JPH0114719B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はアデイテイブ法による電気回路板の製
造法に関するものである。 電気回路板としては、紙基材フエノール樹脂積
層板、紙基材エポキシ樹脂積層板、ガラス布基材
エポキシ樹脂積層板など絶縁基板に銅箔を加圧接
着した銅張り積層板（CCL）が一般的であり、
銅箔を回路パターンを残してエツチング除去する
ことにより電気回路板が形成される。しかしなが
ら、CCLでは不要部分の銅箔をエツチング除去
して回路を形成するために省資源上の問題があ
り、さらに工程の簡素化、回路パターンの高密度
化の見地より近時アデイテイブ工法が盛んに研究
され、実用に至つている。アデイテイブ工法は公
知のように、積層板上に無電解銅メツキのみで電
路を形成する（フルアデイテイブ法）か、もしく
は絶縁基板上に無電解銅メツキで薄い導電層を形
成し電路以外の部分を覆つた状態で導電層に通電
することにより電気メツキで電路を形成し、電路
以外の導電層をソフトエツチングで除去する（セ
ミアデイテイブ法）ものである。しかしながらア
デイテイブ工法では積層板にメツキで回路を形成
するために回路と積層板との間の密着性に問題が
あり、そこで従来は接着剤としてエポキシ樹脂に
NBR（ニトリルゴム）を混合したものを用い、こ
の接着剤を積層板に塗布してＢステージにまで硬
化させ、次でこの接着剤の表面をクロム酸やフツ
酸を含んだ液でエツチング処理することによつて
接着剤中のブタジエン成分を溶出させて接着剤の
表面を粗面化し、粗面に対するメツキ金属のアン
カー効果を利用して回路と積層板との間のピール
特性を向上せしめるようにしていた。しかしなが
らこのようにクロム酸やフツ酸を含むエツチング
液を用いることは作業環境を悪化させると共にこ
のエツチング廃液が排出されることになるため公
害面でも大きな問題が生じるものであつた。ここ
で接着剤の表面の粗面化は研磨紙による研磨など
物理的研磨で行なうことも可能ではあるが、エツ
チングによる粗面化処理では奥が広い微小穴によ
る凹凸で粗面を形成することが可能で大きなアン
カー効果が得られるのに対して物理的研磨ではこ
のような粗面にはならず大きなアンカー効果は期
待できないために、もつぱらエツチングによる粗
面化が多用されているものである。そして、この
ようなアデイテイブ工法では粗面化処理を施して
も回路はメツキで積層板に形成してあるため、回
路と積層板とのピール強度はCCLには及ばない
ものである。 本発明は上記の点に鑑みてなされたものあつ
て、物理的研磨などによつて施した粗面で絶縁基
板とメツキ回路との十分なピール特性を得ること
ができ、エツチングによる粗面化を行なう必要が
ない電気回路板の製造方法を提供することを目的
とするものである。 しかして本発明は、絶縁基板の表面に、ビスフ
エノールＡ型エポキシ樹脂の主鎖にポリシロキサ
ンを側鎖として付加させたシリコン変性エポキシ
樹脂及びNBRを含有する接着剤を塗布してＢス
テージ状態にまで硬化させ、次でこの接着剤の表
面を物理的に粗面化処理したのち、接着剤の粗面
にアデイテイブ工法で回路パターン形状にメツキ
を施し、しかるのちに接着剤を完全硬化させるこ
とを特徴とする電気回路板の製造法により上記目
的を達成したものであり、以下本発明を詳細に説
明する。 本発明にあつては、シリコン変性エポキシ樹脂
を含有する接着剤を用いることを特徴とする。シ
リコン変性エポキシ樹脂は次の構造式で示すよう
にビスフエノールＡ型のエポキシ樹脂の主鎖にポ
リシロキサンを側鎖として付加せしめたものであ
り、エポキシ当量が500〜2500、シリコン成分を
５〜20％含有せしめたものが好ましい。 ここで上記構造式中ｎ＝１〜４、ｍ＝３〜８
（特に４〜６）のものが好ましく、Ｒは芳香族又
は脂肪族の炭化水素で、Ｒとしては脂肪族のもの
が好ましく特にエチル基であることが好ましい。 上記シリコン変性エポキシ樹脂にNBRを配合
するものであるが、これにさらに硬化剤、必要に
応じて硬化促進剤、無機充てん剤、溶剤を配合し
て接着剤を調製するものである。硬化剤としては
