JP7842494B1 - 蒸留酒の製造方法、蒸留酒への香り付け方法および蒸留酒 - Google Patents

蒸留酒の製造方法、蒸留酒への香り付け方法および蒸留酒

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【課題】風味に深みと個性を与えた新たなタイプの蒸留酒が得られる蒸留酒の製造方法、蒸留酒への香り付け方法および蒸留酒を提供する。【解決手段】蒸留酒の製造方法は、穀類、サトウキビまたは果実を主原料とする蒸留酒の製造方法であって、蒸留して得られた蒸留液を熟成させる熟成工程よりも前に、煙による香り付けを行う香り付け工程を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、蒸留酒の製造方法、蒸留酒への香り付け方法および蒸留酒に関する。
特許文献1には、蒸留酒の製造方法の一例が記載されている。特許文献1に記載の蒸留酒の製造方法は、糖化工程と、発酵工程と、蒸留工程とを備える。特許文献1に記載の製造方法は、糖化工程において、澱粉質材料の仕込糖化と、麦芽の仕込糖化とを別々に行うことで、香り高いウイスキーを製造しようとするものである。
特開平07-298868
ところで、蒸留酒の香りの個性は、主に、原料や酵母の種類、樽の材質、熟成期間などによって決まる。個性を有する蒸留酒にするために、人工的に香り成分を付加することは、一般的には行われていない。しかし、従来の香り付けの方法では得られない、風味に深みと個性がある新たなタイプの蒸留酒が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、風味に深みと個性を与えた新たなタイプの蒸留酒が得られる蒸留酒の製造方法、ウイスキーへの香り付け方法およびウイスキーを提供することを目的とする。
本発明に係る一態様の蒸留酒の製造方法は、穀類、サトウキビまたは果実を主原料とする蒸留酒の製造方法であって、蒸留して得られた蒸留液を熟成させる熟成工程よりも前に、煙による香り付けを行う香り付け工程を備える。
本発明に係る一態様の蒸留酒への香り付け方法は、穀類、サトウキビまたは果実を主原料とする蒸留酒の製造方法であって、蒸留して得られた蒸留液を熟成させる熟成工程よりも前に、煙による香り付けを行う。
本発明に係る一態様の蒸留酒は、穀類、サトウキビまたは果実を主原料として製造された蒸留酒であって、煙により香り付けがされている。
本発明に係る上記態様の蒸留酒の製造方法、蒸留酒への香り付け方法および蒸留酒は、風味に深みと個性を与えた新たなタイプの蒸留酒を提供できる、という利点がある。
本発明の一実施の形態に係る蒸留酒の製造方法のフローチャートである。 実施の形態に係る蒸留酒の製造方法に用いられる糖化槽の概略断面図である。 変形例に係る蒸留酒の製造方法のフローチャートである。
以下、本実施の形態に係る蒸留酒の製造方法について、詳細に説明する。
本実施の形態に係る蒸留酒の製造方法は、穀類を主原料とするウイスキーを製造する方法である。蒸留酒の製造方法は、図1に示すように、準備工程S1と、糖化工程S2と、香り付け工程S3と、発酵工程S4と、蒸留工程S5と、を備える。蒸留酒の製造方法は、蒸留工程の後に行われる熟成工程よりも前に、煙による香り付けを行う香り付け工程を更に備える。本実施の形態では、蒸留酒の製造方法においては、香り付け工程S3を、糖化工程S2と一緒に実行すると共に、発酵工程S4と一緒に実行する一例を挙げて説明する。ただし、以下の実施の形態は一例に過ぎず、例えば、香り付け工程S3を、糖化工程S2中においてのみ実行してもよいし、発酵工程S4中または発酵工程S4終了後においてのみ実行してもよい。また、香り付け工程S3は、蒸留工程により得られた蒸留液に対して、香り付けを行ってもよい。熟成工程は、発酵工程で得られた蒸留酒をタンクに貯蔵し、長期間熟成させる工程である。
〔準備工程S1〕
