JP7843776B2 - リール装置 - Google Patents

リール装置

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Description

本発明は、リール装置に関する。
従来、いわゆる両軸受リール等のリール装置では、ユーザに回されるハンドルと、釣糸を巻き取るスプールとが、機械式の変速機構(トルク伝達機構)により連結されていた(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2018-113918号公報 特開2022-98036号公報 特開2022-108840号公報
しかしながら、機械式(接触式)のトルク伝達機構では、接触部での動力損失や、接触状態による特性の変化が生じる。これらを抑えようとすると、ギヤ部の清掃、グリスアップ、部品交換、ドラグ力調整等の多くの手間が必要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、回転トルクを好適に伝達することを目的とする。
本発明は、リール装置であって、
回転力が入力される回転入力部と、
回転可能に支持され、紐状体が巻回される糸巻き部と、
前記回転入力部に入力された回転力を、磁気変調により変速させて前記糸巻き部に伝達可能な変速機構と、
を備え
前記変速機構は、
周方向に配列された複数の磁極片と、
前記磁極片の外径側に配置され、周方向に配列された複数の外極磁石を有する外側ロータと、
前記磁極片の内径側に配置され、周方向に配列された複数の内極磁石を有する内側ロータと、
を有し、
前記変速機構は、前記複数の磁極片、前記外側ロータ及び前記内側ロータの少なくとも1つが軸方向に移動可能に構成されている
本発明によれば、回転トルクを好適に伝達することができる。
実施形態に係るリール装置を模式的に示す断面図である。 図1のII-II線における変速機構の断面図である。 連結状態におけるクラッチを示す模式的な側面図である。 連結状態におけるクラッチでの磁石の対向状態を示す図である。 連結解除状態におけるクラッチを示す模式的な側面図である。 連結解除状態におけるクラッチでの磁石の対向状態を示す図である。 実施形態に係るリール装置の動作を説明するための図である。 実施形態に係るリール装置の動作を説明するための図である。 実施形態に係るリール装置の動作を説明するための図である。 実施形態の第1変形例に係るリール装置を模式的に示す断面図である。 実施形態の第1変形例に係るリール装置の動作を説明するための図である。 実施形態の第1変形例に係るリール装置の動作を説明するための図である。 ステータを強制回転させた場合の外側ロータ、内側ロータ及びステータのスリップトルク(脱調トルク)波形例を示す図である。 ステータを強制回転させた場合のトルクピーク値を比較した図である。 実施形態の第2変形例に係るリール装置を模式的に示す断面図である。 実施形態の第2変形例に係るリール装置の動作を説明するための図である。 実施形態の第2変形例に係るリール装置の動作を説明するための図である。 実施形態の第2変形例に係るリール装置の動作を説明するための図である。 実施形態の第3変形例に係るリール装置を模式的に示す断面図である。 実施形態の第3変形例に係るリール装置の変形例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[リール装置の全体構成]
図1は、本実施形態に係るリール装置1を模式的に示す断面図である。
この図に示すように、本実施形態に係るリール装置1は、魚釣り用のベイトリールである。具体的に、リール装置1は、ユーザにより回転力が入力されるハンドル2と、ハンドル2に入力された回転力を変速させて出力可能な変速機構3と、変速機構3からスプール6へのトルク伝達状態を切り替えるクラッチ5と、釣糸L(図5A等参照)が巻回されるスプール6とを備える。これらハンドル2、変速機構3、クラッチ5及びスプール6は、フレーム(ボディ)10に支持されている。
