しかし、上述した投射用ズームレンズ及び投射光学系をはじめ従来のズームレンズは、次のような解決すべき課題も存在した。
即ち、この種のズームレンズを装着したプロジェクタの場合、光学画像を遠方のスクリーンに拡大投射するため、使用するズームレンズには、必要な明るさを確保しつつ、必要なズーム比や画角が要求されるとともに、球面収差,コマ収差,非点収差,像面湾曲等の諸収差に対する必要な補正による良好な画質が要求される。また、ズームレンズは、プロジェクタ本体の前面から前方に突出した状態で支持されるとともに、複数のレンズ群を有するレンズ光学系及びズーミング調整部等の各種調整部を有する光学調整系を備えるため、ズームレンズ全体の小型化,軽量化及び低廉化も要請される。
一方、このように要請される各性能は、一部の性能項目を高めれば、他の性能項目が損なわれるなど、相互に相反する関係にもあるため、要請される各性能を高めることに加え、各要請項目、特に、球面収差,コマ収差,非点収差,像面湾曲等の諸収差を如何に良好にバランスさせるかは、この種のズームレンズにとって重要な課題となるが、従来、これらの課題に対して合理的に解決したズームレンズは必ずしも提供されていないのが実情である。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したズームレンズの提供を目的とするものである。
本発明は、上述した課題を解決するため、拡大側Eから縮小側Sへ順に、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6までの六つのレンズ群G1-G6を配してなるズームレンズ1を構成するに際して、拡大側Eから縮小側Sへ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1,正の屈折力を有する第2レンズ群G2,正の屈折力を有する第3レンズ群G3,正の屈折力を有するとともに、d線に対するアッベ数をνdとしたとき、νd>70〔条件式1〕を満たす正レンズを少なくとも二枚含む第4レンズ群G4,正又は負の屈折力を有する第5レンズ群G5,正の屈折力を有する第6レンズ群G6,を順次配してなるレンズ光学系100と、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6を不動とし、第2レンズ群G2乃至第5レンズ群G5を独立して光軸方向Dcへ移動させるズーミング調整部Mczを含む光学調整系200とを備えるとともに、第4レンズ群G4の各レンズを全て単レンズにより構成し、かつ凸レンズ(La…(Lc…))と凹レンズ(Lb…)を光軸方向Dcへ交互に配したことを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、第6レンズ群G6は、一枚の単レンズLzにより構成し、屈折率をndとしたとき、nd>1.7の〔条件式2〕を満たすことが望ましい。他方、光学調整系200には、第1レンズ群G1のみを光軸方向Dcへ移動させるフォーカシング調整部Mcfを設けることができる。なお、ズーム比は、1.3-1.7倍の範囲に設定することができるとともに、広角側における半画角は、25-35〔゜〕の範囲に設定することができる。
このような構成を有する本発明に係るズームレンズ1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 拡大側Eから縮小側Sへ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1,正の屈折力を有する第2レンズ群G2,正の屈折力を有する第3レンズ群G3,正の屈折力を有する第4レンズ群G4,正又は負の屈折力を有する第5レンズ群G5,正の屈折力を有する第6レンズ群G6,を順次配してなるレンズ光学系100と、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6を不動とし、第2レンズ群G2乃至第5レンズ群G5を独立して光軸方向Dcへ移動させるズーミング調整部Mczを含む光学調整系200とを備えるとともに、特に、第4レンズ群G4の各レンズを全て単レンズにより構成し、かつ凸レンズ(La…(Lc…))と凹レンズ(Lb…)を光軸方向Dcへ交互に配してなるため、必要な明るさを確保しつつ、各種諸収差及び像面湾曲に対する必要な補正により良好な画質を得、かつ全体の小型化,軽量化及び低廉化を図ることができるなど、各性能を良好かつ合理的にバランスさせることができる。
