JP5977969B2 - 絶縁シート、絶縁シートの製造方法及び多層基板 - Google Patents

絶縁シート、絶縁シートの製造方法及び多層基板 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、多層基板において絶縁層を形成するために好適に用いることができる絶縁シートに関する。また、本発明は、該絶縁シートの製造方法、並びに該絶縁シートを用いた多層基板に関する。
従来、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂組成物が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂組成物が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属層である配線が積層される。
上記多層プリント配線板の製造方法の一例として、内層回路基板などのコア基板上に、絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式の多層プリント配線板の製造方法が知られている。この製造方法では、上記絶縁層を形成するために、プラスチックフィルム上に、熱硬化性樹脂層が積層された積層フィルムが用いられている。積層フィルムを熱硬化性樹脂層側から、コア基板上にラミネートし、プラスチックフィルムを剥離した後、熱硬化性樹脂層を熱硬化させることにより絶縁層が形成されている。
また、近年、電子機器や電子部品の小型化の要求が高まっている。これに伴って、多層プリント配線板においては、コア基板の薄型化が進行している。コア基板が薄いと、多層プリント配線板が反りやすくなるという問題がある。多層プリント配線板の反りを抑制するためには、樹脂組成物を単独で用いて絶縁層を形成するよりも、樹脂組成物をガラスクロスなどに含浸させたプリプレグを用いて絶縁層を形成することが望ましい。
上記プリプレグの一例として、下記の特許文献1には、プリプレグの片面に熱硬化性樹脂組成物の硬化物層を有する絶縁樹脂シートが開示されている。この絶縁樹脂シートは、支持体上に熱硬化性樹脂組成物の硬化物層が形成された硬化物シートをプリプレグの片面に接着して得られている。
WO2009/119621A1
上記特許文献1に記載の絶縁樹脂シートでは、支持体上に熱硬化性樹脂組成物の硬化物層が形成された硬化物シートをプリプレグの片面に接着することによって埋め込み性を満足させつつ、粗化処理後のクロス目の露出を抑制している。しかし、この絶縁樹脂シートでは、硬化物層の作製の制御が困難であるという課題がある。すなわち、硬化物層の硬化が弱すぎると粗化処理後のクロス目が露出し、硬化が強すぎると硬化物層とプリプレグとの密着性が悪くなり剥離が生じたり、プリプレグと硬化物層との界面に薬液が浸み込んだりするという問題がある。
本発明の目的は、粗化処理後のクロス目の露出を抑制できる絶縁シート、該絶縁シートの製造方法、並びに該絶縁シートを用いた多層基板を提供することである。
本発明の広い局面によれば、プリプレグと、前記プリプレグの第1の表面に積層されている層を備え、前記層が、硬化剤又は硬化促進剤を含む、絶縁シートが提供される。
本発明に係る絶縁シートのある特定の局面では、前記層が無機充填剤を含む。
本発明に係る絶縁シートのある特定の局面では、該絶縁シートは、粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートである。
本発明の広い局面によれば、プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む層を配置する工程を備える、絶縁シートの製造方法が提供される。
本発明に係る絶縁シートの製造方法のある特定の局面では、前記プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む液状の組成物を塗工するか、又は硬化剤又は硬化促進剤を含むシートをラミネートすることで、前記硬化剤又は前記硬化促進剤を含む層を配置する。
本発明に係る絶縁シートの製造方法のある特定の局面では、前記層が無機充填剤を含む。
本発明に係る絶縁シートの製造方法のある特定の局面では、該絶縁シートの製造方法は、粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートの製造方法である。
本発明の広い局面によれば、回路基板と、前記回路基板の表面上に配置された絶縁層とを備え、前記絶縁層が、上述した絶縁シートにより形成されている、多層基板が提供される。
本発明に係る絶縁シートは、プリプレグと、該プリプレグの第1の表面に積層されている層を備え、該層が、硬化剤又は硬化促進剤を含むので、粗化処理後のクロス目の露出を抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁シートを模式的に示す部分切欠正面断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る絶縁シートを用いた多層基板を模式的に示す部分切欠正面断面図である。 図3は、実施例1の絶縁シートを用いて形成された絶縁層の粗化処理後の表面画像である。 図4は、比較例1の絶縁シートを用いて形成された絶縁層の粗化処理後の表面画像である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(絶縁シート)
本発明に係る絶縁シートは、プリプレグと、該プリプレグの第1の表面に積層されている層を備える。該層は、硬化剤又は硬化促進剤を含む。上記絶縁シートは、多層基板において絶縁層を形成するために用いられることが好ましい。該絶縁層は、絶縁層の硬化物層であることが好ましく、上記プリプレグと上記層との硬化物層であることが好ましい。
本発明に係る絶縁シートでは、粗化処理後のクロス目の露出を抑制できる。さらに、本発明に係る絶縁シートを、穴又は凹凸を表面に有する部材に積層した場合に、穴埋め性及び凹凸追従性を高めることができる。
図1に、本発明の一実施形態に係る絶縁シートを模式的に部分切欠正面断面で示す。