[ハンドル]
ハンドル2は、ユーザに把持される把手21と、一端に把手21が設けられ、他端が変速機構3に連結されるアーム22とを有している。アーム22は、ワンウェイクラッチ23を介し、中心軸Ax回りに回転可能にフレーム10に支持されている。ワンウェイクラッチ23は、スプール6が釣糸Lを巻き取る方向に対応した一方向にのみ、ハンドル2を回転させる。
なお、以下の説明では、中心軸Axに沿った方向を「軸方向」、中心軸Axに垂直な方向を「径方向」、中心軸Axを中心とする回転方向を「周方向」という。また、軸方向のうち、ハンドル2が配置される側(図1の右側)を「入力側」といい、その反対側(図1の左側)を「反入力側」という。
[スプール]
スプール6は、軸方向に沿った略円筒状に形成され、外周面に釣糸(ライン)Lが巻回される。スプール6は、一体的に構成されたスプール軸61を介し、中心軸Ax回りに回転可能にフレーム10に支持されており、その回転により釣糸Lの巻取り及び繰出しを行う。
スプール6の軸方向のうちクラッチ5と反対側には、ブレーキ7が設けられている。ブレーキ7は、スプール軸61に連結され、スプール軸61を介してスプール6に制動力を作用させる。ブレーキ7は、スプール6に対してその回転速度に応じた制動力を作用させ、バックラッシュを抑制したりキャストを安定させたりする。このようなブレーキ7としては、例えば遠心ブレーキやマグネットブレーキ等、従来より公知の技術を適用できる。
[変速機構]
図2は、変速機構3の構造を説明するための図であって、図1のII-II線における変速機構3の断面図である。
図1及び図2に示すように、変速機構3は、ハンドル2とスプール6との間に配置され、ハンドル2に入力された回転力を磁気変調により変速させてスプール6に伝達可能なものである。具体的に、変速機構3は、磁気変調ギヤであって、外側ロータ(入力軸)31と、内側ロータ(出力軸)32と、ステータ33とを備える。
外側ロータ31は、中心軸Axを中心とする略円筒状に形成され、外極磁石31aを有している。外極磁石31aは、例えばネオジム磁石などの永久磁石であり、極性の異なる複数のものが周方向に交互に配置されている。外側ロータ31は、軸方向の入力側の端部にハンドル2のアーム22が連結され、ハンドル2から回転力が入力される。なお、外側ロータ31は、外極磁石31aを支持するヨーク等を有していてもよい。また、外極磁石31aは、一体のリング状であってもよいし、分割されたものを周方向に並べた形状であってもよい。
内側ロータ32は、外側ロータ31の内径側に同心状に配置され、シャフト32aと内極磁石32bを有している。内側ロータ32の反入力側には、クラッチ5を介してスプール6(スプール軸61)が連結されている。シャフト32aは、中心軸Ax回りに回転可能に支持されている。内極磁石32bは、例えばネオジム磁石などの永久磁石であって、外側ロータ31の外極磁石31aよりも少ない極数を有し、極性の異なる複数のものが周方向に交互に配置されるように、シャフト32aの外周面に貼り付けられている。なお、内極磁石32bは、一体のリング状であってもよいし、分割されたものを周方向に並べた形状であってもよい。
また、内側ロータ32は、内極磁石32bが軸方向に移動可能に構成され、ドラグスクリュー34によりその軸方向位置が調整可能となっている。ドラグスクリュー34は、フレーム10の外側に配置され、内側ロータ32の入力側に連結されている。ドラグスクリュー34は、例えばボールねじによってフレーム10に支持されており、回転に伴って内極磁石32bを軸方向に移動可能に構成されている。なお、内側ロータ32は、内極磁石32bが軸方向に移動可能であればよく、シャフト32aは移動せずに内極磁石32bのみが移動する構成でもよいし、内極磁石32bとともにシャフト32aが移動する構成でもよい。
ステータ33は、略円筒状に形成され、外側ロータ31と内側ロータ32との間の径方向位置にこれらと同心状に配置されている。ステータ33の軸方向の両端部は、フレーム(ボディ)10に固定されている。ステータ33は、内極磁石32bの外径側に配置された磁極片(ポールピース)33aを有している。
