JPH0112679B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、筆記細管、筆記端部材その他を前方
端に担持した円筒体上に後側から差込むことがで
きるインキ容器又はインキカートリツジを有し、
該インキ容器又はインキカートリツジがその前方
端域の外面上に平衡室を有し、該平衡室は該円筒
体の内部軸孔に連通孔を介し連通されていると共
に、スリーブ部材により覆われ、該平衡室の前方
端は該スリーブ部材と円筒体との間において外気
と連通されるようにした筆記具の、特に細管ペン
の本体（先端部分）、並びにインキ容器又はカー
トリツジに関する。

この型式の既知の細管ペン本体（ドイツ実用新
案公告報第1697021号）においては、スリーブ部
材は、円筒体と一体的に形成され、スリーブ部材
と円筒体との間には後方に開放した環状室が、ま
たスリーブ部材と円筒体との間の連通域には空隙
がそれぞれ形成されている。環状室中にはインキ
細管又はインキカートリツジが差し込まれ、イン
キ細管又はインキカートリツジはその前方端域の
外面に螺線状のインキ平衡室を有し、このインキ
平衡室の後方端はスリーブ部材と円筒体との間の
空隙を経て周囲空気に連通され、後方端は通孔を
経て円筒体の内部室に連通されている。インキ平
衡室はスリーブ部材により覆われている。該円筒
体の外側壁は軸方向長さが比較的短いため、通孔
はこの壁により覆われることがなく、インキ細管
又はインキカートリツジから円筒体及び筆記細管
に到達するインキに直接連通される。

この公知の管ペン本体においては、再充てんの
ために引出すべきインキ容器にインキ平衡室があ
るため、インキ平衡室は非常に容易に清掃でき、
細管ペンの場合に乾燥したインキにより屡々閉塞
されるインキ平衡室を再び作用可能状態とするに
は、再充てんの前にインキ容器を完全に清浄にす
るだけでよい。このようなインキ平衡室の清掃は
インキカートリツジを使用する場合は全く不要に
なり、汚れたインキ平衡室は新しいインキカート
リツジを用いる際に自動的にきれいなインキ平衡
室に交換される。しかしこの公知の細管ペンにお
いては、筆記細管の前方端と通孔との間に比較的
大きな圧力差が存在する。これは、両方の部分の
間に相当大きな距離があるのでインキ平衡室が最
適の圧力平衡作用を営むことができないことによ
る。また平衡室は比較的短いため、インキを収容
する容積もそれほど大きくはない。

本発明の課題は、インキ容器を用いた場合には
インキ平衡室が清掃し易く、またインキカートリ
ツジを使用した場合にはインキ平衡室の清掃が全
く不要となるようにしながら、筆記端部材の前方
端とインキ平衡室一円筒体内部軸孔間の連通部分
との間の圧力差が少なくなり、またインキ平衡室
の容積が比較的大きくなるようにすることにあ
る。

この課題を解決するため、本発明によれば、明
細書冒頭に既述の型式の筆記具本体において、イ
ンキ容器又はインキカートリツジ（特許請求の範
囲を含め、以下インキ容器をもつて代表する）の
前方端域の内面には内側平衡室が形成され、この
内側平衡室の後方端は連通孔に連通されていると
共に、円筒体の外面により覆われ、円筒体はその
内部軸孔に内側平衡室を連通させる横断孔を前方
端域に有するようになつている。

従つて、本発明による筆記具本体（先端部）に
おいては、インキ容器の前方端域の内面だけでな
くその外面にも平衡室が形成され、これらの平衡
室は連通孔により互に連通され、、インキは該円
筒体壁部をその前端部で貫通する横断孔の個所に
おいて内側平衡室中に進入する。円筒体壁部はこ
の横断孔から、全部の内側平衡室及び連通孔を覆
うように軸方向後方に比較的大きな距離に亘り延
在している。円筒体の前方端域に横断孔があるた
め、筆記端部材（細管ペン）の前方端と平衡室へ
のインキの流入域との間の距離が短いので、圧力
差が少なくなると共に、平衡室の長さ、従つて容
積が大きなる。これはインキがひと先ず内側平衡
室中において後方に流れ、次いで連通孔を通り、
この連通孔から外側平衡室中へと前方に流れ得る
ことによるものである。その上、普通の使用時に
おいては平衡室は単に部分的にインキで満たされ
ているだけで、一般には内側平衡室にインキがは
いつているに過ぎないため、使用者が筆記具本体
を振つた場合にもインキが平衡室から前方に放出
される危険がない。さらに、インキ容器の前方端
域の内、外面にインキ容器と一体的な部材で区画
構成された内側及び外側平衡室を形成したことに
より、その平衡室部分をインキ容器と一体的に本
体から取外すことができる。そのため、平衡室部
分を清掃することが容易であり、インキ容器がカ
ートリツジ式であれば新規のものと取替えるのみ
でよく、清掃は不要となる。

