本実施形態では、主として、製造中の二次電池に対して予備充電を行うときの具体的な処理について説明する。予備充電は、製造中の二次電池に対する初回の充電であってよい。本実施形態では、当該具体的な処理の説明に先立ち、二次電池の構成および二次電池の製造プロセスの一例について説明する。
〔二次電池の構成〕
図1は、二次電池1の外観を示す斜視図である。二次電池1は、外部端子と電気的に接続されることにより、充電または放電を行うことが可能な電池である。例えば、住宅用、基地局用、車載用、ドローン等のロボット用、医療器具用の蓄電装置に、少なくとも1つの二次電池1が搭載されてよい。二次電池1は、ユニットセル10と、接続端子21および22と、第2収容体50とを備えてよい。ユニットセル10の構成については後述する。
第2収容体50は、ユニットセル10を収容してよい。第2収容体50は、例えばアルミパウチフィルム、あるいは、ステンレス鋼またはニッケル等の金属箔層を有するラミネートフィルムで形成されてよい。アルミパウチフィルムは、アルミニウムをフィルムに蒸着させたもの、または、アルミニウム箔とフィルムとをラミネートしたものであってよい。フィルムの材料は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、またはポリエチレンテレフタレート等であってよい。第2収容体50の厚みは、50μm以上300μm以下であってよく、例えば200μmであってよい。
第2収容体50がアルミパウチフィルムである場合、第2収容体50は、2枚のアルミパウチフィルムがユニットセル10の積層方向(Z軸方向)における両側に位置する構成を有してよい。また、第2収容体50がアルミパウチフィルムである場合、第2収容体50は、1枚のアルミパウチフィルムが2つ折りにされ、その内部にユニットセル10が位置する構成を有してもよい。
接続端子21および22は、二次電池1から電力を取出す、または二次電池1に電力を供給するために、外部端子と接続される端子であってよい。接続端子21および22は、第2収容体50の内部から外部まで突出してよい。接続端子21および22の材料は、例えば銅、アルミニウム、またはニッケルであってよい。接続端子21および22の厚みは、50μm以上かつ500μm以下であってよく、例えば200μmであってよい。また、接続端子21および22には、接着部材(不図示)との接着性を向上させるための表面処理が施されていてもよい。接着部材は、第2収容体50に対する接続端子21および22の位置を決定するために、接続端子21および22と、接続端子21および22の上下に位置する第2収容体50とを接着する。
図2は、ユニットセル10の外観を示す斜視図である。図2に示すように、ユニットセル10は、電極体14と第1収容体15とを備えていてよい。電極体14は、シート状の形状を有していてよい。シート状の電極体14は、正電極11および負電極12を備えていてよい。
第1収容体15は、電極体14を収容してよい。電極体14を収容する第1収容体15が複数積層される場合、複数の第1収容体15同士は、図示しない粘着層により互いに接着されてよい。第1収容体15の材料は、例えばフィルム状のPET(polyethylene terephthalate)またはナイロンであってよい。より具体的には、例えば2枚の第1収容体15は、ユニットセル10の積層方向(Z軸方向)における両側に位置する構成を有してよい。第1収容体15の基材の厚みは、例えば10μm以上かつ40μm以下であってよく、例えば25μmであってよい。粘着層の材料は、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンであってよい。
第1収容体15は、例えば透明であってもよい。図2は、ユニットセル10に透明の第1収容体15を用いることにより、第1収容体15を通して電極体14を確認することができる様子を示す図である。
第1収容体15は、切欠部16を有していてよい。例えば、正電極11側の第1収容体15、および、負電極12側の第1収容体15のそれぞれに、切欠部16が設けられていてよい。ユニットセル10の一部に封止されていない部分として切欠部16を設けることにより、ユニットセル10の内部において、電解液、または微量の水分の分解反応によって発生するガスを、ユニットセル10の外部に放出できる。また、切欠部16を設けることによって、正電極11側の一部と、負電極12側の一部とが、第1収容体15から露出した構成を有してもよい。または、正電極11側の一部と、負電極12側の一部とが、第1収容体15から露出していない構成を有してもよい。後者の場合、ユニットセル10の正電極11側の内部の空間とユニットセル10の外部の空間とが連通した構成を有するとともに、ユニットセル10の負電極12側の内部の空間とユニットセル10の外部の空間とが連通した構成を有してもよい。また、正電極11側の切欠部16の位置において、負電極12側の第1収容体15が露出し、負電極12側の切欠部16の位置において、正電極11側の第1収容体15が露出してもよい。
正電極11は、第1収容体15から露出する露出部11eを有してよい。負電極12は、第1収容体15から露出する露出部12eを有してよい。接続端子21および22は、例えば超音波溶着、レーザ溶着、または抵抗溶接により、それぞれ露出部11eおよび12eに電気的に接続されてよい。正電極11および負電極12の詳細については後述する。
二次電池1は、正電極11および負電極12を第1収容体15に収容したユニットセル10を、さらに第2収容体50に収容した構成を有してよい。この構成を有することにより、電極体14が二重に収容されるため、二次電池1の安全性を高めることができる。また、第2収容体50をさらなる収容体に収容してもよい。ただし、二次電池1は、正電極11および負電極12を備えるものであればよく、少なくとも1つの収容体により収容されていればよい。
実施形態1においては、二次電池1は、複数のユニットセル10を重ね合わせた構成を備え、例えば10層分のユニットセル10を重ね合わせた構成を備える。ただし、本開示に係る二次電池1は、ユニットセル10を10層とは異なる複数層備えてもよく、1層のみ備えていてもよい。二次電池1がユニットセル10を複数層備える場合、それらのユニットセル10は積層されていてよい。図1に示す二次電池1を平面視した場合、接続端子21および22を除いた箇所は、略矩形状であってよく、異なる形状であってもよい。また、図2に示すユニットセル10を平面視した場合、露出部11eおよび12eを除いた箇所は、略矩形状であってよく、異なる形状であってもよい。
