二重特異性T細胞誘導分子は、様々な癌の治療のために開発されている新しいクラスの免疫療法である。これらの分子は、患者のT細胞を癌細胞に誘導し、T細胞に癌細胞を攻撃し死滅させるように設計されている。新しい二重特異性T細胞誘導分子は、1日未満の短い半減期のために、必然的に数週間にわたる持続注入によって投与される第1世代の二重特異性T細胞誘導分子よりも便利で少ない頻度での投与を提供するために、半減期延長部分を含むように設計されている。二重特異性T細胞誘導分子の作用機序の結果として、CRSは、二重特異性T細胞誘導分子を最初に投与したときに患者において起こり得る有害事象である可能性がある。CRS事象は、所望の治療効果を達成するために必要な用量の患者への投与を妨害、制限又は遅延させる可能性がある。半減期延長(HLE)二重特異性T細胞誘導分子(これは、通常、1週間の投与間隔又はより長い投与間隔でボーラス注射又は注入として投与される)の場合、投与レジメンを患者におけるCRS事象を低減又は回避するように適応させる能力は特に困難である。サイクル1におけるHLE二重特異性T細胞誘導分子の初回用量のボーラス注入後のピーク血清薬物レベル(Cmax)は、患者におけるCRS事象の程度と相関することが観察されている(実施例1を参照されたい)。初期用量の投与後の薬物曝露の急速な増加を最小限にするための1つの可能な方法は、より低い用量の二重特異性T細胞誘導分子を最初に投与し、その後、治療用量まで1段階以上の用量を投与する、段階的投与戦略を採用することである。しかしながら、このような方法は、治療用量の二重特異性T細胞誘導分子が治療開始の数週後まで投与されず、複数段階を行っても治療用量の達成できない可能性があることを必要とし得る。
本発明は、CRS及び他の有害事象の発生及び/又は重症度を最小限にしながら、有効性を最大化するために、治療の第1サイクルにおいて可能な限り早期に治療用量を送達する、二重特異性T細胞誘導分子、特にHLE二重特異性T細胞誘導分子のための投与レジメンを提供することにより、これらの課題に対処する。したがって、一態様において、本発明は、癌と診断された患者に二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与する方法であって、(i)二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を持続静脈内注入によりある期間(例えば、1日~7日)にわたって投与することと、プライミング用量後、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入又は皮下注射によって投与することを含む開始サイクルを患者に投与することとを含む方法を提供する。理論に束縛されるものではないが、長時間にわたる持続IV注入によって二重特異性T細胞誘導分子の初回用量(すなわちプライミング用量)を投与することにより、分子のピーク血清濃度(Cmax)への急激な上昇が回避され、Cmaxが減少及び遅延し、それによりCRS及び他の有害事象の頻度及び重症度が低減され、且つ投与間隔中の高レベルの累積薬物曝露が維持され、開始サイクルにおいて可能な限り早期に有効な用量を達成することを可能になり、それにより癌細胞を排除する効果が増強されることになると考えられる。したがって、本発明の方法による二重特異性T細胞誘導分子の投与は、有害事象、特にCRS事象を低減することによって分子の安全性プロファイルを改善し、治療の第1週中に有効な曝露レベルを達成することによって分子の有効性を増強する。早期のT細胞活性化は、T細胞によるサイトカインの実質的な放出をもたらし、これは、マクロファージ及び単球などの腫瘍微小環境における他の常在細胞によるサイトカイン放出のカスケード増幅を引き起こす。二重特異性T細胞エンゲージャー分子により活性化が延長されたT細胞は、おそらくフィードバックループ機構によってサイトカインの産生を下方制御するが、継続して癌細胞を認識し死滅させることができる。二重特異性T細胞エンゲージャー分子への長期曝露によって誘導されるT細胞におけるサイトカイン産生の下方制御を本明細書ではT細胞の「プライミング」と称する。また、本発明の方法に従って持続IV注入によって長時間にわたって二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を投与することにより、患者のT細胞の漸進的なプライミングが可能になり、その結果、より高い治療用量の投与により、サイトカイン放出及び関連するCRS事象の発生が減少又は最小化されると考えられる。
一般に、本発明の方法は、1回以上の治療サイクルで患者に二重特異性T細胞誘導分子を投与することを含む。「治療サイクル」又は「サイクル」は、特定の投与量及び投与間隔で二重特異性T細胞誘導分子を投与する期間を指す。本発明の方法によれば、患者は複数の治療サイクル(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又はそれを超えるサイクル)を受けることができる。治療サイクルは、サイクル間に中断、すなわち二重特異性T細胞誘導分子を投与しない期間なしで連続的に患者に投与することができる。代わりに、二重特異性T細胞誘導分子を投与しない期間(例えば、「無治療期間」又は「中断」)を治療サイクル間に用いることができる。無治療期間の長さは、患者の特性及び/又は治療に対する応答に基づいて調整することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1つの開始サイクルで患者に二重特異性T細胞誘導分子を投与することを含む。本明細書で使用される場合、「開始サイクル」は、有害事象、例えばCRSに関連する有害事象を最小限に抑える一方、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量に患者を可能な限り最短の時間で暴露させることが可能になるように設計された投与頻度及び投与様式で2つ以上の異なる用量で二重特異性T細胞誘導分子が投与される治療サイクルである。開始サイクルは、好ましくは、患者が二重特異性T細胞誘導分子による一連の治療を開始するとき、最初の治療サイクルとして患者に投与される。開始サイクルは、患者が二重特異性T細胞誘導分子による治療コースを再開するとき、例えば無治療期間、投与の中断(例えば、患者が以前の治療サイクルを完了しなかった場合)又は患者における癌の再発若しくは進行後にも患者に投与され得る。通常、1つの開始サイクルの投与で十分であるが、本発明の方法のいくつかの実施形態では、2つ以上の開始サイクルを投与することが企図される。特定の一実施形態では、1つの開始サイクルのみが患者に投与される。
特定の実施形態では、開始サイクルは、長時間の持続静脈内注入によって二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を投与することを含む。本明細書で使用される場合、用語「プライミング用量」は、治療用量の投与によって患者に生じる有害事象がより少ないか又は重症度がより低い、例えばCRS事象より少ないか又は重症度がより低くなるように、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量のその後の投与のために患者をプライミングする、二重特異性T細胞誘導分子の用量又は量を指す。いくつかの実施形態では、プライミング用量は、治療用量よりも低くてもよいが、患者のT細胞をプライミングする、例えば、その後のより多い用量又は治療用量の二重特異性T細胞誘導分子の投与により、サイトカイン分泌の増加が抑えられるようにサイトカインを放出させるのに十分な用量である。特定の実施形態では、プライミング用量は、患者における活性化末梢T細胞の割合を、二重特異性T細胞誘導分子の用量を受ける前の患者における活性化T細胞の割合と比較して増加させる(例えば、CD69+CD8+末梢T細胞の割合を増加させる)のに十分である。いくつかの実施形態では、プライミング用量は、治療用量の一部であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、プライミング用量は、治療用量の約10%~約80%、例えば治療用量の約20%~約75%、約15%~約50%、約25%~約60%又は約30%~約50%であり得る。一実施形態では、プライミング用量は治療用量の約25%である。別の実施形態では、プライミング用量は治療用量の約30%である。さらに別の実施形態では、プライミング用量は治療用量の約50%である。
他の実施形態では、プライミング用量は、例えば、治療用量の1.5倍又は2倍など、治療用量と同じであるか又はさらにそれを上回り得る。いくつかのそのような実施形態では、プライミング用量の持続静脈内注入を使用して、ボーラス静脈内注入によって投与される同じ用量の投与と同じ数又は重症度の有害事象を引き起こすことなく、プライミング用量の持続注入の開始後24時間~96時間以内に治療的曝露レベルを達成することができる。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、二重特異性T細胞誘導分子の効力を評価するのに適したT細胞の細胞毒性アッセイ又は動物腫瘍モデル(例えば、異種移植マウスモデル)で決定されたEC50(すなわち半数効果濃度)を超える二重特異性T細胞誘導分子の血液中の定常状態濃度(Css)を提供する用量である。他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、二重特異性T細胞誘導分子の効力を評価するのに適したT細胞の細胞毒性アッセイ又は動物腫瘍モデル(例えば、異種移植マウスモデル)で決定されたEC90(すなわち90%効果濃度)を超える二重特異性T細胞誘導分子の血液中のCssを提供する用量である。プライミング用量の具体的な量は、方法において使用される具体的な二重特異性T細胞誘導分子、患者の治療すべき癌のタイプ、グレード又は病期並びに年齢、併存疾患及び他の併用薬などの1つ又は複数の患者特性に応じて変わり得る。任意の特定の二重特異性T細胞誘導分子のための好適なプライミング用量は、特定のタイプの癌の治療のために患者に投与される、以下にさらに詳細に記載するものなどの、二重特異性T細胞誘導分子の所与の治療用量から、本明細書中に提供されるガイダンスに従って決定することができる。
「治療用量」という用語は、癌又はその1つ以上の症状、特に癌に関連する状態若しくは症状を治療若しくは改善するのに十分であるか、又はさもなければ癌又は癌に関連する任意の他の望ましくない症状の進行を何らかの方法で予防、妨害、遅延若しくは逆転させるのに十分な二重特異性T細胞誘導分子の用量若しくは量を指す。治療用量の量は、治療される患者の特性、患者において診断された癌のタイプ、グレード又は病期及び患者に投与される特定の二重特異性T細胞誘導分子に応じて変わり得る。二重特異性T細胞誘導分子のための具体的な治療用量は実施例に記載されているものなどの用量探索ヒト臨床試験から決定することができ、また場合によっては、治療対象の特定の癌の関連する動物モデルから推定することができる。癌の治療のための二重特異性T細胞誘導分子の治療用量の例示的な範囲としては、以下に限定はされないが、約50μg~約200mg、約200μg~約80mg、約90μg~約30mg、約300μg~約15mg、約150μg~約2mg、約6mg~約25mg、約1mg~約20mg、約10mg~約100mg又は約50mg~約150mgの用量を挙げることができる。
本発明の方法の好ましい実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、長時間にわたる持続静脈内注入によって患者に投与される。本明細書で使用される場合、持続静脈内注入は、中断することなく又は実質的に中断することなく、約3時間を超える、より典型的には約6時間を超える時間にわたって与えられる二重特異性T細胞誘導分子の静脈内投与の制御された方法を指す。持続静脈内注入は、流体をリザーバーから送り出すための流体送出機構及び送出機構を駆動するための駆動機構を含む、流体送達デバイス又は小型ポンプシステムによって投与され得る。このような投与のためのポンプシステムは、患者の皮膚に穿通し、注入溶液を患者体内に送達するための針又はカニューレを含み得る。このポンプシステムは、患者に24時間~数日間接続することができる。静脈内注入を送達するためのポンプシステムは、当技術分野で知られている。持続注入の持続期間に応じて、ポンプシステム内に注入溶液を収容するバッグ又はリザーバーを交換又は置き換える必要があり得る。ポンプシステムのバッグ又はリザーバーの交換中、そうでなければ中断されない注入液の流れの一時的な中断が起こり得る。バッグ又はリザーバーの交換から生じるそのような一時的な中断は、静脈内投与の中断又は実質的な中断を構成せず、バッグ又はリザーバーが交換される時間は依然として、この用語が本明細書で使用されているように、持続静脈内注入の時間内であると見なされる。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、持続静脈内注入により少なくとも24時間の期間、例えば1~14日間、1~7日間又は1~5日の期間にわたって患者に投与される。一実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、持続IV注入によって約7日の期間にわたって患者に投与される。別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、持続IV注入によって約5日の期間にわたって患者に投与される。別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、持続IV注入によって約4日の期間にわたって患者に投与される。さらに別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、持続IV注入によって約3日の期間にわたって患者に投与される。さらに別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、持続IV注入によって約2日の期間にわたって患者に投与される。これらの実施形態及び他の実施形態では、持続静脈内注入は一定の流量で与えられる。すなわち、持続静脈内注入は、注入期間にわたって一定の割合でプライミング用量を送達する。例えば、8.4mgのプライミング用量の場合、7日間にわたって一定の流量で与えられる持続静脈内注入は、8.4mgの総プライミング用量が7日間の注入期間の完了時に送達されるように、1日当たり1.2mgの割合でプライミング用量を送達する。代わりに、いくつかの実施形態では、持続静脈内注入は、プライミング用量が注入期間にわたって1日当たり異なる用量で送達されるように可変流量で与えられ得る。例えば、1つのそのような実施形態では、持続注入の流量は、注入期間の完了時に総プライミング用量を送達するために、注入期間にわたって毎日増加する用量が与えられるように調整することができる。
持続静脈内注入期間の持続期間は、血液中の二重特異性T細胞誘導分子の所与の用量から生じるピーク濃度(Cmax)を、ボーラス静脈内注入によって投与される同じ用量で達成されるCmaxと比較して、少なくとも約20%減少させるように選択することができる。例えば、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、二重特異性T細胞誘導分子のCmaxを、プライミング用量がボーラス静脈内注入によって投与された場合に達成されるCmaxと比較して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%又は少なくとも約70%減少させるのに十分な時間にわたって持続静脈内注入によって投与される。このような実施形態では、Cmaxまでの時間が注入期間の終わりまで遅延される。例えば、本発明の方法のいくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、二重特異性T細胞誘導分子のCmaxが注入開始の24時間後よりも遅く、例えば持続静脈内注入開始の2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後又はそれより遅く達成されるように持続静脈内注入によって投与される。
本発明の方法の特定の実施形態では、持続静脈内注入のプライミング用量及び持続期間は、持続静脈内注入の開始後1~7日以内、例えば1日、2日、3日、4日、5日、6日又は7日以内に二重特異性T細胞誘導分子の血液中の定常状態濃度(Css)を提供するように選択される。一実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、二重特異性T細胞誘導分子のCssが持続静脈内注入の開始後2~4日以内に達成されるように、持続静脈内注入によって投与される。別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、二重特異性T細胞誘導分子のCssが持続静脈内注入の開始後1~2日以内に達成されるように、持続静脈内注入によって投与される。さらに別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、二重特異性T細胞誘導分子のCssが持続静脈内注入の開始後3~5日以内に達成されるように、持続静脈内注入によって投与される。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のCssは、例えば、適切なT細胞毒性アッセイ、動物腫瘍モデル又は他の前臨床モデルにおける分子のEC50又はEC90を超える治療的曝露レベルである。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、開始サイクルは、プライミング用量の投与後、ボーラス静脈内注入によって二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することを含む。本明細書で使用される場合、本明細書で短時間静脈内注入と互換的に使用されるボーラス静脈内注入とは、長くとも3時間の期間、より典型的には約30分~約90分間の期間にわたって投与される少量(例えば、20mL~100mL)の静脈内注入を指す。本発明の方法のいくつかの実施形態では、ボーラス静脈内注入は、約30分~約60分にわたって投与される静脈内注入である。本発明の方法の特定の実施形態では、ボーラス静脈内注入が約60分(例えば、55分~65分)にわたって投与される静脈内注入である。本発明の方法の他の実施形態では、開始サイクルは、プライミング用量の投与後、皮下注射によって二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することを含む。
持続静脈内注入によるプライミング用量の投与に続いて、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を開始サイクルの持続期間にわたって少なくとも7日の投与間隔でボーラス静脈内注入又は皮下注射によって投与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの持続期間にわたって7日に1回(例えば、QW、すなわち週1回投与)投与される。他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの持続期間にわたって14日に1回(例えば、Q2W、すなわち2週に1回投与)投与される。二重特異性T細胞誘導分子の半減期及び開始サイクルの持続期間に応じて、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの残りの期間、3週に1回又は4週に1回など、より長い投与間隔で投与され得る。
開始サイクル中、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、プライミング用量の持続静脈内注入期間の完了の直後(例えば、同日又は翌日)に投与することができる。代わりに、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、プライミング用量の持続静脈内注入期間の完了後、1日以上遅れて投与され得る。特定の実施形態では、プライミング用量の持続静脈内注入の完了と、治療用量の(例えば、ボーラス静脈内注入又は皮下注射による)投与との間の期間は、持続静脈内注入期間の終了時に達成される曝露レベル又は実質的にそのような曝露レベルに二重特異性T細胞誘導分子の血清曝露を維持するように調整される。本発明の方法の特定の実施形態では、治療用量は、プライミング用量の持続静脈内注入が終了するのと同じ日にボーラス静脈内注入によって投与される。例えば、そのような実施形態では、治療用量は、プライミング用量の持続静脈内注入完了の18時間、16時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間又は30分以内に投与され得る。本発明の方法のいくつかの実施形態では、治療用量は、開始サイクル中のプライミング用量の持続静脈内注入完了の約1日~約7日後にボーラス静脈内注入によって投与される。例えば、一実施形態では、治療用量は、プライミング用量の投与の約1日後(例えば、翌日)に投与される。別の実施形態では、治療用量は、プライミング用量の投与の約3日後に投与される。別の実施形態では、治療用量は、プライミング用量の投与の約4日後に投与される。さらに別の実施形態では、治療用量は、プライミング用量の投与の約5日後に投与される。さらに別の実施形態では、治療用量は、プライミング用量の投与の約6日後に投与される。
本発明の方法の特定の実施形態では、開始サイクルは、プライミング用量後且つ治療用量前にボーラス静脈内注入又は皮下注射によって二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量を投与することをさらに含む。二重特異性T細胞誘導分子の「ブースト用量」は、持続注入期間の完了後の期間と治療用量の投与前との間のプライミング用量の持続静脈内注入によって達成される二重特異性T細胞誘導分子の曝露レベル(例えば、Css)を維持するために使用され得る。ブースト用量は、一般に、プライミング用量の約10%~約60%、例えばプライミング用量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%又は約60%などのプライミング用量の一部である。いくつかの実施形態では、ブースト用量は、プライミング用量の約30%~約40%である。他の実施形態では、ブースト用量は、プライミング用量の約25%~約50%である。ブースト用量の実施は、プライミング用量の持続注入の完了と治療用量の投与との間に2日以上の遅延がある実施形態において特に有用である。本発明の方法のいくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量は、プライミング用量の持続静脈内注入が終了するのと同じ日に投与される。例えば、そのような実施形態では、ブースト用量は、プライミング用量の持続静脈内注入完了の18時間、16時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間又は30分以内に投与され得る。特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量は、プライミング用量の持続静脈内注入完了の1日後(例えば、翌日)、治療用量投与の少なくとも2日前、3日前、4日前、5日前又は6日前に投与される。他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量は、プライミング用量の持続静脈内注入完了の2日後(例えば、翌日)、治療用量投与の少なくとも2日前、3日前、4日前又は5日前に投与される。
本発明の方法の特定の実施形態では、開始サイクルの持続期間は、約14日~約56日、例えば約14日~約28日、約21日~約42日、約28日~約49日又は約21日~約28日である。特定の実施形態では、開始サイクルの持続期間は、約28日である。そのような実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、開始サイクルの1~3日目にわたる持続静脈内注入によって投与され得、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの8日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与され得る。他のそのような実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、開始サイクルの1~2日目にわたる持続静脈内注入によって投与され得、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの8日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与され得る。開始サイクルの持続期間が約28日である特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、開始サイクルの1~2日目にわたる持続静脈内注入によって投与され、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与される。関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、開始サイクルの1~2日目にわたる持続静脈内注入によって投与され、二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量は、開始サイクルの3日目にボーラス静脈内注入によって投与され、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与される。開始サイクルの持続期間が約28日である特定の他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、開始サイクルの1~7日目にわたる持続静脈内注入によって投与され、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与される。開始サイクルの持続期間が約28日であるさらに他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は、開始サイクルの1~4日目にわたる持続静脈内注入によって投与され、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、開始サイクルの8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、1つ以上の開始サイクルの投与後、二重特異性T細胞誘導分子の少なくとも1つの維持サイクルを患者に投与することをさらに含む。本明細書で使用される場合、「維持サイクル」は、患者における治療レベルで二重特異性T細胞誘導分子の曝露の閾値レベルを維持するように設計された投与頻度で、二重特異性T細胞誘導分子が投与される治療サイクルである。いくつかの実施形態では、維持サイクルで使用される投与頻度は、開始サイクルで使用される投与頻度よりも少ない(すなわち、維持サイクルの投与間隔は、開始サイクルの投与間隔よりも長い)。特定の実施形態では、維持サイクルは、1つ以上の開始サイクルの完了直後に投与される。したがって、そのような実施形態では、開始サイクルの終了と維持サイクルの開始との間に無治療期間又は中断が存在しない。1つのそのような実施形態では、維持サイクルは、開始サイクルを完了した後の翌日に投与される。他の実施形態では、開始サイクルの完了と維持サイクルの投与との間に無治療期間又は中断が存在する。好ましくは、開始サイクルと維持サイクルとの間の無治療期間は、維持サイクルで使用される投与間隔以下である。一実施形態では、維持サイクルは、開始サイクルの完了の約7日後に投与される。別の実施形態では、維持サイクルは、開始サイクルの完了の約14日後に投与される。
複数の維持サイクル(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又はそれを超えるサイクル)を、その患者の治療の所望の持続期間に応じて患者に投与することができる。例えば、患者は、患者が完全奏効又は部分奏効などの所望の奏効レベルを達成するまで、二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを受け得る。いくつかの実施形態では、2回以上の維持サイクルが患者に投与される。他の実施形態では、4回以上の維持サイクルが患者に投与される。さらに他の実施形態では、6~12の維持サイクルが患者に投与される。特定の実施形態では、維持サイクルは、維持サイクル間に無治療期間を伴わずに連続して投与される。治療の中断が必要な場合、無治療期間の持続期間は、理想的には、維持サイクルで使用される投与間隔の2倍以下である。例えば、維持サイクルで使用される投与間隔が14日に1回(例えば、2週に1回)である場合、維持サイクル間の無治療期間は、好ましくは約28日以下である。
本発明の方法の特定の実施形態では、維持サイクルは、本明細書に記載の治療用量のいずれかで二重特異性T細胞誘導分子を、少なくとも7日の投与間隔でボーラス静脈内注入又は皮下注射によって投与することを含む。例えば、本発明の方法のいくつかの実施形態では、維持サイクルは、7日に1回(例えば、週1回、QW投与)のボーラス静脈内注入又は皮下注射によって二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することを含む。本発明の方法の他の実施形態では、維持サイクルは、14日に1回(例えば、2週に1回、Q2W投与)のボーラス静脈内注入又は皮下注射によって二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することを含む。さらに他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量が、3週に1回又は4週に1回など、維持サイクル中のより長い投与間隔で、ボーラス静脈内注入又は皮下注射によって投与され得る。好ましくは、維持サイクル中に投与される二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、各投与間隔、例えば、週1回又は2週に1回の投与間隔で同じである(例えば、維持サイクル全体で固定用量)。これら実施形態及び他の実施形態では、維持サイクル中に投与される二重特異性T細胞誘導分子の治療用量及び投与頻度は、1つの維持サイクルから次の維持サイクルまで同じである。
本発明の方法の特定の実施形態によれば、維持サイクルの持続期間は、約14日~約60日、例えば約14日~約28日、約21日~約42日、約28日~約49日、約28日~約56日又は約21日~約28日である。特定の実施形態では、維持サイクルの持続期間は、約28日である。いくつかのそのような実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、各維持サイクルの1日目及び15日目にボーラス静脈内注入によって投与される。維持サイクルの持続期間が約28日である他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の治療用量は、各維持サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与される。
本明細書に記載の方法は、二重特異性T細胞誘導分子を患者に投与することを含む。「T細胞誘導分子」という用語は、構造が、CD3などのT細胞の表面の抗原への特異的結合を可能にする抗体、例えば完全長免疫グロブリン分子の最小の構造的特徴に由来するか又はそれを含む少なくとも1つのドメインを含む分子を指す。したがって、本発明によるT細胞誘導分子は、一般に、1つ以上の結合ドメインを含み、その各々は、典型的には、特異的標的結合を可能にする抗体の最小構造要件を含む。この最小要件は、例えば、少なくとも3つの軽鎖「相補性決定領域」又はCDR(すなわちVL領域のCDRL1、CDRL2及びCDRL3)及び/又は3つの重鎖CDR(すなわちVH領域のCDRH1、CDRH2及びCDRH3)、好ましくは軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の両方の6つ全てのCDRの存在によって定義され得る。本発明によるT細胞誘導分子は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体由来のドメイン又は領域(例えば、CDR又は可変領域)を含み得る。
好ましくは、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子はタンパク質であり、1つ以上のポリペプチド鎖を含む。本明細書で使用されるポリペプチドは、少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも100個のアミノ酸を含むアミノ酸のポリマーを指す。いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って投与されるT細胞誘導分子は単鎖ポリペプチドである。他の実施形態では、本発明の方法によって投与されるT細胞誘導分子は、2本以上のポリペプチド鎖を含む-例えば、ポリペプチド二量体又は多量体である。特定の実施形態では、本発明の方法に従って投与されるT細胞誘導分子は、4本のポリペプチド鎖を含み、例えば、抗体又は免疫グロブリンタンパク質のフォーマットを有し得る。
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、一般に、2つの軽鎖ポリペプチド(それぞれ約25kDa)及び2つの重鎖ポリペプチド(それぞれ約50~70kDa)を含む四量体免疫グロブリンタンパク質を指す。用語「軽鎖」又は「免疫グロブリン軽鎖」は、アミノ末端からカルボキシル末端に、単一の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)及び単一の免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)を含むポリペプチドを指す。免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)は、ヒトカッパ(κ)又はヒトラムダ(λ)定常ドメインであり得る。用語「重鎖」又は「免疫グロブリン重鎖」は、アミノ末端からカルボキシル末端に、単一の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン1(CH1)、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン2(CH2)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン3(CH3)及び任意選択的に免疫グロブリン重鎖定常ドメイン4(CH4)を含むポリペプチドを指す。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(Δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)及びイプシロン(ε)として分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEと定義する。IgGクラス及びIgAクラス抗体は、それぞれサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4並びにIgA1及びIgA2にさらに分けられる。IgG、IgA及びIgD抗体の重鎖は、3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有し、IgM及びIgE抗体の重鎖は、4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3及びCH4)を有する。免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、サブタイプを含む任意の免疫グロブリンアイソタイプ由来であり得る。抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインとの間(すなわち軽鎖と重鎖との間)及び2つの抗体重鎖のヒンジ領域間のポリペプチド間ジスルフィド結合を介して連結されている。
