JPH0115934B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はテーププレーヤに係り、特に、テープ
送り方向の修正ができるピンチローラ支持装置に
関する。

一般に、テーププレーヤにおいて、テープを定
速送りするため、キヤプスタン軸１とピンチロー
ラ２が備えられている。キヤプスタン軸１は磁気
ヘツドの近くに配設され、モータにより定速回転
するように駆動されている。また、ピンチローラ
２の軸３はブラケツト４に支持されており、この
ブラケツト４がベース上に設けられた支軸５に回
動自在に取付けられている。記録再生動作の際に
は、スプリングなどの力により、ピンチローラ２
がキヤプスタン軸１に圧接し、両者間に挾持され
る磁気テープＴが送り出される。

このテープ送り機構では、ピンチローラ２の軸
３とキヤプスタン軸１とが完全に平行であれば
（第１図のａの状態）、テープＴがキヤプスタン軸
１と直交する方向（ｄ方向）へ送り出されるが、
軸３がｂの状態あるいはｃの状態に倒れると、ピ
ンチローラ２とキヤプスタン軸１の当接線が傾い
て、テープＴの送り方向がｅ方向あるいはｆ方向
へずれることになる。実際の機器では、ベースに
対するキヤプスタン軸１や支軸５の直角度やブラ
ケツト４の成形誤差などのため、軸３とキヤプス
タン軸１との平行度にずれが生じる可能性が高
い。そのため、テーププレーヤの製造工程におい
て、磁気ヘツドのアジマス調整を行ない、移送さ
れるテープＴに対して磁気ヘツドのギヤツプ面が
最適な状態で当接するようにしている。

ところが、オートリバース機能を有するカセツ
トメカニズムの場合には、プレイ方向用とリバー
ス方向用のキヤプスタン軸とピンチローラを各々
備えているので、プレイ方向へのテープの走行特
性（第１図のｅ，ｆ方向への走行角度）とリバー
ス方向へのテープの走行特性が異なつている。よ
つてプレイ方向走行時における磁気ヘツドのアジ
マス調整を行なつても、テープをリバース方向へ
走行させた場合に適正な再生出力が得られない場
合がある。よつて、従来のヘツド調整作業は、テ
ープのプレイ方向走行時における再生出力のピー
クポイントと、リバース方向走行時における再生
出力のピークポイントの中間に調整点を設定して
いる。したがつて、調整作業が煩雑であり、また
磁気ヘツドの特性を十分生かせない欠点がある。

本発明は上記従来の欠点を解決するものであ
り、キヤプスタン軸とピンチローラによるテープ
の送り出し角度の調節ができるようにして、オー
トリバース方式のカセツトメカニズムなどにおい
て、ヘツドのアジマス調整が効率的に行なえるよ
うにしたテーププレーヤのピンチローラ支持装置
を提供することを目的としている。

本発明は、ピンチローラを取付けている軸をブ
ラケツトに対して傾斜できるようにし、また、任
意の傾斜状態に維持できるようにして、キヤプス
タン軸とピンチローラとで挾持したテープの送り
出し角度を微調整できるようにしたことを特徴と
するものである。

以下、本発明の実施例を第２図以下の図面によ
つて説明する。

第２図は本発明のピンチローラ支持装置に使用
されるブラケツト１１と補助板１２の斜視図、第
３図は調節ブツシユ１３の斜視図である。

ブラケツト１１は板金によりコの字形状に折曲
げたものである。このブラケツト１１には２箇所
の貫通穴１１ａと１１ｂが形成されている。貫通
穴１１ａは、下部ベース１４ａと上部ベース１４
ｂ間に設置された支軸１５（第５図参照）によつ
てブラケツト１１を支持するためのものである。
また、他の貫通穴１１ｂには補助軸１６（第４図
参照）が挿入される。さらに、ブラケツト１１の
下面には丸穴１１ｃが、上面にはガイド部として
長穴１１ｄが設けられている。この丸穴１１ｃと
長穴１１ｄは貫通穴１１ａ，１１ｂと平行な軸線
上に形成されているものである。