図3は、図1のIII-III線における断面について分解して示すモデル図である。図4は、図1のIV-IV線における断面について分解して示すモデル図である。簡単のため、図3および図4では第2収容体50は省略されている。また、図3および図4は、主として各構成要素の位置関係を示すものである。このため、各構成要素の厚みの大小関係については、必ずしも図3および図4のとおりではない。
図3および図4に示すように、二次電池1は、第1保護部材30をさらに備えてよい。
第1保護部材30は、各ユニットセル10の第1収容体15から露出した露出部11e同士を電気的に接続した第1接続部と、各ユニットセル10の第1収容体15から露出した露出部12e同士を電気的に接続した第2接続部と、を保護してよい。露出部11e同士および露出部12e同士はそれぞれ、例えば超音波溶着、レーザ溶着、または抵抗溶接により接続されてよい。図3および図4において、正電極11の露出部11e同士および負電極12の露出部12e同士が接続されていないが、上述したように実際には接続されている。
第1保護部材30の材料は、例えばフィルム状のポリオレフィンまたはポリイミドであってよい。第1保護部材30は、図示しない粘着層により、露出部11eおよび12eに接着されていてよい。また、第1保護部材30における粘着層の材料は、電解液(電解質)に溶出しにくいものであればよい。粘着層の材料は、例えばアクリル系粘着剤であってよい。
本実施形態では、第1保護部材30は、第1接続部および第2接続部から第1収容体15の一部に亘って被覆していてよい。これにより、露出部11eまたは12eにおいて応力が生じた場合に、応力集中を生じにくくできることから、第1接続部および第2接続部の近傍において露出部11eまたは12eが損傷または破断する可能性を低減できる。ただし、第1保護部材30は、少なくとも第1接続部および第2接続部を保護していればよく、必ずしも第1接続部および第2接続部から第1収容体15に亘って被覆していなくてもよい。
また、図3および図4に示すように、正電極11は、電極導電体11aおよび正極活物質層11bを有してよい。負電極12は、電極導電体12aおよび負極活物質層12bを有してよい。
電極導電体11aは、例えばアルミニウム箔であってよい。電極導電体11aの厚みは5μm以上25μm以下であってよく、例えば10μmであってよい。電極導電体12aは、例えば銅箔であってよい。電極導電体12aの厚みは5μm以上25μm以下であってよく、例えば10μmであってよい。
図5は、電極体14の具体的な構造を示す断面図である。図5に示すように、正極活物質層11bは、正極活物質11cおよび導電助剤11dの混合物である正極材料の層であってよい。また、負極活物質層12bは、負極活物質12cおよび導電助剤12dの混合物である負極材料の層であってよい。正極活物質11cは、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム、またはマンガン酸リチウムであってよい。負極活物質12cは、例えばグラファイトまたはチタン酸リチウムであってよい。導電助剤11dおよび12dは、例えばカーボンブラックまたはアセチレンブラックであってよい。ただし正極活物質11c、負極活物質12c、導電助剤11dおよび12dはこれらに限られない。
正極材料は、正極活物質11cと導電助剤11dとから構成される混合物に電解液を混ぜ込んだ、いわゆる粘土状の性質を有していてよい。負極材料は、負極活物質12cと導電助剤12dとから構成される混合物に電解液を混ぜ込んだ、いわゆる粘土状の性質を有していてよい。正電極11は、正極材料が電極導電体11aに塗工された電極であってよい。負電極12は、負極材料が電極導電体12aに塗工された電極であってよい。
電解液は、非水溶媒に電解質であるリチウム塩を溶解させたものである。非水溶媒としては、カーボネート系溶媒であってもよい。カーボネート系溶媒としては、γ-ブチロラクトンであってもよいし、エチレンカーボネートであってもよいし、γ-ブチロラクトンとエチレンカーボネートとの両方であってもよい。また、カーボネート系溶媒として、少なくともγ-ブチロラクトンとエチレンカーボネートとのいずれか一方を含んでいれば、他の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエチルカーボネート、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。電解質としては、六フッ化リン酸リチウムまたはリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)であってよい。
また、電極体14は、セパレータ13をさらに備えていてよい。正電極11、負電極12およびセパレータ13は、正極活物質層11bおよび負極活物質層12bがセパレータ13に接するような位置関係を有していてよい。すなわち、ユニットセル10は、セパレータ13を介して正電極11および負電極12を積層した構造であってよい。セパレータ13は、正電極11および負電極12を絶縁する絶縁部材として機能してよい。セパレータ13には、例えばシート状の不織布または多孔質材が用いられてよい。
セパレータ13として多孔質材を用いる場合、具体的には、融点が80℃~140℃程度の熱可塑性樹脂からなる多孔フィルムを用いてよい。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ポリマー、またはポリエチレンテレフタレートを用いてよい。
粘土状の性質を有する正極材料および負極材料を用いる場合、正電極および負電極とセパレータとの間にバインダーを用いなくてもよい。また、正電極および負電極の電極成形前に、正極材料および負極材料に電解液を混ぜ込んでいる。そのため、正電極および負電極の性能を向上させることができる。正極材料および負極材料に電解液を混ぜ込んでいることにより、正電極および負電極の電極成形における工程数を、電解液を混ぜ込んでいない正極材料および負極材料を用いる場合に比べ削減できる。また、二次電池の製造工程において、電解液を注入する工程を削減できる。さらに、電解液を混ぜ込んでいない正極材料および負極材料を用いる場合に比べ、電極導電体に正極材料および負極材料を厚く塗工できる。そのため、所定の蓄電量を有する二次電池を実現するにあたり、粘土状の性質を有しない正極材料および負極材料を用いる場合よりも、使用する電極導電体およびセパレータの数を少なくできる。そのため、部材コストを削減でき、かつエネルギー密度を高めることができる。