免疫グロブリン鎖の可変領域は、一般に、3つの超可変領域(「相補性決定領域」又はCDRと呼ばれることの方が多い)によって連結された相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)を含む同一の全体構造を示す。それぞれの重鎖/軽鎖対の2本の鎖に由来するCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列されることで、標的タンパク質(例えば、標的癌細胞抗原又はCD3)の特定のエピトープに特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端まで、天然に存在する軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は両方とも、通常、以下のこれらの要素の順序と一致する:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4。これらのドメインのそれぞれにおいて位置を占めるアミノ酸に番号を割り当てるための付番方式が考案されている。この付番方式は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987及び1991,NIH,Bethesda,MD)又はChothia&Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:878-883に定義されている。所与の抗体のCDR及びFRを、この方式を使用して同定し得る。免疫グロブリン鎖におけるアミノ酸のための他の付番方式としては、IMGT(登録商標)(the international ImMunoGeneTics information system;Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.29:185-203;2005)及びAHo(Honegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.309(3):657-670;2001)が挙げられる。
本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子は、好ましくは、少なくとも二重特異性T細胞誘導分子である。「二重特異性T細胞誘導分子」という用語は、2つの異なる抗原に特異的に結合することができる分子を指す。本発明に関連して、そのような二重特異性T細胞誘導分子は、標的細胞の細胞表面の癌細胞抗原(例えば、ヒト癌細胞抗原)及びT細胞の細胞表面のCD3(例えば、ヒトCD3)に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、T細胞誘導分子は、標的細胞の細胞表面の2つ以上の癌細胞抗原(例えば、ヒト癌細胞抗原)及びT細胞の細胞表面のCD3(例えば、ヒトCD3)に結合し得る。したがって、そのような実施形態では、T細胞誘導分子は2つ以上の異なる癌細胞抗原に特異的に結合し、T細胞を2つ以上のタイプの癌細胞又は2つ以上の抗原を発現する癌細胞に向け直すことができるという点で、「マルチターゲティング」である。T細胞誘導分子又はその結合ドメインは、標的抗原に対し、類似の結合アッセイ条件下において、他の無関係なタンパク質に対するその親和性と比較して有意に高い結合親和性を有し、その結果、その抗原を区別することができる場合、標的抗原に「特異的に結合する」。抗原に特異的に結合するT細胞誘導分子又はその結合ドメインは、その抗原に対し、1×10-6M以下の平衡解離定数(KD)で結合し得る。T細胞誘導分子又はその結合ドメインは、KDが1×10-8M以下である場合、「高親和性」で抗原に特異的に結合する。一実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子又はその結合ドメインは、5×10-7M以下のKDでヒト癌細胞抗原及び/又はヒトCD3に結合する。別の実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子又はその結合ドメインは、1×10-7M以下のKDでヒト癌細胞抗原及び/又はヒトCD3に結合する。さらに別の実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子又はその結合ドメインは、5×10-8M以下のKDでヒト癌細胞抗原及び/又はヒトCD3に結合する。別の実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子又はその結合ドメインは、2×10-8M以下のKDでヒト癌細胞抗原及び/又はヒトCD3に結合する。特定の実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子又はその結合ドメインは、1×10-8M以下のKDでヒト癌細胞抗原及び/又はヒトCD3に結合する。他の実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子又はその結合ドメインは、1×10-9M以下のKDでヒト癌細胞抗原及び/又はヒトCD3に結合する。
親和性は、様々な手法を使用して決定され、その一例は、親和性ELISAアッセイである。様々な実施形態では、親和性は、表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)に基づくアッセイ)によって決定される。この方法論を用いて、結合速度定数(ka単位:M-1s-1)及び解離速度定数(kd単位:s-1)を測定することができる。次に、平衡解離定数(KD単位:M)は、運動速度定数の比(kd/ka)から算出することができる。いくつかの実施形態では、親和性は、Rathanaswami et al.,Analytical Biochemistry,Vol.373:52-60,2008に記載されているような結合平衡除外法(KinExA)などの速度論的方法によって決定される。KinExAアッセイを用いて、平衡解離定数(KD単位:M)及び会合速度定数(ka単位:M-1s-1)を測定することができる。解離速度定数(kd単位:s-1)は、これらの値(KD×ka)から算出することができる。他の実施形態では、親和性は、Kumaraswamy et al.,Methods Mol.Biol.,Vol.1278:165-82,2015に記載され、Octet(登録商標)システム(Pall ForteBio)で用いられているようなバイオレイヤー干渉法により決定される。速度定数(ka及びkd)並びに親和性定数(KD)は、バイオレイヤー干渉法を使用して実時間で算出することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体又はその結合ドメインは、約10-2、10-3、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10s-1若しくはそれ未満のヒト癌細胞抗原及び/若しくはヒトCD3に対するkd(解離速度定数)によって測定される結合親和力(値が小さいほどより大きい結合親和力を示す)並びに/又は約10-7、10-8、10-9、10-10、10-11M若しくはそれ未満のヒト癌細胞抗原及び/若しくはヒトCD3に対するKD(平衡解離定数)によって測定される結合親和性(値が小さいほどより高い結合親和性を示す)などの望ましい特性を示す。
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は、抗体であって、完全長免疫グロブリンの一般構造を有し得る。例えば、二重特異性T細胞誘導分子は、2つの完全長抗体重鎖及び2つの完全長抗体軽鎖を含み得る。特定の実施形態では、本発明の二重特異性T細胞誘導分子は、ヘテロ二量体の抗体(本明細書では「ヘテロ免疫グロブリン」又は「ヘテロIg」と互換的に使用される)であり、これは2つの異なる軽鎖及び2つの異なる重鎖を含む抗体を指す。例えば、いくつかの実施形態では、ヘテロ二量体抗体は、本明細書においてさらに記載する癌細胞抗原などの癌細胞抗原に特異的に結合する抗体由来の軽鎖及び重鎖と、CD3に特異的に結合する抗体由来の軽鎖及び重鎖とを含む。
本発明の方法に使用される二重特異性T細胞誘導分子は、VH、VHH、VL、(s)dAb、Fv、軽鎖(VL-CL)、Fd(VH-CH1)、重鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2又は「r IgG」(重鎖と軽鎖とからなる「半抗体」)などの完全長抗体の断片も含み得る。本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、抗体の改変断片も含み得る。そのような改変断片の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:単鎖可変断片(scFv)、di-scFv又はbi(s)-scFv、scFv-Fc、scFv-ジッパー、単鎖Fab(scFab)、Fab2、Fab3、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(Tandab)、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFv、下記:(VH-VL-CH3)2、(scFv-CH3)2、((scFv)2-CH3+CH3)、((scFv)2-CH3)又は(scFv-CH3-scFv)2の通りの構造により例示される「ミニボディ」、マルチボディ(例えば、トリアボディ又はテトラボディ)及び単一ドメイン抗体(例えば、他の可変領域又はドメインと無関係に抗原又は標的に特異的に結合する、VHH、VH又はVLであり得る1つの可変領域のみを含むナノボディ又は単一可変ドメイン抗体)。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は多価である。T細胞誘導分子の価数は、T細胞誘導分子内の個々の抗原結合ドメインの数を示す。本発明に関連して、例えば、T細胞誘導分子に関する用語「一価」、「二価」及び「四価」は、それぞれ1つ、2つ及び4つの抗原結合ドメインを有するT細胞誘導分子を指す。したがって、多価T細胞誘導分子は2つ以上の抗原結合ドメインを含む。T細胞誘導分子は、特異性よりも多い抗原結合ドメイン(例えば、より高い価数)を有することができる。例えば、第1の標的(例えば、癌細胞抗原)のための2つの抗原結合ドメインと、第2の標的(CD3)のための1つの抗原結合ドメイン-又はその逆-を有するT細胞誘導分子は、三価(3つの抗原結合ドメイン)であり、且つ二重特異性(2つの抗原に結合する)であると考えられる。特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は二価である。したがって、そのような二重特異性で二価のT細胞誘導分子は、次の2つの抗原結合ドメインを含有する:癌細胞抗原(例えば、ヒト癌細胞抗原)のための1つの抗原結合ドメイン及びCD3(例えば、ヒトCD3)のための1つの抗原結合ドメイン。他の実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子は、三価の三重特異性T細胞誘導分子であり、次の3つの抗原結合ドメインを含む:第1の癌細胞抗原のための1つの抗原結合ドメイン、第2の癌細胞抗原のための別の抗原結合ドメイン及びCD3のための第3の結合ドメイン。さらに他の実施形態では、本発明の方法で使用されるT細胞誘導分子は、四価の三重特異性T細胞誘導分子であり、次の4つの抗原結合ドメインを含む:第1の癌細胞抗原のための1つの抗原結合ドメイン、第2の癌細胞抗原のための別の抗原結合ドメイン及びCD3のための2つの抗原結合ドメイン。
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は、標的癌細胞抗原(例えば、ヒト標的癌細胞抗原)に特異的に結合する第1の結合ドメインと、CD3(例えば、ヒトCD3)に特異的に結合する第2の結合ドメインとを含む。本明細書で使用する場合、「結合ドメイン」と互換的に使用される「抗原結合ドメイン」という用語は、抗原と相互作用し、その抗原に対する特異性及び親和性をT細胞誘導分子に付与するアミノ酸残基を含有するT細胞誘導分子の領域を指す。特定の実施形態では、T細胞誘導分子の1つ以上の結合ドメインは、抗体又はその抗原結合断片に由来し得る。例えば、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の結合ドメインは、ヒト標的癌細胞抗原及び/又はヒトCD3に特異的に結合する抗体の軽鎖及び重鎖可変領域に由来する1つ以上のCDRを含み得る。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインは、そのヒト標的癌細胞抗原に特異的に結合する抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の6つ全てのCDRを含み、二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、抗CD3抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の6つ全てのCDRを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の結合ドメイン(抗癌細胞抗原結合ドメイン、抗CD3結合ドメイン又は両方)は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖可変断片(scFv)又はナノボディを含む。一実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の両方の結合ドメインはFab断片である。別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の一方の結合ドメインはFab断片であり、他方の結合ドメインはscFvである。さらに別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の両方の結合ドメインはscFvである。
本発明に関連して使用される場合、本明細書において「結合断片」又は「断片」と互換的に使用される「抗原結合断片」は、完全長の重鎖及び/又は軽鎖に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠くが、それでもなお抗原に特異的に結合することができる抗体の一部である。抗原結合断片としては、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディ(例えば、ラクダ重鎖抗体のVHドメイン;VHH断片、Cortez-Retamozo et al.,Cancer Research、Vol.64:2853-57,2004を参照されたい)、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、Fd断片及びCDR断片が挙げられるが、これらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ウサギ又はラクダなどの任意の哺乳動物供給源に由来し得る。抗原結合断片は、標的抗原との結合についてインタクトな抗体と競合する場合があり、断片は、インタクトな抗体の改変(例えば、酵素的又は化学的切断)によって作製されるか、又は組換えDNA技術若しくはペプチド合成を使用して新たに合成され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、抗原に結合する抗体由来の少なくとも1つのCDR、例えば抗原に結合する抗体由来の重鎖CDR3を含む。他の実施形態では、抗原結合断片は、抗原に結合する抗体の重鎖由来の3つのCDRの全て又は抗原に結合する抗体の軽鎖由来の3つのCDRの全てを含む。さらに他の実施形態では、抗原結合断片は、抗原に結合する抗体由来の6つのCDRの全て(重鎖由来の3つ及び軽鎖由来の3つ)を含む。
抗体をパパインで消化すると、「Fab」断片と呼ばれる2つの同じ抗原結合断片(その各々が単一の抗原結合部位を有する)と、残部の「Fc」断片(免疫グロブリン定常領域の第1のドメイン以外の全てを含有する)が産生される。Fab断片は、軽鎖及び重鎖の可変ドメイン並びに軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。このように、「Fab断片」は、1つの免疫グロブリン軽鎖(軽鎖可変領域(VL)及び定常領域(CL))と1つの免疫グロブリン重鎖のCH1領域及び可変領域(VH)とから構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。「Fd断片」は、免疫グロブリン重鎖に由来するVHドメイン及びCH1ドメインを含む。Fd断片は、Fab断片の重鎖成分を表す。
免疫グロブリンの「Fc断片」又は「Fcドメイン」は、一般に、2つの定常ドメイン、すなわちCH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、任意選択により、CH4ドメインを含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は、免疫グロブリンのFcドメインを含む。Fcドメインは、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4免疫グロブリン由来のFcドメインであり得る。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトIgG1又はヒトIgG2免疫グロブリン由来のCH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。Fcドメインは、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び貪食などのエフェクター機能を保持し得る。他の実施形態では、Fcドメインは、エフェクター機能を低減又は排除するように修飾され得る。
「Fab’断片」は、CH1ドメインのC末端に、抗体ヒンジ領域に由来する1つ又は複数のシステイン残基を有するFab断片である。
「F(ab’)2断片」は、ヒンジ領域で、重鎖間のジスルフィド架橋によって連結されている2つのFab’断片を含む二価の断片である。
「Fv」断片は、抗体由来の完全抗原認識及び結合部位を含有する最小の断片である。この断片は、緊密な非共有会合での、1つの免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)の二量体からなる。この構成において、各可変領域の3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面に抗原結合部位を規定する。単一の軽鎖又は重鎖の可変領域(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFv断片の半分)は、抗原を認識し、結合する能力を有するが、VH及びVLの両方を含む結合部位全体よりも親和性は低い。
「単鎖可変抗体断片」又は「scFv断片」は、抗体のVH領域及びVL領域を含み、これらの領域は、単一のポリペプチド鎖に存在し、任意選択により、Fvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするペプチドリンカーをVH領域とVL領域との間に含む(例えば、Bird et al.,Science,Vol.242:423-426,1988;及びHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.85:5879-5883,1988を参照されたい)。
「ナノボディ」は、重鎖抗体の重鎖可変領域である。そのような可変ドメインは、そのような重鎖抗体の完全に機能的な最小の抗原結合性断片であり、分子質量は、わずか15kDaである。Cortez-Retamozo et al.,Cancer Research 64:2853-57,2004を参照されたい。軽鎖を欠く機能的重鎖抗体は、特定の種の動物、例えばコモリザメ、テンジクザメ並びにラクダ科(Camelidae)、例えばラクダ、ヒトコブラクダ、アルパカ及びラマでは天然に生じる。これらの動物において、抗原結合部位は、単一ドメインであるVHHドメインになる。これらの抗体は、重鎖可変領域のみを使用して抗原結合領域を形成する。すなわち、これらの機能的抗体は、構造H2L2を有するのみの重鎖のホモ二量体(「重鎖抗体」又は「HCAbs」と称する)である。ラクダ化VHHは、報告によれば、ヒンジドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含有し、CH1ドメインを欠くIgG2定常領域及びIgG3定常領域と再結合する。ラクダ化VHHドメインは、抗原に高親和性で結合し(Desmyter et al.,J.Biol.Chem.,Vol.276:26285-90,2001)、溶液で高い安定性を有する(Ewert et al.,Biochemistry,Vol.41:3628-36,2002)ことが判明している。ラクダ化重鎖を有する抗体を生成する方法は、例えば、米国特許公報第2005/0136049号明細書及び同第2005/0037421号明細書に記載されている。別の足場は、サメV-NAR足場とより密接に適合するヒト可変様ドメインから作製することができ、長い貫通性のループ構造のフレームワークを提供し得る。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の結合ドメインは、所望の抗原に特異的に結合する抗体又は抗体断片の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含む。例えば、本発明の二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインは、標的癌細胞抗原に特異的に結合する抗体、例えば、本明細書に記載の抗癌細胞抗原抗体又はその断片のいずれかに由来するVH領域及びVL領域を含み、抗CD3結合ドメインは、CD3に特異的に結合する抗体、例えば、本明細書に記載の抗CD3抗体又はその断片のいずれかに由来するVH領域及びVL領域を含む。ヒト癌細胞抗原又はヒトCD3に特異的に結合する結合ドメインは、これらの抗原に対する既知の抗体或いは抗原タンパク質若しくはその断片を使用する新規な免疫化法、ファージディスプレイ又は当秘術分野で知られた他の方法により得られる新規な抗体又は抗体断片に由来するものであり得る。二重特異性T細胞誘導分子の結合ドメインの起源である抗体は、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト抗体又はヒト化抗体であり得る。特定の実施形態では、結合ドメインの起源である抗体は、モノクローナル抗体である。これらの実施形態又は他の実施形態では、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体であり、IgG1型、IgG2型、IgG3型又はIgG4型のものであり得る。
本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインは、標的癌細胞抗原、好ましくはヒト標的癌細胞抗原に特異的に結合する。この結合ドメインは、本明細書では抗癌細胞抗原結合ドメインと称される。「標的癌細胞抗原」という用語は、悪性細胞、腫瘍細胞又は他のタイプの癌性細胞の表面に発現する抗原を指す。標的癌細胞抗原は、癌細胞においてのみ発現するか、又は正常細胞と比較して癌細胞において過剰発現し得る。標的癌細胞抗原には、癌細胞で発現するが、正常細胞で発現しないタンパク質の変異型又は異常型も含まれ得る。標的癌細胞抗原の例としては、以下に限定されないが、5T4、AFP、BCMA、ベータ-カテニン、BRCA1、CD19、CD20、CD22、CD33、CD70、CD123、CDH3、CDH19、CDK4、CEA、CLDN18.2、DLL3、DLL4、EGFR、EGFRvIII、EpCAM、EphA2、FLT3、FOLR1、gpA33、GPRC5D、HER2、IGFR、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、MAGE-6、MAGE-12、MSLN、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5、MUC16、MUC17、PSCA、PSMA、RAGEタンパク質、STEAP1、STEAP2、TRP1及びTRP2が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、MUC17、CLDN18.2、CD19、CD33、FLT3、DLL3、BCMA及びPSMAから選択される標的癌細胞抗原に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、CD19(分化抗原19)、好ましくはヒトCD19に特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗CD19抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2010/052014号パンフレット、国際公開第2015/109131号パンフレット、国際公開第2017/134140号パンフレット及び国際公開第2020/018922号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の抗CD19結合ドメインは、ヒトCD19に特異的に結合する抗体由来の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含み得る。本明細書において「可変ドメイン」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))と互換的に使用される「可変領域」は、抗体の抗原への結合に直接関与する、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖のそれぞれにおける領域を指す。上記のように、可変軽鎖及び可変重鎖の領域は、同じ一般構造を有し、各領域は4つのフレームワーク(FR)領域を含み、それらの配列は、広く保存され、3つのCDRによって連結されている。フレームワーク領域は、ベータ-シート構造を採用し、CDRは、ベータ-シート構造を接続するループを形成し得る。各鎖中のCDRは、フレームワーク領域によってそれらの三次元構造中に保持され、他方の鎖のCDRと共に抗原結合部位を形成する。したがって、特定の実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗CD19結合ドメインは、配列番号1の配列を有するCDRH1、配列番号2の配列を有するCDRH2及び配列番号3の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号5の配列を有するCDRL1、配列番号6の配列を有するCDRL2及び配列番号7の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗CD19結合ドメインは、(i)配列番号4の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号4の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号4の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗CD19結合ドメインは、(i)配列番号8の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号8の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号8の配列を含むVL領域を含む。1つの特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CD19結合ドメインは、配列番号4の配列を含むVH領域と、配列番号8の配列を含むVL領域とを含む。別の特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CD19結合ドメインは、配列番号9の配列を含む。
他の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、CD33(分化抗原33;シアル酸結合Ig様レクチン3(SIGLEC3)としても知られる)、好ましくはヒトCD33に特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗CD33抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2008/119567号パンフレット、国際公開第2012/045752号パンフレット、国際公開第2016/004108号パンフレット、国際公開第2017/134140号パンフレット及び国際公開第2019/224711号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗CD33結合ドメインは、配列番号11の配列を有するCDRH1、配列番号12の配列を有するCDRH2及び配列番号13の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号15の配列を有するCDRL1、配列番号16の配列を有するCDRL2及び配列番号17の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗CD33結合ドメインは、(i)配列番号14の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号14の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号14の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗CD33結合ドメインは、(i)配列番号18の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号18の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号18の配列を含むVL領域を含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CD33結合ドメインは、配列番号14の配列を含むVH領域と、配列番号18の配列を含むVL領域とを含む。特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CD33結合ドメインは、配列番号19の配列を含む。
さらに他の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、FLT3(fms様チロシンキナーゼ3;分化抗原クラスター135(CD135)としても知られる)、好ましくはヒトFLT3に特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗FLT3抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2017/021362号パンフレット及び国際公開第2017/134140号パンフレットに記載されており、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗FLT3結合ドメインは、配列番号21の配列を有するCDRH1、配列番号22の配列を有するCDRH2及び配列番号23の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号25の配列を有するCDRL1、配列番号26の配列を有するCDRL2及び配列番号27の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗FLT3結合ドメインは、(i)配列番号24の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号24の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号24の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗FLT3結合ドメインは、(i)配列番号28の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号28の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号28の配列を含むVL領域を含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗FLT3結合ドメインは、配列番号24の配列を含むVH領域と、配列番号28の配列を含むVL領域とを含む。特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗FLT3結合ドメインは、配列番号29の配列を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、DLL3(デルタ様リガンド3)、好ましくはヒトDLL3に特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗DLL3抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2013/126746号パンフレット、国際公開第2017/021349号パンフレット、国際公開第2017/134140号パンフレット、国際公開第2019/234220号パンフレット及び国際公開第2020/069028号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗DLL3結合ドメインは、配列番号31の配列を有するCDRH1、配列番号32の配列を有するCDRH2及び配列番号33の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号35の配列を有するCDRL1、配列番号36の配列を有するCDRL2及び配列番号37の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗DLL3結合ドメインは、(i)配列番号34の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号34の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号34の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗DLL3結合ドメインは、(i)配列番号38の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号38の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号38の配列を含むVL領域を含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗DLL3結合ドメインは、配列番号34の配列を含むVH領域と、配列番号38の配列を含むVL領域とを含む。特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗DLL3結合ドメインは、配列番号39の配列を含む。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、BCMA(B細胞成熟抗原)、好ましくはヒトBCMAに特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗BCMA抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2013/072415号パンフレット、国際公開第2017/031104号パンフレット、国際公開第2017/134134号パンフレット、国際公開第2018/119215号パンフレット、国際公開第2019/075378号パンフレット、国際公開第2019/164891号パンフレット及び国際公開第2020/018820号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗BCMA結合ドメインは、配列番号41の配列を有するCDRH1、配列番号42の配列を有するCDRH2及び配列番号43の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号45の配列を有するCDRL1、配列番号46の配列を有するCDRL2及び配列番号47の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗BCMA結合ドメインは、(i)配列番号44の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号44の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号44の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗BCMA結合ドメインは、(i)配列番号48の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号48の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号48の配列を含むVL領域を含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗BCMA結合ドメインは、配列番号44の配列を含むVH領域と、配列番号48の配列を含むVL領域とを含む。特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗BCMA結合ドメインは、配列番号49の配列を含む。