準備工程S1は、ウイスキー製造方法の原料の準備を行う工程である。準備工程S1では、主原料である穀類と、水とを準備する。穀類としては、大麦、とうもろこし、小麦、ライ麦、米、キヌア、そば、キビ、ダイズからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。準備工程S1で準備される穀類は、製造しようとするウイスキーに応じて選択される。例えば、モルトウイスキーを製造する場合、大麦が選択される。コーンウイスキーを製造する場合、とうもろこしが選択される。グレーンウイスキーを製造する場合、麦、ライ麦、とうもろこしが選択される。ホイートウイスキーを製造する場合、小麦が選択される。
準備工程S1は、穀類を粉砕(ミリング)する工程を含む。粉砕は乾式粉砕であってもよいし、湿式粉砕であってもよい。穀類を粉砕することで、デンプンの露出を促進することができる。穀類の粉砕は、例えば、粉砕機によって行われる。本開示では、粉砕した状態の穀類を、「粉砕穀類」という場合がある。
〔糖化工程S2〕
糖化工程S2は、粉砕穀類を加温しながら撹拌することで、糖化液を生成する工程である。糖化工程S2では、容器2を有する糖化槽1が用いられる。糖化工程S2は、糖化ステップS21と、ろ過ステップS22と、スパージングステップS23と、を含む。
(糖化ステップS21)
糖化ステップS21では、糖化槽1に対して、粉砕穀類と湯とを入れ、撹拌することで、マッシュを生成する。湯は、例えば、40℃以上75℃以下であってよく、50℃以上73℃以下であってよく、60℃以上70℃以下であってよい。40℃以上75℃以下の湯を糖化槽1に入れることにより、粉砕穀類を糖化に適切な温度(65℃以上68℃以下程度)に加温できる。粉砕穀物と湯とを入れ撹拌することにより、糖化槽1内において、アミラーゼを含む酵素が、穀類のデンプンを分解して、糖を生成することができる。ここでいう糖は、後の発酵工程S4で発酵可能な糖を意味する。糖化ステップS21によって、マッシュが生成される。
(糖化槽1)
ここで、図2には、糖化槽1の一例の概略断面図を示す。図2を参照して、糖化槽1は、容器2と、容器2の温度を保つジャケット3と、撹拌装置4と、スパージングパイプ5と、を有する。また、糖化槽1は、容器2内に収容された内容物(例えば、粉砕穀類、またはマッシュ)の温度を測定する温度計6と、容器2内の圧力を測定する圧力計とを備えてもよい。
本実施の形態に係る容器2は、有底円筒状に形成されている。容器2の内部には、内容物を撹拌するための処理空間21と、撹拌後にろ過された糖化液が通る流通空間22と、が規定されている。処理空間21と流通空間22との間は、フィルタ23で区画されている。容器2は、気密性を有する容器であってもよい。
容器2は、液状の内容物を排出する吐出口24を有する。吐出口24は、流通空間22に通じている。吐出口24は、容器2の底部に形成されている。また、容器2は、処理空間21に通じる注入口25および排出口26を有する。注入口25は、煙を生成する供給源につながる煙供給路に接続されている。排出口26は、煙排出路に接続されている。注入口25から処理空間21に煙が供給され、処理空間21に充填された煙が排出口26から排出されることで、煙を内容物に晒すことができる。
ジャケット3は、容器2の周囲を取り囲む。ジャケット3は、断熱性を有する。本実施の形態に係るジャケット3は、ジャケット3内に蒸気が供給されることで、容器2の加温および保温を行うスチームジャケットである。糖化槽1がスチームジャケット3を有することにより、保温性が高い糖化槽1にすることができる。この結果、糖化ステップS21における所望の温度を保ちやすい。
撹拌装置4は、容器2の内容物を撹拌する。撹拌装置4は、駆動装置41と、シャフト42と、シャフト42に固定された支持アーム43と、支持アーム43に固定された複数のブレード44とを有する。駆動装置41は、シャフト42を駆動する。駆動装置41は、例えばモータである。シャフト42の中心軸は、鉛直方向に平行である。シャフト42は、中心軸を回転軸として回転する。シャフト42は、平面視において、容器2の中心に配置される。支持アーム43は、シャフト42に直交する方向に放射状に延びている。複数のブレード44は、各々の支持アーム43の長手方向において、間隔をあけて固定されている。撹拌装置4は、レーキ型の撹拌装置である。