(2) 第4レンズ群G4を構成するに際し、d線に対するアッベ数をνdとしたとき、νd>70の〔条件式1〕を満たす正レンズLa…(Lc…)を少なくとも二枚含ませて構成したため、適正なアッベ数νdの範囲を確保できる。これにより、特に、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正することができる。
(3) 好適な態様により、第6レンズ群G6を構成するに際し、一枚の単レンズLzにより構成し、屈折率をndとしたとき、nd>1.7の〔条件式2〕を満たすように構成すれば、適正な屈折率ndの範囲を確保できるため、テレセントリック光学系のバランスを良好に保つことができることに加え、像面湾曲を良好に補正し、画質性能の向上に寄与できるとともに、最小枚数により構成することにより、ズームレンズ1の全長を短くし、小型化に寄与できる。
(4) 好適な態様により、光学調整系200に、第1レンズ群G1のみを光軸方向Dcへ移動させるフォーカシング調整部Mcfを設ければ、複数枚のレンズにより構成する第1レンズ群G1のみを移動させるフォーカシング調整部Mcfを構築することができるため、フォーカシング調整部Mcfのシンプル化及び小型化、更には、光軸Dc方向に比較的長くなるズームレンズ1の軽量化に寄与できる。加えて、フォーカシング調整時における第1レンズ群G1の移動ストロークを短くしてズームレンズ1の小径化、更には、非点収差,歪曲収差等の諸収差をバランス良く補正して画質性能の向上に寄与できる。
(5) 好適な態様により、ズーム比を、1.3-1.7倍の範囲に設定すれば、各性能をバランス良く確保しつつ、ズームレンズ1における必要なズーム比を確保できる。
(6) 好適な態様により、広角側の半画角を、25-35〔゜〕の範囲に設定すれば、各性能をバランス良く合理的に確保しつつ、ズームレンズ1における必要な画角を確保できるとともに、ズーム比の確保と併せ、特に、スクリーンに投射するプロジェクタ等の十分な光学性能を確保できる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態の実施例1に係るズームレンズ1のレンズ光学系100及び光学調整系200について図1-図5を参照して説明する。
なお、このズームレンズ1は、プロジェクタに用いる投射レンズ(ズームレンズ)、即ち、投射ズーム光学系に適用することを想定している。
図1中、Eはスクリーン等の拡大側を示し、Sは液晶パネル等の画像表示素子となる縮小側(縮小共役側)を示している。したがって、拡大側E(OBJ)が光軸Dc方向の前方となり、縮小側Sが光軸Dc方向の後方となる。
レンズ光学系100は、図1に示すように、拡大側Eから縮小側Sへ順に配した、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6までの六つのレンズ群G1,G2,G3,G4,G5,G6を備えるとともに、第6レンズ群G6に対する縮小側Sには、模式図で示したプリズムPrを備える。
第1レンズ群G1は、全体で負の屈折力を有し、拡大側Eから順に、拡大側Eに凸面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズL1,拡大側Eに凸面を有する負メニスカスレンズを用いた負レンズL2,L3,L4,両凹レンズを用いた負レンズL5,を配して構成する。各レンズL1,L2,L3,L4,L5はいずれも単レンズである。このように、第1レンズ群G1は、五枚のレンズにより構成されるとともに、図2に示すように、第1レンズ群G1のみを光軸方向Dcへ移動させる光学調整系200におけるフォーカシング調整部Mcfを構築することができるため、フォーカシング調整部Mcfのシンプル化及び小型化、更には、光軸Dc方向に比較的長くなるズームレンズ1の軽量化に寄与できる。加えて、フォーカシング調整時における第1レンズ群G1の移動ストロークを短くしてズームレンズ1の小径化、更には、非点収差,歪曲収差等の諸収差をバランス良く補正して画質性能の向上に寄与できる。
