JPH023986Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、無限軌道帯の外周に保護帯を装着し
た無限軌道型作業機械に関するものである。

従来の技術 多数の履板をピン等で連鎖して無端状に形成し
た無限軌道帯を装着した無限軌道型作業機械に
は、バツクホウ、ブルドーザ等の土木機械、トラ
クタ等の農業、運搬機械等がある。上記無限軌道
型作業機械は、装備した無限軌道帯により、圃
場、原野等の柔軟地、不斉地における運行作業に
適している。ところが、上記作業機械は大型で車
両重量も重く、かつ、無限軌道帯を構成する履板
が金属製であるため、平滑な道路上での走行には
適さず、特に舗装道路上での走行は舗装面を傷付
けるため禁止されている。従つて無限軌道型作業
機械の作業現場への移動は、上記作業機械をトレ
ーラ等の大型の車輌型運搬車に積み込んで目的場
所まで搬送するようにしている。このため、上記
作業機械の運搬車への積込み及び積降ろしに時間
がかかり、作業機械の搬送移動距離が短い時に
は、稼働効率が悪いという欠点があつた。又目的
地までの道幅が非常に狭い場合には、車輪型運搬
車を目的地まで乗り入れることができない場合も
あつた。

このため、無限軌道型作業機械の舗装道路上で
の短距離の移動、又車輪型運搬車の乗り入れ不可
能な狭い舗装道路上での移動は従来次のようにし
て行われていた。

即ち、無限軌道型作業機械の舗装道路上での進
行路上に古タイヤを所定数敷設し、古タイヤの上
を無限軌道型作業機械の無限軌道帯が走行するよ
うにし、上記古タイヤの介在によつて舗装道路の
路面に損傷を与えないようにしている。

しかしこの場合は、無限軌道型作業機械の移動
に伴つて作業員が上記作業機械の後方に来た古タ
イヤを順次作業機械の前方に移動設置し、これを
繰返さねばならず、運転手以外に多くの作業員を
要するといつた欠点があつた。

そこで本出願人は、既に、特開昭57−230645号
公報にて、無限軌道帯の外周に保護帯を着脱自在
に装着した無限軌道型作業機械を提案している。
この無限軌道型作業機械は、第９図及び第１０図
に示す如く、下部走行体１の両側に位置する枠体
２の外周に位置する無限軌道帯３の外周に保護帯
４を着脱自在に装着すると共に、各枠体２の前後
部位両側に、保護帯４の無限軌道帯３からの脱落
を防止するためのローラ５をブラケツト６を介し
て回転自在に支持したものである。そして、無限
軌道型作業機械が舗装道路上を走行する時、無限
軌道帯３の外周に保護帯４を装着し、無限軌道帯
３と道路面との間に常時保護帯４を介在させるこ
とにより、路面の損傷を防止するものである。

尚、上記保護帯４は、衝撃吸収板を多数枚並べ
て条体により無端条に連鎖したものである。又ロ
ーラ５は、各枠体２の前後部両側面に直立状態に
取付けたブラケツト６により、無限軌道帯３の上
部走行面の両側縁外側で走行面より突出させて回
転自在に保持されている。

考案が解決しようとする問題点 上記した如く、無限軌道型作業機械の無限軌道
帯３の外周に保護帯４を装着し、かつ、ブラケツ
ト６によつて支持されたローラ５によりこの保護
帯４の無限軌道帯３からの脱落を防止すれば、無
限軌道型作業機械の舗装道路走行時、無限軌道帯
による路面の損傷を防止できる。

しかし、枠体２の前後部両側面にブラケツト６
を直立状態に取付け、このブラケツト６に、保護
帯４の無限軌道帯３からの脱落を防止するための
ローラ５を取付けるようにすると、図示の如く、
枠体２の前後部位から上方に向けてブラケツト６
が突出することになる。このため、ブラケツト６
が取付けられる無限軌道型作業機械がバツクホウ
等のように、下部走行体１と、その上部に位置す
る原動機及び運転席を備えた上部旋回体７とから
なる場合、両者の間隔ｌが十分にある場合は特に
問題はないが、この間隔ｌが狭い場合には、枠体
２にブラケツト６を取付けようとすると、ブラケ
ント６の先端が上部旋回体７の下面に接触してし
まい、ブラケツト６及びローラ５の枠体２への取
付けが不可能な場合があつた。そしてこのような
場合、無限軌道型作業機械の舗装道路上での走行
時には、無限軌道帯３の外周に保護帯４を装着し
ただけの状態で走行を行うことになり、走行中に
保護帯４が無限軌道帯３から脱落する危険性があ
るといつた問題があつた。