また、補助板１２はブラケツト１１とほぼ同一
の平面形状であり、ブラケツト１１の貫通穴１１
ａと同一径の穴１２ａと、貫通穴１１ｂと同一径
の穴１２ｂが設けられている。また、ブラケツト
１１の長穴１１ｄに対応する位置には切欠き１２
ｃが形成されている。

調節ブツシユ１３は、金属、あるいは樹脂によ
つて成形されている。調節ブツシユ１３の本体１
３ａは円板形状であり、この本体１３ａの外径寸
法は、前記補助板１２の切欠き１２ｃの幅寸法と
ほぼ一致している。本体１３ａの下端にはフラン
ジ１３ｂが設けられている。また、調節ブツシユ
１３には貫通した穴１３ｃが形成されているが、
本体１３ａの外周面はこの穴１３ｃに対して偏心
した状態で形成されている。さらに本体１３ａの
上面には操作用の溝１３ｄが形成されている。な
お、第６図には補助板１２の平面形状を示し、第
７図にブラケツト１１の平面形状を示している。

また、第４図はブラケツト１１にピンチローラ
１８を取付けた状態を示した平面図、第５図は第
４図の−断面図である。

テーププレーヤの下部ベース１４ａと上部ベー
ス１４ｂ間に設けられた支軸１５がブラケツト１
１の貫通穴１１ａと補助板１２の穴１２ａ内に挿
入されて、ブラケツト１１と補助板１２が支軸１
５を中心として回動自在に支持されている。ま
た、ブラケツト１１の貫通穴１１ｂと補助板１２
の穴１２ｂ内には補助軸１６が挿入されている。
ブラケツト１１と補助板１２は、支軸１５ならび
に補助軸１６とによつて一体化されていることに
なる。なお、この組立状態にて、補助板１２の切
欠き１２ｃは、ブラケツト１１の長穴１１ｄの真
上に位置している。補助板１２の切欠き１２ｃ内
には補助ブツシユ１３の本体１３ａが回動自在に
保持され、フランジ１３ｂはブラケツト１１と補
助板１２との隙間に挿入されている。

そして、ピンチローラ１８を回転自在に保持し
ている軸１７の下端は、ブラケツト１１の下面の
丸穴１１ｃ内に挿入され、また、軸１７の上端
は、ブラケツト１１の上面の長穴１１ｄに挿入さ
れ、さらに、調節ブツシユ１３の穴１３ｃ内に挿
入されている。また、図示省略するが、軸１７に
抜け止めのためのリングなどが固設されている。

次に、上記構成による本発明の作用ならびに効
果について説明する。

ピンチローラ１８に取付けた後、調節ブツシユ
１３を回動させることによつて、軸１７のｂ方向
あるいはｃ方向への倒れ度を調節することができ
る。第８Ｂ図は、軸１７の上端がブラケツト１１
の長穴１１ｄの中央に位置する状態（第５図のａ
状態）にある。軸１７を第５図に示すｂ方向へ傾
ける場合には、調節ブツシユ１３の溝１３ｄにド
ライバーの先端を掛けて、反時計回りに回転させ
る。第８Ａ図は反時計方向へ一定角度α（約90度）
だけ回転させた状態を示している。このときに
は、軸１７の上端は長穴１１ｄの右端へ距離Da
だけ移動し、軸はｂ方向へ一定角度倒れる。次
に、軸１７をｃ方向へ傾ける場合には、調節ブツ
シユ１３を時計回りに回転させる。第８Ｃ図は時
計方向へ一定角度β（約60度）だけ回転させた状
態を示している。このときには、軸１７の上端が
長穴１１ｄ内にて左方向へ距離Dbだけ移動し、
軸１７がｃ方向へ一定角度傾斜する。

第１図にて説明したように、ピンチローラ１８
の軸１７をｂ方向へ倒すと、テープＴの送り方向
がｅ方向へ傾き、また軸１７をｃ方向へ倒すと、
テープＴの送り方向がｆ方向へ傾く。よつて、テ
ーププレーヤの調整作業の際に、磁気ヘツドの取
付け傾斜度の調節とともに、軸１７の倒れ度の調
節を同時に行なえば、ヘツドとテープＴとの接触
方向の調節、すなわちアジマス調整が迅速に、且
つ最適に行なえることになる。調整完了後は、接
着剤などで調節ブツシユ１３を補助板１２に固定
する。