特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、好ましくはヒトPSMAに特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗PSMA抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2010/037836号パンフレット、国際公開第2017/023761号パンフレット、国際公開第2017/121905号パンフレット、国際公開第2017/134158号パンフレット、国際公開第2018/098356号パンフレット、国際公開第2019/092452号パンフレット、国際公開第2019/224718号パンフレット及び国際公開第2019/246514号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗PSMA結合ドメインは、配列番号51の配列を有するCDRH1、配列番号52の配列を有するCDRH2及び配列番号53の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号55の配列を有するCDRL1、配列番号56の配列を有するCDRL2及び配列番号57の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗PSMA結合ドメインは、(i)配列番号54の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号54の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号54の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗PSMA結合ドメインは、(i)配列番号58の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号58の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号58の配列を含むVL領域を含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗PSMA結合ドメインは、配列番号54の配列を含むVH領域と、配列番号58の配列を含むVL領域とを含む。特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗PSMA結合ドメインは、配列番号59の配列を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、CLDN18.2(タイトジャンクション分子クローディン-18アイソフォーム2)、好ましくはヒトCLDN18.2に特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗CLDN18.2抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2007/059997号パンフレット、国際公開第2013/174509号パンフレット、国際公開第2014/127906号パンフレット、国際公開第2014/146778号パンフレット、国際公開第2014/075788号パンフレット及び国際公開第2020/025792に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗CLDN18.2結合ドメインは、配列番号149の配列を有するCDRH1、配列番号150の配列を有するCDRH2及び配列番号151の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号154の配列を有するCDRL1、配列番号155の配列を有するCDRL2及び配列番号156の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。関連する態様において、二重特異性T細胞誘導分子の抗CLDN18.2結合ドメインは、(i)配列番号152若しくは配列番号153の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号152若しくは配列番号153の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号152若しくはハイ153の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗CLDN18.2結合ドメインは、(i)配列番号157の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号157の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号157の配列を含むVL領域を含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CLDN18.2結合ドメインは、配列番号152の配列を含むVH領域と、配列番号157の配列を含むVL領域とを含む。特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CLDN18.2結合ドメインは、配列番号153の配列を含むVH領域と、配列番号157の配列を含むVL領域とを含む。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CLDN18.2結合ドメインは、配列番号158の配列を含む。他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗CLDN18.2結合ドメインは、配列番号159の配列を含む。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1のドメインは、MUC17(ムチン17)、好ましくはヒトMUC17に特異的に結合する。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗MUC17抗体又は結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2019/133961号パンフレット及び米国特許第8,546,546号明細書に記載されており、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子の抗MUC17結合ドメインは、配列番号162の配列を有するCDRH1、配列番号163の配列を有するCDRH2及び配列番号164の配列を有するCDRH3を含むVH領域と、配列番号166の配列を有するCDRL1、配列番号167の配列を有するCDRL2及び配列番号168の配列を有するCDRL3を含むVL領域とを含む。関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗MUC17結合ドメインは、(i)配列番号165の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号165の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号165の配列を含むVH領域を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗MUC17結合ドメインは、(i)配列番号169の配列と少なくとも90%同一である配列、(ii)配列番号169の配列と少なくとも95%同一である配列、又は(iii)配列番号169の配列を含むVL領域を含む。特定の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗MUC17結合ドメインは、配列番号165の配列を含むVH領域と、配列番号169の配列を含むVL領域とを含む。特定の他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子の抗MUC17結合ドメインは、配列番号170の配列を含む。
用語「同一性」は、本明細書で使用される場合、配列を整列させ、比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。「同一性パーセント」は、本明細書中で使用される場合、比較する分子中のアミノ酸又はヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較する分子の最小の大きさに基づいて計算される。これらの計算のために、アラインメントにおけるギャップ(存在する場合)に特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって対処しなければならない。整列させた核酸又はポリペプチドの同一性を計算するために使用され得る方法としては、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press;及びCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載のものが挙げられる。例えば、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置の類似性を比較するために一般に使用されている標準的な方法によって決定することができる。BLAST又はFASTAなどのコンピュータプログラムを用いて、2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチド配列を、それらのそれぞれの残基が最適に一致するように整列させる(一方若しくは両方の配列の全長に沿って又は一方若しくは両方の配列の所定の部分に沿って)。プログラムは、デフォルトの開始ペナルティ及びデフォルトのギャップペナルティを提供し、PAM 250(Dayhoff et al.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,supp.3,1978)又はBLOSUM62(Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919)などのスコアリングマトリックスをコンピュータプログラムと共に使用し得る。次いで、例えば、同一性パーセントを次のように計算することができる:完全一致の総数に100を掛け、次いで、2つの配列を整列させるために、一致したスパン内のより長い配列の長さと、より長い配列に導入されたギャップの数との合計で割る。同一性パーセントの算出では、比較される配列は、これらの配列間のマッチを最大化するように整列させる。
GCGプログラムパッケージは、同一性パーセントを決定するために使用し得るコンピュータプログラムであり、このパッケージには、GAPが含まれる(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)。コンピュータアルゴリズムGAPは、配列同一性パーセントを決定しようとする2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチドを整列させるために使用される。配列は、それらのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドが最適に一致するように並べられる(アルゴリズムによって決定される「一致スパン」)。このアルゴリズムと共に、ギャップ開始ペナルティ(3×平均対角として算出される。ここで、「平均対角」は、使用される比較マトリックスの対角の平均であり;「対角」は、特定の比較マトリックスによりそれぞれの完全アミノ酸マッチに割り当てられるスコア又は数である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップ開始ペナルティの1/10倍である)並びにPAM 250又はBLOSUM 62などの比較マトリックスが使用される。特定の実施形態では、このアルゴリズムにより、標準比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスに関しては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352を参照されたい;BLOSUM 62比較マトリックスに関しては、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919を参照されたい)も使用される。
GAPプログラムを用いてポリペプチド又はヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するために推奨されるパラメータには、以下が含まれる:
アルゴリズム:Needleman et al.1970,J.Mol.Biol.48:443-453;
比較マトリックス:Henikoff et al.,1992(上記)のBLOSUM 62;
ギャップペナルティ:12(ただし、エンドギャップに対するペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0。
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定のアラインメントスキームは、これら2つの配列の短い領域のみのマッチングをもたらし得、この整列させた小さい領域は、2つの完全長配列間に有意な関係がないにもかかわらず、非常に高い配列同一性を有し得る。したがって、選択されたアラインメント方法(GAPプログラム)を、必要に応じて調節して、標的ポリペプチドの少なくとも50個の連続するアミノ酸にわたるアラインメントをもたらすことができる。
本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第2の結合ドメインは、CD3、好ましくはヒトCD3に特異的に結合する。この結合ドメインは、本明細書では抗CD3結合ドメインと称される。「CD3」(分化抗原3)は、4つの鎖で構成されるT細胞共受容体である。哺乳類では、CD3タンパク質複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖、CD3δ(デルタ)鎖及び2つのCD3ε(イプシロン)鎖を含有する。これらの4つの鎖がT細胞受容体(TCR)及びいわゆるζ(ゼータ)鎖と結び付いて「T細胞受容体複合体」を形成し、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。CD3γ(ガンマ)、CD3δ(デルタ)及びCD3ε(イプシロン)鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連性のある細胞表面タンパク質であり、それぞれが単一の細胞外免疫グロブリンドメインを含有する。CD3分子の細胞内テールは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)として知られる単一の保存モチーフを含有し、これは、TCRのシグナル伝達能に必須である。CD3イプシロン分子は、ヒトの第11染色体に存在するCD3E遺伝子によってコードされるポリペプチドである。
T細胞上のCD3及び標的細胞(例えば、腫瘍細胞)上の標的タンパク質(例えば、癌細胞抗原)に結合するT細胞誘導分子によるT細胞の動員によってリダイレクトされた標的細胞の溶解には、通常、細胞溶解性シナプス形成並びにパーフォリン及びグランザイムの送達が関与する。誘導されたT細胞は、連続的な標的細胞の溶解が可能であり、ペプチド抗原のプロセシング及び提示又はクローナルなT細胞分化を妨げる免疫回避機構による影響を受けない(例えば、国際公開第2007/042261号パンフレットを参照されたい)。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第2の結合ドメインは、T細胞表面のCD3、より好ましくはT細胞の表面のヒトCD3に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の第2の結合ドメインは、CD3のイプシロン、好ましくはヒトCD3のイプシロン、例えば、T細胞表面のヒトCD3イプシロンに特異的に結合する。ヒトCD3イプシロンの細胞外ドメインの例示的なアミノ酸配列は、配列番号61に示される。
本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第2の結合ドメインが構築又は誘導され得る抗CD3抗体又は抗CD3結合ドメインの例は、国際公開第2007/042261号パンフレット、国際公開第2008/119567号パンフレット、国際公開第2017/053856号パンフレット、国際公開第2017/201493号パンフレット、国際公開第2017/223111号パンフレット、国際公開第2018/052503号パンフレット及び国際公開第2019/224717号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の第2のドメインは、ヒトCD3イプシロンの細胞外ドメイン中のエピトープ(例えば、配列番号61の配列を含むポリペプチド内のエピトープ)に特異的に結合する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法における使用に好適な二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域と、CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域とを含み、
(a)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号82、83及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号62、63及び64の配列を有するか、
(b)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号82、83及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号65、66及び67の配列を有するか、
(c)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号82、83及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号68、69及び70の配列を有するか、
(d)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号82、83及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号71、69及び72の配列を有するか、
(e)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号85、86及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号74、75及び77の配列を有するか、
(f)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号82、83及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号65、63及び73の配列を有するか、
(g)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号85、86及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号78、79及び80の配列を有するか、
(h)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号82、83及び84の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号74、75及び76の配列を有するか、
(i)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号87、83及び88の配列を有し、且つCDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号68、69及び81の配列を有するか、又は
(j)CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号87、83及び88の配列を有し、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号65、66及び67の配列を有する。
好ましい実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、(i)配列番号87の配列を有するCDRL1、配列番号83の配列を有するCDRL2及び配列番号88の配列を有するCDRL3を含む軽鎖可変領域と、(ii)配列番号65の配列を有するCDRH1、配列番号66の配列を有するCDRH2及び配列番号67の配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域とを含む。
本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98~100から選択される配列を含む軽鎖可変領域及び/又は配列番号89~97から選択される配列を含む重鎖可変領域並びにこれらの軽鎖及び重鎖可変領域の結合断片、誘導体及びバリアントを含み得る。配列番号98~100に記載の軽鎖可変領域のそれぞれは、配列番号89~97に記載の重鎖可変領域のいずれかと組み合わされて、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインを形成し得る。特定の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号89の配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号90の配列を含む重鎖可変領域とを含む。他の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号91の配列を含む重鎖可変領域とを含む。さらに他の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号92の配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号99の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号95の配列を含む重鎖可変領域とを含む。
特定の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号93の配列を含む重鎖可変領域とを含む。一実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号99の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号96の配列を含む重鎖可変領域とを含む。別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号94の配列を含む重鎖可変領域とを含む。好ましい実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号100の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号90の配列を含む重鎖可変領域とを含む。別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号100の配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号97の配列を含む重鎖可変領域とを含む。
いくつかの実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98~100に記載の軽鎖可変領域と1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸残基のみで異なる連続するアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域を含み、そのような配列の相違は、それぞれ独立して、1つのアミノ酸の欠失、挿入又は置換であり、欠失、挿入及び/又は置換は、前述の可変ドメイン配列に対して15以下のアミノ酸の変化をもたらす。いくつかの抗CD3結合ドメイン中の軽鎖可変領域は、配列番号98~100のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
一実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子抗CD3結合ドメインは、配列番号98~100から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む軽鎖可変領域を含む。別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子抗CD3結合ドメインは、配列番号98~100から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む軽鎖可変領域を含む。さらに別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号98~100から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む。
これらの実施形態及び他の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号89~97に記載の重鎖可変領域と1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸残基のみで異なる連続するアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域を含み、そのような配列の相違は、それぞれ独立して、1つのアミノ酸の欠失、挿入又は置換であり、欠失、挿入及び/又は置換は、前述の可変ドメイン配列に対して15以下のアミノ酸の変化をもたらす。いくつかの抗CD3結合ドメイン中の重鎖可変領域は、配列番号89~97のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
一実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子抗CD3結合ドメインは、配列番号89~97から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子抗CD3結合ドメインは、配列番号89~97から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む重鎖可変領域を含む。さらに別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインは、配列番号89~97から選択される配列を含む重鎖可変領域を含む。
特定の実施形態によれば、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子の1つ又は複数の結合ドメインは、scFvの形式である。scFvにおいて、VH領域及びVL領域は、VH-VL又はVL-VHの順に(N末端からC末端に)配置される。第1及び/又は第2の結合ドメインのVH領域及びVL領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結されていることが想定される。第1及び/又は第2のドメインの一実施形態では、VH領域はリンカーのN末端に位置し、VL領域はリンカーのC末端に位置する。リンカーは、好ましくはペプチドリンカーであり、より好ましくは短鎖ペプチドリンカーである。好適なリンカーの例としては、配列番号111~124に記載の配列を含むリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。
これに関連して、「短い」リンカーは、2~50個のアミノ酸、好ましくは3~35個のアミノ酸、4~30個のアミノ酸、5~25個のアミノ酸、6~20個のアミノ酸又は6~17個のアミノ酸を有する。1つの結合ドメインの2つの可変領域間のリンカーは、2つの結合ドメイン間のリンカーと異なる長さを有し得る(例えば、より長い場合がある)。例えば、一方又は両方の結合ドメインの2個の可変領域間のリンカーは、8~16アミノ酸、好ましくは10~15の長さを有し得、2個の結合ドメイン間のリンカーは、3~10アミノ酸、好ましくは5~8の長さを有し得る。さらに、ペプチドリンカーは、配列番号112~116及び118~124に示されるものなど、グリシン/セリンリンカーであることが想定される。一実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメイン及び/又は抗CD3結合ドメインは、N末端からC末端にかけて、VH領域-ペプチドリンカー-VL領域を含むscFvであり、ペプチドリンカーは配列番号119に記載のリンカーなどのグリシン-セリンリンカーを含む。別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメイン及び/又は抗CD3結合ドメインは、N末端からC末端にかけて、VL領域-ペプチドリンカー-VH領域を含むscFvであり、ペプチドリンカーは配列番号119に記載のリンカーなどのグリシン-セリンリンカーを含む。関連する実施形態では、抗癌細胞抗原結合ドメインと抗CD3結合ドメイン(例えば、scFvドメイン)との間のペプチドリンカーは、配列番号112又は配列番号115に記載のリンカーである。特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインはscFvドメインであり、配列番号9、配列番号19、配列番号29、配列番号39、配列番号49、配列番号59、配列番号158、配列番号159及び配列番号170から選択される配列を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の抗CD3結合ドメインはscFvドメインであり、配列番号101~110から選択される配列を含む。
特定の実施形態では、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子は、ヒト標的癌細胞抗原に特異的に結合し、配列番号9、配列番号19、配列番号29、配列番号39、配列番号49、配列番号59、配列番号158、配列番号159及び配列番号170のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有する第1の結合ドメインと、ヒトCD3に特異的に結合し、配列番号101~110のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有する第2の結合ドメインとを含む。好ましい実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメイン(例えば、抗癌細胞抗原結合ドメイン)は配列番号49のアミノ酸配列を含み、二重特異性T細胞誘導分子の第2の結合ドメイン(例えば、抗CD3結合ドメイン)は配列番号110のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子の第1の結合ドメイン(例えば、抗癌細胞抗原結合ドメイン)は配列番号59のアミノ酸配列を含み、二重特異性T細胞誘導分子の第2の結合ドメイン(例えば、抗CD3結合ドメイン)は配列番号110のアミノ酸配列を含む。
本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号9、配列番号19、配列番号29、配列番号39、配列番号49、配列番号59、配列番号158、配列番号159及び配列番号170に示される抗癌細胞抗原scFv結合ドメインのいずれかを、配列番号101~110に示される抗CD3 scFv結合ドメインのいずれかと組み合わされて含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号9、配列番号19、配列番号29、配列番号39、配列番号49、配列番号59、配列番号158、配列番号159又は配列番号170に示される抗癌細胞抗原scFv結合ドメインと、配列番号101~110に示される抗CD3 scFv結合ドメインとを含み、抗癌細胞抗原scFv結合ドメインは、本明細書に記載されるペプチドリンカーなどのペプチドリンカーを介して抗CD3 scFv結合ドメインに連結される。特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、抗癌細胞抗原scFv結合ドメイン、ペプチドリンカー及び抗CD3 scFv結合ドメインを含む。いくつかのそのような実施形態では、ペプチドリンカーは、配列番号112又は配列番号115の配列を含む。
本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子は、好ましくは、例えば分子の薬物動態プロファイルを調節することができる追加のドメインを含む。例えば、二重特異性T細胞誘導分子は、分子の排出半減期を増加させるドメイン又は部分をさらに含み得る。排出半減期は、血漿中の薬物濃度又は体内の総量が50%減少するのにかかる時間を指す。したがって、1回の半減期後、体内の薬物の濃度は、開始用量の半分となる。好ましくは、二重特異性T細胞誘導分子は、24時間を超える、48時間を超える、72時間を超える、5日を超える、7日を超える、10日を超える、14日を超える又は21日を超える分子の半減期を提供する半減期延長部分を含む。したがって、本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子は、約2日~約21日、約3日~約14日、約5日~約15日、約3日~約7日又は約2日~約5日の半減期を有し得る。本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子に組み込まれ得る半減期延長部分の例としては、免疫グロブリンFcドメイン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)に由来するドメイン又はアルブミン結合ドメイン(例えば、ヒトアルブミン結合ペプチドを含む)、胎児性Fc受容体(FcRn)に結合するペプチド及びポリエチレングリコールポリマーを挙げ得るが、これらに限定されない。二重特異性T細胞誘導分子に組み込むことができるヒト血清アルブミン又はそのバリアントに由来するドメインの例は、例えば、国際公開第2011/051489号パンフレット、国際公開第2012/059486号パンフレット、国際公開第2013/075066号パンフレット、国際公開第2013/135896号パンフレット及び国際公開第2014/072481に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子に組み込まれる半減期延長部分は、アルブミン結合ドメイン、例えば、血清アルブミンに特異的に結合するアルブミン結合ペプチド又は抗体断片(例えば、単一ドメイン抗体又はscFvドメイン)を含むドメインである。本発明の方法における使用に適した二重特異性T細胞誘導分子に組み込まれ得るアルブミン結合ドメインの例は、例えば、国際公開第2013/128027号パンフレット、国際公開第2014/140358号パンフレット及び国際公開第2017/201488号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は、免疫グロブリンFcドメインを含む。免疫グロブリンFcドメインは、1つ以上のFcモノマーを含み得る。各「Fcモノマー」は、典型的には、免疫グロブリン分子由来の少なくともCH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。Fc単量体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4免疫グロブリン由来のCH2及びCH3ドメインを含み得る。一例として、CH2ドメインは、IgG1免疫グロブリンの231~340位のアミノ酸を含み、CH3ドメインはIgG1免疫グロブリンの341~446位のアミノ酸を含む。ここで、アミノ酸の番号付けは、Edelman et al.,Proc.Natl.Acad.USA,Vol.63:78-85(1969)及びKabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health Publication No.91-3242,Bethesda,MD(1991)に記載のEU番号付けシステムによる。CH2ドメインとCH3ドメインとの境界は、IgGアイソフォーム毎にわずかに異なり得るが、IgG2、IgG3及びIgG4におけるCH2及びCH3ドメインは、IgG1におけるCH2及びCH3ドメインとのアラインメントによって確認することができる。
