JP5977969B2 - 絶縁シート、絶縁シートの製造方法及び多層基板 - Google Patents
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Description
本発明に係る絶縁シートは、プリプレグと、該プリプレグの第1の表面に積層されている層を備える。該層は、硬化剤又は硬化促進剤を含む。上記絶縁シートは、多層基板において絶縁層を形成するために用いられることが好ましい。該絶縁層は、絶縁層の硬化物層であることが好ましく、上記プリプレグと上記層との硬化物層であることが好ましい。
上記プリプレグは、基材と、該基材中に含浸された熱硬化性樹脂組成物とを有することが好ましい。プリプレグは、熱硬化可能であることが好ましい。上記基材は繊維状基材であることが好ましい。上記プリプレグは、上記層中に含まれている硬化剤又は硬化促進剤の作用によって硬化可能であることが好ましい。
上記層は、例えば、プリプレグの表層の反応を進行させて、表層の樹脂の流動を抑制する機能を有する。上記層は、室温(25℃)でプリプレグの表層を硬化させる層であることが好ましい。
上記第1の基材シートは、上記プリプレグの上記層側とは反対の表面を保護し、絶縁シートの取り扱い性を高めるために用いられている。なお、上記第1の基材シートは、必ずしも用いられていなくてもよい。
本発明に係る絶縁シートの製造方法は、プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む層を配置する工程を備える。上記プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む液状の組成物を塗工するか、又は硬化剤又は硬化促進剤を含むシートをラミネートすることで、上記硬化剤又は前記硬化促進剤を含む層を配置することが好ましい。
上記絶縁シートは、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記絶縁シートは、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された絶縁層とを備える銅張り積層板が挙げられる。この銅張り積層板の絶縁層が、上記絶縁シートにより形成されており、具体的には上記プリプレグと上記層とにより形成されている。
上記絶縁シートは、粗化処理される絶縁層を形成するために用いられることが好ましい。上記絶縁シートの製造方法は、粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートの製造方法であることが好ましい。上記絶縁層には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
(1)プリプレグの作製
シアネートエステル硬化剤(ロンザジャパン社製「BA−230S」)9.1重量部と、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200」12.2重量部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製「830−S」)12.2重量部と、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954BH30」)6.0重量部と、シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050」、固形分70重量%)60重量部と、イミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)0.5重量部とを混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物ワニスを得た。
イミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部と無機充填剤(アドマテックス社製「SC2050」、固形分70重量%)17重量部とシクロヘキサノン75重量部との混合物を用意した。PETフィルム(厚さ25μm)上に、上記混合物をコータにより塗工し、熱風乾燥炉を用いて100℃で60秒加熱することで溶剤を除去した。このようにして、PETフィルム上に硬化促進剤と無機充填剤とを含む層(厚さ0.5μm)を形成して、積層体Bを得た。
得られた積層体Aのポリプロピレンフィルムを剥離して、露出したプリプレグの第1の表面上に、得られた積層体Bを層側を下に向けて配置して、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター(型番:MVLP−500)を使用して、温度100℃にて30秒間真空吸引を行った。その後、温度100℃、圧力0.5MPaの条件で、層の上方のPETフィルム上から、耐熱ゴムを介して30秒間ラミネートを行った。次に、大気圧下で、SUS鏡板を用いて、温度100℃、圧力0.8MPaの条件で60秒間プレスを行った。このようにして、2つのPETフィルム間に、プリプレグと層とを有する絶縁シートが挟み込まれた積層体Cを得た。積層体Cでは、PETフィルムと、プリプレグと、層と、PETフィルムとがこの順で積層されている。
硬化剤又は硬化促進剤を含むシートの作製に用いるイミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部を、アミン硬化剤(和光純薬社製「ジエチレントリアミン」)8重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体Bを作製し、かつ絶縁シートを作製した。
硬化剤又は硬化促進剤を含むシートの作製に用いるイミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部を、チオール硬化剤(三菱化学社製「カップキュアWR−6」)8重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体Bを作製し、かつ絶縁シートを作製した。
硬化剤又は硬化促進剤を含むシートの作製に用いるイミダゾール化合物(四国化成社製「2P4EZ」)8重量部を、チオール硬化剤(昭和電工社製「カレンズMT PE1」)7重量部と硬化促進剤(和光純薬社製「2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール」)1重量部とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体Bを作製し、かつ絶縁シートを作製した。