磁極片33aは、積層鋼板から構成され、複数のものが周方向に所定間隔で配置されている。磁極片33aの数は、外極磁極対数(外極磁石31aの極対数)±内極磁極対数(内極磁石32bの極対数)であり、一般的には外極磁極対数+内極磁極対数である。周方向に隣り合う2つの磁極片33aの間は、薄肉の連結部で連結されていてもよいし、非磁性体で連結されていてもよいし、連結されていなくてもよい。なお、図2では、隣り合う2つの磁極片33aが径方向の中間位置で連結された例を図示している。また、磁極片33aは、磁性体であれば積層鋼板で構成されたものでなくてもよく、単に動作をさせるだけであれば鉄鋼材(SS材、SPCC材等)のブロックなどであってもよい。
以上の構成を具備する変速機構3では、外側ロータ31に回転が入力されると、外側ロータ31の外極磁石31aの空間磁束波形が、ステータ33の磁極片33aによって内側ロータ32の内極磁石32bと同周波数に変調され、磁極片33a-内極磁石32b間の磁力を用いて内側ロータ32にトルクが伝達される。すなわち、変速機構3では、変調された磁束によって、外側ロータ31から内側ロータ32に動力伝達が行われる。このとき、変速比は外極極対数/内極極対数(回転は逆方向)となる。
[クラッチ]
図3Aは、連結状態におけるクラッチ5を示す模式的な側面図であり、図3Bは、連結状態におけるクラッチ5での磁石の対向状態を示す図である。図4Aは、連結解除状態におけるクラッチ5を示す模式的な側面図であり、図4Bは、連結解除状態におけるクラッチ5での磁石の対向状態を示す図である。
クラッチ5は、変速機構3とスプール6との間に配置され、変速機構3とスプール6とのトルク伝達状態を、回転力が伝達される状態と、伝達されない状態とに切り替え可能なものである。すなわち、クラッチ5は、変速機構3とスプール6とを、これらが連結された連結状態と、その連結が解除された連結解除状態とに切り替える。
具体的に、クラッチ5は、クラッチ用磁石51と、キー部材52とを含んで構成される。
クラッチ用磁石51は、中心軸Axを中心とする円板状に形成され、スプール軸61の入力側の端部に設けられている。具体的に、クラッチ用磁石51は、内極磁石32bと同様の内外径サイズ及び極性配置に構成され、内極磁石32bの反入力側の端面と軸方向に対向するように配置されている。すなわち、クラッチ用磁石51は、内極磁石32bと同じ極数を有し、極性の異なる複数のものが周方向に交互に配置されている。
また、クラッチ用磁石51は、中心軸Ax回りに回転可能に支持され、フレーム10に取り付けられたクラッチレバー53に接続されている。クラッチレバー53は、その操作に伴って、クラッチ用磁石51の周方向の極性位置が反転するように、クラッチ用磁石51を一極分だけ中心軸Ax回りに回転させる。なお、クラッチレバー53によるクラッチ用磁石51の回転は、クラッチ用磁石51がスプール軸61と一体的に回転してもよいし、クラッチ用磁石51のみが回転してもよい。
キー部材52は、スプール軸61の入力側の端部に設けられ、内側ロータ32の反入力側の端部に設けられたキー溝54と嵌合し、内側ロータ32とスプール軸61との間で回転力を伝達する。より詳しくは、スプール軸61のうちスプール6よりも入力側の部分は軸方向に移動可能に構成されており、当該スプール軸61が内側ロータ32に接離するに伴って、キー部材52とキー溝54とが嵌合した状態と当該嵌合が解除された状態とを取り得るようになっている。
以上の構成を具備するクラッチ5では、図3A及び図3Bに示すように、クラッチレバー53が操作されていない常態(OFF状態)において、クラッチ用磁石51と内極磁石32bとで互いに異なる極性同士を軸方向に対向させている。そのため、クラッチ用磁石51と内極磁石32bとの間に吸引力が作用してクラッチ用磁石51が内極磁石32bに接近しており、キー部材52とキー溝54とが嵌合して変速機構3とスプール6とが連結された連結状態となっている。