図1に示す絶縁シート1は、プリプレグ2と、プリプレグ2の第1の表面2a(第1の主面)に積層された層3とを備える。プリプレグ2の層3側とは反対の表面には、第1の基材シート4が積層されている。層3のプリプレグ2側とは反対の表面には、第2の基材シート5が積層されている。図1では、第1の基材シート4と絶縁シート1と第2の基材シート5とが積層された積層体が示されている。
上記絶縁シートの厚さは、回路を形成する導体層の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁シートの厚さは、好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
プリプレグ:
上記プリプレグは、基材と、該基材中に含浸された熱硬化性樹脂組成物とを有することが好ましい。プリプレグは、熱硬化可能であることが好ましい。上記基材は繊維状基材であることが好ましい。上記プリプレグは、上記層中に含まれている硬化剤又は硬化促進剤の作用によって硬化可能であることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むことが好ましい。該熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されない。上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂組成物に用いられる硬化剤としては、上記層に含まれる硬化剤と同様の硬化剤等が用いられる。なお、上記熱硬化性樹脂組成物中の硬化剤と上記層中の硬化剤とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記熱硬化性樹脂と上記硬化剤との配合比は特に限定されない。熱硬化性樹脂と硬化剤との配合比は、熱硬化性樹脂と硬化剤との種類により適宜決定される。上記熱硬化性樹脂と上記硬化剤との当量比(熱硬化性官能基当量:硬化剤の当量)は、1:0.25〜1:2であることが好ましく、1:0.3〜1:1.5であることがより好ましい。当量比が上記範囲を満足すると、未反応官能基の数が少なくなり絶縁信頼性がより一層高くなる。
上記熱硬化性樹脂組成物は、無機充填剤を含むことが好ましい。上記無機充填剤は特に限定されない。上記無機充填剤としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂組成物に含まれている固形分100重量%中、上記無機充填剤の含有量は好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは50重量%以上、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは75重量%以下である。上記無機充填剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、粗化処理された絶縁層の表面の表面粗さがより一層小さくなり、絶縁層の表面により一層微細な配線を形成でき、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。さらに、上記無機充填剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁層の熱線膨張係数がより一層低くなる。「固形分」とは、不揮発成分であり、成形又は加熱時に揮発しない成分をいう。
上記熱硬化性樹脂組成物は硬化促進剤を含むことが好ましい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。樹脂組成物を速やかに硬化させることで、絶縁層における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されない。上記熱硬化性樹脂組成物に用いられる上記硬化促進剤として、上記層に含まれる硬化促進剤と同様の硬化促進剤等が用いられる。なお、上記熱硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤と上記層中の硬化促進剤とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物中の上記無機充填剤を除く固形分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、好ましくは3重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁層が効率的に硬化する。
上記熱硬化性樹脂組成物は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。該熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ゴム成分及び有機フィラー等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが特に好ましい。該フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填剤の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に絶縁層が濡れ拡がり難くなる。また、熱可塑性樹脂の使用により、絶縁層の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化や無機充填剤の不均一化を抑制できる。
上記熱可塑性樹脂の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性樹脂組成物中の上記無機充填剤を除く固形分100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である場合にはフェノキシ樹脂の含有量)は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更により好ましくは15重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、絶縁層の熱線膨張係数がより一層低くなる。また、絶縁層の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、絶縁シートがより一層良好なシート状になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、粗化処理された絶縁層の表面の表面粗さがより一層小さくなり、絶縁層と金属層との密着性がより一層高くなる。