正極材料および負極材料は、粘土状の性質を有していなくてもよい。この場合、正極活物質11cおよび負極活物質12cには電解液が混ぜ込まれていなくてよい。例えば、正極材料は、正極活物質11cと導電助剤11dとから構成される混合物と、バインダーと、溶媒とからなる正極スラリーであり、正極スラリーを電極導電体11aに塗工し、乾燥させて正極活物質層11bを形成してもよい。また、負極材料は、負極活物質12cと導電助剤12dとから構成される混合物と、バインダーと、溶媒とからなる負極スラリーであり、負極スラリーを電極導電体12aに塗工し、乾燥させて負極活物質層12bを形成してもよい。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)またはポリエチレンオキサイド(PEO)等であってよい。溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の有機溶剤であってよい。またこの場合、ユニットセル10の内部に電解液が充填されており、電解液は、セパレータ13に含浸して保持されていてよい。
本開示に係る二次電池は、少なくとも正極材料、負極材料および電解液を含む電極体を備えていればよい。本開示に係る二次電池は、製造段階において、予備充電されるとともに、二次電池の電極体からガスが発生する二次電池であれば、どのような二次電池であってもよい。
〔二次電池の製造プロセス〕
図6は、二次電池1の製造工程(製造方法)の一例を示すフローチャートである。第2収容体50は2枚のアルミパウチフィルムで構成されるものとする。
二次電池1の製造工程では、二次電池1を製造する製造装置(不図示)は、まず正電極11および負電極12を製造する(S1およびS2)。
正電極11は、例えば以下のように製造される。製造装置は、原料としての正極活物質11cおよび導電助剤11dを粉砕した後、正極活物質11cおよび導電助剤11dを混合する。製造装置は、正極活物質11cおよび導電助剤11dを混合した混合物に電解液を導入しながら混錬することにより、粘土状の正極材料を製造する(スラリー化する)。その後、製造装置は、金属箔(例えばアルミニウム箔)に対して、例えば打抜き加工を施すことにより成形した電極導電体11aに、粘土状の正極材料を塗工する。すなわち、電極導電体11aと正極活物質層11bとが積層され、一体化した正電極11が製造される。あらかじめ電極導電体11aの一方の面に第1収容体15をラミネート加工し、その後、他方の面に正極材料を塗工してもよい。すなわち、第1収容体15によってラミネートされた正電極11が製造されてもよい。
負電極12は、例えば以下のように製造される。製造装置は、原料としての負極活物質12cおよび導電助剤12dを粉砕した後、負極活物質12cおよび導電助剤12dを混合する。製造装置は、負極活物質12cおよび導電助剤12dを混合した混合物に電解液を導入しながら混錬することにより、粘土状の負極材料を製造する(スラリー化する)。その後、製造装置は、金属箔(例えば銅箔)に対して、例えば打抜き加工を施すことにより成形した電極導電体12aに、粘土状の負極材料を塗工する。すなわち、電極導電体12aと負極活物質層12bとが積層され、一体化した負電極12が製造される。あらかじめ電極導電体12aの一方の面に第1収容体15をラミネート加工し、その後、他方の面に負極材料を塗工してもよい。すなわち、第1収容体15によってラミネートされた負電極12が製造されてもよい。
次に、製造装置は、正電極11と負電極12とでセパレータ13を挟んだ状態で正電極11と負電極12とを貼り合わせることにより、電極体14を形成する。そして、第1収容体15を電極体14の正電極11側と負電極12側とにそれぞれ重ね合わせ、第1収容体15のうち電極体14の外周よりも外側の部位で、第1収容体15同士を貼り合わせることにより、第1収容体15の間に電極体14を封止する。第1収容体15のうち切欠部16の部位においては、第1収容体15同士が貼り合わされず、ユニットセル10の内部の空間とユニットセル10の外部の空間とが連通した構成となる。換言すると、正電極11側の第1収容体15と負電極12側の第1収容体15との外周の一部を除いて、当該外周において電極体14が封止される。封止しなかった部分が切欠部16となる。このようにして、ユニットセル10が製造される(S3)。
S1~S3の工程を経て複数のユニットセル10が製造される。製造装置は、製造した複数のユニットセル10を積層する(S4)。次に、製造装置は、積層したユニットセル10の電極導電体11aおよび12aに、接続端子21および22を溶着する(S5)。具体的には、製造装置は、複数の電極導電体11aの露出部11e同士を溶着し、最も外側に位置する露出部11eaに接続端子21を溶着する。また、製造装置は、複数の電極導電体12aの露出部12e同士を溶着し、最も外側に位置する露出部12eaに接続端子22を溶着する。
さらに、製造装置は、ユニットセル10同士を、切欠部16を除く外周において溶着する(S6)。ユニットセル10同士は、ユニットセル10の外周において、例えば超音波溶着、熱溶着、または接着テープにより溶着されてよい。
続けて、製造装置は、外周を溶着した複数のユニットセル10のうち最も外側に位置する一方のユニットセル10と他方のユニットセル10との最外表面に、第2収容体50の材料であるアルミパウチフィルムを仮熱溶着する(S7)。仮熱溶着は、ユニットセル10に対するアルミパウチフィルムの位置を決定するためのものである。仮熱溶着は、必要に応じてユニットセル10から剥がすことが可能な、強度の低い溶着であってよい。製造装置は、アルミパウチフィルムの位置を決定した後、ユニットセル10の外周よりも外側の部位で、アルミパウチフィルム同士を貼り合わせ、略矩形状であるアルミパウチフィルムの4辺のうち、3辺を溶着する(S8)。1枚のアルミパウチフィルムが2つ折りにされ、その内部にユニットセル10が位置する構成の場合には、残り3辺のうち、2辺を溶着すればよい。次に、製造装置は、アルミパウチフィルムの3辺が溶着された状態で、アルミパウチフィルムの外形を所望の形状にカットする(S9)。アルミパウチフィルムは、例えば、S7における仮熱溶着を行う前に外形を所望の形状にカットしてもよい。