いくつかの実施形態では、Fcモノマーは、免疫グロブリンヒンジ領域又はその一部を含み得る。免疫グロブリンヒンジ領域は、典型的には、IgG免疫グロブリンの216~231位のアミノ酸(EU番号付けシステムによる)によって定義される領域である。特定の実施形態では、Fcモノマーは、IgG1免疫グロブリン又はその一部由来のヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、IgG1領域は、アミノ酸配列DKTHTCPPCP(配列番号125)又はEPKSCDKTHTCPPCP(配列番号126)を含む。他の実施形態では、Fcモノマーは、配列ERKCCVECPPCP(配列番号127)を有するIgG2ヒンジ領域、配列ELKTPLDTTHTCPRCP(配列番号128)、EPKSCDTPPPCPRCP(配列番号129)若しくはELKTPLGDTTHTCPRCP(配列番号130)を有するIgG3ヒンジ領域又は配列ESKYGPPCPSCP(配列番号131)を有するIgG4ヒンジ領域を含む。特定の実施形態では、Fcモノマーは、アミノからカルボキシルの順に、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリンCH2ドメイン及び免疫グロブリンCH3ドメインを含む。
特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、1つのFcモノマーを有するFcドメインを含む。代替の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、2つ以上のFcモノマーを有するFcドメインを含む。例えば、一実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は、2つのFcモノマーを有するFcドメインを含む。2つのFcモノマーは別々のポリペプチド鎖上に存在し、会合して、例えば、非共有相互作用及び/又はジスルフィド結合を介して(例えば、Fcモノマーのヒンジ領域中のシステイン残基間で)、二量体を形成し得る。別の実施形態では、2つのFcモノマーは、ペプチドリンカー、好ましくはFcモノマーが会合して鎖内二量体を形成することを可能にするのに十分な長さのリンカーを介して互いに融合される。単一のポリペプチド鎖を形成するための2つのFcモノマーの融合は、本明細書では単鎖Fcドメイン(scFcドメイン)と称し、以下でより詳細に説明する。
Fcモノマーが互いに融合して単鎖Fcドメインを形成するペプチドリンカーは、好ましくは、少なくとも25個のアミノ酸残基(例えば、25、26、27、28、29、30個又はそれを超える)を含む。より好ましくは、このペプチドリンカーは、少なくとも30アミノ酸残基(30、31、32、33、34、35個又はそれを超える)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、最大40個のアミノ酸残基、より好ましくは最大35個のアミノ酸残基、より一層好ましくは30個のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、グリシン-セリン残基、例えば、アミノ酸配列Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号112)の反復を含む。そのような実施形態では、ペプチドリンカーは、(Gly4Ser)xを含み、ここで、xは、5以上の整数(例えば、6、7又は8)である。好ましくは、整数は、6又は7であり、より好ましくは、整数は、6である。1つの特定の実施形態では、2つのFcモノマーを連結して単鎖Fcドメインを形成するために使用されるペプチドリンカーは、配列番号122の配列を含む。
Fcモノマーは、例えば、エフェクター機能を調節するか、グリコシル化を変更するか又は安定性を増強するために、天然のCH2又はCH3の免疫グロブリンアミノ酸配列と比較して1つ又は複数のアミノ酸置換を含有し得る。例えば、一実施形態では、EU番号付けによるアミノ酸297位のCH2ドメインのグリコシル化部位が、この位置のアスパラギン残基を異なるアミノ酸に置換することによって除かれる。いくつかの実施形態では、N297G置換が好ましい。安定性増強変異は、CH2及び/又はCH3ドメイン中の1つ又は複数のアミノ酸をシステイン残基で置換して、ジスルフィド結合形成を促進することを含む。好ましくは、残基の特定の対は、互いにジスルフィド結合を優先的に形成するようにシステインで置換され、このため、ジスルフィド結合のスクランブルが制限又は防止される。好ましい対としては、以下に限定されないが、A287C及びL306C、V259C及びL306C、R292C及びV302C並びにV323C及びI332Cが挙げられる(これらのアミノ酸位置は、EU番号付けシステムに従って番号付けされている)。1つの特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のFcドメインに組み込まれるFcモノマーは、N297G、R292C及びV302C置換を含む(これらのアミノ酸位置は、EU番号付けシステムに従って番号付けされている)。
特定の実施形態では、本発明の方法に使用される二重特異性T細胞誘導分子は、単鎖FcドメインであるFcドメインを含む。したがって、特定のそのような実施形態では、Fcドメインは、2つのFcモノマーを含み、各モノマーは、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリンCH2ドメイン及び免疫グロブリンCH3ドメインを含み、2つのFcモノマーは、本明細書に記載されるペプチドリンカーを介して互いに融合されている。Fcモノマーの例示的なアミノ酸配列を配列番号132~139に示し、単鎖Fc(scFc)ドメインの例示的なアミノ酸配列を配列番号140~148に示す。いくつか実施形態では、FcドメインのFcモノマーのそれぞれは、配列番号132~139から選択される配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、FcドメインのFcモノマーのそれぞれは、配列番号132~139から選択されるアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態では、FcドメインのFcモノマーのそれぞれは、配列番号132のアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、FcドメインのFcモノマーのそれぞれは、配列番号133のアミノ酸配列を含む。
本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子のFcドメインは、配列番号140~148に示されるscFcドメインのいずれかの配列又はこれらのscFcドメインのバリアントを含み得る。一実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号140~148から選択される配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むFcドメインを含む。別の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号140~148から選択されるアミノ酸配列を含むFcドメインを含む。好ましい実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号140のアミノ酸配列を含むFcドメインを含む。別の好ましい実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号141のアミノ酸配列を含むFcドメインを含む。さらに別の好ましい実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号148のアミノ酸配列を含むFcドメインを含む。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、
(i)第1の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH1)及び第1の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL1)を含む、標的癌細胞抗原(例えば、ヒト癌細胞抗原)に特異的に結合する第1のドメイン、
(ii)第2の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH2)及び第2の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL2)を含む、CD3(例えば、ヒトCD3)に特異的に結合する第2のドメイン、及び
(iii)2つのFcモノマーを含むFcドメイン
を含む。
いくつかの実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、
(i)CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含むVH1並びにCDRL1、CDRL2及びCDRL3を含むVL1を含む標的癌細胞抗原に特異的に結合する第1のドメイン(ここで、
(a)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号1、2及び3の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号5、6及び7の配列を有するか、
(b)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号11、12及び13の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号15、16及び17の配列を有するか、
(c)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号21、22及び23の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号25、26及び27の配列を有するか、
(d)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号31、32及び33の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号35、36及び37の配列を有するか、
(e)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号41、42及び43の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号45、46及び47の配列を有するか、
(f)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号51、52及び53の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号55、56及び57の配列を有するか、
(g)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号149、150及び151の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号154、155及び156の配列を有するか、又は
(h)CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号162、163及び164の配列を有し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号166、167及び168の配列を有する)、
(ii)配列番号65の配列を有するCDRH1、配列番号66の配列を有するCDRH2及び配列番号67の配列を有するCDRH3を含むVH2と、配列番号87の配列を有するCDRL1、配列番号83の配列を有するCDRL2及び配列番号88の配列を有するCDRL3を含むVL2とを含む、ヒトCD3に特異的に結合する第2のドメイン、及び
(iii)2つのFcモノマーを含むFcドメインであって、各モノマーは、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、前記2つのモノマーは、ペプチドリンカーを介して互いに融合されている、Fcドメイン
を含む。
関連する実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、
(i)VH1及びVL1を含む標的癌細胞抗原に特異的に結合する第1のドメイン(ここで、
(a)VH1は、配列番号4の配列を含み、及びVL1は、配列番号8の配列を含むか、
(b)VH1は、配列番号14の配列を含み、及びVL1は、配列番号18の配列を含むか、
(c)VH1は、配列番号24の配列を含み、及びVL1は、配列番号28の配列を含むか、
(d)VH1は、配列番号34の配列を含み、及びVL1は、配列番号38の配列を含むか、
(e)VH1は、配列番号44の配列を含み、及びVL1は、配列番号48の配列を含むか、
(f)VH1は、配列番号54の配列を含み、及びVL1は、配列番号58の配列を含むか、
(g)VH1は、配列番号152の配列を含み、及びVL1は、配列番号157の配列を含むか、
(h)VH1は、配列番号153の配列を含み、及びVL1は、配列番号157の配列を含むか、又は
(i)VH1は、配列番号165の配列を含み、及びVL1は、配列番号169の配列を含む)、
(ii)配列番号90の配列を含むVH2及び配列番号100の配列を含むVL2を含む、ヒトCD3に特異的に結合する第2のドメイン、及び
(iii)2つのFcモノマーを含むFcドメインであって、各モノマーは、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、前記2つのモノマーは、ペプチドリンカーを介して互いに融合されている、Fcドメイン
を含む。
特定の実施形態では、本明細書に記載されるものなどのペプチドリンカーは、第1のドメインを第2のドメインに、且つ/又は第2のドメインをFcドメインに接続する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、
(i)標的癌細胞抗原(例えば、ヒト癌細胞抗原)に特異的に結合する第1のドメイン、
(ii)配列番号112、115、118及び119から選択されるアミノ酸配列を有する第1のペプチドリンカー、
(iii)CD3(例えば、ヒトCD3)に特異的に結合する第2のドメイン、
(iv)配列番号111、115、118及び119から選択されるアミノ酸配列を有する第2のペプチドリンカー、
(v)第1のFcモノマー、
(vi)配列番号121~124から選択されるアミノ酸配列を有する第3のペプチドリンカー、及び
(vii)第2のFcモノマー
を含む。
他の実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、
(i)配列番号9、配列番号19、配列番号29、配列番号39、配列番号49、配列番号59、配列番号158、配列番号159及び配列番号170から選択されるアミノ酸配列を有する第1のドメイン(例えば、抗癌細胞抗原結合ドメイン)、
(ii)配列番号112、115、118及び119から選択されるアミノ酸配列を有する第1のペプチドリンカー、
(iii)配列番号101~110から選択されるアミノ酸配列を有する第2のドメイン(例えば、抗CD3結合ドメイン)、
(iv)配列番号111、115、118及び119から選択されるアミノ酸配列を有する第2のペプチドリンカー、
(v)配列番号132~139から選択されるアミノ酸配列を有する第1のFcモノマー、
(vi)配列番号121~124から選択されるアミノ酸配列を有する第3のペプチドリンカー、及び
(vii)配列番号132~139から選択されるアミノ酸配列を有する第2のFcモノマー
を含む。
いくつかの実施形態では、本発明による二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、
(i)配列番号9、配列番号19、配列番号29、配列番号39、配列番号49、配列番号59、配列番号158、配列番号159及び配列番号170から選択されるアミノ酸配列を有する第1のドメイン(例えば、抗癌細胞抗原結合ドメイン)、
(ii)配列番号112又は配列番号115のアミノ酸配列を有する第1のペプチドリンカー、
(iii)配列番号110のアミノ酸配列を有する第2のドメイン(例えば、抗CD3結合ドメイン)、
(iv)配列番号111又は配列番号112のアミノ酸配列を有する第2のペプチドリンカー、
(v)配列番号132のアミノ酸配列を有する第1のFcモノマー、
(vi)配列番号122又は配列番号123のアミノ酸配列を有する第3のペプチドリンカー、及び
(vii)配列番号132のアミノ酸配列を有する第2のFcモノマー
を含む。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用される二重特異性T細胞誘導分子は、単鎖ポリペプチド又は単鎖融合タンパク質である。本明細書で使用される場合、「単鎖ポリペプチド」又は「単鎖融合タンパク質」は、ただ1つのポリペプチド鎖からなる分子を指す。すなわち、二重特異性T細胞誘導分子中のドメインの全てが任意選択によりペプチドリンカーを介して連結されて、単一のポリペプチド鎖を形成している。本発明に関連して、そのような単鎖ポリペプチド又は単鎖融合タンパク質の一例は、アミノからカルボキシルの順に、抗癌細胞抗原scFvドメイン、第1のペプチドリンカー、抗CD3 scFvドメイン、第2のペプチドリンカー及びscFcドメインを含む単鎖ポリペプチドである。本発明の方法で使用され得る例示的な二重特異性単鎖ポリペプチド又は単鎖融合タンパク質は、配列番号10、配列番号20、配列番号30、配列番号40、配列番号50、配列番号60、配列番号160、配列番号161及び配列番号171に記載される。本発明の方法における使用に適した他の二重特異性単鎖ポリペプチド又は単鎖融合タンパク質は、国際公開第2017/021362号パンフレット、国際公開第2017/021349号パンフレット、国際公開第2017/134134号パンフレット、国際公開第2017/134140号パンフレット、国際公開第2017/134158号パンフレット、国際公開第2019/133961号パンフレット及び国際公開第2020/025792号パンフレットに記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様では、本発明の方法により患者に投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号10、配列番号20、配列番号30、配列番号40、配列番号50、配列番号60、配列番号160、配列番号161及び配列番号171から選択されるアミノ酸配列又はこれらの配列の1つのバリアントを含む。例えば、本発明の方法において用いられる二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号10、配列番号20、配列番号30、配列番号40、配列番号50、配列番号60、配列番号160、配列番号161又は配列番号171のいずれかと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、配列変化は、ペプチドリンカー領域及び/又は単鎖Fcドメインにおいて生じる。
一実施形態では、本発明の方法により治療される患者は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫又は急性リンパ芽球性白血病などの白血病又はリンパ腫と診断されるか又はそれらを有し、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインはCD19に特異的に結合する。本明細書に記載の抗CD19結合ドメインを含む二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを本発明の方法に従ってそのような患者に投与することができる。特定の実施形態では、白血病又はリンパ腫と診断されるか又はそれらを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号10の配列を含む単鎖ポリペプチドである。
別の実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、骨髄性白血病、特に急性骨髄性白血病と診断されており、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインはCD33又はFLT3に特異的に結合する。本明細書に記載の抗CD33結合ドメイン又は抗FLT3結合ドメインを含む二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを本発明の方法に従ってそのような患者に投与することができる。特定の実施形態では、骨髄性白血病と診断されるか又はそれを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号20の配列を含む単鎖ポリペプチドである。他の実施形態では、骨髄性白血病と診断されるか又はそれを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号30の配列を含む単鎖ポリペプチドである。
さらに別の実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、小細胞肺癌、神経内分泌前立腺癌、黒色腫又は神経膠芽腫などのDLL3発現癌と診断されるか又はそれらを有し、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインは、DLL3に特異的に結合する。本明細書に記載の抗DLL3結合ドメインを含む二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを本発明の方法に従ってそのような患者に投与することができる。特定の実施形態では、DLL3発現癌(例えば、小細胞肺癌)と診断されるか又はそれを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号40の配列を含む単鎖ポリペプチドである。
特定の実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、多発性骨髄腫と診断されるか又はそれを有し、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインは、BCMAに特異的に結合する。本明細書に記載の抗BCMA結合ドメインを含む二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを本発明の方法に従ってそのような患者に投与することができる。特定の実施形態では、多発性骨髄腫と診断されるか又はそれらを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号50の配列を含む単鎖ポリペプチドである。
特定の他の実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、前立腺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、肝細胞癌、膀胱癌、精巣癌、結腸癌、グリア芽腫、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌又は黒色腫などのPSMA発現癌と診断されるか又はそれを有し、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインはPSMAに特異的に結合する。本明細書に記載の抗PSMA結合ドメインを含む二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを本発明の方法に従ってそのような患者に投与することができる。特定の実施形態では、PSMA発現癌(例えば、前立腺癌)と診断されるか又はそれを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号60の配列を含む単鎖ポリペプチドである。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、肺癌及び消化器癌、特に胃癌、食道癌及び胃食道接合部癌などのCLDN18.2発現癌と診断され、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインはCLDN18.2に特異的に結合する。本明細書に記載の抗CLDN18.2結合ドメインを含む二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを本発明の方法に従ってそのような患者に投与することができる。特定の実施形態では、CLDN18.2発現癌(例えば、消化器癌)と診断されるか又はそれを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号160の配列を含む単鎖ポリペプチドである。他の実施形態では、CLDN18.2発現癌(例えば、消化器癌)と診断されるか又はそれを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号161の配列を含む単鎖ポリペプチドである。
他の実施形態では、本発明の方法に従って治療される患者は、結腸直腸癌、膵臓癌及び消化器癌、特に胃癌及び胃食道接合部癌などのMUC17発現癌と診断され、二重特異性T細胞誘導分子の抗癌細胞抗原結合ドメインはMUC17に特異的に結合する。本明細書に記載の抗MUC17結合ドメインを含む二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを本発明の方法に従ってそのような患者に投与することができる。特定の実施形態では、MUC17発現癌(例えば、消化器癌)と診断されるか又はそれを有する患者に本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号171の配列を含む単鎖ポリペプチドである。
本発明の方法で使用するための二重特異性T細胞誘導分子は、多くの従来の手法のいずれかによって調製することができる。例えば、二重特異性T細胞誘導分子は、当技術分野で知られる任意の手法を用いて組換え発現系によって生成し得る。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.)Plenum Press,New York(1980);及びAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988)を参照されたい。
二重特異性T細胞誘導分子又はその構成要素(例えば、Fv断片、Fcモノマー)は、ハイブリドーマ細胞株又はハイブリドーマ以外の細胞株において発現させることができる。抗体をコードする発現ベクター又は発現コンストラクトは、哺乳類宿主細胞、昆虫宿主細胞又は微生物宿主細胞の形質転換に使用することができる。「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移入するために使用される任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ又はウイルス)を指す。ベクターの例としては、以下に限定されないが、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクター及び発現ベクター、例えば、組換え発現ベクターが挙げられる。「発現ベクター」又は「発現コンストラクト」という用語は、本明細書で使用される場合、所望のコード配列と、特定の宿主細胞中において、作動可能に連結されたこのコード配列の発現に必要となる適切な核酸制御配列とを含む組換え核酸分子を指す。発現ベクターは、転写、翻訳に影響を及ぼすか又はこれらを制御する配列及びイントロンが存在する場合、それに作動可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列を含み得るが、これらに限定されない。原核生物での発現に必要な核酸配列には、プロモーター、任意選択によりオペレーター配列、リボソーム結合部位及び場合により他の配列が含まれる。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー並びに終結シグナル及びポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。分泌シグナルペプチド配列も任意選択により発現ベクターによってコードされ、目的のコード配列に作動可能に連結されることが可能であり、これにより、必要に応じて、細胞から目的のポリペプチドがより容易に単離されるように、組換え宿主細胞に発現ポリペプチドを分泌させることができる。
組換え発現ベクター又はコンストラクトは、一般に、以下の1つ以上を含むポリペプチドをコードする核酸分子を含む:本明細書に提供される1つ以上のCDR、軽鎖定常領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域(例えば、CH1、CH2及び/又はCH3)、重鎖可変領域、ヒンジ領域、Fcドメイン及び/又は癌細胞抗原若しくは抗CD3抗体に特異的に結合する抗体の別の足場部分。これらの核酸配列は、標準的なライゲーション手法を使用して適切な発現ベクターに挿入される。二重特異性T細胞誘導分子が単鎖ポリペプチド又は単鎖融合タンパク質である実施形態では、組換え発現ベクターに含まれる核酸が完全長単鎖ポリペプチド(例えば、完全長単鎖融合タンパク質)を通常コードする。ベクターは、通常、用いられる特定の宿主細胞において機能的であるように選択される(すなわち、ベクターは、宿主の細胞機構と適合し、遺伝子の増幅及び/又は発現を可能にし得る)。いくつかの実施形態では、ジヒドロ葉酸還元酵素などのタンパク質レポーターを使用するタンパク質間相互作用検出法を使用するベクターが使用される(例えば、米国特許第6,270,964号明細書(これは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。好適な発現ベクターは、例えば、Invitrogen Life Technologies又はBD Biosciences(以前は「Clontech」)から購入することができる。抗体及び断片のクローニング及び発現のための他の有用なベクターとしては、Bianchi and McGrew,2003,Biotech.Biotechnol.Bioeng.84:439-44(これは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものが挙げられる。追加の好適な発現ベクターは、例えば、Methods Enzymol.,vol.185(D.V.Goeddel,ed.),1990,New York:Academic Pressにおいて論じられている。
二重特異性T細胞誘導分子を産生するために宿主細胞のいずれかにおいて使用される発現ベクターは、通常、二重特異性T細胞誘導分子又はその構成要素をコードする外因性ヌクレオチド配列のクローニング及び発現のための配列を含有する。集合的に「隣接配列」と呼ばれるこのような配列は、特定の実施形態において、典型的には、以下のヌクレオチド配列の1つ又は複数を含む:プロモーター、1つ又は複数のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナー及びアクセプタースプライス部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域並びに選択マーカーエレメント。
任意選択により、ベクターは、「タグ」をコードする配列、すなわち二重特異性T細胞誘導分子をコードする配列の5’末端又は3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含み得、こうしたオリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(ヘキサHisなど)をコードするか、又は市販の抗体が存在する、FLAG(登録商標)タグ、HA(インフルエンザウイルスのヘマグルチニン)若しくはmycなどの別の「タグ」をコードする。このタグは、通常、ポリペプチドが発現すると、ポリペプチドに融合し、宿主細胞からの二重特異性T細胞誘導分子の親和性精製又は検出のための手段として機能することができる。親和性精製は、例えば、タグに対する抗体を親和性マトリックスとして使用するカラムクロマトグラフィーによって実現することができる。その後、任意選択で、切断のために特定のペプチダーゼを使用するなど、様々な手段によって精製T細胞誘導分子からタグを除去することができる。
発現ベクター及びクローニングベクターは、典型的には、宿主細胞により認識され且つ二重特異性T細胞誘導分子をコードする核酸分子に作動可能に連結されているプロモーターを含有する。「作動可能に連結された」という用語は、本明細書で使用される場合、所与の遺伝子の転写及び/又は所望のタンパク質分子の合成を指令することができる核酸分子が産生されるように、2つ以上の核酸配列が連結されていることを指す。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結された」ベクター中の制御配列は、タンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性と適合する条件下で行われるように、タンパク質コード配列にライゲートされる。より具体的には、プロモーター及び/又はエンハンサー配列(シス作用性転写制御エレメントの任意の組み合わせを含む)は、それが適切な宿主細胞又は他の発現系においてコード配列の転写を刺激又は調節する場合、そのコード配列に作動可能に連結されている。種々の潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが当業者によく知られている。哺乳動物宿主細胞と共に使用するのに好適なプロモーターとしては、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2型など)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びシミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるものが挙げられる。好適なプロモーターは、制限酵素消化によって供給源の核酸からプロモーターを取り出し、ベクターに所望のプロモーター配列を挿入することにより、例えば二重特異性T細胞誘導分子又はその構成要素をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される。
本明細書に記載される二重特異性T細胞誘導分子の組換え産生のための発現ベクターは、市販のベクターなどの出発ベクターから構築し得る。そのようなベクターは、所望の隣接配列の全てを含有しても又はしなくてもよい。所望の隣接配列の1つ又は複数がベクター内に最初から存在していない場合、それらを個々に得てベクター中にライゲートし得る。隣接配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者に知られている。発現ベクターを宿主細胞に導入し、それによりこのベクター内に存在する核酸によってコードされる二重特異性T細胞誘導分子を産生させることができる。
ベクターが構築され、二重特異性T細胞誘導分子又はその構成要素をコードする1つ以上の核酸分子がベクターの適当な部位に挿入された後、完成したベクターは、増幅及び/又はポリペプチド発現に好適な宿主細胞に挿入され得る。「宿主細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、核酸で形質転換されているか又は形質転換され得、それにより目的の遺伝子を発現する細胞を指す。この用語には、目的の遺伝子が存在する限り、親細胞の子孫の形態又は遺伝的構造が元の親細胞と同一であるか否かにかかわらず、親細胞の子孫が含まれる。好ましくは少なくとも1つの発現制御配列(例えば、プロモーター又はエンハンサー)に作動可能に連結された二重特異性T細胞誘導分子をコードする単離ポリヌクレオチド又は単離核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
選択された宿主細胞へのポリペプチドのための発現ベクターの形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、微量注入、リポフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション又は他の既知の手法を含む、よく知られた方法によって行われ得る。選択される方法は、ある程度、使用される宿主細胞の型に応じる。
