以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。以下の説明では、前後方向、左右方向、上下方向等の用語が用いられる。これら方向を指す用語は、地面等の平らな面に置かれた靴を着用した着用者の視点から見た方向を意味する。たとえば、前方は、爪先側を指し、後方は、踵側を指す。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るラストを用いて製造された靴の一例を示す斜視図であり、図2は、図1中に示すII-II線に沿った断面図である。また、図3は、図1に示す靴の分解斜視図である。まず、これら図1ないし図3を参照して、本実施の形態に係るラストについて説明するに先立って、当該ラストを用いて製造された靴1について説明する。
図1ないし図3に示すように、靴1は、着用者の足のほぼ全体(すなわち、足首よりも末端側の部位)を覆うソック状のものであり、シェル10と、ソール20と、アッパー30とを備えている。靴1の上部には、足を挿入するための部分である履き口31が設けられており、靴1の内部には、着用時において着用者の足が挿入される空間が形成されている。
靴1においては、ソール20が、シェル10に収容されており、アッパー30が、ソール20上に位置するようにシェル10に収容されている。これにより、ソール20は、シェル10とアッパー30とによって挟み込まれている。
シェル10は、靴1の最外殻を構成しており、袋状に形成された単一の可撓性部材からなる。シェル10は、その上端に開口部11を有している。シェル10は、ソール20の底面および周面と、アッパー30の表面とを覆っている。また、シェル10の底部の外側表面は、靴1の接地面を構成している。
シェル10は、可撓性を有していれば基本的にどのような材料によって構成されていてもよいが、適度な強度を有していることが好ましい。当該観点から、シェル10は、樹脂材料またはゴム材料にて構成されていることが好ましい。また、シェル10は、たとえば射出成形や注型成形、あるいは三次元積層造形装置を用いた造形によって製作することができる。特に、三次元積層造形装置を用いた造形によってシェル10を製作することとすれば、射出成形や注型成形では製作することが困難な多種多様な構造のシェル10を製作することができる。
ソール20は、靴1のうちの着用者の足裏を支持するものであり、弾性変形が可能な偏平な部材からなる。ソール20は、シェル10の内部に設けられた空間のうち、接地面に近い下方の空間に配置されている。
ソール20は、弾性変形が可能であれば基本的にどのような材料によって構成されていてもよいが、適度な強度を有しつつもクッション性に優れた部材にて構成されることが好ましい。当該観点から、ソール20としては、たとえば、主成分としての樹脂材料と、副成分としての発泡剤や架橋剤とを含む樹脂製の発泡材が用いられる。また、これに代えて、主成分としてのゴム材料と、副成分としての可塑剤や発泡剤、補強剤、架橋剤とを含むゴム製の発泡材を用いてもよい。
アッパー30は、靴1のうちの着用者の足に接触する部分を構成しており、柔軟に変形が可能な袋状の部材からなる。アッパー30は、シェル10の内部に設けられた空間のうち、開口部11に近い上方の空間に配置されている。また、アッパー30の上端は、開口部11から外側に食み出るように位置しており、この開口部11から食み出た部分のアッパー30により、上述した履き口31が構成されている。
アッパー30は、柔軟に変形が可能であれば基本的にどのような材料によって構成されていてもよいが、好ましくは、織地や編地、不織布、合成皮革、樹脂等が用いられる。特に、後述するように、熱収縮性を有する合成繊維の織地や編地、不織布等を用いることとすれば、着用者の足によりフィットするアッパーとすることができる。なお、熱収縮性を有する合成繊維としては、たとえばポリエステル、ポリウレタン等を主成分とするものが挙げられる。
すなわち、アッパー30を熱収縮性を有する合成繊維の織地や編地、不織布等にて構成することとした場合には、これを予め袋状に形成し、その内部に後述するラストを挿入した状態で加熱処理を行なうことにより、加熱によって熱収縮することでアッパーがラストの成形面に密着した状態に形状変化を起こし、その変化後の形状が保持されることになる。したがって、着用者の足の形状に対応したラストを準備し、これを用いて上述したアッパー30の成形を行なえば、着用者の足にフィットしたアッパー30を製作することができる。さらには、上述したラストを用いての加熱処理をシェル10にアッパー30を組み込んだ状態で行なえば、アッパー30がシェル10にもフィットすることになり、さらなるフィット性の向上を図ることもできる。
図4は、足型モデルを得るために着用者の足を撮影している様子を示す図であり、図5は、足型モデルの斜視図である。また、図6は、足型モデルに基づいて作成されたラストモデルの斜視図である。次に、これら図4ないし図6を参照して、着用者の足の形状に対応したラストを製造する場合における、ラストモデルの生成方法の一例について説明する。
図4に示すように、ラストモデルを生成する際には、まず、スマートフォンPやデジタルカメラ等の撮影可能な携帯端末を用いることにより、着用者の足Fが撮影され、足Fの画像データが取得される。足Fの画像データは、着用者が訪問した店舗で撮影されてもよい。店舗は、固定的な店舗であってもよく、自動車やトレーラー等を用いた移動店舗であってもよい。また、足Fの画像データは、着用者の自宅で撮影されてもよい。その場合には、たとえば着用者自身によって撮影された足Fの画像データがシューズメーカーのサーバーに送信される。
図5に示すように、足型モデルFMは、足Fの画像データから取得された着用者の足Fの各部の採寸データから生成された三次元のモデルである。たとえば、スマートフォンPによって着用者の足Fを撮影する場合には、そのスマートフォンPに予めインストールされているソフトウェアにより、画像データを基に足型モデルFMを生成することができる。また、撮影された画像データとシューズメーカーが使用するサーバー内のデータとの双方を用いた演算を行なうことにより、足型モデルFMが生成されてもよい。
足型モデルFMは、着用者の足Fの形状と同一の形状に形成されてもよい。また、デザインもしくは機能上の理由により、足型モデルFMの特定の部位が、所望の寸法だけ、着用者の足Fの形状に対して補正されてもよい。
図6に示すように、ラストモデルLMは、図5に示す足型モデルFMに基づいて作成された、着用者の足Fの形状に合わせてカスタマイズされたモデルである。このラストモデルLMに従って製作されたラストとすることにより、着用者の足の形状に対応したラストが製造できることになる。
図7は、本実施の形態に係るラストの斜視図である。次に、この図7を参照して、本実施の形態に係るラスト100Aの構成について説明する。なお、本実施の形態に係るラスト100Aは、上述したラストモデルの生成方法に基づいて製作された、着用者の足の形状に対応したものである。