次に、製造装置は、アルミパウチフィルムの3辺が溶着された状態の二次電池の電極体14を予備充電する(S10)。予備充電は、製造装置に含まれる予備充電装置4によって行われてよい。予備充電装置4の構成および処理の詳細については後述する。予備充電は、負電極12の表面に良質なSEI(Solid Electrolyte Interphase;固体電解質界面)を形成するために行われる。また、特に予備充電時には、電極体14からガスが発生する。当該ガスは、例えば、電解液および負極材料等の反応によりSEI形成時に生じる副生成物である。また、当該ガスは、例えば電解液等に含まれる微量の水の電気分解によって生じる。当該ガスは、切欠部16およびアルミパウチフィルムの溶着されていない部分から排出させることができる。
また、複数のユニットセル10を収容したアルミパウチフィルムの3辺は閉じられており、1辺は開かれている。すなわち、アルミパウチフィルムには、ガスが排出できる程度の開口部が設けられているだけである。そのため、予備充電時に、ユニットセル10から電解液が漏れ出たとしても、当該電解液をアルミパウチフィルム内に留めておくことができる。従って、生産トラブルが発生する可能性を低減できる。
次に、製造装置は、第2収容体50の中の空気を抜きつつ、S10の予備充電の工程まで溶着されていなかったアルミパウチフィルムの1辺を溶着し、二次電池1を製造する。換言すると、アルミパウチフィルムの内部を真空シールする(S11)。真空シールにおいて、アルミパウチフィルムの最後の1辺を溶着することで、第2収容体50が形成され、二次電池1を製造できる。
上述した工程を必要に応じて入れ替えてもよい。例えば、正電極11の製造と負電極12の製造とは並行して実行されてもよいし、正電極11の製造後に負電極12が製造されても、負電極12の製造後に正電極11が製造されてもよい。また例えば、S4の工程の前にS5の工程が実行されてもよく、S9の工程の前にS10およびS11の工程が実行されてもよい。
〔予備充電の詳細〕
以下では、図6のS10における予備充電の詳細について説明する。上述したように、予備充電は、予備充電装置4により実行される。以下では、予備充電装置4の構成例について説明した後、予備充電装置4の処理例について説明する。
<予備充電装置の構成>
予備充電装置4は、製造中の二次電池に対して予備充電を実行する装置であってよい。予備充電の対象となる製造中の二次電池は、予備充電装置4によって電極体14への充電が可能であり、かつ、電極体14の内部において発生したガスを電極体14の外部に排出することが可能な構造となっていればよい。本実施形態では、予備充電の対象となる製造中の二次電池は、アルミパウチフィルムの3辺が溶着されることなどにより閉じられ、1辺が溶着されていない二次電池である。以下の説明では、製造中の二次電池を二次電池1aと称する。
図7は、予備充電装置4の概略的な構成の一例を示す概略図である。図7は、予備充電装置4を、作業者が二次電池1aを収容する側(正面側)から見たときの、予備充電装置4の概略図である。図8は、上下方向に隣接する2つのトレー44の間にスペーサ5を配置した状態を分解して示すモデル図である。図8では、トレー44に二次電池1aが収容される前の状態を示している。
図7に示すように、予備充電装置4は、加圧部41と収容部42とを備えてよい。
加圧部41は、機械的圧力により二次電池1aの電極体14を加圧状態とする機構であってよい。加圧部41には、例えば、エアシリンダまたは油圧シリンダが用いられてよい。収容部42は、加圧部41により加圧される二次電池1aが収容される筐体であってよい。
上記「加圧状態」とは、電極体14に対する機械的圧力の印加を開始した後の状態を指す。すなわち、「加圧状態」には、電極体14に機械的圧力が印加されてから予め決められた規定値に達するまでの間の状態、および、規定値の機械的圧力が電極体14に印加されている状態を指す。規定値は、例えば、効率の良い電極体14からのガス抜きを考慮して設定されていてよい。また、加圧方向は、二次電池1aにおいて表裏をなす2つの主面(最も広い面積を有する面)の法線方向に沿う方向であってよい。
収容部42は、台座43、トレー44およびクランプ45を備えてよい。図7の領域A1においては、台座43からトレー44を取り除いた状態を示している。
台座43には、トレー44が載置されてよい。台座43は、上下方向(z軸方向)に移動可能に収容部42に設けられていてよい。トレー44は、収容部42に収容される複数の二次電池1a(電極体14)のうちの少なくとも2つを収容するものであってよい。トレー44は、例えば一面が開口した浅い略箱型の形状を有し、複数の二次電池1aを重ねて収容可能なものであってよい。換言すると、トレー44は、二次電池1aを構成する複数のシート状の電極体14を、電極体14を構成する正電極11および負電極12の積層方向へ積み重ねた状態で収容可能なものであってもよい。図7の例では、収容部42には、上下方向に配置された4段の台座43が2列に亘って設けられている。台座43の配置および数はこれに限定されない。台座43には、トレー44に収容された二次電池1aに対して、加圧部41が機械的圧力を加えることできるように、加圧部41による加圧方向に沿ってトレー44が複数積み重ねて配置されていればよい。換言すると、複数のトレー44はそれぞれ、複数の二次電池1aを収容した状態で、加圧方向に重なるように配置されてよい。そして、加圧部41によって上段のトレー44中の二次電池1aに加えられる機械的圧力は、上段のトレー44を介して、下段のトレー44中に収容されている二次電池1aに加えられる。加圧方向は、二次電池1a(電極体14)の主面の法線方向に沿う方向であってよい。
本実施形態では、加圧部41は、収容部42の天井部42aから底部42bへと下降することにより、加圧部41は、積み重ねて配置されたトレー44の上方(天井部42a側)から機械的圧力を加えてよい。具体的には、加圧部41が下降することにより最上段のトレー44を下方向に押す。この押下に伴い、最上段の台座43は下降する。加圧部41がさらに下降することにより、最上段の台座43はその下段の台座43を下方向に押す。すなわち、加圧部41の下降により、上段の台座43が下段の台座43を押していくことにより、最上段の台座43から最下段の台座43までの間に配置された複数の二次電池1aに機械的圧力が加えられる。これにより、加圧部41は、トレー44に収容された複数の二次電池1aのそれぞれを加圧状態としてよい。
