JPH0113020Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は無限軌道型作業機械に於ける無限軌道
帯の外周に装着する保護帯に関するものである。

従来の技術 多数の覆板をピン等で連鎖して無端状に形成し
た無限軌道帯を装着した無限軌道型作業機械に
は、バツクホウ、ブルドーザ等の土木機械、トラ
クタ等の農業、運搬機械等がある。上記無限軌道
型作業機械は、装備した無限軌道帯により、圃
場、原野等の柔軟地、不斉地における運行作業に
適している。ところが上記作業機械は大型で車両
重量も重く、且つ無限軌道帯を構成する覆板が金
属製であるため、舗装道路上を走行すると、舗装
面を傷付ける。このため舗装道路上での走行は禁
止されている。従つて無限軌道型作業機械の作業
現場への移動は、上記作業機械をトレーラー等の
大型の車輪型搬送車に積込んで目的の場所まで搬
送するようにしている。これがため、上記作業機
械の運搬車への積込み及び積降ろしに時間がかか
り、作業機械の搬送移動距離が短いときには、稼
働効率が悪いという欠点があつた。また目的地ま
での道幅が非常に狭い場合には、車輪型運搬車を
目的地まで乗り入れることができない場合もあつ
た。このため無限軌道型作業機械の舗装道路上で
の短距離の移動、又車輪型運搬車の乗り入れ不可
能な狭い舗装道路上での移動は従来次のようにし
て行われている。

即ち、無限軌道型作業機械の舗装道路上での進
行路上に古タイヤを所定数敷設し、古タイヤの上
を無限軌道型作業機械の無限軌道帯が走行するよ
うにし、上記古タイヤの介在によつて舗装道路の
路面に損傷を与えないようにしている。しかしこ
の場合は、無限軌道型作業機械の移動に伴つて作
業員が上記作業機械の後方にきた古タイヤを順次
作業機械の前方に移動設置し、これを繰返さねば
ならず、運転手以外に多くの作業員を要するとい
う欠点があつた。また他の方法としてゴム、プラ
スチツク等によつて形成された板状部材を連鎖し
て帯状板をした敷板を構成し、当該敷板を無限軌
道型作業機械の進行路上に敷設するものである
が、この場合も上記作業機械の移動に伴つて敷板
を移動させねばならず、敷板の移動を重労働であ
つた。

このため、本出願人は特願昭57−222496号「無
限軌道型作業機械」にて無限軌道型作業機械の無
限軌道帯の外周に装着する保護帯を提案してい
る。

当該保護帯１は、第１図に示す如く、ゴム、プ
ラスチツク、アルミニウム等の衝撃吸収板を長方
形状に形成してなる多数の衝撃吸収板２を並べて
条体３により連鎖し、条体３の両端部を連結して
無端状帯にしたものである。

そして当該無端状をした保護帯１を使用する時
には、無限軌道型作業機械の両側に位置する無限
軌道帯の外周に無端状をした保護帯１をそれぞれ
装着する。このように無限軌道帯の外周に衝撃吸
収板２よりなる保護帯１を装着させれば、無限軌
道型作業機械が舗装道路上を走行する時、無限軌
道帯と舗装道路の路面との間に常に保護帯１が介
在することになり、路面を傷つける心配がなくな
り、従つて無限軌道型作業機械の前方に古タイヤ
等を敷設する必要がなくなる。

考案が解決しようとする課題 上記方法によつて無限軌道型作業機械の無限軌
道帯と路面との間に保護帯１を介在させると、次
のような欠点があつた。

即ち保護帯１を装着している無限軌道型作業機
械が直進している時には問題はないや、例えば無
限軌道型作業機械が方向変換を行うため、一方の
無限軌道帯の駆動を停止させ、他方の無限軌道帯
だけを駆動させて無限軌道型作業機械を所定角度
旋回させる時、駆動している無限軌道帯の外周に
装着された保護帯１は無限軌道帯と共に回転走行
するが、駆動を停止した無限軌道帯の外周に装着
された保護帯１は無限軌道帯と路面との間に挟ま
れる。そして無限軌道型作業機械が方向変換する
ことにより当該保護帯１に捩れが生じ保護帯１が
無限軌道帯の両端部付近から脱落してしまうとい
つた欠点があつた。