図7に示すように、ラスト100Aは、着脱可能な複数の板状パーツが組み合わされることで構成されたものである。複数の板状パーツには、複数の足長方向パーツ101と、複数の爪先パーツ102と、複数の足甲パーツ103と、複数の足首パーツ104と、複数の踵周方向パーツ105と、複数の踵上下方向パーツ106と、複数の側方パーツ107とが含まれている。
複数の足長方向パーツ101の各々は、前後方向(すなわち足長方向)および上下方向(すなわち足長方向および足幅方向の双方に直交する方向)に沿って延在する板状パーツからなる。複数の足長方向パーツ101には、長短2種類のものが含まれる(図8参照)。複数の足長方向パーツ101のうちの長尺のものは、ラスト100Aの基枠となるものであり、左右方向(すなわち足幅方向)の略中央部において前後方向に延びるように配置される。複数の足長方向パーツ101のうちの短尺のものは、着用者の爪先の前端に対応する位置に配置される。
複数の爪先パーツ102の各々は、左右方向および上下方向に沿って延在する板状パーツからなる。複数の爪先パーツ102は、着用者の爪先に対応する位置に配置されるものであり、複数の足長方向パーツ101に組付けられる。
複数の足甲パーツ103の各々は、左右方向および上下方向に沿って延在する板状パーツからなる。複数の足甲パーツ103は、着用者の足甲に対応する位置に配置されるものであり、複数の足長方向パーツ101に組付けられる。
複数の足首パーツ104の各々は、左右方向および上下方向に沿って延在する板状パーツからなる。複数の足首パーツ104は、着用者の足首に対応する位置に配置されるものであり、複数の足長方向パーツ101に組付けられる。
複数の踵周方向パーツ105の各々は、前後方向および左右方向に沿って延在する板状パーツからなる。複数の踵周方向パーツ105は、着用者の踵に対応する位置に配置されるものであり、複数の足長方向パーツ101に組付けられる。
複数の踵上下方向パーツ106の各々は、上下方向に沿って延在する板状パーツからなる。複数の踵上下方向パーツ106は、上下方向に延びる軸を中心として略180°の範囲にわたって放射状に配列される。複数の踵上下方向パーツ106は、着用者の踵に対応する位置に配置されるものであり、複数の踵周方向パーツ105に組付けられる。
複数の側方パーツ107の各々は、前後方向および左右方向に沿って延在する板状パーツからなる。複数の側方パーツ107は、着用者の爪先および足甲に対応する位置に配置されるものであり、複数の爪先パーツ102および複数の足甲パーツ103に組付けられる。
これら複数の足長方向パーツ101、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の足首パーツ104、複数の踵周方向パーツ105、複数の踵上下方向パーツ106および複数の側方パーツ107は、組み合わされた状態において、その各々の端面(すなわち、板状パーツの厚み方向に延在する面)によってラスト100Aの成形面Sを規定している。この成形面Sを覆うようにアッパー成形材が被せ付けられることにより、アッパー30の成形が行なわれる。
具体的には、アッパー30の成形を行なうに際しては、上述したように成形面Sを覆うようにアッパー成形材がラスト100Aに被せ付けられ、その後、加熱処理が施される。上述したように、特にアッパー30を熱収縮性を有する合成繊維の織地や編地、不織布等にて構成することとした場合には、この加熱処理によって当該アッパー30に含まれる熱収縮糸が収縮することになり、これによってラスト100Aの成形面Sに沿ったアッパー30が製作されることになる。
ここで、複数の板状パーツの各々の所定位置には、スリット状の溝部や突起状の係止部、貫通孔状の被係止部が設けられている。これら溝部、係止部および被係止部は、いずれも複数の板状パーツを相互に組付ける際の組付け部となるものであるが、その詳細については後述することとする。
また、ラスト100Aのうちの所定位置には、窪み部109が形成されている。この窪み部109は、アッパー30の成形の際にアッパー成形材の位置決めの指標として用いられるものであるが、その詳細については後述することとする。
上述した複数の足長方向パーツ101、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の足首パーツ104、複数の踵周方向パーツ105、複数の踵上下方向パーツ106および複数の側方パーツ107は、いずれも木質ボードによって構成されており、より具体的には、材料としての後述する木質ボードB1,B2(図8および図9参照)から裁断されて切り出されたものである。
図8は、図7に示すラストに含まれる複数の板状パーツの一部が切り出される木質ボードの裁断パターンを可視化して示す平面図であり、図9は、図7に示すラストに含まれる複数の板状パーツの残りが切り出される木質ボードの裁断パターンを可視化して示す平面図である。次に、これら図8および図9を参照して、複数の板状パーツが裁断される木質ボードB1,B2について説明する。
図8に示すように、木質ボードB1には、上述した複数の板状パーツのうち、複数の足長方向パーツ101、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106が配列される。複数の足長方向パーツ101、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106は、それぞれ木質ボードB1上において区画される領域R1,R5,R6に並べて配列される。
図9に示すように、木質ボードB2には、上述した複数の板状パーツのうち、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の足首パーツ104および複数の側方パーツ107が配列される。複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の足首パーツ104および複数の側方パーツ107は、それぞれ木質ボードB2上において区画される領域R2~R4,R7に並べて配列される。
ここで、木質ボードB1,B2の裁断は、たとえばレーザ照射によって行なわれる。このようにレーザ照射によって木質ボードB1,B2の裁断を行なえば、迅速にかつ精度よく、複数の板状パーツを切り出すことができる。また、レーザ照射による裁断とすれば、レーザの照射条件を変えることで切り出される複数の板状パーツの各々にたとえば数字やアルファベット等の刻印(図8および図9参照)を付すこともでき、これにより複数の板状パーツの組付けの際の指標としてこれを用いることができる。なお、裁断方法はこれに限定されず、金属刃による裁断や高圧水の噴射による切断等によって行なってもよい。