第2レンズ群G2は、全体で正の屈折力を有し、拡大側Eから順に、第一接合レンズJ1,第二接合レンズL2を配して構成する。この場合、第一接合レンズJ1は、拡大側Eから順に、拡大側Eに凹面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズL6と拡大側Eに凹面を有する負メニスカスレンズを用いた負レンズL7のバルサムレンズにより構成するとともに、第二接合レンズJ2は、拡大側Eから順に、両凹レンズL8と両凸レンズL9のバルサムレンズにより構成する。
第3レンズ群G3は、正の屈折力を有する単レンズ、即ち、一枚の両凸レンズを用いた正レンズL10により構成する。
一方、第4レンズ群G4は、全体で正の屈折力を有し、基本的な構成として、各レンズを全て単レンズにより構成するとともに、凸レンズ(La,Lc,Le)と凹レンズ(Lb,Ld)を光軸方向Dcへ交互に配して構成する。具体的には、拡大側Eから順に、両凸レンズを用いた正レンズLa,両凹レンズを用いた負レンズLb,両凸レンズを用いた正レンズLc,拡大側Eに凹面を有する負メニスカスレンズを用いた負レンズLd,拡大側Eに凹面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズLeを備える。
また、第4レンズ群G4を構成するに際しては、三枚の正レンズLa,Lc,Leの光学条件、即ち、d線に対するアッベ数をνdとしたとき、次の〔条件式1〕を満たすように構成する。
νd>70 … 〔条件式1〕
このように、第4レンズ群G4を構成するに際し、〔条件式1〕を満たす正レンズLa,Lc,Leを少なくとも二枚(実施例1は三枚)含ませて構成すれば、適正なアッベ数νdの範囲を確保できるため、特に、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正することができる利点がある。
第5レンズ群G5は、全体で正又は負の屈折力を有し、実施例1は、拡大側Eから順に、拡大側Eに凹面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズL11,両凹レンズL12と両凸レンズL13のバルサムレンズを用いた第三接合レンズJ3,両凸レンズを用いた正レンズL14を配して構成する。
第6レンズ群G6は、正の屈折力を有する単レンズ、即ち、一枚の両凸レンズを用いた単レンズ(正レンズ)Lzにより構成する。また、第6レンズ群G6を構成するに際し、屈折率をndとしたとき、次の〔条件式2〕を満たすように構成する。
nd>1.7 … 〔条件式2〕
このように、第6レンズ群G6を、〔条件式2〕を満たすように構成すれば、適正な屈折率ndの範囲を確保できるため、テレセントリック光学系のバランスを良好に保つことができることに加え、像面湾曲を良好に補正し、画質性能の向上に寄与できるとともに、最小枚数により構成することにより、ズームレンズ1の全長を短くし、小型化に寄与できる。
他方、ズームレンズ1は、図2に原理構成図で示すズーミング調整部Mcz、及び前述したフォーカシング調整部Mcfを含む光学調整系200を備える。
この場合、ズーミング調整部Mczは、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6を不動とし、第2レンズ群G2乃至第5レンズ群G5、即ち、第2レンズ群G2,第3レンズ群G3,第4レンズ群G4,第5レンズ群G5をそれぞれ独立して光軸Dc方向へ移動させる機能を備える。また、フォーカシング調整部Mcfは、五枚のレンズL1-L5により構成される第1レンズ群G1のみを光軸方向Dcへ移動させる機能を備える。
[表1]は実施例1に係るズームレンズ1のレンズデータ(面データ)を示す。
[表1]の面データは、拡大側Eから数えたレンズ面の面番号をiで示し、この面番号iは、図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径R(i)、軸上面間隔D(i)、レンズの屈折率nd(i)、レンズのアッベ数νd(i)をそれぞれ示す。nd(i)及びνd(i)はd線(587.56〔nm〕)に対する数値である。軸上面間隔D(i)は相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。なお、曲率半径R(i)と面間隔D(i)の単位は〔mm〕である。曲率半径R(i)のINFINITYは平面である。屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)の空欄は空気であることを示す。