エポキシ樹脂に汎用されているものを用いること
ができ、例えばフエノールノボラツク樹脂、フエ
ノールレゾール樹脂、メラミン樹脂など樹脂初期
縮合物、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ピ
ロメリツト酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸
など酸無水物、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリア
ミン、第二アミン、第三アミンなどアミン類、三
フツ化ホウ素ピペリジンなど三フツ化ホウ素アミ
ンコンプレツクスを用いることができる。もちろ
んこの中の一種のみを用いても又は二種以上を併
用してもよい。硬化促進剤としては三フツ化ホウ
素アニリン、三フツ化ホウ素パラトルイジン、三
フツ化ホウ素ベンジルアミン、三フツ化ホウ素ト
リエタノールアミン、三フツ化ホウ素ピペリジン
などの三フツ化ホウ素アミンコンプレツクスを用
いることできる。また無機充てん剤としては
CaCO₃、Al₂O₃、Zr（SiO₃）₂、SiO₂、カオリン等
酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩、窒化物、炭化物など
種々のものを用いることができ、その粒径は0.1
〜10μのものが好ましい。溶剤としてはトルエ
ン、イソプロピルアルコール、アセトン、MEK、
シクロヘキサノンなどを一種もしくは二種以上混
合して用いることができる。 配合割合は、シリコン変性エポキシ樹脂100重
量部に対してNBRを30〜200重量部、無機充てん
剤を０〜500重量部、溶剤を400〜700重量部が好
ましく、硬化剤及び硬化促進剤は接着剤の使用条
件に応じて適量を配合すればよい。 しかして上記のようにして得た接着剤を用いて
電気回路板の製造を行なうものであるが、先ず、
紙基材、ガラス布基材などにフエノール樹脂やエ
ポキシ樹脂などのワニスを含浸乾燥せしめてプリ
プレグとなし、このプリプレグを複数枚重ねて熱
圧成形することにより絶縁基板を得る。この絶縁
基板の表面に15〜100μ（好ましくは25〜50μ）の
厚みで上記接着剤をカーテンコート方式などで塗
布して120〜160℃、10〜90分程度の条件で予備加
熱することにより接着剤をＢステージ状態にまで
硬化させる。次で接着剤の表面を物理的手法で粗
面化する。物理的粗面化は研磨紙を手操作した
り、研磨ベルト式の研磨機を用いたり、サンドブ
ラストを用いたりする物理的研磨や、もしくは粗
面を有する転写板より粗面を転写する方法などを
用いることができ、要はエツチング液などを用い
る化学的粗面化の方法の以外であれば何でも採用
することができる。このように物理的手法で接着
剤の表面を面粗さ0.2〜1.5μ（好ましくは0.5〜
0.75μ）程度に粗面化する。次で接着剤の粗面に
常法に従つて無電解メツキ、電気メツキを施すこ
とにより回路をメツキで形成する。ここで、フル
アデイテイブ工法では無電解メツキのみで回路を
形成するが、セミアデイテイブ工法では先ず無電
解メツキで薄い導電層を接着剤の表面に形成して
おき、回路パターン以外の部分をエツチングレジ
ストなどでマスキングした状態にて導電層に通電
し、マスキングされていない部分にて導電層に電
気メツキを行なうことにより回路を形成し、次で
マスキングを除去したのちライトエツチングで回
路以外の部分の導電層を除去することにより行な
うものである。このようにアデイテイブ工法で接
着剤の粗面に回路を施したのちに100〜180℃、40
〜120分程度の条件で加熱して接着剤を完全硬化
させ、電気回路板を得るのである。 上述のように本発明は、絶縁基板の表面に、ビ
スフエノールＡ型エポキシ樹脂の主鎖にポリシロ
キサンを側鎖として付加させたシリコン変性エポ
キシ樹脂及びNBRを含有する接着剤を塗布して
この接着剤の表面にアデイテイブ工法で回路をメ
ツキ形成するようにしたので、シリコン変性エポ
キシ樹脂による強力な接着作用によつて絶縁基板
をメツキ回路との密着性を向上させることがで