宿主細胞は、適切な条件下で培養されると二重特異性T細胞誘導分子を合成し、二重特異性T細胞誘導分子は、その後、(宿主細胞がそれを培地に分泌する場合には)培養培地又は(それが分泌されない場合には)それを産生する宿主細胞から直接採取することができる。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性(グリコシル化又はリン酸化など)に望ましいか又は必要であるポリペプチドの修飾及び生物学的に活性な分子へのフォールディングの容易さなどの様々な要因に依存する。好適な宿主細胞としては、以下に限定はされないが、原核細胞(例えば、E.コリ(E.coli)、B.サブチリス(B.subtilis))、酵母細胞(サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharmoyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris))及び哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胚腎臓(HEK))が挙げられる。いくつかの実施形態では、CHO細胞は、二重特異性抗原結合タンパク質を発現するのに好ましい宿主細胞である。
宿主細胞は二重特異性T細胞誘導分子の産生のために上記の発現ベクターで形質転換又はトランスフェクトされ、プロモーターの誘導、形質転換体の選択又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に改変された従来の栄養培地中で培養される。抗体コンストラクトを産生するために使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養され得る。ハムF10(Sigma)、最小必須培地(MEM、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)及びダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al.,Meth.Enz.58:44,1979;Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255,1980;米国特許第4,767,704号明細書;同第4,657,866号明細書;同第4,927,762号明細書;同第4,560,655号明細書;若しくは同第5,122,469号明細書;国際公開第90/03430号パンフレット;又は国際公開第87/00195号パンフレットに記載される培地のいずれかは、宿主細胞のための培養培地として使用され得る。これらの培地のいずれかは、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン又は上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(GentamycinTM薬剤など)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)並びにグルコース又は同等のエネルギー源を補充することができる。他に必要な任意の栄養補助物質も、当業者に知られた適切な濃度で含まれ得る。温度及びpHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されたものであり、当業者に明らかであろう。
宿主細胞を培養すると、T細胞誘導分子は、細胞内、細胞膜周辺腔内で産生されるか又は培地中に直接分泌され得る。T細胞誘導分子が細胞内で産生される場合、第1の工程として、宿主細胞が溶解され(例えば、機械的剪断、浸透圧ショック又は酵素的方法により)、粒状の細片(例えば、宿主細胞及び溶解断片)が、例えば、遠心分離、精密濾過又は限外濾過によって除去される。T細胞誘導分子が培養培地に分泌される場合、T細胞誘導分子は遠心分離又は精密濾過により宿主細胞から分離され得、任意選択により、その後、限外濾過により濃縮され得る。二重特異性T細胞誘導分子は、例えば、親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインA、プロテインL又はプロテインG親和性クロマトグラフィー)、カチオン交換クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー又は混合形式のクロマトグラフィーなどの1種以上のクロマトグラフィー工程を使用してさらに精製又は部分的に精製され得る。
本発明の方法による二重特異性T細胞誘導分子の投与は、それを必要とする患者における癌の治療のためである。本明細書で使用される「治療」又は「治療する」という用語は、癌を有するか若しくは癌と診断されているか、癌の症状を有するか、癌を発症するリスクがあるか又は癌の素因がある患者に対して、癌、癌の1つ又は複数の症状、癌を発症するリスク又は癌に対する素因を軽快、治癒、軽減、緩和、変更、寛解又は改善する目的で二重特異性T細胞誘導分子を適用又は投与することを指す。「治療」という用語は、患者における癌の進行の遅延若しくは停止、癌の症状の数若しくは重症度の低減又は患者が癌の症状を有さない期間の頻度若しくは長さの増加を含む、患者における疾患の任意の改善を包含する。「患者」という用語には、ヒト患者が含まれる。
「癌」という用語は、細胞の異常な制御されない増殖によって引き起こされる様々な病態を指し、新生物、原発性腫瘍、続発性腫瘍及び他の転移性病変を含む。癌は、以下に限定されないが、臨床的又は放射線学的手段によって検出される組織内の腫瘍の存在、生物学的試料(例えば、組織生検)中の癌性若しくは異常な細胞の検出、癌又は前癌状態を示すバイオマーカーの検出又は癌若しくは癌を発症するリスクを示す遺伝子型の検出を含む多くの方法で検出することができる。「癌」という用語には、病期、グレード、侵襲性、攻撃性又は組織型にかかわらず、様々な癌状態が包含される。本発明の方法により治療され得る癌としては、以下に限定されないが、白血病(例えば、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病)、リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫)、多発性骨髄腫、肺癌(例えば、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC))、神経膠腫、グリア芽腫、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性前立腺癌、神経内分泌前立腺癌)、膵臓癌、乳癌、骨癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、卵巣癌、胃癌、胃食道接合部癌、精巣癌、甲状腺癌、副腎癌、腎臓癌、膀胱癌、子宮癌、食道癌、尿路上皮癌、上皮性悪性腫瘍及び非上皮性悪性腫瘍並びにこれらのいずれかに由来する転移癌が挙げられる。
特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、PSMA及びCD3に特異的に結合し、本発明の方法に従い、前立腺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、肝細胞癌、膀胱癌、精巣癌、結腸癌、グリア芽腫、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌及び黒色腫などのPSMA発現癌を有するか又はそれと診断された患者に投与される。いくつかの実施形態では、PSMA発現癌は、前立腺癌である。前立腺癌は、去勢抵抗性前立腺癌(アンドロゲン遮断療法に抵抗性がある前立腺癌)であり得る。これらの実施形態及び他の実施形態では、前立腺癌は、転移性前立腺癌、特に転移性去勢抵抗性前立腺癌である。
PSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子(例えば、配列番号60の配列を含む単鎖ポリペプチド)が、前立腺癌又は他のPSMA発現癌の治療を必要とする患者に投与される実施形態において、本方法は、約30μg~約300μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約2日間又は約3日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと、約90μg~約1800μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約5日又は約6日後に投与される、開始サイクルを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約30μg~約150μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約3日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと、約300μg~約600μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約5日後に投与される、開始サイクルを患者に投与することを含む。他の実施形態では、方法は、約50μg~約250μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を投与すること、約300μg~約900μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約3日後に投与される、開始サイクルを患者に投与することを含む。前述の実施形態のいずれかにおいて、方法は、PSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを患者に投与することをさらに含み得、維持サイクルは、治療用量のPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子をボーラス静脈内注入によって14日に1回投与することを含む。
1つの特定の実施形態では、方法は、前立腺癌又は他のPSMA発現癌の治療を必要とする患者に、約90μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約3日の期間にわたる持続静脈内注入によって(例えば、1日当たり30μgを3日間)投与することと、約300μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約5日後に投与される、開始サイクルを投与することとを含む。いくつかの実施形態では、治療用量(例えば、300μg)は、その後、開始サイクルの持続期間にわたって14日に1回投与される。したがって、この投与レジメンによれば、28日の持続期間を有する開始サイクルにおいて、患者は、サイクルの1~3日目にわたる持続静脈内注入によってPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の90μgのプライミング用量を投与され(例えば、1日当たり30μgの一定速度で3日間)、サイクルの8日目及び22日目にボーラス静脈内注入によってPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の300μgの治療用量を投与される。
別の特定の実施形態では、方法は、前立腺癌又は他のPSMA発現癌の治療を必要とする患者に、約150μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約3日の期間にわたる持続静脈内注入によって(例えば、1日当たり50μgを3日間)投与することと、約300μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量はプライミング用量の投与の約5日後に投与される、開始サイクルを投与することを含む。このような実施形態では、治療用量(例えば、300μg)は、その後、開始サイクルの持続期間にわたって14日に1回投与される。したがって、この投与レジメンによれば、28日の持続期間を有する開始サイクルにおいて、患者はサイクルの1~3日目にわたる持続静脈内注入によってPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の150μgのプライミング用量を投与され(例えば、1日当たり50μgの一定速度で3日間)、サイクルの8日目及び22日目にボーラス静脈内注入によってPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の300μgの治療用量を投与される。
別の実施形態では、方法は、前立腺癌又は他のPSMA発現癌の治療を必要とする患者に、約150μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約5日の期間にわたる持続静脈内注入によって(例えば、1日当たり30μgを5日間)投与することと、約300μgのPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約3日後に投与される、開始サイクルを投与することを含む。このような実施形態では、治療用量(例えば、300μg)は、その後、開始サイクルの持続期間にわたって14日に1回投与される。したがって、この投与レジメンによれば、28日の持続期間を有する開始サイクルにおいて、患者はサイクルの1~5日目にわたる持続静脈内注入によってPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の150μgのプライミング用量を投与され(例えば、1日当たり30μgの一定速度で5日間)、サイクルの8日目及び22日目にボーラス静脈内注入によってPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の300μgの治療用量を投与される。
PSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子が患者に投与される前述の実施形態のいずれかにおいて、方法は維持サイクルを投与することをさらに含み得、この維持サイクルは治療用量(例えば、300μg)のPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子を14日に1回、例えば、維持サイクルの1日目及び15日目にボーラス静脈内注入によって投与することを含む。開始サイクルの持続期間に応じて、開始サイクルで治療用量に達した後、治療用量の2週に1回の投与頻度を維持するため、開始サイクルの完了と維持サイクルの開始との間に無治療期間を存在させることができる。1つのそのような例示的な投与スケジュールは、1~3日目にわたる持続静脈内注入によるPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量(例えば、90μg又は150μg)の投与並びに28日間の開始サイクルの8日目及び22日目のボーラス静脈内注入による治療用量(例えば、300μg)の投与、それに続く7日間の無治療期間、それに続く28日間の維持サイクルの1日目及び15日目のボーラス静脈内注入によるPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量(例えば、300μg)の投与を含み得る。したがって、この投与レジメンによれば、28日間の開始サイクル及び28日間の維持サイクルの両方を包含し、開始サイクルの初回用量から始まる56日間、患者は、1~3日目、8日目、22日目、36日目及び50日目のそれぞれにPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子を投与される。別の例示的な投与スケジュールは、1~5日目にわたる持続静脈内注入によるPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量(例えば、150μg)の投与並びに28日間の開始サイクルの8日目及び22日目のボーラス静脈内注入による治療用量(例えば、300μg)の投与、それに続く7日間の無治療期間、それに続く28日間の維持サイクルの1日目及び15日目のボーラス静脈内注入によるPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量(例えば、300μg)の投与を含み得る。したがって、この投与レジメンによれば、28日間の開始サイクル及び28日間の維持サイクルの両方を包含し、開始サイクルの初回用量から始まる56日間、患者は、1~5日目、8日目、22日目、36日目及び50日目のそれぞれにPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子を投与される。
特定の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子は、BCMA及びCD3に特異的に結合し、本発明の方法に従い、多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫(髄外形質細胞腫、髄外多発性骨髄腫)、形質細胞腫、形質細胞白血病、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)及びくすぶり型骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫)などのBCMA陽性癌を有するか又はそれと診断された患者に投与される。いくつかの実施形態では、BCMA陽性癌は、多発性骨髄腫である。多発性骨髄腫は、難治性及び/又は再発性多発性骨髄腫であり得る。
BCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子(例えば、配列番号50の配列を含む単鎖ポリペプチド)が、多発性骨髄腫又は他のBCMA陽性癌の治療を必要とする患者に投与されるいくつかの実施形態において、本方法は、約8,400μg~約16,100μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約7日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと、約12,000μg~約19,500μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約1日後(例えば、翌日)に投与される、開始サイクルを患者に投与することを含む。約8,400μg~約16,100μgのプライミング用量は、注入期間の完了までに投与される総用量であり、開始サイクルの1~7日目のそれぞれに投与される、例えば約1,200μg/日~約2,300μg/日の7つの個々の用量に言い換えることができる。他の実施形態では、方法は、約4,600μg~約9,200μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約2日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと、約12,000μg~約19,500μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約6日後に投与される、開始サイクルを患者に投与することを含む。約4,600μg~約9,200μgのプライミング用量は、注入期間の完了までに投与される総用量であり、開始サイクルの1日目及び2日目のそれぞれに投与される、例えば約2,300μg/日~約4,600μg/日の2つの個々の用量に言い換えることができる。いくつかのそのような実施形態において、開始サイクルは、約800μg~約1,600μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量をプライミング用量の約1日後(例えば、翌日)且つ治療用量の約5日前にボーラス静脈内注入によって投与することをさらに含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、方法は、BCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを患者に投与することをさらに含み得、維持サイクルは治療用量のBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子をボーラス静脈内注入によって7日に1回投与することを含む。
1つの特定の実施形態では、方法は、多発性骨髄腫又は他のBCMA陽性癌の治療を必要とする患者に、約8,400μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約7日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと(例えば、1日当たり1,200μgを7日間)、約12,000μg~約19,500μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約1日後(例えば、翌日)に投与される、開始サイクルを患者に投与することを含む。別の実施形態では、方法は、約16,100μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約7日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと(例えば、1日当たり2,300μgを7日間)、約12,000μg~約19,500μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約1日後(例えば、翌日)に投与される、開始サイクルを投与することを含む。前述の実施形態のいずれかにおいて、治療用量は、その後、開始サイクルの持続期間にわたって7日に1回投与され得る。したがって、そのような投与レジメンによれば、28日の持続期間を有する開始サイクルにおいて、患者はサイクルの1~7日目にわたる持続静脈内注入によってBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量(例えば、8,400μg又は16,100μg)を投与され(例えば、8,400μgのプライミング用量では1日当たり1,200μgの一定速度で7日間又は16,100μgのプライミング用量では1日当たり2,300μgの一定速度で7日間)、サイクルの8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によってBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与される。
別の特定の実施形態では、方法は、多発性骨髄腫又は他のBCMA陽性癌の治療を必要とする患者に、約4,600μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約2日の期間にわたる持続静脈内注入によって(例えば、1日当たり2,300μgを2日間)投与することと、約800μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量をボーラス静脈内注入によって投与することと、約12,000μg~約19,500μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約6日後に投与され、ブースト用量は、プライミング用量の約1日後(例えば、翌日)で治療用量の約5日前に投与される、開始サイクルを投与することを含む。別の実施形態では、方法は、約9,200μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約2日の期間にわたる持続静脈内注入によって(例えば、1日当たり4,600μgを2日間)投与することと、約1,600μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量をボーラス静脈内注入によって投与することと、約12,000μg~約19,500μgのBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することとを含み、治療用量は、プライミング用量の投与の約6日後に投与され、ブースト用量は、プライミング用量の約1日後(例えば、翌日)で治療用量の約5日前に投与される、開始サイクルを投与することを含む。前述の実施形態のいずれかにおいて、治療用量は、その後、開始サイクルの持続期間にわたって7日に1回投与され得る。したがって、これらの実施形態における投与レジメンによれば、28日の持続期間を有する開始サイクルにおいて、患者はサイクルの1~2日間にわたる持続静脈内注入によってBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量(例えば、4,600μg又は9,200μg)を投与され(例えば、4,600μgのプライミング用量では1日当たり2,300μgの一定速度で2日間又は9,200μgのプライミング用量では1日当たり4,600μgの一定速度で2日間)、サイクルの3日目にボーラス静脈内注入によってBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量(例えば、800μg又は1,600μg)を投与され、サイクルの8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によってBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与される。
BCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子が患者に投与される前述の実施形態のいずれかにおいて、方法は維持サイクルを投与することをさらに含み得、この維持サイクルは治療用量のBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子を7日に1回、例えば、維持サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目にボーラス静脈内注入によって投与することを含む。開始サイクルの持続期間に応じて、開始サイクルで治療用量に達した後、治療用量の週1回の投与頻度を維持するため、開始サイクルの完了と維持サイクルの開始との間の無治療期間をなくすことができる。したがって、特定の実施形態では、維持サイクルは開始サイクルを完了した翌日に投与される。1つのそのような例示的な投与スケジュールは、1~7日目にわたる持続静脈内注入によるBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量の投与並びに28日間の開始サイクルの8日目、15日目及び22日目のボーラス静脈内注入による治療用量の投与、それに続く28日間の維持サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目のボーラス静脈内注入によるBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子の治療用量の投与を含み得る。したがって、この投与レジメンによれば、28日間の開始サイクル及び28日間の維持サイクルの両方を包含し、開始サイクルの初回用量から始まる56日間、患者は、1~7日目、8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目及び50日目のそれぞれにBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子を投与される。
本発明の方法の特定の実施形態では、開始サイクルにおける二重特異性T細胞誘導分子の初回用量の投与前に1つ又は複数の前投与を患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、前投与は、開始サイクルにおける二重特異性T細胞誘導分子の各用量の投与前に患者に投与される。前投与は、1つ以上の維持サイクルにおいて、二重特異性T細胞誘導分子の1つ以上の用量の投与前にも患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、前投与は、開始サイクル中の1つ以上の用量の投与前にのみ患者に投与され、その後の治療サイクル(例えば、維持サイクル)では二重特異性T細胞誘導分子の用量の投与前に患者に投与されない。代替の実施形態では、前投与は、開始サイクル中の1つ以上の用量の投与前に患者に投与されるが、その後の治療サイクル(例えば、維持サイクル)において二重特異性T細胞誘導分子の用量の投与前に患者に投与される用量は、より低い用量(例えば、開始サイクルで使用される前投与用量の50%)である。この特定の文脈において、「~の前」とは、二重特異性T細胞誘導分子の投与開始前の72時間、48時間、36時間、24時間、18時間、16時間、12時間、6時間、5時間、4時間又は3時間以内、好ましくは120分、90分、60分又は30分以内を意味することが想定される。使用する前投与のタイプ及びそれが投与される経路に応じて、前投与は、例えば、二重特異性T細胞誘導分子の投与開始の30~120分又は30~60分前に投与され得る。前投与は、例えば、注入に関連する反応の重症度を予防若しくは軽減し、且つ/又はサイトカイン放出症候群若しくはその症状の重症度を予防若しくは軽減するために投与され得る。特定の実施形態では、前投与は、開始サイクルの二重特異性T細胞誘導分子の用量前に投与されないか、又は注入反応若しくはCRS症状を軽減するために一般に必要とされる用量よりも低い用量で投与される。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載される投与レジメンによる持続注入に従う開始サイクルにおける二重特異性T細胞誘導分子の初回用量の投与は、前投与がもはや必要でなくなり得るほどにCRS事象を低減すると考えられる。
前投与が投与されるいくつかの実施形態では、前投与は抗ヒスタミン剤である。抗ヒスタミン剤は、経口又は静脈内投与され、ジフェンヒドラミン50mgをi.v.投与するのと同等の用量で投与される。前投与として投与することができる好適な抗ヒスタミン剤にとしては、アザタジン(最大用量、例えば4mg/日)、ブロムフェニラミン(最大用量、例えば30mg/日)、セチリジン(最大用量、例えば15mg/日)、クロルフェニラミン(最大用量、例えば30mg/日)、クレマスチン(最大用量、例えば10mg/日)、シプロヘプタジン(最大用量、例えば15mg/日)、デスロラタジン(最大用量、例えば7mg/日)、デキスクロルフェニラミン(最大用量、例えば15mg/日)、ジフェンヒドラミン(最大用量、例えば350/日)、ドキシルアミン(最大用量、例えば180mg/日)、フェキソフェナジン(最大用量、例えば200mg/日)、ロラタジン(最大用量、例えば15mg/日)及びフェニンダミン(最大用量、例えば180mg/日)などの経口、非経口又は直腸経路の抗ヒスタミン剤が挙げられるが限定されない。
前投与が投与される他の実施形態では、前投与はグルココルチコイドである。グルココルチコイドはコルチコステロイドのクラスであり、これはステロイドホルモンのクラスである。グルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体に結合するコルチコステロイドである。あまり一般的でない同義語は、グルココルチコステロイドである。コルチゾール(薬剤として使用される場合、ヒドロコルチゾンとして知られている)は、最も重量なヒトグルココルチコイドである。様々な合成グルココルチコイドは、コルチゾールよりもはるかに強力であり、治療上の使用のために作製されている。コルチゾールは、グルココルチコイドの効力の比較基準である。一般的に処方されている代替ステロイド均等物の一例は、プレドニゾン(5mg)=コルチゾン(25mg)=デキサメタゾン(0.75mg)=ヒドロコルチゾン(20mg)=メチルプレドニゾロン(4mg)であり得る。これらの用量は、グルココルチコイドの全身投与と均等な薬理学的用量を示す。グルココルチコイドは経口投与又は静脈内投与することができ、4~20mgのデキサメタゾンi.v.に相当する用量で投与することができる(グルココルチコイドの効力を参照する同等性)。グルココルチコイドの用量は、各投与において(すなわちグルココルチコイド前投与が投与される毎に)同じであり得る。代わりに、グルココルチコイドの用量は、二重特異性T細胞誘導分子の以前の投与後に注入反応及び/又はCRS症状の徴候がないか又は最小限である場合、その後の投与において例えば以前の用量の50%減少させることができる。特定の実施形態では、グルココルチコイドが開始サイクルの前投与としてのみ投与され、その後の治療サイクル(例えば、維持サイクル)では投与されない。
前投与として使用されるグルココルチコイドの例としては、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、クロプレドノール、デフラザコート、フルオコルトロン、コルチバゾール、パラメタゾン、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド並びにこれらの組み合わせ及び/又は薬学的に許容可能な誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。種々のグルココルチコイドを、単独で又は組み合わせて使用することができる。デキサメタゾン、プレドニゾン及びプレドニゾロンは、本発明の方法による前投与として使用するための好ましいグルココルチコイドである。本発明の方法の特定の実施形態では、開始サイクル及び/又は維持サイクル中の二重特異性T細胞誘導分子の1つ又は複数(又は全て)の用量の投与前に患者に投与されるグルココルチコイドは、デキサメタゾンである。デキサメタゾンは、各投与で約4~20mg、6~18mg、8~16mg、約16mg又は約8mgの用量で投与することができる。
前投与が投与される特定の実施形態では、前投与は、トシリズマブなどのIL-6受容体アンタゴニストであり得る。トシリズマブは、T細胞誘導療法によって誘導されるCRSの症状を効果的に低減又は逆転させることが報告されている。例えば、Maude et al.,Cancer J.,Vol.20:119-122,2014を参照されたい。トシリズマブは、約1mg/kg~約20mg/kg体重、約8mg/kg~約12mg/kg体重又は約4mg/kg~約8mg/kg体重の用量で投与することができる。トシリズマブは、開始サイクル及び/又は1つ若しくは複数の維持サイクルにおいて、二重特異性T細胞誘導分子の各用量の約1時間~約2時間前に投与することができる。追加的又は代替的に、トシリズマブは、開始サイクル及び/又は1つ若しくは複数の維持サイクルにおいて、二重特異性T細胞誘導分子の各用量の直後に投与することができる。IL-6/IL-6受容体シグナル伝達の他のアンタゴニスト、例えば、シルツキシマブ、オロキズマブ、クラザキズマブ、サリルマブ及びシルクマブを、CRSの発生率又は重症度を低減するために、本発明の方法による前投与として使用することができる。
前投与が投与される特定の他の実施形態では、前投与は腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)アンタゴニストである。CRS症状は、TNF-アルファの放出によって部分的に媒介されることが以前に報告されている(Lee et al.,Blood,Vol.124:188-195,2014;Grupp et al.,N Engl J Med.,Vol.368:1509-1518,2013)。最近の研究は、免疫療法剤の投与前のTNF-アルファアンタゴニストによる治療がCRS症状を軽減し得ることを示唆している(Li et al.,Sci Transl Med.,Vol.11(508),2019;Lee et al.,2014、上記;Grupp et al,2013、上記)。したがって、特定の実施形態では、本発明の方法は、開始サイクル及び/又は1つ若しくは複数の維持サイクル中、二重特異性T細胞誘導分子の各用量の投与前に患者にTNF-アルファアンタゴニストを投与することをさらに含む。前投与として使用することができるTNF-アルファアンタゴニストの例としては、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴール及びゴリムマブが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法の特定の実施形態では、開始サイクル及び/又は維持サイクル中の二重特異性T細胞誘導分子の1つ又は複数(又は全て)の用量の投与前に患者に投与されるTNF-アルファアンタゴニストは、エタネルセプトである。エタネルセプトは各投与で約10mg~100mg、約25mg~約75mg、約40mg~約60mg又は約50mgの用量で投与することができ、皮下又は静脈内投与することができる。本発明の方法のいくつかの実施形態では、エタネルセプトは、開始サイクル中、二重特異性T細胞誘導分子の各用量の投与前に患者に投与される。いくつかのそのような実施形態では、エタネルセプトは、開始サイクル中、二重特異性T細胞誘導分子の各用量の投与の約2日前に約50mgの用量で患者に皮下投与される。他のそのような実施形態では、エタネルセプトは、開始サイクル中、二重特異性T細胞誘導分子の各用量の投与の約1日前に約50mgの用量で患者に皮下投与される。