また、木質ボードB1,B2において複数の板状パーツが配列される領域R1~R7の面積がそれぞれ最小となる条件にて裁断パターンを生成することにより、廃材の発生を大幅に抑制することができる。たとえば標準的な靴を製造する場合には、上記条件を満たすように裁断パターンを生成することで、木質ボードB1,B2の各々サイズを300mm×450mmの大きさにまで小型化することができる。
木質ボードB1,B2としては、好適に中質繊維板(MDF:Medium-Density Fiberboard)が利用できる。また、木質ボードB1,B2は、MDFに限られず、軟質繊維板(IB:Insulation Fiberboard)、硬質繊維板(HB:Hard Fiberboard)等であってもよい。IBとしては、A級IB、タタミボード、シージングボード等が利用できる。また、HBとしては、スタンダードボード、テンパードボード等が利用できる。さらには、木質ボードB1,B2に代えて、リサイクル性の高い段ボールや、コルク、金属、熱可塑性樹脂等、様々な材質のボードを用いることもできる。
図10は、図7に示すラストの組み立て方法を示す斜視図である。次に、この図10を参照して、本実施の形態に係るラスト100Aの組み立て方法について説明する。
図10に示すように、ラスト100Aを組み立てるに際しては、複数の板状パーツが順次互いに係合するように組付けられることで行なわれる。本実施の形態に係るラスト100Aにあっては、たとえば複数の足長方向パーツ101のうちの長尺のものに複数の足首パーツ104が組付けられ、これにさらに複数の踵周方向パーツ105、複数の踵上下方向パーツ106、複数の足甲パーツ103、複数の爪先パーツ102、複数の側方パーツ107、複数の足長方向パーツ101のうちの短尺のものの順でこれら板状パーツが組付けられる。
これにより、図7に示すラスト100Aが組み立てられることになる。ここで、図10は、その組み立て途中を例示的に示したものであり、複数の爪先パーツ102の一つを複数の足長方向パーツ101に組付ける段階を示している。なお、上述した組付け順序はあくまでも一例であり、その順序は適宜変更可能である。
板状パーツの組付けは、これら板状パーツの各々に設けられた、上述した組付け部としてのスリット状の溝部や突起状の係止部、貫通孔状の被係止部が用いられる。具体的には、図10に示すように、たとえば複数の爪先パーツ102の一つを複数の足長方向パーツ101に組付ける段階においては、このうちの複数の足長方向パーツ101の各々に設けられた溝部、係止部および被係止部と、このうちの一つの爪先パーツ102に設けられた複数の溝部、係止部および被係止部とが用いられる。
以下、この点についてより詳細に説明するために、前述の図10に加えて、図11および図12を参照する。図11および図12は、それぞれ図7に示すラストにおける板状パーツ同士の組付構造を説明するための一部破断斜視図および模式断面図である。なお、図11においては、組付け前の状態を示しており、図12においては、組付け後の状態を示している。
ここで、以下の説明では、理解を容易とするために、上述した複数の足長方向パーツ101のうちの一つと上述した一つの爪先パーツ102との組付け部に着目して説明を行なうこととし、また、複数の足長方向パーツ101のうちの一つを第1パーツ110とし、一つの爪先パーツ102を第2パーツ120として説明を行なう。
図10および図11に示すように、第1パーツ110は、一対の主面111a,111bと端面121cとを含む第1板状部111を有しており、第1板状部111には、第1パーツ側受け部としての第1パーツ側溝部である溝部112と、第1パーツ側係止部としての一対の係止部113と、第1パーツ側被係止部としての被係止部114とが設けられている。
溝部112は、第1板状部111の端面111cに達するように直線状に延びる切り欠き形状を有している。この溝部112を規定する部分の第1板状部111の内側側面には、一対の係止部113が設けられており、当該一対の係止部113の各々は、突起状の形状を有している。一対の係止部113は、溝部112の延在方向と交差する方向において対向するように、一対ある上述した内側側面の一方および他方に設けられている。一対の係止部113の各々は、半円柱状の形状を有している。
被係止部114は、貫通孔状の形状を有しており、第1板状部111の一対の主面111a,111bに達するように当該第1板状部111に設けられている。被係止部114は、溝部112の延在方向における延長線上の位置に設けられている。被係止部114は、平面視矩形状である。
一方、第2パーツ120は、一対の主面121a,121bと端面121cとを含む第2板状部121を有しており、第2板状部121には、第2パーツ側受け部としての第2パーツ側溝部である溝部122と、第2パーツ側係止部としての一対の係止部123と、第2パーツ側被係止部としての被係止部124とが設けられている。
溝部122は、第2板状部121の端面121cに達するように直線状に延びる切り欠き形状を有している。この溝部122を規定する部分の第2板状部121の内側側面には、一対の係止部123が設けられており、当該一対の係止部123の各々は、突起状の形状を有している。一対の係止部123は、溝部122の延在方向と交差する方向において対向するように、一対ある上述した内側側面の一方および他方に設けられている。一対の係止部123の各々は、半円柱状の形状を有している。
被係止部124は、貫通孔状の形状を有しており、第2板状部121の一対の主面121a,121bに達するように当該第2板状部121に設けられている。被係止部124は、溝部122の延在方向における延長線上の位置に設けられている。被係止部124は、平面視矩形状である。
これら第1パーツ110および第2パーツ120を組付けるに際しては、第1パーツ110の第1板状部111と第2パーツ120の第2板状部121とが互いに交差するように向きが合わされつつ、第1パーツ110に設けられた溝部112に対応した位置に第2パーツ120に設けられた溝部122が配置されるように位置決めされ、この状態において図中に示す矢印AR1方向に向けて第2パーツ120が第1パーツ110に向けて押し込まれる。
これにより、第1パーツ110の第1板状部111が、第2パーツ120に設けられた溝部122によって受け入れられることになるとともに、第2パーツ120の第2板状部121が、第1パーツ110に設けられた溝部112によって受け入れられることになり、これに伴って第1板状部111と第2板状部121とが係合することになる。
その際、第1板状部111が溝部122に挿入されることにより、第1板状部111が溝部122に嵌合されるばかりでなく、さらには、図12に示すように、第2パーツ120に設けられた突起状の一対の係止部123が、第1パーツ110に設けられた貫通孔状の被係止部114に嵌まり込むことにより、被係止部114が一対の係止部123によって係止されることになる。
このとき、第1板状部111の一対の主面111a,111bのうちの一方において露出する部分の被係止部114は、一対の係止部123のうちの一方によって係止されることになり、第1板状部111の一対の主面111a,111bのうちの他方において露出する部分の被係止部114は、一対の係止部123のうちの他方によって係止されることになる。
