JP7846529B2 - 樹脂組成物、成形体および樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
樹脂組成物、成形体および樹脂組成物の製造方法Info
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Description
また、ポリカーボネート樹脂の耐薬品、耐溶剤性、流動性を改良するために、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂を配合した樹脂組成物も広く用いられている。さらに、剛性や耐熱性、寸法安定性(低収縮、低線膨張化)の改善のためにタルク、マイカ等の無機充填材を配合することも行われている。
上記のような樹脂組成物は、通常のポリカーボネート樹脂に比べて流動性や耐薬品性に優れる一方、滞留熱安定性に劣り、自動車外装部材等の大型成形体を射出成形によって製造する際に、樹脂の滞留によってシルバーストリーク(シルバー)等の外観不良が発生することがある(特許文献1~4)。
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂からなる樹脂組成物であって、滞留時のシルバーの発生が抑制され、かつ、引張破壊呼びひずみが向上された樹脂組成物、ならびに、成形体および樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>ポリカーボネート樹脂(A)40~95質量部とポリエステル樹脂(B)5~60質量部とを含む樹脂(C)100質量部に対し、
リン系エステル交換抑制剤(D)を0.001~4質量部含み、
さらに、ポリエステル樹脂(B)がCa元素を0.80~8.00質量ppm含む、
樹脂組成物。
<2>前記ポリエステル樹脂(B)が、Mg元素を0.10~8.00質量ppm含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記ポリエステル樹脂(B)が、Sb元素を200質量ppm以上含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記ポリエステル樹脂(B)が、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記ポリエチレンテレフタレート樹脂が、リサイクル品を含む、<4>に記載の樹脂組成物。
<6>前記樹脂(C)100質量部に対し、無機充填材(E)を1~100質量部含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記無機充填材(E)100質量部に対し、前記リン系エステル交換抑制剤(D)を0.10質量部以上含む、<6>に記載の樹脂組成物。
<8>前記無機充填材(E)が、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク、マイカ、ワラストナイト、および、カオリンからなる群から選ばれる1種以上を含む、<6>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9><1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形体。
<10>ポリカーボネート樹脂(A)40~95質量部とポリエステル樹脂(B)5~60質量部とを含む樹脂(C)100質量部と、
リン系エステル交換抑制剤(D)0.001~4質量部とを、溶融混練することを含み、
前記ポリエステル樹脂(B)がCa元素を0.80~8.00質量ppmの割合で含む、
樹脂組成物の製造方法。
<11>前記樹脂組成物が、<1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である、<10>に記載の樹脂組成物の製造方法。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、特に述べない限り、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、ppmは質量ppmを意味する。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
ポリエステル樹脂が、Ca元素を下限値以上含むことにより、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂のエステル交換が程よく進むことによって、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂の相溶性が向上し、引張破壊呼びひずみが向上すると推定された。また、Ca元素を上限値以下とすることにより、過剰なエステル交換が抑制され、滞留時のシルバーの発生が抑制されたと推定された。さらに、リン系エステル交換抑制剤(D)(好ましくは有機ホスフェート化合物)を含むことにより、過剰なエステル交換が抑制されて、滞留時のシルバーの発生が抑制されたと考えられる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を含む。本実施形態で用いられるポリカーボネート樹脂は、その種類に制限は無く、また、1種のみを用いてもよく、2種以上を、任意の組み合わせおよび任意の比率で併用してもよい。
前記ポリカーボネート樹脂は、一般式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で表わされる、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。なお、式中、Xは、一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールC)、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロ
パン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル
)プロパン、
α,α'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;