複数のトレー44に分けて複数の二次電池1aを重ねて収容することにより、全ての二次電池1aをまとめて重ねた場合よりも、加圧時の二次電池1aの姿勢を安定させることができる。また、複数のトレー44を積み重ねて配置し、積み重ねた複数のトレー44の上方から機械的圧力を加えることにより、1つの加圧部41により、全ての二次電池1aをまとめて加圧できる。
本実施形態では、加圧部41は、天井部42a側に設けられ、天井部42aから底部42bへと移動することにより、二次電池1aの電極体14に機械的圧力を加えているが、これに限らない。例えば、加圧部41は、底部42b側に設けられ、底部42bから天井部42aへと移動することにより、二次電池1aの電極体14に機械的圧力を加えてもよい。また、天井部42aおよび底部42bにそれぞれ加圧部41が設けられていてもよい。すなわち、積み重ねて配置された複数のトレー44に収容された二次電池1aの電極体14に対して、複数のトレー44の上方および下方の少なくとも一方から機械的圧力が加えられればよい。
図7に示す予備充電装置4は、上述のように、二次電池1aの主面が水平面と略平行となるように二次電池1aを収容部42に配置した状態において、予備充電装置4の上方から機械的圧力を加える構造を有している。しかし、予備充電装置4は、二次電池1aの主面が水平面と略垂直となるように二次電池1aを収容部42に配置した状態において、予備充電装置4の側方から機械的圧力を加えてもよい。この場合、複数のトレー44は、開口した一面が予備充電装置4の側方方向を向くように配置されてよい。すなわち、複数のトレー44は、加圧方向に沿って配置されていればよい。
換言すると、収容部42において、複数の二次電池1a(電極体14)は、二次電池1aが有する2つの主面のうちの少なくとも1つの主面が、別の二次電池1aの主面と対向するように、並べて配置されてよい。その状態において、予備充電装置4は、最も外側に位置する2つの電極体のうちの少なくとも一方の側から、機械的圧力を加えてよい。この場合、予備充電装置4は、複数の二次電池1aをまとめて加圧できる。
クランプ45は、予備充電装置4が二次電池1aの電極体14に電流を供給する(通電する)ための接続部であってよい。図7に示すように、クランプ45は、予備充電装置4の背面側に設けられている。クランプ45は、各台座43に配置されたトレー44に対向して設けられている。クランプ45は、各トレー44に重ねて収容された複数の二次電池1aの接続端子21および22をそれぞれ挟持することにより、予備充電装置4と接続端子21および22とを電気的に接続する。ただし、接続端子21および22に電流を供給する機構は、クランプ45のように接続端子21および22のそれぞれを挟持する機構に限らず、予備充電装置4と接続端子21および22とを電気的に接続できる構成であればよい。予備充電装置4は、1つのトレー44に収容された例えば2~10枚程度の二次電池1aが電気的に接続された状態において、電極体14に電流を供給することにより、電極体14に対する予備充電を実行する。予備充電装置4は、接続端子21および22に対して、例えば5A以上かつ80A以下の電流を供給してよい。電流の大きさは、1つの電極体14に所定の電流が流れるように、適宜調整されてもよい。
上述したように、複数のユニットセル10はそれぞれ、接続端子21および22に接続されている。そのため、接続端子21および22と予備充電装置4とを電気的に接続するだけで、複数のユニットセル10の電極体14に対して同時に充電できる。従って、二次電池1の製造効率を向上させることできるため、二次電池1の生産性を向上させることができる。
図8の例では、トレー44には、4枚の二次電池1aが積み重ねられて収容されるが、4枚に限らず、複数枚の二次電池1aが積み重ねられて収容されてよい。また、トレー44に収容される二次電池1aの数は予め決められていてよく、例えば、2~10枚の二次電池1aが積み重ねられて収容されてよい。
また、図8に示すように、隣接する2つのトレー44の間にスペーサ5が配置されてよい。加圧部41は、スペーサ5が配置された状態で、複数の二次電池1aのそれぞれを加圧状態としてよい。スペーサ5の上面5aおよび下面5bの大きさは、トレー44に収容可能な大きさであってよい。また、スペーサ5の高さ(厚み)HSは、規定数の二次電池1aがトレー44に収容された状態で加圧部41によって加圧されたときに、隣接する2つのトレー44が接触しない程度の厚みであればよい。このようなスペーサ5が配置されることにより、加圧部41による加圧時にトレー44同士が接触してしまい、電極体14が適切に加圧されないという状況が発生する可能性を低減できる。
加圧部41が二次電池1aに加える機械的圧力は、複数の二次電池1を積層することによりモジュール化した蓄電装置(不図示)において、複数の二次電池1に加えられる機械的圧力と同等の圧力であってよい。すなわち、予備充電中に電極体14に加えられる機械的圧力と、完成品としての蓄電装置において電極体14に加えられる機械的圧力とは、同等の圧力であってよい。蓄電装置では、蓄電装置を構成する筐体の両側面に弾性部材を設けることにより、積層された複数の二次電池1の両側から、複数の二次電池1に対して機械的圧力を加えてよい。機械的圧力は、例えば、0.1kgf/cm2以上かつ1.4kgf/cm2
以下であってよい。
本実施形態では収容部42にトレー44が複数設けられているが、少なくとも1つのトレー44が設けられていればよい。また本実施形態では、1つのトレー44に複数の二次電池1aが収容されるが、少なくとも1つの二次電池1aが収容されればよい。すなわち、予備充電装置4は、少なくとも1つの電極体14に対して機械的圧力を加えることができればよい。
また、トレー44およびスペーサ5は、絶縁材料により構成されてよく、例えば、ポリエチレンまたはポリ塩化ビニル等のプラスチックであってよい。また、トレー44およびスペーサ5は同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。また、トレー44の形状は、トレー44が二次電池1aを載置することができるものであれば、浅い箱状の形状に限られない。トレー44の形状は、例えば、平たい板のような盆状のもの、または、盆状の板に二次電池1aを収容する部位を位置決めするための案内ピンを立てたものであってもよい。
