JP7809486B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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Description

本開示は、サイドウォールのバットレス領域に隆起部が設けられた空気入りタイヤに関する。
泥濘地や岩場などの悪路での走行性能の向上を目的として、サイドウォールのバットレス領域に隆起部を設けた空気入りタイヤが知られている。かかるタイヤでは、悪路を走行する場面で剪断抵抗によるトラクション効果が得られるため、悪路走破性が向上する。更には、縁石や岩肌の角張った部分などの外傷因子をサイドウォールの外表面から遠ざけて保護する効果(プロテクション効果)が得られるので、サイドウォールの耐外傷性(以下、単に「耐外傷性」と言うことがある)が向上する。
しかしながら、バットレス領域に設けられた隆起部は、サイドウォールの局所的な厚み変化を伴うため、歪が集中しやすい箇所を有する。それ故、サイドウォールにおいて歪を生じやすい他の箇所との位置関係が適正でない場合は、歪の集中に起因したクラックの発生により耐久性が低下する恐れがある。例えば、特許文献1に記載の空気入りタイヤでは、隆起部の最大隆起高さ位置がモールド割位置と実質的に一致しているため、歪の集中に起因して耐久性が低下する恐れがあると考えられる。
特開2021-95109号公報
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイドウォールの耐外傷性と耐久性に優れた空気入りタイヤを提供することにある。
本開示の空気入りタイヤは、
一対のビード部と、
一対の前記ビード部の各々からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォールと、
一対の前記サイドウォールの各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッドと、
前記ビード部に埋設されたビードフィラーと、
一対の前記サイドウォールの少なくとも一方のバットレス領域に設けられた隆起部と、
前記ビードフィラーを挟み込むようにタイヤ幅方向の内側から外側に巻き上げられたカーカスと、を備え、
前記隆起部は、モールド割位置よりもタイヤ径方向内側に配置された最大隆起高さ位置を含み、
前記カーカスは、前記トレッドにおいて相対的にタイヤ径方向内側に積層された第1プライと、前記トレッドにおいて相対的にタイヤ径方向外側に積層された第2プライとを有し、
前記第1プライの巻き上げ端、及び、前記第2プライの巻き上げ端のうち、一方は、前記隆起部とタイヤ幅方向に重なる位置で且つ前記最大隆起高さ位置よりもタイヤ径方向内側に配置され、
前記第1プライの巻き上げ端、及び、前記第2プライの巻き上げ端のうち、他方は、前記隆起部のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に配置されている。
本開示の空気入りタイヤの一例を概略的に示すタイヤ子午断面図 図1の空気入りタイヤの要部を拡大して示す断面図 加硫成形時におけるバットレス領域の要部を示す断面図
本開示の空気入りタイヤの実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1,2に示す空気入りタイヤTは、泥濘地や岩場を含む悪路での走行を目的とした空気入りラジアルタイヤである。空気入りタイヤTは、一対のビード部1と、一対のビード部1の各々からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール2と、一対のサイドウォール2の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド3とを備える。また、空気入りタイヤTは、ビード部1に埋設されたビードフィラー1bと、一対のサイドウォール2の少なくとも一方のバットレス領域2Bに設けられた隆起部7と、ビードフィラー1bを挟み込むようにタイヤ幅方向の内側から外側に巻き上げられたカーカス4と、を備える。
ここで、タイヤ径方向は、タイヤTの直径に沿った方向であり、図面の上下方向に相当する。図1,2において上側がタイヤ径方向外側となり、下側がタイヤ径方向内側となる。タイヤ幅方向は、タイヤTの回転軸と平行な方向であり、図面の左右方向に相当する。タイヤ赤道面TEに近付く側(図2では左側)がタイヤ幅方向内側となり、タイヤ赤道面TEから離れる側(図2では右側)がタイヤ幅方向外側となる。タイヤ周方向は、タイヤTの回転軸周りの方向である。