本実施形態の樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。界面重合法の詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0031~0038の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。溶融エステル交換法の詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0039~0044の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは12000以上、より好ましくは14000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは35000以下、より好ましくは30000以下であり、25000以下であってもよい。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本実施形態の樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本実施形態の樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、本実施形態の樹脂組成物においては、粘度平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよい。粘度平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いた場合の粘度平均分子量は、混合したポリカーボネート樹脂を用いて下記式(1)より算出した値である。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量を質量ppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)にて行われる。
上記共重合体を含むポリカーボネート樹脂を含む場合、ポリカーボネート樹脂中の共重合体成分は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。下限値は特に定められるものではないが、0.5質量%以上が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、Ca元素を0.80~8.00質量ppm含むポリエステル樹脂を含む。前記ポリエステル樹脂がCa元素を下限値以上含むことにより、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂のエステル交換が程よく進むことによって相溶性が向上し、引張破壊呼びひずみが向上されると推定される。また、Ca元素を下限値以下含むことにより、過剰なエステル交換が抑制され、滞留時のシルバーの発生が抑制されると推定される。
なお、前記Ca元素、Mg元素、Sb元素は、ポリエステル樹脂の中で必ずしも元素単体として存在している必要はなく、化合物の一部として含まれていてもよい。本実施形態においては、後述する実施例で述べる<金属元素の量の測定>の測定値を前記金属元素の量とする。
本実施形態に用いられるポリエステル樹脂としては、特にポリエチレンテレフタレートがポリカーボネート樹脂との相溶性や機械特性の点で好ましい。ここで、ポリエチレンテレフタレートとは、テレフタル酸単位およびエチレングリコール単位がエステル結合した構造を有するポリエステル樹脂であって、ポリエチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位およびエチレングリコール単位以外の、他の共重合成分を含むポリエチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーとポリエチレンテレフタレート共重合体との混合物を含む。
他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル-2,2’-ジカルボン酸、ビフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、ビス(4,4’-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、1,4-シクロへキサンジカルボン酸、4,4’-ジシクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸類、および、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類等が挙げられる。
本実施形態で用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸単位が全ジカルボン酸単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに一層好ましく、99モル%以上であってもよい。
他のジオール単位の具体例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体等が挙げられる。
本実施形態で用いるポリエチレンテレフタレート樹脂は、エチレングルコール単位が全ジオール単位の80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることがさらに一層好ましく、99モル%以上であってもよい。
中でも、ジカルボン酸成分に由来する全単位中、イソフタル酸に由来する単位(以下、「イソフタル酸単位」と記すことがある。)が0.5モル%以上15モル%以下であるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。このような特定のポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることにより、成形体の引張破壊呼びひずみがより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物がポリエチレンテレフタレート樹脂を2種以上含む場合、固有粘度は、混合物の固有粘度とする。
末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
なお、環状三量体量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂0.1gを溶解可能なクロロホルム等の溶媒に溶かし、溶解・再沈を行い、上澄み液を濾過後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。また定量は、1点による絶対検量線法により実施し、DMT(テレフタル酸ジメチル)換算での値とした。
リサイクルPETとしては、回収された使用済PETボトルやフィルム等を粉砕、アルカリ洗浄して繊維等に再利用するマテリアルリサイクルにより得られたもの、ケミカルリサイクル(化学分解法)より得られたものおよびメカニカルリサイクルにより得られたもの等が挙げられる。
ケミカルリサイクルは、回収された使用済PETボトルやフィルム等を化学分解して、原料レベルに戻してポリエチレンテレフタレート樹脂を再合成するものである。一方、メカニカルリサイクルは、上述したマテリアルリサイクルにおけるアルカリ洗浄をより厳密に行うこと、あるいは高温で真空乾燥すること等によって、マテリアルリサイクルよりもポリエチレンテレフタレート樹脂の汚れを確実に取り除くことを可能にした手法である。