上記繊維状基材としては、例えば金属、ガラス、カーボン、アラミド、ポリエステル又は芳香族ポリエステル等により形成された織布又は不織布、並びにフッ素系樹脂又はポリエステル系樹脂等により形成された多孔質膜等が挙げられる。
層:
上記層は、例えば、プリプレグの表層の反応を進行させて、表層の樹脂の流動を抑制する機能を有する。上記層は、室温(25℃)でプリプレグの表層を硬化させる層であることが好ましい。
上記層は、硬化剤又は硬化促進剤を含む。上記層は、硬化剤と硬化促進剤とのうち硬化剤のみを含んでいてもよく、硬化促進剤のみを含んでいてもよい。上記層は、硬化剤と硬化促進剤との双方を含んでいてもよい。上記層は、硬化剤を含むことが好ましく、硬化促進剤を含むことが好ましく、硬化剤と硬化促進剤とを含むことが好ましい。
上記硬化剤としては、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、酸無水物、活性エステル化合物及びジシアンジアミド等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、フェニル型フェノール硬化剤及びナフトール型フェノール硬化剤等が挙げられる。
上記アミン化合物として、例えば、鎖状脂肪族アミン化合物、環状脂肪族アミン化合物及び芳香族アミン化合物等が挙げられる。
上記鎖状脂肪族アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン及びポリオキシプロピレントリアミン等が挙げられる。
上記環状脂肪族アミン化合物としては、例えば、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びN−アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
上記芳香族アミン化合物としては、例えば、m−キシレンジアミン、α−(m/p−アミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン及びα,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
上記アミン化合物として、3級アミン化合物を用いてもよい。3級アミン化合物としては、例えば、N,N−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が挙げられる。
上記チオール化合物として、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。
絶縁層の表面の表面粗さをより一層小さくし、かつ絶縁層の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化剤により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記硬化剤は、当量が250以下である硬化剤を含むことが好ましい。
上記硬化剤の全体100重量%中、当量が250以下である硬化剤の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。上記硬化剤の全量が、当量が250以下である硬化剤であってもよい。当量が250以下である硬化剤の含有量が上記下限以上であると、表面の反応性をより高め、流動を抑制することができる。
上記硬化剤の分子量は、好ましく100以上、より好ましくは500以上、好ましくは50000以下、より好ましくは20000以下である。上記硬化剤の分子量が上記下限以上であると、層の形成が容易になる。上記硬化剤の分子量が上記上限以下であると、表面の反応性をより高め、流動を制御することができる。
なお、本明細書において、「分子量」とは、上記硬化剤が重合体ではない場合、及び上記硬化剤の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記硬化剤が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物、及び有機金属化合物等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記層100重量%中、上記硬化剤と上記硬化促進剤との合計の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは35重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは55重量%以下である。
上記層が無機充填剤を含む場合には、層のプリプレグへのラミネート時に、並びに絶縁シートのラミネート時に、無機充填剤の存在によって硬化剤及び硬化促進剤成分がプリプレグ内に埋め込まれやすくなる。このため、加熱圧着時に、絶縁層の表層部分の過度の流動が抑えられる。
上記無機充填剤としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。
上記無機充填剤の平均粒径は好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上、特に好ましくは150nm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。上記無機充填剤の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、粗化処理により形成される孔の大きさが微細になり、孔の数が多くなる。この結果、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記無機充填剤の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記無機充填剤は、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、絶縁層の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に絶縁層と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填剤は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤により表面処理されていることがより好ましい。これにより、粗化処理された絶縁層の表面の表面粗さがより一層小さくなり、かつ絶縁層の表面により一層微細な配線を形成でき、かつ絶縁層により良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を付与することができる。