また、これに加えて、第2板状部121が溝部112に挿入されることにより、第2板状部121が溝部112に嵌合されるばかりでなく、さらには、図示は省略するものの、第1パーツ110に設けられた突起状の一対の係止部113が、第2パーツ120に設けられた貫通孔状の被係止部124に嵌まり込むことにより、被係止部124が一対の係止部113によって係止されることになる。
このとき、第2板状部121の一対の主面121a,121bのうちの一方において露出する部分の被係止部124は、一対の係止部113のうちの一方によって係止されることになり、第2板状部121の一対の主面121a,121bのうちの他方において露出する部分の被係止部124は、一対の係止部113のうちの他方によって係止されることになる。
なお、第1板状部111の溝部122に対する嵌合および第2板状部121の溝部112に対する嵌合は、これらが密着するように構成してもよいし、挿入を容易とするためにあるいは寸法精度の誤差を考慮して、僅かにこれらの間にクリアランスが生じるようにしてもよい。
このように構成することにより、第1板状部111が溝部122に嵌合されることで図11中に示すY軸方向において第1パーツ110と第2パーツ120とが固定されることになり、第2板状部121が溝部112に嵌合されることで図11中に示すX軸方向において第1パーツ110と第2パーツ120とが固定されることになり、被係止部114が係止部123によって係止されることで図11中に示すX軸方向およびZ軸方向において第1パーツ110と第2パーツ120とが固定されることになり、被係止部124が係止部113によって係止されることで図11中に示すY軸方向およびZ軸方向において第1パーツ110と第2パーツ120とが固定されることになる。
そのため、上記構成を採用することにより、第1パーツ110と第2パーツ120とを位置決めして第2パーツ120を第1パーツ110に押し込むという簡便な作業にて、第1パーツ110および第2パーツ120を相互に強固に固定することが可能になる。なお、本実施の形態に係るラスト100Aにおいては、上述した組付構造が、当該ラスト100Aに含まれるすべての板状パーツの組付け部に適用されている。
したがって、このように構成することにより、これに含まれる複数の板状パーツを容易にかつ確実に固定することが可能になり、容易には板状パーツが外れない機械的強度のあるラストを迅速にかつ簡便に製作することが可能になる。
なお、上述したように、本実施の形態に係るラスト100Aとすることにより、迅速にかつ簡便にこれを製作することが可能になるため、これをたとえば着用者自らが体験することも可能になる。すなわち、一例としては、着用者が訪問した店舗において着用者の足Fを撮影して画像データを取得し、これに基づいてラストモデルLMを生成し、さらにこれに基づいて複数の板状パーツを製作し、これを着用者自らが組み立てることでラスト100Aを製作するという作業を着用者自らが体験することもできる。
ここで、図7に示すように、本実施の形態に係るラスト100Aにおいては、上述したように、ラスト100Aのうちの所定位置に窪み部109が設けられている。この窪み部109は、成形面Sのうち、製造される靴1のアッパー30の成形すべき部分の上端部に対応した領域である特定領域に位置している。なお、本実施の形態においては、製造される靴1の上述した上端部(図1および図2において符号UPにて示す部分)が、履き口31が形成された部分であるため、成形面Sのうちの上述した特定領域は、この履き口31に対応する部分となる。
具体的には、窪み部109は、特定領域に対応する位置に配置される板状パーツの端部の一部を切り欠くことで形成されており、全体としてループ状を成すように設けられている。より詳細には、本実施の形態に係るラスト100Aにおいては、窪み部109が、複数の足長方向パーツ101のうちの長尺のもの、複数の足首パーツ104、複数の踵周方向パーツ105のうちの一部、および、複数の踵上下方向パーツ106にそれぞれ設けられている。
このように構成することにより、アッパー30の成形の際には、この窪み部109を目印として用いることが可能になる。
すなわち、本実施の形態に係るラスト100Aにおいては、複数の板状パーツを組み合わせることでこれが構成されているため、成形面Sには、複数の隙間(すなわち、板状パーツが配置されていない部分)が生じることになり、何らの手当ても行なわなかった場合には、アッパー成形材の位置合わせが容易には行なえなくなる。
しかしながら、上述したように、成形面Sの特定領域に、履き口31に対応した全体としてループ状の窪み部109を設けることにより、アッパー成形材をラスト100Aに被せ付けるに際して、当該アッパー成形材の上端部をこの窪み部109に重なるように配置することにより、ラスト100Aに対するアッパー成形材の位置合わせが行なえることになる。
したがって、本実施の形態に係るラスト100Aとすれば、アッパー30の成形に際して、当該アッパー30の位置合わせを容易に行なうことができるようになり、製造される靴1の出来映えが向上するばかりでなく、その生産性も大幅に向上することになる。
(実施の形態2)
図13(A)および図13(B)は、実施の形態2に係るシューアッパー成形具を説明するための図であり、図14は、当該シューアッパー成形具によってシューアッパーが保持された状態を示す模式断面図である。以下、これら図13(A)、図13(B)および図14を参照して、本実施の形態に係るシューアッパー成形具200Aについて説明する。なお、図13(A)および図13(B)は、シューアッパー成形具200Aが具備するラスト100Aにアッパー成形材300を被せ付ける様子を段階的に示した図であり、図14は、図13(B)中に示すXIV-XIV線に沿った断面を示している。
図13(A)、図13(B)および図14に示すように、シューアッパー成形具200Aは、上述した実施の形態1に係るラスト100Aと、紐状の固定部材としてのバンド210とを備えている。当該バンド210は、ラスト100Aとの間でアッパー成形材300(成形後においてはアッパー30)を挟み込んで保持するものであり、たとえば樹脂製やゴム製等の、耐熱性および弾性を有するループ状の部材からなる。一方、アッパー成形材300は、上端開口の袋状の形状を有している。
図13(A)に示すように、アッパー30の成形に際しては、まず、アッパー成形材300が、ラスト100Aの底面および当該底面側に位置する部分の周面を覆うように被せ付けられる。より具体的には、アッパー成形材300の上端に設けられた開口を介してラスト100Aが袋状のアッパー成形材300の内部に挿入されることにより、ラスト100Aの成形面Sがアッパー成形材300によって覆われるようにする。