この連結状態において、ユーザがクラッチレバー53を操作する(ON状態にする)と、図4A及び図4Bに示すように、クラッチ用磁石51が一極分だけ回転し、その周方向の極性位置が反転する。すると、クラッチ用磁石51と内極磁石32bとは、互いに同極同士を軸方向に対向させて反発力を作用させる状態となる。その結果、クラッチ用磁石51が内極磁石32bから離間するようにスプール軸61が反入力側に移動し、キー部材52とキー溝54との嵌合が解除されて変速機構3とスプール6との連結が解除された連結解除状態となる。
なお、このときのクラッチ用磁石51の回転方向は、ワンウェイクラッチ23により内側ロータ32の回転が拘束される方向であるのが好ましい。これにより、クラッチ用磁石51の回転に伴って内側ロータ32(内極磁石32b)が連れ回ってしまう事態を回避できる。また、クラッチ5は、上記構成のものに限定されず、変速機構3の内側ロータ32とスプール6とを磁力により連結可能なものであればよい。例えば、連結及び連結解除時に軸方向に移動するのは、キー部材52を有するスプール軸61でなく、キー溝54が形成された内側ロータ32のシャフト32aであってもよい。
[リール装置の動作]
図5A~図5Cは、リール装置1の動作を説明するための図である。
リール装置1において、釣糸(ライン)Lを巻き取るときには、図5Aに示すように、ユーザがハンドル2を回転させると、ハンドル2と連結された変速機構3の外側ロータ31も同方向に回転する。外側ロータ31が回転すると、外極磁石31aの空間磁束波形がステータ33の磁極片33aによって変調されつつ、内側ロータ32に回転トルクが伝達される(回転は逆方向)。このとき、変速比は外極極対数/内極極対数となり、本実施形態では増速される。そして、クラッチ5を介して内側ロータ32と連結されたスプール6も内側ロータ32と同方向に回転し、増速された回転で釣糸Lが巻き取られる。
また、魚の強い引き等により釣糸Lがスプール6から強制的に引き出された場合、図5Bに示すように、ライン巻取り時とは逆方向にスプール6が回転し、スプール6と連結された内側ロータ32も同方向に回転する。内側ロータ32の回転に伴い、外側ロータ31もライン巻取り時とは逆方向に回転しようとするが、ハンドル2がワンウェイクラッチ23により回転を拘束されるため、ハンドル2と連結された外側ロータ31も回転できない。その結果、内側ロータ32が脱調して外側ロータ31から独立して回転し、ドラグが開始される。こうして、図5Cに示すように、スプール6から釣糸Lが引き出され、ドラグが行われる。
また、変速機構3では、ユーザがドラグスクリュー34を回転させると内極磁石32bが軸方向に移動する。これにより、内極磁石32bと外極磁石31a及び磁極片33aとが重なる軸方向長さ(すなわちトルク伝達面積)を変化させ、脱調トルクひいてはドラグ力(ドラグ発生時の釣糸Lの張力)を調整することができる。
なお、ドラグ力の調整の際には、内側ロータ32(内極磁石32b)でなく、外側ロータ31又はステータ33を軸方向に移動させてもよい。すなわち、変速機構3は、ステータ33、外側ロータ31及び内側ロータ32の少なくとも1つが軸方向に移動可能に構成されていればよい。ただし、少ない移動量でより大きなトルク変化を発生させる点では、ステータ33を移動させるのがより好ましい。
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、ハンドル2に入力された回転力が、変速機構3での磁気変調により変速されてスプール6に伝達される。
これにより、ハンドル2からスプール6に非接触で動力(トルク)伝達できるため、機械式(接触式)のトルク伝達機構で生じていた接触部での動力損失や、接触状態による特性の変化を抑制できる。また、これらを抑えるために従来必要であったメンテナンス量も大幅に削減できる。したがって、回転トルクを好適に伝達することができる。