ビード部1には、環状のビードコア1aが埋設されている。ビードコア1aは、鋼線などの収束体をゴムで被覆して形成されている。ビードフィラー1bは、ビードコア1aのタイヤ径方向外側に配置されている。ビードフィラー1bは、ビードコア1aからタイヤ径方向外側に延びた断面三角形状のゴムにより形成されている。ビードフィラー1bのタイヤ幅方向外側には、ビード部1の外表面を形成するリムストリップゴム11が設けられている。リムストリップゴム11のタイヤ径方向外側には、サイドウォール2の外表面を形成するサイドウォールゴム12が設けられている。
カーカス4は、一対のビード部1の間でトロイド状をなし、その端部がビードコア1aとビードフィラー1bを挟み込むようにして巻き上げられている(即ち、ターンアップされている)。換言すると、カーカス4は、トレッド3からサイドウォール2を経てビード部1に至る本体部に、ビードコア1a及びビードフィラー1bのタイヤ幅方向外側に配置された巻き上げ部を一連に設けてある。カーカス4の内周側には、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れたインナーライナー14が設けられている。
カーカス4は、互いに積層された複数のプライ(カーカスプライ)を有する。本実施形態において、カーカス4は、トレッド3において相対的にタイヤ径方向内側に積層された第1プライ41と、トレッド3において相対的にタイヤ径方向外側に積層された第2プライ42とを有する。第1プライ41及び第2プライ42は、それぞれ、タイヤ周方向に対して略直交する方向に配列した複数のコードをゴムで被覆して形成されている。このコードの材料には、スチールなどの金属や、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミドなどの有機繊維が好ましく用いられる。
トレッド3には、カーカス4のタイヤ径方向外側に積層されたベルト層5と、そのベルト層5のタイヤ径方向外側に積層されたベルト補強層6とが埋設されている。ベルト層5は、互いに積層された複数のプライ(ベルトプライ)を有する。ベルトプライは、タイヤ周方向に対して傾斜する方向に配列した複数のコードをゴムで被覆して形成されている。このコードの材料には、スチールが好ましく用いられる。本実施形態において、ベルト層5は、2枚のプライ51,52により構成され、そのプライ間でコードが互いに逆向きに交差するように積層されている。
ベルト補強層6は、1枚以上のプライ(補強プライ)を有する。補強プライは、実質的にタイヤ周方向に延びるコードをゴムで被覆して形成されている。このコードの材料には、上述した有機繊維が好ましく用いられる。ベルト層5の端部をベルト補強層6で覆うことにより、高速走行時のベルトプライの浮き上がりを抑えて高速耐久性を向上できる。ベルト補強層6のタイヤ径方向外側には、トレッド3の外表面を形成するトレッドゴム13が設けられている。図示を省略しているが、トレッドゴム13には、トレッドパターンを構成する周方向溝やラグ溝など様々な溝が設けられている。
本実施形態の空気入りタイヤTは、いわゆるサイドサポート形式のランフラットタイヤではなく、そのサイドウォール2には、断面三日月形状をなすサイド補強ゴム層が設けられていない。但し、これに限定されるものではなく、タイヤTは、サイドウォール2にサイド補強ゴム層を設けたサイドサポート形式のランフラットタイヤであっても構わない。
既述の通り、サイドウォール2のバットレス領域2Bには隆起部7が設けられている。バットレス領域2Bは、サイドウォール2におけるタイヤ径方向外側の領域、より詳しくはタイヤ最大幅位置2Mよりもタイヤ径方向外側の領域であって、平坦な舗装路での通常走行時には接地しない部分である。泥濘地や砂場のような軟弱路では車両の重みによりタイヤが沈むため、バットレス領域2Bが擬似的に接地し、隆起部7の剪断抵抗によるトラクション効果が得られる。タイヤ最大幅位置2Mは、タイヤ子午断面におけるサイドウォール2のプロファイルライン2pがタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面TEから最も離れる位置である。