上記無機充填剤が球状である場合には、上記無機充填剤のアスペクト比は好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記層が無機充填剤を含む場合に、上記層100重量%中、上記無機充填剤の含有量は好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。上記無機充填剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、粗化処理された表面を微細にすることが容易である。
絶縁シートの穴埋め性及び凹凸追従性をより一層高める観点からは、上記層の厚さは、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下である。上記層が無機充填剤を含む場合には、上記層の厚さは、上記無機充填剤の粒子径以下であることが好ましい。
第1,第2の基材シート:
上記第1の基材シートは、上記プリプレグの上記層側とは反対の表面を保護し、絶縁シートの取り扱い性を高めるために用いられている。なお、上記第1の基材シートは、必ずしも用いられていなくてもよい。
上記第2の基材シートは、上記層の上記プリプレグ側とは反対の表面を保護し、絶縁シートの取り扱い性を高めるために用いられている。なお、上記第2の基材シートは、必ずしも用いられていなくてもよい。
上記第1,第2の基材シートは樹脂シート又は金属箔であることが好ましく、樹脂シートであることがより好ましい。上記第1,第2の基材シートとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。上記第1,第2の基材シートの表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。上記金属箔としては、銅箔及びアルミニウム箔等が挙げられる。
上記絶縁シートの厚さは、回路を形成する導体層の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁シートの厚さは、好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
(絶縁シートの製造方法)
本発明に係る絶縁シートの製造方法は、プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む層を配置する工程を備える。上記プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む液状の組成物を塗工するか、又は硬化剤又は硬化促進剤を含むシートをラミネートすることで、上記硬化剤又は前記硬化促進剤を含む層を配置することが好ましい。
上記層が無機充填剤を含む場合には、上記液状の組成物及び上記シートは、無機充填剤を含む。
上記絶縁シートの製造方法は、多層基板において絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートを得る絶縁シートの製造方法であることが好ましい。該絶縁層は、絶縁層の硬化物層であることが好ましく、上記プリプレグと上記層との硬化物層であることが好ましい。
上記硬化剤又は硬化促進剤を含むシートを得る方法としては、例えば、押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、シート状に成形する押出成形法、硬化剤又は硬化促進剤を有機溶剤等の溶剤に溶解又は分散させた後、基材シート上にキャスティングしてシート状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のシート成形法等が挙げられる。なかでも、薄型化を進めることができるので、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。
(プリント配線板)
上記絶縁シートは、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記プリント配線板は、例えば、上記絶縁シートを、内層回路板の内層回路パターン形成面に対して、加熱加圧成形することにより得られる。
上記絶縁層に対して、片面又は両面に金属箔を積層できる。上記絶縁層と金属箔とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を使用可能である。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記絶縁層を金属箔に積層できる。
(銅張り積層板及び多層基板)
上記絶縁シートは、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された絶縁層とを備える銅張り積層板が挙げられる。この銅張り積層板の絶縁層が、上記絶縁シートにより形成されており、具体的には上記プリプレグと上記層とにより形成されている。
上記銅張り積層板における上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、絶縁層と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
