JPH0115395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

この考案は、芳香材や犬猫忌避剤等に使用され
る香料等の揮発量を簡便に調節することができる
包装容器に関するものである。 芳香剤や犬猫忌避剤などの香料等は一般に、常
温で蒸気圧の高いアルコール、エステル類を主成
分としており、そのまま大気に開放状態に置いた
場合は短時間で揮散してしまい。効力の持続時間
が短い。 そのため各種市販品はゼリー、昇華性物質、ロ
ウ等で固形化したり、界面活性剤を加えて水溶液
化したりしてその効力の持続時間を長くする工夫
がなされている。 一方、香料をポリエチレンやポリプロピレンフ
イルム製容器に入れた場合には、これらの包装材
は通常香料透過性であるため香料は包装材を透過
して揮散してしまうため、容器としては適さな
い。 そこでこの考案は、上記のごとき香料透過性包
装材の性質を利用し、これと香料不透過性包装材
とを組合せることによつて、香料の挿発量を簡便
に制御できる包装容器を得ることを目的としてな
されたものである。 すなわちこの考案による香料の包装容器は、香
料透過性包装材中に香料を密封した容器の外側を
香料不透過性包装材からなる外袋で包囲密封して
なり、この外袋の開放度を調節することにより香
料の揮発量を制御できるようにしたことを特徴と
するものである。 以下に図面を参照して、この考案の香料包装容
器の構造および実施例を説明する。 第１図はこの考案の一実施例を示しており、香
料１はポリエチレン、ポリプロピレン等の香料透
過性フイルムよりなる内容器２内に密封されてい
る。この内容器２は袋、チユーブ等種々の形態が
可能である。この内容器２の外側はさらに、ポリ
マー膜、アルミ箔ラミネート紙等の香料不透過性
フイルムよりなる外袋３で包囲密封され、二重袋
構造となつている。外袋３は、その頂辺、底辺お
よび両側辺が密封されていてこれらの辺に沿つて
切ることにより内容器２からの香料蒸気を挿散さ
せうるものであれば、いかなる形態でもよい。例
えば、袋の開口辺をシールしたり、チユーブの上
下開口辺をシールしたり、あるいは２枚のフイル
ムを重ね合せて周辺をシールしたりすることによ
つて作製できる。 図示の実施例では、内容器２と外袋３とをシー
ル部４で一緒にシールし、シール部４の上方に吊
下げリング５を取付けることによつて、香料包装
容器を吊下げて使用できるようにしてある。 このような構造の香料包装容器を使用するに際
しては、外袋３を適宜個所で開封して開口させる
ことによつて、内容器２から揮発透過してくる香
料１の香りを外袋３の開封個所から揮散させるこ
とができる。 この場合、外袋３を開封して開口させる度合、
すなわち外袋の開放度を変えることによつて、香
料の揮発量を変化させることができる。すなわち
第２図に示したように、外袋３を一点鎖線Ａに沿
つて切り外袋下方のみを開口させた場合には、内
容器２近傍の一点鎖線Ｂに沿つて切つた場合に比
べて香料の揮発量は少なくなる。また、第３図に
示したように、外袋３の底辺と両側辺を切つて開
封し内容器２がむき出しになるようにした場合に
は香料の揮発量を最大にすることができる。 一方、香料透過性フイルムからなる内容器２か
らの香料の揮発量は、内容器の形状や寸法、香料
透過性フイルムの厚さ等によつて調節することが
できる。 この考案の効果を具体例を挙げて以下に説明す
る。 犬猫忌避効果のあると言われているレモングラ
ス油を主成分とする香料１ｇの厚さ60μのポリエ
チレンフイルム製袋（縦５cm×横２cm、表面積20
cm²）中に入れて密封し内容器を作製した。外袋は
アルミ箔ラミネートのクラフト紙（縦９cm×横
4.5cm）とし、上記の内容器を外袋内に入れて密
封、シールして、第１図のごとき二重袋構造の香
料包装容器を作製した。 このようにして作製した香料包装容器を(i)第２
図の線Ａに沿つて外袋を開封した場合、(ii)第２図
の線Ｂに沿つて外袋を開封した場合、および(iii)外
袋の底辺と両側片とを開封して第３図のように内
容器をむき出しにした場合の３種類の開放度につ
いて、それぞれ外気温10℃、20℃、30℃で30日間
の香料揮発量を調べた。結果を下表に示す。

【表】 表からわかるように、香料の揮発量は外気温お
よび外袋の開放度によつて大きく変化している。
従つて、例えば香料の揮発量を年間を通じて１ケ
月40重量％程度に制御しようとする場合には、香
料の充填量や容器の大きさ等を変えることなく、
夏は外袋のＡの位置（第２図）で開封、春秋は外
袋Ｂの位置（第２図）で開封、冬は外袋の底辺と
両側辺を開封（第３図）すればよい。 上述したところから明らかなように、この考案
の香料包装容器によれば、香料自体の持つ効果の
特性に合せて、香料透過性内容器の形状と大き
さ、および香料不透過性外袋の開放度を調節する
ことによつて、香料の揮発量を任意に制御でき
る。 なお、上記の説明においては、この考案を香料
の包装容器として説明したが、この考案は、香料
に限らず、常温で高い蒸気圧を示す揮発性物質の
包装容器としても広く利用できることが理解でき
るであろう。従つて、本明細書中で「香料」とい
う語は一般的な揮発性物質をも包含する意味で使
用しているものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の包装容器の実施例を示す平
面図、第２図は第１図の包装容器の開封位置を示
す説明図、および第３図は第１図の包装容器の開
封状態の一例を示す説明図である。 １……香料、２……香料透過性内容器、３……
香料不透過性外袋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 香料透過性包装材中に香料１を密封した容器２
   の外側を香料不透過性包装材からなる外袋３で包
   囲密封してなり、該外袋の開放度を調節すること
   により香料の揮発量を制御できるようにしたこと
   を特徴とする香料の揮発量制御可能な包装容器。