課題を解決するための手段 無限軌道型作業機械の無限軌道帯外周に着脱自
在に被嵌装着される保護帯を、衝撃吸収材によつ
て形成された長方形状をし、かつ、無限軌道帯外
周面との接触面が平面状となつた衝撃吸収板と、
平板部及び、その一端に設けた、無限軌道帯の側
縁部と係合するコ字状をした係止部とを有する一
対の係止板からなり、上記一対の係止板の各平板
部に、両者をボルトによつて一体結合するための
ボルト孔が穿設され、かつ、その一方が長方形状
となつた外れ止め部材と、上記衝撃吸収板所定個
数毎に外れ止め部材を１個介在させるようにし
て、両者を無端状に連鎖するための条体とによつ
て構成し、上記保護帯の無限軌道帯外周への装着
時、外れ止め部材を構成する一対の係止板の両係
止部を、無限軌道帯の両側縁部にそれぞれ係合さ
せた後、両係止板をボルトによつて一体結合した
ものである。

作 用 上記した如く、保護帯を、無限軌道帯外周との
接触面が平面状をした衝撃吸収板と、無限軌道帯
の両側縁部と係合するコ字状をした係止部を有す
る外れ止め部材とによつて構成することにより、
無限軌道帯と路面との間に保護帯を常に安定した
状態で介在させることを可能とするものである。

実施例 第２図乃至第４図は、本考案に係る保護帯１０
に示す図面である。当該保護帯１０は図示の如
く、ゴム、プラスチツク、アルミニウム等の衝撃
吸収材によつて形成された衝撃吸収板１１と、衝
撃吸収板１１が無限軌道型作業機械の無限軌道帯
から脱落するのを防止するための外れ止め部材１
２とによつて構成してある。

上記衝撃吸収板１１は、第２図及び第３図に示
す如く長方形状をしており、その短辺方向には衝
撃吸収板１１を連鎖するための条体１３が挿通す
る貫通孔１１ａが穿設してある。又衝撃吸収板１
１の無限軌道帯外周面との接触面イは平面状に形
成してある。又衝撃吸収板１１を連鎖する時、一
定間隔で衝撃吸収板１１間に介在させる外れ止め
部材１２は、第４図の如く、一対の係止板１４，
１４によつて構成してある。当該係止板１４，１
４は、それぞれ一端部に無限軌道型作業機械の無
限軌道帯を側縁部と係合するコ字状をした係止部
１４ａ，１４ａが設けてあり、平板部１４ｂ，１
４ｂの所定位置には衝撃吸収板１１及び外れ止め
部材１２を連鎖する時に用いる条体１３を挿通さ
すためのＵ字状をしたクリツプ１５がそれぞれ取
付固定されている。又両係止板１４，１４には、
両係止板１４，１４を一体結合する時に用いるボ
ルト孔１４ｃ，１４ｃがそれぞれ設けてある。
尚、両係止板１４，１４に設けるボルト孔１４
ｃ，１４ｃの内、いずれか一方の係止板１４に設
けるボルト孔１４ｃは長方形状をしており、両係
止板１４，１４をボルト止めする時、両者の位置
関係の調整ができるようにしておく。