実施例1で得られた積層体Aのポリプロピレンフィルムを剥離して、露出したプリプレグの第1の表面上にPETフィルム(厚さ25μm)を積層した。このようにして、2つのPETフィルム間に、プリプレグである絶縁シートが挟み込まれた積層体Dを得た。積層体Dでは、PETフィルムと、プリプレグと、PETフィルムとがこの順で積層されている。
実施例1で得られた樹脂ワニスを用いて、PETフィルム上にコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて100℃で120秒加熱することで溶剤を除去し、PETフィルム上に樹脂組成物シート(厚さ5μm)を形成した。その後、樹脂組成物シートを130℃で15分加熱することでプリプレグに接着可能な接着樹脂シートA(厚さ5μm)を作製した。
実施例1で得られた樹脂ワニスを用いて、PETフィルム上にコータにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて100℃で120秒加熱することで溶剤を除去し、PETフィルム上に樹脂組成物シート(厚さ5μm)を形成した。その後、樹脂組成物シートを130℃で25分加熱することで接着樹脂シートB(厚さ5μm)を作製した。
(表面硬度の評価及びガラスクロスの露出性の評価に用いる評価サンプルの作製)
絶縁シートのラミネートと硬化:
実施例1〜4では、得られた積層体Cにおけるプリプレグの表面に積層されたPETフィルムを剥離して、露出したプリプレグ側を下に向けて、回路基板上に載せて、温度100℃にて20秒間真空吸引を行った。比較例1,2では、得られた積層体D,Eにおける片側のPETフィルムを剥離して、露出したプリプレグを下に向けて、回路基板上に載せて、温度100℃にて20秒間真空吸引を行った。
次いで、得られた積層板における絶縁層の表面を粗化処理するために、PETフィルムを剥離した。先ず、アトテックジャパン社製のスウェリング・ディップ・セキュリガントPに60℃にて15分間積層板を浸漬して、膨潤処理を行った。次に、酸化処理として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトCPとドージングソリューション・セキュリガントPとの混合液に80℃にて20分間、膨潤処理された積層板を浸漬して酸化処理し、その後、アトテックジャパン社製のリダクション・ソリューション・セキュリガントP500溶液に40℃にて5分間、酸化処理された積層板を浸漬した。このようにして、絶縁層の表面を粗化処理した。
積層体Cの層側のPETフィルムを剥がした後に、露出した層の表面の硬度を評価した。また、積層体E,FのPETフィルムを剥がした後に、露出した接着樹脂シートA,Bの表面の硬度を評価した。下記の方法で、絶縁層の表面硬度の評価を実施した。
光学顕微鏡を用いて、粗化処理の前後で、絶縁層の表面にガラスクロスが露出しているか否かを確認した。なお、絶縁層の表面にガラスクロスが露出していると、銅めっき時に露出部分にめっき銅が潜り込むため、絶縁性の低下の恐れがある。また、絶縁層の図3に、実施例1の絶縁シートを用いて形成された絶縁層の粗化処理後の表面を示した。図4に、比較例1の絶縁シートを用いて形成された絶縁層の粗化処理後の表面を示した。
〇:絶縁層の表面にガラスクロスが露出していない
×:絶縁層の表面にガラスクロスが露出している
銅張り積層板(厚さ150μmのガラスエポキシ基板と厚さ35μmの銅箔との積層体)を用意した。銅箔をエッチング処理し、L/Sが50μm/50μm及び長さが1cmである銅パターンを26本作製し、凹凸基板を得た。
○:凹凸の値が0.3μm以下、かつボイドがない
×:凹凸の値が0.3μmを超えるか、又はボイドがある
比較例2で得られた積層体Eの接着樹脂シート側のPETフィルムを剥離した。密着性を下記の基準で判定した。なお、実施例1〜4及び比較例1に関しては、密着性の評価を行っていない。また、比較例3に関しては、硬化反応が促進しすぎてしまい、硬化層とプリプレグとが接着しなかったため、密着性の評価を行っていない。
○:接着樹脂シートとプリプレグとの剥離がない
×:接着樹脂シートとプリプレグとの剥離がある
2…プリプレグ
2a…第1の表面
3…層
4…第1の基材シート
5…第2の基材シート
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層(配線)
Claims (8)
- プリプレグと、
前記プリプレグの第1の表面に積層されている層を備え、
前記プリプレグが、基材と、該基材中に含浸された熱硬化性樹脂組成物とを含み、
前記層が、硬化剤又は硬化促進剤を含み、
前記層が、熱硬化性樹脂を含まず、
前記プリプレグが、前記層中に含まれている前記硬化剤又は硬化促進剤の作用によって硬化可能である、絶縁シート。 - 前記層が無機充填剤を含む、請求項1に記載の絶縁シート。
- 粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートである、請求項1又は2に記載の絶縁シート。
- 基材と、該基材中に含浸された熱硬化性樹脂組成物とを含むプリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含み、かつ熱硬化性樹脂を含まない層を配置する工程を備え、
前記プリプレグが、前記層中に含まれている前記硬化剤又は硬化促進剤の作用によって硬化可能である、絶縁シートの製造方法。 - 前記プリプレグの第1の表面に、硬化剤又は硬化促進剤を含む液状の組成物を塗工するか、又は硬化剤又は硬化促進剤を含み、かつ熱硬化性樹脂を含まないシートをラミネートすることで、前記硬化剤又は前記硬化促進剤を含み、かつ熱硬化性樹脂を含まない層を配置する、請求項4に記載の絶縁シートの製造方法。
- 前記層が無機充填剤を含む、請求項4又は5に記載の絶縁シートの製造方法。
- 粗化処理される絶縁層を形成するために用いられる絶縁シートの製造方法である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
- 回路基板と、
前記回路基板の表面上に配置された絶縁層とを備え、
前記絶縁層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁シートにより形成されている、多層基板。
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