問題点を解決するための手段 無限軌道型作業機械に長方形状をした多数の衝
撃吸収板と、上記多数の衝撃吸収板を無端状に連
鎖するため、各衝撃吸収板に設けた貫通孔を貫通
し、両端部が連結される条体とからなり、無限軌
道帯の外周に着脱自在に装着される保護帯と、無
限軌道帯の軌道を支持する枠体の前後部両側に、
水平方向に取付けたブラケツト及び、ブラケツト
により無限軌道帯の前後屈曲部両側縁に位置する
如く支持されたローラ或いはガイド板からなるガ
イド部材とを装備し、上記ガイド部材のローラ或
いはガイド板により無限軌道帯の外周面に装着し
た保護帯の前後屈曲部両側縁を挾持状に誘導する
様にしたものである。

作 用 上記した如く、無限軌道帯の外周に保護帯を装
着することにより、無限軌道型作業機械の舗装道
路走行時、無限軌道帯と舗装道路の路面との間に
常時保護帯を介在させると同時に、枠体の前後部
両側面に水平方向に取付けたガイド部材により保
護帯の無限軌道帯からの脱落を防止するものであ
る。

実施例 第１図及び第２図は、本考案に係る無限軌道型
作業機械の一実施例を示すものであり、図中２０
は無限軌道型作業機械の下部走行体、 ２１は下部走行体２０の上部に位置する原動機
及び運転席を備えた上部旋回体である。

２２は下部走行体２０の両側に位置する枠体、
２３は枠体２２の外周に位置する無限軌道帯、２
４は無限軌道帯２３の外周に着脱自在に装着され
る保護帯である。この保護帯２４は、第３図及び
第４図に示す如く、ゴム、プラスチツク、アルミ
ニユーム等からなる長方形状をした多数の衝撃吸
収板２５と、上記多数の衝撃吸収板２５を無端状
に連鎖するため、各衝撃吸収板２５に設けた貫通
孔２５ａを貫通し、両端部が連結される条体２６
とによつて構成されている。そして、上記衝撃吸
収板２５によつて無端状の保護帯２４を形成する
には、多数の衝撃吸収板２５を並列し、衝撃吸収
板２５に設けた貫通孔２５ａに条体２６を挿通さ
せて衝撃吸収板２５を連鎖し、貫通し終わつた条
体２６を環状にし、条体２６の両端部を、第５図
に示すように、重合貫通孔２７ａ，２７ａを設け
た結合金具２７に挿入して重合させ、結合金具２
７を加圧して条体両端部を重合締付け固着する。
そして第３図に示した如く、無限軌道型作業機械
の無限軌道帯２３に被嵌し得る大きさの保護帯２
４を構成する。２８は保護帯２４を無限軌道帯２
３に装着した時、保護帯２４の無限軌道帯２３か
らの脱落を防止するため、枠体２２の前後部両側
面に水平状態に取付けたガイド部材である。この
ガイド部材２８は、枠体２２の前後部両側面に水
平状態にボルト止めされたブラケツト２８ａと、
ブラケツト２８ａにより無限軌道帯２３の前後屈
曲部両側縁に走行面より突出させて回転自在に保
持されたローラ２８ｂとによつて構成されてい
る。

上記構成に於いて、保護帯２４の装着は、無限
軌道型作業機械がバツクホウ等の場合は、先ず、
枠体２２の前後部両側面にガイド部材２８をボル
ト止めにて取付ける時、枠体２２の内側に位置さ
せるガイド部材２８だけを先ず取付けておく。こ
の状態でバツクホウのブーム及びブーム先端に位
置するシヨベルを利用して無限軌道型作業機械を
斜めに傾斜させ、作業機械の両側に位置する無限
軌道帯２３の内、一方の無限軌道帯２３を地面か
ら若干持ち上げる。この状態で地面から持ち上げ
られている方の無限軌道帯２３の外周に保護帯２
４を装着し、この後、枠体２２の前後部の外側に
残りのガイド部材２８をボルト止めにて取付け、
無限軌道帯２３の外周に装着された保護帯２４の
前後屈曲部両側縁にローラ２８ｂを位置させる。
このようにして他方の無限軌道帯２３にも保護帯
２４を装着する。

又自走クレーン等のように自力で車体を傾斜さ
せ、無限軌道帯２３を地面から持ち上げることの
できない無限軌道型作業機械の場合は、衝撃吸収
板２５を条体２６にて連鎖して有端状に形成した
保護帯２４の両端部に連結ワイヤを取付けてお
く。そして上記有端状保護帯２４を無限軌道型作
業機械の両側に位置する無限軌道帯２３の前方に
それぞれ敷設した後、無限軌道型作業機械を前進
させて保護帯２４上に作業機械を位置させる。こ
の状態で有端保護帯２４を無限軌道帯２３の外周
に巻付け、保護帯２４の両端に設けた連結ワイヤ
によつて保護帯２４を無端状に連結し無限軌道帯
２３の外周に保護帯２４を装着する。尚、この場
合、ガイド部材２８は予め枠体２２の前後部両側
面に全て取付けておけばよい。