図18に、実施例1を含む各実施例に係るズームレンズ1の(a)レンズ条件,(b)光学特性,(c)Fナンバーを示す。実施例1において、(a)レンズ条件は、「G4」(第4レンズ群)の正レンズ「La」のアッベ数νdは「70.4362」、正レンズ「Lc」のアッベ数νdは「81.6087」、正レンズ「Le」のアッベ数νdは「70.4362」であり、いずれのレンズLa,Lc,Leも「νd>70」の〔条件式1〕を満たす。「G6」(第6レンズ群)」の屈折率ndは「1.80610」であり、「nd>1.7」の〔条件式2〕を満たす。
また、実施例1の(b)光学特性において、ズーム比は「1.559」倍を得ている。このように、ズームレンズ1のズーム比を、1.3-1.7倍の範囲に設定すれば、各性能をバランス良く確保しつつ、ズームレンズ1における必要なズーム比を確保できる。WIDE(広角側)の半画角は、「31.8」〔゜〕を得ている。このように、ズームレンズ1の半画角を、25-35〔゜〕の範囲に設定すれば、各性能をバランス良く合理的に確保しつつ、ズームレンズ1における必要な画角を確保できるとともに、ズーム比の確保と併せ、特に、スクリーンに投射するプロジェクタ等の十分な光学性能を確保できる。
さらに、実施例1の(c)Fナンバーにおいて、広角側(WIDE)のFNoは「1.765、望遠側(TELE)のFNoは「2.16」であり、十分な明るさを確保できる。なお、(b)に示すように、広角側(WIDE)の全系焦点距離fwは「29.91」〔mm〕であり、望遠側(TELE)の全系焦点距離ftは「46.63」〔mm〕である。
図1及び図2は、実施例1に係るズームレンズ1をWIDE側に調整した際における各レンズL1…の光軸Dc方向の位置を示すとともに、図3は、TELE側に調整した際における各レンズL1…の光軸Dc方向の位置を示す。
図4及び図5は、実施例1に係るズームレンズ1の基準距離OBJ(E)=2932mmにおける縦収差図を示す。図4はWIDE側、図5はTELE側を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(610nm,550nm,460nm),非点収差(550nm),歪曲収差(550nm)を示す。各スケール目盛(1目盛)は、±0.10mm,±0.10mm,±1.0%である。
実施例1に係るズームレンズ1は、図4及び図5に示すように、いずれの縦収差も、大きな乱れがなく良好な収差特性、即ち、投射性能(光学性能)が得られていることを確認できる。
このように、本実施形態(実施例1)に係るズームレンズ1は、基本的な構成として、拡大側Eから縮小側Sへ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1,正の屈折力を有する第2レンズ群G2,正の屈折力を有する第3レンズ群G3,正の屈折力を有する第4レンズ群G4,正又は負の屈折力を有する第5レンズ群G5,正の屈折力を有する第6レンズ群G6,を順次配してなるレンズ光学系100と、第1レンズ群G1と第6レンズ群G6を不動とし、第2レンズ群G2乃至第5レンズ群G5を独立して光軸方向Dcへ移動させるズーミング調整部Mczを含む光学調整系200とを備えるとともに、特に、第4レンズ群G4の各レンズを全て単レンズにより構成し、かつ凸レンズ(La,Lc,Le)と凹レンズ(Lb,Ld)を光軸方向Dcへ交互に配してなるため、必要な明るさを確保しつつ、各種諸収差及び像面湾曲に対する必要な補正により良好な画質を得、かつ全体の小型化,軽量化及び低廉化を図ることができるなど、各性能を良好かつ合理的にバランスさせることができるズームレンズ1を提供できる。特に、ズームレンズ1における必要な画角を確保できるとともに、ズーム比の確保と併せ、スクリーンに投射するプロジェクタ等の十分な光学性能を確保することができる。