隆起部7は、サイドウォール2のプロファイルライン2pから隆起している。プロファイルライン2pは、リムプロテクタなどの突起物を除いたサイドウォール2の輪郭である。図1,2では、プロファイルライン2pの一部を破線で示している。プロファイルライン2pは、曲率半径が異なる複数の円弧を滑らかに接続してなる一連の円弧で形成されている。プロファイルライン2pは、単一の円弧で形成されていたり、曲率半径が連続的に変化していたり、一部に直線を含んでいたりしてもよい。サイドウォール2には、タイヤ周方向に間隔を設けて複数の隆起部7が配置されている。図1,2に示すタイヤ子午断面は、その複数の隆起部7のうち1つを縦断している。
隆起部7は、タイヤ径方向に沿って延在している。本実施形態では、隆起部7のタイヤ径方向の長さが、その隆起部7のタイヤ周方向の長さよりも大きい。隆起部7のタイヤ径方向外側の端部には、タイヤ径方向外側に向かって隆起高さを漸減させる傾斜面71が形成されている。隆起部7のタイヤ径方向内側の端部には、タイヤ径方向内側に向かって隆起高さを漸減させる傾斜面72が形成されている。隆起部7のタイヤ径方向内側端(プロファイルライン2pと傾斜面72との境界)はタイヤ最大幅位置2Mよりもタイヤ径方向外側に位置している。隆起部7のタイヤ子午断面には、プロファイルライン2pから立ち上がる一対の傾斜面71,72と、それらを繋ぐ頂面73とが含まれる。頂面73は、隆起高さを変化させる段差73sを有している。隆起高さは、プロファイルライン2pを基準にしたタイヤ幅方向の高さとして求められる。
バットレス領域2Bには、隆起部7を横切ってタイヤ周方向に沿って環状に延びた環状リブ8が設けられている。環状リブ8は、隆起部7と同様に、サイドウォール2のプロファイルライン2pから隆起している。本実施形態において、環状リブ8は、隆起部7の頂面73よりもタイヤ幅方向外側に突出した頂部を有している。但し、これに限定されるものではなく、環状リブ8は隆起部7と面一に形成されていてもよい。頂面73の段差73sにおける隆起高さは、環状リブ8の隆起高さよりも大きい。尚、隆起部7や環状リブ8の形状は特に限定されるものではない。
図3に示すように、環状リブ8の頂部は、トレッド3を成形するトレッドモールド30とサイドウォール2を成形するサイドモールド20との境界であるモールド割位置Psに形成されることが好ましい。モールド割位置Psは、バットレス領域2Bの外表面に生じたパーティングラインから識別できる場合もある。タイヤ子午断面において、環状リブ8は、斜面が緩やかに湾曲して括れた成層火山状をなす。但し、これに限られず、矩形状、台形状または三角形状など、他の形状を採用しても構わない。
環状リブ8の頂部は、例えば、図1に示す距離Daが20~40mmの範囲内となる位置に設定される。距離Daは、タイヤTの最外径位置から環状リブ8の頂部までのタイヤ径方向距離として求められる。また、環状リブ8の頂部は、例えば、図1に示した距離Dbがタイヤ断面半幅HWの75%以上となる位置に設定される。距離Dbは、タイヤ赤道面TEから環状リブ8の頂部までのタイヤ幅方向距離として求められる。タイヤ断面半幅HWは、タイヤ赤道面TEからタイヤ最大幅位置2Mまでのタイヤ幅方向距離として求められる。
隆起部7は、モールド割位置Psよりもタイヤ径方向内側に配置された最大隆起高さ位置7Mを含む。最大隆起高さ位置7Mは、隆起部7の隆起高さが最大となる(即ち、頂面73がプロファイルライン2pからタイヤ幅方向に最も離れる)部分において最もタイヤ径方向外側の位置である。本実施形態では、段差73のタイヤ幅方向外側端に最大隆起高さ位置7Mが設定されている。隆起部7の隆起高さは、最大隆起高さ位置7Mからタイヤ径方向内側に向かって漸減している。このように、段差73sと傾斜面72との間の領域において外傷因子に接触しやすいタイヤ径方向外側の部位で隆起高さを大きくしているため、耐外傷性の向上に資する。但し、これに限られず、例えば、最大隆起高さ位置7Mからタイヤ径方向内側に一定の隆起高さで延在したうえで傾斜面72に連なる形状でもよい。
第1プライ41の巻き上げ端41e、及び、第2プライ42の巻き上げ端42eのうち、一方となる巻き上げ端41eは、隆起部7とタイヤ幅方向に重なる位置に配置されている。即ち、巻き上げ端41eは、隆起部7のタイヤ幅方向内側への投影領域A7内に配置されている。それでいて、巻き上げ端41eは、最大隆起高さ位置7Mよりもタイヤ径方向内側に配置されている。また、第1プライ41の巻き上げ端41e、及び、第2プライ42の巻き上げ端42eのうち、他方となる巻き上げ端42eは、隆起部7のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に配置されている。