例えば、使用済PETボトルからは、異物が取り除かれた後に、粉砕・洗浄され、次に押出機によりペレット化された後に、約120~150℃環境下で結晶化され、さらにその後、窒素気流下または高減圧下において約210℃環境下で固相重合されて、リサイクルPETが得られる。
バイオPETとしてはPETの原料であるモノエチレングリコールをさとうきび由来のバイオ原料に替えて製造されたPETが挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物においては、樹脂(C)100質量部中にポリカーボネート樹脂(A)40~95質量部とポリエステル樹脂(B)5~60質量部を含む。
本実施形態の樹脂組成物においては、樹脂(C)100質量部中のポリカーボネート樹脂(A)の割合が、50質量部以上が好ましく、55質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましく、65質量部以上が一層好ましく、70質量部以上、80質量部以上、85質量部以上であってもよい。また、本実施形態の樹脂組成物においては、樹脂(C)100質量部中に、ポリカーボネート樹脂(A)の割合が、90質量部以下が好ましく、85質量部以下がより好ましく、80質量部以下であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物においては、樹脂(C)100質量部中のポリエステル樹脂(B)の割合が、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上であってもよい。また、本実施形態の樹脂組成物においては、樹脂(C)100質量部中に、ポリエステル樹脂(B)の割合が、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、35質量部以下が一層好ましく、30質量部以下、20質量部以下、15質量部以下であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物においては、樹脂(C)100質量部中のポリカーボネート樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の質量比(A)/(B)が、95/5~40/60が好ましい。前記質量比(A)/(B)が、90/10~45/55であることがより好ましく、85/5~50/50であることがさらに好ましく、80/20~60/40が一層好ましい。
上記樹脂(C)は、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂を、それぞれ、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)40~95質量部とポリエステル樹脂(B)5~60質量部とを含む樹脂(C)100質量部に対し、リン系エステル交換抑制剤(D)を0.001~4質量部含む。リン系エステル交換抑制剤は、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のエステル交換を抑制する役割を果たす化合物である。
有機ホスフェート化合物としては、アルキルアシッドホスフェート、アルケニルアシッドホスフェートおよびこれらの金属塩が挙げられる。
前記ホスフェート化合物のアルキルアシッドホスフェートまたはアルケニルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表されるものであることが好ましい。即ち、アルキルアシッドホスフェートまたはアルケニルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表され、アルキルアシッドホスフェート金属塩またはアルケニルアシッドホスフェート金属塩は下記式(I)で表されるアルキルアシッドホスフェートまたはアルケニルアシッドホスフェートの亜鉛塩、アルミニウム塩等の金属塩であることが好ましい。
O=P(OH)n(OR)3-n…(I)
(式(I)中、Rは炭素数8~30のアルキル基または炭素数8~30のアルケニル基であり、nは1または2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
上記式(I)中のRで示されるアルキル基は直鎖アルキル基であってもよく、分岐アルキル基であってもよい。Rのアルキル基としては、具体的には、オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル(ステアリル)基、エイコシル基、テトラコシル基等が挙げられる。また、Rで示されるアルケニル基についても直鎖アルケニル基であってもよく、分岐アルケニル基であってもよい。Rのアルケニル基としては、具体的には、オレイル基等が挙げられる。nは、1または2であり、その混合物であっても良い。
上記式(I)中のRで示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数は、12~24であることがより好ましく、18であることがさらに好ましく、アルキルアシッドホスフェートとしては、特に、下記式(II)で表され、式(II)におけるn=1のジステアリルアシッドホスフェートとn=2のモノステアリルアシッドホスフェートとの混合物であるものが好ましい。
O=P(OH)n(OC18H37)3-n…(II)
また、アルキルアシッドホスフェートの金属塩としては、下記式(IIIa)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩と、下記式(IIIb)で表されるモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩との混合物が好ましい。
前記リン系エステル交換抑制剤(D)の含有量は、前記樹脂100質量部に対し、0.005質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることがさらに好ましく、0.075質量部以上が一層好ましく、0.1質量部以上がより一層好ましい。
また、前記リン系エステル交換抑制剤(D)の含有量は、前記樹脂100質量部に対し、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、0.5質量部以下が一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、リン系エステル交換抑制剤(D)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。無機充填材を含むことにより、本実施形態の樹脂組成物による成形体の機械強度が向上する傾向にある。