上記構成に於いて、衝撃吸収板１１及び外れ止
め部材１２によつて無端状をした保護帯１０を形
成し、且つ当該保護帯１０を無限軌道型作業機械
の無限軌道帯の外周に装着させる時、無限軌道型
作業機械がバツクホウ等の場合は、バツクホウの
ブーム及びブーム先端に位置するシヨベルを利用
して無限軌道型作業機械の両側に位置する無限軌
道帯の内、一方の無限軌道帯を地面から若干持ち
上げる。この状態で地面から持ち上げられている
方の無限軌道帯に、先ず１個目の外れ止め部材１
２を固定する。この時の外れ止め部材１２の無限
軌道帯への固定方法としては、外れ止め部材１２
を構成する両係止板１４，１４に設けた各係止部
１４ａ，１４ａを無限軌道帯の両側縁部にそれぞ
れ係合させた後、両係止板１４，１４をボルト１
６によつて一体結合する。そして両係止板１４，
１４の各係止部１４ａ，１４ａによつて無限軌道
帯を挟持することにより、外れ止め部材１２を無
限軌道帯に固定する。次に無限軌道帯に固定した
外れ止め部材１２の側方に所定個数（５〜８個）
の衝撃吸収板１１を並べ、当該外れ止め部材１２
に取付けたクリツプ１５及び衝撃吸収板１１に設
けた貫通孔１１ａに条体１３を通すことにより、
無限軌道帯に固定した外れ止め部材１２と衝撃吸
収板１１とを連鎖する。次に２個目の外れ止め部
材１２を上記したのと同様にして無限軌道帯に固
定し、当該２個目の外れ止め部材１２と既に連鎖
された１個目の外れ止め部材１２及び所定個数の
衝撃吸収板１１とを連鎖する。次に２個目の外れ
止め部材１２の側方に所定個数の衝撃吸収板１１
を並べ、当該外れ止め部材１２と衝撃吸収板１１
とを条体１３によつて連鎖する。このようにして
無限軌道帯の外周を外れ止め部材１２及び衝撃吸
収板１１によつて取り囲むと、後は外れ止め部材
１２と衝撃吸収板１１とを連鎖している条体１３
の両端部を連結して、保護帯１０の無限軌道帯へ
の取付けを終了する。このようにして、保護帯１
０の無限軌道型作業機械の一方の無限軌道帯への
装着が終了すると、上記と同様にして他方の無限
軌道帯にも保護帯を装着する。尚、この時、保護
帯１０を構成する衝撃吸収板１１の無限軌道帯と
の接触面イは平面状にしてあるため、保護帯１０
を無限軌道帯の外周面上で位置合せしたりする必
要は全くなく、上記した如く、保護帯１０を無限
軌道帯の外周に装着するだけでよい。

又トラクタ等のように自力で車体を傾斜させ、
無限軌道帯を地面から持ち上げることのできない
無限軌道型作業機械の場合は、無限軌道帯の地面
と接触していない上半分の外周に、上述したのと
同様にして外れ止め部材１２及び衝撃吸収板１１
を取付ける。この状態で無限軌道型作業機械を前
進或いは後退させ、無限軌道帯を半回転させた
後、無限軌道帯の残り半分の外周面に外れ止め部
材１２及び衝撃吸収板１１を取付ければ、トラク
タ等に装備されている無限軌道帯の外周に保護帯
１０を装着できる。

尚、上記保護帯１０を装着した無限軌道型作業
機械が走行し、無限軌道帯と共に保護帯１０が回
転走行する時、無限軌道帯はその両端に位置する
半円形部で伸びが生じ、平坦部でその伸びが元に
戻るといつた動作を繰り返すため、無限軌道帯の
外周に配置した外れ止め部材１２及び衝撃吸収板
１１を連鎖している条体１３にも伸縮が生じる。
このため無限軌道帯の半円形部で条体１３に弛み
が生じ、各外れ止め部材１２間に位置する衝撃吸
収板１１が外方に浮き上がろうとするが、条体１
３は外れ止め部材１２及び衝撃吸収板１１にスラ
イド自在に挿通されているため、条体１３の弛み
は条体１３がスライドすることによつて自然に吸
収され、衝撃吸収板１１の浮き上がりは防止され
る。又、この走行時、無限軌道帯は絶えず屈伸運
動を行うため、無限軌道帯とその外周に位置する
保護帯１０との間には縦方向（車両の前後方向）
に対し常時若干の位置ズレが生じるが、この時保
護帯１０を構成する衝撃吸収板１１の無限軌道帯
との接触面イは平面状をしているため、衝撃吸収
板１１は無限軌道帯の外周面上で縦方向にスライ
ドすることができ、上記走行時に生じる位置ズル
によつて保護帯１０に無理な力が加わるのも防止
できる。