サイドウォール2において、モールド割位置Psよりもタイヤ径方向外側の領域では、荷重負荷時の屈曲が大きい傾向にある。最大隆起高さ位置7Mは、隆起部7の中では比較的に歪が集中しやすい傾向にある。また、巻き上げ端41e,42eのような部材端には歪が集中しやすい。このタイヤTでは、モールド割位置Psよりもタイヤ径方向内側に最大隆起高さ位置7Mが配置され、その最大隆起高さ位置7Mよりもタイヤ径方向内側に巻き上げ端41eが隆起部7と重ねて配置され、その隆起部7よりもタイヤ径方向内側に巻き上げ端42eが配置されている。これにより、歪の集中が懸念される箇所が分散配置され、サイドウォール2の耐久性に優れたものとなる。しかも、巻き上げ端41eを隆起部7と重なる位置に配置したことにより、隆起部7の剛性が高められ、サイドウォール2の耐外傷性に優れる。
モールド割位置Psと最大隆起高さ位置7Mとの間隔を十分に確保する観点から、モールド割位置Psと最大隆起高さ位置7Mとの間のタイヤ径方向距離Ddは、最大隆起高さ位置7Mと傾斜面72との間のタイヤ径方向距離Deの50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。また、隆起部7と巻き上げ端42eとの間隔を十分に確保する観点から、隆起部7のタイヤ径方向内側端と巻き上げ端42eとの間のタイヤ径方向距離Dfは、タイヤ径方向距離Deの15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。
第1プライ41の巻き上げ端41e、及び、第2プライ42の巻き上げ端42eは、それぞれ、ビードフィラー1bのタイヤ径方向長さL1bの80%以上の距離を介して、ビードフィラー1bのタイヤ径方向外側端よりもタイヤ径方向外側に配置されていることが好ましい。したがって、ビードフィラー1bのタイヤ径方向外側端から巻き上げ端41eまでのタイヤ径方向距離D41e、及び、ビードフィラー1bのタイヤ径方向外側端から巻き上げ端42eまでのタイヤ径方向距離D42eは、いずれもタイヤ径方向長さL1bの80%以上であることが好ましい。
タイヤ径方向距離D41e,D42eは、それぞれタイヤ径方向長さL1bの90%以上であることがより好ましく、100%以上であることが更に好ましい。巻き上げ端41e,42eのうち相対的にタイヤ径方向内側に配置された巻き上げ端42eを適度な高さに配置するうえで、タイヤ径方向距離D42eは、タイヤ径方向長さL1bの120%以下であることが好ましい。隆起部7をビードフィラー1bから適度に離間させる観点から、ビードフィラー1bのタイヤ径方向外側端から隆起部7の頂面73のタイヤ径方向内側端(頂面73と傾斜面72との境界)までのタイヤ径方向距離D7は、タイヤ径方向長さL1bの100%以上であることが好ましい。
本実施形態では、第1プライ41の巻き上げ端41eが、第2プライ42の巻き上げ端42eよりもタイヤ径方向外側に配置されている。これにより、巻き上げ端42eが第1プライ41によってタイヤ幅方向外側から覆われる構造となるため、巻き上げ端42eを起点としたクラックの発生を抑えて耐久性を効果的に向上できる。但し、これに限定されず、巻き上げ端41eと巻き上げ端42eとの位置関係が反対であってもよい。その場合、巻き上げ端41eは、隆起部7のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に配置され、巻き上げ端42eは、隆起部7とタイヤ幅方向に重なる位置で且つ最大隆起高さ位置7Mよりもタイヤ径方向内側に配置される。
巻き上げ端41e,42eは、いずれも歪が集中しやすい箇所であるため、これらを互いから適度に離しておくことが、耐久性を高めるうえで有益である。かかる観点から、第1プライ41の巻き上げ端41eと第2プライ42の巻き上げ端42eとの間でタイヤ径方向に15mm以上の間隔が設けられていることが好ましい。即ち、巻き上げ端41eと巻き上げ端42eとの間のタイヤ径方向距離Dcは、15mm以上であることが好ましい。巻き上げ端41eを隆起部7のタイヤ幅方向内側に配置しつつ、巻き上げ端42eを隆起部7よりもタイヤ径方向内側に配置することは、これらの間隔(タイヤ径方向距離Dc)を確保するうえで都合がよい。