また、オートリバース機能を備えているカセツ
トメカニズムでは、プレイ方向走行と、リバース
方向走行のための２個のピンチローラ１８を備え
ているので、その両者あるいは片方に、本発明に
よる軸１７の倒れ調節の機構を備えれば、磁気ヘ
ツドのアジマス調整が、テープのプレイ方向、リ
バース方向の両走行方向において最適になし得る
ようになる。

例えば、テープのプレイ方向走行時における調
整は、磁気ヘツドの取付け傾斜度を調整して、ヘ
ツドによる再生出力がピークポイントになるよう
にする。一方、テープのリバース方向走行時にお
ける調整は、磁気ヘツドをそのままにし、リバー
ス用のピンチローラに対し、軸のｂ方向、ｃ方向
への倒れを調節して、リバース方向走行時のテー
プ走行角度を磁気ヘツドのギヤツプに合わせるよ
うにする。これにより、リバース方向走行時にお
ける再生出力をピークポイントに調整することが
できる。また、プレイ方向走行時には、リバース
用のピンチローラがキヤプスタン軸から離れて、
プレイ用のピンチローラとキヤプスタン軸によつ
てテープが送り出されるので、テープのプレイ方
向走行時における再生状態も先の磁気ヘツドによ
るアジマス調整により最適に維持される。

以上のように、本発明によれば、ピンチローラ
の軸の傾斜度を調節できるようにしたので、キヤ
プスタン軸によるテープ送り方向の角度微調整が
行なえるようになり、この調整によつて磁気ヘツ
ドの再生出力の設定が可能である。よつて、磁気
ヘツドを固定したまま、アジマス調整ができるよ
うになる。また、従来の磁気ヘツドの取付位置調
節とピンチローラの軸の傾斜調節を同時に行なえ
ば、再生出力調整が迅速、且つ正確にできるよう
になる。また、オートリバース方式のカセツトメ
カニズムにおいて、一対のピンチローラの片方あ
るいは両方について本発明を実施すれば、テープ
の両送り方向に対しての出力調整を最適にできる
ようになり、ヘツドの特性を十分生かせるように
なる。特に、穴とこれに偏心した外周面を有する
調節ブツシユの回動操作によりピンチローラの軸
の倒れ度の調節ができるので、調節作業をドライ
バーなどの工具を用いて簡単にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図はピンチローラとキヤプスタン軸を示す
斜視図、第２図以下は本発明の実施例を示すもの
であり、第２図はブラケツトと補助板の斜視図、
第３図は調節ブツシユの斜視図、第４図はピンチ
ローラ支持装置全体を示す平面図、第５図は第４
図の−断面図、第６図は補助板の平面図、第
７図はブラケツトの平面図、第８Ａ図、第８Ｂ
図、第８Ｃ図は調節ブツシユの回転動作を示す拡
大平面図である。 １１……ブラケツト、１１ｃ……丸穴、１１ｄ
……長穴（ガイド部）、１２……補助板、１２ｃ
……切欠き、１３……調節ブツシユ、１３ｃ……
穴、１５……支軸、１６……ピンチローラ、１７
……軸、１……キヤプスタン軸、Ｔ……テープ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ベース上にて回転するキヤプスタン軸と、ブ
   ラケツトに保持されてキヤプスタン軸に圧接する
   ピンチローラが備えられており、テープがこのキ
   ヤプスタン軸とピンチローラとで挟持されて定速
   送りされるテーププレーヤにおいて、前記ブラケ
   ツトにはピンチローラの軸を支持する一対の支持
   穴が形成されて、この支持穴の一方はピンチロー
   ラの軸を倒れる方向へガイドする長穴となつてお
   り、ブラケツトには上記長穴が形成されている部
   分に重ねられた補助部材が設けられており且つ、
   ピンチローラの軸の一端は前記長穴を貫通して調
   節ブツシユの穴に挿入され、この調節ブツシユは
   ピンチローラの軸が挿入される穴に対して偏心し
   た外周面を有しており、この外周面が前記補助部
   材に保持されていることを特徴とするテーププレ
   ーヤのピンチローラ支持装置。