駆動装置41が作動すると、シャフト42が回転し、ブレード44がシャフト42を中心に回転する。これによって、処理空間21内の内容物が対流混合され、内容物を十分に撹拌することができる。撹拌装置4は、レーキ型の撹拌装置に限らず、例えば、プラウミキサー、リボンミキサー、V型ミキサー、コーン型ミキサー等であってもよい。
スパージングパイプ5は、スパージングステップS23において、スパージングを行うためのパイプである。スパージングパイプ5から、湯が供給される。スパージングパイプ5は、処理空間21における上部に配置されている。スパージングパイプ5は、平面視リング状に形成されている。スパージングパイプ5には、周方向に沿って一定の間隔をあけて、注水口が形成されている。
(ろ過ステップS22)
ろ過ステップS22は、マッシュをろ過することで、糖化液を生成する。ろ過ステップS22では、撹拌装置4によって撹拌することで生成されたマッシュをフィルタ23に通すことで、液状のウォート(糖化液)と、固形状のドラフに分離できる。ドラフは、処理空間21に残る。糖化液は、フィルタ23を通過し、流通空間22を通って、吐出口24から排出される。これにより、糖化液を生成できる。ろ過ステップS22では、吐出口24から排出された糖化液を、再び、別のフィルタに通してもよい。これによって、純度の高い糖化液を生成できる。
(スパージングステップS23)
スパージングステップS23は、ドラフに対して湯を供給することで、スパージングを行う。スパージングは、スパージングパイプ5の注水口から、例えば、40℃以上75℃以下の湯を供給することにより行うことができる。スパージングステップS23を実行することにより、ドラフに含まれた糖分を抽出でき、糖化液に含まれる糖分を増加することができる。
スパージングステップS23により得られた抽出液は、ろ過ステップS22により得られた糖化液と混合されて、発酵工程S4に移される。なお、スパージングステップS23を行わなくてもよい。
〔発酵工程S4〕
発酵工程S4は、糖化工程S2の後、糖化工程S2によって生成された糖化液に対し、酵母を添加して発酵させることで発酵液(もろみ)を生成する工程である。発酵工程S4は、発酵槽で実行される。発酵槽は、例えば、ステンレス製または木製の容器2が用いられる。発酵工程S4で用いられる容器2は、外気の流入を抑制できればよく、気密性までは必要ではない。
発酵工程S4では、発酵槽に糖化液を入れ、常温(例えば、20℃から25℃程度)に冷却したうえで、酵母を添加して、発酵させる。発酵期間は、例えば、1日から5日とすることができる。発酵期間は、所望の風味または酵母の種類等に応じて、適宜決定される。酵母としては、例えば、ウイスキー酵母が挙げられる。
〔蒸留工程S5〕
蒸留工程S5は、発酵工程S4の後、発酵工程S4で生成された発酵液を蒸留して、蒸留液を生成する工程である。本実施の形態では、蒸留工程S5によって蒸留液としてのニューポットが生成される。蒸留工程S5では、発酵液を蒸留器に入れ、蒸留することにより、ニューポットを得ることができる。蒸留器としては、単式蒸留器であってもよいし、連続式蒸留器であってもよい。
〔香り付け工程S3〕
香り付け工程S3は、容器2に煙を注入し、容器2内の内容物に対して香りを付ける工程である。香り付け工程S3は、少なくとも、蒸留工程S5よりも前において、1回または複数回実行される。本実施の形態に係る香り付け工程S3は、糖化工程S2中に実行される第1の香り付けステップS31および第2の香り付けステップS32と、発酵工程S4中に実行される第3の香り付けステップS33と、を含む。
(第1の香り付けステップS31)
第1の香り付けステップS31は、糖化槽1において、糖化ステップS21中に実行される。第1の香り付けステップS31によって、糖化槽1におけるマッシュに対して香り付けを行うことができる。第1の香り付けステップS31によって香り付けされたマッシュから、ろ過ステップS22を経て、香り付けされた糖化液を得ることができる。
第1の香り付けステップS31は、糖化槽1における容器2にマッシュが入っている際に、注入口25から煙を供給しながら、撹拌を行うことで、香り付けを行うことができる。糖化工程S2の糖化ステップS21において、容器2内に煙を充填しながら、マッシュを撹拌することにより、効果的に香り付けを行うことができる。容器2において、煙に晒す所定時間としては、5分以上60分以下であってよく、10分以上50分以下であってよい。