このとき、ラスト100Aに被せ付けられたアッパー成形材300の上端部は、ラスト100Aに設けられた窪み部109を覆うように配置される。なお、この状態を図13(A)において示しているが、当該図13(A)においては、理解を容易とするために、ラスト100Aのうちの一つの足首パーツ104のみを図示している。
次に、図13(A)、図13(B)および図14に示すように、アッパー成形材300の上端部に、バンド210が外側から嵌め付けられる。その際、バンド210は、外力が加えられることにより、外側に拡開されるように弾性変形した状態とされてアッパー成形材300の上端部を取り巻くように配置され、その後、当該外力が取り除かれて収縮することにより、アッパー成形材300の上端部に嵌め付けられる。
このとき、収縮したバンド210は、アッパー成形材300の上端部の一部を巻き込むように、ラスト100Aに設けられた窪み部109に嵌め込まれる。これにより、アッパー成形材300の上端部は、窪み部109とバンド210とによって挟み込まされて保持されることになる。このバンド210の窪み部109への嵌め込みの際には、窪み部109を位置合わせの目印としてアッパー成形材300の位置が調整される。なお、この状態を図13(B)において示しているが、当該図13(B)においては、理解を容易とするために、ラスト100Aのうちの一つの足首パーツ104のみを図示している。
以上により、ラスト100Aに対してのアッパー成形材300の位置決めが完了することになり、その後、上述した加熱処理等が行なわれることにより、アッパー30が成形されることになる。
ここで、上述した位置決め作業が可能となるように、本実施の形態に係るシューアッパー成形具200Aにおいては、ラスト100Aに設けられる窪み部109が、バンド210との間においてアッパー成形材300を挟み込んで保持することができるように、バンド210の少なくとも一部が収容可能な形状および大きさとされている。
したがって、このように構成することにより、アッパー30の成形に際して、当該アッパー30の位置合わせを容易に行なうことができるようになり、製造される靴1の出来映えが向上するばかりでなく、その生産性も大幅に向上することになる。
(実施の形態3)
図15は、実施の形態3に係るシューアッパー成形具を説明するための図であり、図16は、当該シューアッパー成形具によってシューアッパーが保持された状態を示す模式断面図である。以下、これら図15および図16を参照して、本実施の形態に係るシューアッパー成形具200Bについて説明する。なお、図16は、シューアッパー成形具200Bが具備するラスト100Bにアッパー成形材300が被せ付けられた状態における、後述する窪み部109に設けられた掛け留め部104aを含む部分の断面を示している。
図15および図16に示すように、シューアッパー成形具200Bは、上述した実施の形態1に係るラスト100Aと近似の構成を有するラスト100Bと、紐状の固定部材としてのワイヤ220とを備えている。なお、図15においては、理解を容易とするために、ラスト100Bのうちの三つの足首パーツ104のみを図示している。
ラスト100Bは、上述した実施の形態1に係るラスト100Aと比較した場合に、板状パーツの端部に設けられる窪み部109の形状のみが相違している。具体的には、図15に示すように、窪み部109は、板状パーツとしての足首パーツ104の端部を平面視略L字状に切り欠いた形状を有しており、これにより足首パーツ104には、突起状の掛け留め部104aが設けられている。
一方、図16に示すように、ワイヤ220は、アッパー成形材300を貫通するように縫い付けが可能なものであり、たとえば樹脂製や金属製等の、耐熱性を有する部材からなる。
図16に示すようにワイヤ220は、アッパー成形材300の上端部の周方向に沿って弛緩した状態となるように当該上端部の所定位置に縫い付けられている。すなわち、ワイヤ220は、アッパー成形材300の上端部の内周面側および外周面側に向けて突き抜けるように当該上端部に周方向に沿って交互に縫い付けられており、さらには、特に、アッパー成形材300の上端部の内周面側において、当該内周面とこれから突き出た部分のワイヤ220との間に隙間が形成されるように弛んだ状態とされている。このワイヤ220のアッパー成形材300への縫い付けは、アッパー成形材300がラスト100Bに被せ付けられる前に行なわれる。
このようにワイヤ220が縫い付けられたアッパー成形材300は、その後、ラスト100Bに被せ付けられ、その際に、上述したワイヤ220の弛んだ部分が、ラスト100Aに設けられた窪み部109に嵌め込まれる。さらにその際、ワイヤ220の弛んだ部分は、上述した板状パーツとしての足首パーツ104に設けられた掛け留め部104aに掛け留めされる。このとき、予めワイヤ220の周長を適切に調整しておくことにより、ラスト100Bを覆う部分のアッパー成形材300に弛みや皺が発生しないようにすることができる。
以上により、アッパー成形材300に対するワイヤ220の縫い付け位置を適切に調節しておくことにより、ラスト100Bに対してのアッパー成形材300の位置決めが、上述した作業を行なうことで完了することになり、その後、上述した加熱処理等が行なわれることにより、アッパー30が成形されることになる。なお、アッパー30が成形された後においては、ワイヤ220がアッパー30から取り除かれる。
ここで、上述した位置決め作業が可能となるように、本実施の形態に係るシューアッパー成形具200Bにおいては、窪み部109が、当該窪み部109に収容されたワイヤ220を掛け留めすることができる形状および大きさとされている。
したがって、このように構成することにより、アッパー30の成形に際して、当該アッパー30の位置合わせを容易に行なうことができるようになり、製造される靴1の出来映えが向上するばかりでなく、その生産性も大幅に向上することになる。
(実施の形態4)
図17は、実施の形態4に係るラストを説明するための図であり、図18は、当該ラストによってシューアッパーが保持された状態を示す模式断面図である。以下、これら図17および図18を参照して、本実施の形態に係るラスト100Cについて説明する。
図17に示すように、本実施の形態に係るラスト100Cは、上述した実施の形態1に係るラスト100Aと比較した場合に、板状パーツの端部に設けられる窪み部109の形状のみが相違している。具体的には、窪み部109は、板状パーツとしての足首パーツ104の周囲に比してなだらかに括れた形状を有している。なお、図17においては、理解を容易とするために、ラスト100Bのうちの三つの足首パーツ104のみを図示している。
図18に示すように、このように構成されたラスト100Cに対しては、アッパー成形材300の上端部に弾性材301が縫い付けられたものが被せ付けられる。弾性材301としては、たとえば樹脂製やゴム製等の、耐熱性および弾性を有するシート状の部材からなる。なお、この弾性材301は、アッパー30の一部を構成するものであってもよいし、アッパー30の成形後に取り除かれるものであってもよい。