また、機械式のベイトリールでは、ルアーキャスティング時などのライン放出時において、ハンドルが何らかの要因で回転してクラッチが繋がってしまう、所謂『クラッチ返り』が生じる場合がある。これは、スプールの高回転時に急にクラッチが戻り、メインギヤ(変速機構)が噛み合ってしまう現象である。この現象が発生すると、メインギヤやクラッチ、ワンウェイクラッチに衝撃負荷が加わり、変形等による動作不良、最悪の場合には動作不能に陥るおそれがある。この点、本実施形態の磁気変調方式のメインギヤ(変速機構3)は、非接触の動力伝達を行い、トルクリミット機能もあるため、クラッチ返りが発生した場合でも故障に至る可能性が少ない。
また、本実施形態によれば、ハンドル2に連結された外側ロータ31と、スプール6に連結された内側ロータ32との脱調により、ドラグすることができる。
これにより、摩擦式のドラグに比べ、ドラグ力の変化を抑制することができる。なお、一般に、ドラグ力の変動要因は、経年変化や環境依存のほか、スプール6の回転速度、釣糸Lが連続的に引き出されることによる摩擦熱等が挙げられる。また、一般に、ベイトリールは構造上ドラグの位置がスプール軸から遠く、スピニングリールよりもドラグ動作性能が落ちるとされている。つまり、スプールからメインギヤ(変速機構)を介してドラグが設けられているベイトリールは、スプール軸直下にドラグがあるスピニングリールよりもドラグ動作性能が落ちる(メインギヤやクラッチ等の外乱要因が入ることで、良好なトルクリミット機能が得られにくい)とされている。
また、本実施形態によれば、変速機構3は、ステータ33、外側ロータ31及び内側ロータ32の少なくとも1つが軸方向に移動可能に構成されている。
これにより、変速機構3でのトルク伝達面積を変化させ、脱調トルクひいてはドラグ力を調整することができる。
また、本実施形態によれば、スプール6が釣糸Lを巻き取る場合、外側ロータ31と内側ロータ32とが互いに逆方向に回転する。
これにより、ハンドルとスプールとが機械式のギヤで連結された従来のベイトリールと同様の使用感でリール装置1を用いることができる。
また、本実施形態によれば、ハンドル2、変速機構3、スプール6は、中心軸Axが一致、すなわち互いの回転中心軸が同一直線上に位置する。
これにより、機械式のギヤが介在するためにハンドルとスプールの回転中心軸が平行にズレていた従来のベイトリールと異なり、ハンドル2からスプール6に好適に回転トルクを伝えることができる。つまり、従来のベイトリールでは、ユーザによるハンドルへの回転力が、スプールの回転中心軸回りにリール自体を回すモーメントを生じさせやすかったところ、本実施形態のリール装置1ではこのようなモーメントの発生を抑制できる。したがって、ユーザはハンドル2に力を掛けやすくなり、好適に釣糸Lの巻取りを行うことができる。
[第1変形例]
図6は、上記実施形態の第1変形例に係るリール装置1Aを模式的に示す断面図である。
この図に示すように、本変形例に係るリール装置1Aは、外側ロータ31と内側ロータ32とが第2ワンウェイクラッチ35で連結されている点で、上記実施形態のリール装置1と異なる。
第2ワンウェイクラッチ35は、外側ロータ31に固定されたハンドル2のアーム22と、内側ロータ32のシャフト32aとの間に設けられている。この第2ワンウェイクラッチ35は、本発明に係るワンウェイクラッチの一例であり、スプール6が釣糸Lを巻き取る方向に内側ロータ32が回転する場合には、外側ロータ31と内側ロータ32との逆方向の回転を許容する一方、スプール6が釣糸Lを繰り出す方向に内側ロータ32が回転する場合には、外側ロータ31と内側ロータ32とを互いに拘束して同方向に回転させるように構成されている。
なお、第2ワンウェイクラッチ35は、外側ロータ31と内側ロータ32とが互いに逆方向に回転する場合には当該回転を許容し、同方向に回転する場合にはこれらを互いに拘束するものであればよい。
図7A及び図7Bは、リール装置1Aの動作を説明するための図である。