次に、本実施形態の実施例2に係るズームレンズ1のレンズ光学系100について図6-図9を参照して説明する。
レンズ光学系100は、図6に示すように、拡大側Eから縮小側Sへ順に配した、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6までの六つのレンズ群G1,G2,G3,G4,G5,G6を備えるとともに、第6レンズ群G6に対する縮小側Sには、模式図で示したプリズムPrを備える。
実施例2の第1レンズ群G1は実施例1と同じである。また、実施例2における第2レンズ群G2,第3レンズ群G3,第5レンズ群G5及び第6レンズ群G6は、細部のレンズ特性が異なる点を除いて、基本的なレンズ構成は実施例1と同じとなる。
一方、第4レンズ群G4は、基本的な構成として、各レンズを全て単レンズにより構成するとともに、凸レンズ(La,Lc,Le)と凹レンズ(Lb,Ld)を光軸方向Dcへ交互に配して構成する点は実施例1と同じになるが、次の点が異なる。即ち、実施例1は、正レンズLeを拡大側Eに凹面を有する正メニスカスレンズを用いて構成したが、実施例2は、正レンズLeを両凸レンズを用いて構成した点が異なるとともに、二枚の正レンズLc,Leのみの光学条件を「νd>70」〔条件式1〕を満たすように構成した。なお、ズーミング調整部Mcz及びフォーカシング調整部Mcfを含む光学調整系200も実施例1と同じになる。
[表2]は実施例2に係るズームレンズ1のレンズデータ(面データ)を示す。
図18に示す実施例2において、(a)レンズ条件は、「G4」(第4レンズ群)の正レンズ「Lc」のアッベ数νdは「81.6087」、正レンズ「Le」のアッベ数νdは「70.2334」であり、二枚のレンズLc,Leはいずれも「νd>70」の〔条件式1〕を満たす。「G6」(第6レンズ群)」の屈折率ndは「1.80610」であり、「nd>1.7」の〔条件式2〕を満たしている。
また、実施例2の(b)光学特性において、ズーム比は「1.558」倍を得ている。WIDE(広角側)の半画角は、「31.9」〔゜〕を得ている。さらに、実施例2の(c)Fナンバーにおいて、広角側(WIDE)のFNoは「1.74」、望遠側(TELE)のFNoは「2.16」である。なお、(b)光学特性において、広角側(WIDE)の全系焦点距離fwは「30.01」〔mm〕であり、望遠側(TELE)の全系焦点距離ftは「46.76」〔mm〕である。
図6は、実施例2に係るズームレンズ1をWIDE側に調整した際における各レンズL1…の光軸Dc方向の位置を示すとともに、図7は、TELE側に調整した際における各レンズL1…の光軸Dc方向の位置を示す。図8及び図9は、実施例2に係るズームレンズ1の基準距離OBJ(E)=2932mmにおける縦収差図を示す。図8はWIDE側、図9はTELE側を示す。実施例2に係るズームレンズ1は、図8及び図9に示すように、いずれの縦収差も、大きな乱れがなく良好な収差特性、即ち、投射性能(光学性能)が得られていることを確認できる。
このように、実施例2に係るズームレンズ1も、本発明に係るズームレンズ1の基本的な構成を備えている。特に、第4レンズ群G4の各レンズを全て単レンズにより構成し、かつ凸レンズ(La,Lc,Le)と凹レンズ(Lb,Ld)を光軸方向Dcへ交互に配するとともに、〔条件式1〕を満たす少なくとも二枚の正レンズLc,Leを含むようにしたため、実施例1と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施形態の実施例3に係るズームレンズ1のレンズ光学系100の構成について図10-図13を参照して説明する。
レンズ光学系100は、図10に示すように、拡大側Eから縮小側Sへ順に配した、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6までの六つのレンズ群G1,G2,G3,G4,G5,G6を備えるとともに、第6レンズ群G6に対する縮小側Sには、模式図で示したプリズムPrを備える。
実施例3における第1レンズ群G1,第2レンズ群G2及び第6レンズ群G6は、細部のレンズ特性が異なる点を除いて、基本的なレンズ構成は実施例1と同じとなる。