患者は、設定された治療期間にわたり、本発明の方法に従って治療され得る。「治療期間」は、開始サイクルにおける二重特異性T細胞誘導分子の初回用量の投与時に開始し、維持サイクルにおける二重特異性T細胞誘導分子の最終用量の投与時に終了する。治療期間は、約3か月~約36か月、約12か月~約24か月又は約6か月~約12か月であり得る。例えば、治療期間は、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、約14か月、約15か月、約18か月、約21か月、約24か月、約27か月、約30か月、約33か月又は約36か月であり得る。いくつかの実施形態では、治療期間は、約6か月である。いくつかの実施形態では、治療期間は、約9か月である。さらに他の実施形態では、治療期間は約12か月である。治療期間は、治療に対する患者の応答に応じて、各患者について調整することができる。1つの特定の実施形態では、患者は、患者が完全奏効を達成するまで又はさもなければ特定の癌の証拠が患者において検出できなくなるまで、本発明の方法に従って治療される。
二重特異性T細胞誘導分子は、一般に、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤を含み得る医薬組成物で患者に投与される。「薬学的に許容される」とは、使用される用量及び濃度でヒトレシピエントに対して非毒性であり、且つ/又はヒトに投与された場合にアレルギー若しくは副作用を生じない分子、化合物及び組成物を指す。特定の実施形態では、医薬組成物は、組成物の、例えば、pH、モル浸透圧濃度、粘性、透明性、色調、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解速度若しくは放出速度、吸収性又は振盪性の改変、維持又は保存のための製剤材料を含み得る。このような実施形態では、好適な製剤材料としては、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンなど);抗微生物剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、トリス-HCl、クエン酸塩、リン酸塩又は他の有機酸など);増量剤(マンニトール又はグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリン又はヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンなど);充填剤;単糖類;及び他の炭水化物(グルコース、マンノース又はデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなど);着色剤、香味剤及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸又は過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトール又はソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤又は湿潤剤(例えば、pluronic、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパールなど);安定性増強剤(スクロース又はソルビトール);等張性増強剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは塩化ナトリウム又は塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤並びに/或いは医薬アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。治療使用のための分子を製剤化する方法及び好適な材料は医薬分野において知られており、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、18th Edition、(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyに記載されている。本発明の方法に従って投与される二重特異性T細胞誘導分子を含む医薬組成物には、液体組成物、凍結組成物及び凍結乾燥組成物が含まれるが、これらに限定されない。
医薬組成物が凍結乾燥されている場合、凍結乾燥された材料は、投与前に適切な液体で再構成される。凍結乾燥材料は、例えば注射用静菌水(BWFI)、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は凍結乾燥前にタンパク質が存在した同じ製剤中で再構成され得る。
いくつかの実施形態では、医薬組成物への組み込みのための担体及び賦形剤の選択は、二重特異性T細胞誘導分子の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビボクリアランス速度に影響を及ぼす。特定の実施形態では、医薬組成物中の主なビヒクル又は担体は、水性又は非水性の性質を有し得る。例えば、好適なビヒクル又は担体は、場合により非経口投与用組成物によく見られる他の材料又は賦形剤が補足された注射用水、生理食塩水溶液であり得る。
本明細書に記載の方法において、二重特異性T細胞誘導分子(例えば、二重特異性T細胞誘導分子を含む医薬組成物)は、非経口で患者に投与される。非経口投与は、胃腸管以外の経路による分子の投与を指し、腹腔内、筋肉内、静脈内、動脈内、皮内、皮下、脳内、脳室内及び髄腔内投与を挙げることができる。好ましい実施形態では、本発明の方法による二重特異性T細胞誘導分子の投与は、静脈内である。他の好ましい実施形態では、本発明の方法による二重特異性T細胞誘導分子の投与は、皮下である。本発明の方法の特定の実施形態では二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は持続静脈内注入によって投与され、二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量及び/又は治療用量の投与はボーラス静脈内注入によって投与される。本発明の方法の特定の他の実施形態では、二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量は持続静脈内注入によって投与され、二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量及び/又は治療用量の投与は皮下注射によって投与される。
非経口、皮下又は静脈内投与は、注射(例えば、針及びシリンジを使用)又は注入(例えば、カテーテル及びポンプシステムを介して)によって実施され得る。いくつかの実施形態では、本発明による投与は、静脈内注射又は静脈内注入によるものであることが想定される。通常、静脈内(IV)注入は、ライン、ポート若しくはカテーテル(小さく柔軟なチューブ)、例えば中心静脈アクセス又は大静脈に留置されるカテーテルである中心静脈カテーテル(CVC)など、又は末梢静脈に留置されるカテーテルである末梢静脈カテーテル(PVC)を介して投与される。一般に、カテーテル又はラインは、頸部の静脈(内頸静脈)、胸部の静脈(鎖骨下静脈又は腋窩静脈)、鼠径部の静脈(大腿静脈)に又は腕の静脈(PICCライン又は末梢静脈挿入式中心カテーテルとしても知られる)を通して配置され得る。中心IVラインは、静脈を通して進められ、大中心静脈、通常、上大静脈、下大静脈又は心臓の右心房に流入するカテーテルを有する。末梢静脈(PIV)ラインは、末梢静脈(腕、手、脚及び足の静脈)において使用される。ポートは、外部コネクタがない中心静脈ラインであり、代わりに、これは、シリコーンゴムで被覆され、皮膚の下に埋め込まれる小型リザーバーを有する。薬剤は、皮膚に小さい針を刺し、シリコーンを突き刺してリザーバーに入れることにより、断続的に投与される。針が引き抜かれると、リザーバーカバーは、それ自体を再封止する。カバーは、その寿命中に何百もの針刺しを許容できる。
特定の実施形態では、医薬組成物は、有効量の二重特異性T細胞誘導分子及び1種以上の賦形剤を含む。有効量は、治療用量であり得るか、又はプライミング用量若しくはブースト用量などのより少量であり得る。賦形剤は、製剤の物理的、化学的又は生物学的特性の調整(粘度の調製など)など、多様な目的のために且つ/又は例えば製造、出荷、貯蔵、使用前準備及び投与中に起こるストレスに起因する分解及び変質に対してこのような製剤を安定化させために使用することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って患者に投与される有効量の二重特異性T細胞誘導分子を含む医薬組成物は、緩衝剤を含む。緩衝剤は、組成物を生理学的pH又はわずかに低いpH、典型的には約4.0~約6.5のpH範囲内に維持するために使用される。好適な緩衝剤としては、グルタミン酸塩、酢酸塩、トリス、クエン酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩及びリン酸塩緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って投与される医薬組成物は、グルタミン酸塩緩衝剤、特にL-グルタミン酸塩緩衝剤を含む。グルタミン酸塩緩衝剤を含む医薬組成物は、約4.0~約5.5のpH、約4.0~約4.4のpH又は約4.2~約4.8のpHを有することができる。
有効量の二重特異性T細胞誘導分子を含む医薬組成物は、界面活性剤をさらに含み得る。「界面活性剤」という用語は、本明細書で使用される場合、溶解した液体の表面張力を低下させる働きをする物質である。界面活性剤は、例えば、液体製剤中の凝集、粒子形成及び/若しくは表面吸着を防止若しくは制御するか、又は凍結乾燥中及び/若しくは凍結乾燥製剤における再構成プロセス中のこれらの現象を防止若しくは制御することを含む、様々な目的のために医薬組成物中に含まれ得る。界面活性剤としては、例えば、有機溶媒及び水溶液の両方に部分的溶解性を示す両親媒性有機化合物が挙げられる。界面活性剤の一般的な特徴としては、水の表面張力を低下させ、油と水との間の界面張力を低下させ、且つミセルも形成するそれらの能力が挙げられる。本発明の方法に使用される医薬組成物に組み込まれ得る界面活性剤には、非イオン性及びイオン性界面活性剤の両方が含まれる。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリ(エチレンオキシド)、オクチルグルコシド及びデシルマルトシドなどのアルキルポリグルコシド、セチルアルコール及びオレイルアルコールなどの脂肪アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA及びコカミドTEAが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の特定の例としては、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85などを含むポリソルベート;例えば、ポロキサルコール又はポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)としても知られるポロクサマー188、ポロクサマー407又はポリエチレン-ポリプロピレングリコ-ルなどを含むポロクサマー及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。好適なイオン性界面活性剤としては、例えば、アニオン性、カチオン性及び双性イオン界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、石鹸、脂肪酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム及び他のアルキル硫酸塩などのスルホン酸塩系又はカルボン酸塩系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム、ポリエトキシル・タロウ・アミン(POEA)及び塩化ベンザルコニウムなどの第四級アンモニウム系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。双性イオン又は両性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン及びココアンホグリシン酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って投与される医薬組成物が非イオン性界面活性剤を含む。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20である。別の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート80である。
特定の実施形態では、有効量の二重特異性T細胞誘導分子を含む医薬組成物は、安定剤をさらに含む。本明細書で使用される場合、「安定剤」という用語は、ポリペプチド若しくはT細胞誘導分子の天然の立体構造を安定化し、且つ/又はポリペプチド若しくはT細胞誘導分子の物理的若しくは化学的分解を防止若しくは低減する賦形剤を指す。好適な安定剤としては、ポリオール(例えば、ソルビトール、グリセロール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール及びトレイトール)、糖(例えば、フルクトース、グルコース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マンノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、ソルボース、スクラロース、メレチトース及びラフィノース)並びにアミノ酸(例えば、グリシン、メチオニン、プロリン、リジン、アルギニン、ヒスチジン又はグルタミン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、安定剤として糖を含む。これらの実施形態及び他の実施形態では、糖は、スクロースである。
二重特異性T細胞誘導分子を含む例示的な医薬組成物は、国際公開第2018/141910号パンフレットに記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法による癌の治療に有用な医薬組成物は、約0.5mg/ml~約2mg/mlの二重特異性T細胞誘導分子、約5mM~約20mMのL-グルタミン酸、約0.005重量/体積(w/v)%~約0.015重量/体積(w/v)%のポリソルベート(例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80)及び約7%(w/v)~約12%(w/v)のスクロースを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約0.5mg/ml~約1.5mg/mlの二重特異性T細胞誘導分子、約8mM~約12mMのL-グルタミン酸、約0.008%(w/v)~約0.012%(w/v)のポリソルベート(例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80)及び約8%(w/v)~約10%(w/v)のスクロースを含む。これらの製剤のpHは、約4.0~約4.4の範囲(例えば、約4.0、約4.1、約4.2、約4.3又は約4.4のpH)である。
本明細書に記載の二重特異性T細胞誘導分子を含む医薬組成物のいずれも凍結乾燥させ、患者への投与前に例えば注射用の滅菌水で再構成することができる。再構成容量は、凍結乾燥後のタンパク質含量及び再構成溶液中の二重特異性T細胞誘導分子の所望の濃度に依存して約0.5ml~約5mlであり得る。再構成後の溶液は、本発明の方法に従って本明細書に記載の用量を投与するために、必要に応じて患者に投与する前に希釈剤(例えば、生理食塩水及び/又は静脈内溶液安定剤(IVSS))でさらに希釈することができる。
本明細書に記載の二重特異性T細胞誘導分子のいずれかを、上記の医薬組成物のいずれかに組み込み、本明細書に記載の方法に従って患者に投与することができる。好ましい実施形態では、前立腺癌又は他のPSMA発現癌の治療のために本発明の方法に従って投与されるPSMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号60のアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、多発性骨髄腫又は他のBCMA陽性癌の治療のために本発明の方法に従って投与されるBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号50のアミノ酸配列を含む。
本発明は、癌の治療を、それを必要とする患者において行うためのキットも含む。一実施形態では、キットは、本明細書に記載の二重特異性T細胞誘導分子の医薬組成物と、医薬組成物の使用に関する説明書を提供するパッケージング材料とを含む。キットの医薬組成物は、バイアルなどの容器中に含まれ得る。医薬組成物は、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、結晶又は脱水粉末若しくは凍結乾燥粉末として提供され得る。医薬組成物が凍結乾燥粉末として提供される実施形態では、キットは、医薬組成物を再構成するために必要な希釈剤(例えば、注射用滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、製剤緩衝液)及び投与のための組成物を調製するための説明書も含み得る。特定の実施形態では、キットは、静脈内溶液安定剤(IVSS)の1つ又は複数のバイアルと、患者に送達するために医薬組成物を希釈する前に、IVSSを使用してIVバッグを前処理するための説明書とをさらに含み得る。IVSSは活性医薬成分を含有せず、典型的には、防腐剤を含まない緩衝溶液である。一実施形態では、IVSSは、pH7.0で、クエン酸(例えば、20~30mM)、塩酸リシン(例えば、1~3M)及びポリソルベート80(0.05%(w/v)~0.15%(w/v))を含む。特定の実施形態では、IVSSは、pH7.0で、25mMのクエン酸、1.25Mの塩酸リシン及び0.1%(w/v)のポリソルベート80を含む。
以下の実施例は、実施された実験及び得られた結果を含むが、それらは、例示の目的のためにのみ提供されるものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1.PSMA×CD3二重特異性T細胞結合分子のためのサイクル1プライミング用量レジメンの安全性及び有効性の比較
二重特異性T細胞誘導分子は、Tリンパ球エフェクター細胞を標的癌細胞に誘導するように設計される。二重特異性T細胞誘導分子によって誘導される標的癌細胞へのT細胞の近接は、T細胞活性化を誘発し、標的癌細胞のT細胞媒介性細胞傷害をもたらす。二重特異性T細胞結合分子によって媒介されるT細胞活性化は、標的癌細胞への細胞傷害性タンパク質の指向性放出を誘導するだけでなく、T細胞によるインターフェロンガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン-2(IL-2)及びインターロイキン-6(IL-6)などの炎症性サイトカインの産生ももたらす。これらの炎症性サイトカインの産生は、サイトカイン放出症候群(CRS)、二重特異性T細胞誘導分子による治療に関連する有害な副作用をもたらし得る。
AMG160は前立腺特異的膜抗原(PSMA)及びCD3の両方に結合し、単鎖IgG Fcドメインを含む半減期延長(HLE)BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)分子である。AMG160のアミノ酸配列は、配列番号60に記載される。転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の成人患者におけるAMG160の第1相試験の用量探索部分における最初のコホートからのデータは、AMG160が28日サイクルで2週間に1回(Q2W)、短時間(例えば、約60分)の静脈内(IV)注入として投与された場合、患者によって示されたCRSの程度は、初回用量投与の約6時間後に測定されたAMG160のピーク血清レベル(例えば、Cmax)並びにIL-6血清レベルと相関するようであることを示した。サイクル1中にCRSを低減するための緩和戦略として、第1相試験におけるサイクル1投与スケジュールを、以下のいずれかに修正した:(i)目標用量に達するまで週1回の間隔でAMG160の1、2又は3段階用量を投与することを含む投与スケジュール、又は(ii)2~3日間にわたる持続IV注入により初回用量を投与し、続いて2週間毎に目標用量を短時間IV注入することを含む投与スケジュール。理論に束縛されるものではないが、2~3日間にわたる持続IV注入によるAMG160の初回用量(すなわちプライミング用量)の投与により、最初の投与間隔における累積曝露を維持しながら、AMG160のCmaxが減少し、Tmaxが遅延し、その結果、以下の1つ以上が起こると考えられる:CRS事象の頻度及び重症度が減少し、T細胞の細胞傷害能を維持しながらT細胞媒介性サイトカイン放出が下方制御され、且つ/又はAMG160の有効用量がサイクル1において可能な限り早く送達される。
インフォームド・コンセントに署名した後、患者はスクリーニング期間(28日まで)に入り、その間に患者の適格性が評価された。適格患者は以前の新規ホルモン療法及び1~2のタキサンレジメンに抵抗性のmCRPCを有し、進行性疾患の証拠があった。具体的には、以下の主要な選択基準の全てを満たす患者を本試験に登録した:
・組織学的又は細胞学的に確認されたmCRPCであり、新規抗アンドロゲン療法(例えば、アビラテロン、エンザルタミド、ダロルタミド及び/又はアパルタミド)に抵抗性であり、少なくとも1つ(しかし、3つ以上ではない)のタキサンレジメンに失敗した(又はタキサンレジメンで治療するのに医学的に適していないと考えられるか、又はタキサンレジメンでの治療を積極的に拒否した);
・両側精巣摘除を受けたか、又はゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト若しくはアンタゴニストによる持続的アンドロゲン遮断療法(ADT)を受けていた;
・総血清テストステロン濃度が50ng/dL以下又は1.7nmol/L以下であった;及び
・以下の前立腺癌ワーキンググループ3(PCWG3;Scher et al.,J.Clin,Oncol,Vol.34:1402-1418、2016)の基準の1つ以上で定義される進行性疾患の証拠を有した:
・前立腺特異抗原(PSA)濃度が1ng/mL以上で、少なくとも1週間隔で少なくとも2回連続して増加
・PCGW3改変を含むResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)1.1によって定義されるリンパ節又は内臓の進行
・骨スキャンにおける2つ以上の新たな病変の出現。
患者が以下の場合、試験から除外した:(i)免疫抑制療法を必要とする活動性自己免疫疾患を有したか;(ii)PSMA放射性リガンド療法を除いて、以前にPSMA標的療法を受けたか、又は(iii)CNS転移、軟髄膜疾患若しくは脊髄圧迫を有した。
AMG160を、0.003~0.9mgの範囲の目標用量の28日サイクルにおいて目標用量に達した後、2週間毎に(Q2W)(例えば、1日目及び15日目に)短時間IV注入(約60分)として投与した。AMG160の初回投与日を、サイクルの1日目と定義した。CRSの発生率及び/又は重症度を低減するために、2つの異なるサイクル1プライミング用量戦略を実施した。第1のサイクル1プライミング用量戦略は段階的投与戦略であり、サイクル1において1段階、2段階及び3段階の投与スケジュールを含んだ。1段階投与は、28日サイクル(+サイクル2の開始前の7日間の無注入間隔)のサイクル1の1日目に投与されるAMG160の導入用量(例えば、プライミング用量)と、続く8日目及び22日目のAMG160の目標用量の投与とを含んだ。2段階投与スケジュールは、28日サイクルのサイクル1の1日目のAMG160の導入用量(例えば、第1のプライミング用量)の投与と、続くサイクル1の8日目のAMG160のより高い導入用量(例えば、第2のプライミング用量)の投与と、その後のサイクル1の15日目のAMG160の目標用量の投与とを伴った。3段階投与スケジュールは、28日サイクル(+サイクル2の開始前の7日間の無注入間隔)のサイクル1の1日目のAMG160の導入用量(例えば、第1のプライミング用量)の投与と、続くサイクル1の8日目のAMG160のより高い導入用量(例えば、第2のプライミング用量)の投与と、続くサイクル1の15日目のAMG160の別のより高い導入用量(例えば、第3のプライミング用量)の投与と、その後のサイクル1の22日目のAMG160の目標用量の投与とを含んだ。
第2のサイクル1プライミング用量戦略(cIVプライミング;本明細書では長時間IVプライミング又はeIVプライミングとも称する)は、28日サイクル(+サイクル2の開始前の7日間の無注入間隔)のサイクル1の1~2日目又はサイクル1の1~3日目にAMG160の2日又は3日持続IV注入によって投与される導入用量(例えば、プライミング用量)と、続くサイクル1の8日目及び22日目のAMG160の目標用量の短時間IV注入(約60分注入)による投与とを含んだ。特定のプライミング用量の短時間IV注入(例えば、60分注入)と比較して、同じプライミング用量の3日持続IV注入は、AMG160のピーク血清曝露(Cmax)を約40%低下させ、且つTmax(すなわちCmaxまでの時間)を遅延させて、CRSの発生率又は重症度を低減させ、T細胞によるサイトカイン放出を下方制御すると予測された。プライミング用量は、示された日数の期間にわたって(例えば、2又は3日間にわたって)一定の速度で投与された。例えば、3日間にわたって投与される0.03mgのプライミング用量では、0.01mg/日を3日間送達するようにプライミング用量を一定の速度で連続的に注入した。同様に、3日間にわたって投与される0.30mgのプライミング用量では、0.10mg/日を3日間送達するようにプライミング用量を一定の速度で連続的に注入した。
サイクル1後、サイクル2及びその後の全てのサイクルは、28日サイクルの1日目及び15日目にAMG160の短時間IV注入(例えば、約60分)としての目標用量の投与を伴った。以下の表1に、様々な投薬コホートの概要を示す。無段階投与レジメン又は2段階投与レジメンに従って投与されたコホートでは、サイクル2は、28日サイクル1の直後に開始され、すなわち、試験29日目は、サイクル2の1日目であった。1段階若しくは3段階投与レジメンに従って投与されたコホート又はcIVプライミング投与レジメンに従って投与されたコホートでは、サイクル2は、28日サイクル1の7日後に開始され、すなわち、試験36日目は、サイクル2の1日目であった。全ての患者がサイクル1におけるAMG160の全ての投与の6~16時間前に8mgのPOデキサメタゾンで前治療された。さらに、サイクル1におけるAMG160の全ての用量前の1時間以内にデキサメタゾン8mgIVが投与された。患者は、疾患進行又は許容できない毒性までAMG160の治療サイクルを受けた。
AMG160の抗腫瘍活性を、PCWG3改変を含むRECIST 1.1基準による客観的応答、PSA応答、循環腫瘍細胞(CTC)応答、68ガリウム(68Ga)-PSMA-11陽電子放出断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)及び18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PET/CTスキャンによって測定される放射線学的応答、無増悪生存(放射線撮影及びPSA)並びに全生存を含む、いくつかの測定によって評価した。CT/磁気共鳴画像法(MRI)スキャンは、治療の最初の6か月間はベースライン時及び8週間毎、その後、12週間毎に実施した。腫瘍量評価は、PCWG3改変を含むRECIST 1.1に基づいて実施した(Eisenhauer et al.,European Journal of Cancer,Vol.45:228-247,2009;Scher et al.,J.Clin,Oncol,Vol.34:1402-1418,2016を参照されたい)。疾患進行(PD)を確認するために、放射線学的進行の最初の検出の4~6週間後に2回目のMRI/CTスキャンを実施した。応答(部分奏効(PR)及び完全奏効(CR))を、放射線学的応答の最初の検出の少なくとも4週間後に反復連続評価によって確認した。
PSA30/50/70/90応答は、それぞれベースラインからの血清PSAレベルにおける30%、50%、70%及び90%の減少として定義した。CTC応答は、全血中で測定されたCTC0(CTCの減少>0から0)又はCTC変換(≧5CTC/7.5mL血液から≦4CTC/7.5mL血液)として定義した。68Ga-PSMA-11 PET/CTスキャンは、PSMA陽性腫瘍量を評価するためにベースライン時に実施し、応答評価のために治療期間中は12週間毎に実施した。PSMA陰性疾患負荷を確認するために、ベースライン時に18F-FDG PET/CTスキャンを実施し、用量拡大期中の応答評価のために治療中に12週間毎に実施した。
データ分析の時点で、43人の患者は、最大0.9mgまでの6つの目標用量レベルで1つ以上の用量のAMG160単独療法を受けており、19人の患者(44.2%)は、治療を継続した。6人の患者が6か月以上治療を受けた。試験に登録された43人の男性のうち、ほとんど(79.1%)が白人であった。患者の平均年齢は、66.0歳(範囲:49~78歳)であり、ベースラインのEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)ステータススコアは0又は1であった。患者は、中央値4の以前の治療ライン(範囲:1~9)を受けており、26人の対象(60.5%)は、4以上の以前の治療ラインを受けていた。
サイクル1の最初の14日間のAMG160の予備的血清薬物動態(PK)プロファイルを、コホート6b(2段階投与コホート)及びcIVコホート1のmCRPC患者間で比較した。コホート6bでは、患者は、AMG160の短時間IV注入をサイクル1の1日目に0.03mgの用量で受け、続いて8日目に0.09mgの用量を受けた。cIVコホート1では、患者は、コホート6bにおける患者と同じ0.03mgの初回用量を受けたが、一定の速度で3日間にわたって(例えば、0.01mg/日を3日間)投与され、サイクル1の8日目に短時間IV注入によって同じ0.09mg用量が投与された。したがって、これらの2つのコホートの血清PKプロファイルの比較は、第1週中の2つの異なる注入法によって投与された同じプライミング用量に対するAMG160の血清曝露の差の直接比較を可能にする。図1A及び1Bに示されるように、0.03mg用量が60分の注入としてではなく3日間にわたる持続IV注入として与えられる場合、同じ用量のAMG160のピーク血清濃度(Cmax)は、約40%低く(4.48ng/mL対7.49ng/mL)、注入開始の約1時間後ではなく、注入開始の約72時間後に生じる。
コホート5の患者及びcIVコホート2aの患者は両方とも、0.3mgのAMG160の目標用量を受けた。コホート5の患者は、15日目に0.3mgの目標用量を受けるまで、1日目及び8日目にそれぞれ0.01mg及び0.09mgの2つの用量段階を投与することにより、この目標用量に漸増された。表1を参照されたい。対照的に、cIVコホート2aの患者は、0.09mgの初回用量(例えば、プライミング用量)を1~3日目にわたる持続IV注入として投与された後、8日目に0.3mgの目標用量を受けた(表1)。その後、両コホートの患者は、0.3mgの目標用量を14日に1回投与された。これら2つの投与コホートの予備的血清PKプロファイルを図2に示す。比較のために、コホート5のAMG160の血清濃度を、0.09mgの第2段階用量の投与から開始し、グラフの0日目に開始するように調整して示す。投与コホート6bとcIVコホート1との間の比較と同様に、3日間にわたるcIV注入による同じ用量、この場合0.09mgの投与は、1時間の注入によって投与された同じ用量と比較して、Cmaxを減少させる(図2)。加えて、0.3mgの目標用量の投与時に同様の血清曝露が達成されるが、目標用量は初回用量が連続IVによって投与される場合、1週間早く投与することができる。
サイクル1の最初の21日間の様々な時点でのIL-6(図3)、TNF-アルファ(図4)及びIFN-ガンマ(図5)の血清レベルを、cIVコホート1及び2の患者と、段階的投与コホート5及び6bの患者との間で比較した。患者がcIVコホート1のようにAMG160の0.03mgプライミング用量を3日間にわたり持続静脈内注入として受けた場合、患者がコホート6bのように60分間の注入として0.03mgプライミング用量を受けた場合と比較して、初期ピークIL-6レベルは低下した(図3Aと図3Cを比較されたい)。また、IL-6放出は、60分のIV注入によってプライミング用量を受けた患者と比較して、持続IV注入によってプライミング用量を受けた患者では6時間から24時間まで遅延した。同様の結果は、TNF-アルファ及びIFN-ガンマレベルで観察され、これらの2つのサイトカインの初期ピークレベルは60分間のIV注入として0.03mgプライミング用量を受けた患者におけるこれらのサイトカインのレベルと比較して、3日間にわたる持続IV注入によって0.03mgプライミング用量を受けた患者において減少し、且つ遅延した(TNF-アルファについては図4Aと図4Cを、IFN-ガンマについては図5Aと図5Cを比較されたい)。
初回AMG160用量として2~3日間にわたる持続注入によって0.09mgの用量を受けたcIVコホート2a及び2bの患者(図3B、4B及び5Bではコホート2 eIVとして統合)と、60分の注入として1日目に0.01mgのAMG160の初回プライミング用量を受けたコホート5の患者との比較は、0.09mgの初期用量の持続注入が、9倍低い用量の0.01mgを短時間IV注入として受けた患者と同様のIL-6、TNF-アルファ及びIFN-ガンマの放出を誘導したことを示す(IL-6については図3Bと図3Dを、TNF-アルファについては図4Bと図4Dを、IFN-ガンマについては図5Bと図5Dを比較されたい)。cIVコホート1の患者で観察されたように、サイトカインの放出は、AMG160の初回用量が2~3日間にわたる連続注入によって投与された場合、一部の患者で6時間から24時間まで遅延した。図3B、4B及び5Bを参照されたい。
治療中に発生した有害事象は、データ分析時において、41例(95.3%)が報告された。グレード5の事象はなく、治療中止に至った事象もなかった。次の3つの可逆的用量制限毒性が生じた:グレード3の発疹(n=2)及びグレード3のGI出血(n=1)。最も多かった有害事象はCRSであり、発熱、一過性の高トランスアミナーゼ血症、低血圧、悪心/嘔吐及び/又は下痢を呈し、39人の患者(任意のグレード)で発現した。CRS事象は、Lee et al.,Blood,Vol.124:188-195,2014に記載のLee基準に従って評価した。CRSは可逆的であり、主にサイクル1及び2で生じた。26人の患者(60.5%)が最悪グレードとしてグレード2のCRSを有し、11人の患者(25.6%)が最悪グレードとしてグレード3のCRSを有した。グレード4又は5のCRS事象はなかった。データ分析時に評価した患者30人中6人(20.0%)が、サイクル1~10においてAMG160の曝露に影響を及ぼす抗薬物抗体を発現した。抗薬物抗体と明らかに関連する有害事象は観察されなかった。
以下の表2に、2段階、3段階及びcIVプライミングコホートの安全性及び有効性プロファイルの概要を示す。一般に、cIVプライミングコホートは、段階的投与レジメンを受けたコホートと比較して、安全性プロファイルの改善を示した。例えば、2段階投与コホート6bとcIVコホート1との比較により、60分間の注入としてではなく、3日間にわたる持続IV注入によるAMG160の同じ初回用量(例えば、プライミング用量)の投与が、用量制限毒性、重篤な有害事象及び用量減少の発生を回避すると共に、グレード2及びグレード3のCRS事象の数を減少させたことがわかる。いずれも患者が0.3mgの目標用量を受けるコホート5(2段階用量コホート)とcIVコホート2aとの比較では、AMG160のプライミング用量を3日間にわたる持続IV注入によって投与することにより、重篤な有害事象及びグレード3のCRS事象の発生が排除されたことが示されている。同様に、患者が2日間又は3日間にわたる持続IV注入によって投与されるAMG160のプライミング用量を受け、次いで0.9mgの目標用量を受けたcIVコホート3a及び3bと、患者が2回又は3回の投与段階を用いて0.9mgの目標用量に漸増されるコホート6a~6cのいずれかとの比較は、数日間にわたる連続注入によるプライミング用量の投与が、重篤な有害事象の数並びにCRS事象の数及び重症度を低減することを示している。コホート2aとコホート2bとの安全性測定の比較によって示されるように、同じプライミング用量(例えば、0.09mg)を2日間ではなく3日間にわたって持続注入した場合、観察される用量減少、重篤な有害事象及びグレード3のCRS事象がより減少した。