リール装置1Aにおいて、釣糸(ライン)Lを巻き取るときには、図7Aに示すように、ユーザがハンドル2を回転させると、上記実施形態と同様に、ハンドル2と逆方向にスプール6が回転して釣糸Lが巻き取られる。
このとき、外側ロータ31と内側ロータ32は互いに逆方向に回転するため、第2ワンウェイクラッチ35によって回転を拘束されることはない。
一方、釣糸Lがスプール6から強制的に引き出された場合、図7Bに示すように、ライン巻取り時とは逆方向にスプール6が回転し、スプール6と連結された内側ロータ32も同方向に回転する。そして、内側ロータ32が脱調し、ドラグが開始される。
このとき、外側ロータ31は第2ワンウェイクラッチ35によって内側ロータ32に対して拘束され、内側ロータ32と同方向に回転する。そのため、外側ロータ31と内側ロータ32に対してステータ33の位置が相対的に変位することになる。これにより、上記実施形態のように内側ロータ32だけが脱調する場合に比べ、脱調トルク(すなわちドラグ力)を大きくすることができる。
この点についてより詳しく説明する。図8Aは、ステータ33を強制回転させた場合の外側ロータ31、内側ロータ32及びステータ33のスリップトルク(脱調トルク)波形例を示す図であり、図8Bは、このときのトルクピーク値を比較した図である。
これらの図に示すように、内側ロータ32は増速されているため、そのスリップトルクは相対的に小さくなる。一方、外側ロータ31とステータ33のスリップトルクは内側ロータ32に比べて減速比分だけ大きくなり、ステータ33のスリップトルクが一番大きい。したがって、外側ロータ31と内側ロータ32を拘束して回転させることにより、等価的にステータ33のみを回転させた状態となるため、スリップトルクひいてはドラグ力が大きくなる。
また、ドラグ時は外側ロータ31と内側ロータ32が第2ワンウェイクラッチ35で拘束されているため、ドラグ時にハンドル2の回転を止めることにより釣糸Lの引き出しを停止することができる。
以上のように、第1変形例によれば、外側ロータ31と内側ロータ32を連結する第2ワンウェイクラッチ35は、スプール6が釣糸Lを繰り出す方向に内側ロータ32が回転する場合に、外側ロータ31と内側ロータ32を互いに拘束して同方向に回転させる。
これにより、内側ロータ32のみを脱調させる場合に比べて脱調トルクを大きくすることができ、ひいてはドラグ力を大きくすることができる。
[第2変形例]
図9は、上記実施形態の第2変形例に係るリール装置1Bを模式的に示す断面図である。
この図に示すように、本変形例に係るリール装置1Bは、ハンドル2と外側ロータ31とを連結する摩擦式の第2クラッチ36を備える点で、上記第1変形例のリール装置1Aと異なる。
第2クラッチ36は、ハンドル2と外側ロータ31の拘束トルクが所定値未満の場合にはこれらを一体的に回転させ、拘束トルクが所定値以上の場合にはこれらを相対回転(スリップ)させる。ただし、これはスプール6が釣糸Lを繰り出す方向への回転時に機能すればよい。
図10A~図10Cは、リール装置1Bの動作を説明するための図である。
リール装置1Bにおいて、釣糸(ライン)Lを巻き取るときには、図10Aに示すように、ユーザがハンドル2を回転させると、上記実施形態と同様に、ハンドル2と逆方向にスプール6が回転して釣糸Lが巻き取られる。
一方、釣糸Lがスプール6から強制的に引き出された場合、図10Bに示すように、ライン巻取り時とは逆方向にスプール6が回転し、スプール6と連結された内側ロータ32も同方向に回転する。そして、内側ロータ32が脱調し、ドラグが開始される。
このとき、外側ロータ31は第2ワンウェイクラッチ35によって内側ロータ32に対して拘束され、内側ロータ32と同方向に回転する。そのため、ステータ33のみが相対的に回転していることになり、脱調トルク(すなわちドラグ力)が大きくなる。
このドラグ時にユーザがハンドル2の回転を停止させると、図10Cに示すように、ラインロックとはならず、ハンドル2と外側ロータ31とが第2クラッチ36でスリップする。これにより、従来のドラグと同様に、第2クラッチ36での摩擦ドラグ力が得られる。ただし、脱調トルク以下のトルクに限られる。
