第３
図は要部の概略構成斜視図である。 １……原子炉容器、２……炉心、３……炉外燃
料貯蔵槽、４……燃料移送室、５，６……斜道、
７……可動トラツク、８……支軸、９……支持架
台、１０……軸受部材、１１……ラツク、１２…
…ピニオン、１３……支持部材、１４……支軸、
１５……原動機、１６……軸、１７……軸継手、
１８……回転伝達機構、１９……レール、２０…
…車輪、２１……巻上げ装置、２２……索条、２
３……燃料バケツト、２４……中継ラツク、２
５，２６……燃料交換機。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上端を燃料移送室に各開口させ、原子炉容器
   と炉外燃料貯蔵槽間に対向的に設けた斜道と、前
   記燃料移送室内に斜道延長交点を揺動中心として
   配装され、且つ下端開口を斜道開口に臨ませて連
   結状とされる可動トラツクと、該可動トラツク下
   部、並びに燃料移送室内に設けた支持部材間に配
   装した可動トラツク揺動手段を備え、前記可動ト
   ラツク揺動手段は、支持部材にラツクを支持し、
   該ラツクに、可動トラツクに取付けられ駆動装置
   に連結したピニオンを噛合させて可動トラツクを
   揺動させることを特徴とする高速増殖炉の燃料交
   換装置。 ２ 前記可動トラツクの案内と支持を兼ねて、前
   記ラツクにレールを、ピニオンにレール上に転動
   する車輪を併設した特許請求の範囲第１項記載の
   高速増殖炉の燃料交換装置。