アッパー成形材300がラスト100Cに対して被せ付けられる際には、弾性材301に対して外力が加えられることにより、当該弾性材301が外側に拡開されるように弾性変形した状態とされ、その後、この弾性材301がラスト100Cの窪み部109を取り巻くように配置され、さらに上述した外力が取り除かれることで弾性材301が収縮することにより、弾性材301ならびにアッパー成形材300の上端部が、窪み部109に嵌まり込むようにされる。なお、図18においては、理解を容易とするために、ラスト100Cのうちの一つの足首パーツ104のみを図示している。
このような構成において、上述した窪み部109を目印としてアッパー成形材300をラスト100Cに対して被せ付けることにより、ラスト100Cに対してのアッパー成形材300の位置決めが完了することになり、その後、上述した加熱処理等が行なわれることにより、アッパー30が成形されることになる。
したがって、このように構成した場合にも、アッパー30の成形に際して、当該アッパー30の位置合わせを容易に行なうことができるようになり、製造される靴1の出来映えが向上するばかりでなく、その生産性も大幅に向上することになる。
(実施の形態5)
図19は、実施の形態5に係るラストを説明するための図であり、図20は、当該ラストによってシューアッパーが保持された状態を示す模式断面図である。以下、これら図19および図20を参照して、本実施の形態に係るラスト100Dについて説明する。
図19に示すように、本実施の形態に係るラスト100Dは、上述した実施の形態1に係るラスト100Aと比較した場合に、板状パーツの端部に設けられる窪み部109の形状のみが相違している。具体的には、窪み部109は、板状パーツとしての足首パーツ104の幅方向の端部において、下端側から上端側に向かうにつれてなだらかに切れ込むように形成されている。これにより、足首パーツ104の端部には、フック状の係止片104bが設けられている。なお、図19においては、理解を容易とするために、ラスト100Dのうちの三つの足首パーツ104のみを図示している。
図20に示すように、アッパー成形材300がラスト100Dに対して被せ付けられるに際しては、アッパー成形材300の上端部が、ラスト100Dに設けられた窪み部109に挿し込まれる。これにより、窪み部109に挿し込まれた部分のアッパー成形材300は、ラスト100Dの窪み部109を規定する部分の壁部(すなわち、上述した係止片104bおよびこれに対向する部分の壁部)によって挟み込まれることで保持されることになる。なお、図20においては、理解を容易とするために、ラスト100Dのうちの一つの足首パーツ104のみを図示している。
このような構成において、上述した窪み部109を目印としてアッパー成形材300をラスト100Dに対して被せ付けることにより、ラスト100Dに対してのアッパー成形材300の位置決めが完了することになり、その後、上述した加熱処理等が行なわれることにより、アッパー30が成形されることになる。
ここで、上述した位置決め作業が可能となるように、本実施の形態に係るラスト100Dにおいては、複数の板状パーツの各々の端部に窪み部109が形成されることにより、この窪み部109を規定する部分によってアッパー成形材300を保持するための挟持部が形成されるように構成している。
したがって、このように構成することにより、アッパー30の成形に際して、当該アッパー30の位置合わせを容易に行なうことができるようになり、製造される靴1の出来映えが向上するばかりでなく、その生産性も大幅に向上することになる。
(実施の形態6)
図21は、実施の形態6に係るラストを説明するための図であり、図22は、当該ラストによってシューアッパーが保持された状態を示す模式断面図である。以下、これら図21および図22を参照して、本実施の形態に係るラスト100Eについて説明する。
図21に示すように、本実施の形態に係るラスト100Eは、上述した実施の形態5に係るラスト100Dと比較した場合に、板状パーツの端部に設けられる係止片104bの形状のみが相違している。すなわち、係止片104bは、その先端が外側に向けて迫り出すように構成されており、係止片104bの窪み部109に面する部分が、曲面形状を有するように構成されている。
このように構成されたラスト100Eにあっては、図22に示すように、アッパー成形材300がラスト100Eの窪み部109に挿入される際に、当該アッパー成形材300が尖った係止片104bの先端に接触することがなくなるとともに、アッパー成形材300がラスト100Eによって保持された状態において、当該アッパー成形材300が尖った係止片104bの先端ではなく、曲面部分によって保持されることになる。
したがって、このように構成した場合には、上述した実施の形態5において説明した効果が得られるばかりでなく、さらに、アッパー成形材300、ひいてはアッパー30に傷がついたり綻んだりすることが抑制できる効果を得ることができる。
(実施の形態7)
図23は、実施の形態7に係るラストの斜視図である。以下、この図23を参照して、本実施の形態に係るラスト100Fについて説明する。なお、本実施の形態に係るラスト100Fは、上述したラストモデルの生成方法に準じて製作された、着用者の足の形状に基本的に対応したものである。
図23に示すように、ラスト100Fは、複数のパーツが組み合わされることで構成された点において、上述した実施の形態1に係るラスト100Aと共通しているものの、当該複数のパーツに、複数の板状パーツに加えてブロック状パーツが含まれている点において、その構成が相違している。より詳細には、複数のパーツには、ブロック状パーツとしてのベースパーツ108と、板状パーツとしての複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103および複数の足首パーツ104が含まれている。
ベースパーツ108は、着用者の爪先の前端に対応する部分である前端側爪先部131と、着用者の爪先の後端から踵の前端にかけての位置の足裏に対応する部分である足裏部132と、着用者の踵の後端に対応する部分である後端側踵部133とを含んでいる。
ここで、ベースパーツ108は、上述した複数の板状パーツが組付けられる基枠となるものであり、ラスト100Fの底面を規定している。ベースパーツ108は、たとえば樹脂や金属、木材等によって構成することができ、好ましくは硬質樹脂によって構成される。
一方、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103および複数の足首パーツ104は、いずれも上述した実施の形態1に係るラスト100Aにおけるそれらと基本的に同様の構成のものであり、その各々が木質ボードにて構成されている。ここで、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103および複数の足首パーツ104は、前後方向(すなわち足長方向)に沿って多層状に配置されている。