また、上記絶縁シートは、多層基板を得るために好適に用いられる。上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板上に配置された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記絶縁シートにより形成されている。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることがより好ましい。粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された金属層をさらに備えることが好ましい。金属層は銅層であることが好ましく、銅めっき層であることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板上に配置された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層及び上記銅箔が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された絶縁層とを備える銅張り積層板を用いて形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板上に配置された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記絶縁シートにより形成される。上記多層基板は、上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
図2に本発明の一実施形態に係る絶縁シートを用いた多層基板を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
図2に示す多層基板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13〜16が積層されている。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層基板11では、絶縁層13〜16が、上記絶縁シートにより形成されている。本実施形態では、絶縁層13〜16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層基板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層基板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
(粗化処理及び膨潤処理)
上記絶縁シートは、粗化処理される絶縁層を形成するために用いられることが好ましい。上記絶縁シートの製造方法は、粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートの製造方法であることが好ましい。上記絶縁層には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
上記絶縁層は予備硬化物であってもよい。予備硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、予備硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、予備硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、予備硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、予備硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜30分間、予備硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に硬化物と金属層との粗化接着強度が低くなる傾向がある。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記粗化処理の方法は特に限定されない。上記粗化処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、予備硬化物を処理する方法が好適である。上記粗化処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
粗化処理された絶縁層の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは50nm以上、好ましくは200nm未満、より好ましくは150nm未満である。この場合には、絶縁層と金属層との接着強度がより一層高くなり、更に絶縁層の表面により一層微細な配線を形成できる。
また、予備硬化物又は硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60〜80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、絶縁層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
上記スミアを除去するために、絶縁層の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理により絶縁層の表面が粗化処理される。上記積層体の使用により、デスミア処理された絶縁層の表面の表面粗さが充分に小さくなる。デスミア処理は上記粗化処理を兼ねていてもよい。
上記デスミア処理には、上述した粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記デスミア処理の方法は特に限定されない。上記デスミア処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、予備硬化物又は硬化物を処理する方法が好適である。上記デスミア処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
(1)プリプレグの作製
シアネートエステル硬化剤(ロンザジャパン社製「BA−230S」)9.1重量部と、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200」12.2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製「830−S」)12.2重量部と、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954BH30」)6.0重量部と、シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050」、固形分70重量%)60重量部と、イミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)0.5重量部とを混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスを得た。