第1の香り付けステップS31で用いられる煙としては、例えば、ピート、ウッドチップ、藁、ドライボタニカルおよびスパイスから選択される少なくとも1種の煙材を燃焼して得ることができる。煙材としては、ピート、ウッドチップ、藁、ドライボタニカルおよびスパイスのうちのいずれか1つであってもよいし、これらを混合した複合材であってもよい。
ウッドチップとしては、例えば、オークチップ(アメリカンオーク、ヨーロピアンオーク、ジャパニーズオーク〔ミズナラ〕)、桜チップ、ヒッコリー、メープル(楓)、チェリー(さくらんぼ)、りんご、くるみ、ナラ、ブナ、ウイスキーオーク、チェスナット(栗)、ビーチ(西洋ブナ)、ペカン、アカシア、オリーブ、スギ(シダー)、ユーカリなどが挙げられる。
ドライボタニカルとしては、例えば、草、果皮、ハーブ、花、樹脂、種子が挙げられる。草としては、例えば、レモングラス、ホップが挙げられる。果皮としては、レモンピール、ライムピール、オレンジピール、ベルガモットピールが挙げられる。ハーブとしては、ジュニパーベリー、タイム、ローズマリー、セージ、バジル、ミントが挙げられる。花としては、ラベンダー、カモミール、ローズペタル(バラの花びら)が挙げられる。樹脂としては、フランキンセンス(乳香)、ミルラ(没薬)が挙げられる。種子としては、アニスシード、コリアンダーシード、フェンネルシードが挙げられる。
スパイスとしては、例えば、シナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグ、ジンジャー、オールスパイス、ペッパー、スターアニス、サフランが挙げられる。
第1の香り付けステップS31では、容器に、香り付けの対象液(ここではマッシュ)を収容した状態において、容器2内に煙を注入する。容器2内は大気圧である。ただし、容器2内は、大気圧以上に加圧されてもよい。
(第2の香り付けステップS32)
第2の香り付けステップS32は、糖化槽1において、スパージングステップS23中に実行される。第2の香り付けステップS32によって、香り付けの対象液である、糖化槽1におけるドラフとスパージングパイプ5から供給された水と、の両方に対して香り付けを行うことができる。第2の香り付けステップS32は、糖化槽1におけるスパージングステップS23の際に、注入口25から煙を供給しながら、撹拌を行うことで、香り付けを行うことができる。第2の香り付けステップS32によって香り付けされたドラフおよび水を、ろ過することにより、香り付けされた抽出液を得ることができる。
第2の香り付けステップS32において、容器2内で煙に晒す所定時間としては、5分以上60分以下であってよく、10分以上50分以下であってよい。
第2の香り付けステップS32で用いられる煙としては、第1の香り付けステップS31と同様の煙材を用いることができる。第2の香り付けステップS32で用いられる煙材は、第1の香り付けステップS31で用いられる煙材と同じであってよい。
(第3の香り付けステップS33)
第3の香り付けステップS33は、発酵槽において、発酵工程S4中または発酵工程S4終了後に実行される。第3の香り付けステップS33によって、香り付けの対象液である、発酵槽で発酵中の発酵液または発酵完了後の発酵液を、煙に晒すことで、香り付けを行うことができる。具体的には、発酵液が入った容器2に煙を充填し、長期間放置することにより香り付けを行う。
第3の香り付けステップS33において、容器2内で煙に晒す所定時間としては、5分以上60分以下であってよく、10分以上50分以下であってよい。
第3の香り付けステップS33で用いられる煙としては、第1の香り付けステップS31と同様の煙材を用いることができる。第3の香り付けステップS33で用いられる煙材は、第1の香り付けステップS31で用いられる煙材とは異なる種類の煙材を用いてもよい。糖化工程S2中と、発酵工程S4中または発酵工程S4終了後と、で異なる種類の煙を使用することで、複雑な香りを有するウイスキーを製造できる。
