JPH0112019Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車のサスペンシヨン等に広く用
いられている重ね板ばねの固定端側における支持
部構造に関するものである。

従来、上記支持部構造は例えば第１図及び第２
図に示すように、重ね板ばねＳの目玉部Ｅ内に円
筒状ブツシユＢを固定して、これにセンターピン
Ｐを挿入しこのセンターピンＰの両端をピンに直
角なボルトＶ，Ｖを介してブラケツトＫに固定す
るとゝもに、上記目玉部ＥとブラケツトＫの間に
外周に焼付け等によりシールリツプＬ，Ｌを固着
したスラストワツシヤＷ，Ｗを夫々装着し、ブラ
ケツトＫの上端をボルトＶ，Ｖにより車体等（図
示せず）に固定するものであり、これによりセン
ターピンＰの外周面とブツシユＢの内周面とを摺
動自在となすとゝもに目玉部Ｅの横移動をスラス
トワツシヤＷ，Ｗで規制し、重ね板ばねＳの目玉
部Ｅに作用する上下方向の荷重及び回転荷重をブ
ツシユＢで支持し、スラスト荷重をスラストワツ
シヤＷ，Ｗで支持していた。

しかしながら、上記構造の場合、スラスト荷重
によるスラストワツシヤの摩耗が激しく、従つて
シールリツプによるシール性が確保されず、セン
ターピンとブツシユとの摺動部にダスト等が侵入
してブツシユの摩耗も並行して進んでしまうばか
りでなく、目玉部とブラケツトとの相対運動によ
り、これらとスラストワツシヤが衝突して発生す
る打音に対する対策が難しい等の点があり、重ね
板ばねの問題点の１つとなつていた。

本考案は上記欠点に鑑み、スラストワツシヤを
使用することなく目玉部の横方向の動きを規制す
ることができ、従つてスラストワツシヤ使用に伴
う上記欠点を完全に解消しうるばかりでなく、摺
動部のシール性を完全なものとして、前記摩耗を
極力防止できるようにしうるものを提供せんとし
て案出されたものであり、その要旨は、重ね板ば
ねの目玉部内に内面が左右対称のテーパ状の円筒
形ブツシユを固着し、このブツシユをセンターピ
ンに嵌装した内筒で回動自在に支承した重ね板ば
ねの支持部構造にある。

これを第３図以下の実施例に基づいて詳細に説
明すると、第３図は本考案の一実施例を示すもの
で、同図において１は重ね板ばねＳの目玉部Ｅ内
に固着した円筒形ブツシユで、その内面には左右
対称で、中央に行くに従い肉厚が徐々に大きくな
るテーパ１ａ，１ａが形成されている。２は先端
に雄ネジ２ａを刻設し、頭部２ｂを有するボルト
状のセンターピンで、ブラケツトＫの脚部間に掛
け渡し、重ね板ばねＳの目玉部Ｅ内に挿通してこ
れを支持するためのものであり、目玉部Ｅ内に位
置して内筒３，３が装着されている。この内筒
３，３の外周は夫々上記ブツシユ１のテーパ面１
ａ，１ａの傾斜に合わせたテーパ状になされてお
り、組立の都合上２分割されている。

而して内筒３，３はブツシユ１を回転摺動自在
に支承するのであるが、上記のようにいわゆるテ
ーパ状の支持とすることにより、従来の如きスラ
ストワツシヤを使用することなく、ブツシユ１ひ
いては重ね板ばねＳの目玉部Ｅの横方向の動きを
規制するものである。

４，４は内筒３，３のブラケツトＫ側の端部外
周に夫々取付けたリング状のシールリツプで、そ
の端面がブツシユ１に当接するようになされてお
り、回転摺動部、すなわちブツシユ１と内筒３，
３とがテーパ状に接触する部分のシール性の向上
が図られ、ここへのダスト等の侵入が防止されて
ブツシユ１の寿命の向上が図られている。