き、絶縁基板とメツキ回路とのピール特性、特に
熱時のピール特性を向上させることができて半田
時にメツキ回路が絶縁基板から剥れるようなこと
を防止できるものであり、半田耐熱性を向上され
ることができるものである。しかも接着剤の表面
を粗面化処理するにあたつては、シリコン変性エ
ポキシ樹脂の強力接着作用によつて物理的な処理
による粗面化でも絶縁基板にメツキ回路を高い密
着性で施すことができ、クロム酸などによるエツ
チング処理を行なうような必要なく高いピール強
度を得ることができるものである。 次に本発明を実施例によつて説明する。 実施例 １〜４ エポキシ当量が1100〜1300でシリコン含量が15
％、前記構造式のＲがエチル基であるシリコン変
性エポキシ樹脂及び第１表のNBR（Nipol072；
日本ゼオン製）、硬化剤、硬化促進剤、充てん剤、
安定剤、溶剤を第１表による配合で混合すること
により接着剤を調製した。 この接着剤を紙エポキシアンクラツド積層板に
50μ厚の塗布厚で塗布したのち、130℃、60分の
条件で加熱して接着剤をＢステージ状態にまで一
次硬化処理した。次でこの接着剤の表面を
600#の研磨紙でたてよこ30回づつ研磨し、さら
に住友スリーエム製のスコツチブライトUFでた
てよこ50回づつ研磨することにより、面粗さ0.5μ
に粗面処理した。 上記のようにして得たアデイテイブ用粗面化処
理積層板にセミアデイテイブ法で回路を形成し
た。すなわち、先ずシツプレイ社製キヤタプリツ
プ404の270ｇ／水溶液（30±10℃）に５〜６分
間浸漬処理し、次でシツプレイ社製キヤタプリツ
プ404の270ｇ／水溶液とシツプレイ社製キヤタ
ポジツト44の30c.c.／水溶液との混合液を30±10
℃に調製して、５〜６分間浸漬することにより触
媒処理を行なつた。次に水洗を行なつたのちにシ
ツプレイ社製アクセレータ19の６倍希釈水溶液
（30±10℃）に５〜６分間浸漬することによりア
クセレータ処理を行なつた。このように前処理を
行なつたのち、硫酸銅２〜３ｇ／（銅分とし
て）、ホルマリン５〜９ｇ／、EDTA・2Na20
ｇ／、安定剤少量の組成の水溶液でなる無電解
銅メツキ浴を30±１℃に調製してこの無電解銅メ
ツキ浴に積層板を５〜10分間浸漬処理することに
より、無電解銅メツキで接着剤粗面に薄い銅メツ
キ層を形成した。次に水洗したのち薄銅メツキ層
の表面に回路となる部分を残して田村化研製のエ
ツチングレジストUR−450Bを塗布硬化せしめる
ことによりマスクし、硫酸銅70ｇ／、硫酸160
ｇ／、光択剤少量の組成の水溶液で調製した電
気銅メツキ浴に積層板を浸漬して3A／ｄm²、60
分、室温の条件で電気メツキを行なうことにより
薄い銅メツキ層上に回路パターンをメツキした。
こののち上記エツチングレジストを５％NaOH
水溶液で除去し、さらに塩化第２鉄溶液によるラ
イトエツチングで回路以外の薄い銅メツキ層を除
去した。さらにこの積層板を100℃×60分、160℃
×60分の条件で加熱して接着剤を２次硬化させる
ことにより、電気回路板を得た。 上記のようにして得た電気回路板についてメツ
キ回路と積層板との間のピール強度及びはんだ耐
熱性（測定は260℃のはんだ浴に電気回路板を浮
かべてメツキ回路が積層板から剥れるまでの時間
を計測することにより行なつた）について測定し
た。その結果を第２表に示す。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 絶縁基板の表面に、ビスフエノールＡ型エポ
   キシ樹脂の主鎖にポリシロキサンを側鎖として付
   加させたシリコン変性エポキシ樹脂及びNBRを
   含有する接着剤を塗布してＢステージ状態にまで
   硬化させ、次でこの接着剤の表面を物理的に粗面
   化処理したのち、接着剤の粗面にアデイテイブ工
   法で回路パターン形状にメツキを施し、しかるの
   ちに接着剤を完全硬化させることを特徴とする電
   気回路板の製造方法。 ２ アデイテイブ工法がセミアデイテイブ工法で
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の電気回路板の製造方法。