第1プライ41の巻き上げ端41eは、傾斜面72とタイヤ幅方向に重ならない位置に配置されていることが好ましい。即ち、巻き上げ端41eは、傾斜面72のタイヤ幅方向内側への投影領域A72外に配置されていることが好ましい。傾斜面72の投影領域A72は、隆起部7の投影領域A7の中で比較的に歪が集中しやすい傾向にある。そのため、かかる構成によれば、巻き上げ端41eでの歪の集中をより適切に抑えて耐久性を高めることができる。巻き上げ端41eと巻き上げ端42eとを互いから離して配置する観点からも、かかる構成が有用である。
本実施形態では、隆起部7の隆起高さが、傾斜面71と段差73sとの間の領域で相対的に小さく、段差73sと傾斜面72との間の領域で相対的に大きく形成されている。かかる構成によれば、隆起部7の隆起高さが比較的大きい部位がタイヤ最大幅位置2Mの近くに設けられるので、耐外傷性の向上に資する。また、第1プライ41の巻き上げ端41eは、その段差73sと傾斜面72との間の領域とタイヤ幅方向に重なる位置に配置されている。これにより、隆起高さが比較的大きい領域に巻き上げ端41eが配置されるので、巻き上げ端41eに生じる歪を抑えて耐久性を向上できる。
最大隆起高さ位置7Mから傾斜面72までの領域を二等分したときのタイヤ径方向外側の領域Xaと、その残りのタイヤ径方向内側の領域Xbとを考えた場合、相対的にタイヤ径方向外側に位置する巻き上げ端41eが領域Xa内に配置されることが好ましい。これにより、隆起高さが比較的大きい領域に巻き上げ端41eが配置されるとともに、巻き上げ端42eは第1プライ41によって覆われるため、それらに生じる歪を抑えて耐久性を向上できる。
これまでに説明したモールド割位置Ps、隆起部7,巻き上げ端41e,42eの位置関係などは、一対のサイドウォール2の少なくとも一方で適用されていればよい。但し、改善効果を高めるためには、一対のサイドウォール2の両方で適用されていることが好ましい。本実施形態において、図2で示された各部材の位置関係などは、図1左側のサイドウォール2にも適用されている。
本明細書で延べた形状や寸法などは、特に断らない限り、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態に基づくものである。正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAにおける「標準リム」、TRAにおける「Design Rim」、またはETRTOにおける「Measuring Rim」である。正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAにおける「最高空気圧」、TRAにおける表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、またはETRTOにおける「INFLATION PRESSURE」である。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤTは、一対のビード部1と、一対のビード部1の各々からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール2と、一対のサイドウォール2の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド3と、ビード部1に埋設されたビードフィラー1bと、一対のサイドウォール2の少なくとも一方のバットレス領域2Bに設けられた隆起部7と、ビードフィラー1bを挟み込むようにタイヤ幅方向の内側から外側に巻き上げられたカーカス4と、を備え、隆起部7は、モールド割位置Psよりもタイヤ径方向内側に配置された最大隆起高さ位置7Mを含み、カーカス4は、トレッド3において相対的にタイヤ径方向内側に積層された第1プライ41と、トレッド3において相対的にタイヤ径方向外側に積層された第2プライ42とを有し、第1プライ41の巻き上げ端41e、及び、第2プライ42の巻き上げ端42eのうち、一方は、隆起部7とタイヤ幅方向に重なる位置で且つ最大隆起高さ位置7Mよりもタイヤ径方向内側に配置され、第1プライ41の巻き上げ端41e、及び、第2プライ42の巻き上げ端42eのうち、他方は、隆起部7のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に配置されている。
かかる構成によれば、モールド割位置Ps、最大隆起高さ位置7M及び巻き上げ端41e,42eといった、歪の集中が懸念される箇所が分散配置されるため、サイドウォール2の耐久性に優れたものとなる。しかも、隆起部7とタイヤ幅方向に重なる位置に巻き上げ端41eを配置したことにより隆起部7の剛性が高められるので、サイドウォール2の耐外傷性に優れる。
