JPH0116377Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、直流モータに係り、特にブラシを支
持するブラシホルダの改良に関する。

（従来の技術） 例えば、カーエアコン用フアンの駆動モータと
して使用されるフラツトモータは、第１図に示す
ように、円盤状のアマチユア１を軸２の端部に取
付け、コンミユテータ３、ブラシ４を介してアマ
チユア１への通電を行なうようにし、軸方向に分
離可能に設けられた一対のケーシング用のブラケ
ツト５ａ，５ｂのうち一方にアマチユア１と対向
するマグネツト６を固着している。

このブラシ４を支持するブラシホルダ７は、第
２図に詳示するように、略矩形筒状をしたブラシ
ロツカ８を有し、このブラシロツカ８の頂壁８ａ
には切欠スロツト９を穿設し、この切欠スロツト
９から前記ブラシ４に接続した導線１０が引出さ
れている。

なお、第２図において、「１１」はコイルばね、
「１２」はばね押え板である。

しかして、このようなフラツトモータにあつて
は、第３図に示すように、従来からブラシロツカ
８の両側壁８ｂの内面８ｃとブラシ４との間に
は、ブラシの熱膨張あるいは残留膨張を考慮し、
所定のクリアランスを設定している。

ところが、このようなクリアランスを形成す
れば、コンミユテータ３が回転した場合に、ブラ
シロツカ８内だブラシ４が変動し、異音を生じる
ことがある。つまり、コンミユテータ３が回転す
ると、コンミユテータ３とブラシ４との摺動摩擦
抵抗が変化したりあるいは前記コンミユテータの
表面の凹凸等により、ブラシ８が細かく上下左右
に振動する。この場合、ブラシロツカ８の両側壁
内面８ｃとブラシ４との間に前述したクリアラン
スが存在すれば、前記振動がブラシロツカ８に
より規制されず、ブラシ４がブラシロツカ８の内
面８ｃ等に衝突することになり、叩打音あるいは
キシミ音等の異音を生じることがある。

（考案が解決しようとする課題） そこで、最近では、第４図Ａに示すようにばね
押え板１２により略Ｌ字状をした板ばね１３の基
端を保持し、この板ばね１３の先端部１３ａをブ
ラシロツカ８の側壁に形成した長孔Ｏよりブラシ
ロツカ８内に向つて膨出させ、この板ばね１３の
先端部１３ａによりブラシ４をブラシロツカ８の
一方の内面８ｃに押圧したものが提案されてい
る。

また、第４図Ｂに示すように、ブラシロツカ８
の内部に一対の板ばね１４，１４を設け、一端を
ブラシロツカ８の先端折曲部８ｄに、他端をロツ
カーサポート１５に当接し、湾曲した状態にした
板ばね１４の腹部１４ａによりブラシ４を保持し
たものもある（実開昭55−150681号公報）。

しかし、前者は、ばね力の調整が困難なことか
らブラシ４の上下方向における摺動の自由が妨げ
られたり、ブラシ４のコンミユテータ３に対する
当り面が固定し、いわゆるブラシ４の片当りが生
じる可能性がある。

また、後者は、板ばね１４が所定の湾曲状態で
収納されなければならないために、板ばね１４の
長さはある程度の精度をもつて形成されなければ
ならず、またブラシ４とブラシロツカ８との間の
クリアランスが大きくなり、ブラシロツカ８が
大型化する虞れがあり、さらにこの大型化を防止
しようとしてブラシロツカ８を小型化するとブラ
シ自体も小型化せざるを得ないためモータの性能
が低下するという虞れが生じる。

本考案は、上述した点に鑑みてなされたもの
で、小型で、ブラシの片当りがなく、しかもブラ
シの支持が確実に行なわれる直流モータのブラシ
ホルダを提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するための本考案は、ブラシロ
ツカ内に収納した棒状のブラシの先端がコンミユ
テータに当接するように、ブラシ後端をコイルば
ねにより弾撥してなる直流モータのブラシホルダ
において、前記ブラシロツカは、両側壁に所定の
間隙を有する一対の切欠きを設けたものにより構
成し、このブラシロツカは、前記切欠きより両端
の折曲端部が外方に突出し、腹部が前記ブラシロ
ツカ内に膨出して前記棒状ブラシの側面を加圧す
る一対の板ばねを取付けてなる直流モータのブラ
シホルダである。