第５図乃至第７図は本考案に係る保護帯の他の
実施例を示す図面である。第５図に示す保護帯１
０は、所定個数の外れ止め部材１２間に所定個数
ずつ配置する長方形状をした衝撃吸収板１１の間
にブロツク状をしたスペーサ１７を２個ずつ介在
させ、外れ止め部材１２、衝撃吸収板１１及びス
ペーサ１７を条体１３によつて連鎖したものであ
る。このように各衝撃吸収板１１間にブロツク状
をしたスペーサ１７を介在させておけば、保護帯
１０が無限軌道帯と共に回転走行する時、保護帯
１０の屈曲動作が円滑に行える。尚、この場合
も、衝撃吸収板１１及びスペーサ１７の無限軌道
帯との接触面イ，ロは平面状に形成しておく。

第６図及び第７図は衝撃吸収板１１を保護帯１
０の外周に保持するための外れ止め部材１２を衝
撃吸収板１１に一体に組込んだものである。第６
図は衝撃吸収板１１の無限軌道帯の外周面と接触
する裏面側に、外れ止め部材１２を組込んだもの
である。この場合は、衝撃吸収板１１に外れ止め
部材１２固定用のボルト１８が挿通するボルト孔
１１ｂを穿設しておき、当該ボルト孔１１ｂを挿
通するボルト１８によつて衝撃吸収板１１の裏面
に外れ止め部材１２を構成する係止板１４，１４
を一体結合したものである。

又第７図に示すものは、衝撃吸収板１１の内方
に、外れ止め部材１２を構成する一対の係止板１
４，１４の各平板部１４ｂ，１４ｂが嵌合するた
めのスリツト１１ｃを設けておき、当該スリツト
１１ｃに係止板１４，１４の平板部１４ｂ，１４
ｂを嵌合させた後、衝撃吸収板１１に設けたボル
ト穴１１ｂを用いて両係止板１４，１４を衝撃吸
収板１１内でボルト止めするものである。尚、上
記実施例の場合、係止板１４，１４を衝撃吸収板
１１に固定するためのボルト１８の頭部が、衝撃
吸収板１１の表面に突出し、当該ボルト１８の頭
部によつて路面が傷つけられるのを防止するた
め、ボルト１８の頭部が衝撃吸収板１１の表面か
ら突出しないようにしておく。又、外れ止め部材
１２を一体係合した衝撃吸収板１１は、前述した
実施例と同様、通常の衝撃吸収板５〜８放毎に一
枚配置すればよい。

第８図及び第９図は、保護帯１０の構成部材で
ある外れ止め部材１２の他の実施例を示す図面で
ある。第８図に示すものは、外れ止め部材１２を
構成する係止板１４，１４の平板部１４ｂ，１４
ｂに、無限軌道帯の外周面に設けた溝と嵌合する
凸部１４ｄ，１４ｄを設け、外れ止め部材１２の
無限軌道帯への固定をより一層確実にするもので
ある。又第９図に示すものは、係止板１４を平板
状をした一枚板にて構成し、当該係止板１４の両
側にコ字状をした係止部材１４a′，１４a′をボル
ト止めするものである。