得られた樹脂組成物ワニスを、IPA規格1027のガラスクロス(厚さ20μm)に含浸させた。その後、樹脂中の残存溶剤量が2.0重量%未満となるまで乾燥し、厚さ50μmのプリプレグを得た。次に、プリプレグの第1の表面にポリプロピレンフィルム(厚さ15μm)をラミネートして、かつ第2の表面にPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚さ25μm)をラミネートして、積層体Aを得た。
(2)硬化剤又は硬化促進剤を含むシートの作製
イミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部と無機充填剤(アドマテックス社製「SC2050」、固形分70重量%)17重量部とシクロヘキサノン75重量部との混合物を用意した。PETフィルム(厚さ25μm)上に、上記混合物をコータにより塗工し、熱風乾燥炉を用いて100℃で60秒加熱することで溶剤を除去した。このようにして、PETフィルム上に硬化促進剤と無機充填剤とを含む層(厚さ0.5μm)を形成して、積層体Bを得た。
(3)絶縁シートの作製
得られた積層体Aのポリプロピレンフィルムを剥離して、露出したプリプレグの第1の表面上に、得られた積層体Bを層側を下に向けて配置して、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター(型番:MVLP−500)を使用して、温度100℃にて30秒間真空吸引を行った。その後、温度100℃、圧力0.5MPaの条件で、層の上方のPETフィルム上から、耐熱ゴムを介して30秒間ラミネートを行った。次に、大気圧下で、SUS鏡板を用いて、温度100℃、圧力0.8MPaの条件で60秒間プレスを行った。このようにして、2つのPETフィルム間に、プリプレグと層とを有する絶縁シートが挟み込まれた積層体Cを得た。積層体Cでは、PETフィルムと、プリプレグと、層と、PETフィルムとがこの順で積層されている。
(実施例2)
硬化剤又は硬化促進剤を含むシートの作製に用いるイミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部を、アミン硬化剤(和光純薬社製「ジエチレントリアミン」)8重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体Bを作製し、かつ絶縁シートを作製した。
(実施例3)
硬化剤又は硬化促進剤を含むシートの作製に用いるイミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部を、チオール硬化剤(三菱化学社製「カップキュアWR−6」)8重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体Bを作製し、かつ絶縁シートを作製した。
(実施例4)
硬化剤又は硬化促進剤を含むシートの作製に用いるイミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部を、チオール硬化剤(昭和電工社製「カレンズMT PE1」)7重量部と硬化促進剤(和光純薬社製「2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール」)1重量部とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体Bを作製し、かつ絶縁シートを作製した。
(比較例1)
実施例1で得られた積層体Aのポリプロピレンフィルムを剥離して、露出したプリプレグの第1の表面上にPETフィルム(厚さ25μm)を積層した。このようにして、2つのPETフィルム間に、プリプレグである絶縁シートが挟み込まれた積層体Dを得た。積層体Dでは、PETフィルムと、プリプレグと、PETフィルムとがこの順で積層されている。
(比較例2)
実施例1で得られた樹脂ワニスを用いて、PETフィルム上にコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて100℃で120秒加熱することで溶剤を除去し、PETフィルム上に樹脂組成物シート(厚さ5μm)を形成した。その後、樹脂組成物シートを130℃で15分加熱することでプリプレグに接着可能な接着樹脂シートA(厚さ5μm)を作製した。
得られた接着樹脂シートAを用いたこと以外は実施例1の絶縁シートの作製と同様にして、積層体Eを得た。得られた積層体Eでは、PETフィルムと、接着樹脂シートAと、プリプレグと、PETフィルムとがこの順で積層されている。
(比較例3)
実施例1で得られた樹脂ワニスを用いて、PETフィルム上にコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて100℃で120秒加熱することで溶剤を除去し、PETフィルム上に樹脂組成物シート(厚さ5μm)を形成した。その後、樹脂組成物シートを130℃で25分加熱することで接着樹脂シートB(厚さ5μm)を作製した。
得られた接着樹脂シートBを用いたこと以外は実施例1の絶縁シートの作製と同様にして、PETフィルムと、接着樹脂シートBと、プリプレグと、PETフィルムとがこの順で積層されている積層体を得ようと試みたが、硬化反応が促進しすぎてしまい、接着樹脂シートB(硬化層)とプリプレグとが接着しなかった。
(評価)
(表面硬度の評価及びガラスクロスの露出性の評価に用いる評価サンプルの作製)
絶縁シートのラミネートと硬化:
実施例1〜4では、得られた積層体Cにおけるプリプレグの表面に積層されたPETフィルムを剥離して、露出したプリプレグ側を下に向けて、回路基板上に載せて、温度100℃にて20秒間真空吸引を行った。比較例1,2では、得られた積層体D,Eにおける片側のPETフィルムを剥離して、露出したプリプレグを下に向けて、回路基板上に載せて、温度100℃にて20秒間真空吸引を行った。
その後、温度100℃、圧力0.5MPaの条件で、PETフィルム上から、耐熱ゴムを介して20秒間ラミネートを行った。次に、大気圧下で、SUS鏡板を用いて、温度115℃、圧力1.2MPaの条件で40秒間プレスを行い、温度170℃で1時間加温処理して、絶縁シートを硬化させて、絶縁層を形成し、積層板を得た。