一方、第3レンズ群G3は、全体として正の屈折力を有し、図10に示すように、拡大側Eから順に、拡大側Eに凸面を有する平凸レンズを用いた正レンズL101,拡大側Eに凸面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズL102,拡大側Eに凸面を有する負メニスカスレンズを用いた負レンズL103の三枚の単レンズにより構成する。
また、第4レンズ群G4は、全体で正の屈折力を有し、基本的な構成として、各レンズを全て単レンズにより構成するとともに、凸レンズ(La,Lc)と凹レンズ(Lb)を光軸方向Dcへ交互に配して構成する。具体的には、拡大側Eから順に、縮小側Sに凸面を有する平凸レンズを用いた正レンズLa,縮小側Sに凸面を有する負メニスカスレンズを用いた負レンズLb,両凸レンズを用いた正レンズLcの三枚の単レンズを備える。そして、第4レンズ群G4を構成するに際しては、二枚の正レンズLa,Lcのみの光学条件を「νd>70」〔条件式1〕を満たすように構成した。
さらに、第5レンズ群G5は、全体で正又は負の屈折力を有し、実施例3は、拡大側Eから順に、拡大側Eに凹面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズL11,両凹レンズL12と拡大側Eに凸面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズL13のバルサムレンズを用いた第三接合レンズJ3,両凸レンズを用いた正レンズL14を配して構成する。なお、ズーミング調整部Mcz及びフォーカシング調整部Mcfを含む光学調整系200は実施例1と同じになる。
[表3]は実施例3に係るズームレンズ1のレンズデータ(面データ)を示す。
図18に示す実施例3において、(a)レンズ条件は、「G4」(第4レンズ群)の正レンズ「La」のアッベ数νdは「81.6087」、正レンズ「Lc」のアッベ数νdは「81.6087」であり、二枚のレンズLa,Lcはいずれも「νd>70」の〔条件式1〕を満たす。「G6」(第6レンズ群)」の屈折率ndは「1.72916」であり、「nd>1.7」の〔条件式2〕を満たしている。
また、実施例3の(b)光学特性において、ズーム比は「1.591」倍を得ている。WIDE(広角側)の半画角は、「34.4」〔゜〕を得ている。さらに、実施例3の(c)Fナンバーにおいて、広角側(WIDE)のFNoは「1.80」、望遠側(TELE)のFNoは「2.25」である。なお、(b)光学特性において、広角側(WIDE)の全系焦点距離fwは「27.69」〔mm〕であり、望遠側(TELE)の全系焦点距離ftは「44.06」〔mm〕である。
図10は、実施例3に係るズームレンズ1をWIDE側に調整した際における各レンズL1…の光軸Dc方向の位置を示すとともに、図11は、TELE側に調整した際における各レンズL…の光軸Dc方向の位置を示す。図12及び図13は、実施例3に係るズームレンズ1の基準距離OBJ(E)=2700mmにおける縦収差図を示す。図12はWIDE側、図13はTELE側を示す。実施例3に係るズームレンズ1は、図12及び図13に示すように、いずれの縦収差も、大きな乱れがなく良好な収差特性、即ち、投射性能(光学性能)が得られていることを確認できる。
このように、実施例3に係るズームレンズ1も、本発明に係るズームレンズ1の基本的な構成を備えている。特に、第4レンズ群G4の各レンズを全て単レンズにより構成し、かつ凸レンズ(La,Lc)と凹レンズ(Lb)を光軸方向Dcへ交互に配するとともに、〔条件式1〕を満たす少なくとも二枚の正レンズLa,Lcを含むようにしたため、実施例1と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施形態の実施例4に係るズームレンズ1のレンズ光学系100の構成について図14-図17を参照して説明する。
レンズ光学系100は、図14に示すように、拡大側Eから縮小側Sへ順に配した、第1レンズ群G1から第6レンズ群G6までの六つのレンズ群G1,G2,G3,G4,G5,G6を備えるとともに、第6レンズ群G6に対する縮小側Sには、模式図で示したプリズムPrを備える。