また、本明細書において、トレー44に二次電池1a(電極体14)を収容するとは、少なくとも1つの二次電池1a(電極体14)を、トレー44の所定の位置へ配置することをいうものとする。さらに、上記では、トレー44に二次電池1aを収容した例を用いて説明したが、トレー44にユニットセル10を収容し、予備充電装置4がユニットセル10に機械的圧力を加えてもよい。
<予備充電装置の処理>
次に、予備充電装置4が電極体14を予備充電するときの具体的な処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。図9は、予備充電装置4の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、作業者は、少なくとも1つ以上のトレー44を準備し、トレー44に複数の二次電池1aを収容する(S21)。そして、トレー44を予備充電装置4の収容部42に配置する。このとき、作業者は、複数のトレー44を積み重ねて配置してよく、また隣接する2つのトレー44の間にスペーサ5を配置してよい。次に、予備充電装置4は、作業者による予備充電開始の入力操作を受付けると、クランプ45に接続端子21および22を挟持させることにより、クランプ45と接続端子21および22とを電気的に接続する(S22)。S22の状態では、予備充電装置4は、接続端子21および22への電流供給を実行していない。この状態において、予備充電装置4は、加圧部41を制御することにより、二次電池1aへの加圧を開始する(S23)。すなわち、S23において、予備充電装置4は、二次電池1aの電極体14に対する機械的圧力の印加を開始する。S22の処理に先立ちS23の処理が実行されてもよいし、S22の処理とS23の処理とが平行して実行されてもよい。
次に、予備充電装置4は、二次電池1aの電極体14を覆う雰囲気を減圧状態としてよい(第1減圧工程:S24)。この減圧により、電極体14に対する予備充電前に、電極体14においてガスが発生している場合であっても、二次電池1aからガスを抜いておくことができる。また、第1減圧工程により、電極体14からのガスを除去することができるため、二次電池1aの各部材の密着性を向上させることができる。
上記「電極体14を覆う雰囲気(電極体14の雰囲気)」とは、二次電池1aが置かれた環境を満たしている気体を指し、例えば空気であってもよい。但し、二次電池1aの周囲は、空気以外の気体(例えば窒素)によって満たされていてもよい。本実施形態では、電極体14の雰囲気は、収容部42内を満たしている空気を指す。
また、上記「減圧状態」とは、電極体14の周囲の圧力(本実施形態では収容部42内の気圧)が変化直前の圧力よりも低くなった状態のことを意味する。すなわち、「減圧状態」には、電極体14の周囲の圧力が変化直前の圧力から予め決められた第1規定値に達するまでの間の状態、および、第1規定値の圧力に維持されている状態が含まれる。第1規定値は、例えば、効率の良い電極体14に対する予備充電、および効率の良い二次電池1aからのガス抜きを考慮して設定されていてよい。
予備充電装置4は、電極体14の雰囲気を減圧状態とした後、電極体14に対する予備充電を開始してよい(S25)。すなわち、S25において、予備充電装置4は、クランプ45を介した電極体14への電流の供給を開始する。
次に、予備充電装置4は、電極体14の雰囲気を昇圧状態としてよい(昇圧工程:S26)。「昇圧状態」とは、電極体14の周囲の圧力が変化直前の圧力よりも高くなった状態のことを意味する。すなわち、「昇圧状態」には、電極体14の周囲の圧力が変化直前の圧力から予め決められた第2規定値に達するまでの間の状態、および、第2規定値の圧力に維持されている状態が含まれる。第2規定値もまた、例えば、効率の良い電極体14に対する予備充電、および効率の良い二次電池1aからのガス抜きを考慮して設定されていてよい。
例えば、S24の第1減圧工程において、予備充電装置4は、電極体14の雰囲気を大気圧の状態から真空状態としてよい。また、S26の昇圧工程において、予備充電装置4は、電極体14の雰囲気を真空状態から大気圧の状態としてよい。この場合、第1規定値は約10-1~10-3気圧、第2規定値は約1気圧であってよい。
また例えば、収容部42と真空ポンプ(不図示)とを接続する接続管(不図示)の途中に第1バルブが設けられていてよい。また、収容部42の内部と外部とを接続する接続管(不図示)、または収容部42と窒素等のガス供給部(不図示)とを接続する接続管(不図示)の途中に第2バルブが設けられていてよい。この場合、予備充電装置4は、第1バルブを開状態とし、第2バルブを閉状態とすることにより、収容部42内(すなわち電極体14の雰囲気)を減圧状態としてよい。また、予備充電装置4は、第2バルブを開状態とし、第1バルブを閉状態とすることにより、収容部42内を昇圧状態としてよい。
予備充電装置4は、S25での電極体14に対する予備充電開始後に、S26の昇圧工程を開始しているが、これに限られない。予備充電装置4は、S26の昇圧工程の開始後に、S25での電極体14に対する予備充電を開始してもよいし、S25での電極体14に対する予備充電の開始と、S26の昇圧工程の開始とが同時に実行されてもよい。S26の昇圧工程は、S24の第1減圧工程後に実行されればよい。
具体的には、予備充電装置4は、第2バルブを開状態とし、第1バルブを閉状態とする前に、電極体14に対する予備充電を開始してもよい。この場合、第1減圧工程中に予備充電が開始されることになる。また、予備充電装置4は、第2バルブを開状態とし、第1バルブを閉状態とするのと同時に、電極体14に対する予備充電を開始してもよい。また、予備充電装置4は、第2バルブを開状態とし、第1バルブを閉状態とした後であって、電極体14の周囲の圧力が第2規定値となる前に、電極体14に対する予備充電を開始してもよい。また、予備充電装置4は、第2バルブを開状態とし、第1バルブを閉状態とした後であって、電極体14の周囲の圧力が第2規定値となった後に、予備充電を開始してもよい。
次に、予備充電装置4は、電極体14の雰囲気を減圧状態としてよい(第2減圧工程:S27)。例えば、第2減圧工程においても、予備充電装置4は、電極体14の雰囲気を大気圧の状態から真空状態としてよい。次に、予備充電装置4は、S26の昇圧工程とS27の第2減圧工程とを、第1規定回数実行したかを判定する(S28)。本実施形態では、第1規定回数は、複数回に設定されていてよい。第1規定回数は、例えば、昇圧工程および第2減圧工程の実行回数がそれぞれ、2~10回のいずれかとなるように設定されていてよい。予備充電装置4は、S26の昇圧工程とS27の第2減圧工程とを第1規定回数実行したと判定した場合(S28でYES)、電極体14に対する予備充電を終了する。一方、予備充電装置4は、S26の昇圧工程とS27の第2減圧工程とを第1規定回数実行していないと判定した場合(S28でNO)、S26の処理を再度実行する。