粗化処理:
次いで、得られた積層板における絶縁層の表面を粗化処理するために、PETフィルムを剥離した。先ず、アトテックジャパン社製のスウェリング・ディップ・セキュリガントPに60℃にて15分間積層板を浸漬して、膨潤処理を行った。次に、酸化処理として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトCPとドージングソリューション・セキュリガントPとの混合液に80℃にて20分間、膨潤処理された積層板を浸漬して酸化処理し、その後、アトテックジャパン社製のリダクション・ソリューション・セキュリガントP500溶液に40℃にて5分間、酸化処理された積層板を浸漬した。このようにして、絶縁層の表面を粗化処理した。
(表面硬度の評価)
積層体Cの層側のPETフィルムを剥がした後に、露出した層の表面の硬度を評価した。また、積層体E,FのPETフィルムを剥がした後に、露出した接着樹脂シートA,Bの表面の硬度を評価した。下記の方法で、絶縁層の表面硬度の評価を実施した。
コーテック社製の引っかき硬度(鉛筆法)試験器を使用し、JIS K5600−5−4に準拠して、露出した絶縁層の表面の鉛筆硬度を6B〜6Hの範囲で測定した。6Bは表面硬度が低く、6Hは表面硬度が高いことを示す。
(ガラスクロスの露出性の評価)
光学顕微鏡を用いて、粗化処理の前後で、絶縁層の表面にガラスクロスが露出しているか否かを確認した。なお、絶縁層の表面にガラスクロスが露出していると、銅めっき時に露出部分にめっき銅が潜り込むため、絶縁性の低下の恐れがある。また、絶縁層の図3に、実施例1の絶縁シートを用いて形成された絶縁層の粗化処理後の表面を示した。図4に、比較例1の絶縁シートを用いて形成された絶縁層の粗化処理後の表面を示した。
[ガラスクロスの露出性の判定基準」
〇:絶縁層の表面にガラスクロスが露出していない
×:絶縁層の表面にガラスクロスが露出している
(回路への埋め込み性評価)
銅張り積層板(厚さ150μmのガラスエポキシ基板と厚さ35μmの銅箔との積層体)を用意した。銅箔をエッチング処理し、L/Sが50μm/50μm及び長さが1cmである銅パターンを26本作製し、凹凸基板を得た。
実施例1〜4では、得られた積層体Cにおけるプリプレグの表面に積層されたPETフィルムを剥離して、露出したプリプレグ側を下に向けて、凹凸基板の凹凸表面上に重ねた。比較例1,2では、得られた積層体Cにおける片側のPETフィルムを剥離して、露出したプリプレグを下に向けて、凹凸基板の凹凸表面上に重ねた。
この状態で、名機製作所製の真空加圧式ラミネーター機(型番:MVLP−500)を用い、ラミネート圧0.5MPa及びラミネート温度100℃で20秒間ラミネートを行い、更にプレス圧力1.2MPa及びプレス温度100℃で40秒間プレスを行い、積層構造体を得た。
Veeco社製のWYKOを用いて、得られた積層構造体における絶縁シートが硬化した絶縁層の上面の凹凸の値を測定した。具体的には、凹凸の隣り合う凹部部分と凸部部分との高低差の最大値を、凹凸の値として採用した。また、光学顕微鏡にてボイドの有無を確認した。
埋め込み性を下記の基準で判定した。
「埋め込み性の判定基準」
○:凹凸の値が0.3μm以下、かつボイドがない
×:凹凸の値が0.3μmを超えるか、又はボイドがある
結果を下記の表1に示す。
(密着性の評価)
比較例2で得られた積層体Eの接着樹脂シート側のPETフィルムを剥離した。密着性を下記の基準で判定した。なお、実施例1〜4及び比較例1に関しては、密着性の評価を行っていない。また、比較例3に関しては、硬化反応が促進しすぎてしまい、硬化層とプリプレグとが接着しなかったため、密着性の評価を行っていない。
「密着性の判定基準」
○:接着樹脂シートとプリプレグとの剥離がない
×:接着樹脂シートとプリプレグとの剥離がある
1…絶縁シート
2…プリプレグ
2a…第1の表面
3…層
4…第1の基材シート
5…第2の基材シート
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層(配線)

Claims (8)

  1. プリプレグと、
    前記プリプレグの第1の表面に積層されている層を備え、
    前記プリプレグが、基材と、該基材中に含浸された熱硬化性樹脂組成物とを含み、
    前記層が、硬化剤又は硬化促進剤を含み、
    前記層が、熱硬化性樹脂を含まず、
    前記プリプレグが、前記層中に含まれている前記硬化剤又は硬化促進剤の作用によって硬化可能である、絶縁シート。
  2. 前記層が無機充填剤を含む、請求項1に記載の絶縁シート。
  3. 粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートである、請求項1又は2に記載の絶縁シート。
  4. 基材と、該基材中に含浸された熱硬化性樹脂組成物とを含むプリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含み、かつ熱硬化性樹脂を含まない層を配置する工程を備え
    前記プリプレグが、前記層中に含まれている前記硬化剤又は硬化促進剤の作用によって硬化可能である、絶縁シートの製造方法。
  5. 前記プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む液状の組成物を塗工するか、又は硬化剤又は硬化促進剤を含み、かつ熱硬化性樹脂を含まないシートをラミネートすることで、前記硬化剤又は前記硬化促進剤を含み、かつ熱硬化性樹脂を含まない層を配置する、請求項4に記載の絶縁シートの製造方法。
  6. 前記層が無機充填剤を含む、請求項4又は5に記載の絶縁シートの製造方法。
  7. 粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートの製造方法である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
  8. 回路基板と、
    前記回路基板の表面上に配置された絶縁層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁シートにより形成されている、多層基板。
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