また、細管ペンにおいて、円筒体の内部軸孔の
前方域をインキ平衡室に連通させ、このインキ平
衡室を半径方向外方の別のインキ平衡室に後方域
の連通孔により連通させることは公知である（ド
イツ実用新案第1947421号）。この半径方向外方の
平衡室は前方端において周囲空気に連通されてい
る。これにより圧力差が減少して平衡室の容積が
大きくなるという利点は同様に得られても、平衡
室部分を、カートリツジと別体で構成し、フラン
ジ状のカートリツジ係合端を有する内側円筒体及
び内外平衡室区画部材を外筒内に圧嵌して構成す
るので、細管ペン本体の構造が比較的複雑にな
る。このような構造の細管ペン本体には後方から
インキ容器が差し込まれる。しかしこの場合には
平衡室の清掃に際して管ペンのいろいろの構成部
分を取外したり組立てたりする操作が非常に面倒
になる。

外側平衡室の後方の領域において、本発明によ
る筆記具本体のインキ容器に、スリーブ部材の後
方端域の雌ねじ部分とのねじ係合のための雄ねじ
部分が形成してあるため、スリーブ部材（スリー
ブ部材が円筒体と一体的に形成されている場合は
スリーブ部材と円筒体との両者）を、インキ容器
に強固に、脱失のおそれがないように連結するこ
とができる。

外側の平衡室又は雄ねじ部分の後方に、スリー
ブ部材の後方端を当接させるための、半径方向外
方に指向した環状肩部（フランジ部）を形成し、
これによりスリーブ部材に対するインキ容器の固
定的位置関係を設定できる。

インキ容器がスリーブ部材よりも軟い合成樹脂
から出来ている本発明の筆記具本体先端部の別の
実施態様によれば、スリーブ部材の後方端面には
軸方向に立上る鋸歯状の突起が形成してあり、こ
れらの突起の長い方の歯面はねじの進む方向と逆
の方向に上り勾配を有し、また環状肩部の後方に
おいて、インキ容器には、環状肩部の前方の雄ね
じ部分と同じ進み方向をもつ雄ねじ部分が、保持
軸を固定させる目的で形成されている。比較的固
い合成材料から出来ているスリーブ部材にこれら
の鋸歯状の突起を形成したので、インキ容器にス
リーブ部材をねじ止めした時にスリーブ部材が環
状肩部の前方端面に係留（ロツク）され、ねじ止
めされた保持軸と比べてねじ止めの解除が一層困
難になる。そのため使用者が保持軸を取外そうと
して誤つてスリーブ部材を取外し、外側平衡室を
外部に露程させることが防止される。最初にねじ
が緩み取外されるのがいつも保持軸であるため、
使用者はその後にインキ容器をしつかりとつか
み、ねじ止めの解除によつてスリーブ部材を取外
すことができる。

筆記具本体を射出成形により極めて容易に製造
し得る構成部材により構成し、必要に応じ円筒体
も容易に清掃できるようにするために、円筒体と
スリーブ部材とを別々の要素とし、円筒体の前方
端域に環状肩部を形成し、この環状肩部をインキ
容器の前方縁に当接させ、スリーブ部材の半径方
向内方に曲げた前方縁により所定位置に保持する
こともできる。

次に図面に示した実施例について詳述する。

図示した細管ペン本体先端部は円筒体１を有し
円筒体１の前方端には筆記細管４が、円筒体１中
に組込まれた金属製ホルダー３を介し保持されて
いる。管状の円筒体１の内部軸孔中に落錘２があ
り、落錘２の前方端には清掃用ワイヤが図には詳
示しないしかたで固定され、このワイヤは筆記細
管３中に延在し、落錘２と共に軸線方向に往復運
動を行うことができる。円筒体１の後方端に、中
心孔を備えた落錘保持要素５が差し込まれてい
る。円筒体１の前方端域には横断孔７があり、横
断孔７は円筒体１の円筒外面をそれの内部軸孔に
連通させている。