データ分析時、AMG160の有効性及び臨床的有益性の予備的証拠が一部の患者で観察された。測定可能な疾患を有する患者におけるRECIST 1.1応答は、3例の部分奏効(PR;コホート3、4及びcIVコホート2aのそれぞれ0.03mg、0.09mg及び0.3mgの目標用量で)、8例の安定(SD)及び5例の進行(PD)を含んだ。PSAの低下は評価可能な患者35例中24例(68.6%)で生じた。評価可能な患者は、1つ以上の用量のAMG160を受け、且つ測定可能なベースラインPSAレベルを有した患者を含んだ。最良の応答としての50%を超えるPSAの低下は、評価可能な患者35例中12例(34.3%)で生じた。全体として、2例のベースライン後PSA結果を含む29例の患者のうちの8例(27.6%)で確認されたPSA応答を有した:PSA90(目標用量0.09mg)1例、PSA70(目標用量0.09mg及び0.9mg)2例、PSA50(目標用量0.03mg及び0.3mg)2例及びPSA30(目標用量0.03mg、0.3mg及び0.9mg)3例。ベースライン時に測定可能なPSA値を示した患者35例中、さらに4例(11.4%)でデータ分析時に未確認のPSA応答を有した:PSA70(0.3mgの目標用量)1例、PSA50(0.9mgの目標用量)2例及びPSA30(0.9mgの目標用量)1例。ベースラインCTC>0及びベースライン後CTC評価を有する患者13例中3例(23.1%)が、CTC0応答を有した。この最初のデータカット後、cIVプライミングコホートで、RECIST 1.1測定可能な患者において、4例のPSA70超応答及び1例のPSA90応答(全て未確認)及び2例のSD応答が報告された。これらの応答並びにcIVプライミングコホート及び2段階及び3段階投与コホートの他の有効性の測定を、上記の表2に要約する。これまでに段階的投与コホートから報告された有効性結果と同じ目標用量が投与されたcIVプライミングコホートから報告された有効性結果の比較は、cIVプライミングコホートにおける患者がAMG160で良好な応答を有することを示す。具体的には、2~3日間にわたる持続IV注入によって投与されたプライミング用量から0.3mgの目標用量に漸増された患者(cIVコホート2a及び2b)は、PSA測定値を有する5人の患者のうちの4人がPSA70応答を有し、RECIST 1.1による測定の可能な疾患を有する患者中1人のPR及び2人のSDを有した一方、0.01mg及び0.09mgの2段階用量を介して0.3mgの目標用量に漸増された患者(コホート5)は、1人の患者において1人のPSA30/CTC0応答を有し、コホートの4人の患者のうちの第2の患者において1人のPSA50応答/SD応答を有した。cIVプライミングで観察される改善された有効性は、一つには、cIVプライミングで達成される忍容性プロファイルの改善(例えば、CRS及び有害事象の低減)のために、サイクル1において段階的投薬よりも早期に目標用量を患者に投与することができることに起因し得る。
プライミング用量をより長い注入期間とすることの効果を評価するために、別のコホートの患者(n=4)に、サイクル1において、5日間(すなわちサイクル1の1~5日目;0.03mg/日を5日間)にわたる持続IV注入によって0.15mgのAMG160のプライミング用量を投与し、その後、8日目及び22日目に短時間IV注入(約60分)によって0.3mgの目標用量を投与した。患者は、サイクル2及び他の全てのその後のサイクルの1日目及び15日目に短時間IV注入によって0.3mgの目標用量が投与された。現在までにこのコホートに登録された4人の患者のうち、1人の患者は、グレード3のCRS事象を有し、2人の患者は、グレード2のCRS事象を有し、1人の患者は、グレード1のCRS事象を最悪のグレードとして有した。データ分析時に評価可能な3人の患者のうち、PSA90応答を有し、RECIST 1.1による判定が安定である患者1人が認められた。
用量拡大
AMG160を上記のcIVコホート2aと同じcIV投与レジメンに従って用量拡大コホートに投与した(表1を参照されたい)。具体的には、用量拡大コホートに登録された患者に、サイクル1において、1~3日間にわたる持続IV注入によって0.09mgの初回用量(例えば、プライミング用量)を投与し(例えば、0.03mg/日を3日間)、その後、8日目及びその後、2週間毎に短時間IV注入(約60分)によって0.3mgの目標用量を投与した。患者は、サイクル2及び他の全てのその後のサイクルの1日目及び15日目に短時間IV注入によって0.3mgの目標用量が投与された。
データカットオフ日の時点で43人の患者が用量拡大コホートに登録され、40人の患者に少なくとも1つの用量のAMG160が投与された。登録された患者は、中央値4の以前の治療ラインを受けており、24人の対象(60.0%)は4以上の以前の治療ラインを受けていた。患者は、ベースライン時(すなわちAMG160を投与される前)、0又は1のECOGステータススコアも有した。登録された患者43人のうち、18人(41.9%)は、疾患の進行(13人の患者)、対象の要求(2人の患者)、有害事象(2人の患者)又は他の理由(1人の患者)のために治療を中止した。
データカットオフ日の時点の用量拡大コホートにおいて、治験実施施設の治験責任医師が治験薬と関係があると判断した有害事象は、治療に関連したグレード5の事象のない38人の患者(95%)で報告された。20%以上の患者で報告された治療関連有害事象は、CRS(37例、92.5%);悪心(19例、47.5%);下痢(16例、40%);口渇(15例、37.5%);嘔吐及び疲労(それぞれ13例、32.5%);発熱(12例、30%);食欲減退(10例、25%);発疹(11例、27.5%);味覚異常(9例、22.5%);及び斑状丘疹発疹(8例、20%)であった。最も多く報告されたグレード3の治療関連有害事象はCRS(6例、15%)であった。重篤な有害事象は22例(55%)に認められた。臓器別で最も多く報告された重篤な有害事象は免疫系障害(12例、30%)であった。2人以上の患者について報告された優先用語別の重篤な有害事象は、CRS(12例、30%)及び全身の健康状態の悪化(2例、5%)、痛み(2例、5%)であった。20人の患者(50%)が、治験実施施設の治験責任医師によってAMG160と関連があると判断された重篤な有害事象を有した。このうち、1例(2.5%)にグレード4の重篤な有害事象(CRS及び急性腎損傷)が認められ、12例(30%)にCTCAEグレード3の重篤な有害事象(CRS、AST増加、血小板数減少、嘔吐、貧血、播種性血管内凝固症候群、全身の健康状態の悪化、難聴及び感染)が認められた。データカット時の用量拡大コホートの2人の患者(6.5%)は用量制限毒性を有し、これには、3日間で消失したグレード3の重篤な事象であるAST増加を有した1人の対象と、中止に至ったグレード4の重篤な事象である急性腎損傷(7日間を超える持続期間)を有した別の対象が含まれた。
37人の患者(92.5%)が最悪のグレードとしてグレード1~4のCRSを有した(グレード5のCRS事象はなかった)。最悪グレードとして、1人の患者(2.5%)はグレード4のCRS事象を有し、6人の患者(15%)はグレード3のCRS事象を有し、27人の患者(67.5%)はグレード2のCRS事象を有し、29人の患者(72.5%)はグレード1のCRS事象を最悪グレードとして有した。20%以上の患者において最も一般的に報告されたCRS症状は、発熱、悪心、低血圧、肝酵素の上昇(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT))、嘔吐、下痢、疲労、頻脈、硬直、アルカリホスファターゼ(ALP)の上昇、低酸素症及び食欲不振を含んだ。CRSは1回目及び2回目の用量で最も重症度が高く、且つ可逆的であり、標準的な治療アプローチ(例えば、トシリズマブ、コルチコステロイド及び昇圧剤)で管理可能であった。段階的投与コホート5、6a、6b及び6c(上記の表1を参照されたい)と比較して、cIVプライミングレジメンを使用する用量拡大コホートでは、用量減少及びグレード3のCRS事象が少なく(データは示さず)、cIVプライミングアプローチがAMG160の忍容性プロファイルを改善することを示した。
データカットオフ日の時点で、用量拡大コホートにおけるAMG160の有効性及び臨床的有益性の予備的証拠が一部の患者で観察された。PSA低下に関しては、患者の88%が少なくともある程度のPSA低下を経験した。評価可能な34人の患者のうち、12人(35.3%)が30%以上のPSA低下を確認し、9人(26.5%)が50%以上のPSA低下を確認し、7人(20.6%)が70%以上のPSA低下を確認し、3人(8.8%)が90%以上のPSA低下を確認した。AMG160の少なくとも1回の投与を受けた40人の患者のうちの16人の患者は、データ分析時、RECIST測定可能な疾患を有していた。ベースライン後の応答評価を行った12例(75%)のRECIST1.1の応答には、安定を有する6例(37.5%)、未確認の部分奏効を有する3例(18.8%)及び未確認の進行を有する3例(18.8%)が含まれた。ガリウムPSMA-11応答(50%SUVmax減少)は、4人の患者(12.9%)で報告された。AMG160で治療された患者の大部分は、腫瘍量のマーカーであるLDHレベルが低下し(97.5%の患者)、骨疾患の指標であるALPレベルが低下し(95%の患者)、LDH及びALPレベルの50%以上の低下は、それぞれ27.5%及び17.5%の患者において報告された。
この実施例に記載される結果は、サイクル1におけるAMG160の初回用量(すなわちプライミング用量)の2~3日間にわたる持続IV注入による投与が、短時間のIV注入(例えば、60分の注入)によるプライミング用量の投与と比較して、AMG160のピーク血清濃度(Cmax)を低下させ、Cmaxまでの時間を2~3日遅らせることを実証する。このPKプロファイルは、一部の患者において初期のIL-6、TNF-アルファ及びIFN-ガンマの放出の減少と関連していた。2~3日間の持続注入によってAMG160プライミング用量を投与された患者は、各段階用量を60分のIV注入によって投与されたAMG160の段階的投与レジメンを受けた患者と比較して、減少した数の重篤な有害事象、用量減少及びグレード2、3のCRS事象の数の減少を示した。cIVプライミングコホートの患者は、段階的投与レジメンによって投与された同じ目標用量を投与された患者よりも、PSA減少及びRECIST測定可能な応答に関してより良好な有効性応答も示した。
実施例2.多発性骨髄腫患者におけるBCMA×CD3二重特異性T細胞誘導分子のサイクル1プライミング投与レジメン
AMG701は、B細胞成熟抗原(BCMA)及びCD3の両方に結合し、単鎖IgG Fcドメインを含むHLE BiTE(登録商標)分子である。AMG701のアミノ酸配列は、配列番号50に記載される。本試験は、再発/難治性多発性骨髄腫患者を対象としたAMG701の安全性、忍容性及び有効性を評価する第1相非盲検用量探索試験である。
インフォームド・コンセントに署名した後、患者はスクリーニング期間(21日まで)に入り、その間に患者の適格性が評価される。適格な患者は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬剤及びCD38に対する抗体を含む既知の臨床的利益を有する確立された利用可能な療法後に再発し、且つ/又はそうした療法に対し難治性の多発性骨髄腫を有する18歳以上の患者である。主要な患者選択基準には以下が含まれる:
・以下の基準を満たす多発性骨髄腫:
○以下で定義されるような再発又は難治性の多発性骨髄腫の病理学的に記録された診断:
・3ライン以上の以前の療法後の再発で、療法にはプロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬剤(IMiD)及びCD38に対する抗体を、同じ治療ライン又は別々の治療ラインで組み合わせて含まれなければならない;又は
・PI、IMiD及びCD38に対する抗体に不応性
・難治性多発性骨髄腫は、一次療法又はサルベージ療法を受けている間又は最後の治療から60日以内の進行中、非応答性(すなわち最小の応答を達成することができない)疾患と定義される。
・再発多発性骨髄腫は、以前に治療された多発性骨髄腫であって、進行し、サルベージ療法の開始を必要とするが、難治性多発性骨髄腫の基準を満たさない多発性骨髄腫として定義される。
○スクリーニング時に以下の1以上により定義される、測定可能な疾患:
・血清タンパク電気泳動で測定された血清Mタンパク≧0.5g/dL
・尿中Mタンパク排泄≧200mg/24時間
・関与する血清遊離軽鎖(sFLC)測定値>10mg/dL(国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)の効果判定基準によりsFLC比が異常である場合)
・Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスが2以下
・スクリーニング時の治験責任医師の判断による平均余命が少なくとも3か月
・以下の輸血支援なしの血液機能:
○絶対好中球絶対数(ANC)≧1.0×109/L(増殖因子の支援なし)
○血小板数≧50×109/L(スクリーニング評価から7日以内の輸血なし)
○ヘモグロビン≧8.0g/dL(輸血はスクリーニングの48時間前まで許可)
・Cockcroft-Gault式を用いて又は血漿及び尿クレアチニン濃度を用いた24時間の尿採取を介して、計算又は測定されたクレアチニンクリアランス≧30mL/分によって定義される腎機能;及び
・以下の肝機能:
○アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)<3×正常上限(ULN)
○総ビリルビン(TBIL)<1.5×ULN(ギルバート症候群によると考えられない限り)
AMG701の初回用量(例えば、プライミング用量)がサイクル1の第1週の2日間又は7日間にわたる持続IV注入として投与され、その後、サイクルの8日目に始まるAMG701の目標用量の週1回の短時間IV注入(例えば、60分間のIV注入)が続く。AMG701は28日サイクルで投与され、AMG701の初回用量の日をサイクルの1日目として定義する。サイクル1の第1週の持続IV注入によるAMG701の投与は、サイクル1において可能な限り早く、且つAMG701が週1回の投与間隔で投与されたときに以前に観察されたものの範囲内で、AMG701の有効な曝露レベルを達成するように設計される。理論に束縛されるものではないが、これらの持続IVプライミング投与レジメンは、PKシミュレーションに基づき、2~4日以内に血清遊離AMG701予測有効曝露を達成すると考えられるが、より重要なことには、それらは、遊離AMG701血清曝露の急峻な増加、例えば注入開始の1時間以内のピーク血清濃度(Cmax)と共に、短時間の60分IV注入で見られるような遊離AMG701血清曝露の急激な増加を回避するとも予測される。遊離AMG701濃度の緩慢な上昇及びCmaxまでの時間の遅延は、CRSのリスクを低減すると考えられる。これらのcIVプライミング投与レジメンは、60分のIV注入によって投与されたAMG701の初期サイクル1用量後のグレード2以上のCRSの誘導と関連している、遊離AMG701の血清濃度の急速な増加を伴わずに、1週間中の標的細胞の最適なT細胞誘導を可能にすると考えられる。
2つのコホートにおいて、患者は2日の期間(サイクル1の1~2日目)にわたる持続注入によってAMG701の初回用量(例えば、プライミング用量)を投与され、その後、サイクル1の3日目にブースト用量の短時間IV注入(例えば、60分注入)が続き、その後、サイクル1の28日サイクルの8日目、15日目及び22日目に短時間IV注入として目標用量が投与される。2つの他方のコホートでは、患者は7日の期間(サイクル1の1~7日目)の期間にわたる連続注入によってAMG701の初回用量(例えば、プライミング用量)を投与され、その後、サイクル1の28日サイクルの8日目、15日目及び22日目に短時間IV注入として目標用量が投与される。サイクル1後、サイクル2及びその後の全てのサイクルは、28日サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目にAMG701の短時間IV注入(例えば、約60分)としての目標用量の投与を伴う。AMG701のプライミング用量は、示された日数の期間にわたって(例えば、2又は7日間にわたって)一定の速度で投与される。例えば、7日間にわたって投与される8.4mgのプライミング用量では、1.2mg/日を7日間送達するようにプライミング用量を一定の速度で連続的に注入する。同様に、2日間にわたって投与される4.6mgのプライミング用量では、2.3mg/日を2日間送達するようにプライミング用量を一定の速度で連続的に注入する。
患者は、以下のように4つのコホートのそれぞれにおいて投与される:
・コホート1:サイクル1の1~7日目に7日間にわたる持続IV注入によって8.4mgのプライミング用量が投与され(例えば、1.2mg/日を7日間)、続いてサイクル1の8日目、15日目及び22日目に短時間IV注入(例えば、60分IV注入)として12mgの目標用量が投与される
・コホート2A:サイクル1の1~7日目に7日間にわたる持続IV注入によって16.1mgのプライミング用量が投与され(例えば、2.3mg/日を7日間)、続いてサイクル1の8日目、15日目及び22日目に短時間IV注入(例えば、60分IV注入)として12mg~18mgの目標用量が投与される
・コホート2B:サイクル1の1日目~2日目に2日間にわたる持続IV注入によって4.6mgのプライミング用量が投与され(例えば、2.3mg/日を2日間)、続いてサイクル1の3日目に短時間IV注入(例えば、60分IV注入)として0.8mgのブースト用量が投与され、続いてサイクル1の8日目、15日目及び22日目に短時間IV注入(例えば、60分IV注入)として12mg~18mgの目標用量が投与される
・コホート3:サイクル1の1日目~2日目に2日間にわたる持続IV注入によって9.2mgのプライミング用量が投与され(例えば、4.6mg/日を2日間)、続いてサイクル1の3日目に短時間IV注入(例えば、60分IV注入)として1.6mgのブースト用量が投与され、続いてサイクル1の8日目、15日目及び22日目に短時間IV注入(例えば、60分IV注入)として12mg~18mgの目標用量が投与される。
コホート2A及び/又はコホート2Bは、コホート1からの全ての利用可能な安全性、PK及び薬力学(PD)データのレビュー後にのみ選択的に開かれる。コホート3は、コホート2A及び/又は2Bからの全ての利用可能な安全性、PK及びPDデータのレビュー後にのみ開かれる。各コホートには、4~7人の適格な患者を登録される。サイクル1のAMG701注入の開始前に、患者に禁忌でない限り、50mgのプレドニゾン、40mgのメチルプレドニゾン又は8mgのデキサメタゾンに相当する用量のグルココルチコイドを、サイクル1におけるAMG701の各用量の投与から1時間以内に患者に静脈内投与する。サイクル2のAMG701の初回用量前に、グレード1を超えるCRSが先行する用量の投与と共に生じる場合、8mgのデキサメタゾン又は均等な用量のグルココルチコイドをサイクル2におけるAMG701の初回用量の1時間以内に患者に静脈内投与する。さもなければ、4mgのデキサメタゾン(25mgのプレドニゾン又は20mgのメチルプレドニゾンに相当)を、サイクル2におけるAMG701の初回用量の1時間以内に患者に静脈内投与する。
AMG701の有効性は、IMWG効果判定基準(Kumar et al.,Lancet Oncol.,Vol.17:e328-346,2016を参照されたい)に従った全体的応答及び以下の各応答カテゴリーにおける最良の全体的応答によって評価される:厳密完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)及び部分奏効(PR)。各応答カテゴリーのIMWG効果判定基準は以下の通りである:
・完全奏効(CR):
〇血清及び尿に対する陰性Mタンパク免疫固定、
〇軟部組織形質細胞腫の消失、及び
〇骨髄(BM)穿刺液の5%未満の形質細胞
〇sFLCによってのみ測定可能なベースラインの疾患を有する患者では、正常なFLC比が要求される
・厳密完全奏効(sCR):
〇上記に定義されるCR、
〇正常なFLC比、
〇免疫組織化学によるBM生検におけるクローン細胞の欠如(κ/λ比≦4:1又はκ及びλ患者ではそれぞれ100個以上の形質細胞を計数した後1:2以上)
・非常に良好な部分奏効(VGPR):
〇血清及び尿Mタンパクが免疫固定で検出できるが、電気泳動で検出できないか、又は血清Mタンパクで90%以上の減少+尿Mタンパクレベルが100mg/24時間未満
〇sFLCによってのみベースラインの測定可能な疾患を有する患者では、Mタンパク基準の代わりに、関与するFLCレベル及び関与しないFLCレベルの差を90%以上減少させる必要がある
〇他の基準によってVGPRを達成した患者では、軟部組織形質細胞腫がベースラインと比較して、測定された病変(SPD)の最大垂直直径の積の合計において90%を超えて減少しなければならない
・部分奏効(PR):
〇血清Mタンパクが50%以上減少し、24時間で尿中Mタンパクが90%以上又は200mg/24時間未満まで減少する
〇sFLCによってのみベースラインの測定可能な疾患を有する患者では、Mタンパク基準の代わりに、関与するFLCレベル及び関与しないFLCレベルの差を50%以上減少させる必要がある
○血清及び尿中M-タンパク質が測定不可能であり、血清フリーライトアッセイも測定不可能である場合、ベースラインBM形質細胞比率が30%以上であれば、M-タンパクの代わりに形質細胞の50%以上の減少が必要である
○軟組織形質細胞腫がベースライン時に存在する場合、そのサイズ(SPD)の50%以上の減少も必要とされる。
有害事象及び重篤な有害事象並びに疾患関連事象の評価は、試験全体を通して行い、評価し、原資料に記録する。全ての事象の重症度を、CTCAE、バージョン4.0に従って評価する。しかし、CRSは、Lee et al.,Blood,Vol.124:188-195,2014に記載のLee基準に従って評価する。簡潔に述べると、この研究で使用されるCRSグレーディングは、以下の表3に記載されている。
4人の患者がコホート1に登録され、サイクル1の1~7日目に7日間にわたる持続IV注入によってAMG701の8.4mgのプライミング用量が投与され(例えば、1.2mg/日を7日間)、続いてサイクル1の8日目、15日目及び22日目に短時間IV注入(例えば、60分IV注入)として12mgの目標用量が投与された。サイクル2及びその後のサイクルでは、AMG701を、12mgの目標用量で、週1回の短時間IV注入によって投与した。コホートに登録された4人の患者のうち、1人の患者は、サイクル11において確認されたCRを有し、治療を続け、1人の患者は、サイクル3において確認されたVGPRを有したが、サイクル6において進行した。残りの2人の患者は、有害事象のためにサイクル1を完了しなかった。コホートの4人の患者のうちの2人は、グレード1のCRS事象を有した一方、他の2人の患者は、グレード2のCRS事象を有した。
実施例3.CLDN18.2×CD3二重特異性T細胞誘導分子のサイクル1プライミング用量レジメンの比較
AMG910は、細胞タイトジャンクションタンパク質CLDN 18のアイソフォームのクローディン(CLDN)18.2とCD3の両方に結合し、単鎖IgG Fcドメインを含むHLE BiTE(登録商標)分子である。AMG910のアミノ酸配列は、配列番号160に記載される。AMG910はT細胞をCLDN18.2発現細胞に向けてリダイレクトし、T細胞媒介性細胞傷害によってそれらを死滅させるように設計されている。AMG910は、CLDN18.2陽性の転移性又は局所進行切除不能胃腺癌又は胃食道接合部(GEJ)腺癌を有する成人対象における治療のために現在臨床試験が行われている。本試験は、CLDN18.2+胃腺癌患者におけるAMG910の安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学的作用を評価するための第1相非盲検用量探索試験である。
組織学的又は細胞学的に確認された、CLDN18.2陽性の転移性又は局所進行切除不能胃腺癌又はGEJ腺癌の患者で、白金、フルオロピリミジン、タキサン又はイリノテカン及び承認された血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)抗体/チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む2つ以上の以前の標準的な全身療法ライン後に再発した患者を本試験に登録した。線量探索は、2つの段階:単一患者コホートに続いて複数の患者コホート(1コホート当たり3~4人の患者)で行った。AMG910を28日サイクルで患者に投与し、AMG910の初回投与日をサイクルの1日目と定義した。
コホート1に登録された単一の患者について、CRSグレード2及び腹痛グレード2の観察は、単一の患者コホートから複数の患者コホートへの切り替えを誘発した。第1の複数の患者コホートにおいて、サイクル1の1、3、8、15及び22日目のそれぞれに、AMG910の目標用量を短時間IV注入(例えば、約60分の注入)によって投与した。サイクル2及びその後の全てのサイクルにおいて、目標用量を短時間IV注入として週1回、すなわち各28日サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目に投与した。この第1の複数の患者コホート1に登録された6人の患者のうち、5人が用量制限毒性(DLT)について評価可能であった。2つのDLT(グレード3の高トランスアミナーゼ血症及びグレード3の心房細動)が5人の患者のうちの2人に観察された。グレード3のCRSの設定において、グレード3の心房細動のDLTが報告された。さらに、別の患者はグレード2のCRS事象を経験した。
コホート1と同じ目標用量を有するcIVプライミングレジメンのコホート1bには4人の患者が登録された。コホート1bでは、初回用量(例えば、プライミング用量)のAMG910を、サイクル1の1日目に開始する4日間(96時間)にわたる持続IV注入として投与し、その後、サイクル1の8日目、15日目及び22日目のそれぞれにおいて、短時間IV注入(約60分の注入)によってAMG910の目標用量を投与した。コホート1における投与レジメンにおいて1日目及び3日目に与えられた用量の合計であるプライミング用量(すなわち目標用量の2倍)を4日間にわたって一定の速度で投与した。サイクル2及びその後の全てのサイクルにおいて、目標用量を短時間IV注入として週1回、すなわち各28日サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目に投与した。コホート1bに登録された4人の患者は、全て8日目まで投与を完了し、その時点で、1人の患者は、治療を中止し、残りの3人の患者は、治療を続け、サイクル1の投与を完了した。4人の患者のうちの2人は、グレード1のCRSのみを発症した。サイクル1の投与期間中、コホート1bの患者では、投与に関連するグレード3の毒性は報告されなかった。これらの結果は、サイクル1の1週目におけるcIVプライミング投与方法の使用がグレード2以上のCRS事象又は用量制限毒性を誘発することなく、AMG910の目標用量の投与を可能にし、患者はサイクル1の1週目における短時間IV注入による同じ目標用量の投与と比較して、より良好にAMG910を忍容することができたことを示す。
実施例4.多重特異性T細胞誘導分子のための連続IVプライミングレジメン
cIVプライミングレジメンが他のタイプのT細胞誘導分子の有害事象も低減するかどうかを評価するために、2つの癌細胞抗原(カドヘリン3(CDH3)及びメソテリン(MSLN))とT細胞上のCD3とに結合する多重特異性T細胞誘導分子を、2つの異なる投与レジメンに従って雄カニクイザルに投与した。CDH3×MSLN T細胞誘導分子(CDH3×MSLN TCE)は、ヒトCDH3に結合するscFvドメイン、ヒトMSLNに結合するscFvドメイン、ヒトCD3に結合する2つのscFvドメイン及び一本鎖IgG Fcドメインを含む。CDH3×MSLN TCE分子を、以下の4つの異なる処置群においてサルに投与した:
・第1群(n=2):試験の1、2、3、4、5、6、7、8及び15日目(1日1回の投与;用量レベル1)のそれぞれにおいて、緩徐静脈内注射(約2分間)により1000μg/kgを投与
・第2群(n=1):試験の1、2、3、4、5、6、7、8及び15日目(1日1回の投与;用量レベル2)のそれぞれにおいて、緩徐静脈内注射(約2分間)により5000μg/kgを投与
・第3群(n=2):7日間にわたる持続IV注入として7000μg/kgを投与(すなわち試験1~7日目;1000μg/kg/日から)及び試験の8日目及び15日目(cIVプライミング;用量レベル1)のそれぞれにおいて緩徐静脈内注射(約2分間)により1000μg/kgを投与
・第4群(n=1):7日間にわたる持続IV注入として35000μg/kgを投与(すなわち試験1~7日目;5000μg/kg/日から)及び試験の8日目及び15日目(cIVプライミング;用量レベル2)のそれぞれにおいて緩徐静脈内注射(約2分間)により5000μg/kgを投与。
CDH3×MSLN TCEの同等の血清曝露が第1群と第3群との間(1000μg/kg用量レベル)及び第2群と第4群との間(5000μg/kg用量レベル)の動物で観察され、これは、分子の薬物動態プロファイルが2つの異なる投与アプローチ間で類似していたことを示している(データは示さず)。興味深いことに、cIVプライミング投与レジメンを用いてCDH3×MSLN TCEを投与された動物では、1日1回の投与レジメンと比較して、副作用の臨床的徴候がより少なかった(表4)。
CDH3×MSLN TCEを1日1回投与した後、1日目の投与2時間後に第1群(1000μg/kg/用量)の1匹の動物及び第2群(5000μg/kg/用量)の1匹の動物の後肢にわずかな立ち毛が観察された。2日目に、第1群の動物は、投与の2時間後に一過性の異常な歩行を示し、投与の4時間後に軽度の全身性振戦に関連するわずかな活動の減少を示した。同様の臨床徴候が第2群の動物でも観察された。3日目に、赤色の皮膚及び赤い斑点が投与前及び投与後4時間まで第1群及び第2群のこれらの両方の動物で認められた。4日目に第1群の動物の口、前肢、後肢及び陰嚢にわずかな落屑及び/又は乾燥皮膚が観察され(8日目まで)、第2群の動物は、鼠径部の毛がわずかに赤色に変色した(7日目まで)。さらに、第1群の罹患動物が収容されたケージで、一過性の摂餌量の減少が認められ、これは、この動物でのみみられた一過性の体重減少と関連していた。
対照的に、同じ用量のCDH3×MSLN TCEのcIVプライミングレジメンを受けた第3群及び第4群の動物では、臨床徴候は観察されなかった。第3群の2匹の動物中の1匹は、1日目の注入開始から2時間後、投与に関連した中等度の体温低下を示した。この減少は一過性であり、値は4時間以内にベースラインに近い値に戻った。
以下を含む自然免疫応答の急性期の指標が4つの全ての群で観察された:2日目のC反応性タンパク(CRP)の最小から中程度の増加(図6A及び6B)、並びに2日目及び9日目のアルブミン及びコレステロールの最小から軽度の減少、並びに16日目の個々の動物における持続(データは示さず)(これらに限定されない)。CRPの値は、均等な用量レベルでのcIVプライミング群(第3群及び第4群;図6B)と比較して、1日1回の投与群(第1群及び第2群;図6A)においてかなり高く、炎症のレベルの低下を示唆した。この分子のT細胞誘導活性を示すCD25+及びCD69+T細胞集団の両方の活性化T細胞の数の増加が、4つの群全てにおいて観察された(図7A、7B、8A及び8B)。
この試験の結果は、分子の初回用量が数日間にわたる持続IV注入によって投与されるcIVプライミングレジメンを使用する多重特異性T細胞誘導分子の投与が、1日1回の緩徐なIV注射による分子の投与と比較して、副作用の誘発を減少させるが、同等レベルのT細胞活性化を生じさせることを示している。
実施例5.消化器癌患者におけるMUC17×CD3二重特異性T細胞結合分子のサイクル1プライミング投与レジメン
AMG199は、ムチン17(MUC17)及びCD3の両方に結合し、単鎖IgG Fcドメインを含むHLE BiTE(登録商標)分子である。AMG199のアミノ酸配列は、配列番号171に記載される。本試験は、MUC17陽性胃癌又は胃食道接合部癌を有する患者におけるAMG199の安全性、忍容性及び抗腫瘍活性を評価するための第1相非盲検用量探索試験である。組織学的又は細胞学的に確認された、MUC17陽性の転移性又は局所進行切除不能胃腺癌又は胃食道接合部(GEJ)腺癌の患者で、白金、フルオロピリミジン、タキサン又はイリノテカン及び承認された血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)抗体/チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む2つ以上の以前の標準的な全身療法ライン後に再発した患者を本試験に登録する。AMG199は28日サイクルで患者に投与され、AMG199の初回用量の日をサイクルの1日目として定義する。以下の2つの投与レジメンを、患者の別々のコホートにおいて評価する:
・投与レジメン#1:サイクル1の1日目、3日目、8日目、15日目及び22日目のそれぞれにおいて、AMG199の目標用量を短時間IV注入(例えば、約60分の注入)によって投与する。サイクル2及びその後の全てのサイクルにおいて、目標用量を短時間IV注入として週1回、すなわち各28日サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目に投与する。
・投与レジメン#2(cIVプライミング):初回用量(例えば、プライミング用量)のAMG199を、サイクル1の1日目に開始する4日間(96時間)にわたる持続IV注入として投与し、その後、サイクル1の8日目、15日目及び22日目のそれぞれにおいて、短時間IV注入(約60分の注入)によってAMG199の目標用量を投与する。投与レジメン#1において1日目及び3日目に与えられた用量の合計であるプライミング用量(すなわち目標用量の2倍)を4日間にわたって一定の速度で投与する。サイクル2及びその後の全てのサイクルにおいて、目標用量を短時間IV注入として週1回、すなわち各28日サイクルの1日目、8日目、15日目及び22日目に投与する。
AMG199の抗腫瘍活性を、固形癌の治療効果判定基準(RECIST)1.1及びiRECISTによる客観的応答によって評価する。有害事象及び重篤な有害事象並びに疾患関連事象の評価は本試験を通して行い、CTCAEバージョン5.0に従って評価する。しかし、CRSは、Lee et al.,Blood,Vol.124:188-195,2014に記載されるLee基準に従って評価し(例えば、上記の表3を参照されたい)、腫瘍崩壊症候群(TLS)は、Coiffier et al.,Journal of Clinical Oncology,Vol.26:2767-2778,2008で参照されているCairo Bishop基準に従って評価する。
cIVプライミングレジメンによるAMG199の投与は、投与レジメン#1による投与と比較して、患者におけるCRS事象の発生率の減少及び/又は重症度の低下を誘導すると予想される。cIVプライミングレジメンの使用は、投与レジメン#1よりも高い目標用量の投与を可能にすることも期待され、これは、AMG199の抗腫瘍効果を増強し得る。
実施例6.小細胞肺癌患者におけるDLL3×CD3二重特異性T細胞誘導分子のためのサイクル1プライミング投与レジメン
AMG757は、デルタ様リガンド3(DLL3)及びCD3の両方に結合し、単鎖IgG Fcドメインを含むHLE BiTE(登録商標)分子である。AMG757のアミノ酸配列は、配列番号40に記載される。本試験は、再発/難治性小細胞肺癌(SCLC)を有する患者におけるAMG757の安全性、忍容性及び抗腫瘍活性を評価するための第1相非盲検用量探索研究である。
少なくとも1つのプラチナ製剤ベースのレジメン後に進行又は再発した、組織学的又は細胞学的に確認されたSCLCを有する18歳以上の患者を本試験に登録する。AMG757は28日サイクルで患者に投与され、AMG757の初回用量の日をサイクルの1日目として定義する。初回用量(例えば、プライミング用量)のAMG757を、サイクル1の1日目に開始する3日間(72時間)にわたる持続IV注入として投与し、その後、サイクル1の8日目及び15日目のそれぞれにおいて、短時間IV注入(約60分の注入)によってAMG757の目標用量を投与する。プライミング用量は目標用量の約30%~約35%であり、3日間にわたって一定の速度で投与される。サイクル2及びその後の全てのサイクルにおいて、目標用量を短時間IV注入として2週に1回、すなわち各28日サイクルの1日目及び15日目に投与する。全ての患者が、サイクル1におけるAMG757の全ての投与の6~16時間前に8mgのPOデキサメタゾンで前治療される。さらに、サイクル1におけるAMG757の全ての用量前の1時間以内にデキサメタゾン8mgIVが投与された。