（作用） このようにすれば、ブラシロツカの両側壁に所
定の間隔をもつて設けた一対の切欠きから板ばね
を挿入すれば、この板ばねの両端に設けられた折
曲端部はブラシロツカの両側壁の外面に当接する
のみで固定的支持されることはなく、腹部はブラ
シロツカ内に向つて膨出して棒状ブラシの側面を
押圧するので、板ばねによる弾撥力の有効活用が
でき、ブラシの片当りがなく、しかもブラシロツ
カの内面とブラシとの間のクリアランスを不必要
に大きくすることもないので、ブラシホルダの大
型化、ブラシ自体の小形化を防止できる。また、
モータ回転中はブラシのホールドに何らの支障も
なく、さらにブラシ組付け作業もきわめて容易に
行なうことができる。

（実施例） 以下、第５図を参照して本考案の一実施例を説
明する。

第５図は、本考案の一実施例を示す分解斜視図
第６図は、第５図においてブラシを装着した場合
の断面図であり、第１，２図に示す部材と同一部
材には同一符号を付している。

このブラシホルダ２０は、ブラケツト５ｂ上に
固着されるブラシロツカ２１を有し、このブラシ
ロツカ２１内には棒状ブラシ４を収納している。
この棒状ブラシ４は、先端がコンミユテータ３に
当接するように後端をコイルばね１１により弾撥
している。

前記ブラシロツカ２１は、一枚の板材をプレス
成形し、一側が開放された箱状のブラシ収納部２
２と取付部２３を形成したもので、このブラシ収
納部２２は、その一部が折曲されてばね押え板１
２が形成され、この両側壁２４，２４には所定の
間隔Ｓをもつて、一対の切欠き２５が形成されて
いる。この切欠き２５は、板ばね２６を嵌挿する
ためのものである。

前記板ばね２６は、両端に略直角に折曲された
折曲端部２６ａ，２６ａを形成し、前記ブラシロ
ツカ２１に対し装着する前の状態は、断面形状が
コ字状をしたもので、全長は、前記所定の間隔Ｓ
より多少長いものとしている。そして、このよう
な棒状ブラシ４においては、ブラシロツカ２１の
両側壁２４の内面２４ｂとの間のクリアランス
が小さいことが望ましいことから、この板ばね２
６の両端に設けられた折曲端部２６ａ，２６ａが
固定的に支持されることはなく、ブラシロツカ２
１の両側壁２４の外面に当接するのみとし、また
腹部はブラシロツカ２１内に向つて膨出して棒状
ブラシ４の側面を押圧するようにしている。

次に作用を説明する。

まず、板ばね２６を前記ブラシロツカ２１に装
着するには、ケーシング用のブラケツト５ｂにブ
ラシロツカ２１を固着する前に、第６図に示すよ
うに、前記板ばね２６を湾曲した状態で、一対の
切欠き２５から両折曲端部２６ａ，２６ａが突出
するように嵌挿する。

このようにして取付けると、この板ばね２６
は、両端に形成された折曲端部２６ａ，２６ａ
が、前記ブラシロツカ２１の側壁２４の外面２４
ａに当接した状態であつて、腹部２６ｂが前記ブ
ラシロツカ２１内に膨出しかつ棒状ブラシ４の側
面４ａを加圧した状態となる。そして、ケーシン
グ用のブラケツト５ｂにブラシロツカ２１を常法
により固着すれば、ブラシホルダ２０の取付けは
完了する。

このようにして取付けられたブラシホルダ２０
では、板ばね２６の両端の折曲端部２６ａ，２６
ａが固定的な支持状態でなく、外面２４ａに当接
した状態の取付けとなるので、板ばね２６は、第
４図Ｂのように両端固定支持のもののように弾撥
力が固定的とならず、その弾撥力が有効活用され
ることになる。したがつて、ブラシ４は側方より
所定の弾撥力で保持された状態で確実に上下動す
ることができることになる。