前記無機充填材としては、公知の任意のものを使用できる。具体的には、ワラストナイト、ゾノトライト、タルク、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、セラミックバルーン、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、炭素短繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらの無機充填材は、1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。中でも、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク、マイカ、ワラストナイト、および、カオリンからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、特に剛性や寸法安定性の観点からタルクが好ましい。
カップリング剤としては、シラン系、クロム系、チタン系等のカップリング剤等が挙げられ、中でもγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリクロロシラン;γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン等のシラン系カップリング剤を含むものが好ましい。
本実施形態に用いられる無機充填材としては、特にタルクが外観と機械強度のバランスが良好という理由で好ましい。タルクとしては、特開2020-45419号公報の段落0021~0039の記載が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
前記下限値以上にすることにより、機械強度がより向上する傾向にある。前記上限値以下にすることにより、滞留時のシルバーの発生がより抑制される傾向にある。
前記無機充填材の含有量は、前記樹脂(C)100質量部に対し、2.5質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、15質量部以上であることがより一層好ましい。
また、前記無機充填材の含有量は、前記樹脂(C)100質量部に対し、80質量部以下であることが好ましく、65質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることがさらに好ましく、30質量部以下であることがより一層好ましく、25質量部以下であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、無機充填剤(E)の含有量は、樹脂組成物中、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、また、45質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材(E)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材(E)100質量部に対し、リン系エステル交換抑制剤(D)を0.1質量部以上含むことが好ましい。一般的に、樹脂組成物に無機充填材を配合することによって熱安定性が低下し、滞留時のシルバーが発生しやすくなる場合がある。特に、タルクはアルカリ性の性質を持つため、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂を含む樹脂に配合した場合に、樹脂の分解を促進し、滞留時のシルバーを発生させる原因となると推定される。しかし、このような無機充填材(E)とリン系エステル交換抑制剤(D)の配合比率にすることによって、無機充填材による樹脂の分解を抑制し、滞留時のシルバーの発生がより抑制される傾向にあると推定される。
前記無機充填材(E)100質量部に対し、前記リン系エステル交換抑制剤(D)を0.20質量部以上含むことが好ましく、0.40質量部以上含むことがより好ましく、0.60質量部以上含むことがさらに好ましく、1.00質量部以上、2.00質量部以上、4.00質量部以上含んでいてもよい。前記下限値以上とすることで、滞留時のシルバーの発生がより抑制される傾向にある。
前記無機充填材(E)100質量部に対し、前記リン系エステル交換抑制剤(D)が30.00質量部以下含むことが好ましく、20.00質量部以下含むことがより好ましく、10.00質量部以下含むことがさらに好ましく、5.00質量部以下含むことが一層好ましく、2.00質量部以下含むことがより一層好ましく、1.50質量部以下、1.00質量部以下、0.90質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることで、引張破壊呼びひずみが向上する傾向にあり、熱安定性も向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂や樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
具体的には、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂以外の他の熱可塑性樹脂、エラストマー、離型剤、リン系エステル交換抑制剤以外の安定剤(熱安定剤、光安定剤)、着色剤(顔料、染料)、反応性化合物、核剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填材以外の充填材、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、リン系エステル交換抑制剤(D)と、必要に応じ配合されるその他成分の合計が100質量%になるように配合される。本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、リン系エステル交換抑制剤(D)、必要に応じて配合される無機充填材(E)との合計量が樹脂組成物の80質量%以上占めることが好ましく、90質量%以上占めることがより好ましく、95質量%以上占めることがさらに好ましく、98質量%以上、99質量%以上であっても良い。上限は、100質量%である。
本実施形態の樹脂組成物は、エラストマーを含んでいてもよい。
エラストマーとしては、ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分をグラフト共重合した共重合体が好ましい。このようなグラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
エラストマーとして具体的には、特開2020-164869号公報の段落0129~0133号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、エラストマーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、リン系エステル交換抑制剤(D)以外の安定剤(光安定剤および/または熱安定剤)を含んでいてもよい。
安定剤としては、リン系エステル交換抑制剤(D)以外のリン系化合物、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、硫黄系安定剤等が例示される。これらの中でも、リン系エステル交換抑制剤(D)以外のリン系化合物、フェノール系化合物が好ましい。