これらベースパーツ108、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103および複数の足首パーツ104は、組み合わされた状態においてラスト100Fの成形面Sを規定している。より具体的には、ベースパーツ108にあっては、その外表面によってラスト100Fの成形面Sが規定されており、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103および複数の足首パーツ104にあっては、その各々の端面(すなわち、板状パーツの厚み方向に延在する面)によってラスト100Fの成形面Sが規定されている。
ここで、ベースパーツ108によって規定された部分の成形面Sは、足の外表面全体のうち、着用者毎にその形状に差異が生じ難い部分である。一方、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103および複数の足首パーツ104によって規定された部分の成形面Sは、足の外表面全体のうち、着用者毎にその形状に差異が生じ易い部分である。
したがって、このように、ブロック状パーツとしてのベースパーツ108と、複数の板状パーツとしての複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103および複数の足首パーツ104との組み合わせによってラスト100Fを構成することにより、このうちのベースパーツ108を、製造する靴のサイズ毎に予め準備しておくことで、より効率的にラストを製作することが可能になる。
ここで、本実施の形態に係るラスト100Fにあっては、当該ラスト100Fのうちの所定位置に窪み部109が設けられている。この窪み部109は、成形面Sのうち、製造される靴1のアッパー30の成形すべき部分の上端部に対応した領域である特定領域に位置している。なお、本実施の形態においては、製造される靴1の上述した上端部(図1および図2において符号UPにて示す部分)が、履き口31が形成された部分であるため、成形面Sのうちの上述した特定領域は、この履き口31に対応する部分となる。具体的には、窪み部109は、複数の足首パーツ104のそれぞれに設けられている。
したがって、このように構成した場合にも、当該窪み部109を、アッパー30の成形の際の目印として用いることが可能になるため、アッパー30の成形に際して、当該アッパー30の位置合わせを容易に行なうことができるようになり、製造される靴1の出来映えが向上するばかりでなく、その生産性も大幅に向上することになる。
(実施の形態8)
図24は、実施の形態8に係るラストの斜視図である。以下、この図24を参照して、本実施の形態に係るラスト100Gについて説明する。なお、本実施の形態に係るラスト100Gは、上述したラストモデルの生成方法に準じて製作された、着用者の足の形状に基本的に対応したものである。
図24に示すように、ラスト100Gは、複数のパーツが組み合わされることで構成された点において、上述した実施の形態1に係るラスト100Aと共通しているものの、当該複数のパーツに、複数の板状パーツに加えてブロック状パーツが含まれている点において、その構成が相違している。より詳細には、複数のパーツには、ブロック状パーツとしてのベースパーツ108と、板状パーツとしての複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106が含まれている。また、ベースパーツ108は、前側ベースパーツ130と、後側ベースパーツ140とに2分割されている。
前側ベースパーツ130は、着用者の爪先の前端に対応する部分である前端側爪先部134と、着用者の爪先の後端および足甲に対応する位置の足裏に対応する部分である前側足裏部135と、着用者の足首の前端に対応する部分である前側足首部136とを含んでいる。一方、後側ベースパーツ140は、着用者の足首の後端に対応する部分である後側足首部141を含んでいる。
前側ベースパーツ130および後側ベースパーツ140からなるベースパーツ108は、上述した複数の板状パーツが組付けられる基枠となるものであり、ラスト100Gの底面を規定している。より具体的には、前側ベースパーツ130には、複数の爪先パーツ102および複数の足甲パーツ103が組付けられ、後側ベースパーツ140には、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106が組付けられる。前側ベースパーツ130および後側ベースパーツ140は、たとえば樹脂や金属、木材等によって構成することができ、好ましくは硬質樹脂によって構成される。
一方、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106は、いずれも上述した実施の形態1に係るラスト100Aにおけるそれらと基本的に同様の構成のものであり、その各々が木質ボードにて構成されている。ここで、複数の爪先パーツ102および複数の足甲パーツ103は、前後方向(すなわち足長方向)に沿って多層状に配置されており、複数の踵周方向パーツ105は、上下方向(すなわち足長方向および足幅方向の双方に直交する方向)に沿って多層状に配置されており、複数の踵上下方向パーツ106は、上下方向に延びる軸を中心として略180°の範囲にわたって放射状かつ多層状に配置されている。
これらベースパーツ108、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106は、組み合わされた状態においてラスト100Gの成形面Sを規定している。より具体的には、ベースパーツ108にあっては、その外表面によってラスト100Gの成形面Sが規定されており、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106にあっては、その各々の端面(すなわち、板状パーツの厚み方向に延在する面)によってラスト100Gの成形面Sが規定されている。
ここで、ベースパーツ108によって規定された部分の成形面Sは、足の外表面全体のうち、着用者毎にその形状に差異が生じ難い部分である。一方、複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106によって規定された部分の成形面Sは、足の外表面全体のうち、着用者毎にその形状に差異が生じ易い部分である。
したがって、このように、ブロック状パーツとしてのベースパーツ108と、複数の板状パーツとしての複数の爪先パーツ102、複数の足甲パーツ103、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106との組み合わせによってラスト100Gを構成することにより、このうちのベースパーツ108を、製造する靴のサイズ毎に予め準備しておくことで、より効率的にラストを製作することが可能になる。