上述の通り、予備充電装置4は、S25で電極体14に対する予備充電を開始し、S29で電極体14に対する予備充電を終了する。すなわち本実施形態では、予備充電装置4は、S24の第1減圧工程中または第1減圧工程後のS25~S29において、電極体14を予備充電する予備充電工程を実行してよい。また、予備充電装置4は、S24の第1減圧工程後にS26の昇圧工程を実行し、当該昇圧工程後にS27の第2減圧工程を実行してよい。この昇圧工程および第2減圧工程により、昇圧状態において、電極体14全体に亘って略均一(ムラなく)に充電できるとともに、減圧状態において、昇圧状態のときよりも、電極体14から抜ける単位時間あたりのガスの量を多くできる。そのため、電極体14から効率良くガスを抜きつつ、電極体14に効率良く充電を行うことができる。
減圧時には、電極体14全体に亘って均一に充電できなくなる現象が生じることが経験則により判明している。この現象は、減圧時に、電極体14から抜けずに電極体14内に残存するガスが膨張することにより、電極体14の抵抗が大きくなるためと推察される。従って、予備充電装置4は、予備充電工程において、第2減圧工程を実行することにより電極体14から効率良くガスを抜くだけではなく、昇圧工程を実行することにより電極体14への充電効率を高めている。
また、予備充電装置4は、S24の第1減圧工程において二次電池1aの各部材の密着性を向上させた後に、S25およびS26において、予備充電開始とほほ同時期に昇圧工程を開始してよい。そのため、予備充電装置4は、電極体14全体に亘ってより略均一に充電できる。
また、電極体14の雰囲気を減圧し続けるよりも間欠的に減圧した方が、電極体14から抜ける単位時間あたりのガスの量が多くなることが経験則により判明している。当該経験則によれば、上述したように第2減圧工程とともに昇圧工程が実行されることにより、予備充電中に電極体14から効率よくガスを抜くことができる。つまり、電極体14から効率よくガスを抜きつつ、電極体14に効率よく充電を行うことができる。
また、予備充電工程において電極体14を予備充電している期間のうち、S26の昇圧工程による昇圧状態の期間は、S27の第2減圧工程による減圧状態の期間よりも長くてもよい。昇圧状態の期間を減圧状態の期間よりも長くすることにより、電極体14全体に亘ってより均一に充電することが可能となる。
S26における昇圧状態の期間は、例えば、5分以上かつ20分以下の長さに設定されてよい。S27における減圧状態の期間は、例えば、1分以上かつ10分以下の長さに設定されてよい。上記昇圧状態および減圧状態の期間の長さは、効率の良い予備充電およびガス抜きが可能となるように、電流量、予備充電工程の期間の長さ、S26の昇圧工程およびS27の第2減圧工程の実行回数等を考慮して設定されていればよい。
また本実施形態では、上述したように、第1規定回数は複数回に設定されている。すなわち、予備充電装置4は、予備充電工程中に、S26の昇圧工程とS27の第2減圧工程とを、交互にかつ複数回実行してよい。これにより、電極体14からのガス抜きを主目的とする第2減圧工程を間欠的に実行できるため、電極体14からムラなくガスを抜くことができる。ただし、第1規定回数は、複数回でなく、1回に設定されていてもよい。第1規定回数は、効率の良い予備充電およびガス抜きが可能となるように、電流量、第1および第2規定値、機械的圧力の値、昇圧工程および第2減圧工程の期間の長さ等を考慮して設定されていればよい。
また、予備充電装置4は、電極体14に対する予備充電を、S27の第2減圧工程中に終了してよい。電極体14に対する予備充電によって電極体14からガスが発生しやすい。そのため、予備充電装置4は、第2減圧工程中に予備充電を終了することにより、電極体14から効率良くガスを抜くことができる。ただし、予備充電装置4は、電極体14に対する予備充電を、第2減圧工程の終了と同時に終了してもよい。また、予備充電装置4は、電極体14に対する予備充電を、第1規定回数の昇圧工程および第2減圧工程を行った後に実行する、S30の昇圧工程中または昇圧工程の終了と同時に終了してもよい。
予備充電工程の期間は、例えば50分以上かつ150分以下であってよい。また、充電レートは、例えば0.05C以上かつ0.3C以下であってよい。充電レート(Cレート)は、二次電池に対して充放電するときの電流の大きさを表す指標である。1Cは、1時間で満充電状態から放電した状態になるときの電流値、または放電した状態から満充電状態になるときの電流値と定義される。例えば、2Cは、1/2時間で満充電状態から放電した状態になるときの電流値、または放電した状態から満充電状態となるときの電流値を意味する。また、電極体14に不可逆容量分の電気量以上を充電できればよく、充電終了時の充電率は、例えば10%以上かつ30%以下であってよい。
本実施形態では、予備充電装置4は、S29において電極体14に対する予備充電を終了した後に、電極体14の雰囲気を昇圧状態としてよい(昇圧工程:S30)。次に、予備充電装置4は、電極体14の雰囲気を減圧状態としてよい(第2減圧工程:S31)。このように、予備充電装置4は、予備充電を終了した後に、昇圧工程と第2減圧工程とを実行してよい。昇圧工程および第2減圧工程により、予備充電終了後も、電極体14からガスを抜くことができる。また、上述した経験則によれば、第2減圧工程とともに昇圧工程が実行されることにより、予備充電終了後の期間に電極体14から効率よくガスを抜くことができる。予備充電装置4は、S30の昇圧工程中または昇圧工程の終了と同時に電極体14に対する予備充電を終了した場合においても、予備充電を終了した後に、S30の昇圧工程とS31の第2減圧工程とを実行してよい。
また、予備充電終了後においては、S31の第2減圧工程による減圧状態の期間は、S30の昇圧工程による昇圧状態の期間よりも長くてもよい。予備充電中は、電極体14に充電することが重視される一方、予備充電終了後は、電極体14への充電中に電極体14で発生したガスを、電極体14から抜くことが重視される。そのため、第2減圧状態の期間を昇圧状態の期間より長くすることにより、予備充電終了後の期間において、電極体14から効率良くガスを抜くことができる。