前記リン系エステル交換抑制剤(D)以外のリン系化合物は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
前記フェノール系安定剤は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を含んでいても良い。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記離型剤としては、具体的には、特開2015-199852号公報の段落0083~92の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明では、また、樹脂組成物の製造方法を開示する。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、ポリカーボネート樹脂(A)40~95質量部とポリエステル樹脂(B)5~60質量部とを含む樹脂(C)100質量部と、リン系エステル交換抑制剤(D)0.001~4質量部とを、溶融混練することを含み、前記ポリエステル樹脂(B)がCa元素を0.80~8.00質量ppmの割合で含む、樹脂組成物の製造方法を含む。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、具体的には、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)およびリン系エステル交換抑制剤(D)、さらに必要に応じて配合される無機充填材(E)やその他添加剤を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練して樹脂組成物を製造することができる。
また、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみ予め混合してフィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して樹脂組成物を製造することもできる。着色剤等の一部の成分を熱可塑性樹脂と溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの成分を配合して溶融混練し製造してもよい。なお、無機充填材を用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。溶融混練に際しての加熱温度は、通常240~330℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスや、分子量低下による強度低下の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
<<滞留時のシルバー>>
本実施形態の樹脂組成物は、滞留時のシルバーの発生が抑制される。具体的には、以下の通りである。本実施形態の樹脂組成物を用いて、射出成形機(シリンダー温度290℃ 金型温度80℃)で50mm×90mm×3mmt、2mmt、1mmtの3段プレートをサイクル45秒の通常条件で連続10ショット成形した後、冷却時間を延長してサイクル180秒の滞留条件に変更し、連続5ショット目のプレートで滞留時のシルバーを確認する。滞留時のシルバーの程度に応じて、目視で0~9段階の点数を付けた。数字が大きいほど、滞留時のシルバーストリークの面積が広いことを示す。前記点数は7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。前記点数は0が最も好ましく、目視で滞留時のシルバーが確認されない場合である。
滞留時のシルバー発生量の評価は、後述する実施例の記載に従って測定される。
本実施形態の樹脂組成物は、引張破壊呼びひずみが向上される。具体的には、樹脂組成物を用いてJIS K 7139に準拠したダンベル試験片(A1)を成形し、JIS K 7161の方法で測定した引張破壊呼びひずみが、10.0%以上が好ましく、10.5%以上がより好ましい。前記引張破壊呼びひずみの上限値は特に定められるものではないが、100.0%以下が現実的である。
本実施形態には、本実施形態の樹脂組成物から形成された成形体も含まれる。
本実施形態の樹脂組成物をペレタイズして得られたペレットは、各種の成形法で成形して成形体とされる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂組成物を直接、成形して成形体にすることもできる。
成形体の形状としては、特に制限はなく、成形体の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状、キャップ状のもの等が挙げられる。本実施形態の成形体は、完成品であってもよいし、部品であってもよく、それぞれの溶着品でもよい。
また、射出成形等、金型成形する際の金型温度は、40~100℃であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物から形成された成形体として用いられる。樹脂組成物ないし成形体の用途としては、特に定めるものでは無く、電気電子機器/部品、OA機器/部品、情報端末機器/部品、機械部品、家電製品、車輌部品(自動車内外装)、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器などに好ましく用いられる。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
下記表1~3に示す原料を用いた。
<金属元素の量の測定>
ポリエステル樹脂中のCa元素、Mg元素およびSb元素含有量(質量ppm)の分析は、ICP発光分析法によって行った。前処理として試料200mgを秤量し、ケルダール湿式分解(硫酸/硝酸、硫酸/過酸化水素)を行い、50mLに定容し、続いて、ICP発光分析を酸濃度マッチング一点検量法にて行った。ICP発光分析は、Thrmo Fisher Scientific社製「iCAP76000uo」を用い、axial/radial測光にて行った。
ポリエステル樹脂中の環状三量体量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂0.1gを溶解可能なクロロホルム等の溶媒に溶かし、溶解・再沈を行い、上澄み液を濾過後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。また定量は、1点による絶対検量線法により実施し、DMT(テレフタル酸ジメチル)換算での値とした。
(実施例1~7、比較例1~6)