ここで、本実施の形態に係るラスト100Gにあっては、当該ラスト100Gのうちの所定位置に窪み部109,108aが設けられている。この窪み部109,108aは、成形面Sのうち、製造される靴1のアッパー30の成形すべき部分の上端部に対応した領域である特定領域に位置している。なお、本実施の形態においては、製造される靴1の上述した上端部(図1および図2において符号UPにて示す部分)が、履き口31が形成された部分であるため、成形面Sのうちの上述した特定領域は、この履き口31に対応する部分となる。具体的には、窪み部109は、複数の足首パーツ104、複数の踵周方向パーツ105および複数の踵上下方向パーツ106に設けられており、窪み部108aは、前側ベースパーツ130の前側足首部136および後側ベースパーツ140の後側足首部141に設けられている。
したがって、このように構成した場合にも、当該窪み部109,108aを、アッパー30の成形の際の目印として用いることが可能になるため、アッパー30の成形に際して、当該アッパー30の位置合わせを容易に行なうことができるようになり、製造される靴1の出来映えが向上するばかりでなく、その生産性も大幅に向上することになる。
また、本実施の形態に係るラスト100Gにあっては、前側ベースパーツ130の前側足首部136に、その上面および後端面に達するように係合凹部136aが設けられており、後側ベースパーツ140の後側足首部141の前端面に、係合凸部141cが設けられている。これら係合凹部136aおよび係合凸部141cは、互いに上下方向(すなわち足長方向および足幅方向の双方に直交する方向)に嵌まり合うように構成されている。
これにより、後側ベースパーツ140は、前側ベースパーツ130に対して上下方向に抜き差しできることになり、アッパー30の成形後において、当該部分において後側ベースパーツ140を前側ベースパーツ130から分離することにより、後側ベースパーツ140、前側ベースパーツ130の順でこれらをアッパー30の履き口31から容易に取り出すことができる。
(実施の形態等における開示内容の要約)
上述した実施の形態およびそれらの変形例において開示した特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
本開示のある態様に従ったラストは、シューアッパー成形用のものであり、複数のパーツが組み合わされることで構成され、シューアッパーが被せ付けられることでこれを成形することができるものである。シューアッパーを成形するための成形面のうち、シューアッパーの成形すべき部分の上端部に対応する領域である特定領域の少なくとも一部は、上記複数のパーツに含まれる複数の板状パーツによって構成されている。上記複数の板状パーツによって構成された部分の上記特定領域は、上記複数の板状パーツがシューアッパーの上端部の周方向に沿って互いに間隔が空くように配置されることにより、上記複数の板状パーツの各々の端面によって規定されている。上記本開示のある態様に従ったラストにあっては、シューアッパーを被せ付ける際の当該ラストへの位置合わせを行なうための目印となる窪み部が、上記複数の板状パーツによって構成された部分の上記特定領域に設けられている。
上記本開示のある態様に従ったラストにあっては、上記複数の板状パーツの各々が、シューアッパーが挿入されることでこれを挟み込んで保持することができる挟持部を含んでいてもよく、その場合には、上記複数の板状パーツの各々の端部に上記窪み部が形成されることにより、上記複数の板状パーツの各々の当該窪み部を規定する部分によって上記挟持部が構成されていることが好ましい。
上記本開示のある態様に従ったラストにあっては、上記複数の板状パーツの各々が、木質ボードにて構成されていてもよい。
本開示の他の態様に従ったシューアッパー成形具は、上記本開示のある態様に従ったラストと、シューアッパーを上記ラストに固定するための紐状の固定部材とを備えている。上記本開示の他の態様に従ったシューアッパー成形具にあっては、上記窪み部が、上記固定部材との間においてシューアッパーを挟み込んで保持することができるように、上記固定部材の少なくとも一部が収容可能な形状および大きさを有している。
本開示のさらに他の態様に従ったシューアッパー成形具は、上記開示のある態様に従ったラストと、シューアッパーを上記ラストに固定するための紐状の固定部材とを備えている。上記本開示のさらに他の態様に従ったシューアッパー成形具にあっては、上記窪み部が、当該窪み部に収容された上記固定部材を掛け留めすることができる形状および大きさを有している。
上記本開示の他の態様に従ったシューアッパー成形具および上記本開示のさらに他の態様に従ったシューアッパー成形具にあっては、上記複数の板状パーツの各々が、木質ボードにて構成されていてもよい。
なお、上述した実施の形態に係るラストは、いずれもアッパーの成形が完了した後においては、これをシューキーパーとして使用することができるものである。その場合には、ラストの成形面は、これが靴の形状を保持する保持面として機能することになる。
(その他の形態等)
上述した実施の形態においては、着用者の足を撮影して画像データを取得し、これに基づいて着用者専用のラストモデルを生成し、さらにこれに基づいて複数の板状パーツを製作する過程を経て製作されるラストに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象は、このようなラストに限定されるものではなく、異なる過程を経て製作されるラストにも当然にその適用が可能である。たとえば着用者専用のラストではなく、従来公知の手法によって製作されるラストにも、本発明の適用が可能である。
また、上述した実施の形態においては、本発明が適用されたラストを用いて製造される靴として、熱収縮性を有するアッパー成形材を用いてアッパーが製作されてなるものを例示したが、本発明が適用されたラストを用いて製造される靴としては、このようなものに限定されず、どのようなものであってもよい。すなわち、本発明が適用されたラストは、従来公知の構成のどのような靴の製造に際してもその使用が行なえるものである。
また、上述した実施の形態において開示したラストにおけるパーツの割り振り(すなわち、各パーツ(板状パーツおよびフロック状パーツを含む)をラストのどの位置にレイアウトするか等)は、当然にこれを種々変更することができる。すなわち、上述した実施の形態およびそれらの変形例において開示したラストにおける各パーツの数や大きさ、その配置位置、各パーツの組み合わせの仕方等は、あくまでも一例を示したものに過ぎない。
さらには、上述した実施の形態において開示した窪み部の形状や大きさ、数は、これを適宜変更することができる。
加えて、上述した実施の形態において開示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、相互に組み合わせることが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。