円筒体１に後側から筆記液容器即ちインキ管１
１が差し込まれ、インキ管１１の前方端は、円筒
体１の環状肩部１８に当接している。インキ管１
１の前方端域の内面に螺線状のインキ平衡室１４
があり、平衡室１４の前方端は横断孔７に連通さ
れ、その後方端はインキ管１１の壁部を貫通する
連通孔１３に連通している。この内側のインキ平
衡室１４は、円筒体１の円筒外面によつて覆わ
れ、この円筒外面はインキ管１１の内面と実質上
気密に当接している。連通孔１３からインキ管１
１の外面上において螺線状のインキ平衡室１２が
前方に延在し、この外面側のインキ平衡室１２の
後方には雄ねじ部分１６が形成され雄ねじ部分１
６は半径方向外方に指向した環状肩部１５に終端
している。雄ねじ部分１６には前方からスリーブ
部材９がねじ込まれてインキ平衡室１２を覆い、
前方端ではそれ自身と円筒体１との間に空隙１０
を形成し、空隙１０はインキ平衡室１２の前方端
を周囲空気に連通させている。またスリーブ部材
９の前方端の半径方向内方曲折部は、円筒体１の
環状肩部１８に当接することにより、円筒体１を
インキ管１１の内部に強固に保持している。スリ
ーブ部材９の後方端はインキ管１１の環状肩部１
５と当接している。

そのため、図に組付状態にて示した細管ペン本
において、雄ねじ部分１６とのねじ止めを解除し
て前方にスリーブ部材９を取出すことができ、こ
れによりインキ管１１を円筒体１から後方に取出
すことができるようになる。このように取出した
インキ管１１は、清掃して新しくインキを充てん
することができ、この清掃に際して、インキ平衡
室１２，１４と連通孔１３とを容易に同時に清掃
でき、円筒体１又はスリーブ部材９の特別の清掃
は必要とされない。その後に、新しくインキを充
てんしたインキ管１１を再び円筒体１上に差し込
み、スリーブ部材９をねじ込むことにより、円筒
体１とインキ管１１とを互に合体させる。

環状肩部５の後方においてインキ管１１に雄ね
じ部分１７が形成してあり、このねじ部分に保持
軸６がねじ止めされている。

以上に説明した実施例ではインキ管１１が示さ
れているが、これに対応した構造を持つたインキ
カートリツジももちろん使用してよい。インキカ
ートリツジは、メーカーによりインキを充てんし
両側を封止したインキ容器であり、その前方の封
止部分は連通孔１３の後方に位置され、インキカ
ートリツジを円筒体１上に差し込むと円筒体の後
方端又は落錘保持要素５により破断されるように
なつている。

第２，３図からわかるように、スリーブ部材９
の後端面には、鋸歯状の突起２０が形成してあ
り、これらの突起２０は、特に第３図からわかる
ようにその歯面２１，２２をもつてスリーブ部材
９の後端面から突出している。長い方の歯面２１
はスリーブ部材９の固定用の雄ねじ部分１６のね
じの進む方向と反対方向の上り勾配を有する。即
ち普通の右ねじの場合、この上り勾配は、スリー
ブ部材９の前方端から見て反時計方向に向いてい
る。

比較的固い合成材料から出来ているスリーブ部
材９をねじ込むと、突起２１は、比較的軟い合成
材料から出来ているインキ管１１の環状肩部１５
の素材中に少し喰い込むので、スリーブ部材９は
的確に係留（ロツク）される。このため、保持軸
６のねじ止めを解除するために片方の手で筆記具
のスリーブ部材９をつかみ、他方の手で保持軸６
をつかんだ使用者が、保持軸６でなくスリーブ部
材９の方を誤つて取外してしまうことを防止でき
る。その理由は、突起２０によるこの係留作用の
ため、スリーブ部材９の取外しに対する抵抗が保
持軸６の取外しに対する抵抗よりも大きくなるた
めである。保持軸６が取外され、使用者が筆記具
のインキ管１１をつかんだ時にのみスリーブ部材
９を困難なく取外すことができる。