S30における昇圧状態の期間は、例えば、1分以上かつ10分以下であってよい。S31における減圧状態の期間は、例えば、5分以上かつ20分以下であってよい。上記昇圧状態および減圧状態の期間の長さは、効率の良いガス抜きが可能となるように、S30の昇圧工程およびS31の第2減圧工程の実行回数等を考慮して設定されていればよい。
ところで、本実施形態では、上述の通り、予備充電装置4は、S25~S29の予備充電工程の期間、および、S30~S34の予備充電工程後の期間のそれぞれにおいて、昇圧工程と第2減圧工程とを少なくとも1回ずつ実行する。昇圧工程と第2減圧工程との1回ずつの実行を1サイクルと称した場合、1サイクルに要する時間は、予備充電工程の期間中の時間(S26およびS27の処理時間)よりも予備充電工程後の期間における時間(S30およびS31の処理時間)の方が長くてよい。予備充電工程の期間中の昇圧工程と第2減圧工程との実行は、電極体14への略均一な充電と電極体14からのガス抜きとの両方を効率良く行うことを主目的としている。一方、予備充電工程後の期間における昇圧工程と第2減圧工程との実行は、電極体14からのガス抜きを主目的としている。上記のように1サイクルに要する時間を設定することにより、上記主目的を実現しやすい。
次に、予備充電装置4は、S30の昇圧工程とS31の第2減圧工程とを、第2規定回数実行したかを判定する(S32)。本実施形態では、第2規定回数は、複数回に設定されていてよい。例えば、第2規定回数は、昇圧工程および第2減圧工程の実行回数がそれぞれ、2~10回のいずれかとなるように設定されていてよい。すなわち、予備充電装置4は、予備充電終了後の期間においても、S30の昇圧工程とS31の第2減圧工程とを、交互にかつ複数回実行してよい。ただし、第2規定回数は、複数回でなく、1回に設定されていてもよい。第2規定回数もまた、効率の良い予備充電およびガス抜きが可能となるように、電流量、第1および第2規定値、機械的圧力の値、昇圧工程および第2減圧工程の期間の長さ等を考慮して設定されていればよい。
予備充電装置4は、S30の昇圧工程とS31の第2減圧工程とを第2規定回数実行したと判定した場合(S32でYES)、電極体14の雰囲気を昇圧状態としてよい(S33)。次に、予備充電装置4は、二次電池1aへの加圧を終了する(S34)。S33の処理に先立ちS34の処理が実行されてもよいし、S33の処理とS34の処理とが並行して実行されてもよい。一方、予備充電装置4は、S30の昇圧工程とS31の第2減圧工程とを第2規定回数実行していないと判定した場合(S32でNO)、S30の処理を再度実行する。
上述の通り、予備充電装置4は、S23で電極体14に対する機械的圧力の印加を開始し、S34で電極体14に対する機械的加圧の印加を終了する。すなわち本実施形態では、予備充電装置4は、少なくとも予備充電工程の期間および予備充電工程後の期間において、機械的圧力により電極体14を加圧状態とする加圧工程を継続して1回実行してよい。また本実施形態では、予備充電装置4は、予備充電工程の期間において、S27の第2減圧工程(減圧工程)を少なくとも1回実行し、予備充電工程後の期間において、S31の第2減圧工程(減圧工程)を少なくとも1回実行してよい。
予備充電中に加圧工程および第2減圧工程が実行されることにより、予備充電中に発生するガスを電極体14から抜くことができる。また、予備充電終了後の期間において加圧工程および第2減圧工程が実行されることにより、電極体14に残存または発生するガスを、予備充電終了後の期間に電極体14から抜くことができる。そのため、電極体14から発生したガスを、より多く電極体14から抜くことができる。
また、予備充電装置4が加圧工程を継続して1回実行する場合、予備充電中から予備充電終了後の期間に亘り、機械的圧力による電極体14への加圧状態を継続させることになる。そのため、電極体14から効率よくガスを抜くことができる。さらに、予備充電装置4が予備充電中および予備充電終了後の期間のそれぞれにおいて少なくとも1回、第2減圧工程を実行する場合、第2減圧工程は間欠的に実行されることになる。上述した経験則によれば、第2減圧工程が間欠的に実行されることにより、電極体14から効率よくガスを抜くことができる。
ただし、予備充電装置4は、予備充電工程の期間および予備充電工程後の期間において、加圧工程を複数回実行してよい。予備充電装置4は、例えば、S29で予備充電を終了するときに、電極体14に対する機械的圧力の印加を一旦終了してもよい。その後、予備充電装置4は、例えばS30の昇圧工程を実行するときに、電極体14に対する機械的圧力の印加を再度実行してもよい。
また、予備充電装置4は、予備充電工程の期間および予備充電工程後の期間において、第2減圧工程を継続して1回実行してもよい。予備充電装置4は、例えば、S27の第2減圧工程を、S33の昇圧工程を実行するまで継続して実行してもよい。この場合、予備充電装置4は、S28、S30~S32を実行しなくてよい。
また、予備充電装置4は、例えば、S24の第1減圧工程(減圧工程)をS33の昇圧工程を実行するまで継続して実行してもよい。この場合、予備充電装置4は、S26~S28、S30~S32を実行しなくてよい。さらに、予備充電装置4は、S24の第1減圧工程を、S25の予備充電の開始時または当該予備充電の開始後に実行してもよい。
以上のとおり、本開示に係る二次電池1の製造方法によれば、予備充電および電極体14からのガス抜きを効率よく行うことができる。そのため、二次電池1の不良品が発生する可能性を低減できる。従って、二次電池1の不良品の製造に消費されるエネルギーおよび資源を節約することができるので、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
〔付記事項〕
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
例えば、予備充電装置4は、電極体14に対する予備充電を、第1減圧工程の開始前(例えば直前)または第1減圧工程と同時に開始してもよい。ただし、上述したように、電極体14に対する予備充電を第1減圧工程中または第1減圧工程後に実行することにより、電極体14からのガスを除去し、二次電池1aの各部材の密着性を向上させた状態で、電極体14に対する予備充電を実行できる。