第3の香り付けステップS33で用いられる煙の濃度を、第1の香り付けステップS31で用いられる煙の濃度とは異なる濃度にしてもよい。例えば、発酵工程S4の前において、糖化液に対する香り付けによる香りの程度に応じて、第3の香り付けステップS33で用いられる煙の濃度を決定してもよい。発酵槽における発酵工程S4終了後において、発酵液に対する香り付けによる香りの程度に応じて、第3の香り付けステップS33で用いられる煙の濃度を決定してもよい。また、香り付けの程度が強いニューポットを製造する場合、第3の香り付けステップS33で用いられる煙の濃度を、第1の香り付けステップS31で用いられる煙の濃度に比べて、濃くしてもよい。煙の濃度の測定は、例えば、光透過式のスモークメータが用いられる。
〔製造方法〕
次に、図1のフローチャートを用いて、本実施の形態に係る製造方法を説明する。最初に、準備工程S1を実行する。準備工程S1では、主原料である穀類と、水とを準備したうえで、穀類を粉砕する。
準備工程S1の終了後、糖化工程S2を実行する。糖化工程S2では、糖化槽1に対して、準備工程S1で準備した粉砕穀類および水を入れ、撹拌することで、マッシュを生成する糖化ステップS21を実行する。このとき、糖化ステップS21の開始時または途中において、第1の香り付けステップS31を実行する。第1の香り付けステップS31では、糖化ステップS21による撹拌を行いながら、糖化槽1内に煙を充填し、穀類または糖化液に対して香り付けを行う。
第1の香り付けステップS31の終了後、ろ過ステップS22を実行する。ろ過ステップS22では、糖化槽1の処理空間21にあるマッシュをフィルタ23によってろ過する。これによって、糖化液を得ることができる。
ろ過ステップS22の終了後、スパージングステップS23を実行する。スパージングステップS23では、処理空間21内に残ったドラフに対して、湯を供給することで、スパージングを行う。このとき、スパージングステップS23の途中で、第2の香り付けステップS32を実行する。第2の香り付けステップS32では、スパージングを行いながら、糖化槽1内に煙を充填する。
第2の香り付けステップS32の終了後、再び、ろ過ステップS24を実行する。ろ過ステップS24では、糖化槽1の処理空間21にあるスパージング後の内容物をフィルタ23によってろ過する。これによって、より糖度の高い糖化液を得ることができる。
糖化工程S2の終了後、発酵工程S4を実行する。発酵工程S4では、糖化工程S2によって生成された糖化液を発酵槽に入れると共に、酵母を添加し、発酵させることで発酵液を生成する。このとき、発酵工程S4中に、第3の香り付けステップS33を実行する。第3の香り付けステップS33では、糖化液の発酵を行いながら、発酵槽内に煙を充填する。第3の香り付けステップS33は、発酵工程S4の完了後に行ってもよい。
発酵工程S4および香り付け工程S3の終了後、蒸留工程S5を実行する。蒸留工程S5を実行することによって、ニューポットを生成することができる。この後、ニューポットは貯蔵されることで熟成され、原酒となる。原酒の製造後、ヴァッティングまたはブレンディングによって、ウイスキーが製造される。
[変形例]
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
上記実施の形態では、香り付け工程S3は、発酵工程S4中と、発酵工程S4中または発酵工程S4終了後と、の両方で実行されたが、図3の変形例に示すように、糖化工程S2と一緒に香り付け工程S3を行わず、発酵工程S4中または発酵工程S4終了後にのみ香り付け工程S3を実行してもよい。また、上記実施の形態において、第2の香り付けステップS32および第3の香り付けステップS33を省略してもよい。
香り付け工程S3は、蒸留工程S5よりも前であれば、例えば、糖化工程S2前、糖化工程S2中、糖化工程S2後、発酵工程S4前、発酵工程S4中、発酵工程S4後のいずれに適用してもよい。香り付け工程S3の実施するタイミングを調整することで、意図する香りの強さや種類を細かく制御できる。