以上のように、第2変形例によれば、ハンドル2と外側ロータ31は、所定のトルクでスリップする摩擦式の第2クラッチ36を介して連結されている。
これにより、従来のドラグと同様に、第2クラッチ36での摩擦ドラグ力が得られる。また、ドラグ時にハンドル2の回転を拘束してもラインロックにならない。
[第3変形例]
図11は、上記実施形態の第3変形例に係るリール装置1Cを模式的に示す断面図である。
この図に示すように、本変形例に係るリール装置1Cは、レベルワインド機構(レベルワインダー)8を備える点で、上記実施形態のリール装置1と異なる。
レベルワインド機構8は、釣糸Lを左右(軸方向)に動かしつつスプール6に巻き取ることで、釣糸Lをスプール6に均一に巻き取るものである。具体的に、レベルワインド機構8は、ウォームシャフト81、移動部材82、駆動ギヤ83を備える。
ウォームシャフト81は、中心軸Axに平行に延在した状態でスプール6の外径側に配置され、回転可能にフレーム10に支持されている。ウォームシャフト81のうちスプール6に対応する部分には、歯車81aが形成されている。また、ウォームシャフト81の反入力側の端部には、ピニオンギヤ81bが設けられている。
移動部材82は、ウォームシャフト81の歯車81aに噛合しており、ウォームシャフト81の回転に伴って軸方向に往復移動するように設けられている。移動部材82は、釣糸Lを案内するための貫通孔82aを有している。
駆動ギヤ83は、スプール軸61上に一体的に設けられ、ウォームシャフト81のピニオンギヤ81bと噛合している。
以上の構成を具備するレベルワインド機構8では、スプール6の回転に伴って、スプール6と一体的に回転する駆動ギヤ83がピニオンギヤ81bに噛合しているため、ウォームシャフト81も回転する。ウォームシャフト81が回転すると、移動部材82が軸方向に往復移動し、その貫通孔82aに挿通された釣糸Lも軸方向に移動しつつスプール6に巻き取られる(又は繰り出される)。
なお、レベルワインド機構8は、上記の構造に限定されず、従来より公知の同機構の構造を適用することができる。また、本変形例のレベルワインド機構8は、上記実施形態は勿論、他の変形例にも好適に適用できる。
また、レベルワインド機構8は、その駆動力(ウォームシャフト81の回転力)が非接触で伝達される構造であってもよい。
具体的には、図12に示すように、ピニオンギヤ81b及び駆動ギヤ83に代えて、ウォームシャフト用磁石81cを設ければよい。
ウォームシャフト用磁石81cは、ウォームシャフト81と同軸の円板状に形成されてウォームシャフト81の入力側の端部に設けられ、外側ロータ31の外極磁石31aの外径側に所定の隙間を介して対向配置されている。外側ロータ31の外極磁石31aは、反入力側の端部がウォームシャフト用磁石81cと径方向に対向しており、それ以外の部分はヨーク31bに支持されている。
ウォームシャフト用磁石81cは、極性の異なる複数のものが周方向に交互に配置された複数の磁石(図示省略)を有しており、外側ロータ31の外極磁石31aと磁気的に連結されている。そのため、外側ロータ31の回転に伴ってウォームシャフト81が回転し、移動部材82が移動する。これにより、レベルワインド機構8を機能させることができる。
なお、ウォームシャフト81は、上記構成のものに限定されず、外側ロータ31の回転に伴って磁力により回転するように構成されていればよい。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態及びその変形例では、釣り用のリール装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明に係るリール装置は釣り用に限定されず、紐状体の巻取り及び繰出しを行うリール装置全般に広く適用できる。当該リール装置の巻回対象である紐状体も釣糸に限定されず、ワイヤ等、紐状のものを広く含む。