上記表1~3に示した各成分を、後記表4または5に記した割合(全て質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、芝浦機械社製二軸押出機(TEM26SS)に供給し、スクリュー回転数250rpm、吐出量30kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂組成物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化して、樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例8、9)
上記表1~3に示した各成分の内、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂と、その他の原料とを、それぞれ、表6に示した割合で秤量し、別々にタンブラーにて、20分混合した。ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂は押出機の根本から、その他の原料は別フィードしたことを除いては、上記(実施例1~7、比較例1~6)と同様の方法で樹脂組成物のペレットを製造した。
上記で得たペレットを、120℃、5時間熱風乾燥機で乾燥した後、日本製鋼製の射出成形機(J-55ADS)を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、射出速度10mm/s、保圧80MPaの条件、50mm×90mm、厚みが3mm、2mm、1mmの3段プレートを成形した。サイクル45秒の通常条件で連続10ショット成形した後、冷却時間を延長してサイクル180秒の滞留条件に変更し、連続5ショット目のプレートで、滞留時のシルバーを確認した。得られた成形体を目視で確認し、滞留時のシルバーの程度に応じて0~9の9段階で点数を付けた。数字が大きいほど、滞留時のシルバーストリークの面積が広いことを示す。5人の専門家が評価し、多数決とした。また、実施例1が「5」となるように基準を定めた。
上記で得たペレットを、120℃、5時間熱風乾燥機で乾燥した後、日精樹脂工業製の射出成形機(NEX80III)を、用いてシリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度33mm/s、保圧80MPaの条件で厚さ4mmのJIS K7139多目的試験片(A1)を成形した。
上記で得た試験片を用いて、JIS K 7161に記載の方法で、引張破壊呼び歪(単位:%)を測定した。
上記で得た厚さ4mmのJIS K7139多目的試験片(A1)を、東洋精機社製のノッチングツールを用いて長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を切り出し、先端半径r=0.25mmのノッチ加工をした。その後、85℃、85%の湿熱環境下で500時間湿熱処理を行った。上記で得た湿熱未処理と湿熱処理後の試験片を用いて、JIS K 7111-1の方法に従い、シャルピー衝撃強さを測定した。
湿熱後のシャルピー衝撃強さ保持率は、下記式(2)に従って計算した。
式(2)
湿熱後のシャルピー衝撃強さ保持率(%)=[(湿熱処理後のシャルピー衝撃強さ)/(湿熱未処理のシャルピー衝撃強さ)]×100
上記で得たペレットを、120℃、5時間熱風乾燥機で乾燥した後、日精樹脂工業製の射出成形機(NEX80III)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度33mm/s、保圧80MPaの条件でサイクル45秒の通常条件で連続20ショット成形し、厚さ4mmのJIS K7139多目的試験片(A1)を成形した。その後、冷却時間を延長してサイクル600秒の滞留条件に変更し、連続3ショット成形を行い、滞留条件での多目的試験片(A2)を成形した。
上記で得た厚さ4mmのJIS K7139多目的試験片(A1、A2)から、80mm×10mm×4mmの試験片を切り出した。その後、通常条件の試験片(A1)と滞留条件の試験片(A2)を用いて、東洋精機製 Auto HDT TESTER 6A-2で、JIS K 7191の方法に従い、荷重1.8MPaの条件で荷重たわみ温度(DTUL、単位:℃)をそれぞれ測定した。
ΔDTULは、下記式(3)に従って計算した。
式(3)
ΔDTUL=(滞留条件で連続3ショット目(A2)のDTUL)-(通常条件(A1)でのDTUL)
Claims (11)
- ポリカーボネート樹脂(A)40~95質量部とポリエステル樹脂(B)5~60質量部とを含む樹脂(C)100質量部に対し、
リン系エステル交換抑制剤(D)を0.001~4質量部含み、
さらに、ポリエステル樹脂(B)がCa元素を0.80~8.00質量ppm含み、
前記ポリエステル樹脂(B)中のCa元素およびMg元素の合計が1.50質量ppm以上13.00質量ppm以下である、
樹脂組成物。 - 前記ポリエステル樹脂(B)中のMg元素の含有量が0.10~4.00質量ppmである、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(B)が、Sb元素を200質量ppm以上含む、請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(B)が、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂が、リサイクル品を含む、請求項4に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂(C)100質量部に対し、無機充填材(E)を1~100質量部含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記無機充填材(E)100質量部に対し、前記リン系エステル交換抑制剤(D)を0.10質量部以上含む、請求項6に記載の樹脂組成物。
- 前記無機充填材(E)が、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク、マイカ、ワラストナイト、および、カオリンからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項6または7に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形体。
- ポリカーボネート樹脂(A)40~95質量部とポリエステル樹脂(B)5~60質量部とを含む樹脂(C)100質量部と、
リン系エステル交換抑制剤(D)0.001~4質量部とを、溶融混練することを含み、
前記ポリエステル樹脂(B)がCa元素を0.80~8.00質量ppmの割合で含み、
前記ポリエステル樹脂(B)中のCa元素およびMg元素の合計が1.50質量ppm以上13.00質量ppm以下である、
樹脂組成物の製造方法。 - 前記樹脂組成物が、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物である、請求項10に記載の樹脂組成物の製造方法。
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