穀類として用いられるとうもろこしは、例えば、家畜の飼料用のとうもろこしが用いられてもよい。この場合、香り付け工程S3は、糖化工程S2中に実行されることが好ましい。これによって、比較的硬いとうもろこしであっても、所望の香り付けがされたニューポットを製造することができる。
本開示にかかる蒸留酒の製造方法は、例えば、モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ライウイスキーのいずれの製造方法としても適用することができる。
上記実施の形態では、ウイスキーの製造方法について、主に説明したが、サトウキビを主原料とした蒸留酒であるラム酒を製造する方法にも適用できる。ラム酒を製造する製造方法では、原料を洗浄し押しつぶして糖分を含む液体を得る洗浄・圧搾工程と、液体を加熱し濃縮する加熱濃縮工程と、発酵工程S4と、蒸留工程S5とを備える。ラム酒を製造する製造方法においても、上記実施の形態と同様に、熟成工程よりも前に、香り付け工程S3が実施される。香り付け工程S3は、洗浄・圧搾工程、加熱濃縮工程、発酵工程S4と、蒸留工程S5のいずれかと一緒に実施されてもよいし、いずれかの工程の間に実施されてもよい。
また、果実を主原料とした蒸留酒であるブランデーを製造する方法にも適用できる。果実としては、例えば、ブドウ、りんご、さくらんぼが挙げられる。
香り付け工程S3は、熟成工程よりも前の段階であれば、糖化液、発酵液、蒸留液および仕込み水のうちの少なくとも1つに対して香り付けを行い、一時的に保存しておいたものを混ぜ合わせる等して使用してもよい。また、香り付け工程S3は、液状の酵母に対して煙を晒し、香り付けした酵母を用いて、発酵工程S4とともに実施してもよい。
[まとめ]
以上説明したように、第1の態様に係る蒸留酒の製造方法は、穀類、サトウキビまたは果実を主原料とする蒸留酒の製造方法であって、蒸留して得られた蒸留液を熟成させる熟成工程よりも前に、煙による香り付けを行う香り付け工程S3を備える。この態様によれば、熟成工程の前に、香り付けを行うことができるため、風味に深みと個性を与えた新たなタイプの蒸留酒を製造することができる。
第2の態様に係る蒸留酒の製造方法は、第1の態様において、香り付け工程S3は、対象液を容器内に収容し、容器2に対して煙を注入することで対象液に香り付けを行う。この態様によれば、既存の製造プロセスに導入しやすい。
第3の態様に係る蒸留酒の製造方法は、第1または第2の態様において、香り付け工程S3において容器2に注入する煙が、ピート、ウッドチップ、藁、ドライボタニカルおよびスパイスから選択される少なくとも1種を燃焼して得られる煙である。この態様によれば、一層、蒸留酒に対して、風味に深みと個性を与えることができる。
第4の態様に係る蒸留酒の製造方法は、第1から第4のいずれかの態様において、穀類を主原料とする。蒸留酒の製造方法は、穀類を加温しながら撹拌することで、糖化液を生成する糖化工程S2と、糖化工程S2の後、糖化液に対し酵母を添加して発酵させることで発酵液を生成する発酵工程S4と、発酵工程S4の後、発酵液を蒸留することでニューポットを生成する蒸留工程S5と、を備える。香り付け工程S3は、蒸留工程S5よりも前において、穀類、糖化液または発酵液が収容された容器2に煙を注入し、穀類、糖化液および発酵液の少なくとも1つに対して香りを付ける。この態様によれば、蒸留後の熟成の前に、香り付けを行うことができるため、風味に深みと個性を与えた新たなタイプのウイスキーを製造することができる。
また、香り付けのタイミング(例えば、糖化工程S2前、糖化工程S2中、糖化工程S2後、発酵工程S4前、発酵工程S4中、発酵工程S4後)を調整することで、意図する香りの強さや種類を細かく制御できる。また、香り付け工程S3は、容器2に煙を注入する工程であるので、既存の製造プロセスに導入しやすい。
第5の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第4の態様において、容器2が、穀類を加温しながら撹拌可能な糖化槽1を含み、香り付け工程S3は、糖化槽1において、糖化工程S2中に実行される。この態様によれば、糖化工程S2中に香り付け工程S3を実行するため、例えば、トウモロコシなどの比較的香りが付きにくい穀類に対しても、十分な香り付けを行うことができる。この結果、製造者の狙い通りの香味バランスを有するウイスキーを製造できる。