第1プライ41の巻き上げ端41e、及び、第2プライ42の巻き上げ端42eは、それぞれ、ビードフィラー1bのタイヤ径方向長さL1bの80%以上の距離を介して、ビードフィラー1bのタイヤ径方向外側端よりもタイヤ径方向外側に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、ビードフィラー1bのタイヤ径方向外側端も含めて、歪の集中が懸念される箇所が分散配置されるため、サイドウォール2の耐久性がより優れたものとなる。
第1プライ41の巻き上げ端41eは、第2プライ42の巻き上げ端42eよりもタイヤ径方向外側に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、第2プライ42の巻き上げ端42eが第1プライ41によってタイヤ幅方向外側から覆われる構造となるため、巻き上げ端42eを起点としたクラックの発生を抑えて耐久性を効果的に向上できる。
隆起部7のタイヤ径方向内側の端部に、タイヤ径方向内側に向かって隆起高さを漸減させる傾斜面72が形成されており、モールド割位置Psと最大隆起高さ位置7Mとの間のタイヤ径方向距離Ddは、最大隆起高さ位置7Mと傾斜面72との間のタイヤ径方向距離Deの50%以上であることが好ましい。かかる構成によれば、モールド割位置Psと最大隆起高さ位置7Mとの間隔を確保し、サイドウォール2の耐久性を適切に向上できる。
本開示の空気入りタイヤは、乗用車、ライトトラック、トラック、バスなどの各種タイヤとして採用することができる。
本開示の空気入りタイヤは、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
1 ビード部
1b ビードフィラー
2 サイドウォール
2B バットレス領域
3 トレッド
4 カーカス
7 隆起部
7M 最大隆起高さ位置
41 第1プライ
41e 第1プライの巻き上げ端
42 第2プライ
42e 第2プライの巻き上げ端
72 傾斜面
Ps モールド割位置

Claims (3)

  1. 一対のビード部と、
    一対の前記ビード部の各々からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォールと、
    一対の前記サイドウォールの各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッドと、
    前記ビード部に埋設されたビードフィラーと、
    一対の前記サイドウォールの少なくとも一方のバットレス領域に設けられた隆起部と、
    前記ビードフィラーを挟み込むようにタイヤ幅方向の内側から外側に巻き上げられたカーカスと、を備え、
    前記隆起部は、モールド割位置よりもタイヤ径方向内側に配置された最大隆起高さ位置を含み、
    前記カーカスは、前記トレッドにおいて相対的にタイヤ径方向内側に積層された第1プライと、前記トレッドにおいて相対的にタイヤ径方向外側に積層された第2プライとを有し、
    前記第2プライの巻き上げ端は、前記隆起部とタイヤ幅方向に重なる位置で且つ前記最大隆起高さ位置よりもタイヤ径方向内側に配置され、
    前記第1プライの巻き上げ端は、前記隆起部のタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に配置されている、空気入りタイヤ。
  2. 前記第1プライの巻き上げ端、及び、前記第2プライの巻き上げ端は、それぞれ、前記ビードフィラーのタイヤ径方向長さの80%以上の距離を介して、前記ビードフィラーのタイヤ径方向外側端よりもタイヤ径方向外側に配置されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記隆起部のタイヤ径方向内側の端部に、タイヤ径方向内側に向かって隆起高さを漸減させる傾斜面が形成されており、
    前記モールド割位置と前記最大隆起高さ位置との間のタイヤ径方向距離は、前記最大隆起高さ位置と前記傾斜面との間のタイヤ径方向距離の50%以上である、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
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