AMG757の抗腫瘍活性を、造影MRI/CTによって評価し、固形癌の治療効果判定基準(RECIST)1.1による客観的応答によって決定する。有害事象及び重篤な有害事象並びに疾患関連事象の評価は本試験を通して行い、CRSをLee et al.,Blood,Vol.124:188-195,2014(例えば、上記の表3を参照されたい)に記載されるLee基準に従って評価することを除き、CTCAEバージョン4.0に従って評価する。
72時間にわたる持続静脈内注入によるAMG757の初回用量(例えば、プライミング用量)の投与は、60分間の持続期間にわたって注入される場合のAMG757の同じ総用量と比較して、CRSに関連する症状の強さ及び/又は頻度を低減し得ると仮定される。さらに、このようなcIVプライミングアプローチは、段階的ステップ投与パラダイムと比較して、治療の第1週中のAMG757のより高い累積平均血清曝露を達成するのに役立ち得、これは薬力学的活性の増強をもたらし得ると仮定される。
本明細書において論じ、引用してきた全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照によりその全体が本明細書により組み込まれる。開示した本発明は、記載された特定の方法論、プロトコル及び材料に限定されず、これらは、変化し得ることが理解される。また、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことも理解される。
当業者であれば、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、単なるルーチン実験を使用して認識又は確認することができるであろう。このような均等物は、続く特許請求の範囲に包含されるものとする。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
癌と診断された患者に二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与する方法であって、前記二重特異性T細胞誘導分子の開始サイクルを前記患者に投与することを含み、前記開始サイクルは、
前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を1日~7日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと、
前記プライミング用量後、前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することと
を含み、前記二重特異性T細胞誘導分子は、標的癌細胞抗原に特異的に結合する第1のドメイン、ヒトCD3に特異的に結合する第2のドメイン及びFcドメインを含む、方法。
(項目2)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの持続期間にわたって7日に1回投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの持続期間にわたって14日に1回投与される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約2日の期間にわたって投与される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約3日の期間にわたって投与される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約4日の期間にわたって投与される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約5日の期間にわたって投与される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約7日の期間にわたって投与される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記治療用量は、前記プライミング用量の前記持続静脈内注入が終了するのと同じ日に投与される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約1日~約7日後に投与される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約1日後に投与される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約3日後に投与される、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約4日後に投与される、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約5日後に投与される、項目10に記載の方法。
(項目15)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約6日後に投与される、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記プライミング用量後且つ前記治療用量前にボーラス静脈内注入によって前記二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量を投与することをさらに含む、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記ブースト用量は、前記プライミング用量の約30%~約40%である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記開始サイクルの前記持続期間は、約28日である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~3日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目及び22日目に投与される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~2日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目、15日目及び22日目に投与される、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量を前記開始サイクルの3日目にボーラス静脈内注入によって投与することをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~7日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目、15日目及び22日目に投与される、項目18に記載の方法。
(項目23)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~4日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目、15日目及び22日目に投与される、項目18に記載の方法。
(項目24)
前記プライミング用量は、前記治療用量の約10%~約80%である、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記プライミング用量は、前記治療用量の約15%~約50%である、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを前記患者に投与することをさらに含み、前記維持サイクルは、前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量をボーラス静脈内注入によって7日に1回又は14日に1回投与することを含む、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記維持サイクルの持続期間は、約28日である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記維持サイクルは、前記開始サイクルを完了した翌日に投与される、項目26又は27に記載の方法。
(項目29)
前記維持サイクルは、前記開始サイクルの完了の約7日後に投与される、項目26又
は27に記載の方法。
(項目30)
2回以上の維持サイクルは、前記患者に投与される、項目26~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記第1のドメインは、MUC17、CLDN18.2、CD19、CD33、FLT3、DLL3、BCMA及びPSMAから選択される標的癌細胞抗原に特異的に結合する、項目1~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記二重特異性T細胞誘導分子は、アミノからカルボキシルの順に、
(i)第1の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH1)及び第1の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL1)を含む、前記標的癌細胞抗原に特異的に結合する前記第1のドメイン、
(ii)第2の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH2)及び第2の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL2)を含む、ヒトCD3に特異的に結合する前記第2のドメイン、及び
(iii)2つのFcモノマーを含む前記Fcドメインであって、各モノマーは、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、前記2つのモノマーは、ペプチドリンカーを介して互いに融合されている、前記Fcドメイン
を含む、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記第1のドメインは、PSMAに特異的に結合し、及び前記患者は、前立腺癌と診断されている、項目31又は32に記載の方法。
(項目34)
前記第1のドメインは、配列番号51の配列を有するCDRH1、配列番号52の配列を有するCDRH2及び配列番号53の配列を有するCDRH3を含むVH1と、配列番号55の配列を有するCDRL1、配列番号56の配列を有するCDRL2及び配列番号57の配列を有するCDRL3を含むVL1とを含み、
前記第2のドメインは、配列番号65の配列を有するCDRH1、配列番号66の配列を有するCDRH2及び配列番号67の配列を有するCDRH3を含むVH2と、配列番号87の配列を有するCDRL1、配列番号83の配列を有するCDRL2及び配列番号88の配列を有するCDRL3を含むVL2とを含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
VH1は、配列番号54の配列を含み、VL1は、配列番号58の配列を含み、VH2は、配列番号90の配列を含み、及びVL2は、配列番号100の配列を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号60の配列を含む単鎖ポリペプチドである、項目32~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記開始サイクルは、
約30μg~約150μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約3日の期間にわたって投与することと、
約300μg~約600μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約5日後に投与される、項目33~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記開始サイクルは、
約90μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約3日の期間にわたって投与することと、
約300μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約5日後に投与される、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを前記患者に投与することをさらに含み、前記維持サイクルは、前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量をボーラス静脈内注入によって14日に1回投与することを含む、項目37又は38に記載の方法。
(項目40)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記第1のドメインは、BCMAに特異的に結合し、及び前記患者は、多発性骨髄腫と診断されている、項目31又は32に記載の方法。
(項目41)
前記第1のドメインは、配列番号41の配列を有するCDRH1、配列番号42の配列を有するCDRH2及び配列番号43の配列を有するCDRH3を含むVH1と、配列番号45の配列を有するCDRL1、配列番号46の配列を有するCDRL2及び配列番号47の配列を有するCDRL3を含むVL1とを含み、
前記第2のドメインは、配列番号65の配列を有するCDRH1、配列番号66の配列を有するCDRH2及び配列番号67の配列を有するCDRH3を含むVH2と、配列番号87の配列を有するCDRL1、配列番号83の配列を有するCDRL2及び配列番号88の配列を有するCDRL3を含むVL2とを含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
VH1は、配列番号44の配列を含み、VL1は、配列番号48の配列を含み、VH2は、配列番号90の配列を含み、及びVL2は、配列番号100の配列を含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記二重特異性T細胞誘導分子は、配列番号50の配列を含む単鎖ポリペプチドである、項目40~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記開始サイクルは、
約8,400μg~約16,100μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約7日の期間にわたって投与することと、
約12,000μg~約19,500μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約1日後に投与される、項目40~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記開始サイクルは、
約4,600μg~約9,200μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約2日の期間にわたって投与することと、
約12,000μg~約19,500μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約6日後に投与される、項目40~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
約800μg~約1,600μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量を前記プライミング用量の約1日後且つ前記治療用量の約5日前にボーラス静脈内注入によって投与することをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを前記患者に投与することをさらに含み、前記維持サイクルは、前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量をボーラス静脈内注入によって7日に1回投与することを含む、項目44~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記Fcドメインの前記Fcモノマーのそれぞれは、配列番号132の配列を含む、項目32~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記Fcドメインは、配列番号140の配列を含む、項目32~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記持続静脈内注入は、一定の速度で前記プライミング用量を送達する、項目1~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記ボーラス静脈内注入は、約30分~約90分の注入である、項目1~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記ボーラス静脈内注入は、約60分の注入である、項目51に記載の方法。
(項目53)
癌の治療を、それを必要とする患者において行う方法で使用するための、標的癌細胞抗原及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性T細胞誘導分子であって、前記方法は、前記二重特異性T細胞誘導分子の開始サイクルを前記患者に投与することを含み、前記開始サイクルは、
前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を1日~7日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと、
前記プライミング用量後、前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することと
を含み、前記二重特異性T細胞誘導分子は、標的癌細胞抗原に特異的に結合する第1のドメイン、ヒトCD3に特異的に結合する第2のドメイン及びFcドメインを含む、二重特異性T細胞誘導分子。
(項目54)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの持続期間にわたって7日に1回投与される、項目53に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目55)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの持続期間にわたって14日に1回投与される、項目53に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目56)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約2日の期間にわたって投与される、項目53~55のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目57)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約3日の期間にわたって投与される、項目53~55のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目58)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約4日の期間にわたって投与される、項目53~55のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目59)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約5日の期間にわたって投与される、項目53~55のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目60)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、約7日の期間にわたって投与される、項目53~55のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目61)
前記治療用量は、前記プライミング用量の前記持続静脈内注入が終了するのと同じ日に投与される、項目53~60のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目62)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約1日~約7日後に投与される、項目53~60のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目63)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約1日後に投与される、項目62に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目64)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約3日後に投与される、項目62に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目65)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約4日後に投与される、項目62に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目66)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約5日後に投与される、項目62に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目67)
前記治療用量は、前記プライミング用量の約6日後に投与される、項目62に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目68)
前記方法は、前記プライミング用量後且つ前記治療用量前にボーラス静脈内注入によって前記二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量を投与することをさらに含む、項目53~67のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目69)
前記ブースト用量は、前記プライミング用量の約30%~約40%である、項目68に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目70)
前記開始サイクルの前記持続期間は、約28日である、項目53~69のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目71)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~3日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目及び22日目に投与される、項目70に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目72)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~2日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目、15日目及び22日目に投与される、項目70に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目73)
前記方法は、前記二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量を前記開始サイクルの3日目にボーラス静脈内注入によって投与することをさらに含む、項目72に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目74)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~7日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目、15日目及び22日目に投与される、項目70に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目75)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記プライミング用量は、前記開始サイクルの1~4日目にわたって投与され、及び前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量は、前記開始サイクルの8日目、15日目及び22日目に投与される、項目70に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目76)
前記プライミング用量は、前記治療用量の約10%~約80%である、項目53~75のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目77)
前記プライミング用量は、前記治療用量の約15%~約50%である、項目53~75のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目78)
前記方法は、前記二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを前記患者に投与することをさらに含み、前記維持サイクルは、前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量をボーラス静脈内注入によって7日に1回又は14日に1回投与することを含む、項目53~77のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目79)
前記維持サイクルの持続期間は、約28日である、項目78に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目80)
前記維持サイクルは、前記開始サイクルを完了した翌日に投与される、項目78又は79に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目81)
前記維持サイクルは、前記開始サイクルの完了の約7日後に投与される、項目78又は79に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目82)
2回以上の維持サイクルは、前記患者に投与される、項目78~81のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目83)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記第1のドメインは、MUC17、CLDN18.2、CD19、CD33、FLT3、DLL3、BCMA及びPSMAから選択される標的癌細胞抗原に特異的に結合する、項目53~82のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目84)
アミノからカルボキシルの順に、
(i)第1の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH1)及び第1の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL1)を含む、前記標的癌細胞抗原に特異的に結合する前記第1のドメイン、
(ii)第2の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH2)及び第2の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL2)を含む、ヒトCD3に特異的に結合する前記第2のドメイン、及び
(iii)2つのFcモノマーを含む前記Fcドメインであって、各モノマーは、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、前記2つのモノマーは、ペプチドリンカーを介して互いに融合されている、前記Fcドメイン
を含む、項目53~83のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目85)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記第1のドメインは、PSMAに特異的に結合し、及び前記患者は、前立腺癌と診断されている、項目83又は84に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目86)
前記第1のドメインは、配列番号51の配列を有するCDRH1、配列番号52の配列を有するCDRH2及び配列番号53の配列を有するCDRH3を含むVH1と、配列番号55の配列を有するCDRL1、配列番号56の配列を有するCDRL2及び配列番号57の配列を有するCDRL3を含むVL1とを含み、前記第2のドメインは、配列番号65の配列を有するCDRH1、配列番号66の配列を有するCDRH2及び配列番号67の配列を有するCDRH3を含むVH2と、配列番号87の配列を有するCDRL1、配列番号83の配列を有するCDRL2及び配列番号88の配列を有するCDRL3を含むVL2とを含む、項目85に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目87)
VH1は、配列番号54の配列を含み、VL1は、配列番号58の配列を含み、VH2は、配列番号90の配列を含み、及びVL2は、配列番号100の配列を含む、項目86に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目88)
配列番号60の配列を含む単鎖ポリペプチドである、項目84~87のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目89)
前記開始サイクルは、
約30μg~約150μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約3日の期間にわたって投与することと、
約300μg~約600μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約5日後に投与される、項目85~88のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目90)
前記開始サイクルは、
約90μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約3日の期間にわたって投与することと、
約300μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約5日後に投与される、項目89に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目91)
前記方法は、前記二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを前記患者に投与することをさらに含み、前記維持サイクルは、前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量をボーラス静脈内注入によって14日に1回投与することを含む、項目89又は90に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目92)
前記二重特異性T細胞誘導分子の前記第1のドメインは、BCMAに特異的に結合し、及び前記患者は、多発性骨髄腫と診断されている、項目83又は84に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目93)
前記第1のドメインは、配列番号41の配列を有するCDRH1、配列番号42の配列を有するCDRH2及び配列番号43の配列を有するCDRH3を含むVH1と、配列番号45の配列を有するCDRL1、配列番号46の配列を有するCDRL2及び配列番号47の配列を有するCDRL3を含むVL1とを含み、前記第2のドメインは、配列番号65の配列を有するCDRH1、配列番号66の配列を有するCDRH2及び配列番号67の配列を有するCDRH3を含むVH2と、配列番号87の配列を有するCDRL1、
配列番号83の配列を有するCDRL2及び配列番号88の配列を有するCDRL3を含むVL2とを含む、項目92に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目94)
VH1は、配列番号44の配列を含み、VL1は、配列番号48の配列を含み、VH2は、配列番号90の配列を含み、及びVL2は、配列番号100の配列を含む、項目93に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目95)
配列番号50の配列を含む単鎖ポリペプチドである、項目92~94のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目96)
前記開始サイクルは、
約8,400μg~約16,100μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約7日の期間にわたって投与することと、
約12,000μg~約19,500μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約1日後に投与される、項目92~95のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目97)
前記開始サイクルは、
約4,600μg~約9,200μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を約2日の期間にわたって投与することと、
約12,000μg~約19,500μgの前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量を投与することと
を含み、前記治療用量は、前記プライミング用量の投与の約6日後に投与される、項目92~95のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目98)
前記方法は、約800μg~約1,600μgの前記二重特異性T細胞誘導分子のブースト用量を前記プライミング用量の約1日後且つ前記治療用量の約5日前にボーラス静脈内注入によって投与することをさらに含む、項目97に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目99)
前記方法は、前記二重特異性T細胞誘導分子の維持サイクルを前記患者に投与することをさらに含み、前記維持サイクルは、前記二重特異性T細胞誘導分子の前記治療用量をボーラス静脈内注入によって7日に1回投与することを含む、項目96~98のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目100)
前記Fcドメインの前記Fcモノマーのそれぞれは、配列番号132の配列を含む、項目84~99のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目101)
前記Fcドメインは、配列番号140の配列を含む、項目84~100のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目102)
前記持続静脈内注入は、一定の速度で前記プライミング用量を送達する、項目53~101のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目103)
前記ボーラス静脈内注入は、約30分~約90分の注入である、項目53~102のいずれか一項に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目104)
前記ボーラス静脈内注入は、約60分の注入である、項目103に記載の使用のための二重特異性T細胞誘導分子。
(項目105)
癌の治療を、それを必要とする患者において行うための医薬を製造するための、標的癌細胞抗原及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性T細胞誘導分子の使用であって、前記治療は、前記二重特異性T細胞誘導分子の開始サイクルを前記患者に投与することを含み、前記開始サイクルは、
前記二重特異性T細胞誘導分子のプライミング用量を1日~7日の期間にわたる持続静脈内注入によって投与することと、
前記プライミング用量後、前記二重特異性T細胞誘導分子の治療用量をボーラス静脈内注入によって投与することと
を含み、前記二重特異性T細胞誘導分子は、標的癌細胞抗原に特異的に結合する第1のドメイン、ヒトCD3に特異的に結合する第2のドメイン及びFcドメインを含む、使用。