上記実施例は、ガイド部材２８のブラケツト２
８ａの先端に一本のローラ２８ｂを回転自在に支
持した例について説明したが、第６図に示す如
く、ブラケツト２８ａの先端には２本のローラ２
８ｂ，２８ｂを支持するようにしてもよく、又第
７図に示すように、ブラケツト２８ａの先端にロ
ーラの代わりに平板状をしたガイド板２８ｃを取
付けるようにしてもよい。

又保護帯２４は、同一形状をした衝撃吸収板２
５を連鎖して形成する以外に、第８図に示す如
く、長方形状をした衝撃吸収板２５と、ブロツク
状をした衝撃吸収材よりなるスペーサ２５′とを
交互に並列し、両者の貫通孔に条体２６を挿通す
ることにより、衝撃吸収板２５及びスペーサ２
５′を無端状に連鎖し、保護帯２４を構成しても
よい。

更に、保護帯２４を構成する衝撃吸収板２５及
びスペーサ２５′の無限軌道帯２３の外周面と接
触する接触面イ，ロを平面状に形成しておけば、
保護帯２４の無限軌道帯２３への装着が容易にな
ると同時に、走行時に保護帯２４に無理な力が加
わるのを防止できる。即ち、無限軌道帯２３の外
周に保護帯２４の被嵌装着された無限軌道型作業
機械の走行時、無限軌道帯２３は絶えず屈伸動作
を行うため、無限軌道帯２３とその外周に位置す
る保護帯２４との間には常時若干の位置ズレが生
じるが、この時、保護帯２４を構成する衝撃吸収
板２５及びスペーサ２５′の無限軌道帯２３との
接触面イ，ロを平面状にしておけば、衝撃吸収板
２５及びスペーサ２５′は無限軌道帯２３の外周
面上でスライドすることができ、上記走行時に生
じる位置ズレによつて保護帯２４に無理な力が加
わるのを防止できる。

考案の効果 上記した如く、本考案は、衝撃吸収板又は衝撃
吸収板とスペーサを連鎖して無端状をした保護帯
を形成し、この保護帯を無限軌道型作業機械の無
限軌道帯の外周に被嵌装着させるようにしたか
ら、無限軌道帯と舗装道路の路面との間には常に
保護帯が介在することになり、路面を傷つける心
配がなく、従つて無限軌道型作業機械の前方に古
タイヤ等を敷設する必要が全くなくなる。又保護
帯の無限軌道帯からの脱落を防止するためのガイ
ド部材を、枠体の前後部両側面に水平方向に向け
て取付けるようにしたから、無限軌道型作業機械
がバツクホウ等のように下部走行体と上部旋回体
とからなる場合に於いて、両者間の間隔が狭い場
合に於いても、何等問題なくガイド部材を枠体に
取付けることができ、どのような形式の無限軌道
型作業機械にもガイド部材を取付けることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る無限軌道型作業機械の一
実施例を示す側面図、第２図は正面図である。第
３図は保護帯の形状を示す斜視図、第４図は衝撃
吸収板の斜視図、第５図は結合金具の斜視図、第
６図及び第７図はガイド部材の他の実施例を示す
側面図、第８図は保護帯の他の実施例を示す斜視
図である。第９図は無限軌道型作業機械の従来例
を示す側面図、第１０図は正面図である。 ２２……枠体、２３……無限軌道帯、２４……
保護帯、２５……衝撃吸収板、２５ａ……貫通
孔、２６……条体、２８……ガイド部材、２８ａ
……ブラケツト、２８ｂ……ローラ、２８ｃ……
ガイド板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長方形状をした多数の衝撃吸収板と、上記多数
   の衝撃吸収板を無端状に連鎖するため、各衝撃吸
   収板に設けた貫通孔を貫通し、両端部が連結され
   る条体とからなり、無限軌道帯の外周に着脱自在
   に装着される保護帯と、無限軌道帯の軌道を支持
   する枠体の前後部両側に、水平方向に取付けたブ
   ラケツト及び、ブラケツトにより無限軌道帯の前
   後屈曲部両側縁に位置する如く支持されたローラ
   或いはガイド板からなるガイド部材とを有し、上
   記ガイド部材のローラ或いはガイド板により無限
   軌道帯の外周面に装着した保護帯の前後屈曲部両
   側縁を挾持状に誘導する様にしたことを特徴とす
   る無限軌道型作業機械。