しかも、この板ばね２６の折曲端部２６ａ，２
６ａがブラシロツカ２１の外部に設けられること
になるので、ブラシ側面４ａとブラシロツカ２１
の内面２１ａとの間のクリアランスは小さくで
き、特に、弾性変形する部分のみがブラシロツカ
２１内に存在することからも、前記クリアランス
は一層小さくでき、これによりこのブラシロツ
カ２１の大形化、ブラシの小形化を防止すること
ができる。

このようにして板ばね２６を装着した後に、モ
ータのアマチユア１が回転すると、コンミユテー
タ３も回転する。この回転中において、ブラシ４
とブラシロツカ２１との間にはクリアランスが
存在するため、ブラシ４の先端が傾斜する傾向が
生じるが、この傾斜は、両板ばね２６により阻止
される。つまり、ブラシ４が傾斜することは、ブ
ラシ４の両側面より加圧している力のバランスが
くずれることになるために、これを元に戻そうと
する力がいずれか一方の板ばね２６からブラシ４
に伝えられ、前記ブラシ４の傾斜は阻止されるこ
とになり、当初の状態が保持される。

この場合、板ばね２６の折曲端部２６ａはブラ
シロツカ２１の外面２４ａに当接した状態である
ために、その先端はこの外面２４ａに当接して摺
動するのみで、板ばね２６の弾性変形を妨げるこ
とはない。

したがつて、このブラシ４はコンミユテータ３
との接触により所定量摩耗しても、その摩耗した
長さだけコイルばね１１の弾撥力により平行な状
態で押し上げられ、ブラシの片当りもなく、傾斜
又は振動によりブラシロツカ２１の内壁を叩打
し、異音を発生させることはなくなる。

なお、上述したものはコンミユテータ３がドラ
ム型のフラツトモータについて説明したが、扁平
なコンミユテータのものに対しても適用できるこ
とはいうまでもない。また、前述した両板ばね２
６の弾撥力は、両者とも同一であつてもよく、ま
たブラシの材質あるいはモータの回転数によつて
は相互に異ならしめてもよい。

〔考案の効果〕

以上の説明より明らかなように、この考案によ
れば、ブラシロツカの両側壁に所定の間隔をもつ
て一対の切欠きを設け、この切欠きより折曲端部
が突出し、腹部がブラシロツカ内に膨出して棒状
ブラシの側面を加圧するように板ばねを取付けた
ため、ブラシの片当りもなく、ブラシホルダを大
型化、ブラシ自体の小形化を防止でき、モータの
性能を低下させることはない。また、モータ回転
中はブラシのホールドに何ら支障なく、しかもブ
ラシ組付け作業もきわめて容易に行なうことがで
きることになり、しかもモータ回転中に異音の発
生を防止することになるため、自動車用空気調和
装置のように静かさを要求されるフアン用モータ
に対し最適なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、一般的なフラツトモータの縦断面
図、第２図は、第１図の要部斜視図、第３図は、
第２図の−線に沿う断面図、第４図Ａ，Ｂ
は、最近の直流モータのブラシホルダを示す断面
図、第５図は、この考案の一実施例を示す要部分
解斜視図、第６図は、第５図の要部断面図であ
る。 ３……コンミユテータ、４……ブラシ、１１…
…コイルばね、１２……押え板、２０……ブラシ
ホルダ、２１……ブラシロツカ、２２……ブラシ
収納部、２４……側壁、２４ａ……側壁の外面、
２５……切欠き、２６……板ばね、２６ａ……折
曲端部、２６ｂ……腹部、……クリアランス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブラシロツカ内に収納した棒状のブラシの先端
   がコンミユテータに当接するように、ブラシ後端
   をコイルばねにより弾撥してなる直流モータのブ
   ラシホルダにおいて、前記ブラシロツカは、両側
   壁に所定の間隙を有する一対の切欠きを設けたも
   のにより構成し、このブラシロツカは、前記切欠
   きより両端の折曲端部が外方に突出し、腹部が前
   記ブラシロツカ内に膨出して前記棒状ブラシの側
   面を加圧する一対の板ばねを取付けてなる直流モ
   ータのブラシホルダ。