第４図は本考案の他の実施例を示すが、この例
では、センターピン２に嵌装した支持部材５，５
と、この支持部材５，５とブツシユ１との間に
夫々回転自在に配設した複数のローラ６，６を配
設したもので、ブツシユ１と内筒３，３すなわち
支持部材５，５及びローラ６，６であたかもテー
パ状のローラベアリングの如くなしたものであ
る。これにより、回転摺動抵抗を大幅に低減する
ことができる。

第５図は本考案の更に他の実施例を示し、この
例では両端にフランジ部７ａ，７ａを設け、セン
ターピン２に嵌装した円筒状のスリーブ７と、こ
のスリーブ７とブツシユ１との間に充填させた樹
脂等の充填材８とで内筒３を構成し、充填材８と
ブツシユ１との間で回転摺動を行わせるようにし
たものである。この場合、金属と金属との摺動で
はなくなるので、通常の金属同士のように給脂す
る必要はなく、無給脂化がはかれる。

なお、９は平座金、１０はバネ座金、１１はナ
ツトである。

而して本考案の組立ては、第３図及び第４図に
示す実施例においては、先ず重ね板ばねＳの目玉
部Ｅにブツシユ１を圧入し、その両端から必要に
応じ予めシールリツプ４，４を固着した内筒３，
３を夫々挿入する。この状態でブラケツトＫの脚
部に位置決めした後、センターピン２を挿通し、
平座金９及びバネ座金１０を組込み、ナツト１１
で適当な締付荷重となるよう締付けを行うのであ
る。第５図に示す実施例においては、ブツシユ１
内にスリーブ７を嵌挿させておき、両者１，７の
中間に樹脂等の充填材８を充填させた後、スリー
ブの外周両端に必要に応じリツプシール４，４を
固着する。この状態で重ね板ばねＳの目玉部Ｅ内
に圧入し、ブラケツトＫの下端においてセンター
ピン２を挿通させ、平座金９及びバネ座金１０を
組み込んだ後、ナツト１１を締付けることにより
ブラケツトＫでスリーブ７を挟み込み固定させる
のである。

本考案は上記のような構成であるので、重ね板
ばねの目玉部の横方向への動きの規制は、内面を
左右対称のテーパ状としたブツシユと内筒との間
で行われ、従来の如きスラストワツシヤを使用す
る必要はない。従つてスラストワツシヤを使用し
た際の従来の欠点、すなわちスラストワツシヤの
摩耗及びこれと並行してブツシユの摩耗も進んで
しまうこと、更には打音の発生等は完全に解消さ
れる。しかも、シールリツプＬは移動を伴わない
内筒の端部付近に設けたので、ブツシユと内筒と
の摺動部のシール性が完全となり、しかも容易に
劣化することはないので、耐久年数の向上を図り
うるといつた諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来例を示し、第１図は斜
視図、第２図は要部拡大断面図、第３図乃至第５
図は本考案の夫々異なる実施例を示す要部拡大断
面図である。 １……ブツシユ、１ａ……同テーパ面、２……
センターピン、３……内筒、４……リツプシー
ル、５……支持部材、６……ローラ、７……スリ
ーブ、８……充填材、Ｓ……重ね板ばね、Ｅ……
目玉部、Ｋ……ブラケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 重ね板ばねの目玉部内に内面が左右対称のテ
   ーパ状の円筒形ブツシユを固着し、該ブツシユ
   をセンターピンに嵌装した内筒により回動自在
   に支承したことを特徴とする重ね板ばねの支持
   部構造。 (2) 円筒形ブツシユと内筒の間にローラを配した
   ことを特徴とする登録請求の範囲第１項記載の
   重ね板ばねの支持部構造。 (3) センターピンに嵌装したスリーブと、該スリ
   ーブとブツシユとの間に充填した樹脂等の充填
   材で内筒を構成したことを特徴とする登録請求
   の範囲第１項記載の重ね板ばねの支持部構造。 (4) 内筒と円筒状ブツシユとの回転摺動部外端位
   置に、端面がブツシユに当接するようリング状
   のシールリツプを取付けたことを特徴とする登
   録請求の範囲第１項又は第２項又は第３項記載
   の重ね板ばねの支持部構造。