実施例4における第1レンズ群G1は、全体で負の屈折力を有し、拡大側Eから順に、拡大側Eに凸面を有する正メニスカスレンズを用いた正レンズL1,拡大側Eに凸面を有する負メニスカスレンズを用いた負レンズL2,L3,両凹レンズを用いた負レンズL4,を配して構成する。各レンズL1,L2,L3,L4はいずれも単レンズである。このように、第1レンズ群G1は、四枚のレンズにより構成する点が、五枚のレンズを用いた実施例1の構成と異なるが、第1レンズ群G1のみを光軸方向Dcへ移動させる光学調整系200におけるフォーカシング調整部Mcfを構築するなど、基本的な機能は、実施例1と同じである。
第2レンズ群G2,第3レンズ群G3,第5レンズ群G5及び第6レンズ群G6は、細部のレンズ特性が異なる点を除いて、基本的なレンズ構成は実施例1と同じとなる。
一方、第4レンズ群G4は、全体で正の屈折力を有し、基本的な構成として、四枚の単レンズにより構成するとともに、拡大側Eから順に、両凹レンズを用いた負レンズLb,両凸レンズを用いた正レンズLc,縮小側Sに凸面を有する負メニスカスレンズを用いた負レンズLd,両凸レンズを用いた正レンズLeを備える。したがって、凹レンズ(Lb,Ld)と凸レンズ(Lc,Le)を光軸方向Dcへ交互に配する点は、本実施形態の基本構成と同じである。
[表4]は実施例4に係るズームレンズ1のレンズデータ(面データ)を示す。
図18に示す実施例4において、(a)レンズ条件は、「G4」(第4レンズ群)の正レンズ「Lc」のアッベ数νdは「81.6087」、正レンズ「Le」のアッベ数νdは「81.6087」であり、二枚のレンズLc,Leはいずれも「νd>70」の〔条件式1〕を満たす。「G6」(第6レンズ群)」の屈折率ndは「1.80420」であり、「nd>1.7」の〔条件式2〕を満たしている。
また、実施例4の(b)光学特性において、ズーム比は「1.557」倍を得ている。WIDE(広角側)の半画角は、「32.0」〔゜〕を得ている。さらに、実施例4の(c)Fナンバーにおいて、広角側(WIDE)のFNoは「1.85」、望遠側(TELE)のFNoは「2.32」である。なお、(b)光学特性において、広角側(WIDE)の全系焦点距離fwは「23.93」〔mm〕であり、望遠側(TELE)の全系焦点距離ftは「37.25」〔mm〕である。
図14は、実施例4に係るズームレンズ1をWIDE側に調整した際における各レンズL1…の光軸Dc方向の位置を示すとともに、図15は、TELE側に調整した際における各レンズL…の光軸Dc方向の位置を示す。図16及び図17は、実施例4に係るズームレンズ1の基準距離OBJ(E)=2938mmにおける縦収差図を示す。図16はWIDE側、図17はTELE側を示す。実施例4に係るズームレンズ1は、図16及び図17に示すように、いずれの縦収差も、大きな乱れがなく良好な収差特性、即ち、投射性能(光学性能)が得られていることを確認できる。
このように、実施例4に係るズームレンズ1も、本発明に係るズームレンズ1の基本的な構成を備えている。特に、第4レンズ群G4の各レンズを全て単レンズにより構成し、かつ凹レンズ(Lb,Ld)と凸レンズ(Lc,Le)を光軸方向Dcへ交互に配するとともに、〔条件式1〕を満たす少なくとも二枚の正レンズLc,Leを含むようにしたため、実施例1と同様の効果を得ることができる。
以上、実施例1-4を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、レンズ光学系100は、六つのレンズ群G1-G6を配して構成したが、追加のレンズ群を加えて七つ以上のレンズ群G1…を構成する場合を排除するものではない。また、第1レンズ群G1をはじめ、各レンズ群G1-G5におけるレンズ枚数は、実施形態(実施例)で示したレンズ枚数に限定されるものではなく、必要な任意の枚数により実施可能である。また、第4レンズ群G4を構成するに際し、第4レンズ群G4の先頭(拡大側)に配するレンズは、凸レンズLa…であってもよいし、凹レンズLb…であってもよい。一方、〔条件式2〕(nd>1.7)を満たすことが望ましいが、必須の構成要素となるものではない。さらに、ズーム比を、1.3-1.7倍の範囲に設定し、広角側の半画角を、25-35〔゜〕の範囲に設定することが望ましいが、これらの数値に限定されるものではない。