考案の効果 上記した如く、無限軌道帯の外周面に装着する
保護帯を、衝撃吸収材からなる衝撃吸収板と、衝
撃吸収板を無限軌道帯の外周面に保持するための
一対の係止板からなる外れ止め部材とによつて構
成し、上記係止板のコ字状をした係止部によつて
無限軌道帯の両側縁部を挟持すれば、保護帯を装
着した無限軌道型作業機械が走行中、無限軌道型
作業機械が方向変換等を行つても、外れ止め部材
の作用により、保護帯が無限軌道帯から脱落する
のを防止できる。又、外れ止め部材を構成する一
対の係止板を結合するため、両者に設けたボルト
孔の内、一方のボルト孔は長方形状にしてあり、
両者の結合時、両者の位置関係を調整できるよう
にしてあるため、外れ止め部材の無限軌道帯への
装着時、無限軌道帯の横幅に関係なく、外れ止め
部材を無限軌道帯に常に安定した状態で係合させ
ることができる。

又このように無限軌道帯の外周に保護帯を装着
すれば、無限軌道型作業機械が舗装道路上を走行
する時、無限軌道帯と舗装道路の路面との間には
常に保護帯が介在することになり、路面を傷つけ
る心配がなくなるため、無限軌道型作業機械の前
方に古タイヤ等を敷設する必要がなくなる。従つ
て無限軌道型作業機械の舗装道路上での走行が非
常に容易となり、一旦無限軌道帯のに保護帯を装
着すれば運転手１人で舗装道路上を走行できる。
又、舗装道路上での作業も可能となる。

又当該保護帯に用いる外れ止め部材は、衝撃吸
収板５〜８枚毎に１個介在させるため、例えば全
周8.5mの無限軌道帯に保護帯を装着する時、外
れ止め部材は７〜８個程度でよいため、保護帯の
無限軌道帯への着脱に時間がかかることもない。

又無限軌道帯の外周に保護帯の被覆装着された
無限軌道型作業機械の走行時、無限軌道帯は絶え
ず屈伸動作を行うため、無限軌道とその外周に位
置する保護帯との間には縦方向（車両の前後方
向）に対し常時若干の位置ズレが生じるが、この
時、保護帯を構成する衝撃吸収板の無限軌道帯と
の接触面は平面状をしているため、衝撃吸収板は
無限軌道帯の外周面上で縦方向にスライドするこ
とができ、上記走行時に生じる位置ズレによつて
保護帯に無理な力が加わるのを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は保護帯の従来例を示す斜視図、第２図
は本考案に係る保護帯の斜視図、第３図は保護帯
を構成する衝撃吸収板及び外れ止め部材の斜視
図、第４図は外れ止め部材の分解斜視図である。
第５図は本考案に係る保護帯の第２の実施例を示
す斜視図、第６図及び第７図は保護帯の第３及び
第４の実施例を示す断面図である。第８図及び第
９図は、外れ止め部材の他の実施例を示す斜視図
である。 １０……保護帯、１１……衝撃吸収板、イ……
衝撃吸収板の無限軌道帯との接触面、１２……外
れ止め部材、１３……条体、１４……係止板、１
４ａ……係止部、１４ｃ……ボルト孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 無限軌道型作業機械の無限軌道帯外周に着脱自
   在に被嵌装着される保護帯を、衝撃吸収材によつ
   て形成された長方形状をし、かつ、無限軌道帯外
   周面との接触面が平面状となつた衝撃吸収板と、
   平板部及び、その一端に設けた、無限軌道帯の側
   縁部と係合するコ字状をした係止部とを有する一
   対の係止板からなり、上記一対の係止板の各平板
   部に、両者をボルトによつて一体結合するための
   ボルト孔が穿設され、かつ、その一方が長方形状
   となつた外れ止め部材と、上記衝撃吸収板所定個
   数毎に外れ止め部材を１個介在させるようにし
   て、両者を無端状に連鎖するための条体とによつ
   て構成し、上記保護帯の無限軌道帯外周への装着
   時、外れ止め部材を構成する一対の係止板の両係
   止部を、無限軌道帯の両側縁部にそれぞれ係合さ
   せた後、両係止板をボルトによつて一体結合する
   ことを特徴とする無限軌道型作業機械に於ける無
   限軌道帯の保護帯。