また、本発明に係るリール装置は、電動リールにも適用可能である。
また、上記実施形態では、クラッチ5が、変速機構3とスプール6とを磁力により連結するものとしたが、当該クラッチ5は、従来の機械式(摩擦式)のクラッチであってもよい。
また、リール装置1の各部(特に各部の磁石や磁極片)には、水(特に海水)による腐食を抑制するための耐水コーティングを施してあるのが好ましい。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
産業上の利用の可能性
以上のように、本発明は、回転トルクを好適に伝達するのに有用である。
1、1A、1B、1C リール装置
2 ハンドル(回転入力部)
23 ワンウェイクラッチ
3 変速機構
31 外側ロータ(入力軸)
31a 外極磁石
32 内側ロータ(出力軸)
32b 内極磁石
33 ステータ
33a 磁極片
34 ドラグスクリュー
35 第2ワンウェイクラッチ
36 第2クラッチ
5 クラッチ
51 クラッチ用磁石
6 スプール(糸巻き部)
61 スプール軸
8 レベルワインド機構
81 ウォームシャフト(シャフト)
81c ウォームシャフト用磁石
82 移動部材
10 フレーム(筐体)
Ax 中心軸
L 釣糸(紐状体)

Claims (10)

  1. 回転力が入力される回転入力部と、
    回転可能に支持され、紐状体が巻回される糸巻き部と、
    前記回転入力部に入力された回転力を、磁気変調により変速させて前記糸巻き部に伝達可能な変速機構と、
    を備え
    前記変速機構は、
    周方向に配列された複数の磁極片と、
    前記磁極片の外径側に配置され、周方向に配列された複数の外極磁石を有する外側ロータと、
    前記磁極片の内径側に配置され、周方向に配列された複数の内極磁石を有する内側ロータと、
    を有し、
    前記変速機構は、前記複数の磁極片、前記外側ロータ及び前記内側ロータの少なくとも1つが軸方向に移動可能に構成されている、
    リール装置。
  2. 前記回転入力部、前記糸巻き部、前記変速機構は、互いの回転中心軸が同一直線上に位置する、
    請求項1に記載のリール装置。
  3. 前記変速機構の出力軸と前記糸巻き部とを磁力により連結するクラッチを備える、
    請求項1又は請求項2に記載のリール装置。
  4. 前記複数の磁極片は、前記糸巻き部を回転可能に支持する筐体に固定される、
    請求項1又は請求項2に記載のリール装置。
  5. 前記外側ロータは前記回転入力部と連結され、
    前記内側ロータは前記糸巻き部と連結される、
    請求項4に記載のリール装置。
  6. 前記変速機構は、前記糸巻き部が紐状体を巻き取る場合、前記外側ロータと前記内側ロータとが互いに逆方向に回転する、
    請求項1又は請求項2に記載のリール装置。
  7. 前記外側ロータと前記内側ロータを連結するワンウェイクラッチを備え、
    前記ワンウェイクラッチは、前記糸巻き部が紐状体を繰り出す方向に前記内側ロータが回転する場合、前記外側ロータと前記内側ロータを互いに拘束して同方向に回転させる、
    請求項1又は請求項2に記載のリール装置。
  8. 前記回転入力部と前記外側ロータは、所定のトルクでスリップする摩擦式の第2クラッチを介して連結されている、
    請求項6に記載のリール装置。
  9. 前記糸巻き部の外径側において軸方向に沿って配置されるシャフトと、前記シャフトに沿って軸方向に往復移動しつつ紐状体を案内する移動部材と、を有するレベルワインド機構を備える、
    請求項1又は請求項2に記載のリール装置。
  10. 前記変速機構は、周方向に配列された複数の外極磁石を有する外側ロータを有し、
    前記シャフトは、前記外側ロータの回転に伴って磁力により回転するように構成されている、
    請求項9に記載のリール装置。
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