第6の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第4の態様において、容器2が、糖化液に対し酵母を添加して発酵させることが可能な発酵槽を含み、香り付け工程S3は、発酵工程S4中または発酵工程S4終了後に実行される。この態様によれば、発酵中または発酵後の発酵液に対して、香り付けを行うため、より一層、風味に深みを有するウイスキーを製造できる。
第7の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第4から6のいずれかの態様において、容器2が、穀類を加温しながら撹拌可能な糖化槽1と、糖化液に対し酵母を添加して発酵させることが可能な発酵槽と、を含み、香り付け工程S3は、発酵工程S4中と、発酵工程S4または発酵工程S4終了後と、の両方で実行される。この態様によれば、十分な香り付けを行うことが可能である。
第8の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第7の態様において、香り付け工程S3は、糖化工程S2中と、発酵工程S4中または発酵工程S4終了後と、で異なる種類の煙または異なる濃度の煙を注入する。この態様によれば、複雑な香りを有するウイスキーを製造できる。
第9の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第4の態様において、前記糖化工程は、糖化槽に対して、前記穀類および40℃以上の湯を入れて撹拌する。この態様によれば、糖化を促進しやすい。
第10の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第4~9のいずれか1つの態様において、香り付け工程S3は、容器2において、穀類、糖化液および発酵液の少なくとも1つに対し、煙を所定時間晒すことで香りを付けるものであり、所定時間が、5分以上120分以下である。この態様によれば、十分な香り付けを行うことが可能である。
第11の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第4~10のいずれか1つの態様において、糖化工程S2または発酵工程S4を、スチームジャケット3を有する容器2を用いて実施する。この態様によれば、所望の温度を保ったまま、糖化工程S2または発酵工程S4を実施しやすい。
第12の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第6の態様において、糖化工程S2は、スパージングを行うステップを含み、香り付け工程S3は、糖化工程S2におけるスパージングを実行しながら、糖化液に香り付けを行う。この態様によれば、より糖度の高い糖化液を得つつ、より風味に深みを有する蒸留酒を製造しやすい。
第13の態様に係る蒸留酒の製造方法では、第5の態様において、糖化工程S2では、穀類を加温しながら撹拌可能な糖化槽1が用いられ、糖化槽1は、レーキ型の撹拌装置を有する。この態様によれば、適切に撹拌されたマッシュを生成しやすく、適切な糖化液を得やすい。
第14の態様に係る蒸留酒への香り付けの方法は、穀類、サトウキビまたは果実を主原料とする蒸留酒の製造方法であって、蒸留して得られた蒸留液を熟成させる熟成工程よりも前に、煙による香り付けを行う。この態様によれば、蒸留後の熟成の前に香り付けを行うことができるため、蒸留酒に対し、風味に深みと個性を与えることができる。
第15の態様に係る蒸留酒は、穀類、サトウキビまたは果実を主原料として製造された蒸留酒であって、煙により香り付けがされた蒸留酒である。この態様によれば、風味に深みと個性を与えた蒸留酒を提供できる。
S1 準備工程
S2 糖化工程
S21 糖化ステップ
S22 ろ過ステップ
S23 スパージングステップ
S3 香り付け工程
S31 第1の香り付けステップ
S32 第2の香り付けステップ
S33 第3の香り付けステップ
S4 発酵工程
S5 蒸留工程
1 糖化槽