筆記細管４及び大気に連通している平衡室１２
を覆うためのカバーキヤツプをスリーブ部材９上
に取付けてもよく、この目的でスリーブ部材９に
図示しない雄ねじ部材を形成してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、保持軸をねじ止めにより固定した細
管ペン本体先端部を、一部は断面により、また一
部は切欠いて示した側面図、第２図はスリーブ部
材の後側端面の上面図、第３図は第２図の―
線に沿つて切断して示す断面図である。 符号、１……円筒体。４……筆記細管。７……
横断孔。９……スリーブ部材。１０……空隙。１
１……インキ管。１２，１４……平衡室。１３…
…連通孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 筆記細管、筆記端部材その他を前方端に担持
   した円筒体上にインキ収容部を有し、該インキ収
   容部がその前方端域の外面上に平衡室を有し、該
   平衡室は該円筒体の内部軸孔に連通孔を介し連通
   され且つスリーブ部材により覆われ、該スリーブ
   部材と該円筒体との間において該平衡室の前方端
   が空隙により外気と連通されるようにした筆記具
   の本体であつて、インキ収容部の前方端域の内面
   に内側平衡室を形成し、内側平衡室の後方端は上
   記連通孔に連通させると共に内側平衡室を円筒体
   の外面により覆い、円筒体はその内部軸孔に内側
   平衡室を連通させる横断孔を前方端域に有するよ
   うにしたことを特徴とする筆記具本体。 ２ スリーブ部材の後方端域にある雌ねじ部分と
   の螺合のための雄ねじ部分を外面側の平衡室の後
   部域に形成したことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の筆記具本体。 ３ 外側の平衡室の後部又は雄ねじ部分の後部
   に、半径方向外方に指向する環状肩部を形成し、
   この環状肩部にスリーブ部材の後方端を当接させ
   たことを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第
   ２項記載の筆記具本体。 ４ スリーブ部材よりも軟い合成材料から成るイ
   ンキ収容部を有する筆記具本体であつて、スリー
   ブ部材の後側端面に、軸方向に立上がる鋸歯状の
   突起を形成し、これらの突起の長い方の歯面がね
   じの進む方向と逆向きの上り勾配を有するように
   したことと、環状肩部の後方においてインキ容器
   に、環状肩部の前方の雄ねじ部分と同じ進み方向
   をもつ雄ねじ部分を、保持軸の固定用に形成した
   ことを特徴とする特許請求の範囲第３項記載の筆
   記具本体。 ５ 円筒体とスリーブ部材とを別々の要素とし、
   円筒体の前方端域に環状肩部を形成し、環状肩部
   をインキ収容部の前方縁に当接させ、スリーブ部
   材の半径方向内方に曲折した前方縁により所定位
   置に保持するようにしたことを特徴とする特許請
   求の範囲第３項又は第４項記載の筆記具本体。 ６ 前方端に筆記細管、筆記端部材等を担持した
   円筒体に交換自在に差込むことによつて一体化し
   た筆記具本体を構成するようにされ、インキ容器
   前方端域の外面に平衡室形成用溝を有し、この平
   衡室形成用溝は筆記具本体のスリーブ部材の内面
   により覆われることができ、また後部域では壁部
   を貫通して延びる連通孔に連通するようにした、
   筆記具のインキ容器であつて、連通孔の内方端が
   該前方端域の内面上に設けられた内側平衡室に連
   通され、該内側平衡室は、該円筒体の前方部分と
   照合するように形成され且つ円筒体の内部軸孔に
   至る横断孔に連通するようにしたことを特徴とす
   る筆記具のインキ容器。 ７ スリーブ部材の後方端域とねじ結合されるた
   めの雄ねじ部分を、外側平衡室形成用の溝の後方
   領域に形成したことを特徴とする特許請求の範囲
   第６項記載のインキ容器。 ８ 外側平衡室形成用の溝の後方または雄ねじ部
   分の後方に半径方向外方に指向して形成され且つ
   スリーブ部材の後方端と係合する環状肩部を有す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第６項又は第
   ７項記載のインキ容器。 ９ 環状肩部の後方に形成され且つ保持軸を固定
   させるための雄ねじ部分を有することを特徴とす
   る特許請求の範囲第８項記載のインキ容器。 １０ 後方封止部と前記連通孔よりは後方に位置
   する前方封止部によつて囲まれる円筒状インキ容
   器内がインキで充填されており、円筒体上に差込
   むことによつて前記前方封止部が破断されるカー
   トリツジであることを特徴とする特許請求の範囲
   第６項から第９項のいずれかに記載のインキ容
   器。