2 容器
21 処理空間
22 流通空間
23 フィルタ
24 吐出口
25 注入口
26 排出口
3 ジャケット
4 撹拌装置
41 駆動装置
42 シャフト
43 支持アーム
44 ブレード
5 スパージングパイプ
6 温度計

Claims (12)

  1. 穀類、サトウキビまたは果実を主原料とする蒸留酒の製造方法であって、
    前記主原料を糖化槽で加温しながら撹拌することで、糖化液を生成する糖化工程と、
    前記糖化工程の後、発酵槽で前記糖化液に対し酵母を添加して発酵させることで発酵液を生成する発酵工程と、
    前記発酵工程の後、前記発酵液を蒸留することでニューポットを生成する蒸留工程と、
    蒸留して得られた蒸留液を熟成させる熟成工程よりも前に、煙による香り付けを行う香り付け工程と、を備え、
    前記香り付け工程は、前記糖化槽における前記糖化工程と、前記発酵槽における前記発酵工程と、の少なくとも一方の工程と一緒に実行される、
    蒸留酒の製造方法。
  2. 前記香り付け工程は、対象液を、前記糖化槽および前記発酵槽における容器内に収容し、前記容器に対して煙を注入することで前記対象液に香り付けを行う、
    請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。
  3. 前記香り付け工程において用いられる前記煙が、ピート、ウッドチップ、藁、ドライボタニカルおよびスパイスから選択される少なくとも1種を燃焼して得られる煙である、
    請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。
  4. 前記主原料が穀物であり、
    記香り付け工程は、前記蒸留工程よりも前において、前記穀類、前記糖化液または前記発酵液が収容された容器に煙を注入し、前記穀類、前記糖化液および前記発酵液の少なくとも1つに対して香りを付ける、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の蒸留酒の製造方法。
  5. 前記香り付け工程は、前記発酵工程中と、前記発酵工程または前記発酵工程終了後と、の両方で実行される、
    請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。
  6. 前記香り付け工程は、前記糖化工程中と、前記発酵工程中と、で異なる種類の煙または異なる濃度の煙を注入する、
    請求項5に記載の蒸留酒の製造方法。
  7. 前記糖化工程は、糖化槽に対して、前記穀類および40℃以上の湯を入れて撹拌する、
    請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。
  8. 前記香り付け工程は、前記容器において、前記糖化液および前記発酵液の少なくとも1つに対し、前記煙を所定時間晒すことで香りを付けるものであり、
    前記所定時間が、5分以上120分以下である、
    請求項2に記載の蒸留酒の製造方法。
  9. 前記糖化槽または前記発酵槽が、スチームジャケットを有する容器を含む
    請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。
  10. 前記糖化工程は、スパージングを行うステップを含み、
    前記香り付け工程は、前記糖化工程における前記スパージングを実行しながら、糖化液に香り付けを行う、
    請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。
  11. 前記糖化工程では、前記穀類を加温しながら撹拌可能な糖化槽が用いられ、
    前記糖化槽は、レーキ型の撹拌装置を有する、
    請求項1に記載の蒸留酒の製造方法。
  12. 穀類、サトウキビまたは果実を主原料とする蒸留酒への香り付け方法であって、
    糖化工程と発酵工程との少なくとも一方の工程と一緒に、煙による香り付けを行う、蒸留酒への香り付け方法。
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